(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
G01N35/04 H
(21)【出願番号】P 2018163971
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】末成 元
(72)【発明者】
【氏名】三島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸丸 武
(72)【発明者】
【氏名】安居 晃啓
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-181384(JP,A)
【文献】特開平10-213586(JP,A)
【文献】特開2018-054505(JP,A)
【文献】特表2003-515139(JP,A)
【文献】特開2003-222632(JP,A)
【文献】実開平06-082566(JP,U)
【文献】特開平04-131766(JP,A)
【文献】特開2010-139502(JP,A)
【文献】特開平10-123146(JP,A)
【文献】特開平09-196926(JP,A)
【文献】特開2010-091417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体ラックが搭載されている検体ラックトレイがセットされるセット部と、
セットされた前記検体ラックトレイから、前記検体ラックが搬送される搬送部に前記検体ラックを押し出
す押出部と、
前記検体ラックが前記搬送部に押し出された後、前記検体ラックトレイ上の前記検体ラックのうち、最も前記搬送部側にある前記検体ラックを前記検体ラックトレイ側へ押し込む押込部と、
戻し棒と、
戻し回転板と、
回転補助部と、
戻し駆動棒と、
第1支持部と、
前記押出部と接続しているベルトと、
前記ベルトを移動させるモータと、
前記第1支持部に対してリニアガイドの機能を有する第2支持部と、
を有
する供給部が設けられている分析装置であって、
前記供給部の基部には前記戻し回転板が設置されているとともに、前記戻し回転板の上には、前記戻し回転板より面積が小さい前記回転補助部が、前記戻し回転板と一体に設置されており、
前記戻し回転板は、前記基部に対しねじりバネを介して接続されており、
前記戻し回転板は、前記基部との接続部を支点として回動可能であるとともに、回動後、前記ねじりバネによって回動前の位置である初期位置に戻ることが可能であり、
前記戻し棒は、前記押出部と一体に設けられており、
前記押込部は、前記第1支持部を介して前記戻し駆動棒と一体となるよう接続しており、
前記戻し棒は、前記回転補助部と接触可能な高さに設置されているとともに、前記戻し回転板は前記戻し駆動棒と接触可能な高さに設置されており、
前記第2支持部は、前記基部と一体に設置されているとともに、前記第2支持部の一部にはバネが接続されており、
前記バネの他端は前記戻し駆動棒に接続されており、
前記押出部が、前記モータによる駆動によって移動する前記ベルトと共に前記搬送部の側の方向へ移動し、
前記押出部と一体に設けられている前記戻し棒が前記戻し回転板の位置に達すると、前記戻し棒が前記戻し回転板に設けられている前記回転補助部に接触し、
前記押出部が、そのまま移動し続けることによって、前記戻し棒は、前記回転補助部を介して前記戻し回転板を押動し、押動された前記戻し回転板が、前記基部との接続部を支点に回転し、
前記押出部が、さらに移動し続けることで、前記戻し棒が前記回転補助部から外れ、前記戻し回転板が、前記ねじりバネの力により前記初期位置へと戻り、
前記検体ラックが前記押出部によって押し出されることで、前記搬送部にセットされ、
前記押出部は、前記モータの駆動に伴うベルトの移動によって、前記検体ラックトレイが存在する方向へ移動し、前記押出部と一体に設けられている前記戻し棒が前記戻し回転板の位置に達すると、前記戻し棒が前記回転補助部を介して前記戻し回転板を押動し、
当該押動の結果、前記戻し回転板が前記基部の接続部を支点として回転することにより、前記戻し回転板が前記戻し駆動棒を押動し、
当該押動の結果、前記検体ラックトレイが存在する方向へ前記戻し駆動棒が移動し、当該移動に伴って、前記検体ラックトレイが存在する方向へ、前記戻し駆動棒と一体に接続されている第1支持部及び前記押込部が移動し、
前記押出部が、さらに前記検体ラックトレイが存在する方向に移動すると、前記戻し駆動棒が前記回転補助部から外れ、前記戻し回転板が、前記基部との接続部に設けられている前記ねじりバネの力により前記初期位置に戻ることによって、前記戻し回転板による支えを失った前記戻し駆動棒が、前記バネの力によって前記検体ラックトレイが存在する方向へ移動し、前記押出部及び前記押込部が、前記検体ラックトレイ上に前記検体ラックを追加可能な位置であると共に、前記検体ラックを押し出す前の位置である位置であるホームポジションへ戻る
ことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
複数の検体ラックが搭載されている検体ラックトレイがセットされるセット部と、
セットされた前記検体ラックトレイから、前記検体ラックが搬送される搬送部に前記検体ラックを押し出した後、前記検体ラックトレイ上に前記検体ラックを追加可能な位置であると共に、前記検体ラックを押し出す前の位置であるホームポジションまで戻る押出部と、
前記検体ラックが前記搬送部に押し出された後、前記検体ラックトレイ上の前記検体ラックのうち、最も前記搬送部側にある前記検体ラックを前記検体ラックトレイ側へ押し込む押込部と、
前記搬送部の制御を行う制御部と、
緊急検体ラックが前記搬送部に投入されたか否かを検知する緊急ラック検知センサと、
を有
し、
前記制御部は、
前記緊急ラック検知センサによって、前記緊急検体ラックが、前記搬送部に投入されたことが検知され、かつ、前記検体ラックの搬送が完了していない場合、前記検体ラックの搬送処理が終了するまで前記緊急検体ラックの搬送を待機する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項3】
