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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】磁気ヘッド機構およびカードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/10 20060101AFI20221025BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20221025BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20221025BHJP
   G11B 5/127 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G11B5/10 Z
G11B5/09 371C
G11B5/02 Z
G11B5/127 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018185036
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020057445
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】見澤 守
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-029205(JP,U)
【文献】特開2010-192060(JP,A)
【文献】特開平05-274636(JP,A)
【文献】登録実用新案第3027396(JP,U)
【文献】特開2011-204320(JP,A)
【文献】実開平02-096611(JP,U)
【文献】特開昭59-185006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/10
G11B 5/09
G11B 5/02
G11B 5/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材と、前記磁気ヘッドの端子に接続されるケーブルと、前記磁気ヘッドの前記端子を覆う樹脂封止部材とを備え、
前記ヘッド固定部材には、前記樹脂封止部材を囲む囲み部が形成され
棒状に形成される前記端子の長手方向の一方を第1方向とすると、
前記端子の第1方向端および前記囲み部の第1方向端は、前記磁気ヘッドのヘッドケースの第1方向端よりも第1方向側に配置されていることを特徴とする磁気ヘッド機構。
【請求項2】
磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材と、前記磁気ヘッドの端子に接続されるケーブルと、前記磁気ヘッドの前記端子を覆う樹脂封止部材とを有する磁気ヘッド機構と、前記磁気ヘッドによって磁気データの読取りおよび記録の少なくともいずれか一方が行われるカードが移動するカード移動路が形成される本体フレームとを備え、
前記ヘッド固定部材には、前記樹脂封止部材を囲む囲み部が形成され、
前記囲み部の一部分は、前記磁気ヘッドを前記本体フレームのフレームグランドに接続するためのフレームグランド端子となっていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項3】
前記ヘッド固定部材を支持する支持部材と、前記ヘッド固定部材を付勢するバネ部材とを備え、
前記磁気ヘッドは、前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向の一方側から前記カード移動路に臨むように配置され、
前記バネ部材は、前記カード移動路側に前記ヘッド固定部材を付勢し、
前記ヘッド固定部材は、前記磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部と、前記支持部材に支持されるとともに前記バネ部材に付勢される被支持部とを備え、
前記囲み部は、前記ヘッド固定部に形成され、
前記被支持部には、前記カードの厚さ方向への前記被支持部の変形を抑制する補強用のリブが形成されていることを特徴とする請求項記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記リブは、前記カードの移動方向における前記被支持部の全域に形成されていることを特徴とする請求項記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材とを備える磁気ヘッド機構に関する。また、本発明は、かかる磁気ヘッド機構を備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードリーダで使用される磁気ヘッドが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気ヘッドは、磁気ギャップが形成されるコアと、コアに巻回されるコイルと、コイルの端部が接続される端子と、コアおよびコイルが収容されるケース体とを備えている。特許文献1に記載の磁気ヘッドでは、端子は、ケース体から突出しないようにケース体に収容されている。すなわち、この磁気ヘッドでは、端子の全体がケース体に収容されている。ケース体の内部は、封止用の樹脂(樹脂封止部材)が充填されており、端子の全体が樹脂封止部材に覆われている。