(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】運転者支援システム及びガードレール検知方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20221025BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
G08G1/16 C
G06T7/00 350B
(21)【出願番号】P 2018135652
(22)【出願日】2018-07-19
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】10 2017 212 418.0
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュヌ・ヴァルドハナ・アスヴァタ・ナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェク・シンハ・ブハドウリア
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/132747(WO,A1)
【文献】特開2016-018371(JP,A)
【文献】特開2011-243154(JP,A)
【文献】特開2014-194698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードレールパターンを生成するコンピュータ実装方法において
、
a.カメラを用いて画像フレームを取り込むステップと
、
b.前記画像フレームがガードレールの、非垂直部NVPと垂直部VPとを有する少なくとも2つのガードレール構造を含むと決定し、切り抜きボックスを用いて前記画像フレーム内の前記ガードレール構造をトラッキングするステップと
、
c.トラッキングされた前記ガードレール構造のうちの1つの角度勾配情報を抽出するために前記切り抜きボックスの情報を処理するステップと
、
d.前記切り抜きボックスの成分の角度に関する情報のクラスタを生成するクラスタリング方法を用いて前記角度勾配情報をクラスタリングするステップと
、
e.前記切り抜きボックスの前記非垂直部NVPに関する情報を抽出するステップと
、
f.トラッキングされたガードレール構造の全てがステップc~eを経るまでステップc~eを繰り返すステップと
、
g.トラッキングされたガードレール構造の前記NVPを通して曲線をフィッティングするステップとを備える方法。
【請求項2】
前記角度勾配情報は、前記少なくとも2つのガードレール構造の、ガードレールの単一の構造の前記垂直部及び前記非垂直部の勾配線と基準に対する非垂直部の角度勾配に関する情報とを提供する角度勾配記述子、好ましくは勾配方向ヒストグラム記述子を備えることによって抽出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記角度勾配情報は、並列コンピューティングに対するビュー指向、分散、クラスタベースのアプローチVODCAを実行することで抽出される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップg)は、ガードレールを示す連続曲線を得るために、検知された前記ガードレール構造を通して曲線を補間することを含む、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記曲線は、前記少なくとも2つのガードレール構造のNVPの勾配線の交点を通る多項式曲線である、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップd.は各非垂直部における平均値μと、対応する拡散σとを提供し
、前記拡散は前記曲線の前記フィッティングを最適化するために用いられる、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd.は偽陽性のガードレール構造を除去することを更に含む、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
検知された前記ガードレール構造の前記トラッキングは、あらゆる適切なトラッキングアルゴリズム又は方法、特にカルマンフィルタを用いて実行される、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことが決定され、及び/又は2つの曲線が生成される、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガードレール構造の前記角度情報を検討することにより、前記画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことが決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
運転者が前記ガードレールに接近しているとき、運転者を警告するステップを更に備える、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
ガードレール構造を検知する運転者支援システム(1000)において
、
