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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ジッパー付き袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20221025BHJP
   B65D 33/10 20060101ALI20221025BHJP
   B65D 33/34 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
B65D33/25 A
B65D33/10
B65D33/34
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018166970
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020040675
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/051835(WO,A1)
【文献】特開2015-217980(JP,A)
【文献】特開2014-28652(JP,A)
【文献】米国特許第6922852(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0294315(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1壁面シート部及び第2壁面シート部を有し、内部に収納空間が形成された袋本体と、
互いに咬合可能な第1咬合部及び第2咬合部を有し、前記袋本体の開口部を閉塞するジッパーと、を備え、
前記第1咬合部が、第1咬合部から下方に延設された取付け部を介して前記第1壁面シート部の内面に取り付けられ、前記第2咬合部が、直接又は取付け部を介して前記第2壁面シート部の内面に取り付けられているジッパー付き袋であって、
前記第1咬合部の下方に、2枚のシート片が重ねられた第1の2重シート部が形成され、前記第1の2重シート部を構成する外側のシート片の面内に、上下方向に延びる部分を有し且つ指を挿入可能な第1切り目が形成され、
前記第1の2重シート部には、前記第1切り目から幅方向側方に進入させた指を保持可能な第1保持部が設けられ、
前記第2咬合部の下方に、2枚のシート片が重ねられた第2の2重シート部が形成され、前記第2の2重シート部を構成する外側のシート片の面内に、上下方向に延びる部分を有し且つ指を挿入可能な第2切り目が形成され、
前記第2の2重シート部には、前記第2切り目から幅方向側方に進入させた指を保持可能な第2保持部が設けられ、
前記第1切り目及び第2切り目の上下方向中央部が、前記第1咬合部及び第2咬合部に対して下方に30mm~80mm離れた位置となるように、前記第1切り目及び第2切り目が形成されている、ジッパー付き袋。
【請求項2】
前記第1の2重シート部が、前記第1切り目から進入させた指の長手方向を前記袋本体の幅方向に向けた状態で指を保持できる第1筒袋部位を有する、請求項1に記載のジッパー付き袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーによって袋本体が閉塞されるジッパー付き袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部にジッパーが設けられているジッパー付き袋が知られている。
また、ジッパーを開封し難くした改竄防止機能を有するジッパー付き袋も知られている。
例えば、特許文献1には、開口を有し物品を収納する収納空間を区画する袋本体と、一対の雄側鈎部および雌側鈎部が互いに咬合可能な咬合部と、前記咬合部にそれぞれ連設する一対の帯状基部とを備え、前記袋本体の内面に取り付けられるジッパーテープとを備えたジッパーテープ付袋体であって、前記帯状基部のいずれか一方が、少なくとも前記袋本体の開口側に対応する一縁側と前記袋本体の収納空間側に対応する他縁側が前記袋本体に取り付けられ、前記帯状基部のいずれか他方は、前記袋本体の開口側に対応する一縁側は前記袋本体に取り付けられず、前記袋本体の収納空間側に対応する他縁側が前記袋本体に取り付けられているジッパーテープ付袋体が開示されている。
【0003】
かかるジッパーテープ付き袋体は、帯状基部のいずれか他方のみ、袋本体の開口側に対応する一縁側を袋本体に取り付けないので、袋本体を開封させようとすると、一対の帯状基部がそれぞれ反対方向で咬合部を剪断する方向に移動する状態となる。このため、雄側鈎部および雌側鈎部が互いに噛み合う方向に開封力が作用し、咬合が外されて袋本体が開封することを防止でき、確実に改竄を防止することができる。
【0004】
特許文献1のジッパーテープ付き袋体は、上述のように、開封困難な改竄防止機能を有するので、悪戯や不正行為などの改竄による開封(悪意を持った行為に基づく開封)を未然に防止でき、さらに、不用意な開封(改竄意図はないが、誤って開けてしまうなど)も防止できる。以下、改竄による開封及び不用意な開封を総称して「予定外の開封」又は「予定外開封」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-217980号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、かかる袋体は、例えば、それを購入した者にとって開封困難である。つまり、上記ジッパーテープ付袋体は、予定外の開封でなく、正規に開封したいときに容易に開封できないので、その改善が求められる。