そのため、特許文献1に記載の磁気ヘッドでは、磁気ヘッドで読み取られた磁気データが端子から不正に取得されるのを防止することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-40140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カードリーダで使用される一般的な磁気ヘッドの場合、端子に接続されるケーブルと端子との接続作業の作業性を考慮して、端子の一部はケース体の外側に突出している。この一般的な磁気ヘッドでは、端子の一部がケース体の外側に突出しているため、端子の全体を樹脂封止部材で覆う場合、端子の全体を覆うように塗布された硬化前の樹脂封止部材が流れてしまうおそれがある。したがって、この一般的な磁気ヘッドの場合には、端子からの磁気データの不正取得を防止するために、端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業は煩雑になる。
【0005】
一方で、特許文献1に記載の磁気ヘッドであれば、ケース体の内部に樹脂封止部材を充填すれば、端子の全体を樹脂封止部材で覆うことができるため、端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業は容易になる。しかしながら、特許文献1に記載の磁気ヘッドは、カードリーダで使用される一般的な磁気ヘッドとは形状の異なる特殊な磁気ヘッドである。したがって、この特殊な磁気ヘッドを使用するためには、一般的な磁気ヘッドとは別に、この特殊な磁気ヘッドを設計製作する必要があり、コストがかかる。また、この特殊な磁気ヘッドは、汎用性が低い。
【0006】
そこで、本発明の課題は、一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業を簡素化することが可能な磁気ヘッド機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる磁気ヘッド機構を備えるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気ヘッド機構は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材と、磁気ヘッドの端子に接続されるケーブルと、磁気ヘッドの端子を覆う樹脂封止部材とを備え、ヘッド固定部材には、樹脂封止部材を囲む囲み部が形成され、棒状に形成される端子の長手方向の一方を第1方向とすると、端子の第1方向端および囲み部の第1方向端は、磁気ヘッドのヘッドケースの第1方向端よりも第1方向側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の磁気ヘッド機構では、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材に、樹脂封止部材を囲む囲み部が形成されている。そのため、本発明では、端子の一部がヘッドケースの外側に突出している一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆う際に、端子の全体を覆うように塗布された硬化前の樹脂封止部材が流れてしまうのを囲み部によって防止することが可能になる。したがって、本発明では、一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業を簡素化することが可能になる。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、磁気ヘッドと、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材と、磁気ヘッドの端子に接続されるケーブルと、磁気ヘッドの端子を覆う樹脂封止部材とを有する磁気ヘッド機構、磁気ヘッドによって磁気データの読取りおよび記録の少なくともいずれか一方が行われるカードが移動するカード移動路が形成される本体フレームを備え、ヘッド固定部材には、樹脂封止部材を囲む囲み部が形成され、囲み部の一部分は、磁気ヘッドを本体フレームのフレームグランドに接続するためのフレームグランド端子となっていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部材に、樹脂封止部材を囲む囲み部が形成されている。そのため、本発明では、端子の一部がヘッドケースの外側に突出している一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆う際に、端子の全体を覆うように塗布された硬化前の樹脂封止部材が流れてしまうのを囲み部によって防止することが可能になる。したがって、本発明では、一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業を簡素化することが可能になる。