複数の検体ラックが搭載されている検体ラックトレイがセットされるセット部と、
セットされた前記検体ラックトレイから、前記検体ラックが搬送される搬送部に前記検体ラックを押し出した後、前記検体ラックトレイ上に前記検体ラックを追加可能な位置であると共に、前記検体ラックを押し出す前の位置であるホームポジションまで戻る押出部と、
前記検体ラックが前記搬送部に押し出された後、前記検体ラックトレイ上の前記検体ラックのうち、最も前記搬送部側にある前記検体ラックを前記検体ラックトレイ側へ押し込む押込部と、
前記搬送部の制御を行う制御部と、
緊急検体ラックが前記搬送部に投入されたか否かを検知する緊急ラック検知センサと、
を有
し、
前記制御部は、
前記緊急ラック検知センサによって、前記緊急検体ラックが、前記搬送部に投入されたことが検知され、かつ、前記押出部及び前記押込部の少なくとも一方が動作中である場合、前記押出部及び前記押込部のうち動作中である方の動作が完了するまで前記緊急検体ラックの搬送を待機することで、前記検体ラックの搬送処理が終了するまで前記緊急検体ラックの搬送を待機する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項4】
前記ホームポジションは、前記検体ラックトレイから外れた位置である
ことを特徴とする請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
支持部と、
前記支持部の上方に設けられ、前記支持部の外側方向に突出しているつば部と、
を有し、
前記検体ラックの底部に設けられた溝の内部に設置されることで、前記検体ラックの搬送を行うキャリア
を有することを特徴とする請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記つば部の径は、前記検体ラックに設けられた前記溝の開口部の径よりも小さい
ことを特徴とする請求項
5に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
血漿、血清、尿などの生体試料の分析結果は病状を診断する上で多くの情報をもたらす。このような自動分析装置として、特許文献1には、「搬送ライン(3)に沿って複数の分析測定モジュールを配置し、搬送ライン上に試料サンプリング位置が設けられている分析測定モジュール(4)に対して1つの検体ラック上の測定依頼のある全検体につき繰り返し試料サンプリング動作を実行したあと、ラック取込領域を有する分析測定モジュール内への取り込みの要否判断に基づいて該検体ラックを取り込んで試料サンプリング動作を行う」多項目分析装置が開示されている(要約参照)。
【0003】
また、臨床検査用の自動分析装置として、特許文献2には、「自動分析装置におけるサンプル容器の搬送に関して、緊急度が高く優先的に分析を行いたいサンプルが収められたサンプル容器を短時間でサンプル分注ポジションへ移動できる技術を提供する。サンプル容器1が搭載されたラック2を搬送するラック搬送モジュール4とラック搬送モジュール5との間にサンプル容器入れ替え部となるラックバッファユニット8と、優先的に分析を行いたいサンプルが収められたサンプル容器1が搭載されたラック2を架設する緊急サンプル投入モジュール7とを設け、サンプル分注途中のラック2と優先的に分析を行いたいラック2とをラックバッファユニット8で入れ替え、優先的に分析を行いたいラック2に搭載されたサンプル容器1を短時間でサンプル分注ポジションに移動する」自動分析装置及び自動分析方法が開示されている(要約参照)。
【0004】
また、特許文献3には、「ラック搬送式自動分析装置において、ラック搬送ライン上にループ状のラックバッファ部12を有し、複数ラックの格納を行う。格納されたラック1を任意の順番で分析し、また、任意の期間ラック1を収納することにより実現する」自動分析装置が開示されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-316237号公報
【文献】国際公開第2010/087303号
【文献】特開2000-105246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで特許文献1~3に記載の自動分析装置では取り出しが可能な検体ラックトレイが備えられている。そして、特許文献2,3には投入する検体ラックトレイ上部に、検体ラックバッファ部が設けられている。特許文献2,3では、検体ラックバッファ部に検体ラックトレイの検体ラックを一旦移動させることで、検体ラックトレイの取り出しや、検体ラックの追加投入が容易となる。
【0007】
しかし、検体ラックの供給部と収納部それぞれに検体ラックバッファが備えられると検体ラックの供給・収納部が大型になってしまう。大型の自動分析装置であれば、検体ラックトレイの設置箇所及び検体ラックバッファをそれぞれ設置する領域を確保することが可能である。しかし、小型の自動分析装置では、検体ラックバッファの領域を確保することは困難である。
【0008】
検体ラックバッファがないと、検体ラックトレイから直接検体ラックが自動分析装置に投入されることになる。このような場合、投入側の検体ラックトレイ内の検体ラックが空になるまで追加検体ラックの投入ができない、もしくは緊急検体ラック投入箇所から投入しなければいけなくなる。このため、作業者の作業が煩雑となり、分析効率の低下の要因となる。
