(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】建物の補強構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20221025BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E04B1/348 H
E04B1/348 L
E04B1/58 505Z
E04B1/348 T
(21)【出願番号】P 2018200135
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 将之
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-167940(JP,A)
【文献】特開2012-062700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/38 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記天井根太部材と並行して第3の梁部材が設けられ、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記第3の梁部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え
、
前記補強用梁は、前記端接合金具により接合相手の部材よりも下方の位置に設けられている建物の補強構造。
【請求項2】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記天井根太部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え
、
前記補強用梁は、前記端接合金具により接合相手の部材よりも下方の位置に設けられている建物の補強構造。
【請求項3】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記天井根太部材と並行して第3の梁部材が設けられ、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記第3の梁部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記連結金具は、前記第2天井梁の梁フランジ部に接合されている建物の補強構造。
【請求項4】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記天井根太部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記連結金具は、前記第2天井梁の梁フランジ部に接合されている建物の補強構造。
【請求項5】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記天井根太部材と並行して第3の梁部材が設けられ、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記第3の梁部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記端接合金具は、接合相手の部材の上側面に接合されている建物の補強構造。
【請求項6】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記天井根太部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記端接合金具は、接合相手の部材の上側面に接合されている建物の補強構造。
【請求項7】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記天井根太部材と並行して第3の梁部材が設けられ、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記第3の梁部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記連結金具と前記端接合金具とは、前記第2天井梁と接合相手の部材とに対して、異なる高さで上下方向に係合して仮設置可能である建物の補強構造。
【請求項8】