また、本発明では、フレームグランド端子を別途設ける必要がなくなるため、磁気ヘッド機構のコストを低減することが可能になる。また、ヘッド固定部材と別体で形成されたフレームグランド端子が磁気ヘッドに固定されている場合には、磁気ヘッドと囲み部との間に、フレームグランド端子の厚さ分の隙間が生じて、この隙間から硬化前の樹脂封止部材が流れ出すおそれがある。これに対して、本発明では、磁気ヘッドと囲み部との間から硬化前の樹脂封止部材が流れ出さないように、磁気ヘッドと囲み部とを近づけることが可能になるため、磁気ヘッドと囲み部との間から硬化前の樹脂封止部材が流れ出すのを防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、カードリーダは、ヘッド固定部材を支持する支持部材と、ヘッド固定部材を付勢するバネ部材とを備え、磁気ヘッドは、カード移動路を移動するカードの厚さ方向の一方側からカード移動路に臨むように配置され、バネ部材は、カード移動路側にヘッド固定部材を付勢し、ヘッド固定部材は、磁気ヘッドが固定されるヘッド固定部と、支持部材に支持されるとともにバネ部材に付勢される被支持部とを備え、囲み部は、ヘッド固定部に形成され、被支持部には、カードの厚さ方向への被支持部の変形を抑制する補強用のリブが形成されている。この場合には、カード移動路を移動するカードが磁気ヘッドに接触したときの、カードの厚さ方向の一方側への磁気ヘッドの動きを、補強用のリブによって抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、リブは、たとえば、カードの移動方向における被支持部の全域に形成されている。この場合には、カード移動路を移動するカードが磁気ヘッドに接触したときの、カードの厚さ方向の一方側への磁気ヘッドの動きを、補強用のリブによって効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、一般的な磁気ヘッドが使用されても、磁気ヘッドの端子の全体を樹脂封止部材で覆うときの作業を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードリーダを別の角度から示す斜視図である。
図3図1図2に磁気ヘッドおよび付勢機構の構成を説明するための側面図である。
図4図3に示す磁気ヘッドおよびヘッド固定部材の斜視図である。
図5図3に示す磁気ヘッドの平面図である。
図6図1に示すカードリーダにカードが取り込まれて停止している状態を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1を別の角度から示す斜視図である。図3は、図1図2に示す磁気ヘッド6、7および付勢機構8、9の構成を説明するための側面図である。
【0018】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りやカード2への磁気データの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行って磁気データの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。すなわち、カードリーダ1は、手動式のカードリーダである。
【0019】
カード2は、たとえば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。具体的には、カード2の両面に磁気ストライプが形成されている。なお、カード2にICチップが内蔵されていても良い。また、カード2は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0020】
カードリーダ1には、カード2が挿入されるカード挿入口3が形成されている(図1参照)。また、カードリーダ1には、カード挿入口3から挿入されたカード2が移動するカード移動路4が形成されている。カードリーダ1は、カード挿入口3およびカード移動路4が形成される本体フレーム5と、本体フレーム5を覆うケース体(図示省略)とを備えている。また、カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りおよびカード2への磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う2個の磁気ヘッド6、7を備えている。
【0021】
さらに、カードリーダ1は、磁気ヘッド6を付勢する付勢機構8と、磁気ヘッド7を付勢する付勢機構9と、カードリーダ1の制御回路が実装される回路基板10と、磁気ヘッド6、7と回路基板10とを電気的に接続するフレキシブルプリント基板(FPC(Flexible printed circuits))11とを備えている。以下の説明では、フレキシブルプリント基板11を「FPC11」とする。
【0022】
本形態では、手動で操作されるカード2は、図1等に示すX方向に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路4を移動するカード2の移動方向である。また、カード2は、X方向の一方側であるX1方向側に向かってカード挿入口3に挿入されるとともに、X方向の他方側であるX2方向側に向かってカード挿入口3から抜き取られる。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路4を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路4を移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0023】
以下の説明では、カード2の移動方向であるX方向を前後方向とする。また、Y方向を左右方向とし、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「後ろ」側とし、カードリーダ1からのカード2の抜取り方向側であるX2方向側を「前」側とする。また、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側とし、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側とし、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0024】
