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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ラベル受渡機構、及びラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/14 20060101AFI20221025BHJP
   B65C 9/26 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B65C9/14
B65C9/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018080995
(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公開番号】P2019189246
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 博英
(72)【発明者】
【氏名】西山 英司
(72)【発明者】
【氏名】小山 真
(72)【発明者】
【氏名】野口 竣太郎
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137115(JP,A)
【文献】特開2008-062965(JP,A)
【文献】特開2009-062087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/14
B65C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
終端で折り返されて始端に戻るエンドレスの移動部を有し、粘着部を有するラベルを前記移動部に貼り付けて搬送するコンベヤから、
移動可能に支持された、ラベルを吸着保持する吸着部へ、
ラベルを受け渡す、ラベル受渡機構において、
前記吸着部を移動させる駆動源を備え、
前記コンベヤの終端における前記移動部の折り返し開始位置よりも前側で、前記移動部及びこれに貼り付けられた前記ラベルを停止した状態で、前記移動部に貼り付けられたラベルに前記吸着部を吸着させた後、
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記ラベルを吸着したまま前記移動部とともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記ラベルを吸着したまま前記移動部の移動方向の接線方向に前記移動部と同速度で移動させることにより、前記移動部の折り返しにより前記移動部から剥離した前記ラベルを前記吸着部に受け渡す構成とした、
ことを特徴とするラベル受渡機構。
【請求項2】
前記吸着部は先端部にラバーカップが取り付けられた管状体であり、前記ラバーカップを前記ラベルに接触させつつ前記ラバーカップを介した空気の吸引により、前記ラベルに前記吸着部を吸着させる構成とした
請求項1記載のラベル受渡機構。
【請求項3】
前記移動部に貼り付けられた前記粘着部の寸法は、前記移動部の移動方向よりも、前記移動部の移動方向と直交する直交方向の方が長く、
前記直交方向における前記移動部の寸法は、前記直交方向における前記粘着部の寸法よりも短い
請求項1又は2記載のラベル受渡機構。
【請求項4】
粘着部を有するラベルを対象物に貼り付ける、ラベル貼付装置において、
終端で折り返されて始端に戻るエンドレスの第1移動部を有する第1コンベヤと、
終端で折り返されて始端に戻るエンドレスの第2移動部を有する第2コンベヤと、
前記第1コンベヤ及び前記第2コンベヤにまたがるように前記ラベルを供給し、前記粘着部を前記第1移動部及び前記第2移動部またがって貼り付ける、ラベル送出部と、
エンドエフェクタが吸引により物を保持する吸着部である、ロボットとを備え、
前記第1移動部の移動範囲の終端は、前記第2移動部の移動範囲の終端よりも先に位置しており、
前記第1移動部及び前記第2移動部に貼り付けられたラベルは、前記第1移動部及び前記第2移動部とともに前記第2移動部の移動範囲の終端に至った後、前記第1移動部とともに前記第2移動部の移動範囲の終端よりも先に移動する過程で、前記第2移動部が無くなることにより前記第2移動部から剥離されるようになっており、
前記ロボットは、前記第2移動部の移動範囲の終端と前記第1移動部の移動範囲の終端との間で、前記第1移動部に貼り付けられたラベルを前記吸着部により吸着し、この吸着部の移動により、前記ラベルを前記移動部から剥離した後、対象物に貼り付けるものであり
前記ラベルを前記第1移動部から前記吸着部に受け渡すにあたり、
前記第1コンベヤの終端における前記第1移動部の折り返し開始位置よりも前側で、前記第1移動部に貼り付けられたラベルに前記吸着部を吸着させた後、
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記ラベルを吸着したまま前記第1移動部とともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記ラベルを吸着したまま前記第1移動部の移動方向の接線方向に前記第1移動部と同速度で移動させることにより、前記第1移動部の折り返しにより前記第1移動部から剥離した前記ラベルを前記吸着部に受け渡す構成とした、
ことを特徴とする、ラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着部を有する電子タグ等のラベル受渡機構、及びラベル貼付装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子タグ(RFタグ、ICタグ、RFラベル等ともいわれる)は、情報の記憶及び読み出しを近距離無線通信により非接触で行うためにICチップとこれに接続されたアンテナとを有するものである。また、電子タグは対象物に貼付するために裏面が粘着面となっているものが一般的である。RFID(Radio frequency identification)は、このような電子タグを利用し、電子タグに対する対象物の個別情報の書き込み、及び電子タグに記憶された対象物の個別情報の読取りを、無線通信により行う自動認識システムである。
【0003】
裏面が粘着面となっている電子タグやその他のラベルは、連続する剥離シート上に貼り付けられた個々のラベルを剥がして、対象物に貼付することが一般的であり、そのための貼付装置が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のものは、ラベル送出部から供給されるラベルを、受渡装置により受渡位置に移動するとともに、受渡位置のラベル上に吸着部を移動させて、受渡位置のラベルを吸着部に吸着させた後、吸着部から対象物にラベルを貼付するものである。そして、この受渡装置は、ラベル送出部から供給されるラベルを、間隔を空けて平行に配置された多数のエンドレスベルト上に移行させ、ラベルの粘着面をエンドレスベルトに粘着させた状態で、エンドレスベルトの駆動によりラベルを受渡位置に移動させた後、ラベル表面に吸着部を吸着させた状態で、吸着部を上昇させることにより、ラベルをエンドレスベルトから剥離するものである。要するに、受渡装置では、ラベルはその粘着面の粘着によりエンドレスベルト上に保持されており、吸着部への受け渡しに際しては粘着部分の剥離が必要になる。
