(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】搬送装置、実装装置、搬送方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221025BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H05K13/02 U
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2018091043
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐太
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-043793(JP,A)
【文献】特開2014-157973(JP,A)
【文献】特開2008-060450(JP,A)
【文献】特開2007-173553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置であって、
基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を記憶する記憶部と、
前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするカウンタと、
カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信する制御部と、
前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるストッパと
、
前記所定のバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記ストッパの手前で検知する固定式のセンサと、
前記所定のバッファで複数の基板のうち後続の基板を1つ前の基板の後端手前で検知する移動式のセンサとを備え、
前記制御部は、前記固定式のセンサで先頭の基板が検知されたときに前記ストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記移動式のセンサで後続の基板が検知されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記移動式のセンサは、基板に対して部品を実装する実装ヘッドに設けられた高さセンサであることを特徴とする請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置であって、
基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を記憶する記憶部と、
前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするカウンタと、
カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信する制御部と、
前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるストッパとを備え
、
前記1以上のバッファは、前記所定のバッファとしてのセンタバッファ、前記センタバッファの上流側のインバッファ、前記センタバッファの下流側のアウトバッファであり、
前記インバッファ及び前記アウトバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させる他のストッパと、
前記インバッファ及び前記アウトバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記他のストッパの手前で検知するセンサと、
前記上流装置から前記インバッファへの基板の搬入を検知する搬入センサ及び前記センタバッファから前記アウトバッファへの基板の搬出を検知する搬出センサとを備え、
前記制御部は、前記他のストッパの手前で検知するセンサで先頭の基板が検知されたときに前記他のストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記搬入センサ及び前記搬出センサで後続の基板の検知が解除されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
前記搬入センサは前記カウンタであり、前記上流装置から前記インバッファに基板が搬入される度に基板を検知して搬入枚数をカウントすることを特徴とする請求項
3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アウトバッファの搬送速度を下流装置の搬送速度よりも低速にすることを特徴とする請求項
3又は請求項
4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記上流装置からの搬出要求信号が途切れたときは、カウント数が上限数に達する前に搬出許可信号の送信を停止することを特徴とする請求項1
から請求項5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送装置は複数のバッファを前記搬送路上に設けると共に、
前記制御部は、上流側のバッファで複数の基板を待機させた後に、下流側のバッファに基板を搬送する際、上流側のバッファの搬送速度を下流側のバッファの搬送速度よりも低速にすることを特徴とする請求項1から請求項
6のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれかに記載の搬送装置と、
前記所定のバッファで待機した複数の基板に部品を実装する実装ヘッドとを備えたことを特徴とする実装装置。
【請求項9】
前記実装ヘッドは、前記所定のバッファで待機可能な上限数だけ基板を搬送方向に繋げた複数の基板の生産プログラムに基づいて部品を実装しており、
カウント数が上限数に満たない場合には、生産プログラムにおいてカウント数の不足分だけ搬送方向の上流側の基板に対する実装処理をスキップすることを特徴とする請求項
8に記載の実装装置。
【請求項10】
上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置の搬送方法であって、
記憶部によって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を
記憶するステップと、
カウンタによって、前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするステップと
、
制御部によって、カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信するステップと、
ストッパによって、前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるステップと、