本体フレーム5は、上下方向に分割される上フレーム15と下フレーム16とから構成されている。上フレーム15は、本体フレーム5の上側部分を構成し、下フレーム16は、本体フレーム5の下側部分を構成している。カード移動路4は、上フレーム15と下フレーム16との間に形成されている。上フレーム15および下フレーム16は、樹脂で形成されている。具体的には、上フレーム15は、導電性を有する導電性樹脂で形成され、下フレーム16は、導電性を有しない絶縁性の樹脂で形成されている。本形態では、上フレーム15は、本体フレーム5のフレームグランドになっている。
【0025】
また、本体フレーム5は、カードリーダ1に挿入されたカード2の後端側部分が収容されるカード収容部5aと、磁気ヘッド6、7が配置されるヘッド配置部5bと、カード挿入口3から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部5cとを備えている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cは、カード収容部5aよりも前側に配置されている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cと、カード収容部5aとの間には、鍔状に広がる鍔部5dが形成されている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cは、鍔部5dから前側へ突出している。ヘッド配置部5bとカード案内部5cとは、左右方向において間隔をあけた状態で形成されている。本形態では、ヘッド配置部5bが右側に配置され、カード案内部5cが左側に配置されている。
【0026】
磁気ヘッド6、7は、ヘッド配置部5bの前端側に取り付けられている。磁気ヘッド6は、上側からカード移動路4に臨むように配置されている。磁気ヘッド7は、下側からカード移動路4に臨むように配置されている。具体的には、磁気ヘッド6は、磁気データの読取り位置である磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aが上側からカード移動路4に臨むように配置され、磁気ヘッド7は、磁気データの読取り位置である磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aが下側からカード移動路4に臨むように配置されている。
【0027】
磁気ヘッド6と磁気ヘッド7とは、左右方向において略同じ位置に配置されており、上下方向で対向している。すなわち、磁気ヘッド7は、磁気ヘッド6に対向配置されている。図3に示すように、磁気ヘッド6と磁気ヘッド7とは、前後方向において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aが、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aよりも前側に配置されている。すなわち、磁気ギャップ6aは、前後方向において、磁気ギャップ7aよりもカード挿入口3側に配置されている。磁気ヘッド6、7の具体的な構成については後述する。
【0028】
回路基板10は、略長方形の平板状に形成されたリジッド基板である。回路基板10は、上フレーム15の上面に固定されている。また、回路基板10は、カード収容部5aの上面に固定されている。上述のように、FPC11は、磁気ヘッド6、7と回路基板10とを電気的に接続している。すなわち、回路基板10には、FPC11を介して磁気ヘッド6、7が電気的に接続されている。また、回路基板10には、共通のFPC11を介して2個の磁気ヘッド6、7が電気的に接続されている。
【0029】
FPC11は、所定形状に折り曲げられた状態で本体フレーム5に沿って引き回されている。FPC11は、一端側が回路基板10に繋がる帯状の共通基板部11aと、一端側が磁気ヘッド6に繋がるとともに他端が共通基板部11aの他端に繋がる帯状の第1基板部11bと、一端側が磁気ヘッド7に繋がるとともに他端が共通基板部11aの他端に繋がる帯状の第2基板部11cとから構成されている。すなわち、FPC11は、共通基板部11aの他端から分岐する2個の第1基板部11bおよび第2基板部11cを備えている。共通基板部11aの一端部は、回路基板10に実装されるコネクタ17に差し込まれている(図1参照)。
【0030】
(磁気ヘッドおよび付勢機構の構成)
図4は、図3に示す磁気ヘッド6およびヘッド固定部材22の斜視図である。図5は、図3に示す磁気ヘッド7の平面図である。図6は、図1に示すカードリーダ1にカード2が取り込まれて停止している状態を説明するための側面図である。
【0031】
磁気ヘッド6は、磁気ギャップ6aが形成されるコアと、コアに巻回されるコイルと、コイルの端部が接続される棒状の端子6bと、コアおよびコイルが収容されるヘッドケース6cとを備えている。本形態の磁気ヘッド6は、2本の端子6bを備えている。上述のように、磁気ヘッド6は、磁気ギャップ6aが上側からカード移動路4に臨むように配置されており、端子6bは、磁気ヘッド6の上端側に配置されている。端子6bは、端子6bの長手方向と上下方向とが略一致するように配置されている。本形態の上方向(Z1方向)は、棒状に形成される端子6bの長手方向の一方である第1方向となっている。
【0032】