【0009】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、分析システムの小型化を維持しつつ、検体ラックの追加が容易にできることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、本発明は、複数の検体ラックが搭載されている検体ラックトレイがセットされるセット部と、セットされた前記検体ラックトレイから、前記検体ラックが搬送される搬送部に前記検体ラックを押し出す押出部と、前記検体ラックが前記搬送部に押し出された後、前記検体ラックトレイ上の前記検体ラックのうち、最も前記搬送部側にある前記検体ラックを前記検体ラックトレイ側へ押し込む押込部と、戻し棒と、戻し回転板と、回転補助部と、戻し駆動棒と、第1支持部と、前記押出部と接続しているベルトと、前記ベルトを移動させるモータと、前記第1支持部に対してリニアガイドの機能を有する第2支持部、を有する供給部が設けられている分析装置であって、前記供給部の基部には前記戻し回転板が設置されているとともに、前記戻し回転板の上には、前記戻し回転板より面積が小さい前記回転補助部が、前記戻し回転板と一体に設置されており、前記戻し回転板は、前記基部に対しねじりバネを介して接続されており、前記戻し回転板は、前記基部との接続部を支点として回動可能であるとともに、回動後、前記ねじりバネによって回動前の位置である初期位置に戻ることが可能であり、前記戻し棒は、前記押出部と一体に設けられており、前記押込部は、前記第1支持部を介して前記戻し駆動棒と一体となるよう接続しており、前記戻し棒は、前記回転補助部と接触可能な高さに設置されているとともに、前記戻し回転板は前記戻し駆動棒と接触可能な高さに設置されており、前記第2支持部は、前記基部と一体に設置されているとともに、前記第2支持部の一部にはバネが接続されており、前記バネの他端は前記戻し駆動棒に接続されており、前記押出部が、前記モータによる駆動によって移動する前記ベルトと共に前記搬送部の側の方向へ移動し、前記押出部と一体に設けられている前記戻し棒が前記戻し回転板の位置に達すると、前記戻し棒が前記戻し回転板に設けられている前記回転補助部に接触し、前記押出部が、そのまま移動し続けることによって、前記戻し棒は、前記回転補助部を介して前記戻し回転板を押動し、押動された前記戻し回転板が、前記基部との接続部を支点に回転し、前記押出部が、さらに移動し続けることで、前記戻し棒が前記回転補助部から外れ、前記戻し回転板が、前記ねじりバネの力により前記初期位置へと戻り、前記検体ラックが前記押出部によって押し出されることで、前記搬送部にセットされ、前記押出部は、前記モータの駆動に伴うベルトの移動によって、前記検体ラックトレイが存在する方向へ移動し、前記押出部と一体に設けられている前記戻し棒が前記戻し回転板の位置に達すると、前記戻し棒が前記回転補助部を介して前記戻し回転板を押動し、当該押動の結果、前記戻し回転板が前記基部の接続部を支点として回転することにより、前記戻し回転板が前記戻し駆動棒を押動し、当該押動の結果、前記検体ラックトレイが存在する方向へ前記戻し駆動棒が移動し、当該移動に伴って、前記検体ラックトレイが存在する方向へ、前記戻し駆動棒と一体に接続されている第1支持部及び前記押込部が移動し、前記押出部が、さらに前記検体ラックトレイが存在する方向に移動すると、前記戻し駆動棒が前記回転補助部から外れ、前記戻し回転板が、前記基部との接続部に設けられている前記ねじりバネの力により前記初期位置に戻ることによって、前記戻し回転板による支えを失った前記戻し駆動棒が、前記バネの力によって前記検体ラックトレイが存在する方向へ移動し、前記押出部及び前記押込部が、前記検体ラックトレイ上に前記検体ラックを追加可能な位置であると共に、前記検体ラックを押し出す前の位置である位置であるホームポジションへ戻ることを特徴とする。
その他の解決手段は、実施形態中に適宜記載する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明は、分析システムの小型化を維持しつつ、検体ラックの追加が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る分析システム1の構成を示す模式図である。
【
図3】ラック供給・収納装置による検体ラックの送り出し動作を示す図である。
【
図6】収納部における検体ラックRの収納の動作を示す図である。
【
図7】緊急検体ラックの緊急投入時における動作を示す図である。
【
図13】供給部の動作手順を示すフローチャートである。
【
図14】緊急検体ラックの投入時における供給部の動作手順を示すフローチャートである。
【
図15】検体ラックにセットされているキャリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
【0014】
<分析システム1>
図1は、本実施形態に係る分析システム1の構成を示す模式図である。
図1に示す分析システム(分析装置)1は、ラック供給・収納装置100と、待機ディスク241と、第1分析装置200Aと、第2分析装置200Bとを有している。
図1に示す分析システム1は、左右それぞれに第1分析装置200A及び第2分析装置200Bを接続できるようになっている。ここでは、紙面右側に第1分析装置200Aとして生化学分析装置が接続され、紙面左側には第2分析装置200Bとして免疫分析装置が接続されているものとする。ただし、これは一例である。例えば、紙面左側に生化学分析装置が接続され、紙面右側に免疫分析装置が接続される構成でもよい。あるいは、第1分析装置200A及び第2分析装置200Bが共に生化学分析装置、もしくは共に免疫分析装置となっていてもよい。
【0015】
ラック供給・収納装置100からは待機ディスク241を介して、両サイドの第1分析装置200A及び第2分析装置200Bに検体ラックR(
図2参照)を独立して供給及び収納可能である。第1分析装置200A及び第2分析装置200Bのそれぞれは、サンプリングライン201、検体サンプリング部202、試薬ピペッティング部203、試薬ディスク204等を備えている。
なお、第1分析装置200A及び第2分析装置200Bは、本実施形態の特徴部分ではないので、詳細な説明を省略する。
また、ラック供給・収納装置100については後記する。
【0016】
