(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】侵入検知システム、検出装置および侵入検知管理システム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20221025BHJP
E05F 15/74 20150101ALI20221025BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/74
(21)【出願番号】P 2018202158
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】構井 克典
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
(72)【発明者】
【氏名】池田 真也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 重明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-032272(JP,A)
【文献】特開2011-215122(JP,A)
【文献】特開2013-061273(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143448(WO,A1)
【文献】特開2007-322212(JP,A)
【文献】特開2014-237931(JP,A)
【文献】特開2009-013731(JP,A)
【文献】米国特許第07032348(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
G01V 1/00-99/00
G07C 1/00- 9/38
G07C 13/00-15/00
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出部と、
前記検出部に対して電気的に着脱可能に接続され、各領域から得られる物理情報の少なくとも一部を前記検出部から取得し、取得した物理情報に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部と、
を備え
、
前記検出部と前記侵入判断部とが電気的に接続されていない場合は、前記検出部が、各領域から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリアへ人または物体が侵入したと判断し、
前記検出部と前記侵入判断部とが電気的に接続されている場合は、前記侵入判断部が、各領域から得られる物理情報に基づいて人または物体の移動速度を算出し、その算出結果が所定の基準を超えたときに、侵入検知エリアへ人または物体が侵入したと判断する、
ことを特徴とする侵入検知システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部、および前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態でないときに前記侵入判断部が異常であることを示す情報を出力する状態出力部を有することを特徴とする請求項
1に記載の侵入検知システム。
【請求項3】
前記検出部は、各領域から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリアへ人または物体が侵入したと判断する基本判断部、前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部、および前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態でないときに前記基本判断部での判断結果を出力する基本判断出力部を有することを特徴とする請求項
1に記載の侵入検知システム。
【請求項4】
前記検出部は、特定の領域から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに前記特定の領域へ人または物体が侵入したと判断する保護判断部、および前記特定の領域へ人または物体が侵入したときにその判断結果を出力する保護判断出力部を有することを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の侵入検知システム。
【請求項5】
前記基本判断出力部は、前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できない状態から判断できる状態になったことを確認したときに、前記基本判断部での判断結果の出力を停止することを特徴とする請求項
3に記載の侵入検知システム。
【請求項6】
前記状態確認部は、前記侵入判断部が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを、前記侵入判断部の出力状況に基づいて確認することを特徴とする請求項
3に記載の侵入検知システム。
【請求項7】
複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出装置において、
各領域から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置が電気的に着脱可能に接続され、
前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部と、
前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態でないときに前記侵入判断装置が異常であることを示す情報を出力する状態出力部と、
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項8】
複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出装置において、
各領域から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置が電気的に着脱可能に接続され、
各領域から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリアへ人または物体が侵入したと判断する基本判断部と、
前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部と、
前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態でないときに前記基本判断部での判断結果を出力する基本判断出力部と、
を備えることを特徴とする検出装置。
【請求項9】
複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出装置において、
各領域から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置が電気的に着脱可能に接続され、