端子6bの大半部分は、ヘッドケース6cに収容されているが、端子6bの上端部は、ヘッドケース6cから上側に突出している。すなわち、磁気ヘッド6は、端子6bの一部がヘッドケース6cの外側に突出している一般的な磁気ヘッド(カードリーダ1で使用される一般的な磁気ヘッド)であり、端子6bの上端は、ヘッドケース6cの上端よりも上側に配置されている。端子6bには、第1基板部11bの一端側が接続されている。具体的には、第1基板部11bの一端側は、2本の端子6bに半田付けされて固定されており、端子6bに電気的に接続されている。本形態のFPC11は、磁気ヘッド6の端子6bに接続されるケーブルである。
【0033】
端子6bは、樹脂封止部材18によって覆われている(図4参照)。樹脂封止部材18は、磁気ヘッド6の上面の全体を覆うように磁気ヘッド6の上面側に盛られており、第1基板部11bの一端側の、端子6bに半田付けされた部分も樹脂封止部材18によって覆われている。樹脂封止部材18は、2本の端子6bの全体を覆っている。本形態では、端子6bの全体を覆う樹脂封止部材18によって、磁気ヘッド6の端子6bから磁気データが不正に取得されるのを防止することが可能になっている。樹脂封止部材18は、たとえば、不透明なエポキシ樹脂である。なお、磁気ヘッド6の上面側に樹脂封止部材18が塗布された後に第1基板部11bの一部分が樹脂封止部材18の上側を覆うように、第1基板部11bの一端側は折り返されている。
【0034】
磁気ヘッド7は、磁気ヘッド6と同様に、磁気ギャップ7aが形成されるコアと、コアに巻回されるコイルと、コイルの端部が接続される棒状の端子と、コアおよびコイルが収容されるヘッドケース7cとを備えている。上述のように、磁気ヘッド7は、磁気ギャップ7aが下側からカード移動路4に臨むように配置されており、磁気ヘッド7の端子は、磁気ヘッド7の下端側に配置されている。磁気ヘッド7では、端子の全体がヘッドケース7cの中に収容されている。
【0035】
磁気ヘッド7の端子には、第2基板部11cの一端側が半田付けされて固定されており、第2基板部11cの一端側は、磁気ヘッド7の端子に電気的に接続されている。磁気ヘッド7の端子は、樹脂封止部材18と同様の樹脂封止部材によって覆われている。具体的には、ヘッドケース7cの内部に樹脂封止部材が充填されており、第2基板部11cの一端側の、磁気ヘッド7の端子に半田付けされた部分も樹脂封止部材によって覆われている。本形態では、磁気ヘッド7の端子の全体を覆う樹脂封止部材によって、磁気ヘッド7の端子から磁気データが不正に取得されるのを防止することが可能になっている。
【0036】
図5に示すように、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aの近傍には、磁気ヘッド7の摩耗を抑制するためのセラミックス製のヘッド摩耗抑制部7dが形成されている。具体的には、磁気ギャップ7aを前後方向で挟む2個のヘッド摩耗抑制部7dが磁気ヘッド7に形成されている。ヘッド摩耗抑制部7dは、左右方向を長手方向とする直線状に形成されている。磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aは、上下方向において、ヘッド摩耗抑制部7dと対向している。具体的には、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aは、磁気ギャップ7aの前側に配置されるヘッド摩耗抑制部7dと隙間を介して上下方向で対向している。
【0037】
付勢機構8は、下側に向かって磁気ヘッド6を付勢している。すなわち、付勢機構8は、下側から磁気ヘッド6に対向する磁気ヘッド7に向かって磁気ヘッド6を付勢している。付勢機構9は、上側に向かって磁気ヘッド7を付勢している。すなわち、付勢機構9は、上側から磁気ヘッド7に対向する磁気ヘッド6に向かって磁気ヘッド7を付勢している。
【0038】
付勢機構8は、磁気ヘッド6が固定されるヘッド固定部材22と、ヘッド固定部材22を支持する支持部材としての支持ピン23と、ヘッド固定部材22を付勢するバネ部材としての圧縮コイルバネ24とを備えている。本形態の付勢機構8は、2本の支持ピン23を備えている。ヘッド固定部材22は、薄鋼板を所定形状に折り曲げることで形成されている。本形態のヘッド固定部材22は、ステンレス鋼製の薄板で形成された板バネである。ヘッド固定部材22は、磁気ヘッド6が固定されるヘッド固定部22aと、支持ピン23に支持されるとともに圧縮コイルバネ24に付勢される被支持部22bとから構成されている。
【0039】
被支持部22bは、ヘッド固定部22aの後ろ側に配置されており、被支持部22bの前端は、ヘッド固定部22aの後端に繋がっている。図4に示すように、被支持部22bは、前後方向を長手方向とする長方形の平板状に形成される平板部22cを備えている。平板部22cは、平板部22cの厚さ方向と上下方向とが略一致するように配置されている。平板部22cには、支持ピン23の一部を構成する後述の軸部23aが挿通される2個の貫通穴22dが形成されている。貫通穴22dは、上下方向で平板部22cを貫通している。2個の貫通穴22dは、前後方向に間隔をあけた状態で形成されている。また、貫通穴22dは、平板部22cの左右の中心位置に形成されている。
【0040】
被支持部22bには、被支持部22bの上下方向の変形を抑制する補強用のリブ22eが形成されている。リブ22eは、左右方向における平板部22cの両端面から上側に向かって立ち上がっている。また、リブ22eは、前後方向を長手方向とする長方形の平板状に形成されており、リブ22eの厚さ方向と左右方向とが略一致するように配置されている。リブ22eは、前後方向における被支持部22bの全域に形成されている。
【0041】