【0005】
しかし、このような吸着部の上昇移動により、エンドレスベルト上に粘着されたラベルを剥離する場合、受け渡しを確実にするためには、強力な吸着力か、剥離を補助する機構(特許文献1記載のものではラベル下方から空気を吹き付けている)か、又はその両方が必要になり、制御も複雑になる。さらに、特許文献1記載の装置の場合、吸引や空気吹き付けの分、消費エネルギーが嵩むという問題点も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-62965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力でのラベルの受け渡しを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<第1の態様>
終端で折り返されて始端に戻るエンドレスの移動部を有し、粘着部を有するラベルを前記移動部に貼り付けて搬送するコンベヤから、
移動可能に支持された、ラベルを吸着保持する吸着部へ、
ラベルを受け渡す、ラベル受渡機構において、
前記コンベヤの終端における前記移動部の折り返し開始位置よりも前側で、前記移動部に貼り付けられたラベルに前記吸着部を吸着させた後、
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記ラベルを吸着したまま前記移動部とともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記ラベルを吸着したまま前記移動部の移動方向の接線方向に前記移動部と同速度で移動させることにより、前記移動部の折り返しにより前記移動部から剥離した前記ラベルを前記吸着部に受け渡す構成とした、
ことを特徴とするラベル受渡機構。
【0009】
(作用効果)
本ラベル受渡機構は、吸着部を、折り返し開始位置以降はラベルを吸着したまま移動部の移動方向の接線方向に、移動部と同速度で移動させるところに特徴を有するものである。これにより、移動部の折り返しによりラベルに働く剥離力を主に利用し、かつ吸着部が移動部から離れることによる力をほとんど利用せずに、吸着部でラベルと保持して移動部から剥離することができる。よって、非常に簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力で確実なラベルの受け渡しが可能となるものである。
【0010】
<第2の態様>
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記ラベルを吸着したまま前記移動部とともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記ラベルを吸着したまま前記移動部の移動方向の接線方向に移動させる、駆動源を備えた、
第1の態様のラベル受渡機構。
【0011】
(作用効果)
吸着部がラベルに吸着した状態では、吸着部、ラベル及び移動部は一体化しているため、移動部の移動力を利用して吸着部を移動させることも可能である。しかし、より確実な動作を可能とするために、本態様のように吸着部を移動するための駆動源を備えていることが望ましい。
【0012】
<第3の態様>
前記コンベヤにおける始端と終端との間に、前記ラベルを前記移動部に押し付ける、押し付けローラが設けられている、
第1又は2の態様のラベル受渡機構。
【0013】
(作用効果)
ラベルをコンベヤの移動部に貼り付けて搬送する場合、ラベルが移動部から剥がれてしまうと搬送に失敗することとなる。このため、本押し付けローラを設けるのは一つの好ましい形態である。しかし、この場合、吸着部への受け渡しに際して、移動部からラベルが剥離しにくくなる。よって、本ラベル受渡機構は、このような場合に特に意義を有するものである。
【0014】
<第4の態様>
粘着部を有するラベルを対象物に貼り付ける、ラベル貼付装置において、
終端で折り返されて始端に戻るエンドレスの移動部を有するコンベヤと、
前記コンベヤに前記ラベルを供給し、前記粘着部を前記移動部に貼り付ける、ラベル送出部と、
エンドエフェクタが吸引により物を保持する吸着部である、ロボットとを備え、
前記ロボットは、前記移動部に貼り付けられたラベルを前記吸着部により吸着し、この吸着部の移動により、前記ラベルを前記移動部から剥離した後、対象物に貼り付ける、
ラベル貼付装置において、
前記コンベヤの終端における前記移動部の折り返し開始位置よりも前側で、前記移動部に貼り付けられたラベルに前記吸着部を吸着させた後、
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記ラベルを吸着したまま前記移動部とともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記ラベルを吸着したまま前記移動部の移動方向の接線方向に前記移動部と同速度で移動させることにより、前記移動部の折り返しにより前記移動部から剥離した前記ラベルを前記吸着部に受け渡す構成とした、
ことを特徴とする、ラベル貼付装置。
【0015】
(作用効果)
本ラベル貼付装置は、第1の態様のラベル受渡機構を採用するものであり、ラベルの受け渡しをより少ない吸着力で行うことができ、円滑なラベル貼付が可能となるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力でのラベルの受け渡しが可能となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電子タグの貼付装置を概略的に示す正面図である。
図2】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
図3】電子タグ供給装置の例を示す正面図である。
図4】電子タグ供給装置の要部を示す平面図である。
図5】電子タグ供給装置の要部を示す斜視図である。
図6】電子タグ供給装置における電子タグの変化を示す平面図である。
図7】電子タグの変化を示す側面図である。
図8】電子タグ供給装置における電子タグの変化を示す平面図である。
図9】電子タグ供給装置における電子タグの変化を示す平面図である。
図10】電子タグの例を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
図11】折り曲げ後の電子タグの例を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図である。
図12】電子タグを貼付した対象物を示す斜視図である。
図13】電子タグの受け渡し部を示す斜視図である。
図14】電子タグの受け渡し部を示す正面図である。
図15】(a)電子タグの受け取り、(b)情報の書き込み、(c)対象物への貼付を示す側面図である。
図16】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
図17】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
図18】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
