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特許7164317不均衡補正領域を有する圧縮機部を備えたターボチャージャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】不均衡補正領域を有する圧縮機部を備えたターボチャージャー
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20221025BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20221025BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F02B39/00 Q
F02B39/00 R
F02B39/00 T
F04D29/28 J
F04D29/28 N
F04D29/66 M
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018076569
(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公開番号】P2018179004
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】15/486,451
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エドモンズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ハリス
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/132896(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0215787(US,A1)
【文献】特開2014-215121(JP,A)
【文献】実開昭55-049019(JP,U)
【文献】特開2012-013596(JP,A)
【文献】特開2014-020255(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F04D 29/28
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャーであって
内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール部と、
前記タービンホイール部に結合されかつ前記タービンホイール部により回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフトと、
前記ターボチャージャーシャフトに結合されかつターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイール部を含み、
前記圧縮機ホイール部は
気流と対向する対称形先端エッジ領域と、
前記対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置された不均衡補正領域であって、前記ターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力騒音を低減するために半径方向内側へ延長する、不均衡補正領域を含
前記圧縮機ホイール部は前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつ前記ターボチャージャーシャフトに結合された圧縮機ホイールを含み、
前記圧縮機ホイール部は前記圧縮機ホイールに隣接して前記ターボチャージャーシャフトに結合された圧縮機ナットを含み、
前記圧縮機ナットは前記圧縮機ホイールに隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置された均衡部及び前記均衡部に隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつ前記ターボチャージャーシャフトに結合されたファスナー部を含み、前記均衡部が前記ファスナー部と前記圧縮機ホイールの間に配置され、前記圧縮機ホイールを前記ターボチャージャーシャフトに固定し、かつ
前記不均衡補正領域は、前記均衡部を横切って延長する平面形状及びアーチ形状のうちいずれかとして定義されるか、又は前記不均衡補正領域は、前記均衡部内に半径方向に延長する、ターボチャージャー。
【請求項2】
前記圧縮機ホイールは前記タービンホイール部と対向するホイール端部から、前記縦軸に沿い、前記ホイールから縦方向に離隔されかつ前記気流と対向するノーズ端部まで延長される、請求項1に記載のターボチャージャー。
【請求項3】
前記ノーズ端部は前記対称形先端エッジ領域を含む、請求項2に記載のターボチャージャー。
【請求項4】
前記ファスナー部は前記対称形先端エッジ領域を含み、前記不均衡補正領域を有しない、請求項1に記載のターボチャージャー。
【請求項5】