以下、予定外開封でない開封を、便宜上、「正規開封」という場合がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、予定外の開封を防止できる機能を有しつつ、容易に開封できるジッパー付き袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のジッパー付き袋は、対向配置された第1壁面シート部及び第2壁面シート部を有し、内部に収納空間が形成された袋本体と、互いに咬合可能な第1咬合部及び第2咬合部を有し、前記袋本体の開口部を閉塞するジッパーと、を備え、前記第1咬合部が、第1咬合部から下方に延設された取付け部を介して前記第1壁面シート部の内面に取り付けられ、前記第2咬合部が、直接又は取付け部を介して前記第2壁面シート部の内面に取り付けられているジッパー付き袋であって、前記第1咬合部の下方に、2枚のシート片が重ねられた第1の2重シート部が形成され、前記第1の2重シート部を構成する外側のシート片の面内に、上下方向に延びる部分を有し且つ指を挿入可能な第1切り目が形成され、前記第1の2重シート部には、前記第1切り目から幅方向側方に進入させた指を保持可能な第1保持部が設けられ、前記第2咬合部の下方に、2枚のシート片が重ねられた第2の2重シート部が形成され、前記第2の2重シート部を構成する外側のシート片の面内に、上下方向に延びる部分を有し且つ指を挿入可能な第2切り目が形成され、前記第2の2重シート部には、前記第2切り目から幅方向側方に進入させた指を保持可能な第2保持部が設けられ、前記第1切り目及び第2切り目の上下方向中央部が前記第1咬合部及び第2咬合部に対して下方に30mm~80mm離れた位置となるように、前記第1切り目及び第2切り目が形成されている
【0009】
本発明の好ましいジッパー付き袋は、前記第1の2重シート部が、前記第1切り目から進入させた指の長手方向を前記袋本体の幅方向に向けた状態で指を保持できる第1筒袋部位を有する
【発明の効果】
【0010】
本発明のジッパー付き袋は、予定外の開封を防止できる。さらに、本発明のジッパー付き袋は、第1保持部及び第2保持部が設けられているので、その保持部にそれぞれ指を保持させて第1壁面シート部及び第2壁面シート部を引っ張ることにより、ジッパーを容易に開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態のジッパー付き袋の正面図(第1壁面シート部側から見た図)。
図2】同ジッパー付き袋の背面図(第2壁面シート部側から見た図)。
図3図1のIII-III線で切断した端面図(ジッパー付き袋の幅方向中央部において上下方向で切断した端面図)。端面図は、切断面のみを表した図をいう(以下、同じ)。
図4図1のIV-IV線で切断した端面図。
図5】同ジッパー付き袋の第1壁面シート部側を上方から見た斜視図。
図6】同ジッパー付き袋の第2壁面シート部側を上方から見た斜視図。
図7】同ジッパー付き袋を予定外開封した際の状況を示す端面図であって、その際のジッパー付き袋を上下方向で切断した端面図。
図8】同ジッパー付き袋を正規開封する際に、第1保持部及び第2保持部に人指し指を入れた状態を示す斜視図。
図9】第1保持部及び第2保持部に人指し指を入れた後、第1壁面シート部及び第2壁面シート部に親指を添えた状態を示す斜視図。
図10図9のジッパー付き袋を上下方向で切断した端面図。
図11】ジッパー付き袋を正規開封し、第1咬合部と第2咬合部の咬合が解除された状態を示す斜視図。
図12図11のジッパー付き袋を上下方向で切断した端面図。
図13】第2実施形態のジッパー付き袋の正面図(第1壁面シート部側から見た図)。
図14図13のXIV-XIV線で切断した端面図。
図15】第3実施形態のジッパー付き袋の正面図(第1壁面シート部側から見た図)。
図16図15のXVI-XVI線で切断した端面図。
図17】第4実施形態のジッパー付き袋の正面図(第1壁面シート部側から見た図)。
図18図17のXVIII-XVIII線で切断した端面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、方向を示す用語として、「上」及び「下」を使用するが、「上」は、袋本体を基準にしてその開口部側を指し、「下」は、上とは反対側(袋本体の開口部とは反対側)を指す。例えば、図1では、袋本体の開口部を紙面の上側にして表している。「幅」又は「幅方向」は、図1の正面視において、上下方向と直交する方向である。また、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。
本明細書において、「~」で表される数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「~」で結んだ範囲とすることができるものとする。
各図に示される層、部分及び部材の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0013】
[第1実施形態]
図1乃至図6において、ジッパー付き袋1は、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22を有する袋本体2と、前記袋本体2の開口部29を閉塞するために袋本体2に取り付けられたジッパー3と、を有する。
本発明のジッパー付き袋1は、袋本体2の第1壁面シート部21と第2壁面シート部22にそれぞれ、指を保持する保持部51,52が設けられていることを特徴とする。
【0014】
<袋本体>
袋本体2は、内部に収納空間28を有する袋状である。袋本体2には、前記収納空間28に通じる開口部29が上方に形成されている。