特定の領域から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに前記特定の領域へ人または物体が侵入したと判断する保護判断部と、
前記特定の領域へ人または物体が侵入したときにその判断結果を出力する保護判断出力部と、
を備えることを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入検知システム、検出装置および侵入検知管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動ドアを開閉する自動ドアシステムでは、侵入検知エリアで取得される物理情報に基づいて、侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断し、判断結果に基づいて自動ドアを開閉する。
【0003】
特許文献1には、自動ドアの室内側上部位置から床面に光を照射し、床面での反射光レベルによって物体の有無を検出する複数の光センサと、該光センサの物体検出信号に基づいて自動ドアの開閉を制御する制御手段を含む自動ドア装置が開示されている。各光センサにより自動ドア近傍の室内側床面に自動ドアと平行に複数列の監視領域を設定する。制御手段は、各光センサから出力される物体検出信号の時系列が、被検出物体が自動ドアに近づく方向の順序である場合に、自動ドアに対して開信号を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自動ドア装置は、不正手段による自動ドアの開放を防止するために、室内側で被検出物体が自動ドアに近づく場合に自動ドアに対して開信号を与える侵入検知アルゴリズムによる制御を実行する。このような制御を実現するハードウェアを実際に提供するには、既存のハードウェアを新たな制御手段を含む自動ドアセンサ等のハードウェアに交換しなければならず、より高度な制御が行えるにも関わらず普及が進まない原因となっていた。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より高度な侵入検知アルゴリズムによる制御へ変更することができる侵入検知システム、検出装置および侵入検知管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は侵入検知システムである。侵入検知システムは、複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出部と、前記検出部に対して電気的に着脱可能に接続され、各領域から得られる物理情報の少なくとも一部を前記検出部から取得し、取得した物理情報に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明のある態様は検出装置である。検出装置は、複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出装置において、各領域から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置が電気的に着脱可能に接続され、前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部と、前記侵入判断装置が侵入検知エリアへの人または物体の侵入を判断できる状態でないときに前記侵入判断装置が異常であることを示す情報を出力する状態出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明のある態様は侵入検知管理システムである。侵入検知管理システムは、複数の領域からなる侵入検知エリアのそれぞれの領域から得られる物理情報を取得する検出装置と、前記検出装置に対して通信ネットワークを介して接続され、各領域から得られる物理情報の少なくとも一部を前記検出装置から取得し、取得した物理情報に基づいて侵入検知エリアへ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置と、を備える侵入検知管理システムにおいて、前記検出装置は、通信ネットワークへ物理情報を送信する送信部を有し、前記侵入判断装置は、自己が使用された分量を示す使用量を積算する積算部を有することを特徴とする。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より高度な侵入検知アルゴリズムによる制御へ変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る侵入検知システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る侵入検知システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】センサ部の床面における侵入検知エリアを示す模式図である。
【
図4】人または物体が侵入したか否かの判定について説明するための模式図である。
【
図5】自動ドアセンサにおける侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】侵入判断部における侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】自動ドアセンサにおける侵入検知処理の別の手順を示すフローチャートである。
【
図8】自動ドアセンサにおける侵入検知処理の更に別の手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る侵入検知システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態2に係る侵入判断部における侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態3に係る侵入検知管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例に係る侵入検知管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る侵入検知システム100の構成を示す模式図である。
図1に示す侵入検知システム100は、自動ドア10への人または物体の侵入を検知し、自動ドアを開閉するように機能する。侵入検知システム100は、
図1に示す自動ドア10への人または物体の侵入を検知するほか、自動ドア以外の防犯装置などのセキュリティシステムにおいて、侵入検知エリアに人または物体が侵入したことを検知するシステムに使用される。
【0015】
侵入検知システム100は、自動ドア10、自動ドアセンサ20、侵入判断部30およびドアコントローラ40等を有する。
図1に示す侵入検知システム100における自動ドア10は、両引分け戸タイプであり、2枚の自動ドア10が左右に自動的に開閉する。自動ドア10は、左右一対であり、左右に間隔を開けて固定配置されたフィックス15に沿って往復移動可能としてあり、左右のフィックス15間の開口部11を開閉する。
【0016】