前記均衡部は略円筒形状である、請求項1または請求項4に記載のターボチャージャー。
【請求項6】
前記均衡部は半径方向へ延長され、前記ファスナー部は前記均衡部の半径方向距離より長い距離分半径方向へ延長される、請求項1、請求項4及び請求項5のいずれか一項に記載のターボチャージャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にターボチャージャーに関するものとして、より具体的にはNVH及びローター安定性を改善するための不均衡補正領域を有する圧縮機部を備えたターボチャージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のような車両のエンジン用ターボチャージャーを提供することが知られている。自動車のターボチャージャーは通常的にセンターハウジング内のベアリングにより支持される共通のターボチャージャーシャフト上に圧縮機ホイール及びタービンホイールからなる。ターボチャージャーは排気ガス中のエネルギーの一部を抽出し、該出力を圧縮機ホイールに伝達する。圧縮機ホイールはエンジンへの吸入空気密度を増加することにより、エンジン出力を増加させる。
【0003】
一部のターボチャージャーはシャフト上に螺入された圧縮機ホイールを有する。他のターボチャージャーはシャフト周囲に配置された圧縮機ホイール及びシャフトに圧縮機ホイールを固定するための圧縮機ナットを有する。標準圧縮機ナットは不均衡補正を目的とする外側円筒形領域に特徴がある。不均衡補正を有するかかる標準圧縮機ナットは一次脈動雑音のような空力騒音を生成し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、空力騒音を低減するための圧縮機部を備えたターボチャージャーを提供することが望ましい。また、一次脈動雑音を防ぐ不均衡補正を有する圧縮機部を備えたターボチャージャーを提供することが望ましい。更に、一次脈動雑音を防ぐ不均衡補正を備えた圧縮機ナットを含む圧縮機部を備えたターボチャージャーを提供することが望ましい。よって、当技術分野ではこれらの要求の中、少なくとも1つを充足する圧縮機部を備えたターボチャージャーを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール部、タービンホイール部に結合されかつタービンホイール部により回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフト、及びターボチャージャーシャフトに結合されかつターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイール部を含むターボチャージャーを提供する。圧縮機ホイール部は気流と対向する対称形先端エッジ領域、及びターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力騒音を低減するために対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置され半径方向内側へ延長する不均衡補正領域を含む。
【0006】
また、本発明は、内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール、タービンホイールに結合されかつタービンホイールにより回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフト、及び圧縮空気を内燃機関に伝達するためにターボチャージャーシャフトに結合されかつターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイールを含むターボチャージャーを提供する。圧縮機ホイールはタービンホイールと対向するホイール端部から、縦方向に沿い、ホイール端部から縦方向へ離隔される気流と対向するノーズ端部まで延長する。ノーズ端部は気流と対向する対称形先端エッジ領域、及びターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力騒音を低減するために対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置し半径方向内側へ延長する不均衡補正領域を含む。
【0007】
更に、本発明は、内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール、タービンホイールに結合されかつタービンホイールにより回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフト、及び圧縮空気を内燃機関に伝達するためにターボチャージャーシャフトに結合されかつターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイールを含むターボチャージャーを提供する。圧縮機ホイールはタービンホイールと対向するホイール端部から、縦軸に沿い、ホイール端部から縦方向へ離隔される気流と対向するノーズ端部まで延長する。