(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】画像読取り装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20221025BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221025BHJP
G06K 7/015 20060101ALI20221025BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20221025BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G06K7/10 464
G03B15/00 U
G06K7/015
G06K7/10 372
G06K7/14 017
G06K19/06 112
(21)【出願番号】P 2018210104
(22)【出願日】2018-11-07
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 誠
(72)【発明者】
【氏名】磯野 祥子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆明
【審査官】打出 義尚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/141860(WO,A1)
【文献】特開2007-207085(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138321(WO,A1)
【文献】特開2017-173715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G03B 15/00
G06K 7/015
G06K 7/14
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を光学的に読み取る画像読取り装置において、
前記画像を読み取るカメラと、
前記画像を翳すべき位置をガイドする第1の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させる空中結像モジュールと
を備え
、
前記空中結像モジュールは、
前記画像を読み取る前記カメラが有するレンズの中心軸と垂直な平面に対して上下方向の上側を前記カメラの方向に傾けた状態に前記第1の空中像を空中結像させる
ことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記空中結像モジュールは、
前記カメラによる前記画像の読み取りの正否を表す第2の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記空中結像モジュールは、
外部の照度を検出する照度センサと、
前記照度センサにより検出された外部の照度に応じて前記カメラの前記焦点位置に空中結像される前記第1の空中像の明るさを制御する制御部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
画像を光学的に読み取る画像読取り装置により実行される画像読取り方法であって、
前記画像を翳すべき位置をガイドする第1の空中像を空中結像させる第1のステップと、
前記第1の空中像に合わせて翳された前記画像をカメラにより読み取る第2のステップと
を備え、
前記第1のステップでは、
前記画像を読み取る前記カメラが有するレンズの中心軸と垂直な平面に対して上下方向の上側を前記カメラの方向に傾けた状態に、前記第1の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させる
ことを特徴とする画像読取り方法。
【請求項5】
前記カメラによる前記画像の読み取りの正否を表す第2の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させる第3のステップを備える
ことを特徴とする請求項
4に記載の画像読取り方法。
【請求項6】
前記第1のステップでは、
外部の照度を検出し、検出した外部の照度に応じて前記カメラの前記焦点位置に空中結像させる前記第1の空中像の明るさを制御する
ことを特徴とする請求項
4に記載の画像読取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取り装置及び方法に関し、例えば、自動取引装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