図19】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、電子タグの貼付装置の例について説明する。図1及び図2は、電子タグの貼付装置の一例を示している。この電子タグの貼付装置1は、粘着面11を有する電子タグ10を順次供給する電子タグ供給装置20と、電子タグ10の貼付対象である対象物50を搬送する対象物コンベヤ30と、電子タグ供給装置20から供給される電子タグ10を受け取り、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50に貼付する、ロボット40とを備えている。
【0019】
<対象物コンベヤ>
対象物コンベヤ30は、対象物50を搬送しうる限り公知のあらゆるコンベヤを用いることができ、例えば、上面が積載面となるベルトコンベヤやプレートコンベヤ等を好適に用いることができる。対象物コンベヤ30は、対象物50よりも幅広の積載面を有すると、例えば作業員が大きさの異なる多品種の対象物50を位置や向きを意識せずに載せることができるため好ましい。もちろん、対象物コンベヤ30は、対象物50の種類及び積載位置(向きを含む)が一定のものであってもよい。また対象物コンベヤ30への対象物50の積載を機械的に行うこともできる。
【0020】
<電子タグ供給装置>
図12に示すように、電子タグ10は、通信品質の低下を防止するために、少なくともアンテナの一部を貼付対象物50から離間させることが望ましい。図10に示すように、電子タグ10の裏面が粘着面11となっている場合、その一つの解決手法は、図11に示すように、電子タグ10のアンテナ10aを含む一部分10Fを折り畳み、粘着面11同士を貼り合わせた粘着不能化部分12と、粘着面11が露出する残粘着部分13とを形成し、図12に示すように、残粘着部分13の粘着面11により対象物50に貼付することである。本例の電子タグ供給装置20は、この折り曲げを行う機能を備えたものとなっている。本例の電子タグ供給装置20は、折り曲げ対象の電子タグ10の構造により特に限定されるものではなく、公知の電子タグ10を適宜使用することができる。
【0021】
例えば、図10に示す例は、インレット10a,10iとしてICチップ10iとこれに接続されたアンテナ10aとを有するパッシブタイプの電子タグ10であり、電子タグ10の代表的なものの一つである。このような電子タグ10の場合に、インレット10a,10iを通る位置で折り曲げるのは好ましいものではない。よって、このような電子タグ10では、インレット10a,10iを有する部分に隣接する部分であって、インレット10a,10i側に折り返したときに、アンテナ10aの少なくとも一部と重なる部分と、インレット10a,10iを有する部分との間に、折り位置10pを設けることが望ましい。
【0022】
電子タグ10の形状は、図示例のように角をとった長方形のものが一般的である。このような電子タグ10の場合、長手方向の一端部にインレット10a,10iを有しない折り返し部分10Fを設けるとともに、反対側にインレット10a,10iを設け、これらの境界を折り位置10pとすることができる。
【0023】
図2図6は、上述のように折り曲げた電子タグ10を形成する電子タグ供給装置20(折り曲げ装置)の例を示している。すなわち、この電子タグ供給装置20は、エンドレスの第1ベルト21Bを有する第1ベルトコンベヤ21と、第1ベルトコンベヤ21の横に隣接し、第1ベルト21Bとともにかつ第1ベルト21Bに対する間隔を縮小しつつ移動する、エンドレスの第2ベルト22Bを有する第2ベルトコンベヤ22とを備える。第2ベルト22Bを第1ベルト21Bとともに移動させるために、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bは同期して、かつ同速度で図示しない共通の駆動源又は個別の駆動源により駆動することができる。第1ベルト21B及び第2ベルト22Bは、少なくとも折り曲げ開始位置P1から所定距離離れた折り曲げ完了位置P2まで移動するものである。
【0024】
また、本電子タグ供給装置20は、折り曲げ開始位置P1で、電子タグ10の折り位置10pが第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間で第1ベルト21Bの移動方向と平行になるように、電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22B上にまたがって貼り付ける、電子タグ送出部23を備えている。電子タグ送出部23は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる供給機構を採用することができる。図示例の電子タグ送出部23は、電子タグロール23Rを取り付けて使用するものである。電子タグロール23Rは、連続帯状の電子タグシート15がロール状に巻き取られたものであり、電子タグシート15は連続帯状の剥離シート16の連続方向に所定の間隔で繰り返し貼り付けられた電子タグ10を有するものである。電子タグロール23Rは、図示しない回転軸に回転可能に支持される。
【0025】
また、電子タグ送出部23は、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの上面に近接する先端を備えた剥離プレート23Pと、連続帯状の剥離シート16を巻き取る巻取軸23Wとを有している。巻取軸23Wは、図示しないステッピングモータで回転駆動されるようになっている。電子タグシート15は、電子タグロール23Rから繰り出された後、剥離プレート23Pの先端で鋭角に折り返される。ここで、剥離プレート23Pの先端では、剛性のある電子タグ10が剥離シート16から自然に剥離するとともに、第1コンベヤ及び第2コンベヤ上に押し出されることにより、第1コンベヤ及び第2コンベヤに貼り付けられる。電子タグ10が剥離された後に残る剥離シート16は、巻取軸23Wに巻き取られる。
【0026】
図5及び図6に示すように、電子タグ送出部23により第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに供給された電子タグ10は、裏側の粘着面11により第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに貼り付いているため、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bとともに、折り曲げ開始位置P1から折り曲げ完了位置P2に向かって移動する。このとき、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bは一緒に(つまり同時かつ同速度で)移動するとともに、互いの間隔は折り曲げ完了位置P2に向かうにつれて狭くなる。このため、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bにまたがって貼り付けられた電子タグ10は、折り曲げ開始位置P1から折り曲げ完了位置P2に向かうにつれて、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間隔縮小により、電子タグ10における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に位置する部分に加わる力を逃がすように変形する。