袋本体2は、柔軟なシート材からなる第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22を有し、第1壁面シート部21と第2壁面シート部22は、互いの内面同士を向かい合わせて配置されている。
第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の正面視形状は、特に限定されず、例えば、正面視略四角形状、略六角形状などの略多角形状;略円形状;略楕円形状;略T字状;これらの形状が組み合わされた異形状;などが挙げられる。本明細書において「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を意味する。略四角などの略多角、略T字の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。なお、角部が面取りされているとは、角張った部分の角を取り去り、その部分を弧状又はなだらかな鈍角状に形成することをいう。略円及び略楕円の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
図示例では、図1のように、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22は、いずれも正面視略長方形状(又は略正方形状)であり、同形同大である。
【0015】
<ジッパー>
ジッパー3は、袋本体2の開口部29を閉塞するべく、袋本体2の内面側に設けられている。図示のように、開口部29が幅方向に拡がっている袋本体2にあっては、ジッパー3は、袋本体2の開口部29の近傍において幅方向に延在されている。
具体的には、ジッパー3は、互いに咬合可能な第1咬合部31及び第2咬合部32を有する。第1咬合部31及び第2咬合部32としては、雄雌鈎の咬合構造のもの、例えば、特許文献1(特開2015-217980号公報)に開示された咬合構造などが挙げられる。第1咬合部31と第2咬合部32は、互いに咬合することによって一体化され、また、前記咬合を解除することによって互いに離反可能である。
第1咬合部31は、例えば、図3に示すように、基部311と前記基部311から第2咬合部32側に向かって突設された雄側鈎部312とからなり、袋本体2の幅方向に延在されている。第2咬合部32は、基部321と前記基部321から第1咬合部31側に向かって突設された雌側鈎部322とからなり、袋本体2の幅方向に延在されている。なお、図示例とは反対に、第1咬合部31が雌側鈎部を有し、第2咬合部32が雄側鈎部を有していてもよい。
【0016】
第1咬合部31には、上方(第1咬合部31を基準にして収納空間28とは反対側)及び下方(第1咬合部31を基準にして収納空間28側)に向かって一対の延出部411,412が延設されている。図示例では、第1咬合部31の基部311の上端に、上方且つ袋本体2の幅方向に延設された帯板状の第1上延出部411が設けられており、前記第1咬合部31の基部311の下端に、下方且つ袋本体2の幅方向に延設された帯板状の第1下延出部412が設けられている。
第2咬合部32には、上方(第2咬合部32を基準にして収納空間28とは反対側)及び下方(第2咬合部32を基準にして収納空間28側)に向かって一対の延出部421,422が延設されている。図示例では、第2咬合部32の基部321の上端に、上方且つ袋本体2の幅方向に延設された帯板状の第2上延出部421が設けられており、前記第2咬合部32の基部321の下端に、下方且つ袋本体2の幅方向に延設された帯板状の第2下延出部422が設けられている。
【0017】
第1咬合部31は、下方に延設された第1下延出部412を介して第1壁面シート部21の内面に取り付けられている。この第1下延出部412は、第1咬合部31を第1壁面シート部21に取り付けるための取付け部に相当する。第1下延出部412のみを介して取り付けられた第1咬合部31にあっては、その基部311及び第1上延出部411は、第1壁面シート部21の内面から離れている。従って、第1咬合部31及び第1上延出部411は第1壁面シート部21の上端部21aの動きに追従することがない。
第2咬合部32は、その基部321が第2壁面シート部22の内面に直接に取り付けられている。さらに、第2咬合部32の基部321と共に、第2上延出部421及び第2下延出部422も第2壁面シート部22の内面に取り付けられている。この第2上延出部421及び第2下延出部422は、第2咬合部32を第2壁面シート部22に取り付けるための取付け部に相当する。従って、第2咬合部32及び第2上延出部421は、第2壁面シート部22の上端部22aの動きに追従する。なお、第2咬合部32を直接的に第2壁面シート部22に取り付けるだけでもよく、或いは、第2下延出部422のみを介して第2壁面シート部22の内面に第2咬合部32を取り付けてもよい(図示せず)。
第1咬合部31及び第2咬合部32並びに各延出部411,…の第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22に対する取り付け方法は、特に限定されず、熱溶着、接着剤を用いた接着などが挙げられる。
【0018】
第1咬合部31及び第2咬合部32を有するジッパー3の上下方向における取り付け位置は、特に限定されず、適宜設定できる。
例えば、第1咬合部31及び第2咬合部32は、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の上端に略一致する位置に取り付けられていてもよく、或いは、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の上端から下方に寄った位置に取り付けられていてもよい。