固定式のセンサによって、前記所定のバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記ストッパの手前で検知するステップと、
移動式のセンサによって、前記所定のバッファで複数の基板のうち後続の基板を1つ前の基板の後端手前で検知するステップと、
前記制御部によって、前記固定式のセンサで先頭の基板が検知されたときに前記ストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記移動式のセンサで後続の基板が検知されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御するステップ、を備えることを特徴とする搬送方法。
【請求項11】
上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置の搬送方法であって、
記憶部によって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を
記憶するステップと、
カウンタによって、前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするステップと
、
制御部によって、カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信するステップと、
ストッパによって、前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるステップと、
前記1以上のバッファは、前記所定のバッファとしてのセンタバッファ、前記センタバッファの上流側のインバッファ、前記センタバッファの下流側のアウトバッファであり、
他のストッパによって、前記インバッファ及び前記アウトバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるステップと、
他のストッパの手前のセンサによって、前記インバッファ及び前記アウトバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記他のストッパの手前で検知するステップと、
搬入センサによって、前記上流装置から前記インバッファへの基板の搬入を検知するステップ、及び、搬出センサによって、前記センタバッファから前記アウトバッファへの基板の搬出を検知するステップとを備え、
前記制御部によって、前記他のストッパの手前のセンサで先頭の基板が検知されたときに前記他のストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記搬入センサ及び前記搬出センサで後続の基板の検知が解除されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御するステップ、
を備えることを特徴とする搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置、実装装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装装置として、インバッファ、センタバッファ、アウトバッファからなる複数のバッファを設けた搬送装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の搬送装置は、いわゆる3バッファの搬送装置であり、バッファ毎に搬送ベルトとモータが設けられている。インバッファでは基板が待機され、インバッファからセンタバッファに基板が搬送されると、基板がクランプされて部品が実装される。実装完了後に基板のクランプが解除されて、センタバッファからアウトバッファに基板が搬送され、アウトバッファにて次工程に搬出されるまで基板が待機される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の3バッファの搬送装置では、基板サイズに関わらず、各バッファに1枚ずつしか基板を搬入することができない。このため、バッファに対して基板サイズが小さな短尺基板であっても、1枚ずつ処理しなければならならず処理効率が低いという問題があった。
【0005】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、1つのバッファに複数の基板を搬入してタクトアップを実現することができる搬送装置、実装装置及び搬送方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の搬送装置は、上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置であって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を記憶する記憶部と、前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするカウンタと、カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信する制御部と、前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるストッパと、前記所定のバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記ストッパの手前で検知する固定式のセンサと、前記所定のバッファで複数の基板のうち後続の基板を1つ前の基板の後端手前で検知する移動式のセンサとを備え、前記制御部は、前記固定式のセンサで先頭の基板が検知されたときに前記ストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記移動式のセンサで後続の基板が検知されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する、ことを特徴とする。