すなわち、電子タグ10における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に位置する部分が第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから離れるように迫り上がるとともに、迫り上がり部分10uにある折り位置10pで屈曲し、折り位置10pの両側が貼り合わされる。この結果、折り曲げ完了位置P2では、図7(c)に示すように、電子タグ10における折り位置10pの両側の貼り合わされた部分は粘着不能化部分12となり、電子タグ10における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの少なくとも一方に粘着した部分の一部又は全部が残粘着部分13となった、折り曲げ電子タグ10を得ることができる。この電子タグの形状の変化を図7に示した。図7(a)~(d)中に示される電子タグ10(a)~10(d)は、図6中に示される電子タグ10(a)~10(d)と符号を対応させている。このように、本電子タグ供給装置20では、電子タグ送出部23から供給される電子タグ10を単独の状態で、しかも第1ベルトコンベヤ21及び第2ベルトコンベヤ22に貼り付けて搬送するだけで、電子タグ10を保持するための吸引機構等の複雑な機構を要せずに、所定の折り位置10pに沿って折り曲げることができる。
【0027】
以上の説明から容易に理解できるように、本電子タグ供給装置20は、電子タグ10の粘着面11が第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから剥がれてしまうと折り曲げに失敗することとなる。このため、折り曲げ開始位置P1と折り曲げ完了位置P2との間に、電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに押し付ける、押し付けローラ24が設けられていると好ましい。図示例の押し付けローラ24は、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bをそれぞれ挟む一対のローラとなっているが、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの上にのみ配されたローラであってもよい。このような押し付けローラ24を備えることにより、電子タグ送出部23から供給された電子タグ10が、しっかりと第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに貼り付けることができる。押し付けローラ24は、電子タグ10の搬送方向の一個所又は複数個所に設けることができ、特に少なくとも電子タグ送出部23の近傍に設けることが好ましい。また、本押し付けローラ24は、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの両方に設けることが好ましいが、いずれか粘着が弱くなりやすい方のみ設けてもよい。
【0028】
本電子タグ供給装置20では、電子タグ10に加わる力が、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間隔縮小により加わる力のみであっても、電子タグ10における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に位置する部分は、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから離れる方向には迫り上がりやすい。よって、本電子タグ供給装置20では、折り曲げ開始位置P1で、折り曲げ方向が表裏反対となる事態は生じにくいものである。しかし、偶発的に又は電子タグ10の種類等によっては、逆折れ(第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に折り込まれるような折れ方)するおそれもある。よって、そのような場合であっても、正常な折り曲げを可能とするために、電子タグ10における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に位置する部分を、所定の迫り上がり方向(第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間に向かう方向ではなく、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから離れる方向)に持ち上げる逆折れ防止手段25を備えることが望ましい。逆折れ防止手段は特に限定されるものではないが、図示例のように、電子タグ10が逆折れしない限り、迫り上がり部分10uの粘着面11側における折り位置10pの両側の部分の間に入り込み、かつ粘着面11に接しないが、電子タグ10が逆折れしたときにはこれに接して正常な迫り上がり方向に押し返すプレート等の固定体を設けるのは好ましい。また、このような固定体に代えて、電子タグ10に接触したときにこれとともに回転するローラ等の回転体を設けるのも好ましい。さらに、他の逆折れ防止手段25としては、電子タグ10の裏側から迫り上がり方向にエアを噴射するのも好ましい。これらの例のように、電子タグ10が逆折れしない限り、電子タグ10の粘着面11に接することがないか、又は逆折れしたときにも電子タグ10に接しないことで、たとえ電子タグ10が逆折れしたとしても、電子タグ10の搬送阻害を抑制することが好ましい。
【0029】
また、本電子タグ供給装置20では、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間隔縮小により加わる力により、電子タグ10が迫り上がり部分10uにある折り位置10pで屈曲し、その折り位置10pの両側における粘着面11同士が貼り合わされる。この貼り合わせは、多少不十分になっても直ちに問題となるわけではないが、より広範囲にわたりしっかりと貼り合わされることが望ましい。そこで、図示例のように、折り曲げ開始位置P1と折り曲げ完了位置P2との間に、迫り上がり部分10uを厚み方向に加圧する一対の加圧ローラ26が設けられているのは好ましい。加圧ローラ26は、迫り上がり部分10uのほぼ全体を加圧することが望ましいが、迫り上がり部分10uの先端部や、先端部以外の一部のみを加圧するのでもよい。特に、加圧ローラ26により、迫り上がり部分10uの少なくとも先端部を加圧することにより、折り位置10pでの屈曲、及び折り位置10pの両側の貼り合わせをより確実に、かつよりしっかりと行うことができる。
【0030】
また、本電子タグ供給装置20では、電子タグ10の折り位置10pを安定化するために、図6及び図10に示すように、電子タグ10の折り位置10pに、予め易折り曲げ加工10mが施されていると好ましい。易折り曲げ加工10mは、特に限定されず、折り位置10pに沿うミシン目加工やエンボス加工等の公知の加工を採用することができる。また、これとともに、又はこれに代えて、電子タグ10の折り位置10pにおける少なくとも搬送方向下流側の端部、特に好適には両端部に切り込み部10cが形成されていると好ましい。このように電子タグ10に易折り曲げ加工10mされていると、折り位置10pが定まり、迫り上がり部分10uの折り位置10pでの屈曲、及び折り位置10pの両側の貼り合わせをより確実に、かつよりしっかりと行うことができる。