図示例では、第1上延出部411及び第2上延出部421を第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の上端から外側に突出させず、第1咬合部31及び第2咬合部32が、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の上端から下方に寄った位置に取り付けられている。換言すると、第1壁面シート部21の上端部21a及び第2壁面シート部22の上端部22aは、第1上延出部411及び第2上延出部421の上端よりも上方に突出されている。
【0019】
<第1保持部及び第2保持部>
袋本体2の第1壁面シート部21の外部には、幅方向側方から進入させた指を保持可能な第1保持部51が設けられ、第2壁面シート部22の外部には、幅方向側方から進入させた指を保持可能な第2保持部52が設けられている。
第1保持部51は、第1壁面シート部21の外側の、前記第1咬合部31よりも下方位置に設けられ、第2保持部52は、第2壁面シート部22の外側の、前記第2咬合部32よりも下方位置に設けられている。
柔軟なシート材からなる袋本体2に形成される第1保持部51及び第2保持部52は、いずれも柔軟なシート材から形成されている。
第1保持部51及び第2保持部52は、それぞれ、指の長手方向を袋本体2の幅方向に向けた状態で指を保持できる筒袋部位と、その筒袋部位の空間(指を入れる空間)に連通し且つ幅方向側方において開放された差入れ口と、を有する。差入れ口は、袋本体2の幅方向側方から指を前記筒袋部位の空間に入れることができるように、幅方向側方において開放されている。
例えば、第1保持部51及び第2保持部52は、いずれも、内外で重ねられた2重シート部から構成されている。
【0020】
<第1保持部の具体例>
具体的には、本実施形態では、第1壁面シート部21は、第1外側シート片211と、その第1外側シート片211の内面側に重ねられた第1内側シート片212と、から構成されている。第1外側シート片211は、第1壁面シート部21の正面視形状を成しており、例えば、正面視略四角形状に形成されている。第1内側シート片212は、前記第1外側シート片211よりも小面積であり、例えば、幅方向を長手とする正面視略長方形状に形成されている。詳しくは、第1内側シート片212は、第1外側シート片211の幅方向長さと同じで且つ第1外側シート片211の上下方向長さよりも十分に小さい。
なお、第1内側シート片212の幅方向長さは、第1外側シート片211の幅方向長さよりも小さくてもよい。
【0021】
ジッパー3の第1咬合部31は、第1壁面シート部21を構成する第1外側シート片211の上方領域に設けられている。第1内側シート片212は、前記第1咬合部31の第1下延出部412に重ならないように、第1外側シート片211の中途領域(第1咬合部31よりも下方位置)に配設されている。
第1内側シート片212の周端部は、第1外側シート片211に接着されている。第1内側シート片212の周端部が第1外側シート片211に接着されていることにより、周端部で囲われる範囲内における第1内側シート片212と第1外側シート片211の間に空間が形成されている。かかる第1内側シート片212と第1外側シート片211が重ねられた領域が、2重シート部であり、この2重シート部が、第1保持部51の筒袋部位(第1筒袋部位511)を構成している。第1内側シート片212は第1外側シート片211の幅方向長さと同じであるので、第1筒袋部位511は、第1壁面シート部21の幅方向略全体に亘って延在されている。なお、指を入れる前の第1筒袋部位511は、扁平状であるが、指を差し入れると柔軟に立体的に変化する。
2重シート部の上下方向長さは、概ね第1筒袋部位511の周長×1/2に相当する。指の長手方向を袋本体2の幅方向に向けた状態で第1筒袋部位511内に指を保持できるように、第1筒袋部位511の周長は、少なくとも1本の指の太さ(指の周長)よりも大きく設定される。かかる第1筒袋部位511の周長を考慮して、2重シート部の上下方向長さが設定される。
【0022】
また、第1外側シート片211のうち、前記2重シート部を構成している領域には、第1切り目61が形成されている。第1外側シート片211の2重シート部に第1切り目61を形成することにより、その第1切り目61において第1筒袋部位511の空間が外部と連通するようになる。第1切り目61は、第1筒袋部位511の幅方向側方に形成される。第1筒袋部位511は袋本体2の幅方向略全体に亘って存在するので、第1切り目61を任意の箇所に形成することにより、第1切り目61は第1筒袋部位511の幅方向の少なくとも1つの側方に位置するようになる。この第1切り目61で囲われた範囲が第1外側シート片211の面内から離れることによって生じる開放部分(この開放部分は第1筒袋部位511の側方に生じる)が、第1保持部51の差入れ口(第1差入れ口512)である。指の長手方向を袋本体2の幅方向に向けて、前記第1差入れ口512から第1筒袋部位511内に指を挿入でき、挿入された指は第1筒袋部位511に保持される(保持された指の状態を図1の二点鎖線に示す)。
第1切り目61(第1差入れ口512)は、少なくとも1本の指を挿入できる程度に形成されていればよい。例えば、第1切り目61は、正面視で、上下方向に延びる直線状又は波線状若しくはジグザグ状などの非直線状、或いは、上下方向に対して傾斜した又は波線状若しくはジグザグ状などの非直線状、或いは、幅方向に延びる直線状又は波線状若しくはジグザグ状などの非直線状、或いは、幅方向に延びる線と上下方向に延びる線が組み合わされた形状などに形成されている。