また、ターボチャージャーは、圧縮機ホイールのノーズ端部に隣接してターボチャージャーシャフト周囲に配置されたバランス部及びバランス部に隣接してターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつターボチャージャーシャフトに結合されたファスナー部を有する圧縮機ナットを含み、バランス部がファスナー部と圧縮機ホイールのノーズ端部に配置され、圧縮機ホイールをターボチャージャーシャフトに固定させる。ファスナー部は気流と対向する対称形先端エッジ領域を有し、バランス部はターボチャージャーシャフトの不均衡を補正して空力騒音を低減するために対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置されかつ半径方向内側へ延長する不均衡補正領域を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1つの利点は、NVH及びローター安定性を改善するための不均衡補正領域を有する圧縮機部を備えたターボチャージャーを提供することである。本発明の別の利点は、圧縮機部が脈動雑音または他の空力騒音問題を発生させない対称形先端エッジ領域を有することである。本発明の更に別の利点は、圧縮機部が先端エッジ連続性を保存するために外側エッジまたは対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置された不均衡補正領域を有することである。本発明の更に別の利点は、対称形先端エッジ領域が、空力騒音の原因となる気流の撹乱を引き起こすことからバランスカットのような不均衡補正領域を保護するのに用いられることである。本発明の更なる利点は、圧縮機部が対称形先端エッジ領域から縦方向内側の任意の領域に配置された不均衡補正領域を有し得ることである。
【0009】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と共に以降の説明を読むと、より一層理解できるため、容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態によるターボチャージャーの断面図である。
図2図2は、図1のターボチャージャーの一部の拡大図である。
図3図3は、図2の部分の一端部の拡大図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態によるターボチャージャーの断面図である。
図5図5は、図4のターボチャージャーの一部の拡大図である。
図6図6は、図5の部分の一端部の拡大図である。
図7図7は、圧縮機ナットを図示する図5の部分の一端部の立面図である。
図8図8は、図7の圧縮機ナットの斜視図である。
図9図9は、本発明の更なる実施形態によるターボチャージャーの断面図である。
図10図10は、図9のターボチャージャーの一部の拡大図である。
図11図11は、図10の部分の一端部の拡大図である。
図12図12は、圧縮機ナットを図示する図10の部分の一端部の立面図である。
図13図13は、図12の圧縮機ナットの斜視図である。
図14図14は、図4及び図9のターボチャージャー用圧縮機ナットに対する半径方向の深い不均衡補正のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照すると、別に表示しない限り、類似番号が類似構成を標記することに用いられ、本発明の一実施形態によるターボチャージャー20を図1図3に示す。図1に示すように、ターボチャージャー20はタービンハウジング24、シャフトハウジング26、及び圧縮機ハウジング28を有する、概略的に22に示すハウジングを含む。タービンハウジング24は内燃機関(図示せず)からの排気ガスを受容するためのタービン排気ガス入口30及びタービン排気ガス出口32を有する。圧縮機ハウジング28は矢印で示すように周囲気流を受容するための圧縮機周囲空気入口34及び圧縮空気を内燃機関に伝達するための圧縮機空気排出出口(図示せず)を有する。また、ターボチャージャー20は、タービンハウジング24内に配置された、概略的に36に示す回転式タービン部、及び圧縮機ハウジング28内に配置された、概略的に38に示す回転式圧縮機部を含む。ターボチャージャー20はタービン部36及び圧縮機部38に結合されかつシャフトハウジング26内にベアリングにより回転可能に支持される回転式ターボチャージャーシャフト40を更に含む。ターボチャージャーの一例がKingによる米国特許出願公開第2015/0219121号に開示されており、該全文は本明細書に明確に参考として含まれていることを認識するべきである。
【0012】