自動ドア10は、左右それぞれの戸先框10aが突き合わされるように接触して開口部11が閉ざされた全閉状態となる。自動ドア10は、戸先框10aが離間するように移動し、戸先框10aがフィックス15の方立15a付近まで移動して停止し、開口部11が開いた全開状態となる。尚、自動ドア10は、両引分け戸タイプのほか、片引き戸タイプおよび回転ドアタイプ等のものであってもよい。
【0017】
自動ドアセンサ20は、例えば開口部11の上方の無目16に配置されており、無目16における配置位置から斜め下方に向けて赤外光を投受光し、侵入検知エリアを形成する。自動ドアセンサ20は、侵入検知エリアにおける複数の領域から得られる物理情報を取得し、侵入検知エリアに人または物体が侵入したか否かをモニターしている。侵入検知エリアにおける複数の領域から得られる物理情報は、侵入判断部30に入力される。また、自動ドアセンサ20は、侵入検知エリアにおける複数の領域から得られる物理情報に基づいて、侵入検知エリアに人または物体が侵入したか否かを判定し、判定結果をドアコントローラ40へ出力する。自動ドアセンサ20の詳細については後述する。
【0018】
侵入判断部30は、侵入検知エリアにおける複数の領域から得られる物理情報の少なくとも一部を自動ドアセンサ20から取得し、人または物体の移動状況(例えば移動速度)を推定し、自動ドアセンサ20とは独立に侵入検知エリアに人または物体が侵入したか否かを判定し、その判定結果をドアコントローラ40へ出力する。
【0019】
ドアコントローラ40は、侵入検知エリアに人または物体が侵入したか否かの判定結果を自動ドアセンサ20および侵入判断部30から取得し、ドアモータ50を作動させて自動ドア10が開放または閉鎖するように駆動する。また、ドアコントローラ40は、自動ドア10が全開状態になった後は、一定時間、全開状態を保持し、ドアモータ50を反転方向へ作動させて自動ドア10が全閉状態となるまで駆動する。
【0020】
図2は、実施形態1に係る侵入検知システム100の機能構成を示すブロック図である。各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
自動ドアセンサ20、侵入判断部30およびドアコントローラ40は、CAN(Controller Area Network)バスによって相互に通信接続している。自動ドアセンサ20、侵入判断部30およびドアコントローラ40の通信接続は、CANに限られず、イーサネット(登録商標)やWiFi(登録商標)等の有線または無線通信を用いてもよい。
【0022】
自動ドアセンサ20は、検知素子としてのセンサ部21、判断部22、出力部23、状態確認部24、状態出力部25および表示部26を備える。センサ部21は、赤外線反射式センサであり、赤外線を後述の侵入検知エリアに投光する投光器、人または物体等からの反射光を受光する受光器を備える。尚、自動ドアセンサ20は本発明における検出部および検出装置に相当する。
【0023】
図3は、センサ部21の床面における侵入検知エリア60を示す模式図である。侵入検知エリア60は、床面から自動ドアセンサ20が配置される無目16や天井に至る立体的な範囲を有する。侵入検知エリア60は、自動ドア10の移動方向に平行な方向に12列並び、自動ドア10の移動方向に直交する方向に6列並ぶよう配列された複数の領域61で構成される。各領域61には、配列の位置に対応するアドレス1A、1B、・・・、6K、6Lが割り当てられている。割り当てられた各アドレスは、各領域61の位置情報に相当している。
【0024】
各領域61の形状および侵入検知エリア60全体の形状は、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形であってもよい。また、センサ部21は、電波や音波を用いたドップラー効果により検知するもの、カメラで画像を取得し画像処理により検知するもの、人または物体までの距離を測距して検知するもの、遠赤外線の受光量に基づいて人または物体の存在を検知するもの、サーモグラフィーにより検知するもの等を用いることができる。
【0025】
侵入検知エリア60のうち、自動ドア10の近傍にある複数の領域61は、保護検知エリア62となっている。
図3に示す例では保護検知エリア62は、点線によって囲まれたアドレス1A~1Lの領域61を含む。保護検知エリア62に人または物体が侵入した場合には、自動ドア10は開放方向へ駆動し、開放状態を保つように制御される。保護検知エリア62の構成は、
図3に示す例に限られず、例えばアドレス1Aおよび1Lの領域61を含まない構成や、自動ドア10の近傍の2列目に当たるアドレス2A~2Lの領域61を含むような構成などであってもよい。尚、保護検知エリア62は、本発明における特定の領域に相当する。
【0026】
判断部22は、基本判断部22aおよび保護判断部22bを備える。基本判断部22aは、侵入検知エリア60の全体を人または物体が侵入したか否かを判断する判断対象としている。一方、保護判断部22bは、侵入検知エリア60のうち保護検知エリア62を人または物体が侵入したか否かを判断する判断対象としている。
【0027】
基本判断部22aおよび保護判断部22bは、侵入検知エリア60の各領域61に対応する物理情報である赤外光の検知レベルをモニターし、各領域61に人または物体が存在しない場合の所定の基準レベルを超えたとき、または下回ったときに、人または物体が侵入したと判定する。
図4は、人または物体が侵入したか否かの判定について説明するための模式図である。基本判断部22aおよび保護判断部22bは、侵入検知エリア60の各領域61に対応した赤外光の検知レベルの上限閾値と下限閾値とを定める。上限閾値と下限閾値との間は基準レベルであり、人または物体が存在しない状態である。例えば、人または物体の外観が白色系である場合には反射が強く検知レベルが高くなって上限閾値(基準レベル)を超え、人または物体が侵入したことがわかる。また、人または物体の外観が黒色系である場合には反射が弱くなり検知レベルが低くなって下限閾値(基準レベル)を下回り、人または物体が侵入したことがわかる。
【0028】
出力部23は、基本判断出力部23aおよび保護判断出力部23bを有する。基本判断出力部23aは、基本判断部22aによる判定結果をドアコントローラ40へ出力する。基本判断出力部23aは、侵入判断部30に対して、基本判断部22aによる判定結果、または侵入検知エリア60の各領域61に対応する物理情報である赤外光の検知レベルを出力する。基本判断出力部23aは、侵入判断部30に対して、物理情報である赤外光の検知レベルを出力する場合、例えばA/D変換した後のデータを出力するようにしてもよい。また、基本判断出力部23aは、侵入判断部30に対して、侵入検知エリア60の全ての領域61に対応する判定結果、または物理情報である赤外光の検知レベルを出力してもよいし、人または物体が侵入したと判定された領域の位置情報、または当該位置情報とともに物理情報である赤外光の検知レベルを出力するようにしてもよい。
【0029】
