IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図1
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図2
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図3
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図4
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図5
  • 特許-漏洩検知装置及び漏洩検知システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】漏洩検知装置及び漏洩検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/28 20060101AFI20221025BHJP
   G01M 3/00 20060101ALI20221025BHJP
   F17D 5/02 20060101ALI20221025BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20221025BHJP
   G05D 16/06 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G01M3/28 A
G01M3/00 C
F17D5/02
G01M3/26 L
G05D16/06 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018132467
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020008525
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】東 一裕
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-270900(JP,A)
【文献】特開2003-216245(JP,A)
【文献】特開2016-097555(JP,A)
【文献】特開2018-066422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
G05D 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを下流側に導くメイン流路上に設けられて燃料ガスの流量が設定流量未満であるときに弁閉状態となり前記設定流量以上であるときに弁開状態となる弁機構と、
前記弁機構の上流側から下流側までをバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路に設けられて下流側における燃料ガスの微少漏洩を検知するための漏洩検知センサと、を備え、
前記バイパス流路は、前記メイン流路に沿って延在すると共に、当該バイパス流路内の上流部の燃料ガスを略同圧状態のまま下流部まで流すものであり、
前記弁機構は、弁座と、所定方向の一方側への移動時に前記弁座に対して接触状態となり前記所定方向の他方側への移動時に前記弁座から離間状態となる弁体と、前記弁体から前記所定方向に延びる弁軸と、前記弁軸を包囲する筒体を形成すると共に当該筒体の内側に前記弁軸が摺動する弁軸ガイドと、前記弁軸の前記所定方向の他方側に接続され前記弁体の弁開状態において流れてくる燃焼ガスの一部を受け止める受圧板と、を有し、
前記弁座は、前記弁体と接触してシール性を向上させるための弾性体を有し、
前記弁体のうち前記弾性体と接触する接触部に形成されて弁体外側に面する第1傾斜面、及び、前記弾性体のうち前記弁体と接触する接触部に形成されて弁体内側に面する第2傾斜面の少なくとも一方を備える
ことを特徴とする漏洩検知装置。
【請求項2】
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面の双方を備え、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、互いにガス流れ方向に対して同程度の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検知装置。
【請求項3】
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面の一方のみを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の漏洩検知装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された漏洩検知装置と、前記漏洩検知装置が取り付けられる圧力調整器と、を備えた漏洩検知システムであって、
前記圧力調整器は、燃料ガスが導入される減圧室が前記メイン流路を構成し、
前記弁機構は、前記圧力調整器の出口側に内蔵され、
前記バイパス流路は、上流側が前記減圧室に接続されている