また、本開示の一態様の搬送装置は、上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置であって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を記憶する記憶部と、前記上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするカウンタと、カウント数が上限数に達するまで前記上流装置に搬出許可信号を送信する制御部と、前記所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるストッパとを備え、前記1以上のバッファは、前記所定のバッファとしてのセンタバッファ、前記センタバッファの上流側のインバッファ、前記センタバッファの下流側のアウトバッファであり、前記インバッファ及び前記アウトバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させる他のストッパと、前記インバッファ及び前記アウトバッファで複数の基板のうち先頭の基板を前記他のストッパの手前で検知するセンサと、前記上流装置から前記インバッファへの基板の搬入を検知する搬入センサ及び前記センタバッファから前記アウトバッファへの基板の搬出を検知する搬出センサとを備え、前記制御部は、前記他のストッパの手前で検知するセンサで先頭の基板が検知されたときに前記他のストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、前記搬入センサ及び前記搬出センサで後続の基板の検知が解除されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板サイズに応じた基板の上限数が決められており、搬送装置から上流装置への搬出許可信号の送信によって、カウント数が上限数に達するまで上流装置から所定のバッファに基板が搬入される。よって、所定のバッファに対して基板サイズが小さな基板については、所定のバッファで搬送方向に連なった状態で複数の基板が待機されるため、所定のバッファで複数の基板をまとめて処理してタクトアップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本実施の形態の搬送装置への搬入動作の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態のセンタバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
【
図6】本実施の形態のインバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
【
図7】本実施の形態のアウトバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
【
図8】本実施の形態のセンタバッファでの実装動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の実装装置について説明する。
図1は、本実施の形態の実装装置の模式図である。なお、本実施の形態の実装装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0010】
図1に示すように、実装装置1は、フィーダ15から供給された部品(不図示)を、実装ヘッド23によって基板Wの所定位置に実装するように構成されている。実装装置1の基台10の略中央には、X軸方向に基板Wを搬送する搬送装置40が配設されている。搬送装置40は、X軸方向の一端側から部品実装前の基板Wを実装ヘッド23の下方に搬入して位置決めし、部品実装後の基板WをX軸方向の他端側に搬出している。なお、搬送装置40の詳細については後述する。また、搬送装置40を挟んだ両側には、多数のフィーダ15がX軸方向に横並びに配置されている。
【0011】
フィーダ15にはテープリールが着脱自在に装着され、テープリールには多数の部品をパッケージングしたキャリアテープ(不図示)が巻回されている。各フィーダ15は、装置内のスプロケットホイールの回転によって、実装ヘッド23にピックアップされる供給位置に向けて順番に部品を送り出している。実装ヘッド23の供給位置では、キャリアテープから表面のカバーテープが剥離され、キャリアテープのポケット内の部品が外部に露出される。なお、本実施の形態では、フィーダ15としてテープフィーダを例示したが、他のフィーダを備えていてもよい。
【0012】
基台10上には、実装ヘッド23をX軸方向及びY軸方向に移動させるXY移動部20が設けられている。XY移動部20は、Y軸方向に平行に延びる一対のY軸移動部21と、X軸方向に平行に延びるX軸移動部22とを有している。一対のY軸移動部21は基台10の四隅に立設された支持部(不図示)に支持されており、X軸移動部22は一対のY軸移動部21上にY軸方向に移動可能に設置されている。X軸移動部22上には、実装ヘッド23がX軸方向に移動可能に設置されている。X軸移動部22とY軸移動部21によって実装ヘッド23が水平移動されてフィーダ15から基板Wの所望の位置に部品が搬送される。
【0013】
実装ヘッド23は、ノズル24を備えた複数(本実施の形態では3つ)のヘッド部25を有している。ヘッド部25は、Z軸モータ(不図示)によってノズル24をZ軸方向に上下動すると共に、θモータ(不図示)によってノズル24をZ軸回りに回転する。各ノズル24は吸引源(不図示)に接続されており、吸引源からの吸引力によって部品を吸着保持する。なお、実装ヘッド23のノズル24は、上記の吸引ノズルに限定されず、フィーダ15から部品を取り出して基板Wに搭載可能であればよく、例えばグリッパーノズルで構成されていてもよい。
【0014】
実装ヘッド23には、基板Wからの高さを検出する高さセンサ26や、ノズル24で保持した部品を認識する部品認識部(不図示)が設けられている。高さセンサ26は、検査光の反射によって基板Wからノズル24までの距離を検出し、検出結果に基づいてノズル24の上下方向の移動量を制御している。部品認識部は、水平方向に対向した発光部と受光部で、発光部からの光が部品で遮光された遮光状態から部品形状や吸着ミスを認識している。なお、部品認識部では、発光部から受光部に向かってLED光が発光されてもよいし、発光部から受光部に向かってレーザー光が発光されてもよい。
【0015】
また、実装ヘッド23には、基板W上のマークを真上から撮像する基板撮像部27と、ノズル24による部品の搭載動作を撮像する部品撮像部28とが設けられている。基板撮像部27は基板W上のマークを真上から撮像しており、マークの上面画像によって基板Wに座標系が設定されると共に基板Wの位置や反り等が認識される。部品撮像部28は、フィーダ15に対する部品の吸着前後を撮像する他、基板Wに対する部品の搭載前後を撮像している。これら部品画像によってノズル24による部品の吸着有無が検査されると共に、基板Wにおける部品の搭載有無が検査される。
【0016】
実装装置1の基台10上には、ノズル24に吸着された部品を真下から撮像する下面撮像部31が設けられている。下面撮像部31は、実装ヘッド23による搬送中の部品を撮像して、撮像画像に応じて部品の傾きや高さ等を認識している。また、実装装置1の基台10上には、各種部品に応じて複数種類のノズル24が用意された自動交換機(ATC: Automatic Tool Changer)32が設けられている。実装ヘッド23が自動交換機32まで移動することで、実装ヘッド23が装着中のノズル24を取り外して新たなノズル24に着け替えることが可能になっている。
【0017】