同様に、保護判断出力部23bは、保護判断部22bによる判定結果をドアコントローラ40へ出力する。保護判断出力部23bは、侵入判断部30に対して、保護判断部22bによる判定結果、または保護検知エリア62の各領域61に対応する物理情報である赤外光の検知レベルを出力する。保護判断出力部23bは、侵入判断部30に対して、物理情報である赤外光の検知レベルを出力する場合、例えばA/D変換した後のデータを出力するようにしてもよい。また、保護判断出力部23bは、侵入判断部30に対して、保護検知エリア62の全ての領域61に対応する判定結果、または物理情報である赤外光の検知レベルを出力してもよいし、人または物体が侵入したと判定された領域の位置情報、または当該位置情報とともに物理情報である赤外光の検知レベルを出力するようにしてもよい。
【0030】
状態確認部24は、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する。状態確認部24は、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態である場合、侵入判断部30が正常動作していると判定し、人または物体の侵入を判断できる状態でない場合、異常動作していると判定する。例えば、状態確認部24は、侵入判断部30が正常動作しているか異常動作しているかを、侵入判断部30の出力が一定時間無いか定期的にポーリングすることで確認する。
【0031】
状態出力部25は、状態確認部24による確認の結果を受けて、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに侵入判断部30が異常であることを示す情報をドアコントローラ40へ出力する。
【0032】
表示部26は、LEDや液晶表示装置などで構成されており、自動ドアセンサ20、侵入判断部30およびドアコントローラ40等の動作状態(正常またはエラー発生など)を表示して外部へ報知する。表示部26の代わりに、音声等で動作状態を外部へ報知する音声発生部(図示略)を設けてもよい。
【0033】
侵入判断部30は、付加判断部31および判断出力部32を有し、コネクタ35によってCANバスに電気的に着脱可能に接続されている。侵入判断部30は、コネクタ35によってCANバスに接続されるほか、CANバスを介さずに自動ドアセンサ20に別途のコネクタを介して電気的に着脱可能に接続されてもよい。尚、侵入判断部30は、本発明における侵入判断部および侵入判断装置に相当する。
【0034】
付加判断部31は、自動ドアセンサ20から入力される情報に基づいて、人または物体の移動速度および移動方向等を算出し、その算出結果が所定の基準を超えたときに、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したと判断する。付加判断部31は、例えば、人または物体の移動速度および移動方向等を算出した結果、人または物体が止まっている場合や、自動ドア10の前を単に横切るような動きである場合などに、人または物体が侵入したが、自動ドア10を開放させる侵入状態ではないと判断する。
【0035】
付加判断部31は、自動ドアセンサ20から基本判断部22aによる判定結果を取得する場合、人または物体が侵入したと判定された領域61の位置情報の履歴をもとに移動速度および移動方向等を算出する。また、付加判断部31は、自動ドアセンサ20から侵入検知エリア60の各領域61に対応する物理情報である赤外光の検知レベルを取得する場合、自ら上限閾値および下限閾値によって判定し、人または物体が侵入したと判定された領域61の位置情報の履歴をもとに移動速度および移動方向等を算出する。
【0036】
付加判断部31は、自動ドアセンサ20において取得される物理情報に加えて、人または物体の移動速度および移動方向等を算出し、自動ドア10を開放させる侵入状態ではないと判断した場合には、侵入検知エリア60に人または物体が侵入していないと判断する。また、付加判断部31は、人または物体の移動速度および移動方向等を算出し、人または物体が自動ドア10へ向かっており、自動ドア10を開放させる侵入状態であると判断した場合には、侵入検知エリア60に人または物体が侵入したと判断する。
【0037】
判断出力部32は、付加判断部31による判断結果をドアコントローラ40へ出力する。上述のとおり、侵入検知エリア60のいずれかの領域61に人または物体が侵入したとの物理情報や判定結果が自動ドアセンサ20で得られている場合にも、付加判断部31で自動ドア10を開放させる必要がなく、判断出力部32から侵入検知エリア60に人または物体が侵入していないと出力されることがある。
【0038】
ドアコントローラ40は、侵入判断部30が接続されていない状態では、自動ドアセンサ20からの出力に基づいて自動ドア10を開閉する制御を行う。また、ドアコントローラ40は、侵入判断部30が接続された状態では、侵入判断部30からの出力に基づいて自動ドア10を開閉する制御を行う。ドアコントローラ40は、保護検知エリア62に人または物体が侵入したとの出力情報を自動ドアセンサ20の保護判断出力部23bから取得した場合には、侵入判断部30が接続されていても、当該出力情報に基づいて自動ドア10を開放状態に制御する。
【0039】
次に侵入検知システム100の動作について説明する。
図5は、自動ドアセンサ20における侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。侵入検知システム100は、侵入検知エリア60の各領域61における物理情報を自動ドアセンサ20で取得する(S1)。自動ドアセンサ20は、取得した物理情報をCANバス経由で侵入判断部30へ送信する(S2)。自動ドアセンサ20の状態確認部24は、侵入判断部30の状態(正常または異常)を確認する(S3)。
【0040】
状態確認部24による確認に基づき侵入判断部30が正常動作しているか否かを判定する(S4)。ステップS4において正常動作でないと判定した場合(S4:NO)、状態出力部25により侵入判断部30が異常であることを示す情報をCANバスに送信し、表示部26を点滅させるなどして侵入判断部30が異常であることを報知する(S5)。ステップS4において正常動作であると判定した場合(S4:YES)、およびステップS5の後、自動ドアセンサ20で取得した物理情報に基づいて保護検知エリア62への人または物体の侵入を保護判断部22bで判断する(S6)。保護判断部22bは、保護検知エリア62の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えるか、または下限閾値を下回るかを判定する(S7)。
【0041】
ステップS7において、保護検知エリア62の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えるか、または下限閾値を下回る場合(S7:YES)、保護判断出力部23bから、保護検知エリア62へ人または物体が侵入したとの判断結果をCANバスへ出力し(S8)、処理を終了する。ステップS7において、保護検知エリア62の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えず、かつ下限閾値を下回っていない場合(S7:NO)、処理を終了する。尚、ステップS7において、保護検知エリア62の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えず、かつ下限閾値を下回っていない場合(S7:NO)、保護検知エリア62へ人または物体が侵入していないとの判断結果をCANバスへ出力してもよい。