そして、分析システム1内にマイクロコンピュータとして制御装置(制御部)231が搭載されており、この制御装置231が、サンプル分注・試薬分注・洗浄水ポンプの制御を行う。また、制御装置231は、ラック供給・収納装置100の制御や、第1分析装置200A、第2分析装置200Bへの検体ラックRの搬送制御も行う。さらに、制御装置231は、待機ディスク241に対して、検体ラックRの搬送を制御することで、未処理の検体ラックRによる渋滞が起きないよう、また、緊急検体ラックRh(
図7参照)を迅速に測定できるように制御する。
【0017】
<検体ラックトレイTR>
図2は、検体ラックトレイTRの外観図である。
検体ラックトレイTRは、検体ラックRを検体ラックトレイTRに載置して持ち運びを行えるようになっている。それぞれの検体ラックRは独立しており、個別に取り出し可能である。
図2の例では、7個の検体ラックRが示されている。
また、検体ラックトレイTRの載置部303には転倒防止部301が設置されている。転倒防止部301は、検体ラックRの底部に設けられている溝321に嵌合することで、検体ラックRの搬送時及び、検体ラックトレイTRの持ち運び時等に検体ラックRが転倒しないような構造となっている。
【0018】
また、取っ手302の接続端にはラック脱落防止部304が接続されている。ラック脱落防止部304は符号311で載置部303に接続されており、符号311を支点として紙面上下方向に回動する。取っ手302が持ち上げられると、取っ手302と共にラック脱落防止部304が符号311を支点として回動する。その結果、検体ラックトレイTR上の検体ラックRをラック脱落防止部304が支える形となり、検体ラックRが検体ラックトレイTRから脱落することを防止する。
【0019】
<検体ラックRの供給・収納動作>
次に、
図3~
図6を参照して、検体ラックRの供給・収納動作を説明する。適宜、
図1、
図2を参照する。
【0020】
図3は、ラック供給・収納装置100による検体ラックRの送り出し動作を示す図である。
まず、
図3を参照して、ラック供給・収納装置100の構成を説明する。
ラック供給・収納装置100は、検体ラックRを待機ディスク241へ供給する供給部101と、待機ディスク241から送られた検体ラックRを収納する収納部102と、搬送ライン611を有している。
搬送ライン611は、待機ディスク241への検体ラックRの搬出及び待機ディスク241からの搬入を行う。また、搬送ライン611には、キャリアF1(
図4参照)が備えられている。キャリアF1は、検体ラックRや、緊急検体ラックRh(
図7参照)の底部に備えられている被掛止部(不図示)に掛止することで、搬送ライン611における検体ラックRの搬送を行うものである。
供給部101は、供給ベース部(セット部)121、第1アーム部(押出部)411、第2アーム部(押込部)443を有する。
【0021】
供給ベース部121には、操作者によって検体ラックトレイTRが載置(セット)される。
そして、第1アーム部411は、後記するモータ421(
図9参照)によって駆動するベルト422と接続しており、検体ラックトレイTR上の検体ラックRを矢印A1の方向へ押動する。これによって、検体ラックトレイTR上において最も搬送ライン611側にある検体ラックRが搬送ライン611に送られ、搬送ライン611にセットされる。すなわち、検体ラックRがキャリアF1に掛止される。
また、第2アーム部443は、第1支持部442を介して動作し、搬送ライン611(キャリアF1)によって検体ラックRが搬送された後、最も搬送ライン611側にある検体ラックRを検体ラックトレイTR側に押し戻す。これによって、検体ラックトレイTRを持ち上げても、ラック脱落防止部304(
図2参照)と干渉しない。
【0022】
さらに、ラック供給・収納装置100は、トレイ検知センサ111、ラック検知センサ112、バーコードリーダ113、緊急ラック検知センサ114を有している。
トレイ検知センサ111は、検体ラックトレイTRが供給ベース部121にセットされたか否かを検知する。
ラック検知センサ112は、検体ラックRが搬送ライン611にセットされたか否かを検知する。
バーコードリーダ113は、搬送ライン611によって搬送される検体ラックR等に貼付されているバーコードを読み取る。
緊急ラック検知センサ114は、緊急検体ラックRhが搬送ライン611に投入されたか否かを検知する。
【0023】
収納部102は、収納ベース部514、収納アーム部511、収納ラックセンサ513を有している。
収納ベース部514には、空の検体ラックトレイTRが載置(セット)される。
収納アーム部511は、待機ディスク241から送られた検体ラックRを搬送ライン611から収納ベース部514にセットされている検体ラックトレイTR上に移動させる。なお、収納アーム部511は、図示しないモータによって動作するベルト512に接続される。
収納ラックセンサ513は、収納ベース部514にセットされている検体ラックトレイTRが検体ラックRによって満載状態となったか否かを検知する。
なお、トレイ検知センサ111、ラック検知センサ112、緊急ラック検知センサ114、収納ラックセンサ513は、焦電センサ等である。
【0024】
前記したように、検体ラックトレイTRが供給ベース部121にセットされると、第1アーム部411が矢印A1の方向へ検体ラックトレイTR上の検体ラックRを押動する。これにより、1つの検体ラックRが搬送ライン611に送り出される。
そして、ラック検知センサ112によって、搬送ライン611(キャリアF1(
図4参照))への検体ラックRのセットが検知されると第1アーム部411による押動動作が停止する。そして、搬送ライン611にセットされた検体ラックRが、キャリアF1によって、待機ディスク241へ搬送される。
【0025】
また、前記したように、搬送ライン611には、バーコードリーダ113が設けられている。バーコードリーダ113は、搬送ライン611上を搬送される検体ラックRに貼付されているバーコードや、検体ラックRにセットされている試験管のバーコードを読み取る。