エンドユーザ操作型の自動取引装置などにおいて、あらかじめ作成された2次元コード画像(以下、これを単に2次元コードと呼ぶ)により装置に情報を入力する場合、光学画像読取り方式(カメラ読取り方式)の据置き型2次元コードリーダ等が装置に内蔵された形で使われる。
【0003】
このとき自動取引装置において2次元コードを読み取る読取り部は装置内に固定されているため、エンドユーザが2次元コードを翳す位置を調整して、読取りカメラ(センサ)までの距離を一定に保たないと読取り画像がぼやけてしまう。読取り画像がぼやけてしまうと、画像認識に失敗し2次元コードを正しく読み取れないため、読取りカメラの撮影範囲の中心軸上のレンズ焦点位置に2次元コードを保持するための操作ガイドが必要である。
【0004】
従来の自動取引装置などでは、エンドユーザが2次元コードを読取りカメラの焦点位置に保持し易くするための物理的な操作ガイドを設けて読取りカメラによる2次元コードの読み取りを安定化させている。
【0005】
しかしながら、この方式では、読み取る2次元コードサイズに合わせた物理的なガイド構造が必要となるため、例えばスマートフォンの画面に2次元コードを表示して読ませる場合は多種多様な画面サイズに合わせた物理ガイドが必要となり、構造が複雑化してしまうという問題があった。
【0006】
また、別の方式としては、2次元コードを翳す場所とは別の位置に実装された操作画面に読取り中の2次元コードをガイドラインとともに表示して、エンドユーザが保持するスマートフォンの位置の調整を促す方式もある。この方式では、エンドユーザがガイド画面と手元の2か所を見ながらの操作を行う必要があるため、操作に不慣れなエンドユーザには、スマートフォンを合わせる位置が分かり難く、読取り画像がぶれやすく好ましくない。
【0007】
一方、特許文献1には、読取口をほぼ覆うように設けられた液晶表示器と、読取口を通して外部に照明光を照射する面光源と、読取口を通して外部の読取対象面からの光を受光する受光センサを有する受光光学系と、液晶表示器、面光源及び受光光学系を制御する制御部とを備え、制御部によって、情報コードの読み取り時には、液晶表示器を無表示状態にすると共に、受光光学系が読取口からの受光量に応じた受光信号を出力するように制御し、情報の表示時には、液晶表示器に情報を表示すると共に、面光源を発光させて面光源を液晶表示器のバックライトとなるように制御する構成した情報読取装置が開示されている。
【0008】
このような構成の情報読取装置によれば、読み取る2次元コードサイズに合わせた物理的なガイド構造が必要なく、またエンドユーザがガイド画面と手元の2か所を見ながらの操作を行う必要がないため、操作に不慣れなエンドユーザであっても、スマートフォンを合わせる位置が分かり易く、読取り画像がぶれ難いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、かかる特許文献1に開示された情報読取装置によれば、エンドユーザは液晶表示器に表示されたガイダンス(例えば、「ここにバーコードを翳して下さい」)に従って、バーコードや2次元コードなどを表示させたスマートフォンや携帯電話の表示面をその液晶表示器に当接させ又は極めて近い位置に保持する必要がある。
【0011】
このためエンドユーザが操作を誤ってスマートフォンや携帯電話を情報読取装置の液晶表示器の表示面(特許文献1の実施例では防塵プレートの表面)に衝突させてしまうおそれがあり、このような衝突によってエンドユーザのスマートフォン又は携帯電話の表示面や、情報読取装置の液晶表示器の表示面に損傷を生じさせるおそれがあった。
【0012】
発明は以上の点を考慮してなされたもので、操作者が直感的に操作し易く、またエンドユーザが利用するスマートフォン等に損傷を生じさせるおそれを格段的に低減させながら、正確な画像読取りを可能とした簡易な構成の画像読取り装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明においては、画像を光学的に読み取る画像読取り装置において、前記画像を読み取るカメラと、前記画像を翳すべき位置をガイドする第1の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させる空中結像モジュールとを設け、前記空中結像モジュールが、前記画像を読み取る前記カメラが有するレンズの中心軸と垂直な平面に対して上下方向の上側を前記カメラの方向に傾けた状態に前記第1の空中像を空中結像させるようにした。
【0014】
また本発明においては、画像を光学的に読み取る画像読取り装置により実行される画像読取り方法であって、前記画像を翳すべき位置をガイドする第1の空中像を空中結像させる第1のステップと、前記第1の空中像に合わせて翳された前記画像をカメラにより読み取る第2のステップとを設け、前記第1のステップでは、前記画像を読み取る前記カメラが有するレンズの中心軸と垂直な平面に対して上下方向の上側を前記カメラの方向に傾けた状態に、前記第1の空中像を、前記カメラの焦点位置に空中結像させるようにした。