ヘッド固定部22aは、長方形の枠状に形成されており、ヘッド固定部22aの内周側に磁気ヘッド6が固定されている。また、ヘッド固定部22aには、磁気ヘッド6の上端部が固定されている。ヘッド固定部22aは、磁気ヘッド6のヘッドケース6cに接触している。上述のように、磁気ヘッド6の上面側には、磁気ヘッド6の上面の全体を覆うように樹脂封止部材18が盛られている。ヘッド固定部22aには、樹脂封止部材18を囲む囲み部22fが形成されている。すなわち、ヘッド固定部材22には、樹脂封止部材18を囲む囲み部22fが形成されている。
【0042】
囲み部22fの上端は、ヘッドケース6cの上端よりも上側に配置されている。本形態では、ヘッド固定部22aの、ヘッドケース6cの上端よりも上側に配置される部分が囲み部22fとなっている。また、囲み部22fの上端は、端子6bの上端よりも上側に配置されている。なお、囲み部22fの上端は、上下方向において端子6bの上端と同じ位置に配置されていても良いし、端子6bの上端より下側に配置されていても良い。
【0043】
囲み部22fは、ヘッドケース6cの前側に配置される平板状の前面部22gと、ヘッドケース6cの後ろ側に配置される平板状の後面部22hと、ヘッドケース6cの左右の両側に配置される平板状の側面部22jとから構成されており、上下方向から見たときに、樹脂封止部材18を全周に亘って囲んでいる。前面部22gは、前面部22gの厚さ方向と前後方向とが略一致するように配置され、後面部22hは、後面部22hの厚さ方向と前後方向とが略一致するように配置されている。側面部22jは、側面部22jの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。
【0044】
側面部22jは、リブ22eに繋がっており、左右方向においてリブ22eと同じ位置に配置されている。また、平板部22cの前端に繋がるとともに上側に向かって直角に折り曲げられた平板状の部分の上端側部分が後面部22hとなっている。また、図4(A)に示すように、たとえば、左側に配置される側面部22jの前端に繋がるとともに右側に向かって直角に折り曲げられた平板状の部分の上端側部分が前面部22gとなっている。図4(A)に示す囲み部22fでは、側面部22jの上端と前面部22gの上端とは、上下方向において同じ位置に配置され、後面部22hの上端は、側面部22jの上端よりも下側に配置されている。
【0045】
なお、図4(B)に示すように、ヘッド固定部22aの左右の側面部の下端の先端部同士を繋ぐ平板状の接続部22kがヘッド固定部22aに形成されていて、接続部22kの後端に繋がるとともに上側に向かって直角に折り曲げられた平板状の部分の上端側部分が前面部22gとなっていても良い。接続部22kは、接続部22kの厚さ方向と前後方向とが略一致するように配置されている。図4(B)に示す囲み部22fでは、前面部22gの上端および後面部22hの上端は、側面部22jの上端よりも下側に配置されている。
【0046】
囲み部22fの一部分は、磁気ヘッド6を本体フレーム5のフレームグランド(すなわち、上フレーム15)に接続するためのフレームグランド端子22p(以下、「FG端子22p」とする。)となっている。たとえば、右側に配置される側面部22jの一部分がFG端子22pとなっている。FG端子22pは、前後方向における側面部22jの略中心位置に配置されている。FG端子22pの前後の両側には、スリットが形成されている。
【0047】
なお、FG端子22pは、磁気ヘッド6の上面に向かって略直角に折り曲げられた後、FPC11の第1基板部11bの一端側に半田付けされて固定されている。FG端子22pの、第1基板部11bに半田付けされた部分は、樹脂封止部材18に覆われている。FPC11には、フレームグランド用パターン配線が形成されており、FG端子22pは、FPC11のフレームグランド用パターン配線に電気的に接続されている。FPC11のフレームグランド用パターン配線は、上フレーム15に電気的に接続されている。また、樹脂封止部材18を磁気ヘッド6の上面に塗布するときには、硬化前の樹脂封止部材18が、FG端子22pが形成された箇所からヘッド固定部材22の外側に流れ出ないように、FG端子22pが形成された箇所はマスキングされている。
【0048】
支持ピン23は、上フレーム15に固定されている。2本の支持ピン23は、前後方向に間隔をあけた状態で配置されている。2本の支持ピン23は、ヘッド固定部材22を下側から支持している。支持ピン23は、ヘッド固定部材22の貫通穴22dに挿通される軸部23aと、被支持部22bを下側から支持する支持部23bとから構成されている。支持部23bの下端部は、上フレーム15に固定されている。
【0049】
2本の支持ピン23は、ヘッド固定部材22を介して磁気ヘッド6を支持している。上述のように、被支持部22bは、ヘッド固定部22aの後ろ側に配置されており、2本の支持ピン23は、磁気ヘッド6よりも後ろ側に配置されている。すなわち、本形態では、磁気ヘッド6は、ヘッド固定部材22を介して2本の支持ピン23に片持ち支持されている。磁気ヘッド6は、2本の支持ピン23に対して前後方向を揺動の軸方向とする揺動が可能となっている。
【0050】
圧縮コイルバネ24には、2本の支持ピン23のうちの前側に配置される支持ピン23の軸部23aが挿入されている。圧縮コイルバネ24の下端は、ヘッド固定部材22の平板部22cの上面に接触している。具体的には、圧縮コイルバネ24の下端は、前後方向におけるヘッド固定部材22の略中心位置で平板部22cの上面に接触している。圧縮コイルバネ24の上端は、上フレーム15に固定されるバネ保持部材25に接触している。圧縮コイルバネ24は、ヘッド固定部材22を下側に付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ24は、ヘッド固定部材22をカード移動路4側に付勢している。