このようにして、検体ラックRは搬送ライン611上を矢印A2の方向に移動し、待機ディスク241へと搬送される。
【0026】
バーコードリーダ113には検体ラックRにセットされている試験管の高さを検知する高さセンサが取り付けられている(不図示)。この高さセンサによって検体ラックRに設置されている試験管の高さ情報が把握される。これにより、第1分析装置200A及び第2分析装置200Bにおける検体分注時の動作のパラメータとして試験管の高さ情報を使用することができる。バーコードリーダ113が読み取る情報の中に高さ情報を含む試験管情報(試験管径・試験管高さ・試験管高さ異常)が格納されていてもよい。
【0027】
図4は、第1アーム部411の戻し動作を示す図である。
搬送ライン611から待機ディスク241へ搬送された検体ラックRは、第1分析装置200Aまたは第2分析装置200Bへ搬送される。
第1アーム部411は搬送ライン611への検体ラックRの送り出し後、矢印A11の方向へ移動し、毎回ホームポジションへ戻る。ホームポジションは、検体ラックRの押動が開始される前における第1アーム部411の位置であり、供給ベース部121にセットされている検体ラックトレイTRの外側に位置する。
【0028】
例えば、
図3の状態において、第1アーム部411の紙面右側に、新たに追加された検体ラックRが載置されてしまうと、新たに追加された検体ラックRを搬送ライン611に送り出すことができない。
このため、本実施形態の分析システム1では、検体ラックRの搬送ライン611への送り出しが完了すると、その都度、第1アーム411がホームポジションに戻る。このようにすることで、新たに追加された検体ラックRを確実に搬送ライン611に送り出すことができる。
【0029】
また、第1アーム部411が検体ラックトレイTR上に位置している場合、検体ラックトレイTRを取り出そうとすると第1アーム部411が引っかかって検体ラックトレイTRを取り出すことができない。ここで、本実施形態では、検体ラックRが搬送ライン611に送り出された後、第1アーム部411が、毎回ホームポジションへと戻る。このホームポジションは、検体ラックトレイTRから外れた位置である。これにより、検体ラックトレイTR上の検体ラックRのすべてが、搬送ライン611に送り出されていなくても検体ラックトレイTRを供給ベース部121から取り出すことができる。
【0030】
図5は、第2アーム部443の動作を示す図である。
検体ラックRの搬送が行われた直後、かつ、検体ラックトレイTRに検体ラックRが残っている状態では、以下のような状態となっている。すなわち、検体ラックトレイTR上において最も搬送ライン611側にある検体ラックRが検体ラックトレイTRと搬送ライン611の境界部41に位置してしまっている。このため、このまま、検体ラックトレイTRを取り出すと、ラック脱落防止部304と、搬送ライン611側にある検体ラックRが干渉してしまうおそれがある。このため、検体ラックRを検体ラックトレイTR側へ押し戻す必要がある。
【0031】
本実施形態では、検体ラックRが搬送ライン611から搬送された後、前記したように第1アーム部411は毎回ホームポジションへ戻る。第1アーム部411がホームポジションに戻る時、第1アーム部411と共に第2アーム部443が作動する。第2アーム部443は、ホームポジションへ戻る第1アーム部411と同じ方向(符号A21の方向)に移動し、かつ、ホームポジションへ戻る第1アーム部411と共に動作する。第2アーム部443は、最も搬送ライン611側に位置する検体ラックRを検体ラックトレイTR上の所定位置へ押し戻す。このように、最も搬送ライン611側に位置する検体ラックRが検体ラックトレイTR内の所定位置へ戻される。このようにすることで、第1アーム部411がホームポジションに位置している間は検体ラックトレイTR内に検体ラックRが残っていても、ラック脱落防止部304と検体ラックRとが干渉することがなくなる。この結果、検体ラックトレイTRを供給ベース部121から取り出すことができる。
【0032】
第2アーム部443は、検体ラックRを検体ラックトレイTR内の所定位置へ戻した後、ホームポジションへ戻る。つまり、第2アーム部443は、動作開始前の位置に戻る。
第2アーム部443の具体的な動作については後記する。
【0033】
図6は、収納部102における検体ラックRの収納の動作を示す図である。
分析が終了した検体ラックRは、待機ディスク241から搬送ライン611(キャリアF1)によって矢印A31の方向に搬送され、収納位置に到達する。収納位置とは、
図6に示すように、搬送ライン611において収納部102の真横となる位置である。検体ラックRが収納位置に到達したか否かは、キャリアF1の位置情報を制御装置231を監視することによって行われる。
待機ディスク241から検体ラックRがラック供給・収納装置100に搬送される際、制御装置231は、検体ラックRが待機ディスク241から搬送される旨の情報を受け取る。そして、制御装置231は、この情報を受け取ると、収納アーム部511を
図6に示すような位置へ移動させ、検体ラックRの収納準備を行う。
収納アーム511によって捕獲された検体ラックRは、収納アーム部511によって、矢印A32の方向へ押動され、収納ベース部514にセットされている検体ラックトレイTRに収納される。
【0034】
このようにすることで、検体ラックバッファを有さなくても、検体ラックトレイTRから直接搬送ライン611へ検体ラックRを供給することが可能となる。また、検体ラックトレイTRに検体ラックRが残っている場合でも、検体ラックTRへの検体ラックRの追加が可能となる。
このように、検体ラックバッファが不要となるため、ラック供給・収納装置100を小型化することができる。結果として、分析システム1を小型化することができる。
【0035】
<緊急検体ラックRhの投入時>
図7は、緊急検体ラックRhの緊急投入時における動作を示す図である。適宜、
図1及び
図2を参照する。