ことを特徴とする漏洩検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩検知装置及び漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばLPガスボンベからの高圧ガスを元調整器によって一次減圧し、一次減圧された燃料ガスを親調整器及び子調整器によって二次減圧する燃料ガス供給システムが提案されている。このようなシステムにおいて、親調整器はメイン流路に設けられ、子調整器は親調整器をバイパスするバイパス流路に設けられている。また、親調整器と子調整器とは設定圧力が異なっており、設定流量未満の燃料ガスは子調整器のみを介してバイパス流路を流れ、設定流量以上の燃料ガスは親調整器及び子調整器の双方を介して双方の流路を流れるようになっている。さらに、バイパス流路には、漏洩検知センサを搭載したマイコンガスメータ等の装置が設けられている。このような燃料ガス供給システムは、下流側に配管亀裂等が生じて微少な漏洩が発生した場合、微少流量がバイパス流路のみを流れることとなり、漏洩検知センサからの信号に基づいて微少漏洩を検知することができる(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-41300号公報
【文献】特開平5-296873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本件発明者は、特願2017-105238に係る発明を出願している。この出願に係る発明の1つには、燃料ガスの流量が設定流量未満であるときに弁閉状態となり設定流量以上であるときに弁開状態となる弁機構を備えた漏洩検知装置がある。この漏洩検知装置は、弁機構の上流側と下流側とを接続するバイパス流路と、バイパス流路に設けられ下流側における燃料ガスの微少漏洩を検知するための漏洩検知センサとを備えている。バイパス流路は、メイン流路に沿って延在すると共に、子調整器等が設けられることなく当該バイパス流路内の上流部の燃料ガスを略同圧状態のまま下流部まで流すものである。
【0005】
図6は、弁機構の一例を示す断面図である。図6に示す弁機構140は、弁体141を弁座142に押圧するためのバネ145を有する。このバネ145の荷重は調整器性能に影響し難くなる程度に小さくされる必要がある。加えて、弁機構140では弁軸143と弁軸ガイド144との摺動抵抗を小さくすることが好ましいことから、弁軸ガイド144が短く形成される。
【0006】
しかし、弁軸ガイド144を短く形成した場合には、弁軸143が軸振れを起こしやすくなってしまう。バネ145の荷重が大きい場合には軸振れ時においてこれを矯正することができるが、バネ145の荷重が小さい場合には軸振れ時に矯正することができず、弁機構140におけるシール性が不充分となってしまう。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、調整器性能に影響を与え難く、軸振れによるシール性の低下を抑えることが可能な漏洩検知装置及び漏洩検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る漏洩検知装置は、弁機構と、バイパス流路と、漏洩検知センサとを備えている。バイパス流路は、メイン流路に沿って延在すると共に、当該バイパス流路内の上流部の燃料ガスを略同圧状態のまま下流部まで流すものであり、弁機構は、弁座と、弁体と、弁軸と、弁軸ガイドと、受圧板と、を有している。受圧板は、弁軸の所定方向の他方側に接続され弁体の弁開状態において流れてくる燃焼ガスの一部を受け止める。弁座は、弁体と接触してシール性を向上させるための弾性体を有し、弁体のうち弾性体と接触する接触部に形成されて弁体外側に面する第1傾斜面、及び、弾性体のうち弁体と接触する接触部に形成されて弁体内側に面する第2傾斜面の少なくとも一方を備える。
【0009】
本発明に係る漏洩検知装置によれば、弁座側が弾性体を備えると共に、弁体外側に面する弁体の第1傾斜面、及び、弁体中央側に面する弾性体の第2傾斜面の少なくとも一方を備えるため、たとえ軸振れが発生したとしても、弁閉時における弁座から反発力は弁体の正面(所定方向)からだけでなく側面にも作用することとなり、シール性の低下を抑えることができる。しかも、このシール性の低下を抑えることができることから、バネ荷重を大きくして軸振れ矯正する必要もなく、調整器性能に影響を与え難くすることもできる。従って、調整器性能に影響を与え難く、軸振れによるシール性の低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、調整器性能に影響を与え難く、軸振れによるシール性の低下を抑えることが可能な漏洩検知装置及び漏洩検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る漏洩検知装置を含む漏洩検知システムの構成図である。
図2図1に示した漏洩検知システムの断面図である。
図3図2に示した弁機構の拡大断面図であって、弁開状態を示している。
図4図2に示した弁機構の拡大断面図であって、弁閉状態を示している。
図5】第2実施形態に係る弁機構を示す断面図である。
図6】比較例に係る弁機構の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る漏洩検知装置を含む漏洩検知システムの構成図であり、図2は、図1に示した漏洩検知システムの断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る漏洩検知システム1は、一次調整器10と、二次調整器(圧力調整器)20と、漏洩検知装置30とから構成されている。