また、実装装置1には、装置各部を統括制御する制御部35が設けられている。制御部35は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等によって構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成されている。メモリには、実装装置1全体の制御プログラムの他、搬送装置40に後述する搬送方法を実行させるプログラム等が記憶されている。制御部35によって搬送装置40や実装ヘッド23が駆動されて、基板Wに対する部品の実装動作が制御される。
【0018】
図2を参照して、搬送装置について説明する。
図2は、本実施の形態の搬送装置の模式図である。
図3は、比較例の搬送動作の一例を示す図である。なお、本実施の形態の搬送装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0019】
図2に示すように、搬送装置40は、搬送方向に並んだ複数(本実施の形態では3つ)の搬送体41からなり、搬送体41毎に上流装置から搬入された一時的に基板Wを待機させるバッファが設けられている。搬送装置40のX軸方向の一端側は基板Wの搬入口45になっており、搬入口45を通じて他の実装装置や検査装置等の上流装置(不図示)から基板Wが搬入される。搬送装置40のX軸方向の他端側は基板Wの搬出口46になっており、搬出口46を通じて他の実装装置やリフロー炉等の下流装置(不図示)に部品実装後の基板Wが搬出される。
【0020】
各搬送体41のバッファは、センタバッファB2、インバッファB1、アウトバッファB3で構成されている。センタバッファB2は、基板Wをクランプした状態で待機させ、基板Wに対して実装ヘッド23(
図1参照)で部品を実装するエリアである。インバッファB1は、センタバッファB2の上流側に設けられ、センタバッファB2で部品の実装が完了するまで次の基板Wを待機させるエリアである。アウトバッファB3は、センタバッファB2の下流側に設けられ、センタバッファB2で部品が実装された基板Wを下流工程への搬出が可能になるまで待機させるエリアである。
【0021】
各搬送体41は、Y軸方向に並んだ左右一対の搬送ベルト42を、X軸方向に離間した駆動プーリ43及び従動プーリ44に巻き掛けて構成されている。各搬送体41の駆動プーリ43にはモータ(不図示)が連結されており、モータによって駆動プーリ43が回転されることで、一対の搬送ベルト42上の基板WがX軸方向に搬送される。搬送体41毎にバッファが設定されており、バッファ毎に基板Wを個別に搬送制御することが可能になっている。なお、本実施の形態では、1つの搬送体41に1つのバッファの領域が設定されているが、1以上の搬送体41に1つのバッファの領域が設定されていてもよい。
【0022】
搬送装置40には、インバッファB1で基板Wの搬送を規制するウェイトストッパT1、センタバッファB2で基板Wの搬送を規制するセンタストッパT2、アウトバッファB3で基板Wの搬送を規制するアウトストッパT3が、それぞれ、1対の搬送ベルト42の間に設けられている。各ストッパT1-T3は各バッファB1-B3で搬送ベルト42の搬送面に対して出没可能に設けられている。例えば、各ストッパT1-T3にはそれぞれエアシリンダ等の昇降機構(不図示)が連結されており、昇降機構によって搬送ベルト42の搬送面から退避する退避位置と搬送ベルト42の搬送面から突出する突出位置の間で各ストッパT1-T3が昇降される。
【0023】
また、搬送装置40には、各ストッパT1-T3の手前で各バッファB1-B3内の基板Wを検知するウェイトセンサS1、ストップセンサS2、アウトセンサS3が設けられている。各センサS1-S3で各バッファB1-B3内の基板Wが検知されると、基板Wの搬送速度を落とすようにモータが制御されて各搬送体41で予備送り動作が開始される。各搬送体41で予備送り動作が実施されることで、各ストッパT1-T3に対して基板Wが高速状態で衝突することがなく、衝突の衝撃による基板Wの破損や基板W上の部品ズレが防止される。
【0024】
さらに、搬送装置40には、各ストッパT1-T3の奥で各バッファB1-B3から搬出される基板Wを検知するIアウトセンサS4、CアウトセンサS5、OアウトセンサS6が設けられている。搬送装置40の搬入口45には、インバッファB1に搬入される基板Wを検知するインセンサとして機能するカウンタ50が設けられている。各センサS1-S6、カウンタ50は、出射部から出射した検出光を受光部で受光するように構成され、出射部から検出光を照射したときの受光部の受光状態に基づいて、搬送ベルト42で搬送される基板Wを光学的に検知している。
【0025】
搬送装置40には、一対の搬送ベルト42の内側において、センタバッファB2で基板Wをクランプするクランプ部47が設けられている。クランプ部47には、基板Wを下方から突き上げる一対の突き上げ板48と、突き上げられた基板Wを上方から抑える一対の抑え板49とが設けられている。一対の突き上げ板48にはエアシリンダ等の昇降機構(不図示)が連結されており、昇降機構によって搬送路から基板Wを浮かせるクランプ位置とクランプ位置よりも低い解除位置の間で突き上げ板48が昇降される。クランプ部47では、突き上げ板48と抑え板49で上下方向から基板Wが挟み込まれることでクランプされる。
【0026】
ところで、
図3に示すように、通常の搬送装置では、基板サイズに関わらず各バッファB1-B3に対して1枚ずつしか基板を待機させることができない。基板サイズが小さな短尺基板Waであっても、センタバッファB2に1枚の短尺基板Waしか搬入できず、短尺基板Waを1枚ずつ生産しなければならない。特に、1枚に1点しか実装されない部品の場合には、1点の部品の実装のために基板毎に実装ヘッド23(
図1参照)を往復移動させなければならない。また、1部品でしか使用しないノズル24(
図1参照)に交換する場合には、基板毎にノズル24の交換時間が発生してしまう。
【0027】
そこで、本実施の形態では、各バッファB1-B3に対して複数の短尺基板Waを同時に搬入して、センタバッファB2で複数の短尺基板Waを並べて待機させて、複数の短尺基板Waを1つの長尺基板と見做して部品を実装する。これにより、センタバッファB2で複数の短尺基板Waをまとめて生産してタクトアップを実現している。特に、1枚に1点しか実装しない部品でも、複数の部品をまとめて複数の短尺基板Waに実装して移動時間を短縮できる。1部品でしか使用しないノズル24に交換する場合でも、一度のノズル交換で複数の短尺基板Waに実装してノズル24の交換時間を短縮できる。
【0028】
以下、
図4から
図8を参照して、本実施の形態の搬送動作及び実装動作について説明する。
図4は、本実施の形態の搬送装置への搬入動作の一例を示す図である。
図5は、本実施の形態のセンタバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