【0031】
本電子タグ供給装置20により得られる電子タグ10では、粘着不能化部分12を挟んで第1ベルト21Bに粘着していた残粘着部分13と、第2ベルト22Bに粘着していた残粘着部分13とが形成される。よって、本電子タグ10は、これらの両方の残粘着部分13を利用して(つまり図7(c)の状態で)対象物50に貼付することもできるし、いずれか小さい方の残粘着部分13を他方の残粘着部分13に貼り付けて粘着不能化部分12の一部としてもよい(つまり図7(e)及び図11に示す状態)。
【0032】
前者の場合、図8に示すように、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの移動範囲の終端は、折り曲げ完了位置P2とすることができる。また、電子タグ10の折り位置10pは、迫り上がり部分10uがその形成過程で直交方向XDに倒れにくいという点で、直交方向XDにおける第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間のほぼ中央に位置していることが好ましいが、第1ベルト21B側又は第2ベルト22B側にずれていてもよい。この例では、第1ベルト21Bに粘着する残粘着部分13及び第2ベルト22Bに粘着する残粘着部分13の幅(直交方向の寸法)が両方ともに広くてもよいため、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに対して確実に粘着させることができ、折り曲げ時の反力により電子タグ10が第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから剥離するのを抑制することができる。
【0033】
ただし、折り曲げた電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの両方に粘着した状態から剥離して対象物50に貼付する場合、電子タグ10の粘着面積が大きいため、剥離が困難となるおそれがある。よって、折り曲げた電子タグ10の剥離を容易にするために、図3図5に示すように、第2ベルト22Bの移動範囲の終端を折り曲げ完了位置P2とするとともに、第1ベルト21Bの移動範囲の終端を第2ベルト22Bの移動範囲の終端よりも先に位置させ、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに貼り付けられた電子タグ10が、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bとともに第2ベルト22Bの移動範囲の終端に至った後、第1ベルト21Bとともに第2ベルト22Bの移動範囲の終端よりも先に移動する過程で、第2ベルト22Bが無くなることにより第2ベルト22Bから剥離され、第1ベルト21Bのみで電子タグ10が保持されるようになっていると好ましい。
【0034】
この場合、電子タグ10がある程度の剛性を有する関係上、第2ベルト22Bから剥離され、第1ベルト21Bのみで保持された電子タグ10は、図6及び図7(d)に示すように粘着不能化部分12が第2ベルト22B側(第2ベルト22Bは存在しない)に倒れる。よって、図7(e)及び図11に示すように、第2ベルト22Bから剥離後に、いずれか小さい方の残粘着部分13(図示例では第2ベルト22Bに粘着していた残粘着部分13)を他方の残粘着部分13に貼り付けて粘着不能化部分12の一部とし、その上で残る残粘着部分13(図示例では第1ベルト21Bに粘着していた残粘着部分13のほとんど)により、図12に示すように対象物50に貼付することができる。この場合、図示例のように、第1ベルト21Bの移動範囲の終端と第2ベルト22Bの移動範囲の終端との間に、第2ベルト22B側に倒れた粘着不能化部分12を厚み方向に加圧する一対の仕上げローラ27が設けられていると、粘着不能化部分12における粘着面11の貼り合わせをより確実に、かつよりしっかりと行うことができる。
【0035】
ただし、第2ベルト22Bに粘着していた残粘着部分13が第1ベルト21Bの側面や裏面に到達して粘着すると、その後の第1ベルト21Bからの電子タグ10の剥離を困難にするおそれがある。すなわち、第1ベルト21B及び第2ベルト22Bによる電子タグ10の折り曲げを行う過程で、迫り上がり部分10uが直交方向に倒れにくいという点で、折り位置10pは、直交方向における第1ベルト21B及び第2ベルト22Bの間のほぼ中央に位置していることが好ましい。しかし、この場合、折り曲げ完了位置P2で一方の残粘着部分13の幅を極力小さくするために、図6に示すように、電子タグ10における第2ベルト22B側の先端が、第2ベルト22Bにおける第1ベルト21B側の端部に位置するように、電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに供給したとしても、折り位置10pと第1ベルト21Bとの直交方向XDの間隔D1が、折り位置10pと電子タグ10における第2ベルト22B側の先端との直交方向XDの間隔D2よりも短くなる。そして、このような配置では、前述のように第1ベルト21Bの移動範囲を第2ベルト22Bよりも延長し、第1ベルト21Bの移動を利用して電子タグ10を第2ベルト22Bから剥離し、粘着不能化部分12が倒れるときに、図7(d)に示すように、第2ベルト22Bに粘着していた残粘着部分13が第1ベルト21Bの側面や裏面に到達して粘着し、その後の第1ベルト21Bからの電子タグ10の剥離を困難にするおそれがある。
【0036】
そこで、図3図5に示す例のように、電子タグ送出部23で、電子タグ10における第2ベルト22B側の先端を、第2ベルト22Bにおける第1ベルト21B側の端部に位置させるとともに、第2ベルト22Bの移動範囲の終端と第1ベルト21Bの移動範囲の終端との間で、第2ベルト22B側に倒れた又は倒れようとする粘着不能化部分12を起こし、第1ベルト21Bに粘着した残粘着部分13と粘着不能化部分12とのなす角θ(図7(e)参照)を180度未満にする、立ち上げ手段28を設けるのは一つの好ましい形態である。
【0037】
立ち上げ手段28としては、第1ベルト21Bのみによる電子タグ10の粘着不能化部分12の通過経路に、移動方向下流側に向かうにつれて第1ベルト21Bの電子タグ10の貼付面より下側から上側に位置する傾斜面を有し、電子タグ10の粘着不能化部分12の裏面に接触してこれを押し上げるプレート(図示例)やローラ(図示せず)を採用することができる。また、他の立ち上げ手段28としては、電子タグ10の粘着不能化部分12の裏側から立ち上げ方向にエアを噴射するのも好ましい。
【0038】
このような立ち上げ手段28を設けると、粘着不能化部分12が倒れて第1ベルト21Bに接触する前又は後に、第1ベルト21Bに粘着した残粘着部分13と粘着不能化部分12とのなす角θを180度未満に立ち上げることができ、その結果として第2ベルト22Bに粘着していた残粘着部分13が第1ベルト21Bに到達しないか、又は到達して粘着したとしても、剥離される。よって、第1ベルト21Bからの電子タグ10の剥離が困難となることがない。なお、前述の仕上げローラ27を設ける場合、図示例のように、第2ベルト22Bの移動範囲の終端と立ち上げ手段28との間に設けることが望ましい。