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記天井根太部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記連結金具と前記端接合金具とは、前記第2天井梁と接合相手の部材とに対して、異なる高さで上下方向に係合して仮設置可能である建物の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物ユニット等に用いられる梁材と柱材とによって骨組構造体において補強用梁を設けた補強構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の従来の建物の補強構造は、補強用梁が、上側根太材と下側根太材とに分割されている。そして、上側根太材と下側根太材とを接合する連結金具と、上側根太材の端部と第1天井梁とを繋ぐ端接合金具と、を備え、下側根太材は対となる第1天井梁に係合された構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、骨組構造体において、引込玄関など、骨組構造体の外周よりも内側にドア等を設ける場合、ドアや外壁を、骨組構造体の外周よりも内側の位置で支持する補強用梁を設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、上述の従来の建物の補強構造は、天井を支持することはできるものの、補強用梁が分割されており、引込壁等の支持等の高強度の支持には適さなかった。また、上記従来技術は、一対の天井梁の間に架け渡され、骨組構造体の一対の天井梁の間の一部に設けることが難しく、高さや長さの設計自由度が低かった。
【0006】
本開示は、上記課題に着目したもので、高い支持強度を得ることができ、設計自由度にも優れる建物の補強構造および建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の建物の補強構造は、
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記天井根太部材と並行して第3の梁部材が設けられ、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記第3の梁部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記補強用梁は、前記端接合金具により接合相手の部材よりも下方の位置に設けられている建物の補強構造である。
【0008】
また、本開示の建物の補強構造は、
梁材と柱材とによって骨組構造体が形成された建物の補強構造であって、
前記骨組構造体の上縁は、第1方向に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁と、前記第1方向に略直交する第2方向に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁とによって形成され、
前記第1天井梁どうしの間には、前記第2方向に沿って配置された複数の天井根太部材が
前記第1方向に間隔を空けて差し渡され、
前記第2天井梁に連結金具により接合されるとともに、前記天井根太部材に端接合金具により接合された補強用梁を備え、
前記補強用梁は、前記端接合金具により接合相手の部材よりも下方の位置に設けられている建物の補強構造である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の建物の補強構造及び建物は、上記構成により、高い支持強度を得ることができ、設計自由度にも優れる。また、補強用梁は、端接合金具により接合相手の部材よりも下方の位置に設けられているため、補強用梁を、分割することなく接合相手の部材よりも下方に設けて、支持対象部材をより強固に支持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の建物の補強構造を適用した建物Hの建物ユニットUの概略構造を示す概略平面図である。
【
図2】前記建物ユニットUの要部を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1の建物の補強構造を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1の建物の補強構造を示す断面図であって、
図2のS4―S4線の位置での断面を示す。
【
図5】実施の形態1の建物の補強構造の要部を示す断面図であって、
図4のS5-S5線の位置での断面を示す。
【
図6】前記建物ユニットUの要部を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態2の建物の補強構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の建物の補強構造および建物の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の建物の補強構造を適用した建物Hを構成する建物ユニットUを示す概略平面図である。建物Hは、建物ユニットUを、建築現場において複数、水平方向及び上下方向に隣接して設置することによって構築される。
【0012】
この建物ユニットUは、
図1に示すように、四隅の角部に配置された柱材10,10.10,10と、柱材10の上端と下端との間に架け渡された梁材とによりボックス形のラーメン構造体(骨組構造体)とされている。
【0013】
建物ユニットUの上縁には、梁材として、一対の第1天井梁21,21と、一対の第2天井梁22、22とを備える。第1天井梁21、21は、矢印D1により示す第1方向に沿って略平行に配置されて柱材10の上端の間に架け渡されている。第2天井梁22、22は、第1方向に略直交する矢印D2により示す第2方向に沿って略平行に配置されて、柱材10、10の上端の間に架け渡されている。