図6は、本実施の形態のインバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
図7は、本実施の形態のアウトバッファでの搬送動作の一例を示す図である。
図8は、本実施の形態のセンタバッファでの実装動作の一例を示す図である。なお、ここでは短尺基板を搬送する構成を説明するが、通常サイズの基板を搬送することも可能である。
【0029】
図4Aに示すように、搬送装置40には、上流装置55から搬入された短尺基板Waを一時的に待機させる3つのバッファB1-B3が搬送路上に設定されている。また、搬送装置40には、基板サイズに応じてセンタバッファB2で待機可能な短尺基板Waの上限数を記憶する記憶部37が設けられている。記憶部37には、予め短尺基板Waの基板サイズに基づいて算出された短尺基板Waの上限数が記憶されている。短尺基板Waの上限数は基板サイズとしての搬送方向の長さ寸法に基づいて算出され、例えば、通常基板の略1/3の長さ寸法の短尺基板Waの場合には上限数として「3」が記憶部37に記憶される。
【0030】
また、搬送装置40には、上記したようにインセンサとして機能するカウンタ50が設けられている。カウンタ50は、上流装置55から短尺基板Waが搬入される度に、カウント数をインクリメントしてインバッファB1への基板Wの搬入枚数をカウントしている。制御部35は装置各部の駆動を制御する他、上流装置55と通信することで上流装置55からの短尺基板Waの搬入枚数を制限している。制御部35は、上流装置55からのBoard Available IN Signal等の搬出要求信号を受けて、Ready IN Signal等の搬出許可信号を上流装置55に返すことで上流装置55から短尺基板Waを受け入れている。
【0031】
この場合、制御部35は、カウンタ50からカウント数を取得すると共に、記憶部37から短尺基板Waの上限数を所得して、カウント数が上限数に達するまで上流装置55に向けて搬出許可信号を送信している。上流装置55からの搬出要求信号が途切れたときは、カウント数が上限数に達する前であっても、搬出要求信号の応答信号である搬出許可信号が上流装置55に返信されることがない。すなわち、カウント数が上限数に達するまで、又は上流装置55からの搬出要求信号が途切れるまでは、搬出許可信号が送信され続けて上流装置55から搬送装置40への短尺基板Waの搬出が許可される。
【0032】
このように構成された搬送装置40では、上流装置55から搬出要求信号を受信すると、上流装置55に向けて搬出許可信号が送信される。このとき、センタストッパT2が搬送ベルト42から突出され、ウェイトストッパT1、アウトストッパT3(
図2参照)は搬送ベルト42の下方に位置付けられている。上流装置55が制御部35からの搬出許可信号を受信すると、上流装置55から搬送装置40に向けて短尺基板Waが搬出される。短尺基板Waがカウンタ50を通過すると、カウンタ50のカウント数がインクリメントされて、制御部35にてカウンタ50のカウント数と記憶部37に記憶された上限数とが比較される。
【0033】
図4Bに示すように、カウント数が上限数に満たない場合には、再び制御部35から上流装置55に搬出許可信号が送信されて、上流装置55から搬送装置40に向けて短尺基板Waが搬出される。カウンタ50のカウント数がインクリメントされて、制御部35にてカウンタ50のカウント数と記憶部37に記憶された上限数とが比較される。そして、カウント数が上限数に達するまで、上流装置55の搬出動作が繰り返されて計3枚の短尺基板WaがセンタバッファB2に向けて搬送される。このようにして、上流装置55からセンタバッファB2に向けて、基板サイズに応じた上限数だけ短尺基板Waが送り出されている。
【0034】
一方で、
図4Cに示すように、カウント数が上限数に達した場合には、カウンタ50のカウント数がリセットされると共に、制御部35から上流装置55への搬出許可信号の送信が停止される。搬出許可信号の送信が停止されることで、センタバッファB2の許容枚数を超える短尺基板Waが送り出されることがない。なお、上流装置55から制御部35への搬出要求信号が途切れたときには、カウント数が上限数に達する前であっても、制御部35から上流装置55への搬出許可信号の送信が停止される。これにより、上限数に満たない数の短尺基板Waに対しても実装処理を実施することができる。
【0035】
図5Aに示すように、センタバッファB2に複数の短尺基板Waが搬入されると、先頭の短尺基板WaがセンタストッパT2の手前でストップセンサS2によって検知される。ストップセンサS2で短尺基板Waが検知されると、制御部35によって通常搬送から予備送り動作に切り換えられてセンタバッファB2で搬送速度が落とされる。先頭の短尺基板WaがセンタストッパT2に接触する所定距離L1だけ予備送りされ、先頭の短尺基板WaがセンタストッパT2に低速状態で接触する。先頭の短尺基板Waが所定距離L1だけ予備送りされると、予備送り動作から通常搬送に切り換えられて搬送速度が戻される。
【0036】
図5Bに示すように、センタバッファB2の上方に実装ヘッド23が位置付けられており、実装ヘッド23の高さセンサ26によって先頭から2番目の短尺基板Waが検知される。このとき、高さセンサ26の検知位置は、ストップセンサS2とセンタストッパT2の所定距離L1と同じ距離だけ、先頭の短尺基板Waの後端から搬送方向に離れた位置に設定されている。高さセンサ26の下方を2番目の短尺基板Waが通過すると、短尺基板Waの厚み分だけ高さセンサ26の計測値が変化して、この計測値の変化から先頭から2番目の短尺基板Waが検知される。
【0037】
高さセンサ26で短尺基板Waが検知されると、制御部35によって通常搬送から予備送り動作に切り換えられてセンタバッファB2で搬送速度が落とされる。2番目の短尺基板Waが先頭の短尺基板Waに接触する所定距離L1だけ予備送りされ、2番目の短尺基板Waが先頭の短尺基板Waの後端に低速状態で接触する。これにより、センタストッパT2によって基板搬送が規制されて、2枚の短尺基板WaがセンタバッファB2で搬送方向に連なって待機される。2番目の短尺基板Waが所定距離L1だけ予備送りされると、予備送り動作から通常搬送に切り換えられて搬送速度が戻される。
【0038】
図5Cに示すように、実装ヘッド23が後方に移動して、実装ヘッド23の高さセンサ26によって先頭から3番目の短尺基板Waが検知される。このとき、高さセンサ26の検知位置は、ストップセンサS2とセンタストッパT2の所定距離L1と同じ距離だけ、2番目の短尺基板Waの後端から搬送方向に離れた位置に設定されている。高さセンサ26で短尺基板Waが検知されると、制御部35によって通常搬送から低速の予備送り動作に切り換えられる。3番目の短尺基板Waが2番目の短尺基板Waに低速状態で接触することで、3枚の短尺基板WaがセンタバッファB2で搬送方向に連なって待機される。