【0042】
自動ドアセンサ20は、ステップS1からステップS8を繰り返すことによって、侵入判断部30の正常動作を確認しつつ、異常が生じている場合にはCANバスへ侵入判断部30が異常であることをドアコントローラ40へ知らせることができる。ドアコントローラ40は、侵入判断部30が異常状態である場合には、自動ドア10の稼働を停止し、または自動ドアセンサ20の出力情報に基づいて自動ドア10の稼働を継続するようにしてもよい。また、侵入判断部30が異常であることが表示部26によって報知されることで、点検や修理等のメンテナンスが必要であることを外部に知らせることができる。
【0043】
また、自動ドアセンサ20は、侵入判断部30が正常動作しているか異常動作しているかに関わらず、保護判断出力部23bから、保護検知エリア62への人または物体の侵入をCANバスへ出力し、ドアコントローラ40へ知らせることができる。ドアコントローラ40は、保護検知エリア62への人または物体の侵入に対応して、自動ドア10を開放状態に制御することができる。
【0044】
図6は、侵入判断部30における侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。侵入判断部30は、CANバス経由で侵入検知エリア60の各領域61における物理情報を取得する(S11)。付加判断部31は、取得した物理情報に基づいて、侵入検知エリア60へ侵入してきた人または物体の移動速度および移動方向等を算出する(S12)。付加判断部31は、算出した移動速度および移動方向が、人または物体が自動ドア10方向に向かっている等の検知条件を満たすか否かを判定する(S13)。ここで、検知条件は、上述のように人または物体の移動速度および移動方向等に基づいて、例えば人または物体が自動ドア10へ向かっており、自動ドア10を開放させる侵入状態であると判断し得る条件である。
【0045】
付加判断部31により検知条件を満たすと判定された場合(S13:YES)、判断出力部32は、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したとの判断結果をCANバスへ出力し(S14)、処理を終了する。ステップS13において、付加判断部31が検知条件を満たさないと判定した場合(S13:NO)、処理を終了する。また、判断出力部32は、付加判断部31が検知条件を満たさないと判定した場合(S13:NO)、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入していないとの判断結果をCANバスへ出力するようにしてもよい。侵入判断部30は、ステップS11からステップS14を繰り返すことによって、ドアコントローラ40へ判断結果を出力する。
【0046】
ドアコントローラ40は、侵入判断部30が接続されていない状態では、自動ドアセンサ20からの出力に基づいて自動ドア10を開閉する制御を行う。侵入検知システム100は、侵入判断部30が接続されることで、事後的により高度な侵入検知アルゴリズムへ変更することができる。また侵入検知システム100は、自動ドアセンサ20の交換等が不要であり、過剰にハードウェア資源を用いることなく、必要な侵入検知アルゴリズムを実行することができる。
【0047】
侵入判断部30は、侵入検知エリア60内に人または物体が存在していることに加えて、人または物体の移動速度および移動方向等に基づいて自動ドア10を開放させる侵入状態であるかを判断しており、付加的で高度な侵入判断を提供することができる。ドアコントローラ40は、侵入判断部30から出力される判断結果に基づいて自動ドア10を開閉させることで、人または物体の移動速度および移動方向等による判断結果に基づいた自動ドア10の開閉を可能とする。
【0048】
図7は、自動ドアセンサ20における侵入検知処理の別の手順を示すフローチャートである。
図7に示すステップS21からステップS24までの処理は、
図5に示すステップS1からステップS4までの処理と同等であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。ステップS24において、侵入判断部30が正常動作でないと判定した場合(S24:NO)、自動ドアセンサ20で取得した物理情報に基づいて侵入検知エリア60への人または物体の侵入を基本判断部22aで判断する(S25)。基本判断部22aは、侵入検知エリア60の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えるか、または下限閾値を下回るかを判定する(S26)。
【0049】
ステップS26において、侵入検知エリア60の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えるか、または下限閾値を下回る場合(S26:YES)、基本判断出力部23aから、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したとの判断結果をCANバスへ出力する(S27)。ステップS24において侵入判断部30が正常動作であると判定した場合(S24:YES)、ステップS26において侵入検知エリア60の各領域61で取得される物理情報が上限閾値を超えず、かつ下限閾値を下回っていない場合(S26:NO)、およびステップS27の後、ステップS28へ移行し、保護検知エリア62への人または物体の侵入を保護判断部22bで判断する(S28)。
図7においてステップS28からステップS30までの処理は、
図5に示したステップS6からステップS8までの処理と同様であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。尚、侵入判断部30は
図6に示したフローチャートに基づき処理を実行しているとする。
【0050】
自動ドアセンサ20は、侵入判断部30が異常動作している場合に、ステップS25からステップS27までの処理によって、侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断し、判断結果をCANバスへ出力している。これにより、ドアコントローラ40は、侵入判断部30が異常動作している場合に、侵入判断部30からの判断結果に拠らず自動ドアセンサ20からの判断結果に基づいて自動ドア10の開閉制御を継続することができる。
【0051】
図8は、自動ドアセンサ20における侵入検知処理の更に別の手順を示すフローチャートである。
図8に示すステップS31からステップS37までの処理は、
図7に示すステップS21からステップS27までの処理と同様であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。
図8に示す処理フローでは、保護検知エリア62への人または物体の侵入について判断する処理(