a.複数の画像を取り込むように構成されるカメラ(1002)と
、
b.前記カメラと接続されるように構成され、請求項1~11の何れか1項に記載の操作を実行するように構成されるプロセッサ(1001)と、を備える運転者支援システム。
【請求項13】
レーダを更に備え、前記プロセッサは、ガードレール曲線を生成するために前記レーダにより提供される情報を用いるように構成される、請求項12に記載の運転者支援システム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の運転者支援システムを備える車両。
【請求項15】
前記車両は、乗用車、自動二輪車、又はトラックである、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
メモリ(1003)とプロセッサ(1001)とを備えるコンピュータシステム(1000)において、前記プロセッサは、請求項1~1
1の何れか1項に記載の操作を実行するよう構成される、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者支援システム及びガードレール検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路側のガードレールを検知することは、高度自動運転にとって決定的に重要である。これら構造(即ちガードレール)は、世界の様々な国において沿道に見られる。路側にそれらが存在することで、車両が側方に移動するのに利用可能なフリースペースが物理的に制限される。従って、ガードレールを検知することは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この課題(即ちガードレール検知)は、カメラ(例えば単眼カメラ)を用いることで解決され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ガードレールパターンを生成するコンピュータ実装方法において:
a.カメラを用いて画像フレームを取り込むステップと;
b.画像フレームがガードレールの、非垂直部NVPと垂直部VPとを有する少なくとも2つのガードレール構造を含むと決定し、切り抜きボックスを用いて画像フレーム内の前記ガードレール構造をトラッキングするステップと;
c.トラッキングされた前記ガードレール構造のうちの1つの角度勾配情報を抽出するために切り抜きボックスの情報を処理するステップと;
d.切り抜きボックスの成分の角度に関する情報のクラスタを生成するクラスタリング方法を用いて勾配情報をクラスタリングするステップと;
e.切り抜きボックスの非垂直部NVPに関する情報を抽出するステップと;
f.トラッキングされたガードレール構造の全てがステップc~eを経るまでステップc~eを繰り返すステップと;
g.トラッキングされたガードレール構造のNVPを通して曲線をフィッティングするステップとを備える方法に関する。
【0005】
角度勾配情報は、少なくとも2つのガードレール構造の、ガードレールの単一の構造の垂直部及び非垂直部の勾配線と基準に対する非垂直部の角度勾配に関する情報とを提供する角度勾配記述子、好ましくは勾配方向ヒストグラムHoG記述子を備えることによって抽出されてよい。
【0006】
角度勾配情報は、並列コンピューティングに対するビュー指向、分散、クラスタベースのアプローチVODCAを実行することで抽出されてよい。
【0007】
方法は、HoG特徴を抽出するためのVODCA成分をコンピューティングハードウェアの負荷を低減するために再び用いることができ、VODCAフレームワークからの分類成分を再び用いることができるという有利な点を有している。
【0008】
ステップg)は、ガードレールを示す連続曲線を得るために、検知された前記ガードレール構造を通して曲線を補間することを含んでよい。
【0009】
曲線は、前記少なくとも2つのガードレール構造のNVPの勾配線の交点を通る多項式曲線であってよい。
【0010】
上記方法のステップd.は各非垂直部における平均値μと、対応する拡散σとを提供してよく、拡散は曲線のフィッティングを最適化するために用いられる。
上記方法のステップd.は偽陽性のガード構造を除去することを更に含んでよい。
【0011】
画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことが決定されてよい。このように、2つの曲線が生成されてよい。
【0012】
従って、方法は、フレーム内に複数のガードレールを検知可能であるという特に有利な点を有する。検知されたガードレール構造のトラッキングは、あらゆる適切なトラッキングアルゴリズム又は方法、特にカルマンフィルタを用いて実行される。
【0013】
画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことを決定するために、ガードレール構造の角度情報を検討してよい。
上記方法は、運転者がガードレールに接近しているとき、運転者を警告するステップを更に備えてよい。
【0014】
従って、方法は、ガードレールが常に道路境界に沿っている又はその逆であることから、開示された方法が道路境界を(正確に)決定するために車線逸脱システム及び/又はレーダを支援できるという更なる有利な点を有する。