図2及び図3を参照すると、ターボチャージャーシャフト40は、縦軸Aに沿って延長される。タービン部36は、シャフト及びホイールアセンブリとなるターボチャージャーシャフト40の一端部に堅固に付着されたタービンホイール42を含む。圧縮機部38は、「スタブシャフト(stub shaft)」46と呼ばれるターボチャージャーシャフト40の他端部に結合された圧縮機ホイール44を含む。図示の実施形態において、圧縮機ホイール44は、複数のねじ山48によりスタブシャフト46と螺入される。圧縮機ホイール44はタービン部36と対向するホイール端部50と圧縮機周囲空気入口34へ流れる周囲気流と対向するノーズ端部52の間で縦方向に延長される。ノーズ端部52は略円筒形状である。圧縮機部38は圧縮機周囲空気入口34へ流れる周囲気流と対向する対称形先端エッジ領域54を含む。図示の実施形態において、圧縮機ホイール44のノーズ端部52は対称形先端エッジ領域54を含む。また、圧縮機部38はターボチャージャーシャフト40の不均衡を補正するために半径方向内側へ延長される不均衡補正領域56を含む。不均衡補正領域56は不均衡を補正するために多量除去される。不均衡補正領域56は、対称形先端エッジ領域54の連続性を保存し不均衡補正領域56が一次脈動雑音または他の空力騒音問題を引き起こすことを防ぐために対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置される。図示の実施形態において、不均衡補正領域56は圧縮機ホイール44のノーズ端部52内に半径方向に切断する。切断深さは不均衡を補正するためにどれくらい多い量を除去する必要があるかにより異なる。多様な実施形態において、不均衡補正領域56はボールエンドミル、フラットエンドミル、グラインディングホイールなどにより形成される。不均衡補正領域56は圧縮機ホイール44のノーズ端部52を横切って延長する平面形状またはアーチ形状として定義される。不均衡補正領域56は対称形先端エッジ領域54から縦方向内側の任意の領域内に配置されることを認識するべきである。また、対称形先端エッジ領域54の均一性は不均衡補正領域56が対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置されることにより保存されることを認識するべきである。更に、対称形先端エッジ領域54は空力騒音の原因となる気流の攪乱を引き起こすことから不均衡補正領域56を保護するのに用いられることを認識するべきである。
【0013】
図4図8を参照すると、本発明によるターボチャージャー20の別の実施形態を図示している。図1図3の類似部分は類似参照番号を有する。ターボチャージャー20の該実施形態において、圧縮機部38はスタブシャフト46周囲に配置された圧縮機ホイール44、及び複数のねじ山62によりスタブシャフト46と螺入された、概略的に60に示す圧縮機ナットを含む。圧縮機ホイール44は圧縮機ナット60からのクランプ荷重により所定の位置に保持される。図示の実施形態において、圧縮機ナット60は圧縮機ホイール44のノーズ端部52に隣接してスタブシャフト46周囲に配置された均衡部64を含む。また、圧縮機ナット60は均衡部64に隣接してねじ山62によりスタブシャフト46周囲に配置されかつスタブシャフト46に結合されたファスナー部66を含み、均衡部64がファスナー部66と圧縮機ホイール44のノーズ端部52の間で縦方向に配置されるようにする。ファスナー部66は対称形先端エッジ領域54を含み、不均衡補正領域56を有しない。一実施形態において、ファスナー部66は六角形の形状であるが、任意の適切な対称形の形状であってもよい。均衡部64は略円筒形状である。不均衡補正領域56はターボチャージャーシャフト40の不均衡を補正するために均衡部64内に半径方向へ延長される。不均衡補正領域56は均衡部64を横切って縦方向及び横方向に延長する平面形状またはアーチ形状として定義される。一実施形態において、不均衡補正領域56は2.0ミリメートルの幅及び1.55ミリメートルの深さを有する。均衡部64は半径方向へ延長され、ファスナー部66は該距離が均衡部64の半径方向距離を超過して半径方向へ延長される。圧縮機ナット60は金属のような硬質材料から製造する。圧縮機ナット60は一体形、統合形、及びワンピースである。また、対称形先端エッジ領域54の均一性は対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置された不均衡補正領域56により保持されることを認識するべきである。更に、対称形先端エッジ領域54は空力騒音の原因となる気流の攪乱を引き起こすことから不均衡補正領域56を保護し防止するのに用いられることを認識するべきである。
【0014】
図9図13を参照すると、本発明によるターボチャージャー20の更なる実施形態を示す。図4図8の類似部分は類似参照番号を有する。ターボチャージャー20の該実施形態において、圧縮機部38はスタブシャフト46周囲に配置された圧縮機ホイール44、及び複数のねじ山62によりスタブシャフト46と螺入された、概略的に60に示す圧縮機ナットを含む。圧縮機ホイール44は圧縮機ナット60からのクランプ荷重により所定の位置に保持される。図示の実施形態において、圧縮機ナット60はスタブシャフト46周囲に配置された均衡部64を含む。また、圧縮機ナット60は均衡部64の各縦方向端部に隣接してねじ山62によりスタブシャフト46周囲に配置されかつスタブシャフト46に結合された第1ファスナー部66及び第2ファスナー部68を含み、均衡部64が第1ファスナー部66と第2ファスナー部68の間に配置され、第2ファスナー部68が圧縮機ホイール44のノーズ端部52に隣接して配置されるようにする。