【0014】
一次調整器10は、いわゆる切替機能付きの元調整器であって、左右に接続されるLPガスボンベ(図示せず)のうち、どちらから燃料ガスを導入するかを選択するための操作部となる切替レバー11を正面側に備えている。また、一次調整器10は、内部にダイヤフラム等を備えており、ダイヤフラムの動作に応じて内部の弁体を開閉動作させることによって高圧の燃料ガスを中圧とする一次減圧を行う構成となっている。一次減圧された燃料ガスは、二次調整器20に供給される。
【0015】
二次調整器20は、一次減圧された中圧の燃料ガスを低圧とする二次減圧を行うものである。また、漏洩検知装置30は、二次調整器20に対して取り付けられるものであって、微少漏洩を検出するためのものである。二次調整器20は、一次調整器10と同様に、減圧室DRに面してダイヤフラム(図示せず)等を備えており、ダイヤフラムの動作に応じて内部の減圧弁22を開閉動作させることによって二次減圧を行う。二次減圧された燃料ガスは、下流側に供給される。なお、二次調整器20は、減圧室DRがメイン流路21を構成している。
【0016】
漏洩検知装置30は、弁機構40を備えている。弁機構40は、燃料ガスの流量が設定流量未満である場合に弁閉状態となり、燃料ガスを漏洩検知装置30のバイパス流路31側に導入させるものである。また、弁機構40は、燃料ガスの流量が設定流量以上である場合に弁開状態となり、燃料ガスの一部を漏洩検知装置30側に導入させ、残りの燃料ガスを漏洩検知装置30に導入させることなく出口配管20aから排出する。
【0017】
このような漏洩検知装置30は、二次調整器20の減圧室DRから燃料ガスを導入する導入孔30aと、導入した燃料ガスを二次調整器20の出口配管20a側に戻す排出口30bとを備えている。排出口30bは、二次調整器20のうち弁機構40の下流側に燃料ガスを戻すように二次調整器20に接続されている。このように漏洩検知装置30は、導入孔30aから排出口30bまでのバイパス流路31が弁機構40をバイパスする。また、本実施形態において漏洩検知装置30は、バイパス流路31が二次調整器20のガス流れ方向(すなわち図1及び図2に示す下方向)に沿って延在している。特に、二次調整器20の導入孔30aから二次調整器20の排出口30bまで至るルートは略U状となっており、バイパス流路31はこの略U字状のルートの半分以上の長さを占めるようになっている。すなわち、U字状のルートにおいてガス流れ方向に延在するバイパス流路31以外の部位Lの長さは極力小さくされている。
【0018】
また、漏洩検知装置30は、バイパス流路31に漏洩検知センサ32を備えている。漏洩検知センサ32は、例えば超音波式流量検知ユニットによって構成され、多層ユニット(図示せず)内に超音波信号を送信して受信するための2つの超音波送受信器と、2つの超音波送受信器にて送受信された超音波信号の伝搬時間から流量を計測するための計測基板とを備えている。
【0019】
ここで、二次調整器20よりも下流側において小さな配管亀裂等が発生した場合、微少な漏洩が発生する。微少漏洩時の流量は上記設定流量よりも小さいことから、燃料ガスは漏洩検知装置30のバイパス流路31を通じて流れることとなる。漏洩検知センサ32は、このような微少流量を検知することとなる。
【0020】
なお、図1及び図2からも明らかなように、漏洩検知装置30のバイパス流路31は、特許文献1,2において設けられていた子調整器に相当するものが設けられないようになっている。このため、バイパス流路31は、上流部31aの燃料ガスを略同圧状態のまま下流部31bまで流す構造となっている。ここで、略同圧状態とは、多層ユニットを通過する際の圧力損失については許容する概念であり、従来の子調整器のような積極的な減圧がないことを示す概念である。
【0021】
図3及び図4は、図2に示した弁機構40の拡大断面図であり、図3は弁開状態を示し、図4は弁閉状態を示している。図3及び図4に示すように、弁機構40は、弁体41と、弁座42と、弁軸43と、弁軸ガイド44と、コイルバネ45とを備えている。
【0022】
弁体41は、弁座42に対して切離可能なものであり、所定方向の一方側への移動時に弁座42に対して接触状態となり、所定方向の他方側への移動時に弁座42から離間状態となるものである。ここで、弁体41は弁座42と接触する第1接触部41aが、弁体外側に面する傾斜面(第1傾斜面)IS1となっている。すなわち、第1接触部41aは、所定方向の一方側から他方側に向かって拡径する傾斜面IS1となっている。
【0023】
弁座42は、弁体41が接触する部位である。弁座42に対して弁体41が接触状態となることでメイン流路21は遮断状態となる。この弁座42は、弁体41と接触するパッキンPを備えている。パッキン(弾性体)Pは、ゴム等の弾性体によって構成されており、弁体41が接触した場合に弁体41が食い込むように変形することでシール性を向上させるものである。さらに、本実施形態においてパッキンPのうち弁体41と接触する第2接触部42aが、弁体中心側に面する傾斜面(第2傾斜面)IS2となっている。すなわち、第2接触部42aについても第1接触部41aと同様に、所定方向の一方側から他方側に向かって拡径する傾斜面IS2となっている。