【0015】
また、本発明は、ガードレール構造を検知する運転者支援システムにおいて:
a.複数の画像を取り込むように構成されるカメラと;
b.カメラと接続されるように構成され、上記方法に記載の操作を実行するように構成されるプロセッサと、を備える運転者支援システムに関する。
【0016】
運転者支援システムは、レーダを更に備えてよく、プロセッサは、ガードレール曲線を生成するためにレーダにより提供される情報を用いるように構成される。
【0017】
また、本発明は、運転者支援システムを備える車両に関する。
【0018】
車両は、乗用車、自動二輪車、又はトラックであってよい。
【0019】
また、本発明は、画像フレームがガードレール構造を含むと決定する方法を提供するコンピュータ実装機械学習方法において:
a.データベースにおけるガードレール構造の少なくとも1つの画像フレームのラベル付きデータセットと学習モデルである少なくとも1つのマシンとを提供するステップと;
b.ガードレールのガードレール構造の角度勾配情報を抽出するために少なくとも1つの画像フレームを処理するステップと;
c.画像フレーム内にガードレール構造を含んでいる画像フレームを分類するための前記学習モデルを訓練するために角度勾配情報を用いるステップとを備える方法に関する。
【0020】
学習モデルは、例えばサポートベクターマシンSVM又は適応型ブースティングマシンAdaBoost等のあらゆる適切な機械学習アプローチ、方法、又はモデルであってよい。
【0021】
コンピュータ実装機械学習方法のステップb.は、並列コンピューティングに対するビュー指向、分散、クラスタベースのアプローチVODCAを実行することを含んでよい。
【0022】
また、本発明は、メモリとプロセッサとを備えるコンピュータシステムにおいて、プロセッサは、上記コンピュータ実装機械学習方法の操作を実行するよう構成される、コンピュータシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、ガードレール内の反復パターンを示す。
【
図3】
図3は、ガードレールの単一の構造の勾配を示す。
【
図4】
図4は、ガードレール構造の勾配方向ヒストグラム記述子(HoG)特徴表現を示す。
【
図5】
図5は、ガードレール構造を検知し分類するための機械学習アルゴリズムを訓練するフロー図である。
【
図6】
図6は、切り抜きボックスに含まれる角度情報を示す。
【
図7】
図7は、
図6に示される角度情報のガウス混合モデル密度分布を示す。
【
図8】
図8は、検知されたガードレール構造への多項式のフィッティングを示す。
【
図9】
図9は、(1)機械学習アプローチ(S1~S5)を用いたガードレール構造の検知と(2)検知されたガードレール構造からのガードレールパターンの生成とを含む2つのステップのアプローチのフロー図に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
以下、本開示を詳細に参照するが、その実施例が添付図面に示されており、全図面を通して同一の参照符号は同一の要素を示している。本開示の態様を以下に記載し、図面を参照して本開示の教示を説明する。
【0025】
本開示を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が以下の説明において記載されるか又は図面に示される設計の詳細及び構成要素の配置に限定されないと理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々に実行或いは実施可能である。また、本開示中に用いられる表現及び用語は説明を目的とするものであって、限定的であると見なすべきではないと理解すべきである。不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに定冠詞「その(the)」は、対応する複数も意味する。見出しは本発明の理解を助けるためにのみ付されており、セクション間同士の内容の範囲を定めるものと解釈されるべきではない。
【0026】
ガードレール構造の検知
ガードレール101は、高速道路の路側そして他の種類の道路102にある線形構造である。
【0027】
ガードレール構造は、
図1にT1、T2...T6として示される反復パターンからなる。ここで、そのような反復パターンはカメラ(例えば単眼カメラ)を用いることで見出すことができると理解することは重要である。
【0028】
ここでガードレール構造(例えば
図1のT1~T6)として称されるガードレール反復パターンは、2つの部分、即ち
図2に示される垂直部VP及び非垂直部NVPからなってよい。
【0029】
ガードレール構造のデジタル画像は、(
図3に示されるような)画像の角度勾配又は類似の特徴記述子を提供するために処理してよい。これらの記述子をそのような構造を検出するために用いてよい。例えば、
図4は、
図2及び3と同じガードレール構造を示しているが、ガードレール構造の勾配方向ヒストグラムHoG記述子を用いて視覚化されている。角度勾配記述子(例えばHoG、エッジ方向ヒストグラム、スケール不変特徴変換記述子、及び形状コンテキスト)が用いられてよいのは、角度勾配記述子により提供される角度情報は対象物を豊かに説明するからである。