【0023】
第1差入れ口512から指を入れやすくなることから、第1切り目61は、幅方向側方に膨らんだ部分を有する非直線状に形成されていることが好ましい。このような平面視形状の第1切り目61は、例えば、図視のような、両端部を有し且つその両端部から幅方向の1つの側方に円弧状に膨らんだ略横向きU字状、その他、図視しないが、両端部を有し且つその両端部から幅方向の1つの側方に角状に膨らんだ略コの字状又は略くの字状などが挙げられる。かかる第1切り目61で囲われた範囲(以下、第1舌部53という)は、第1外側シート片211とは独立して自由に内外へ動き得る。
なお、前記第1切り目61が形成された第1外側シート片211は、封緘性がないが(第1切り目61にて内外が通じているが)、その裏面側に第1内側シート片212が重ねられ且つその周端部(周囲全体)が第1外側シート片211に接着されているので、第1壁面シート部21の封緘性は保たれている。
【0024】
第1切り目61の形成位置は、特に限定されない。第1切り目61の幅方向の形成位置は、図示例のように、幅方向中央部でもよく、或いは、幅方向の1つの側方寄りであってもよい。幅方向中央部に第1切り目61(第1差入れ口512)を形成することにより、指を挿入保持可能な第1保持部51がその第1切り目61(第1差入れ口512)を基準にして幅方向両側に形成される。第1切り目61(第1差入れ口512)の両側に第1保持部51が形成されることにより、正規開封時に、右手及び左手のいずれの指A,B(図1の二点鎖線を参照)でも第1保持部51に保持させることができる。
また、第1切り目61の上下方向の形成位置は、図示例のように上下方向中央部でもよく、或いは、下方寄り又は上方寄りであってもよい。もっとも、第1切り目61の上下方向の位置は、後述するように、開封時に、親指が当たるように、設定することが好ましい。具体的な寸法では、第1切り目61の上下方向中央部が第1咬合部31に対して下方に30mm~80mm離れた位置となるように、第1切り目61を形成することが好ましい。
【0025】
<第2保持部の具体例>
第2保持部52の詳細は、上記<第1保持部の具体例>の欄で説明したものと同様である。上記<第1保持部の具体例>の欄において、「第1壁面シート部21」、「第1外側シート片211」、「第1内側シート片212」、「第1咬合部31」、「第1下延出部412」、「第1保持部51」、「第1筒袋部位511」、「第1切り目61」、「第1差入れ口512」及び「第1舌部53」を、それぞれ、「第2壁面シート部22」、「第2外側シート片221」、「第2内側シート片222」、「第2咬合部32」、「第2下延出部422」、「第2保持部52」、「第2筒袋部位521」、「第2切り目62」、「第2差入れ口522」及び「第2舌部54」に読み替えることにより、第2保持部52の具体例の説明をしたものとする。
なお、図示例では、第1差入れ口512を含む第1保持部51と第2差入れ口522を含む第2保持部52とは、表裏対称的に形成されているが、非対称であってもよい。
【0026】
柔軟なシート材から形成された袋本体2の製袋方法は、従来公知な包装袋やパウチ袋などの製袋方法を適用できる。
本実施形態では、袋本体2は、第1外側シート片211及び第1内側シート片212からなる第1壁面シート部21と、第2外側シート片221及び第2内側シート片222からなる第2壁面シート部22と、から構成されている。
かかる袋本体2は、次のようにして製造できる。
第1切り目61を形成した第1外側シート片211の内側に、前記第1切り目61を覆うように第1内側シート片212を重ね合わせ、第1内側シート片212の幅方向に延びる上下端部を第1外側シート片211の内面に接着する。同様に、第2切り目62を形成した第2外側シート片221の内側に、前記第2切り目62を覆うように第2内側シート片222を重ね合わせ、第2内側シート片222の幅方向に延びる上下端部を第2外側シート片221の内面に接着する。内側シート片同士が重なる様に、第1外側シート片211と第2外側シート片221を重ね合わせ、それらの上端部を除く周端部(両側端部)を封止することにより、上方に開口部29を有し且つ第1保持部51及び第2保持部52を有する袋本体2を形成できる。
【0027】
図示例では、第1外側シート片211及び第2外側シート片221は、1枚のシート材から構成されている。例えば、1枚のシート材を下方において折り返して2重に重ね(この場合、2重のシート材のうちの一方が第1外側シート片211であり、他方が第2外側シート片221である)、その両側端部を互いに接着することにより、上記袋本体2が形成されている。
図1及び図2などの各正面図において、シート材が接着されている部分に、描写上、無数のドットを付加している。また、図3及び図4などの各端面図において、第1壁面シート部21などを構成するシート材同士が接している箇所や、シート材とジッパー3が接している箇所は、それらが接着されている部分である。
【0028】
なお、特に図示しないが、前記第1外側シート片211及び第2外側シート片221は、別々のシート材から構成されていてもよい。この場合、別々のシート材からなる第1外側シート片211及び第2外側シート片221を重ね合わせ、上端部を除く周端部(下端部及び両側端部)を互いに接着することにより、上記袋本体2が形成される。
第1壁面シート部21、第2壁面シート部22、第1保持部51及び第2保持部52などの各構成要素は、概念的なものであって、シート材を用いてそれらを具現化する手法は様々であり、図示例に限定されるわけではない。