図7に示すステップS28からステップS30)が省略されている。自動ドアセンサ20において、保護検知エリア62への人または物体の侵入について判断する保護判断部22bが設けられていない場合であっても、侵入検知エリア60に関して、
図7と同様の処理が行い得る。
【0052】
図7および
図8のフローチャートに基づく処理では、侵入判断部30が異常となった場合、基本判断部22aによって侵入検知エリア60への人または物体の侵入が判断されてドアコントローラ40が自動ドア10の開閉制御を継続する。ここで侵入判断部30が異常動作から正常動作に戻った場合、
図7におけるステップS25からステップS27までの処理、および
図8におけるステップS35からステップS37までの処理はスキップされる。これにより、侵入判断部30が異常動作から正常動作に戻った場合、基本判断部22aでの判断および基本判断出力部23aからの出力が停止し、正常動作に戻った侵入判断部30の判断結果に基づいてドアコントローラ40が自動ドア10を開閉制御する。
【0053】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る侵入検知システム100の機能構成を示すブロック図である。実施形態2に係る侵入判断部30は生体情報判断部33を有する。実施形態2に係る侵入検知システム100について、生体情報判断部33を設けるほか、以下において特に説明する以外の構成および動作は実施形態1と同等であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。
【0054】
侵入判断部30の生体情報判断部33は、予め登録された生体情報等を有する人または物体(人の生体情報に相当する情報を有する)に対して自動ドア10の開放を許可する。生体情報判断部33は、予め登録された生体情報等を有しない人または物体が自動ドア10へ侵入してきても自動ドア10の開放を許可しない。生体情報は、例えば顔や瞳、声紋などの情報であり、人または物体を特定できる情報であればよい。生体情報は、図示しない記憶装置に予め登録されている。生体情報判断部33は、自動ドア10に侵入してきた人または物体から抽出された生体情報と、記憶装置に予め登録された生体情報とを照合して一致するか否かを判断する。
【0055】
例えば画像センサによって人または物体を撮影して生体情報を抽出するが、自動ドアセンサ20が画像センサである場合は、自動ドアセンサ20により撮影された画像を用いて生体情報が抽出される。また、自動ドアセンサ20が画像センサ以外の方式による場合には、人または物体を撮影するための画像センサを設けるとよい。また、声紋などを抽出して照合する場合には音声を取得するためのマイクを設けるとよく、また他の生体情報を利用する場合には該生体情報に対応する検出器等を設けるとよい。
【0056】
図10は、実施形態2に係る侵入判断部30における侵入検知処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示すステップS41からステップS43までの処理は、
図6におけるステップS11からステップS13までの処理と同等であり、記載の簡潔化のため説明を省略する。ステップS43において、付加判断部31により移動方向および移動速度等が検知条件を満たすと判定された場合(S43:YES)、侵入してきた人または物体の生体情報を抽出する(S44)。
【0057】
生体情報判断部33は、抽出された生体情報に予め登録されていない人または物体が居るか否かを判定する(S45)。生体情報判断部33は、予め登録されていない人または物体が居る場合(S45:YES)、侵入を許可されていない人または物体が居ることを示す情報を出力し(S46)、処理を終了する。この場合、音声や表示等によって、侵入を許可されていない人または物体が居ることを示す情報を外部へ報知しても良い。
【0058】
生体情報判断部33により予め登録されていない人または物体が居ないと判定された場合(S45:NO)、判断出力部32は、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したとの判断結果をCANバスへ出力し(S47)、処理を終了する。また、ステップ43において付加判断部31により移動方向および移動速度等が検知条件を満たないと判定された場合(S43:NO)、処理を終了する。侵入判断部30は、ステップS41からステップS47までの処理を繰り返す。
【0059】
侵入検知システム100は、侵入判断部30に生体情報判断部33を設け、生体情報を用いて人または物体の自動ドア10の通過を許可または禁止することで、付加的に、より高度な侵入判断を提供することができる。
【0060】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る侵入検知管理システム110の機能構成を示すブロック図である。侵入検知管理システム110は、自動ドアセンサ20、ドアコントローラ40、通信ネットワーク70を介して通信接続される侵入判断装置80等を備える。自動ドアセンサ20は、実施形態1において
図2に示した自動ドアセンサ20と同等の構成および動作を有し、更に通信ネットワーク70に接続するための通信部27を備える。通信部27は、有線通信または無線通信によって通信ネットワーク70を介して侵入判断装置80との間で情報を送受信する。ドアコントローラ40は、実施形態1と同様にCANにより自動ドアセンサ20と接続されており、自動ドア10の開閉を制御する。尚、通信部27は、本発明における送信部に相当する。
【0061】
侵入判断装置80は、管理サーバ81およびアプリケーションサーバ82を備え、通信ネットワーク70に接続されるクラウド側に配されている。管理サーバ81は、自動ドアセンサ20によって侵入判断装置80での侵入判断が使用された分量を示す使用量を積算する積算部81aを有する。管理サーバ81は、自動ドアセンサ20が使用する侵入判断アルゴリズムに関する契約条件に従って、自動ドアセンサ20に対応してアプリケーションサーバ82で実行する侵入判断アルゴリズムを振り分ける。
【0062】
アプリケーションサーバ82は、複数の付加判断部83a~83c、および判断出力部84を有する。各付加判断部83a~83cはそれぞれ異なる侵入判断アルゴリズムA~Cを実行する。付加判断部83a~83c、および判断出力部84の構成および動作は、実施形態1において説明した付加判断部31および判断出力部32と同等である。
【0063】
次に、実施形態3に係る侵入検知管理システム110の動作について説明する。自動ドアセンサ20は、侵入判断装置80を使用した侵入判断を使用する際に、使用する旨を示す使用通知信号を管理サーバ81へ送信する。管理サーバ81は、使用通知信号に基づいて使用量を積算部81aにより積算する。管理サーバ81は、積算部81aによって積算された使用量に基づいて、自動ドアセンサ20が侵入判断装置80を使用したことで発生する利用料金を決定する。また、自動ドアセンサ20に関する契約条件に基づいてアプリケーションサーバ82で実行する侵入判断アルゴリズムが決定される。
【0064】