【0015】
本発明の画像読取り装置及び方法によれば、物理的なガイド構造を必要とすることなく、画像の読み取りに最適な焦点位置に画像をガイドすることができる。また画像読取り装置及び方法によれば、第1の空中像を空中結像させるため、ユーザが画像を表示させたスマートフォン等を誤って画像読取り装置に衝突させるおそれを格段的に低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作者が直感的に操作し易く、またエンドユーザが利用するスマートフォン等に損傷を生じさせるおそれを格段的に低減させながら、正確な2次元コードの読取りを可能とした簡易な構成の画像読取り装置及び方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態による自動取引装置の概略構成を示す概念図である。
【
図2】AIRR方式の空中結像モジュールの構成を示す概念図である。
【
図3】2面直行リフレクター方式の空中結像モジュールの構成を示す概念図である。
【
図4】画像読取りカメラに対する空中像の表示位置の説明に供する概念図である。
【
図5】(A)~(C)は、空中像の表示例を示す図である。
【
図6】空中像の表示状態の説明に供する概念図である。
【
図7】(A)~(E)は、自動取引装置のタッチパネルディスプレイに表示される各種画面の画面構成例を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態による空中結像操作ガイダンス装置の概略構成を示す概念図である。
【
図9】外部照度と、ディスプレイのバックライトの駆動電圧との対応関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0019】
図1は、本実施の形態による自動取引装置1の構成を示す。この自動取引装置1には、エンドユーザが操作するタッチパネルディスプレイ2に加えて、エンドユーザがスマートフォン3に表示させた2次元コード4を翳すべき位置をガイダンス(案内)するための空中像5を表示する空中結像操作ガイダンス装置6が搭載されている。
【0020】
実際上、空中結像操作ガイダンス装置6は、空中結像モジュール7及び画像読取りカメラ8を内蔵しており、空中結像モジュール7により破線K1で示す画像読取りカメラ8の中心線上の焦点位置に空中像5を表示することができる。これによりエンドユーザが2次元コード4を表示させたスマートフォン3をかかる空中像5の位置で画像読取りカメラ8に翳すことで、当該スマートフォン3に表示された2次元コード4を画像読取りカメラ8によって読み取ることができるようになされている。
【0021】
図2は、AIRR(aerial imaging by retro-reflection)と呼ばれる空中結像技術を適用した場合の空中結像モジュール7の構成例を示す。この空中結像モジュール7では、空中像5の元となる像を例えば液晶パネル等から構成されるディスプレイ10に表示すると、ディスプレイ10から拡散された光線L1の半分がハーフミラー11において反射する。
【0022】
またこのハーフミラー11における光線L1の反射光L2は、再起反射材12において入射角と同じ角度に反射されて、再度ハーフミラー11に照射される。ハーフミラー11は、かかる再起反射材12からの反射光L3のうちの半分の光線を通過させるため、ディスプレイ10に表示された像が空中結像し、人の目から見ることができる空中像5が光学的に構成される。空中像5は、ディスプレイ10及びハーフミラー11の位置関係と全く同じ面対象の位置に空中結像される特徴を持つ。
【0023】
図3は、2面直行リフレクターから構成される空中結像プレート13を使用した空中結像モジュール7の構成例を示す。空中像14の元となる像をディスプレイ15に表示すると、当該ディスプレイ15から拡散された光線L4が、空中結像プレート13に入射し、空中像14を結像する。空中像14は、ディスプレイ15及び空中結像プレート13の位置関係と全く同じ面対象の位置に空中結像される特徴を持つ。モジュール全体の構造は異なるが、本方式のディスプレイ15は
図2のディスプレイ10と同一のものであり、空中結像される空中像14は、
図2の空中像5と同一である。
【0024】
図4は、画像読取りカメラ8と、その周辺の仕組みとの概略構成を示す。画像読取りカメラ8は、画像をデータに変換するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサ20を備える。イメージセンサ20の受光面20Aに画像を結像するためにレンズ21が用いられる。レンズ21の枚数や大きさ等その組み合わせにより、イメージセンサ20の受光面20Aに鮮明な画像を結像するためのレンズ21の焦点距離FLが物理的に決定する。レンズ21の焦点距離FLは、空中像5に合わせて翳されたスマートフォン3(