【0029】
第1外側シート片211、第1内側シート片212、第2外側シート片221及び第2内側シート片222の各部における接着方法は、特に限定されず、代表的には、熱溶着、或いは、接着剤を用いた接着が挙げられる。簡易にシート材を接着できることから、熱溶着が好ましい。
第1外側シート片211、第1内側シート片212、第2外側シート片221及び第2内側シート片222を構成するシート材としては、従来公知のものを用いることができる。シート材は、透明又は不透明の何れでもよい。シート材は、収納する物品の種類、コストなどに応じて適宜選定でき、例えば、1層の樹脂層又は2層以上の樹脂層を有する合成樹脂シート、紙、合成紙、発泡樹脂シート、不織布、これらから選ばれる2種以上の積層体、これらとバリア層の積層体などが挙げられる。第1外側シート片211、第1内側シート片212、第2外側シート片221及び第2内側シート片222は、同じシート材でもよく、或いは、異なるシート材でもよい。通常、第1外側シート片211及び第2外側シート片221は、同じシート材が用いられ、第1内側シート片212及び第2内側シート片222は、同じシート材が用いられる。
なお、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22を含む袋本体2には、必要に応じて、所望のデザインが印刷などによって表示される(このようなデザイン表示は図示せず)。
【0030】
前記シート材は、好ましくは合成樹脂シートから構成される。前記合成樹脂シートには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性などの、袋としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上述のように、袋本体2は、通常、シート材の熱溶着によって形成されるので、樹脂シートにはヒートシール性も要求される。樹脂シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。但し、ジッパー付き袋1の端面図である図3及び図4においては、便宜上、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22を1層構造で表している(以下、他のジッパー付き袋の端面図についても同様)。
【0031】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂シート、或いは任意の合成樹脂シート(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
前記シート材には、商品名や原材料・使用上の注意事項などの商品説明、その他各種デザイン等を表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
【0032】
本発明のジッパー付き袋1は、収納空間28内に所望の物品を収納して使用される。なお、全ての図において、物品を図示せず。
例えば、ジッパー付き袋1は、流通過程の包装袋として使用できる(第1の使用法)。この場合、ジッパー付き袋1の収納空間28内に物品が密封された状態(物品包装体の状態)で流通過程に供され、その物品包装体を販売対象として使用者に販売される。
また、ジッパー付き袋1は、保管袋として使用できる(第2の使用法)。この場合、物品を入れず、ジッパー付き袋1を販売対象として使用者に販売される。
【0033】
第1の使用法においては、通常、物品包装体は、販売店などに陳列して販売される。かかる物品包装体に対して、例えば、悪意者が、図7に示すように、袋本体2の第1壁面シート部21の上端部21a及び第2壁面シート部22の上端部22aを摘んでこれらを引張り、ジッパー3を開封しようとしても、その引張り力が、第1咬合部31の基部311に加わらず、第1下延出部412に加わるので、第1咬合部31と第2咬合部32の咬合を解除させることは非常に困難である。従って、改竄による開封を防止できる。また、悪意のない者、例えば、幼児などが前記のように第1壁面シート部21の上端部21a及び第2壁面シート部22の上端部22aを摘んでこれらを引張ったとしても、同様に開封できない。このように本発明のジッパー付き袋1は、予定外の開封を防止できる。
なお、図7を含む開封時の状況を示す端面図にあっては、袋本体2及びジッパー3にハッチングを付加せず、太い実線で表している。
【0034】
一方、物品包装体の購入者などがジッパー付き袋1を正規開封する際には、次のような開封方法によってジッパー3を容易に開封できる。
例えば、本発明の開封方法は、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22を有する袋本体2と、第1壁面シート部21の内面に取り付けられた第1咬合部31と第2壁面シート部22の内面に取り付けられた第2咬合部32とを有するジッパー3と、を備え、前記第1咬合部31及び第2咬合部32の咬合によって袋本体2が閉塞されているジッパー付き袋1を開封する際に、第1壁面シート部21の外面に設けられた第1保持部51に親指以外の指を入れ且つ第2壁面シート部22の外面に設けられた第2保持部52にもう片方の親指以外の指を入れ、それらの指で第1外側シート片211及び第2外側シート片221をそれぞれ外側へ引張って第1壁面シート部21と第2壁面シート部22を離反させつつ、第1咬合部31及び第2咬合部32付近を親指にて外側から収納空間側に押し込む。
【0035】