【0039】
このように、ストップセンサS2で先頭の短尺基板WaがセンタストッパT2の手前で検知され、実装ヘッド23の高さセンサ26で後続の短尺基板Waが1つ前の短尺基板Waの後端手前で検知される。そして、通常搬送と予備送り動作の切り替えが繰り返されて、センタストッパT2に短尺基板Waが接触するまで搬送速度が落とされ、1つ前の短尺基板Waに後続の短尺基板Waが接触するまで搬送速度が落とされる。よって、先頭の短尺基板WaとセンタストッパT2の高速状態の衝突、基板同士の高速状態の衝突を抑えて、衝突による基板の破損や基板上の部品ズレが抑えられている。
【0040】
図6Aに示すように、センタバッファB2で複数の短尺基板Waが突き上げ板48によって下方から同時に突き上げられ、抑え板49によって複数の短尺基板Waが上方から抑えられることでクランプされる。複数の短尺基板Waがクランプされると、複数の短尺基板Waを1つの長尺基板と見做して実装ヘッド23によって部品が実装される。この部品の実装動作中にはインバッファB1で搬送ベルト42からウェイトストッパT1が突出され、上流装置55から制御部35への搬出要求信号に応じて制御部35から上流装置55に搬出許可信号が送信される。
【0041】
インバッファB1に先頭の短尺基板Waが搬入されると、カウンタ50で短尺基板Waがカウントされ、ウェイトストッパT1の手前でウェイトセンサS1によって先頭の短尺基板Waが検知される。ウェイトセンサS1で短尺基板Waが検知されると、制御部35によって通常搬送から予備送り動作に切り換えられてインバッファB1で搬送速度が落とされる。先頭の短尺基板WaがウェイトセンサS1に接触する所定距離L1だけ予備送りされ、先頭の短尺基板WaがウェイトストッパT1に低速状態で接触する。先頭の短尺基板Waが所定距離L1だけ予備送りされると、予備送り動作から通常搬送に切り換えられて搬送速度が戻される。
【0042】
図6Bに示すように、センタバッファB2で短尺基板Waの実装動作に実装ヘッド23が使用されているため、インバッファB1では実装ヘッド23の高さセンサ26の代わりにカウンタ50で2番目以降の短尺基板Waを検知している。すなわち、カウンタ50がインバッファB1への短尺基板Waの搬入を検知する搬入センサとして機能しており、カウンタ50で「2」がカウントされることで先頭から2番目の短尺基板Waが検知される。また、カウンタ50の下方を短尺基板Waの後端を通過すると、カウンタ50による短尺基板Waの検知が解除される。
【0043】
カウンタ50の下方を短尺基板Waが完全に通過して、カウンタ50による短尺基板Waの検知が解除されると、制御部35によって通常搬送から低速の予備送り動作に切り換えられる。2番目の短尺基板Waが先頭の短尺基板Waに接触する所定距離L2だけ予備送りされ、2番目の短尺基板Waが先頭の短尺基板Waに低速状態で接触する。これにより、2枚の短尺基板WaがインバッファB1で搬送方向に連なって待機される。2番目の短尺基板Waが所定距離L2だけ予備送りされると、予備送り動作から通常搬送に切り換えられて搬送速度が戻される。
【0044】
図6Cに示すように、カウンタ50で「3」がカウントされることで、先頭から3番目の短尺基板Waが検知される。カウンタ50の下方を短尺基板Waが完全に通過して、カウンタ50による短尺基板Waの検知が解除されると、3番目の短尺基板Waが2番目の短尺基板Waに接触する所定距離L3だけ予備送りされる。3番目の短尺基板Waが2番目の短尺基板Waに低速状態で接触して、3枚の短尺基板WaがインバッファB1で搬送方向に連なって待機される。また、カウント数が上限数に達するため、カウンタ50のカウント数がリセットされると共に、制御部35から上流装置55への搬出許可信号の送信が停止される。
【0045】
なお、所定距離L2、L3は、カウンタ50による短尺基板Waのカウント数に基づいて設定される。カウント数が「2」の場合には、カウンタ50の検知位置からウェイトストッパT1までの距離から2枚の短尺基板Waの搬送方向における長さ寸法を引いた長さが所定距離L2として設定される。また、カウント数が「3」の場合には、カウンタ50の検知位置からウェイトストッパT1までの距離から3枚の短尺基板Waの搬送方向における長さ寸法を引いた長さが所定距離L3として設定される。所定距離L2、L3は所定距離L1よりも長く設定されているが、実装動作中の低速搬送であるため、生産タクトに大きく影響することがない。
【0046】
このように、ウェイトセンサS1で先頭の短尺基板WaがウェイトストッパT1の手前で検知され、カウンタ50で後続の短尺基板Waが1つ前の短尺基板Waの後端手前で検知される。そして、通常搬送と予備送り動作の切り替えが繰り返されて、ウェイトストッパT1に短尺基板Waが接触するまで搬送速度が落とされ、1つ前の短尺基板Waに後続の短尺基板Waが接触するまで搬送速度が落とされる。よって、先頭の短尺基板WaとウェイトストッパT1の高速状態の衝突、基板同士の高速状態の衝突を抑えて、衝突による基板の破損や基板上の部品ズレが抑えられている。
【0047】
また、
図6では、実装動作中にインバッファB1に複数の短尺基板Waを搬入する構成を例示して説明したが、センタバッファB2からアウトバッファB3に複数の短尺基板Waを搬出する構成も同様な手順で実施される。この場合には、カウンタ50の代わりにCアウトセンサS5を用いてセンタバッファB2からアウトバッファB3への基板の搬出を検知して、通常搬送と予備送り動作を切り換えて搬送速度を調整している。これにより、先頭の短尺基板WaとアウトストッパT3(
図2参照)の高速状態の衝突、基板同士の高速状態の衝突を抑えて、衝突による基板の破損や基板上の部品ズレが抑えられている。
【0048】
図7Aに示すように、アウトバッファB3ではアウトストッパT3によって基板搬送が規制されて、下流装置への搬出が可能になるまで3枚の短尺基板Waが搬送方向に連なった状態で待機されている。このため、
図7Bに示すように、アウトバッファB3から下流装置に短尺基板Waを搬出する場合には、制御部35によってアウトバッファB3で搬送速度が落とされて、アウトバッファB3の搬送速度が下流装置の搬送速度よりも低速に調整される。これにより、アウトバッファB3と下流装置の搬送速度の速度差によって、アウトバッファB3に連なって待機した短尺基板Waが1枚ずつ搬送される。
【0049】
アウトバッファB3では比較的低い速度(例えば、300[mm/s])で短尺基板Waが搬送され、下流装置の搬送路では比較的高い速度(例えば、400[mm/s])で短尺基板Waが搬送される。これにより、アウトバッファB3で連なっていた基板同士が離れて、下流装置に向けて1枚ずつ短尺基板Waが搬出される。また、OアウトセンサS6によってアウトバッファB3から下流装置に1枚ずつ搬送されたことが検知されている。なお、下流装置が他の実装装置である場合には、アウトバッファB3の搬送速度を変えずに、アウトバッファB3から下流装置に複数の短尺基板Waが連なった状態で搬送されてもよい。