第1ファスナー部66は対称形先端エッジ領域54を含み、不均衡補正領域56を有しない。一実施形態において、第1ファスナー部66及び第2ファスナー部68は六角形の形状であるが、任意の適切な対称形の形状であってもよい。均衡部64は略円筒形状である。不均衡補正領域56はターボチャージャーシャフト40の不均衡を補正するために均衡部64内に半径方向へ延長される。不均衡補正領域56は均衡部64を横切って縦方向及び横方向に延長する平面形状またはアーチ形状として定義され得る。一実施形態において、不均衡補正領域56は2.0ミリメートルの幅及び1.55ミリメートルの深さを有し得る。均衡部64は半径方向へ延長され、第1ファスナー部66及び第2ファスナー部68は該距離が均衡部64の半径方向距離を超過して半径方向へ延長される。圧縮機ナット60は金属のような硬質材料から製造する。圧縮機ナット60は一体形、統合形、及びワンピースである。また、対称形先端エッジ領域54の均一性は対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置された不均衡補正領域56により保持されることを認識するべきである。更に、対称形先端エッジ領域54は空力騒音の原因となる気流の攪乱を引き起こすことから不均衡補正領域56を保護し防止するのに用いられることを認識するべきである。
【0015】
図14を参照すると、ターボチャージャー20の圧縮機ナット60に対する半径方向深さの不均衡補正のグラフ70を示す。グラフ70は縦軸72がデシベル振幅(脈動)であり、横軸74がrpm(回転速度)である。また、グラフ70は半径方向深さのプロット76、78、及び80を含む。プロット76は圧縮機ホイールの外側に配置された1ミリメートル半径方向の深いフラットカット(flat cut)である。プロット80は圧縮機ホイールの内側に配置された1ミリメートル半径方向の深いフラットカットである。プロット78は一次脈動雑音に対し受容可能なものと見なされる20mgカットである。プロット80においては圧縮機ホイールの内側に位置する半径方向の深いフラットカットを配置することにより、プロット78の受容可能なものとして見なされるレベル以下に空力騒音を低減することを認識するべきである。
【0016】
従って、本発明のターボチャージャー20は一次脈動雑音のような空力騒音を低減するための不均衡補正領域56を有する圧縮機部38を提供する。本発明の圧縮機部38は脈動雑音を発生させない対称形先端エッジ領域54を有する。本発明の圧縮機部38は先端エッジの連続性を保存するために外側エッジまたは対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置された不均衡補正領域56を有する。本発明の対称形先端エッジ領域54は空力騒音の原因となる気流の攪乱を引き起こすことから不均衡補正領域56を保護するのに用いられる。本発明の圧縮機部38は対称形先端エッジ領域54から縦方向内側に配置された任意の領域に位置する不均衡補正領域56を有する。
【0017】
本発明は例示的な方式により説明している。用いられる用語は制限ではなく説明する単語の性格を有するものとして意図したことであると認識するべきである。
【0018】
上記の教示に照らし本発明は多くの修正及び変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明は具体的な記載とは異なった方法で実施され得る。
【0019】
本発明は添付の特許請求の範囲に定義されるが、以下の実施形態により本発明を別の方法で定義できることを認識するべきである:
【0020】
1.ターボチャージャーであって:
内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール部;
前記タービンホイール部に結合されかつ前記タービンホイール部により回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフト;及び
前記ターボチャージャーシャフトに結合されかつターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイール部を含み、
前記圧縮機ホイール部は:
気流と対向する対称形先端エッジ領域;及び
前記対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置された不均衡補正領域であって、前記ターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力騒音を低減するために半径方向内側へ延長する、不均衡補正領域を含む、ターボチャージャー。
【0021】
2.前記圧縮機ホイール部は前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつ前記ターボチャージャーシャフトに結合された圧縮機ホイールを含む、実施形態1に記載のターボチャージャー。
【0022】