【0024】
ここで、双方の傾斜面IS1,IS2は、ガスの流れ方向(所定方向)に対して同程度の角度で傾斜している。よって、弁機構40は弁閉時において弁体41の傾斜面IS1とパッキンPの傾斜面IS2とが面接触することとなり、シール性の向上が図られている。
【0025】
弁軸43は、弁体41から所定方向(他方側)に延びる棒状部材である。弁軸ガイド44は、弁軸43を包囲する筒体を形成するものであって、筒体の内側に弁軸43が摺動するものである。この弁軸ガイド44は、弁体41の所定方向の他方側において弁軸43を支持するものであって、弁体41の所定方向の一方側における支持はない構造となっている。しかも、支持する箇所は図3に示す符号Sの1箇所のみとなっている。
【0026】
なお、本実施形態に係る弁機構40は支持箇所Sが1箇所となっていることから、パッキンPの傾斜面IS2は以下のようにされることが好ましい。すなわち、支持箇所Sを中心とし支持箇所Sから傾斜面IS2までを半径としたときの円を描き、この円と傾斜面IS2とが接する位置において傾斜面IS2が円の略接線方向に延びる傾斜とすることが好ましい。また、これに加えて、又は代えて、弁体41の傾斜面IS1が上記接線方向と同程度の傾斜角になっていてもよい。
【0027】
コイルバネ45は、弁軸43の周囲に設けられ、弁体41を弁座42側に付勢するものである。このコイルバネ45は、他の一般的な弁機構と比較してバネ荷重が小さいものとされている。
【0028】
さらに、弁機構40は、受圧板46を備えている。受圧板46は弁軸43の他方側に接続される板材である。この受圧板46は、図3に示すように、弁体41の弁開状態において流れてくる燃料ガスの一部を受け止めるようになっている(破線参照)。
【0029】
次に、本実施形態に係る漏洩検知システム1の動作を説明する。
【0030】
まず、LPガスボンベからの高圧の燃料ガスは、一次調整器10に導入され、一次調整器10において一次減圧される。そして、一次減圧された燃料ガスは、二次調整器20に流入し、二次調整器20において二次減圧される。二次減圧された燃料ガスは、出口配管20aを通じて需要者側に供給される。
【0031】
ここで、需要者側において比較的小さな流量(設定流量未満)の燃料ガスが使用されたとする。この場合、弁機構40はコイルバネ45の付勢力によって図4に示す弁閉状態を維持する。これにより、減圧室DR内の燃料ガスは漏洩検知装置30を介して出口配管20aから需要者側に供給される。
【0032】
なお、設定流量未満の流量が需要者側での使用でなく、配管亀裂等による微少漏洩である場合も、上記と同様に燃料ガスは漏洩検知装置30を介して流れることとなる。漏洩検知装置30は、このような設定流量未満の流量が所定日数(例えば30日であって、1~30日で変更可)に亘って継続して流れていることを検知した場合、微少漏洩が発生していると判断する。
【0033】
一方、需要者側において比較的大きな流量(設定流量以上)の燃料ガスが使用されたとする。この場合、弁機構40は、図3に示すように、燃料ガスによって弁体41が所定方向の他方側に押し下げられるように移動して弁開状態となる。弁機構40が弁開状態となると、減圧室DR内の燃料ガスは、漏洩検知装置30を介して出口配管20aから需要者側に供給されると共に、漏洩検知装置30を介することなく弁機構40を通過して需要者側に供給される。
【0034】
なお、弁開状態において弁機構40を通過して流れた燃料ガスの一部は、受圧板46により受け止められる。このため、弁機構40が弁開状態となって弁機構40の上流側と下流側との差圧が小さくなったときに、すぐに弁体41が弁閉状態に移行してしまうことが防止される。
【0035】
その後、燃料ガスの流量が低下して設定流量未満となると弁機構40はコイルバネ45の付勢力によって図4に示す弁閉状態に移行する。この弁閉状態への移行に際して弁軸43の軸振れが発生したとしても、弁体41の傾斜面IS1とパッキンPの傾斜面IS2とによってパッキンPの反発力は、弁体41の正面(所定方向)からだけでなく側方からも作用する。これにより、反発力が正面からだけ作用する場合と比較するとシール性の向上が図られる。
【0036】
さらに、弁機構40の支持箇所Sが1箇所であって、双方の傾斜面IS1,IS2のうち少なくとも一方が上記接線方向と同程度の傾斜角である場合には、弁体41が軸振れ状態のまま弁閉状態に移行したとしても、傾斜角を軸振れの回転に合わせたものとすることができ、弁体41をパッキンPにより一層接触させ易くすることができる。
【0037】
このようにして、本実施形態に係る漏洩検知装置30によれば、弁座42側がパッキンPを備えると共に、弁体外側に面する弁体41の傾斜面IS1、及び、弁体中央側に面するパッキンPの傾斜面IS2を備えるため、たとえ軸振れが発生したとしても、弁閉時における弁座42から反発力は弁体の正面(所定方向)からだけでなく側面にも作用することとなり、シール性の低下を抑えることができる。しかも、このシール性の低下を抑えることができることから、バネ荷重を大きくして軸振れ矯正する必要もなく、調整器性能に影響を与え難くすることもできる。従って、調整器性能に影響を与え難く、軸振れによるシール性の低下を抑えることができる。
【0038】