詳しくは、図8に示すように、第1舌部53を外側に捲り、第1差入れ口512を開き、そこから片手の親指以外の指の少なくとも1本(例えば、右手の人差し指)を第1筒袋部位511に進入させる。同様に、第2舌部54を外側に捲り、第2差入れ口522を開き、そこからもう一方の手の親指以外の指の少なくとも1本(例えば、左手の人差し指)を第2筒袋部位521に進入させる。
なお、第1舌部53及び第2舌部54は柔軟な自由部分であるので、人指し指などの親指以外の指を第1舌部53の外面に当て、その第1舌部53と共にその指を第1筒袋部位511内に進入させてもよい(この場合、第1舌部53は、内側に反転して人指し指などと共に第1筒袋部位511内に入り込む)。第2舌部54についても同様である。このように第1舌部53及び第2舌部54が形成されていると、それと共に指を第1筒袋部位511及び第2筒袋部位521に滑り込ませることができ、指を第1筒袋部位511及び第2筒袋部位521に入れやすくなる。
【0036】
人指し指が第1筒袋部位511内に保持された状態で、図9及び図10に示すように、第1咬合部31の付近に対応する第1壁面シート部21の外面に親指を当て、且つ、第2咬合部32の付近に対応する第2壁面シート部22の外面に親指を当てる。
そして、両手の親指同士を互いに押し合わせてそこを支点として、第1筒袋部位511に保持された片手(例えば右手)の人指し指と第2筒袋部位521に保持されたもう一方の手(例えば左手)の人差し指とを互いに離反させ、人指し指を外側に移動させると共に両親指を袋本体2の収納空間28側へと押し込むようにする。
両人指し指を外側に離反させると、第1保持部51の第1外側シート片211及び第2保持部52の第2外側シート片221に繋がっている第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22が引っ張られて離反する。第1咬合部31及び第2咬合部32よりも下方側において第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22が引っ張られると共に、両親指の押し込みにより、咬合された第1咬合部31と第2咬合部32を互いに離反させる引張力が、収納空間28側からジッパー3に加わり、その結果、第1咬合部31と第2咬合部32の咬合が解除される(図11及び図12参照)。
【0037】
このように本発明の開封方法によれば、ジッパー付き袋1を容易に開封できる。
特に、第1保持部51及び第2保持部52によって指が保持されるので、正規開封時に指が袋本体2から外れることがなく、確実且つ容易にジッパー付き袋1を開封できる。かかるジッパー付き袋1は、高齢者や子供などでも、確実且つ容易に正規開封できるものである。
また、本発明のジッパー付き袋1によれば、開封後にジッパー3を再封することもでき、物品の包装袋として繰り返し使用できる。
なお、前記開封方法による開封原理は、典型的なケースを説明したものであり、例えば、手先の器用な人の場合には、上記のような両手の使い方をせずに、第1保持部51及び第2保持部52を利用してジッパー3を開封させることもできる場合があることに留意されたい。
【0038】
第2の使用法においては、使用者が収納空間28内に物品を出し入れして使用する物品の保管袋として使用できる。
例えば、家庭などで使用する際に、乾電池などの日用品を本発明のジッパー付き袋1の開口部29から収納空間28内に入れ、ジッパー3を閉塞しておく。このジッパー付き袋1を幼児や高齢者などが不用意に開封する行為を行っても、上述の図7に示すように、ジッパー3を開封できない。一方、正規開封する際には、上述のような手順により、確実且つ容易に開封できる。かかるジッパー付き袋1を用いることにより、幼児の誤飲などを防止できる。また、本発明のジッパー付き袋1は、病院などで薬の保管袋として利用することもできる。
なお、前記第1の使用法の物品包装体から物品を取り出した後に、残ったジッパー付き袋1を、前記第2の使用法で使用することもできる。
【0039】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、その説明に於いては、主として上記実施形態と異なる構成及び効果について説明し、同様の構成などについては、用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある(第3実施形態以降も同様である)。
【0040】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、第1差入れ口512は第1外側シート片211の面内に形成された第1切り目61による開放部分からなるが、例えば、図13及び図14に示すように、第1外側シート片211の面内に孔部を形成することにより、その孔部を第1差入れ口512としてもよい。第2差入れ口522についても、同様に、第2外側シート片221の面内に形成された孔部から構成されていてもよい。
【0041】
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、第1外側シート片211及び第2外側シート片221よりも小面積の第1内側シート片212及び第2内側シート片222を用いたが、これとは反対に、図15及び図16に示すように、第1外側シート片211及び第2外側シート片221が第1内側シート片212及び第2内側シート片222よりも小面積であってもよい。例えば、幅方向を長手とする正面視略長方形状に形成されている。詳しくは、第1外側シート片211及び第2外側シート片221は、第1内側シート片212及び第2内側シート片222の幅方向長さと同じで且つ第1内側シート片212及び第2内側シート片222の上下方向長さよりも十分に小さい。第1内側シート片212及び第2内側シート片222は、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の正面視形状を成している。また、図示例では、第1内側シート片212及び第2内側シート片222を別々のシート材から構成し、下端部及び両側端部を互いに接着した袋本体2を例示している。