【0030】
ガードレール構造を検知するための訓練機械学習アルゴリズム
ガードレール構造用に設けられた上記角度勾配記述子は、ガードレール構造を検知するための訓練機械学習アルゴリズムを提供するために用いることができる。得られる訓練された機械学習モデルは、ガードレール及び/又は画像内のガードレール構造を検知し分類することができる。
【0031】
ガードレール構造を検知するための機械学習アルゴリズムを訓練する方法は、
図5に示される。方法はコンピュータにより実行することができ、例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップ、メインフレーム、又は少なくともプロセッサとメモリを有するあらゆる他のシステム等のあらゆる適切なコンピュータシステムにより実行することができる。訓練方法及びシステムは、車両に含まれる運転者支援システムの一部でなくてよく、従って、訓練は「オフライン」つまり方法又はシステムが運転者支援方法又はシステムとして動作していないときに実行できる。「オフライン」とは、運転者支援方法又はシステムのリアルタイム動作を意味し、即ち、方法又はシステムは、車両の運転中、ガードレール構造及び/又はガードレールの検知を試みている。
【0032】
方法は以下のステップを含んでよい。データセットは、ガードレール及び/又はガードレール構造、即ち、既知のガードレール構造を含んでいる少なくとも1つのデジタル画像を含むデータベースに提供されるS501。データベースは、ガードレールの単一デジタル画像又はガードレール構造を示すフレームのシーケンス(例えばビデオ)を含んでよい。データセットは、デジタル画像に示されるガードレール構造を示し、異なるガードレール構造を示すためにラベル付けすることができる。
【0033】
データセットは、上記角度勾配記述子を用いて角度勾配特徴を抽出するために用いることができるS501。角度勾配記述子は、教師あり学習に基づいて、認識システムに入力されてよい。例えば、認識システムは、サポートベクターマシンSVM又は適応型ブースティングマシンAdaBoost等の学習モデル又は分類器であってよい。方法の出力は、フレームに存在するガードレール構造のリストを提供することができる訓練された分類器S503である。方法は、検知された構造をトラッキングし、ガードレール構造の周りにバウンディングボックス又は切り抜きボックスを提供できるトラッキングステップを含んでもよい。
【0034】
運転者支援方法及びシステム
1.ガードレールの検知方法及びシステム
この訓練されたモデル又は分類器は、あらゆるデジタル画像内のガードレール構造をオンラインで検知するために用いることができる。訓練されたモデル又は分類器を適用する場合、少なくとも2つのトラッキングされたガードレール構造を検出できる。これらの構造は、クラスタリングアルゴリズムを用いて真陽性のガードレール構造として検証でき、従って、必要ならば、偽陽性に同定されたガードレール構造を除去する。更に、クラスタリングアルゴリズムは、分類されたガードレール構造の角度の分布を決定するために用いることができる。
【0035】
特に、方法又はシステムは、以下に示されるように偽陽性のガードレール構造を除去するステップを含んでもよい。偽陽性は、クラスタリングアルゴリズムを適用することで除去されてよい。クラスタリングアルゴリズムは、ガウス混合モデル(例えば1次元のガウス混合モデルGMM-1D)又はk平均法であってよい。
【0036】
このステップは、以下のように実行される。偽陽性を除去するために、サニティチェックが適用できる。これは以下の方法ステップを用いて達成してよい。トラッカは、検知された構造をトラッキングするために用いることができる。(更なる処理のための)ガードレール構造を検討してよい。トラック長さは1より大であってよい。トラック長さは、所与のトラックにおいて検知された対象物のインスタンスの数に関する。本件の場合、これらの対象物は、ガードレールの潜在的なガードレール構造であり、即ち、対象物はサニティチェックをまだ受けていない。訓練された機械学習方法の分類器から、真陽性のガードレール構造を含むバウンディングボックスを得てよい。そして、方向勾配情報は、バウンディングボックス(
図1のボックスT1~T6と類似;
図6は1つのバウンディングボックスの内容を示す)におけるその領域のエッジマップから抽出してよい。
ガードレール構造はNVPとVP成分(
図2及び6参照)からなるため、例えば
図6に示されるように、方向勾配記述子におけるVP成分の0度又は略0度エッジを得てよい。ここで、NVPエッジ成分は非0の角度勾配情報に寄与してよい。
【0037】
この場合、方向勾配情報値は、上記のように、クラスタリングアルゴリズムに移されてよい。従って、2次元角度情報は、1次元データを得るために、行優先行列又はあらゆる適当な方法に変換されてよい。例えばGMM等のクラスタリングアルゴリズムから、分布、つまり最も高い確率を有するm個のガウスカーネルが更なる分析のために選択される。ガウス分布の1つは、VP成分に対応してよく、それ以外はNVP成分に関係する。
【0038】
例えば、mは閾値Tを設定することにより決定され、予め定められた閾値Tを超える全てのガウス分布が検討されてよい。
【0039】