【0039】
もちろん、図9に示すように、電子タグ送出部23で、折り位置10pと第1ベルト21Bとの直交方向XDの間隔D1が、折り位置10pと電子タグ10における第2ベルト22B側の先端との直交方向XDの間隔D2よりも長くなるように、電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに供給してもよい。この場合、粘着不能化部分12が倒れても第1ベルト21Bに接触することはない。
【0040】
図示例では、第1ベルト21Bの電子タグ10貼付面と第2ベルト22Bの電子タグ10貼付面はほぼ同一平面をなしているが、角度を有していてもよい。
【0041】
電子タグ10を移動させる手段は、少なくとも折り曲げ開始位置P1から所定距離離れた折り曲げ完了位置P2まで移動する第1移動部と、第1移動部に対して第1移動部の移動方向と直交する直交方向XDに隣接し、少なくとも折り曲げ開始位置P1から折り曲げ完了位置P2まで第1移動部とともに、かつ第1移動部に対する間隔を縮小しつつ移動する、第2移動部とを有する限り、図示例のように移動するエンドレスベルト(移動部に相当する)を有するベルトコンベヤに限られない。例えば、図示例のベルトコンベヤに代えて、プレートコンベヤを用いることもできる。また、電子タグ10が貼り付けられる移動部が、折り曲げ開始位置P1及び折り曲げ完了位置P2との間で往復運動するだけもよいし、電子タグ10が貼り付けられる移動部が、折り曲げ開始位置P1及び折り曲げ完了位置P2を通り、回転移動するものであってもよい。
【0042】
本電子タグ供給装置20では、一枚の電子タグ10の折り曲げが完了する前に、電子タグ送出部23から次の電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに供給する連続処理としてもよいし、一枚の電子タグ10の折り曲げが完了してから、又はその折り曲げ完了後の電子タグ10が第1ベルト21B及び第2ベルト22Bから剥がし取られてから、電子タグ送出部23から次の電子タグ10を第1ベルト21B及び第2ベルト22Bに供給するバッチ処理としてもよい。
【0043】
折り曲げた電子タグ10は、作業員が手作業で第1ベルト21B等から剥がし取り、対象物50に貼付してもよいが、自動化の観点からロボット40等の貼付機械に受け渡して対象物50に貼付することが望ましい。そこで、次に電子タグ10の貼付装置1の例、及び電子タグ10の受渡機構の例について説明する。
【0044】
<ロボットへの電子タグの受け渡し>
ロボット40は、電子タグ供給装置20から供給される電子タグ10を受け取り、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50に貼付するものであれば特に限定されないが、図示例のように、エンドエフェクタとして空気の吸引により物を保持する吸着部41を有し、第1ベルトコンベヤ21の第1ベルト21B上に貼り付けられた電子タグ10を吸着部41により吸着し、この吸着部41の移動により、電子タグ10をベルトから剥離した後、対象物50に貼付するものであると好ましい。図示例の吸着部41は先端部にラバーカップが取り付けられた管状体であるが、これに限定されず、公知の構造・素材を採用することができる。
【0045】
吸着部41を有するロボット40への電子タグ10の受け渡しは、図13(a)に示すように、第1ベルトコンベヤ21の第1ベルト21B上に張り付けられた電子タグ10表面にロボット40の吸着部41を吸着させた状態で、吸着部41を上昇させることにより、電子タグ10をベルトから剥離することにより行うこともできる(例えば、特開2008-62965号公報参照)。しかし、このような吸着部41の上昇移動により、ベルト上に粘着された電子タグ10を剥離する場合、受け渡しが不確実になるおそれがある。
【0046】
そこで、図13(b)及び図14に示すように、ロボット40の駆動制御により、第1ベルトコンベヤ21の終端における第1ベルト21Bの折り返し開始位置P3よりも前側で、第1ベルト21Bに貼り付けられた電子タグ10に吸着部41を吸着させた後、吸着部41を、折り返し開始位置P3までは電子タグ10を吸着したまま第1ベルト21Bとともに移動させ、折り返し開始位置P3以降は電子タグ10を吸着したまま第1ベルト21Bの移動方向MDの接線方向TDに第1ベルト21Bと同速度で移動させることにより、第1ベルト21Bの折り返しにより第1ベルト21Bから剥離した電子タグ10を吸着部41に受け渡す受渡機構が提案される。この場合、第1ベルト21Bの折り返しにより電子タグ10に働く剥離力を主に利用し、かつ吸着部41が第1ベルト21Bから離れることによる力をほとんど利用せずに、吸着部41で電子タグ10と保持してベルトから剥離することができる。よって、非常に簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力で確実な電子タグ10の受け渡しが可能となる。
【0047】
吸着部41が電子タグ10に吸着した状態では、吸着部41、電子タグ10及び第1ベルト21Bは一体化しているため、吸着部41を駆動源により駆動せずに第1ベルト21Bの移動方向に自由に可能なように支持するだけとし、第1ベルト21Bの移動力を利用して吸着部41を移動させることも可能である。しかし、より確実な動作を可能とするために、ロボット40の駆動により、吸着部41を、折り返し開始位置P3までは電子タグ10を吸着したまま第1ベルト21Bとともに移動させ、折り返し開始位置P3以降は電子タグ10を吸着したまま第1ベルト21Bの移動方向MDの接線方向TDに移動させることが好ましい。
【0048】
電子タグ10に吸着部41を吸着させる時、第1ベルト21B及びこれに貼り付けられた電子タグ10は停止していることが好ましいが、第1ベルト21Bを停止せずに、第1ベルト21Bとともに移動する電子タグ10に吸着部41を吸着させてもよい。
【0049】
一方、前述の電子タグ供給装置20のように、電子タグ10を第1ベルト21Bに貼り付けて搬送する場合、電子タグ10が第1ベルト21Bから剥がれてしまうと搬送に失敗することとなる。このため、前述の電子タグ供給装置20では、第1ベルトコンベヤ21における始端と終端との間に、電子タグ10を第1ベルト21Bに押し付ける、押し付けローラ24が設けられていると好ましい。しかし、この場合、吸着部41への受け渡しに際して、第1ベルト21Bから電子タグ10が剥離しにくくなる。よって、本受渡機構は、このような場合に特に意義を有するものである。
【0050】
本受渡機構は、粘着面11を有する電子タグ10をエンドレスの移動部に貼り付けて搬送するコンベヤから、移動可能に支持された吸着部41へ受け渡すものであれば、上述のような折り曲げ機構を有する電子タグ供給装置20に限定されず、例えば折り曲げずに電子タグ10を搬送するコンベヤから吸着部41に受け渡すことも可能なものである。また、本受渡機構では、吸着部41は移動可能に支持されていれば、支持装置はロボット40でなくてもよく、一定の周期で動くような可動部であってもよい。さらに、本受渡機構の吸着部41は、電子タグ10を商品等の最終的な貼付対象物50に貼り付けずに、他のコンベヤ等の搬送装置や、一時的な貼り付け台や、他の吸着部に貼り付けることもできる。
【0051】