【0014】
なお、両天井梁21、22は、同様の断面がコの字状のチャンネル材により形成され、
図4に示すように、上下方向の側壁部20aと、側壁部20aの上下から水平方向に延びる一対の梁フランジ部20b、20bとを備える。そして、第2天井梁22の下側の梁フランジ部20bには、第2方向において補強用梁30を設ける位置と同じ位置にボルト挿通穴20c、20cが開口されている。
【0015】
また、
図2、
図3に示すように、一対の第1天井梁21、21どうしの間には、第2方向(D2)に沿って配置された複数の天井根太(天井根太部材)23(
図2、
図3参照)が第1方向(D1)に間隔を空けて差し渡されている。なお、天井根太23は、長尺状の木製の角材によって成形され、その下端の高さが、
図4に示すように、第2天井梁22よりも僅かに低い位置に配置されている。また、詳細な図示は省略するが、第1天井梁21も第2天井梁22と同じ高さに配置されており、天井根太23は、その下端が第1天井梁21の下端位置よりも僅かに低い位置に配置されている。
【0016】
実施の形態1の建物の補強構造は、
図1に示す、建物Hの玄関Etを有する建物ユニットUに適用されている。この玄関Etは、建物ユニットUにおいて凹状に設けられたいわゆる引込玄関の形式となっている。すなわち、
図6に示すように、外壁OWが凹状に形成され、建物ユニットUの外周よりも位置側位置に、引込壁IW及びドアDrが設けられている。この引込壁IWは、
図1に示すように、建物ユニットUにおいて、第2方向の中間位置に設置され、その第1の方向の長さは、第2天井梁22、22どうしの間の寸法(全長の)の1/3程度の寸法に形成されている。
【0017】
本実施の形態1の建物の補強構造は、引込壁IW及びドアDrの上部を支持する補強用梁30(
図3、
図4参照)を備える構造である。この補強用梁30は、
図1、
図2に示すように、矢印D1に沿う第1方向に延在され、その全長は、引込壁IWの第1方向の寸法と同様に、建物ユニットUの第1方向の全長の1.3程度の寸法としている。そして、補強用梁30は、長手方向の両端部が第2天井梁22と第3梁(第3の梁部材)24とに接合されている。
【0018】
ここで、第3梁24について説明すると、第3梁24は、天井根太23と平行に第2方向(矢印D2に沿う方向)に沿って設けられ、長手方向の両端が第1天井梁21、21に接合されている。第3梁24は、
図3、
図4に示すように、断面がコの字状のチャンネル材により形成され、上下方向の側壁部24aと、側壁部24aの上下から水平方向に延びる一対の水平フランジ24b、24bとを備える。そして、側壁部24aには、第2方向において補強用梁30を設ける位置と同じ位置にボルト挿通穴24c、24cが開口されている。
【0019】
そして、第3梁24の第1天井梁21、21への固定は、
図3に示すように、第3梁24の長手方向両端に端部プレート24dが結合され、この端部プレート24dの先端のフランジ24fを、第1天井梁21の側壁部20aに当接させた状態で、ボルト、ナットを有する締結具42により締結されて、結合されている。なお、第3梁24は、
図4に示すように、第2天井梁22及び
図4では図示を省略した第1天井梁21よりも上下方向寸法が小さく形成され、かつ、下端の高さが、第2天井梁22及び第1天井梁21と略同一の高さに配置されている。
【0020】
次に、補強用梁30の構造の詳細、並びに、補強用梁30と第2天井梁22及び第3梁24との接合構造について説明する。
【0021】
まず、補強用梁30の構造について説明すると、補強用梁30は、
図5に示すように、断面が略コの字状のチャンネル材により形成され、上下方向の側壁部30aと、側壁部30aの上下から水平方向に延びる一対のフランジ部30b、30bとを備える。そして、補強用梁30の長手方向の端部には、連結金具31と端接合金具32が溶接等により一体的に結合されている。
【0022】
連結金具31は、
図3及び
図4に示すように、逆L字断面形状に形成され、補強用梁30の端面に溶接等により接合された略長方形板状のベース板31aと、ベース板31aの上端と一体に形成され、水平方向に延びる水平フランジ31bとを備える。
【0023】
そして、ベース板31aは、補強用梁30の上側のフランジ部30bよりも高い位置まで延在され、したがって、水平フランジ31bは、補強用梁30の上側のフランジ部30bよりも高い位置に配置されている。さらに、水平フランジ31bは、第2方向(矢印D2に沿う方向)の寸法が、ベース板31aよりも長く形成され、かつ、ボルト挿通穴31c、31cが開口されている。
【0024】
端接合金具32も、連結金具31と同様に逆L字断面形状に形成され、補強用梁30の端面に溶接等により接合された略長方形板状のベース板32aと、ベース板32aの上端と一体に形成され、水平方向に延びる水平フランジ32bとを備える。
【0025】