搬送ライン611に緊急検体ラックRhが投入されると、緊急ラック検知センサ114が緊急検体ラックRhの投入を検知する。そして、制御装置231へ緊急検体ラックRhの搬送が可能か問い合わせが行われる。なお、緊急検体ラックRhの搬送が不可能な場合とは、第1アーム部411や、第2アーム部443が動作している等、検体ラックRの搬送が行われている場合である。
【0036】
この問い合わせにおいて、制御装置231は、待機ディスク241の空きや、第1アーム部411、第2アーム部443の動作状況を確認する。制御装置231は、搬送可能の信号を受け取ると、キャリアF1が緊急検体ラックRhの投入箇所まで移動し、緊急検体ラックRhの底部に設けられている被掛止部(不図示)に掛止する。
その後、搬送ライン611(キャリアF1)によって矢印A41の方向へ緊急検体ラックRhが搬送される。このとき、バーコードリーダ113によって緊急検体ラックRhに貼付されているバーコードが読み取られ、待機ディスク241へ搬送される。
ちなみに、緊急検体ラックRhは検体ラックRと同じ構成を有している。また、搬送ライン611において、緊急検体ラックRhの投入箇所は投入された緊急検体ラックRhを保持する保持部(不図示)が設けられている。
【0037】
図8は、供給部101を上面からみた装置模式図であり、
図9は
図8を矢印C1方向からみた装置模式図である。
なお、
図8及び
図9は、第1アーム部411がホームポジションに位置している時の状態を示している。
図9に示すように、供給部101では、第1アーム部411と、戻し棒412とは一体となって設けられており、モータ421によって駆動するベルト422に取り付けられている。
また、基部401には戻し回転板431が設置されている。戻し回転板431の上には、戻し回転板431より
面積が小さい回転補助部432が、戻し回転板431と一体に設置されている。また、
図8に示すように、戻し回転板431は、基部401に対しねじりバネ433を介して接続されている。戻し回転板431は、ねじりバネ433が接続されている箇所を支点として紙面左右方向に回動可能であるが、回動後、ねじりバネ433によって初期位置に戻る。
【0038】
また、
図8及び
図9に示すように、第2アーム部443は、第1支持部442を介して戻し駆動棒44
1と一体となるよう接続している。なお、第1支持部442は、第2アーム部443が検体ラックトレイTR側へ移動する際、搬送ライン611と干渉しないよう、側面コの字形状を有している。
ここで、
図9に示すように、戻し棒412は、回転補助部432と接触可能な高さに設置され、戻し回転板431は戻し駆動棒441と接触可能な高さに設置されている。
また、第2支持部461は、第1支持部442に対してリニアガイドの機能を有しており、基部401と一体に設置されている。また、
図8に示すように、第2支持部461の一部にはバネ451が接続されている。このバネ451の他端は戻し駆動棒441に接続されている。
【0039】
図10は、供給部101の動作を示す図(その1)である。
図10は、第1アーム部411が、
図8に示すホームポジションより符号B1の方向(搬送ライン611側)へ移動した状態を示している。
第1アーム部411は、モータ421が駆動することによって移動するベルト422と共に移動する。
そして、第1アーム部411と一体に設けられている戻し棒412が戻し回転板431の位置に達すると、戻し棒412が戻し回転板431に設けられている回転補助部432に接触する。第1アーム部411が、そのまま移動し続けると、戻し棒412は、回転補助部432を介して戻し回転板431を押動する。押動された戻し回転板431は、基部401との接続部を支点に紙面右回りに回転する(矢印B11)。
【0040】
そして、第1アーム部411が、さらに移動し続けることで、戻し棒412が回転補助部432から外れる。すると、戻し回転板431は、ねじりバネ433の力により初期位置へと戻る(
図10の二点鎖線の状態)。
なお、第1アーム部411が搬送ライン611側へ移動する際、第2アーム部443、第1支持部442、戻し駆動棒441は戻し棒412等に触れないため動作しない。
【0041】
図11は、供給部101の動作を示す図(その2)である。
検体ラックRが第1アーム部411によって押し出されることで、搬送ライン611(キャリアF1)にセットされる。すると、制御装置231は、第1アーム部411の動作を停止し、これまでとは逆方向(符号B2の方向)へと第1アーム部411を移動させる。なお、搬送ライン611(キャリアF1)への検体ラックRのセットは、ラック検知センサ112によって検知される。
【0042】
第1アーム部411は、モータ421の駆動に伴うベルト422の移動によって、符号B2の方向へ移動する。そして、
図11に示すように、第1アーム部411と一体に設けられている戻し棒412が戻し回転板431の位置に達すると、戻し駆動棒441が回転補助部432を介して戻し回転板431を押動する。この結果、戻し回転板431は基部401との接続部を支点として紙面逆時計回りに回転する(矢印B12)。
【0043】
すると、
図11に示すように、戻し回転板431が戻し駆動棒441を押動する。これによって、戻し駆動棒441が符号B2の方向へ移動する。すると、戻し駆動棒441と一体に接続されている第1支持部442及び第2アーム部443が符号B2の方向へ移動する。これによって、検体ラックトレイTRにおいて、最も搬送ライン611側に位置している検体ラックRが第2アーム部443によって検体ラックトレイTR側に押動される。
【0044】
図12は、供給部101の動作を示す図(その3)である。
図12において、実線で示す状態は
図11に示す状態と同様の状態である。
図11の状態から第1アーム部411が、さらに符号B2側に移動すると、戻し駆動棒441が回転補助部432から外れる。すると、戻し回転板431は、基部401との接続部に設けられているねじりバネ433の力により初期位置に戻る。すると、戻し回転板431による支えを失った戻し駆動棒441は、バネ451の力によって符号B1の方向へ移動し、初期位置に戻る。これに伴って、第1支持部442及び第2アーム部443も符号B1の方向へ移動し、初期位置、すなわち、ホームポジションへ戻る(