3.前記圧縮機ホイールは前記タービンホイール部と対向するホイール端部から、前記縦軸に沿い、前記ホイールから縦方向に離隔されかつ気流と対向するノーズ端部まで延長される、実施形態2に記載のターボチャージャー。
【0023】
4.前記ノーズ端部は前記対称形先端エッジ領域を含む、実施形態3に記載のターボチャージャー。
【0024】
5.前記圧縮機ホイール部は前記圧縮機ホイールに隣接して前記ターボチャージャーシャフトに結合された圧縮機ナットを含む、実施形態2または実施形態3に記載のターボチャージャー。
【0025】
6.前記圧縮機ナットは前記圧縮機ホイールに隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置された均衡部及び前記均衡部に隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつ前記ターボチャージャーシャフトに結合されたファスナー部を含み、前記均衡部が前記ファスナー部と前記圧縮機ホイールの間に配置され、前記圧縮機ホイールを前記ターボチャージャーシャフトに固定する、実施形態5に記載のターボチャージャー。
【0026】
7.前記ファスナー部は前記対称形先端エッジ領域を含み、前記不均衡補正領域を有しない、実施形態6に記載のターボチャージャー。
【0027】
8.前記均衡部は略円筒形状である、実施形態6または実施形態7に記載のターボチャージャー。
【0028】
9.前記不均衡補正領域は前記均衡部内に半径方向へ延長される、実施形態6~8のいずれか1つに記載のターボチャージャー。
【0029】
10.前記不均衡補正領域は前記均衡部を横切って延長する平面形状及びアーチ形状のうちいずれかとして定義される、実施形態6~9のいずれか1つに記載のターボチャージャー。
【0030】
11.前記均衡部は半径方向へ延長され、前記ファスナー部は該距離が前記均衡部の半径方向距離を超過して半径方向へ延長される、実施形態6~10のいずれか1つに記載のターボチャージャー。
【0031】
12.ターボチャージャーであって:
内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール;
前記タービンホイールに結合されかつ前記タービンホイールにより回転可能であり、縦軸に沿って延長する、ターボチャージャーシャフト;及び
圧縮空気を内燃機関に伝達するために前記ターボチャージャーシャフトに結合されかつ前記ターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイールであって、前記タービンホイールと対向するホイール端部から、前記縦軸に沿い、前記ホイール端部から縦方向に離隔される気流と対向するノーズ端部まで延長される、前記圧縮機ホイールを含み、
前記ノーズ端部は気流と対向する対称形先端エッジ領域、及び前記ターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力音響雑音を低減するために前記対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置されかつ半径方向内側へ延長される不均衡補正領域を含む、ターボチャージャー。
【0032】
13.ターボチャージャーであって:
内燃機関からの排気ガスを受容するためのタービンホイール;
前記タービンホイールに結合されかつ前記タービンホイールにより回転可能であり、縦軸に沿って延長するターボチャージャーシャフト;
圧縮空気を内燃機関に伝達するために前記ターボチャージャーシャフトに結合されかつ前記ターボチャージャーシャフトにより回転可能な圧縮機ホイールであって、前記タービンホイールと対向するホイール端部から、前記縦軸に沿い、前記ホイール端部から縦方向に離隔される気流と対向するノーズ端部まで延長される、前記圧縮機ホイール;及び
前記圧縮機ホイールの前記ノーズ端部に隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置された均衡部、及び前記均衡部に隣接して前記ターボチャージャーシャフト周囲に配置されかつ前記ターボチャージャーシャフトに結合されたファスナー部を含み、前記バランス部が前記ファスナー部と前記圧縮機ホイールの前記ノーズ端部の間に配置され、前記圧縮機ホイールを前記ターボチャージャーシャフトに固定する圧縮機ナットを含み、
前記ファスナー部は気流と対向する対称形先端エッジ領域を有し、前記均衡部は前記ターボチャージャーシャフトの不均衡を補正し空力音響雑音を低減するために対称形先端エッジ領域から縦方向内側に配置されかつ半径方向内側へ延長される、ターボチャージャー。
【0033】
14.前記不均衡補正領域は前記均衡部を横切って延長する平面形状及びアーチ形状のうちいずれかとして定義される、実施形態13に記載のターボチャージャー。
【0034】
15.前記均衡部は半径方向へ延長し、前記ファスナー部は該距離が前記均衡部の半径方向距離を超過して半径方向へ延長される、実施形態13または実施形態14に記載のターボチャージャー。
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