【0050】
図8Aに示すように、実装動作においては、センタバッファB2で待機可能な上限数だけ短尺基板Waを搬送方向に繋げた複数の短尺基板Waの生産プログラムが使用される。この生産プログラムによって搬送方向に連なった複数の短尺基板Waを、複数の単位基板(回路基板)からなる多面取り基板と見做して部品を実装することが可能になっている。複数の短尺基板Waに対してまとめて部品を実装することができ、実装ヘッド23の移動時間やノズル24(
図1参照)の交換時間を短縮してタクトアップを実現することが可能になっている。
【0051】
図8Bに示すように、センタバッファB2の基板数が上限数を下回った場合でも、センタバッファB2に搬入された短尺基板Waに対して部品を実装することができる。カウンタ50(
図2参照)のカウント数が上限数に満たない場合に、生産プログラムにおいてカウント数の不足分だけ搬送方向の上流側の短尺基板Waに対する実装処理がスキップされる。この場合、既存のマーク検出機能やコード認識機能等で基板上のマークやコードを認識できないものをスキップ回路として認識してもよいし、カウンタ50のカウント数の不足分だけ搬送方向の上流側にスキップ回路が存在すると認識してもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態の搬送装置40では、基板サイズに応じた基板Wの上限数が決められており、搬送装置40から上流装置55への搬出許可信号の送信によって、カウント数が上限数に達するまで上流装置55からセンタバッファB2に基板が搬入される。よって、センタバッファB2に対して基板サイズが小さな短尺基板Waについては、センタバッファB2で搬送方向に連なった状態で複数の短尺基板Waが待機されるため、センタバッファB2で複数の短尺基板Waをまとめて処理してタクトアップを実現することができる。
【0053】
なお、本実施の形態において、本開示の技術を実装装置の搬送装置に適用する構成について説明したが、この構成に限定されない。本開示の技術は、基板を搬送する搬送装置に適用が可能であり、例えば、検査装置の搬送装置に適用することもできる。
【0054】
また、本実施の形態において、1以上のバッファとしてインバッファ、センタバッファ、アウトバッファが設けられた搬送装置について説明したが、この構成に限定されない。搬送装置には、複数の基板に対してまとめて処理される所定のバッファが設けられていればよい。したがって、搬送装置には、センタバッファだけが設けられていてもよいし、インバッファ及びセンタバッファが設けられていてもよいし、センタバッファ及びアウトバッファが設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施の形態において、搬送体が駆動プーリ及び従動プーリに搬送ベルトを巻き掛けて構成されたが、この構成に限定されない。搬送体は、基板を搬送可能であればよく、例えば、ローラコンベアで構成されていてもよい。
【0056】
また、本実施の形態において、固定式のセンサ、他のセンサ、搬出センサとして、光学的に基板を検知するストップセンサ、ウェイトセンサ、アウトセンサ、Iアウトセンサ、Cアウトセンサ、Oアウトセンサを例示したが、この構成に限定されない。各センサは、基板を検知可能な構成であればよく、例えば、接触式のセンサで構成されてもよい。
【0057】
また、本実施の形態において、移動式のセンサとして、実装ヘッドに設けられた高さセンサを例示したが、この構成に限定されない。移動式のセンサは、複数の基板のうち後続の基板を1つ前の基板の後端手前で検知する構成であればよく、実装ヘッドの高さセンサとは別体で設けられていてもよい。
【0058】
また、本実施の形態において、カウンタが搬入センサとして機能する構成にしたが、この構成に限定されない。搬送装置にはカウンタと搬入センサが別体で設けられていてもよい。また、カウンタは、光学的に基板を検知して搬入枚数をカウントする構成に限らず、基板に接触して搬入枚数をカウントしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態において、複数のストッパとして昇降可能なウェイトストッパ、センタストッパ、アウトストッパを説明したが、この構成に限定されない。複数のストッパは搬送路上に出没可能であればよく、例えば、揺動することによって搬送路上に出没する構成でもよい。
【0060】
また、本実施の形態において、各バッファに複数の短尺基板を待機させる構成にしたが、この構成に限定されない。基板サイズに対してバッファサイズが大きければ、各バッファで複数の通常サイズの基板を待機させてもよい。
【0061】
また、本実施の形態において、通常搬送と予備送り動作を切り替える構成にしたが、通常搬送と予備送り動作が切り換えられなくてもよい。
【0062】
また、本実施の形態において、部品は基板に対して実装可能であれば、特に電子部品に限定されない。
【0063】
また、本実施の形態において、基板は、プリント基板に限定されず、治具基板上に載せられたフレキシブル基板であってもよい。
【0064】
また、本実施の形態のプログラムは記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体は、特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0065】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0066】
また、本開示の技術は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0067】
下記に、上記の実施の形態における特徴点を整理する。
上記実施の形態に記載の搬送装置は、上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置であって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を記憶する記憶部と、上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするカウンタと、カウント数が上限数に達するまで上流装置に搬出許可信号を送信する制御部と、所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるストッパ(ウェイトストッパT1、センタストッパT2、アウトストッパT3の少なくとも1つ)と、を備えたことを特徴とする。
【0068】