そして、ベース板32aは、連結金具31のベース板31aよりも上下方向に長い寸法に形成されている。すなわち、ベース板32aは、
図4に示すように、補強用梁30と第3梁24との上下方向寸法を足した寸法よりもさらに長い寸法に形成されている。さらに、ベース板32aには、上下にボルト挿通穴32c、32cが開口されている。
【0026】
次に、補強用梁30と第2天井梁22及び第3梁24との接合構造について説明する。
まず、補強用梁30の連結金具31と第2天井梁22との接合構造を説明する。この接合構造は、連結金具31の水平フランジ31bを第2天井梁22の下側の梁フランジ部20bの上に重ね合わせて上下方向に係合させた状態とし、ボルト挿通穴31cとボルト挿通穴20cとを上下に重ねる。そして、ボルト挿通穴31c、20cを貫通させたボルトとナットとを締結する締結具41により、水平フランジ31bと梁フランジ部20bとを締結している。これにより、補強用梁30の長手方向の一方の端部が第2天井梁22に接合されている。
【0027】
次に、補強用梁30の端接合金具32と第3梁24との接合構造を説明する。この接合は、端接合金具32の水平フランジ32bを、第3梁24の上側の水平フランジ24bの上に重ねて上下方向に係合させた状態とし、かつ、ベース板32aを第3梁24の側壁部24aに当接させるとともに、ボルト挿通穴32cとボルト挿通穴24cとを水平方向に重ねる。そして、ボルト挿通穴32c、24cを挿通させたボルトとナットとを締結する締結具42により締結している。
【0028】
(実施の形態の効果)
以下に、実施の形態1の建物の補強構造および建物Hの効果を列挙する。
(1)実施の形態1の建物の補強構造は、梁材と柱材10とによって骨組構造体としての建物ユニットUが形成された建物の補強構造であって、
建物ユニットUの上縁は、第1方向(矢印D1に沿う方向)に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁(梁材)21と、第1方向に略直交する第2方向(矢印D2に沿う方向)に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁(梁材)22とによって形成され、
第1天井梁21どうしの間には、第2方向に沿って配置された複数の天井根太23が第1方向に間隔を空けて差し渡され、
天井根太23と並行して第3梁24が設けられ、
第2天井梁22に連結金具31により接合されるとともに、第3梁24に端接合金具32により接合された補強用梁30を備えている。
【0029】
したがって、建物ユニットUの一対の第2天井梁22、22の間の一部に、引込壁IWやドアDr等を支持可能な高強度の補強用梁30を、従来技術のような分割構造とすることなく設けることができ、高い支持強度を得ることができる。特に、本実施の形態1では、引込壁IW及び補強用梁30を、建物ユニットUにおいて、相対的に寸法が長い第1天井梁21に沿う方向において、その1/3程度の長さに設けており、従来技術では、第1天井梁21と同寸法の補強用梁を設け、分割することになるため、高い支持強度を得ることが難しい。さらに、実施の形態1では、補強用梁30の長さや設置する高さも、補強用梁30の長さ、連結金具31や端接合金具32の寸法に基づいて任意に設定でき、従来技術と比較して設計自由度に優れる。
【0030】
(2)実施の形態1の建物の補強構造は、補強用梁30は、端接合金具32の接合相手の部材である天井根太23よりも下方の位置に設けられている。
したがって、補強用梁30を、分割することなく天井根太23よりも下方に設け、引込壁IWやドアDr等の支持対象部材を、より強固に支持することが可能となる。
【0031】
(3)実施の形態1の建物の補強構造は、連結金具31と端接合金具32とは、金具高さが異なる。
したがって、第2天井梁22と天井根太23との高さが異なっていても、補強用梁30を略水平に設けることができる。
【0032】
(4)実施の形態1の建物の補強構造は、連結金具31は、第2天井梁22の梁フランジ部20bに接合されている。
したがって、第2天井梁22の側壁部20a等に接合する場合と比較して、強固に接合可能である。また、組付作業時に補強用梁30の仮止め等も可能となり、組付作業性に優れる。
【0033】
(5)実施の形態1の建物の補強構造は、端接合金具32は、接合相手の部材である第3梁24の上側面である水平フランジ24bに接合されている。
したがって、第3梁24の側壁部24aのみに接合するものと比較して、強固に接合可能である。また、組付作業時に仮止め等も可能となり、組付作業性に優れる。
【0034】
(6)実施の形態1の建物Hは、連結金具31と端接合金具32とは、第2天井梁22と接合相手の部材としての第3梁24とに対して、異なる高さで上下方向に係合して仮設置可能である。
したがって、建物ユニットUを組み付けた後に、補強用梁30を設置する場合の作業性に優れ、引き込み形式の玄関Etの有無などの仕様の違いがあっても、建物ユニットUの共通化を図ることができ、経済性、作業性に優れる。
【0035】