【0051】
本形態では、磁気ヘッド6とFPC11と樹脂封止部材18とヘッド固定部材22とによって磁気ヘッド機構27(図1参照)が構成されている。
【0052】
付勢機構9は、磁気ヘッド7が固定されるヘッド固定部材31と、ヘッド固定部材31を支持する支持ピン32と、ヘッド固定部材31を付勢する圧縮コイルバネ33とを備えている。本形態の付勢機構9は、2本の支持ピン32を備えている。ヘッド固定部材31は、ステンレス鋼板等の薄鋼板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。ヘッド固定部材31は、磁気ヘッド7が固定されるヘッド固定部31aと、2本の支持ピン32のうちの一方の支持ピン32に支持されるとともに圧縮コイルバネ33に付勢される被支持部31bと、他方の支持ピン32に支持される被支持部31cとから構成されている。
【0053】
被支持部31bは、ヘッド固定部31aの前側に配置され、被支持部31cは、ヘッド固定部31aの後ろ側に配置されている。被支持部31b、31cは、平板状に形成されており、被支持部31b、31cの厚さ方向と上下方向とが略一致するように配置されている。ヘッド固定部31aには、磁気ヘッド7の下端部が固定されている。支持ピン32は、ピン固定板34に固定されている。ピン固定板34は、下フレーム16に固定されている。
【0054】
2本の支持ピン32は、ヘッド固定部材31を下側から支持している。支持ピン32は、被支持部31b、31cの左右方向の中心位置に形成された貫通穴に挿通される軸部32aと、被支持部31b、31cを下側から支持する支持部32bとから構成されている。支持部32bの下端部は、ピン固定板34に固定されている。2本の支持ピン32は、ヘッド固定部材31を介して磁気ヘッド7を支持している。すなわち、磁気ヘッド7は、ヘッド固定部材31を介して2本の支持ピン32に両持ち支持されている。磁気ヘッド7は、2本の支持ピン32に対して前後方向を揺動の軸方向とする揺動が可能となっている。
【0055】
圧縮コイルバネ33には、磁気ヘッド7の前側に配置される支持ピン32が挿通されている。圧縮コイルバネ33の下端は、ピン固定板34の上面に接触している。圧縮コイルバネ33の上端は、被支持部31bの下面に接触している。圧縮コイルバネ33は、ヘッド固定部材31を上側に付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ33は、ヘッド固定部材31をカード移動路4側に付勢している。なお、本形態では、下フレーム16に形成または固定されるストッパ部材によってヘッド固定部材31の上側への移動が規制されており、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機時においても、上下方向で対向配置される磁気ヘッド6と磁気ヘッド7とは接触していない。
【0056】
付勢機構8による磁気ヘッド6の付勢力は、付勢機構9による磁気ヘッド7の付勢力よりも大きくなっている。そのため、カード挿入口3から挿入されたカード2が磁気ヘッド6と磁気ヘッド7との間を通過するときには、図3の二点鎖線で示すように、磁気ヘッド7は、付勢機構9の付勢力に抗して下側へ動くが、磁気ヘッド6は、上側へ動かない。
【0057】
また、本形態では、カード2がカードリーダ1に取り込まれて停止しているときに、図6に示すように、カード2の前端は、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aより後ろ側に配置されるとともに、カード2の前端部は、磁気ヘッド6と磁気ヘッド7との間に挟まれている。上述のように、付勢機構8による磁気ヘッド6の付勢力が付勢機構9による磁気ヘッド7の付勢力よりも大きくなっているため、このときには、磁気ヘッド7は、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機時よりも下側に移動している(図6の二点鎖線参照)。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド6が固定されるヘッド固定部材22に、樹脂封止部材18を囲む囲み部22fが形成されている。そのため、本形態では、端子6bの一部がヘッドケース6cの外側に突出している一般的な磁気ヘッド6が使用されても、端子6bの全体を樹脂封止部材18で覆う際に、端子6bの全体を覆うように塗布された硬化前の樹脂封止部材18が流れてしまうのを囲み部22fによって防止することが可能になる。したがって、本形態では、一般的な磁気ヘッド6が使用されても、端子6bの全体を樹脂封止部材18で覆うときの作業を簡素化することが可能になる。
【0059】
本形態では、囲み部22fの一部分がFG端子22pとなっている。すなわち、本形態では、ヘッド固定部材22にFG端子22pが一体で形成されている。そのため、本形態では、ヘッド固定部材22に加えてFG端子を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1のコストを低減することが可能になる。
【0060】