自動ドアセンサ20は、侵入検知エリア60の各領域61で取得される物理情報をアプリケーションサーバ82へ送信する。アプリケーションサーバ82は、付加判断部83a~83cのいずれかによって侵入判断を実行し、判断結果を判断出力部84により通信ネットワーク70へ送信する。アプリケーションサーバ82が送信した判断結果は、自動ドアセンサ20の通信部27で受信され、CANバスに出力される。ドアコントローラ40は、アプリケーションサーバ82が送信した判断結果をCANバスにより受信し、判断結果に基づいて自動ドア10を開閉制御する。尚、アプリケーションサーバ82が送信した判断結果は、ドアコントローラ40に設けられた通信部(図示略)によって受信してもよい。
【0065】
侵入検知管理システム110は、クラウド側のサーバで付加的に侵入判断を実行することで、過剰なハードウェア資源を用いることなく、必要な侵入検知アルゴリズムを実行することができる。また、侵入検知管理システム110は、事後的により高度な侵入検知アルゴリズムへの変更が可能である。また、自動ドアセンサ20による侵入判断装置80の使用量に応じて利用料金が支払われることで、初期投資を抑えることができる。
【0066】
(変形例)
図12は、変形例に係る侵入検知管理システム110の機能構成を示すブロック図である。変形例に係る侵入検知管理システム110は、セキュリティシステム90および侵入判断装置80等を備える。セキュリティシステム90は、1以上の複数の検出部91およびセキュリティ制御部92を有し、例えばドアのロックを制御し、または自動ドアの開閉許可等、防犯等を目的として機能する。尚、変形例に係る侵入判断装置80の構成および動作は、以下に特に説明するほか、実施形態3で説明した侵入判断装置80と同等である。
【0067】
各検出部91は、通信部91aを有し、通信ネットワーク70に通信接続される。各検出部91は、上述の各実施形態において説明した自動ドアセンサ20と同様に機能し、侵入検知エリアで取得される物理情報を取得し、アプリケーションサーバ82へ送信する。人または物体の生体情報に基づいて防犯等を行うセキュリティシステムでは、検出部91によって人または物体の生体情報などを抽出し、アプリケーションサーバ82へ送信する。また、各検出部91は、侵入判断装置80を使用した侵入判断を使用する際に、使用する旨を示す使用通知信号を通信部91aによって管理サーバ81へ送信する。
【0068】
変形例に係る侵入検知管理システム110の動作について説明する。管理サーバ81は、検出部91からの使用通知信号に基づいて使用量を積算部81aにより積算する。管理サーバ81は、積算部81aによって積算された使用量に基づいて、検出部91が侵入判断装置80を使用したことで発生する利用料金を決定する。また、セキュリティシステム90に関する契約条件に基づいてアプリケーションサーバ82で実行する侵入判断アルゴリズムが決定される。侵入判断アルゴリズムは、例えば上述の生体情報に基づく侵入判断を含む。生体情報に基づく侵入判断では、侵入検知エリアに侵入してきた人または物体が予め登録された生体情報を有するか否かを判定し、セキュリティ解除(例えばロック解除)の許可または禁止が決定される。
【0069】
検出部91は、侵入検知エリアで取得される物理情報をアプリケーションサーバ82へ送信する。アプリケーションサーバ82は、付加判断部83a~83cのいずれかによって侵入判断を実行し、判断結果を判断出力部84により通信ネットワーク70へ送信する。アプリケーションサーバ82が送信した判断結果は、セキュリティ制御部92によって受信される。セキュリティ制御部92は、受信した判断結果に基づいてセキュリティを解除するか否かを決定する。
【0070】
侵入検知管理システム110は、クラウド側のサーバで付加的に侵入判断を実行することで、過剰なハードウェア資源を用いることなく、必要な侵入検知アルゴリズムを実行することができる。また、侵入検知管理システム110は、生体情報に基づく侵入判断など、事後的により高度な侵入検知アルゴリズムへの変更が可能である。また、自動ドアセンサ20による侵入判断装置80の使用量に応じて利用料金が支払われることで、初期投資を抑えることができる。
【0071】
次に、各実施形態および変形例に係る侵入検知システム100、検出装置(自動ドアセンサ20)および侵入検知管理システム110の特徴を説明する。
侵入検知システム100は、複数の領域61からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する自動ドアセンサ20(検出部)と、自動ドアセンサ20に対して電気的に着脱可能に接続され、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部を自動ドアセンサ20から取得し、取得した物理情報に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部30と、を備える。これにより、侵入検知システム100は、侵入判断部30を電気的に接続することで、より高度な侵入検知アルゴリズムによる制御へ変更することができる。
【0072】
また侵入検知システム100は、侵入判断部30が電気的に接続されていない場合、自動ドアセンサ20が、各領域61から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したと判断する。侵入検知システム100は、侵入判断部30が電気的に接続された場合には、侵入判断部30が、各領域61から得られる物理情報に基づいて人または物体の移動速度を算出し、その算出結果が所定の基準を超えたときに、侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したと判断する。これにより、侵入検知システム100は、侵入検知エリア60内に存在することにより侵入と判断するアルゴリズムから、侵入検知エリア60での移動状況に基づいて侵入と判断する、より高度な侵入検知アルゴリズムへの変更が可能となる。
【0073】
また自動ドアセンサ20は、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部24、および侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに侵入判断部30が異常であることを示す情報を出力する状態出力部25を有する。これにより、侵入検知システム100は、状態出力部25の出力に基づいて侵入判断部30での異常発生をすぐに検出することができる。
【0074】
また自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したと判断する基本判断部22a、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部24、および侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに基本判断部22aでの判断結果を出力する基本判断出力部23aを有する。これにより、侵入検知システム100は、侵入判断部30や伝送部分等において故障等の異常が生じても、一定レベルでの侵入検知を継続することができる。