図1)に表示されている2次元コード4を鮮明に読み取れる距離に設定される。
【0025】
図5(A)~(C)は、空中像5の具体的な表示例を示す。
図5(A)は、エンドユーザがスマートフォン3(
図1)に表示された2次元コード4(
図1)を翳すエリアを案内するための空中像5(5A)の表示例であり、その四隅に位置するL字状の記号5AXと、「ここに翳して下さい」などの案内用の文字列5AYとで構成される。
【0026】
また
図5(B)は、自動取引装置1が、エンドユーザが翳したスマートフォン3に表示された2次元コード4の読み取りを成功したときに表示される空中像5(5B)の表示例であり、読取りが成功したことをエンドユーザが容易に認識可能な「○」などの記号5BXから構成される。さらに
図5(C)は、自動取引装置1が、エンドユーザが翳したスマートフォン3に表示された2次元コード4の読み取りに失敗したときに表示される空中像5(5C)の表示例であり、読取りが失敗したことをエンドユーザが容易に認識可能な「×」などの記号5CXから構成される。
【0027】
図5(A)~(C)の空中像5(5A~5C)の切り替えは、自動取引装置1の内部に設けられ、当該自動取引装置1全体の動作制御を司る図示しない制御装置の制御の元に行われる。ただし、ディスプレイ10,15(
図2、
図3)が表示する画像等を制御する専用の表示制御装置を設け、当該表示制御装置を介して自動取引装置1全体の動作制御を司る図示しない制御装置がディスプレイ10,15の表示画像を切り替えることにより、適切な空中像5を適切なタイミングで表示(空中結像)させるようにしてもよい。
【0028】
なお、
図5(B)の空中像5Bや
図5(C)の空中像5Cだけでなく、画像読取りカメラ8による2次元コード4の読み取りの正否を、チャイム音などの音や、「もう一度2次元コードを翳してください」などといった音声によりエンドユーザに案内するようにしてもよい。
【0029】
図6は、空中結像操作ガイダンス装置6(
図1)により表示される空中像5の位置と、当該空中結像操作ガイダンス装置6内の画像読取りカメラ8との位置関係を示す。
図6において、一点鎖線K2は、画像読取りカメラ8に内蔵されるイメージセンサ20の受光面20Aの位置を表す。以下においては、この位置をイメージセンサ20の表面位置と呼ぶ。また
図6において、破線K1は、イメージセンサ20の受光面20Aの中心を通るレンズ21の中心線を表す。以下においては、これをイメージセンサ中心線と呼ぶものとする。
【0030】
このとき空中像5は、画像読取りカメラ8の焦点距離FLに合わせた位置に表示される。空中像5は、イメージセンサ20の表面位置から画像読取りカメラ8の焦点距離FLだけ離れた当該イメージセンサ20の受光面20Aと平行な仮想平面(画像読取りカメラ8のレンズ21の中心軸と垂直な平面であり、以下、これを焦点平行面と呼ぶ)PLに対してエンドユーザから見て上下方向の上側を奥方向(画像読取りカメラ8の方向)へ所定角度(以下、これを表示角度ANと呼ぶ)だけ傾けた状態で表示される。
【0031】
この表示角度ANは、5度程度に設定することが好ましい。このように表示角度ANを5度程度に設定することによって、エンドユーザ目線から奥行き方向の視認性が上がるため操作性が向上する。
【0032】
実際上、スマートフォン3(
図1)に表示させた2次元コード4を画像読取りカメラ8に向けて翳す場合、表示角度ANが0度の場合(つまり空中像5が焦点平行面PLと平行の場合)、スマートフォン3を画像読取りカメラ8に近づけていくと、スマートフォン3に表示された2次元コード4が空中像5と重なり、さらに行き過ぎたときに、かかる2次元コード4における空中像5と重なり合う部分が視界から消えるためガイド(空中像5)を見失い易くなる。
【0033】
しかし、空中像5に対して5度程度傾けておくことで、同様にスマートフォン3の2次元コード4を近づけていく際に、空中像5を焦点平行面PLから傾けたことによる奥行きを目視で知ることができるため、直感的に最適な奥行きを知ることができる。さらに、例えば
図1のように自動取引装置1の垂直な面(以下、これを単に垂直面1Aと呼ぶ)に空中結像操作ガイダンス装置6を配置した場合には当該空中結像操作ガイダンス装置6により表示される空中像5が垂直面1Aに対して傾くこととなり、スマートフォン3の表示面への天井照明などの光の映り込みを排除することができるので、画像読取りカメラ8が読み取る2次元コード4の画像も鮮明になり、空中結像操作ガイダンス装置6による2次元コード4の読取り精度が向上する。
【0034】
図7(A)~(E)は、かかる2次元コード4を用いた取引の際に自動取引装置1のタッチパネルディスプレイ2に適宜表示される各画面の画面構成例を示す。