また、傾斜面IS1,IS2は、第1接触部41a及び第2接触部42aの双方に形成され、互いにガス流れ方向に対して同程度の角度で傾斜しているため、弁閉時における弁座42から反発力を弁体41に対して面的に作用させることができ、より一層軸振れによるシール性の低下を抑えることができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る漏洩検知システム1によれば、二次調整器20の減圧室DRがメイン流路21を構成するため、二次調整器20の内部の燃料ガスをバイパス流路31に引き込むことが可能となり、二次調整器20の出口配管20aから流出した燃料ガスをバイパス流路31に引き込む構成と比較して、ガス流れ方向(上下方向)へ長くなってしまう事態を防止することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る漏洩検知装置30及び漏洩検知システム1は、第1実施形態と同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
【0041】
図5は、第2実施形態に係る弁機構40を示す断面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る弁機構40は、弁体41に傾斜面IS1を備えず、パッキンPの傾斜面IS2に向かって尖った角部Cを有している。
【0042】
このような第2実施形態においては、弁閉状態への移行に際して弁軸43の軸振れが発生したとしても、パッキンPの反発力は、パッキンPの傾斜面IS2によって弁体41の正面(所定方向)からだけでなく側方からも作用する。これにより、反発力が正面からだけ作用する場合と比較するとシール性の向上が図られる。さらに、弁閉時には弁体41の角部CがパッキンPの傾斜面IS2に接触するため、面同士の貼り付きを防止することとなる。
【0043】
このようにして、第2実施形態に係る漏洩検知装置30によれば、第1実施形態と同様に、調整器性能に影響を与え難く、軸振れによるシール性の低下を抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る漏洩検知システム1についても第1実施形態と同様に、ガス流れ方向(上下方向)へ長くなってしまう事態を防止することができる。
【0045】
さらに、第2実施形態によれば、傾斜面IS2は、第2接触部42aのみに形成されているため、弁閉時に弁体41とパッキンPとが面接触することを防止して両者の貼付を防止することができる。
【0046】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態同士の技術を組み合わせてもよいし、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0047】
例えば本実施形態に係る漏洩検知装置30は、バイパス流路31内に超音波式の流量センサを備え、これにより微少漏洩を判断しているが、これに限らず、バイパス流路31内には、フローセンサなどの他のタイプの流量センサが設けられていてもよい。また、本実施形態において漏洩検知装置30は、流量式の微少漏洩の判断を行っているが、これに限らず、圧力式の微少漏洩の判断を行うようにしてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態において漏洩検知装置30の排出口30bは二次調整器20の出口配管20aに接続されていてもよいし、出口配管20aよりも更に下流側の配管等に接続されていてもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態において、漏洩検知装置30は上下方向の長さが二次調整器20の長さ未満とされており、一層のコンパクト化が図られているが、これに限らず、二次調整器20以上の長さとなっていてもよい。
【0050】
加えて、漏洩検知装置30と二次調整器20とをつなぐ流路(例えば図2の符号L)の長さ(左右方向の長さ)がバイパス流路31の上下方向の長さよりも小さくされており、漏洩検知装置30が二次調整器20の背面に隠れるように配置されているが、これに限らず、左右方向の長さが比較的長い配管によって接続されて、漏洩検知装置30の大部分が二次調整器20に隠れないようになっていてもよい。
【0051】
また、本実施形態に係る漏洩検知装置30は弁機構40が二次調整器20に内蔵され、二次調整器20の減圧室DRがメイン流路21を構成しているが、これに限らず、二次調整器20の出口配管20aよりも下流側にメイン流路21が設けられ、このメイン流路21に弁機構40が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :漏洩検知システム
20 :二次調整器(圧力調整器)
20a :出口配管
21 :メイン流路
30 :漏洩検知装置
31 :バイパス流路
31a :上流部
31b :下流部
32 :漏洩検知センサ
40 :弁機構
41 :弁体
41a :第1接触部(接触部)
42 :弁座
42a :第2接触部(接触部)
43 :弁軸
44 :弁軸ガイド
DR :減圧室
IS1 :傾斜面(第1傾斜面)
IS2 :傾斜面(第2傾斜面)
P :パッキン(弾性体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6