【0075】
また自動ドアセンサ20は、保護検知エリア62(特定の領域)から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに保護検知エリア62へ人または物体が侵入したと判断する保護判断部22b、および保護検知エリア62へ人または物体が侵入したときにその判断結果を出力する保護判断出力部23bを有する。これにより、侵入検知システム100は、侵入判断部30や伝送部分等において故障等の異常が生じても、最低限必要とされる領域(例えば自動ドア近傍に設定される保護検知エリア)での侵入検知を継続することができる。
【0076】
また基本判断出力部23aは、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できない状態から判断できる状態になったことを確認したときに、基本判断部22aでの判断結果の出力を停止する。これにより、侵入検知システム100は、通信系等における一時的な異常があっても、自動的に復帰することができる。
【0077】
また状態確認部24は、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを、侵入判断部30の出力状況に基づいて確認する。これにより、侵入検知システム100は、特別な通信に拠らず、侵入判断部30が正常に動作しているか否かを判断することができる。
【0078】
自動ドアセンサ20(検出装置)は、複数の領域からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する。自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部30(侵入判断装置)が電気的に着脱可能に接続される。自動ドアセンサ20は、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部24と、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに侵入判断部30が異常であることを示す情報を出力する状態出力部25と、を備える。これにより、自動ドアセンサ20は、状態出力部25の出力に基づいて侵入判断部30での異常発生をすぐに検出することができる。
【0079】
自動ドアセンサ20(検出装置)は、複数の領域61からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する。自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部30(侵入判断装置)が電気的に着脱可能に接続される。自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したと判断する基本判断部22aと、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部24と、侵入判断部30が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに基本判断部22aでの判断結果を出力する基本判断出力部23aと、を備える。これにより、自動ドアセンサ20は、侵入判断部30や伝送部分等において故障等の異常が生じても、一定レベルでの侵入検知を侵入検知システム100に継続させることができる。
【0080】
自動ドアセンサ20(検出装置)は、複数の領域61からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する。自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断部30(侵入判断装置)が電気的に着脱可能に接続される。自動ドアセンサ20は、保護検知エリア62(特定の領域)から得られる物理情報が所定の基準を超えたとき、または下回ったときに保護検知エリア62へ人または物体が侵入したと判断する保護判断部22bと、保護検知エリア62へ人または物体が侵入したときにその判断結果を出力する保護判断出力部23bと、を備える。これにより、自動ドアセンサ20は、侵入判断部30や伝送部分等において故障等の異常が生じても、最低限必要とされる領域(例えば自動ドア近傍に設定される保護検知エリア)での侵入検知を侵入検知システム100に継続させることができる。
【0081】
侵入検知管理システム110は、複数の領域61からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する自動ドアセンサ20(検出装置)と、自動ドアセンサ20に対して通信ネットワーク70を介して接続され、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部を自動ドアセンサ20から取得し、取得した物理情報に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置80と、を備える。侵入検知管理システム110は、自動ドアセンサ20は、通信ネットワーク70へ物理情報を送信する通信部27(送信部)を有する。侵入判断装置80は、自己が使用された分量を示す使用量を積算する積算部81aを有する。これにより、侵入検知管理システム110は、クラウド側の侵入判断装置80で付加的に侵入判断を実行することで、過剰なハードウェア資源を用いることなく、必要な侵入検知アルゴリズムを実行することができる。
【0082】
自動ドアセンサ20(検出装置)は、複数の領域61からなる侵入検知エリア60のそれぞれの領域61から得られる物理情報を取得する。自動ドアセンサ20は、各領域61から得られる物理情報の少なくとも一部に基づいて侵入検知エリア60へ人または物体が侵入したか否かを判断し、その判定結果を出力する侵入判断装置80が通信ネットワーク70を介して接続される。自動ドアセンサ20は、通信ネットワーク70へ物理情報を送信する通信部27と、侵入判断装置80が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態であるか否かを確認する状態確認部24と、侵入判断装置80が侵入検知エリア60への人または物体の侵入を判断できる状態でないときに侵入判断装置80が異常であることを示す情報を出力する状態出力部25と、を備える。これにより、自動ドアセンサ20は、状態出力部25の出力に基づいて、クラウド側の侵入判断装置80での異常発生をすぐに検出することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0084】
20 自動ドアセンサ(検出部、検出装置)、 22a 基本判断部、
22b 保護判断部、 23a 基本判断出力部、 23b 保護判断出力部、
24 状態確認部、 25 状態出力部、 27 通信部(送信部)、
30 侵入判断部(侵入判断装置)、 60 侵入検知エリア、 61 領域、
80 侵入判断装置、 81a 積算部、 100 侵入検知システム、
110 侵入検知管理システム。