【0035】
まず、エンドユーザは、自動取引装置1で取引を開始する前に、取引内容などの事前入力を済ませるなどして、その内容を2次元コード4に変換してスマートフォン3(
図1)に表示させる。
【0036】
一方、自動取引装置1のタッチパネルディスプレイ2には、初期時、
図7(A)に示すメニュー画面30が表示される。そしてエンドユーザは、当該メニュー画面30内に表示された取引メニューボタン30A,30Bのうち、スマートフォン3に表示させた2次元コード4を用いた取引を行うための取引メニューボタン30B(以下、これを2次元コード予約取引ボタン30Bと呼ぶ)をタッチすることで取引を開始する。2次元コード予約取引ボタン30Bをタッチした場合、自動取引装置1のタッチパネルディスプレイ2の表示画面は、
図7(B)に示すガイダンス画面31に遷移する。
【0037】
次にエンドユーザは、タッチパネルディスプレイ2に表示されたガイダンス画面31の指示に従って、スマートフォン3に表示させた2次元コード4を、自動取引装置1の垂直面1Aに実装された空中結像操作ガイダンス装置6に翳す。
【0038】
このとき空中結像操作ガイダンス装置6は、
図5(A)について上述した空中像5(5A)を空中結像させ、具体的な2次元コード4を翳すべき位置をガイドする。ここで「具体的な2次元コード4を翳すべき位置」とは、空中像5(5A)が表示された位置であり、画像読取りカメラ8の焦点位置である。なお、この際、タッチパネルディスプレイ2に何らかの文字や記号を表示することで、エンドユーザがスマートフォン3に表示された2次元コード4を翳すべき位置を上下左右方向にガイドするようにしてもよい。
【0039】
空中結像操作ガイダンス装置6により空中結像された空中像5(5A)は、画像読取りカメラ8のイメージセンサ20(
図4)の受光面20A(
図4)に対して、5度程度傾けてあるので、スマートフォン3の表示画面に天井照明等の環境外乱光の映り込みを防ぐことができる。これにより、画像読取りカメラ8が鮮明な2次元コード4を読み取ることができる。
【0040】
空中結像操作ガイダンス装置6の画像読取りカメラ8がエンドユーザにより翳された2次元コード4の読み取りに成功したときは、
図5(B)について上述した空中像5(5B)を表示してエンドユーザに2次元コード4の読み取りが成功したことを視覚的に伝える。また何らかの影響でエンドユーザにより翳された2次元コード4を画像読取りカメラ8が読み取れなかった場合は、
図5(C)について上述した空中像5(5C)を表示してエンドユーザに読み取りができなかったことを視覚的に伝え、再度2次元コード4を
図5(A)の空中像5(5A)の位置に翳すことを促す。
【0041】
そして自動取引装置1がかかる2次元コード4の読み取りに成功した場合、読み取った2次元コード4に基づく
図7(C)に示すような取引内容確認画面32がタッチパネルディスプレイ2に表示される。なお
図7(C)は、エンドユーザが要求する取引がお金を引き出す引出し処理であった場合の取引内容確認画面32の一例である。かくしてエンドユーザは、この取引内容確認画面32に表示された取引内容を確認し、問題がなければ確認ボタン32Aを押下する。この結果、自動取引装置1による取引処理が実行される。
【0042】
この後、タッチパネルディスプレイ2には、テンキー33Aを備える
図7(D)に示すような暗証番号入力画面33が表示される。かくして、エンドユーザは暗証番号入力画面33に表示されたテンキー33Aを押下操作して暗証番号を入力する。暗証番号の入力を要求するのは、万が一2次元コード4が他のユーザに渡り、その2次元コード4が悪意を持って又は間違って使用された場合でも、本人しか取引できないようにするためである。
【0043】
エンドユーザにより入力された暗証番号が正しい場合、要求された額の紙幣の払出しを行い、タッチパネルディスプレイ2に
図7(E)に示すようなガイド画像34を表示して、エンドユーザに紙幣の受け取りを促す。
【0044】
以上のように本実施の形態の自動取引装置1では、空中結像操作ガイダンス装置6を用いてエンドユーザが2次元コード4を翳すべき位置に
図5(A)のような空中像5(5A)を表示するため、エンドユーザはスマートフォン3に表示した2次元コード4をかかる空中像5(5A)に合わせて翳すだけで2次元コード4を利用した取引を行うことができる。
【0045】
従って、本自動取引装置1によれば、エンドユーザが2次元コード4を翳すべき位置をガイドするための物理的な構造が必要なく、またエンドユーザが直感的に操作(取引)を行え、さらにエンドユーザが翳した2次元コード4を画像読取りカメラ8が正確に読み取ることができる。
【0046】