また、ヘッド固定部材22と別体で形成されたFG端子が磁気ヘッド6のヘッドケース6cに固定されている場合には、ヘッドケース6cと囲み部22fとの間に、このFG端子の厚さ分の隙間が生じて、この隙間から硬化前の樹脂封止部材18が流れ出すおそれがあるが、本形態では、ヘッドケース6cと囲み部22fとの間から硬化前の樹脂封止部材18が流れ出さないように、ヘッドケース6cと囲み部22fとを近づけることが可能になる。したがって、本形態では、ヘッドケース6cと囲み部22fとの間から硬化前の樹脂封止部材18が流れ出すのを防止することが可能になる。
【0061】
本形態では、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aは、前後方向において、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aよりもカード挿入口3側に配置されている。また、本形態では、付勢機構8による磁気ヘッド6の付勢力が付勢機構9による磁気ヘッド7の付勢力よりも大きくなっており、カード2が磁気ヘッド6と磁気ヘッド7との間を通過するときに、磁気ヘッド7は下側へ動くが、磁気ヘッド6は上側へ動かない。すなわち、本形態では、カード挿入口3から挿入されて磁気ヘッド6に接触したカード2の後端部がその後、磁気ヘッド7に接触しても、磁気ヘッド6は上側へ動かない。
【0062】
そのため、本形態では、カード挿入口3から挿入されて磁気ヘッド6に接触したカード2の後端部がその後、磁気ヘッド7に接触しても、上側に動かない磁気ヘッド6に沿ってカード2を移動させることが可能になる。したがって、本形態では、上下方向で対向配置される2個の磁気ヘッド6、7をカードリーダ1が備えていても、カード挿入口3から挿入されて移動するカード2の上下方向の動きを安定させることが可能になる。
【0063】
また、本形態では、ヘッド固定部材22の被支持部22bに、被支持部22bの上下方向の変形を抑制する補強用のリブ22eが形成されているため、カード挿入口3から挿入されて磁気ヘッド6に接触したカード2の後端部がその後、磁気ヘッド7に接触したときの、磁気ヘッド6の上側への動きを確実に規制することが可能になる。特に本形態では、リブ22eが前後方向における被支持部22bの全域に形成されているため、カード挿入口3から挿入されて磁気ヘッド6に接触したカード2の後端部がその後、磁気ヘッド7に接触したときの、磁気ヘッド6の上側への動きをより確実に規制することが可能になる。したがって、本形態では、上下方向で対向配置される2個の磁気ヘッド6、7をカードリーダ1が備えていても、カード挿入口3から挿入されたカード2の上下方向の動きをより安定させることが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態において、磁気ヘッド6の端子6bに接続されるケーブルは、リード線であっても良い。すなわち、FPC11に代えて、リード線が端子6bに接続されていても良い。また、上述した形態において、左側に配置される側面部22jの一部分がFG端子22pとなっていても良いし、前面部22gの一部分がFG端子22pとなっていても良いし、後面部22hの一部分がFG端子22pとなっていても良い。また、上述した形態において、FG端子22pに代えて、ヘッド固定部材22と別体で形成されたFG端子が磁気ヘッド6に固定されていても良い。
【0066】
上述した形態において、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aが、前後方向において、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aよりもカード挿入口3側に配置されていても良い。この場合には、たとえば、付勢機構9による磁気ヘッド7の付勢力が付勢機構8による磁気ヘッド6の付勢力よりも大きくなっている。また、上述した形態において、磁気ギャップ6aとギャップ7aとが前後方向において同じ位置に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、磁気ヘッド7は、磁気ヘッド7の端子の一部がヘッドケース7cの外側に突出している一般的な磁気ヘッドであっても良い。この場合には、たとえば、ヘッド固定部31aに、樹脂封止部材(磁気ヘッド7の端子を覆う樹脂封止部材)を囲む囲み部が形成されている。
【0067】
上述した形態において、磁気ヘッド6は、ヘッド固定部材22を介して2本の支持ピン23に両持ち支持されていても良い。また、上述した形態において、磁気ヘッド7は、ヘッド固定部材31を介して2本の支持ピン32に片持ち支持されていても良い。さらに、上述した形態において、リブ22eは、前後方向における被支持部22bの一部に形成されていても良い。また、被支持部22bにリブ22eが形成されていなくても良い。また、上述した形態において、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 カードリーダ
2 カード
4 カード移動路
5 本体フレーム
6 磁気ヘッド
6b 端子
6c ヘッドケース
11 FPC(フレキシブルプリント基板、ケーブル)
15 上フレーム(フレームグランド)
18 樹脂封止部材
22 ヘッド固定部材
22a ヘッド固定部
22b 被支持部
22e リブ
22f 囲み部
22p FG端子(フレームグランド端子)
23 支持ピン(支持部材)
24 圧縮コイルバネ(バネ部材)
27 磁気ヘッド機構
X カードの移動方向
Z 端子の長手方向、カードの厚さ方向
Z1 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6