<電子タグへの情報の書き込みと対象物への貼付>
電子タグ10に書き込む情報は、特に限定されないが、例えば商品に貼付する電子タグ10であれば、製品名、製造情報、トラック積載情報、在庫情報、販売情報、ロス情報、配送情報、消費期限情報、消費情報等を書き込むことができる。
【0052】
電子タグ10への情報の書き込みは、本貼付装置1外で行うことも、また本貼付装置1内で行うことも可能である。本貼付装置1外で電子タグ10への情報の書き込みを行う場合には、電子タグ10の製造段階で情報を書き込み、この書き込み済みの電子タグ10を含む電子タグロール23Rを本貼付装置1で使用するほか、本貼付装置1で情報を書き込んでいない電子タグ10を対象物50に貼付した後、本貼付装置1外で、別の自動書き込み装置により、又は携帯型書き込み装置により作業員が、対象物50に貼付された電子タグ10に情報を書き込むことができる。
【0053】
しかし、これらの方法は貼付作業及び書き込み作業の二度手間になる。また、これらの方法は、一定の商品に対して一定の情報を書き込むのには適しているが、例えば小売店等で、種類(大きさ、包装等)、数量等がばらばら(少量多品種)の商品に対して、個別に情報を書き込んだ電子タグ10を貼付するのには適していない。
【0054】
そこで、電子タグ10の貼付装置1内で、電子タグ10への情報の書き込みを行うのは好ましい。例えば、図1及び図2に示すように、電子タグ供給装置20と対象物コンベヤ30との間に、対象物50に関する書き込み情報を電子タグ10に書き込むリーダライタ60を設置し、ロボット40は、図15(a)に示すように、電子タグ供給装置20から供給される電子タグ10を受け取り、図15(b)に示すように、その電子タグ10をリーダライタ60による書き込み可能位置に移動させて一定時間保持し、この間にリーダライタ60はその電子タグ10に対象物50に関する情報を書き込み、しかる後、図15(c)に示すように、ロボット40がその電子タグ10をリーダライタ60から対象物50に移動し、対象物50に貼付することができる。
【0055】
また、図16に示すように、リーダライタ60を吸着部41と一体化し、吸着部41に吸着した電子タグ10への書き込みを可能とすることもできる。この場合、電子タグ10を吸着部41に吸着した後から、対象物50に貼付するまでの適宜の段階(吸着部41の移動中の他、吸着部41を停止した状態でもよい)で、電子タグ10に情報を書き込むことができる。
【0056】
また、図17及び図18に示すように、電子タグ供給装置20内における電子タグ10の搬送経路にリーダライタ60を設置し、ロボット40への受け渡し前に電子タグ10に情報を書き込むこともできる。図17に示す例は、リーダライタ60を、電子タグ送出部23における次に送出される電子タグ10に臨む位置に設けたものであり、図18に示す例は、電子タグ10を受け渡し位置まで搬送する第1ベルトコンベヤ21における電子タグ10に臨む位置に設けた例である。
【0057】
これらは、電子タグ10の貼付装置1内で、対象物50に貼付するまでの過程にある電子タグ10に情報を書き込むものであるが、対象物コンベヤ30上を流れる対象物50に対し電子タグ10を貼付した後、この対象物50の電子タグ10に臨むリーダライタ60により電子タグ10に情報を書き込むことができる。例えば、図19に示すように、電子タグ供給装置20から受け渡された電子タグ10を、対象物コンベヤ30上の対象物50に貼付する第1ロボット40Aと、対象物コンベヤ30上の電子タグ10が貼付された対象物50にリーダライタ60を近接させ、情報の書き込みを行う第2ロボット40Bとを設けることができる。
【0058】
リーダライタ60の設置位置によっては、書き込み対象の電子タグ10の近傍に、次に書き込み対象となる未書き込みの電子タグ10が位置することがある。例えば、図2に示す例の場合、リーダライタ60の位置と、電子タグ供給装置20の電子タグ10の受け渡し位置とが近接しているため、リーダライタ60による書き込み時に、電子タグ供給装置20が次の電子タグ10を受け渡し可能位置に用意してしまうと、いわゆる衝突(1台のリーダライタ60の電磁界の中で,二つ以上の電子タグ10による交信が同時に起こり,その結果としてエラーになるか,又は通信内容を失うこと)が発生したり、リーダライタ60により認識される書き込み対象のタグが、ロボット40により吸着された電子タグ10ではなく、以降の書き込み対象となるべく用意された電子タグ10となるおそれがある。これは、リーダライタ60の通信可能範囲に複数の電子タグ10が存在することによるものである。そこで、図1及び図2に示すように、少なくともリーダライタ60と書き込み対象でない電子タグ10との間を遮蔽する遮蔽体61(マスク)を設け、リーダライタ60の通信方向を所定の書き込み位置(図示例ではリーダライタ60上)に制限するのは好ましい。遮蔽体61は、電波を遮蔽する金属板等の素材を用いて形成することができ、その形状は特に限定されないが、例えばリーダライタ60と所定の書き込み位置との間に孔を有し、所定の書き込み位置の周囲に孔を有しない板又は箔とすることができる。
【0059】
ロボット40としては、少なくとも水平方向の運動と、垂直方向の運動が可能な自由度が2以上のものであればよいが、対象物コンベヤ30上の対象物50の位置が不規則な場合等に対応するために、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びZ軸を中心とする回転方向の運動が可能なように自由度が4以上のロボット40が好適である。ロボット40としては、図示例のようなパラレルリンクロボット40だけでなく、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット等、公知の産業用ロボットを用いることができる。
【0060】
また、本電子タグ10の貼付装置1により、複数種の貼付対象物50に対して、自動で、個別に情報を書き込んだ電子タグ10を貼付可能にするのも好ましい。具体的には、図1に示すように、対象物コンベヤ30における、ロボット40の貼付可能範囲よりも上流側に、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50の外観に表示された識別情報を光学的に読み取る、光学的読取装置70を設ける。また、識別情報と、それに対応する対象物50に関する書き込み情報とが関連付けて記憶された記憶部80を設け、光学的読取装置70により識別情報を読み取ったとき、その識別情報に対応する書き込み情報を記憶部80から読み出し、リーダライタ60により、対象物50に貼付するまでの過程にある電子タグ10に書き込む、制御部90を設ける。これにより、光学的読取装置70の読み取り結果に基づいて制御部90が対象物50を逐次自動認識し、予め関連付けられた対応する書き込み情報を電子タグ10に書き込むことができるため、複数種の対象物50を順不同、間隔不同で対象物コンベヤ30に載せたとしても、自動的に適切な情報が書き込まれた電子タグ10を貼付することができる。例えば、小売店で電子タグ10を貼付する場合、種類(大きさ、包装等)、数量等がばらばら(少量多品種)の入荷商品を、作業員が順番や間隔を意識せずに順次対象物コンベヤ30に載せるだけで、商品(対象物50)に対して、個別に情報を書き込んだ電子タグ10を貼付することができるようになる。