図6に示される一例のカットアウトにおいて、n=4(nはガウスカーネルの個数)の場合のGMMクラスタリング出力が
図7に示される。
【0040】
【0041】
表1は、
図7に示されるガードレール構造の平均及び拡散を示す。但し、表1は本発明を例示し説明する役目を果たすに過ぎない。
図7及び対応する表1から、勾配は、シグマにより示される拡散に沿って平均値に集中する成分(カーネルとも称される)を有することが観測できる。図は、2つの高密度ピーク即ち、2.46度のc3及び-19.16度のc2を有することが観測できる。
【0042】
更に、これら成分間における重複が存在するため、それらは1つの成分と考えることができる。それ以外の2つの成分、即ちc1及びc4は、1対の〔-180、-180〕円状表現の線を示している。これら2つの成分はガードレール構造に属し、その角度を決定することができる。
【0043】
ここで、サニティチェックは、例えばGMM分布をチェックすることで、偽陽性ガードレール構造/バウンディングボックスを除去するために適用されてよい。(全部のうち)カーネル平均の1つは、0°±Δ(Δは所定の閾値)でなければならないとしてよい。または、検知されたボックスは除去できる。
【0044】
同じ操作を(カットアウトボックスでトラッキングされた)検知されたガードレール構造の全てに対して実施してよい。しかし、本発明の方法を実施する場合には、あらゆる適切なトラッキング方法を用いることができる(例えばカルマンフィルタ)。これらガードレール構造から、NVP角度情報、即ち、上記の平均μを抽出できる。これら平均値が関係しているのは、NVP成分が、下記のようにガードレール構造間の連続性に寄与するからである。
【0045】
2.検知されたガードレール構造からのガードレールパターンの生成
ガードレールパターンを決定するために、1セットの点を通る曲線を描く必要がある(即ち、この目的のため、ガードレール構造の全てが1つの点に寄与する)。この点は、検知されたボックス内のNVP勾配線の交点として得ることができる。
【0046】
そして、検知された構造のNVP部の角度、特にNVPを検討して、方向(例えば多項式)曲線は、ガードレール構造を通してフィッティングされる。
【0047】
任意には、連続性チェックを実施することができる。角度情報(即ちμ)は、上記のように、拡散(即ちσ)を用いて得ることができる。これにより、各ガードレール構造のNVP(σ内)の角度に関する情報を検討しながら、点描/描かれた線を適合させることができる。このように、円滑な線801を提供することができ、例えば道路802を含む画像(
図8参照)に視覚化されてよく、又は他に適用するために提供されてよい。
【0048】
NVP成分の角度を検討しながら曲線を描くことにより、道路の両側にガードレールを有する場面における提案されたアルゴリズムのロバストな実施が確実になる。そのような場面において、運転者支援システム又は方法は、両側のガードレール構造を検知することができる。これらの場面では、開示された方法及びシステムによると、道路の左側と右側に見出されるガードレール構造では異なるNVP値になる。この結果、開示された方法及びシステムにより、2つのガードレールを同時に、所与のフレーム内に検知又は/及び描くことができる。
【0049】
図9は、開示された運転者支援システム及び方法のステップの概観を示す。
【0050】
ステップS901では、フレーム(即ち、画像又はビデオのフレーム)が入力される。訓練された機械学習アルゴリズム又は方法は、ガードレール構造を検出するフレームに適用されるS902。そして、ガードレールのガードレール構造はあらゆる適切なトラッキング方法(例えばカルマンフィルタ)によりトラッキングされ、更なる処理のため、カットアウトボックスが提供(抽出)される。カットアウトボックスに含まれる情報から、NVPに関する角度情報を含む、カットアウトボックスにおける構造の角度情報が得られるS903。任意には、クラスタリングが偽陽性を除去するために適用できるS904。NVP角度に関する情報が得られ、提供されるS905。得られたNVP角度情報を検討して、(例えば多項式)曲線が、各ガードレール構造を通してフィッティングされる。
【0051】
図10は、本発明のガードレールパターンを生成する方法を実施するコンピュータシステム1000を示す。コンピュータシステムは、プロセッサ1001で処理されるフレームを取り込むカメラ1002を有する。任意に、システム1000は、取り込まれて処理されたデータを格納するメモリを有する。
【0052】
本発明のコンピュータ実装機械学習方法は、同じシステムで実施することができるが、その場合、カメラ1002は任意である。
【0053】
本発明のコンピュータシステムは、パーソナルコンピュータ、特定用途向け集積回路ASIC、又はフィールドプログラマブルゲートアレイFPGAであってよい。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.ガードレールパターンを生成するコンピュータ実装方法において、
a.カメラを用いて画像フレームを取り込むステップと、
b.前記画像フレームがガードレールの、非垂直部NVPと垂直部VPとを有する少なくとも2つのガードレール構造を含むと決定し、切り抜きボックスを用いて前記画像フレーム内の前記ガードレール構造をトラッキングするステップと、