図12の二点鎖線の状態)。
【0045】
なお、第1アーム部411は、ホームポジションまで移動した後、停止する。
【0046】
なお、本実施形態では、戻し回転板431を介することにより、第1アーム部411と、第2アーム部443との動作が連携するようになっているが、これに限らない。例えば、モータ421とは別に第2アーム部専用のモータが設けられ、モータ421と、第2アーム部専用のモータとが連携して動作するよう制御装置231が制御するようにしてもよい。
【0047】
また、分析システム1によって分析可能な項目に関する分析パラメータは、予めタッチパネル等の情報入出力装置(不図示)を介して入力されておリ、記憶媒体(不図示)に記憶されている。操作者は、情報入出力装置における操作機能画面を用いて各サンプルに依頼されている検査項目を選択することによって、搬送依頼を制御装置231に指示する。
【0048】
<フローチャート>
(検体ラックRの搬送)
図13は、供給部101の動作手順を示すフローチャートである。
まず、操作者によって検体ラックトレイTRが供給ベース部121にセットされる(S101)。
すると、トレイ検知センサ111によって制御装置231が検体ラックトレイTRのセットを検知する(S102)。
【0049】
次に、制御装置231は、キャリアF1の位置がホームポジション(HP)であるか否かを確認する(S111)。キャリアF1のホームポジションは、第1アーム部411によって押し出された検体ラックRがセットされる箇所である。
ステップS111の結果、キャリアF1の位置がホームポジション以外の場合(S111→No)、キャリアF1による検体ラックRの搬送動作中であるので、所定時間待機する(S112)。この場合の所定時間とは、およそ1つの検体ラックRの搬送に要する時間である。これによって、制御装置231は、キャリアF1による検体ラックRの搬送動作が終了するのを待機する。その後、制御装置231はステップS111へ処理を戻す。
【0050】
ステップS111の結果、キャリアF1の位置がホームポジションである場合(S111→Yes)、制御装置231は第1アーム部411を搬送ライン611側へ動作させる(S113)。これにより、検体ラックトレイTR上の検体ラックRが搬送ライン611上へ押し出される。
次に、制御装置231は、ラック検知センサ112から検体ラックRの有無に関する情報を取得し、搬送ライン611上に検体ラックRが存在するか否かを判定する(S114)。
ステップS114の結果、搬送ライン611上に検体ラックRが存在しない場合(S114→No)、制御装置231は、第1アーム部411の動作開始から所定時間経過したか否かを判定する(S115)。この場合の所定時間とは、およそ1つの検体ラックRにおける搬送ライン611(キャリアF1)のセットに要する時間である。
【0051】
ステップS115の結果、所定時間経過していない場合(S115→No)、制御装置231は、ステップS114へ処理を戻す。
ステップS115の結果、所定時間経過している場合(S115→Yes)、制御装置231は、検体ラックRが存在しない旨のアラームを図示しない表示装置へ表示させる(S116)。
【0052】
ステップS114の結果、搬送ライン611上に検体ラックRが存在する場合(S114→Yes)、制御装置231は、第1アーム部411の動作を停止させる(S121)。
そして、制御装置231は、キャリアF1を動作させて、検体ラックRを待機ディスク241へ搬送する(S122)。
その後、第1アーム部411がホームポジションへ戻ると同時に、第2アーム部443が動作して(S123)、最も搬送ライン611側に位置する検体ラックRを検体ラックトレイTR上へ押し戻す。これにより、供給ベース部121から検体ラックトレイTRを取り出すことが可能な状態となる。
【0053】
その後、第2アーム部443がホームポジション(HP)へ移動する(S124)。
そして、制御装置231は、検体ラックRの追加が可能になった旨をタッチパネルモニタ等の情報入出力装置(不図示)、もしくはLED(不図示)等で表示する(S125)。
その後、制御装置231は、情報入出力装置を介して、次の指示を受け取ったか否かを判定する(S126)。
ステップS126の結果、次の指示を受け取っていない場合(S126→No)、制御装置231はステップS126へ処理を戻す。
ステップS126の結果、次の指示を受け取った場合(S126→Yes)、制御装置231はステップS111へ処理を戻す。
【0054】
(緊急検体ラックRhの投入時)
図14は、緊急検体ラックRhの投入時における供給部101の動作手順を示すフローチャートである。
まず、操作者により緊急検体ラックRhが搬送ライン611に投入される(S201)。
すると、緊急検体ラックRh設置位置に設けられている緊急ラック検知センサ114により緊急検体ラックRhの投入が検知される(S202)。
【0055】
すると、制御装置231は、本処理による割り込み処理を開始し、キャリアF1の位置がホームポジション(HP)であるか否かを確認する(S211)。前記したように、キャリアF1のホームポジションは、第1アーム部411によって押し出された検体ラックRがセットされる箇所である。
ステップS211の結果、キャリアF1の位置がホームポジションでない場合(S211→No)、制御装置231は所定時間、待機して(S221)、ステップS211へ処理を戻す。この場合の所定時間とは、およそ1つの検体ラックRの搬送に要する時間である。
【0056】
ステップS211の結果、キャリアF1の位置がホームポジションである場合(S211→Yes)、制御装置231は、第2アーム部443の位置がホームポジション(HP)であるか否かを判定する(S212)。