上記実施の形態に記載の搬送方法は、上流装置から搬入された基板を一時的に待機させる1以上のバッファを搬送路上に設けた搬送装置の搬送方法であって、基板サイズに応じて所定のバッファで待機可能な基板の上限数を取得するステップと、上流装置から基板が搬入される度に基板の搬入枚数をカウントするステップと、カウント数が上限数に達するまで上流装置に搬出許可信号を送信するステップと、所定のバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させるステップとを備えたことを特徴とする。
【0069】
これらの構成によれば、基板サイズに応じた基板の上限数が決められており、搬送装置から上流装置への搬出許可信号の送信によって、カウント数が上限数に達するまで上流装置から所定のバッファに基板が搬入される。よって、所定のバッファに対して基板サイズが小さな基板については、所定のバッファで搬送方向に連なった状態で複数の基板が待機されるため、所定のバッファで複数の基板をまとめて処理してタクトアップを実現することができる。
【0070】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、制御部は、上流装置からの搬出要求信号が途切れたときは、カウント数が上限数に達する前に搬出許可信号の送信を停止する。この構成によれば、所定のバッファに待機した基板が上限数に満たない場合でも、上流装置から所定のバッファへの搬入を停止させて、所定のバッファに待機した基板に対する処理動作に移行させることができる。
【0071】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、所定のバッファで複数の基板のうち先頭の基板をストッパの手前で検知する固定式のセンサ(ストップセンサS3)と、所定のバッファで複数の基板のうち後続の基板を1つ前の基板の後端手前で検知する移動式のセンサとを備え、制御部は、固定式のセンサで先頭の基板が検知されたときにストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、移動式のセンサで後続の基板が検知されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する。この構成によれば、先頭の基板がストッパに高速状態で衝突することがなく、後続の基板が1つ前の基板に高速状態で衝突することがない。よって、ストッパと基板の衝突、基板同士の衝突による破損や基板上の部品ズレを抑えることができる。
【0072】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、移動式のセンサは、基板に対して部品を実装する実装ヘッドに設けられた高さセンサである。この構成によれば、実装ヘッドの高さセンサを移動式のセンサとして用いることで部品点数を減少してコストを低減することができる。
【0073】
上記実施の形態に記載の搬送装置において1以上のバッファは、所定のバッファとしてのセンタバッファ、センタバッファの上流側のインバッファ、センタバッファの下流側のアウトバッファであり、インバッファ及びアウトバッファで基板の搬送を規制して複数の基板を連ねて待機させる他のストッパ(ウェイトストッパT1、アウトストッパT3)と、インバッファ及びアウトバッファで複数の基板のうち先頭の基板を他のストッパの手前で検知する他のセンサ(ウェイトセンサS1、アウトセンサS3)と、上流装置からインバッファへの基板の搬入を検知する搬入センサ及びセンタバッファからアウトバッファへの基板の搬出を検知する搬出センサ(CアウトセンサS5)とを備え、制御部は、他のセンサで先頭の基板が検知されたときに他のストッパに先頭の基板が接触するまで搬送速度を落とし、搬入センサ及び搬出センサで後続の基板の検知が解除されたときに1つ前の基板に後続の基板が接触するまで搬送速度を落とすように制御する。この構成によれば、インバッファ及びアウトバッファで先頭の基板がストッパに高速状態で衝突することがなく、後続の基板が1つ前の基板に高速状態で衝突することがない。よって、ストッパと基板の衝突、基板同士の衝突による破損や基板上の部品ズレを抑えることができる。
【0074】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、搬入センサはカウンタであり、上流装置からインバッファに基板が搬入される度に基板を検知して搬入枚数をカウントする。この構成によれば、カウンタを搬入センサとして用いることで、部品点数を減少してコストを低減することができる。
【0075】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、制御部は、アウトバッファの搬送速度を下流装置の搬送速度よりも低速にする。この構成によれば、アウトバッファで複数の基板が連なった状態で待機していても、アウトバッファの搬送速度と下流装置の搬送速度の速度差によって1枚ずつ基板を分離して搬送することができる。
【0076】
上記実施の形態に記載の搬送装置において、前記搬送装置は複数のバッファを前記搬送路上に設けると共に、前記制御部は、上流側のバッファで複数の基板を待機させた後に、下流側のバッファに基板を搬送する際、上流側のバッファの搬送速度を下流側のバッファの搬送速度よりも低速にする。この構成によれば、上流側のバッファで複数の基板が連なった状態で待機していても、上流側のバッファの搬送速度と下流側のバッファの搬送速度の速度差によって1枚ずつ基板を分離して搬送することができる。
【0077】
上記実施の形態に記載の実装装置は、上記の搬送装置と、所定のバッファで待機した複数の基板に部品を実装する実装ヘッドとを備えたことを特徴とする。この構成によれば、所定のバッファで複数の基板に対して、まとめて部品を実装してタクトアップを実現することができる。
【0078】
上記実施の形態に記載の実装装置において、実装ヘッドは、所定のバッファで待機可能な上限数だけ基板を搬送方向に繋げた複数の基板の生産プログラムに基づいて部品を実装しており、カウント数が上限数に満たない場合には、生産プログラムにおいてカウント数の不足分だけ搬送方向の上流側の基板に対する実装処理をスキップする。この構成によれば、所定のバッファに待機した基板が上限数に満たない場合でも、生産プログラムを用いて所定のバッファに搬入された基板に対して部品を実装することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 :実装装置
23:実装ヘッド
26:高さセンサ(移動式のセンサ)
35:制御部
37:記憶部
40:搬送装置
50:カウンタ(搬入センサ)
55:上流装置
B1:インバッファ
B2:センタバッファ(所定のバッファ)
B3:アウトバッファ
S1:ウェイトセンサ(他のセンサ)
S2:ストップセンサ(固定式のセンサ)
S3:アウトセンサ(他のセンサ)
S5:Cアウトセンサ(搬出センサ)
T1:ウェイトストッパ(他のストッパ)
T2:センタストッパ(ストッパ)
T3:アウトストッパ(他のストッパ)
W :基板
Wa:短尺基板(基板)