(6)実施の形態1の建物Hは、上記(1)~(5)の建物の補強構造を備える。
したがって、上記(1)~(5)に記載した効果のいずれかあるいは全てを奏する建物Hを提供できる。
【0036】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の建物の補強構造について説明する。
この実施の形態2は、
図7に示すように、端接合金具232の接合対象を、天井根太23とした例である。
【0037】
したがって、端接合金具232の形状が、実施の形態1で示した端接合金具32と異なる。すなわち、端接合金具232のベース板232aの上下方向寸法が実施の形態1のベース板32aよりも短く、水平フランジ232bが、実施の形態1の水平フランジ32bよりも低い位置に配置されている。そして、水平フランジ232bが天井根太23の上側面23aに係合された状態で、端接合金具232が締結具242により天井根太23に接合されている。
(2-1)実施の形態3の建物の補強構造は、梁材と柱材10とによって骨組構造体としての建物ユニットUが形成された建物の補強構造であって、
建物ユニットUの上縁は、第1方向(矢印D1に沿う方向)に向けて略平行に配置される一対の第1天井梁(梁材)21と、第1方向に略直交する第2方向(矢印D2に沿う方向)に向けて略平行に配置される一対の第2天井梁(梁材)22とによって形成され、
第1天井梁21どうしの間には、第2方向に沿って配置された複数の天井根太23が第1方向に間隔を空けて差し渡され、
第2天井梁22に連結金具31により接合されるとともに、天井根太23に端接合金具232により接合された補強用梁30を備えている。
【0038】
したがって、建物ユニットUの一対の第2天井梁22、22の間の一部に、引込壁IWやドアDr等を支持可能な高強度の補強用梁30を、従来技術のような分割構造とすることなく設けることができ、高い支持強度を得ることができる。特に、本実施の形態1では、引込壁IW及び補強用梁30を、建物ユニットUにおいて、相対的に寸法が長い第1天井梁21に沿う方向において、その1/3程度の長さに設けており、従来技術では、第1天井梁21と同寸法の補強用梁を設け、分割することになるため、高い支持強度を得ることが難しい。さらに、実施の形態1では、補強用梁30の長さや設置する高さも、補強用梁30の長さ、連結金具31や端接合金具232の寸法に基づいて任意に設定でき、従来技術と比較して設計自由度に優れる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、この発明は実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、実施の形態では、建物ユニットUの第1天井梁21と第2天井梁22は、相対的に第1天井梁21を長い寸法としたが、これとは逆に、第2天井梁22の方が相対的に長い寸法としてもよい。
【0040】
また、補強用梁30、連結金具31、端接合金具32の形状や寸法は、実施の形態に示したものに限定されない。さらに、連結金具31、端接合金具32の、第2天井梁22への接合構造や、第3梁24又は天井根太23への接合構造も実施の形態で示した構造に限定されるものではない。例えば、連結金具31は、第2天井梁22の下側の梁フランジ部20bに接合したが、側壁部20aや上側の梁フランジ部20bに接合する構造としてもよい。そして、連結金具31を側壁部20aに接合する構造の場合、水平フランジ31bは、不要である。また、連結金具31の形状は、第2天井梁22の形状に応じて適宜、設計変更することができる。さらに、連結金具31と第2天井梁22とを接合する際には、ボルト、ナットを有する締結具41を用いる以外に、リベットや溶接等他の固定構造を用いてもよい。
【0041】
また、端接合金具32についてもその形状や、第3梁24や天井根太23に対する接合箇所も、実施の形態に限定されるものではない。例えば、第3梁24や天井根太23が、実施の形態の第3梁24のように、水平フランジ24bを有する場合、下側の水平フランジ24bに接合することも可能である。また、端接合金具32の形状は、第3梁24や天井根太23の形状に応じて適宜、設計変更することができる。さらに、端接合金具32と第3梁24や天井根太23とを接合する際には、ボルト、ナットを有する締結具42.242を用いる以外に、リベットや溶接等他の固定構造を用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 柱材
20b 梁フランジ部
21 第1天井梁
22 第2天井梁
23 天井根太(天井根太部材)
23a 上側面
24 第3梁(第3の梁部材)
30 補強用梁
31 連結金具
31a ベース板
31b 水平フランジ
31c ボルト挿通穴
32 端接合金具
32a ベース板
32b 水平フランジ
32c ボルト挿通穴
232 端接合金具
232a ベース板
232b 水平フランジ
D1 矢印(第1方向)
D2 矢印(第2方向)
Et 玄関
H 建物
IW 引込壁
U 建物ユニット(骨組構造体)