ステップS212の結果、第2アーム部443の位置がホームポジションでない場合(S211→No)、制御装置231は所定時間、待機して(S221)、ステップS211へ処理を戻す。この場合の所定時間とは、およそ1つの検体ラックRの搬送に要する時間である。これによって、第2アーム部443が緊急検体ラックRhの搬送を妨げないようにする。
【0057】
ステップS212の結果、第2アーム部443の位置がホームポジションである場合(S212→Yes)、制御装置231は、第1アーム部411の位置がホームポジション(HP)であるか否かを判定する(S213)。
ステップS213の結果、第1アーム部411の位置がホームポジションでない場合(S213→No)、制御装置231は所定時間、待機して(S221)、ステップS211へ処理を戻す。この場合の所定時間とは、およそ1つの検体ラックRの搬送に要する時間である。これによって、第1アーム部411が緊急検体ラックRhの搬送を妨げないようにする。
【0058】
ステップS213の結果、第1アーム部411の位置がホームポジションである場合(S213→Yes)、制御装置231は、キャリアF1を動作させて、緊急検体ラックRhを待機ディスク241へ搬送する(S214)。具体的には、制御装置231はキャリアF1を緊急検体ラックRhの投入箇所へ移動させ、緊急検体ラックRhの被掛止部(不図示)にキャリアF1を掛止させる。その後、制御装置231はキャリアF1を待機ディスク241の方へ移動させる。
その後、制御装置231は、ステップS201へ処理を戻す。
搬送された緊急検体ラックRhは、待機ディスク241内で分析を待っている未処理の検体ラックRに割り込む形で第1分析装置200Aや、第2分析装置200Bへと搬送され、分析が行われる。
【0059】
なお、
図14のフローチャートでは、キャリアF1、第2アーム部443、第1アーム部411の動作が行われているかどうかが確認されている。しかしながら、実際には、これらの動作確認に加えて、収納アーム部511の動作確認や、待機ディスク241に空きがあるか否かの確認等が行われるが、ここでは図示及び説明を省略した。
【0060】
なお、本実施形態では、第1アーム部411のホームポジションは、検体ラックトレイTRから外れた位置としているが、これに限らず、新たな検体ラックRが追加可能な位置をホームポジションとしてもよい。この場合、ベルト422の長さを短くすることで、第1アーム部411の移動範囲を、搬送ライン611から新たな検体ラックRが追加可能な位置までとしてもよい。
【0061】
<キャリアF1>
次に、
図15及び
図16を参照して、キャリアF1について説明する。
図15は、検体ラックRにセットされているキャリアF1を示す図である。また、
図16は、
図15において、キャリアF1近傍を拡大した図である。また、
図15及び
図16において、白抜き矢印はキャリアF1による検体ラックRの搬送方向を示す。
図16に示すように、キャリアF1は、支持部F12と、支持部F12に載設されているつば部F11とを有する。ここで、
図16に示すように、つば部F11は、支持部F12の外側方向に突出している。なお、支持部F12の形状は、四角柱でも円柱でもよい。また、つば部F11の形状は、四角形でも円形でもよい。
【0062】
図15及び
図16に示すように、キャリアF1は、検体ラックRの底部に設けられている溝321の内部に設置(セット)される。溝321は、
図2において、転倒防止部301が勘合する溝321であり、開口部323において、内側方向に突出している突出部322を有する。
図15及び
図16に示すように、キャリアF1によって検体ラックRが搬送されている時、キャリアF1は溝321の開口部323を押し当てるようにして検体ラックRを搬送する。
この時、搬送ライン611(
図3~
図6参照)上に段差があっても、キャリアF1のつば部F12が、溝321の突出部322に引っかかることで、検体ラックRが浮き上がるのを防止することができる。搬送ライン611の段差は、組み立て誤差や、搬送ライン611の据え付け時の影響等が原因で生じる。
【0063】
また、
図15及び
図16に示すように、キャリアF1のつば部F11の径は、検体ラックRの溝321の開口部323より小さい。
このようにすることで、なんらかの原因で検体ラックRの搬送が途中で停止しても、作業者は、容易に検体ラックRをキャリアF1から手動で取り外すことができる。
なお、キャリアF1のつば部F11の径は、検体ラックRの溝321の開口部323より小さくても、前記したように検体ラックRの搬送中では、キャリアF1が検体ラックRの溝321に押し付けられている。そのため、搬送ライン611に段差があっても、溝321に押し付けられている側のつば部F11が溝321の突出部322に引っかかることで、検体ラックRが浮き上がるのを防止することができる。
【0064】
なお、キャリアF1は、検体ラックRの横方向から溝321にセットされてもよいし、検体ラックRの下方向から溝321にセットされてもよい。
【0065】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0066】
また、前記した各構成、機能、制御装置231、記憶媒体等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0067】
1 分析システム(分析装置)
100 ラック供給・収納装置
101 供給部
114 緊急ラック検知センサ
121 供給ベース部(セット部)
231 制御装置(制御部)
321 溝
401 基部
411 第1アーム部(押出部)
412 戻し棒
421 モータ
422 ベルト
431 戻し回転板
432 回転補助部
433 ねじりバネ
441 戻し駆動棒
442 第1支持部
443 第2アーム部(押込部)
451 バネ
461 第2支持部
611 搬送ライン(搬送部)
F1 キャリア(搬送部)
F11 つば部
R 検体ラック
Rh 緊急検体ラック
TR 検体ラックトレイ