なお、第1外側シート片211の幅方向長さは、第1内側シート片212の幅方向長さよりも小さくてもよい。
本実施形態でも、第1外側シート片211及び第2外側シート片221に第1差入れ口512及び第2差入れ口522を形成することにより、第1保持部51及び第2保持部52を構成できる。
【0042】
なお、本実施形態において、第1外側シート片211及び第2外側シート片221の周端部が第1内側シート片212及び第2内側シート片222の外面に接着されているが、第1外側シート片211及び第2外側シート片221の上下端部のみを第1内側シート片212及び第2内側シート片222に接着してもよい。この場合、第1外側シート片211及び第2外側シート片221の幅方向両側方において、第1外側シート片211と第1内側シート片212及び第2外側シート片221と第2内側シート片222がそれぞれ非接着となるので、各非接着部分を、幅方向側方において第1筒袋部位511及び第2筒袋部位521の空間に連通した第1差入れ口512及び第2差入れ口522として利用してもよい。この場合であっても、第1切り目61及び第2切り目62などを形成することによって第1外側シート片211及び第2外側シート片221の面内に第1差入れ口512及び第2差入れ口522を形成してもよい。
【0043】
[第4実施形態]
上記各実施形態のジッパー付き袋1は、袋本体2の開口部29が予め開口されているが、本発明のジッパー付き袋1は、袋本体2の開口部29が予め開口されているものに限定されない。本発明のジッパー付き袋1は、例えば、開口部29の一部又は全部が予め閉塞され、使用時に開口部29を開口させる形式であってもよい。
例えば、図17及び図18に示すように、第1壁面シート部21の上端部21aと第2壁面シート部22の上端部22aが幅方向全体に亘って接着されているジッパー付き袋1でもよい。なお、特に図示しないが、第1壁面シート部21の上端部21aと第2壁面シート部22の上端部22aが幅方向の一部分で接着されていてもよい。上記第1実施形態などでは、袋本体2の上端に開口部29が開口されているが、本実施形態では、袋本体2の上端部が閉塞されている。必要に応じて、袋本体2の両側部のうち前記接着された上端部とジッパー3の間の領域に、切込み(図17参照)やミシン目線などの切断補助手段を設けてもよい。
かかるジッパー付き袋1は、使用時に、前記接着された上端部とジッパー3の間の領域において幅方向に切断することにより、図1及び図2に示すようなジッパー付き袋1となり、事後、上記第1実施形態と同様にしてジッパー3を開封できる。
【0044】
本実施形態のように、予め開口部29が閉塞されているジッパー付き袋1は、袋本体2などを切断しなければ、ジッパー3の設けられた開口部29が開口しないので、不用意な開封を確実に防止できる。
このようなジッパー付き袋1は、収納空間28内に物品を入れた状態で販売される物品包装体の形態(第1の使用法)に適用することが好適である。つまり、販売時には物品包装体の不用意な開封を確実に防止でき、購入者が物品を取り出した後に残るジッパー付き袋1を保管袋として利用できる。
なお、本実施形態のような開口部29が予め閉塞されているジッパー付き袋1を用いた物品包装体は、ジッパー付き袋1の収納空間28に物品を入れた後、ジッパー3を閉じ、さらに、端部を熱溶着などの手段で接着することによって得られる。
【0045】
[その他]
また、上記各実施形態において、袋本体2は、対向配置された第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22のみからなるが、必要に応じて、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22と、その下方に介在された底面シート部と、からなる底面ガゼット付きの袋本体2でもよい(図示せず)。また、特に図示しないが、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の一方又は両方の側部に側面シート部が介在されている側面ガゼット付きの袋本体2でもよく、第1壁面シート部21及び第2壁面シート部22の上方に上面シート部が介在されている上面ガゼット付きの袋本体2でもよい。本発明において、袋本体2の構成は、従来公知の様々な包装袋やパウチ袋などの構成を採用できる。
さらに、上記各実施形態で示したジッパー3に代えて、例えば、特許文献1に開示された様々な形態のジッパー3を適用してもよい。
その他、上記各実施形態から選ばれる2つ以上の構成を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記各実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ジッパー付き袋
2 袋本体
21 第1壁面シート部
22 第2壁面シート部
28 袋本体の収納空間
29 袋本体の開口部
3 ジッパー
31 第1咬合部
32 第2咬合部
412 第1下延出部(取付け部)
51 第1保持部
52 第2保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18