【0061】
本電子タグ10の貼付装置1により、複数種の貼付対象物50に対して、自動で、個別に情報を書き込んだ電子タグ10を貼付する場合、制御部90は、光学的読取装置70により識別情報を読み取ったとき、ロボット40を制御し、ロボット40に、電子タグ供給装置20から供給された電子タグ10を受け取らせた後、その電子タグ10をリーダライタ60に近接させて、書き込みを行った後、対象物50に貼付させることが好ましい。このように、貼り付けの直前で電子タグ10に情報を書き込むことにより、無駄な書き込みを抑制することができ、効率の良い情報の書き込み及び貼り付けを行うことができる。
【0062】
光学的読取装置70は、対象物50の識別情報に応じて適宜定めることができる。例えば、対象物50の識別情報としてバーコードや二次元コードを用いる場合、コードリーダを用いることができる。また、対象物50の識別情報が、特に外観に現れた形状や色、模様、商品名等の文字等である場合にはCCDカメラ等の撮像装置を用いることができる。後者の場合には、光学的読取装置70は撮像情報をそのまま制御部90に送信し、制御部90が画像認識プログラムを実行して撮像情報から識別情報を認識することができる。制御部90は、パーソナルコンピュータ等の公知の産業用制御装置を用いることができる。記憶部80は、制御部90に内蔵又は外付けされたハードディスク等の記憶装置とする他、ローカルネットワークやインターネットを介して接続されたネットワークアクセスストレージ、クラウドストレージ等とすることができる。
【0063】
他の例としては、記憶部80に記憶された対象物50を選択する入力装置81を備え、制御部90は、入力装置81により選択された対象物50に関する書き込み情報を、記憶部80から読み出し、その書き込み情報を、入力装置81による新たな対象物50の選択がなされるまで変更せずに、順次、電子タグ10への書き込みを行うものも提案する。この場合、作業員が入力装置81を用いて対象物50を選択することにより、同一の対象物50を複数個連続して処理することができるため、ある程度まとまった量の対象物50を処理するのであれば、十分に効率よく電子タグ10への情報の書き込みと貼付を行うことができる(半自動)。また、商品を自動認識する場合と比較して、制御が簡素となり、対象物50の誤認識のおそれもないものとなる。入力装置81は、キーボードやマウス、又は専用のスイッチとすることができる。作業員が対象物50を選択するために、記憶部80に記憶された対象物50を特定するための情報(例えば商品名等の対象物50の識別情報)を表示する表示装置82を備えているのも好ましい。この場合、入力装置81と表示装置82とが一体化されたタッチパネルを備え、表示装置82に表示された対象物50を特定するための情報をタッチすることにより対象物50の選択入力を行うようになっていると特に好ましい。また、図示しないが、制御部90に対して、表示装置82及び入力装置81を有するスマートフォン等の携帯端末を、制御部90に対してネットワークや近距離無線通信、又は有線通信により接続可能とし、この携帯端末の表示装置82及び入力装置81を利用して、対象物50の選択を行うように構成することもできる。
【0064】
これらの例において、図示例のような4以上の自由度のロボット40を用い、電子タグ10を対象物50の指定貼付位置(向きを含む)に貼り付けるのは好ましい。これにより、例えば、対象物50に応じて、商品に影響しにくい位置や、通信品質が低下しにくい位置に、電子タグ10を貼付することができる。また、作業員が対象物コンベヤ30上の対象物50の位置(向きを含む)を意識せずに、対象物コンベヤ30上に対象物50を不規則に載せたとしても、対象物50の指定貼付位置に電子タグ10を貼付することができる。
【0065】
具体的には、対象物コンベヤ30における、ロボット40の貼付可能範囲よりも上流側に、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物を撮像する撮像装置(前述の光学的読取装置70と兼用することができる)を設け、記憶部80には、識別情報と、この識別情報に対応する対象物50に関する書き込み情報と、識別情報に対応する対象物50における指定貼付位置とを関連付けて記憶させる。そして、制御部90は、撮像装置による撮像情報に基づき、対象物50の識別情報及び向きを検知し、その識別情報に対応する書き込み情報を記憶部80から読み出し、電子タグ10への書き込みを行うとともに、識別情報に対応する対象物50における指定貼付位置を読み出し、この指定貼付位置と対象物50の向きとに基づいて、ロボット40に、電子タグ10を、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50における指定貼付位置に貼付させる。なお、対象物コンベヤ30上における対象物50の位置情報のうち、搬送方向における位置座標は、撮像装置による撮像タイミングと、対象物コンベヤ30の搬送速度とに基づいて算出することができ、搬送方向と直交する方向の位置座標と、向きとは撮像装置による撮像情報から画像認識により求めることができる。よって、制御部90は、適宜の間隔で対象物50の位置情報を求めるとともに、予め設定されたロボット40による貼付可能範囲と比較することで、対象物50がロボット40による貼付可能範囲に入ったときに、対象物50における指定貼付位置に電子タグ10を貼付することができる。
【0066】
また、このように電子タグ10を対象物50の指定貼付位置に貼付するためには、電子タグ供給装置20からロボット40への受け渡しが確実であることが前提となるため、前述の受渡機構を採用することが望ましい。
【0067】
<その他>
上記例の受渡機構は、電子タグ10に限られず、例えばバーコード等の一次元コードや二次元コードが印刷されたラベル等、粘着部を有するラベルであれば特に限定なく適用可能であることはいうまでもない。したがって、上記説明中の電子タグをラベルに読み替えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、粘着部を有する電子タグ等のラベルを機械的に受け渡すのに利用できるものである。
【符号の説明】
【0069】
1…貼付装置、10…電子タグ、10a,10i…インレット、10a…アンテナ、10c…切り込み部、10i…ICチップ、10m…易折り曲げ加工、10p…折り位置、10u…迫り上がり部分、11…粘着面、12…粘着不能化部分、13…残粘着部分、15…電子タグシート、16…剥離シート、20…電子タグ供給装置、21…第1ベルトコンベヤ、21B…第1ベルト、22…第2ベルトコンベヤ、22B…第2ベルト、23…電子タグ送出部、23P…剥離プレート、23R…電子タグロール、23W…巻取軸、24…押し付けローラ、25…逆折れ防止手段、26…加圧ローラ、27…仕上げローラ、28…立ち上げ手段、30…対象物コンベヤ、40…ロボット、41…吸着部、50…対象物、60…リーダライタ、61…遮蔽体、70…光学的読取装置、80…記憶部、81…入力装置、82…表示装置、90…制御部、P1…折り曲げ開始位置、P2…折り曲げ完了位置、P3…折り返し開始位置、XD…直交方向、TD…接線方向。
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