c.トラッキングされた前記ガードレール構造のうちの1つの角度勾配情報を抽出するために前記切り抜きボックスの情報を処理するステップと、
d.前記切り抜きボックスの成分の角度に関する情報のクラスタを生成するクラスタリング方法を用いて前記角度勾配情報をクラスタリングするステップと、
e.前記切り抜きボックスの前記非垂直部NVPに関する情報を抽出するステップと、
f.トラッキングされたガードレール構造の全てがステップc~eを経るまでステップc~eを繰り返すステップと、
g.トラッキングされたガードレール構造の前記NVPを通して曲線をフィッティングするステップとを備える方法。
2.前記角度勾配情報は、前記少なくとも2つのガードレール構造の、ガードレールの単一の構造の前記垂直部及び前記非垂直部の勾配線と基準に対する非垂直部の角度勾配に関する情報とを提供する角度勾配記述子、好ましくは勾配方向ヒストグラム記述子を備えることによって抽出される、上記1に記載の方法。
3.前記角度勾配情報は、並列コンピューティングに対するビュー指向、分散、クラスタベースのアプローチVODCAを実行することで抽出される、上記1又は2に記載の方法。
4.ステップg)は、ガードレールを示す連続曲線を得るために、検知された前記ガードレール構造を通して曲線を補間することを含む、上記1~3の何れか1項に記載の方法。
5、前記曲線は、前記少なくとも2つのガードレール構造のNVPの勾配線の交点を通る多項式曲線である、上記1~4の何れか1項に記載の方法。
6.ステップd.は各非垂直部における平均値μと、対応する拡散σとを提供し、前記拡散は前記曲線の前記フィッティングを最適化するために用いられる、上記1~5の何れか1項に記載の方法。
7、ステップd.は偽陽性のガードレール構造を除去することを更に含む、上記1~6の何れか1項に記載の方法。
8.検知された前記ガードレール構造の前記トラッキングは、あらゆる適切なトラッキングアルゴリズム又は方法、特にカルマンフィルタを用いて実行される、上記1~7の何れか1項に記載の方法。
9.前記画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことが決定され、及び/又は2つの曲線が生成される、上記1~8の何れか1項に記載の方法。
10.前記ガードレール構造の前記角度情報を検討することにより、前記画像フレームが道路の別々の側における2つのガードレール構造を含むことが決定される、上記9に記載の方法。
11.運転者が前記ガードレールに接近しているとき、運転者を警告するステップを更に備える、上記1~10の何れか1項に記載の方法。
12.ガードレール構造を検知する運転者支援システム(1000)において、
a.複数の画像を取り込むように構成されるカメラ(1002)と、
b.前記カメラと接続されるように構成され、上記1~11の何れか1項に記載の操作を実行するように構成されるプロセッサ(1001)と、を備える運転者支援システム。
13.レーダを更に備え、前記プロセッサは、ガードレール曲線を生成するために前記レーダにより提供される情報を用いるように構成される、上記12に記載の運転者支援システム。
14.上記12又は13に記載の運転者支援システムを備える車両。
15.前記車両は、乗用車、自動二輪車、又はトラックである、上記14に記載の車両。
16.画像フレームがガードレール構造を含むと決定する方法を提供するコンピュータ実装機械学習方法において、
a.データベースにおけるガードレール構造の少なくとも1つの画像フレームのラベル付きデータセットと学習モデルである少なくとも1つのマシンとを提供するステップと、
b.ガードレールのガードレール構造の角度勾配情報を抽出するために前記少なくとも1つの画像フレームを処理するステップと、
c.画像フレーム内にガードレール構造を含んでいる前記画像フレームを分類するための前記学習モデルを訓練するために前記角度勾配情報を用いるステップとを備える方法。
17.前記学習モデルは、サポートベクターマシンSVM若しくは適応型ブースティングマシンAdaBoost、又はあらゆる適切な機械学習アプローチである、上記16に記載の方法。
18.ステップb.は、並列コンピューティングに対するビュー指向、分散、クラスタベースのアプローチVODCAを実行することを含む、上記16又は17に記載の方法。
19.メモリ(1003)とプロセッサ(1001)とを備えるコンピュータシステム(1000)において、前記プロセッサは、上記1~11又は16~18の何れか1項に記載の操作を実行するよう構成される、コンピュータシステム。
【符号の説明】
【0054】
101 ガードレール
T1~T6 ガードレール構造
102 道路
S501 ガードレール構造用ラベル付きデータベースを提供
S502 角度勾配特徴を抽出
S503 分類ステップ
801 描かれた曲線
802 道路
S901 フレームを入力
S902 ガードレールを検出する機械学習アルゴリズムを適用
S903 カットアウトの角度情報を抽出
S904 クラスタリングを適用
S905 非垂直部角度情報を抽出
S905 非垂直部角度情報を検討して(多項式)フィッティングを実施
1000 コンピュータシステム
1001 プロセッサ
1002 カメラ