また本自動取引装置1によれば、エンドユーザはスマートフォン3に表示した2次元コード4を本自動取引装置1から離れた位置に空中結像された空中像5(5A)に合わせて翳すため、エンドユーザが操作を誤って自己のスマートフォン3を自動取引装置1に衝突させるおそれを格段的に低減することができる。
【0047】
よって本実施の形態によれば、操作者が直感的に扱いやすく、またエンドユーザが利用するスマートフォン等に損傷を生じさせるおそれを格段的に低減させながら、かつ正確な2次元コードの読取りを可能とした簡易な構成の自動取引装置を実現できる。
【0048】
(2)第2の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付して示す
図8は、上述した第1の実施の形態の空中結像操作ガイダンス装置6に代えて
図1の自動取引装置1に適用される第2の実施の形態による空中結像操作ガイダンス装置40を示す。
【0049】
この空中結像操作ガイダンス装置40は、第1の実施の形態の画像読取りカメラ8及び空中結像モジュール7に加えて、照度センサ41及び制御部42を備える点が第1の実施の形態の空中結像操作ガイダンス装置6と相違し、これ以外は第1の実施の形態の空中結像操作ガイダンス装置6と同様に構成されている。
【0050】
この場合、照度センサ41は、自動取引装置1周辺の明るさ(以下、これを外部照度と呼ぶ)を検出し、検出結果を制御部42に通知する。また制御部42は、照度センサ41から通知された外部照度に基づいて、空中結像操作ガイダンス装置40が表示する空中像5の明るさを制御する。
【0051】
実際上、本実施の形態においては、外部照度に対する空中像5の明るさが、予め一定間隔の外部照度ごとにそれぞれ規定されている。そして制御部42は、
図9に示すように、そのような明るさで空中像5を表示するためにディスプレイ10(15)のバックライトに印加すべき外部照度ごとの駆動電圧が予め格納されたテーブル(以下、これを外部照度-駆動電圧対応テーブルと呼ぶ)43を保持している。
【0052】
そして制御部42は、照度センサ41から外部照度が通知されると、その外部照度に対して予め設定されたディスプレイ10(15)のバックライトの駆動電圧を外部照度-駆動電圧対応テーブル43から読み出し、読み出した駆動電圧をディスプレイ10(15)のバックライトに印加する。これにより空中像5が外部照度に応じた明るさで表示される。
【0053】
このように本実施の形態の空中結像操作ガイダンス装置40では、外部照度に応じた明るさで空中像5が表示されるため、自動取引装置1の周辺の明るさによって空中像5が見え難くなるという事態の発生を未然に防止することができる。従って、本実施の形態の空中結像操作ガイダンス装置40によれば、エンドユーザの操作性を向上させ、エンドユーザが翳した2次元コード4の読取り精度をより一層と向上させることができる。
【0054】
(3)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、空中結像操作ガイダンス装置6,40が空中像5を奥方向に5度程度倒した状態に表示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、空中像5の表示角度ANを5度よりも小さく又は大きく設定するようにしてもよい。例えば、スマートフォン3に表示させた2次元コード4を自動取引装置1に翳す場合、人間工学的にはスマートフォン3を30~45度程度傾けた方がエンドユーザが楽に感じるため、その程度空中像5を傾けた状態に表示するようにしてもよい。
【0055】
また上述の第1及び第2の実施の形態においては、エンドユーザがスマートフォン3に表示させて空中結像操作ガイダンス装置6翳す画像が2次元コード4である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エンドユーザがスマートフォン3に表示させて空中結像操作ガイダンス装置6が翳す画像が2次元コード4以外の例えばバーコードや他のコード、又は文字若しくは記号などの他の画像である場合にも本発明を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は画像を光学的に読み取る種々の画像読取り装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1……自動取引装置、2……タッチパネルディスプレイ、3……スマートフォン、4……2次元コード、5,5A~5C……空中像、5Ax,5BX,5CX……記号、5AY……文字列、6,40……空中結像操作ガイダンス装置、7……空中結像モジュール、8……画像読取りカメラ、10,15……ディスプレイ、20……イメージセンサ、41……照度センサ、42……制御部、43……外部照度-駆動電圧対応テーブル、AN……表示角度、FL……焦点距離。