(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】クランプ部材及び樹脂管の梱包体及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20221025BHJP
F16L 47/03 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B65D85/00 P
F16L47/03
(21)【出願番号】P 2018231775
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】水川 賢司
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-113314(JP,A)
【文献】特開平05-288294(JP,A)
【文献】特開平06-050488(JP,A)
【文献】特開2002-147678(JP,A)
【文献】特開2011-117563(JP,A)
【文献】特開2014-190513(JP,A)
【文献】特開2011-189941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0152000(US,A1)
【文献】登録実用新案第3201210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
F16L 47/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本管から突出する突起部または枝管部を有している樹脂管と、
樹脂製のクランプ部材と、
前記樹脂管及びクランプ部材を梱包する包装部材と、
を有しており、前記樹脂管の突起部または枝管部に前記クランプ部材を係止させた状態で前記包装部材によって包装して固定したことを特徴とするクランプ部材及び樹脂管の梱包体。
【請求項2】
前記樹脂管及びクランプ部材を前記包装部材で梱包した状態で、前記包装部材を絞って接着テープ等の固定部材で固定している請求項1に記載されたクランプ部材及び樹脂管の梱包体。
【請求項3】
前記クランプ部材は略C字状に形成されている請求項1または2に記載されたクランプ部材及び樹脂管の梱包体。
【請求項4】
樹脂管に形成された突起部または枝管部にクランプ部材を係止させる工程と、
前記樹脂管及びクランプ部材を包装部材で梱包する工程と、
前記包装部材を絞って接着テープで接着する工程と、
を備えたことを特徴とするクランプ部材及び樹脂管の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ部材及び樹脂管の梱包体及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性の樹脂管を熱融着により連結する筒状の電気融着継手が知られている。電気融着継手の例えば一方または両側内部に樹脂管を挿通した状態で給電端子に電流を流すことで、電気融着継手の内部に設けられた電熱線が発熱し、樹脂管の外周面が溶融される。これにより、電気融着継手の内周面と樹脂管とが融着される。
このような電気融着継手の熱融着による連結作業では、熱融着の最中に、電気融着継手と樹脂管とが位置ずれを起こすことを防ぐために、例えば下記特許文献1に示すようなクランプ部材が用いられる。クランプ部材で電気融着継手及び樹脂管の接合部を位置決めして固定した状態で、熱融着することで傾きや位置ずれを抑えた精度の良い熱融着が行われる。
【0003】
ところで、樹脂管の継手構造では、電気融着継手と樹脂管とクランプ部材の使用数を管理する必要がある。特に樹脂管とクランプ部材は、組み立て前の保管や搬送等の際にビニール袋等の包装部材に必要な個数だけをそれぞれ同梱することで、施工現場での取付作業等の施工性が向上する。しかも、クランプ部材が樹脂製であると金属製の場合より低廉になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クランプ部材は樹脂管と電気融着継手を電気融着する際に位置決め固定するために用いる部材であるため、その強度は樹脂管より小さくてよい。そのため、クランプ部材と樹脂管とをビニール袋等の包装部材で梱包した場合に、作業時や施工時等に誤ってコンクリート製等の床面に落下させたりすると比較的強度の小さいクランプ部材が破損し易いという問題があった。特にビニール袋内でクランプ部材が樹脂管の下側に位置すると、クランプ部材が床面に衝突した際に樹脂管の重量による衝撃が大きくなり、破損し易かった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、クランプ部材と樹脂管を同梱しても落下時等に破損しないようにしたクランプ部材及び樹脂管の梱包体及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクランプ部材及び樹脂管の梱包体は、筒状の本管から突出する突起部または枝管部を有している樹脂管と、樹脂製のクランプ部材と、樹脂管及びクランプ部材を梱包する包装部材と、を有しており、樹脂管の突起部または枝管部にクランプ部材を係止させた状態で包装部材によって包装して固定することを特徴とする。
本発明によれば、樹脂管の突起部または枝管部にクランプ部材を係止させた状態で包装部材によって包装して樹脂管とクランプ部材を固定しているため、クランプ部材と樹脂管を封入した包装部材を落下させたとしても樹脂管と突起部または枝管部とのいずれかが突出していてコンクリート等の床面に衝突するため、クランプ部材は直接床面等に衝突せず、或いはクランプ部材が床面等に衝突したとしても突起部または枝管部に係止した状態で包装部材内を移動するため、クランプ部材にかかる衝撃が小さく破損を防止できる。
【0008】
また、樹脂管及びクランプ部材を包装部材で梱包した状態で、包装部材を絞って接着テープ等の固定部材で固定していることが好ましい。
樹脂管及びクランプ部材を収納した包装部材を、例えば樹脂管の長手方向と径方向の少なくとも一方から絞って密着させて接着テープ等の固定部材で固定するため一体化され、落下等の際に包装部材の内部でクランプ部材が樹脂管と床面との間に挟まれて樹脂管の荷重で衝撃を受けることがなく、破損しにくい。また、樹脂管にクランプ部材を位置決めセットした後、包装部材で包み、固定部材として真空包装機で吸着して梱包しても良い。
【0009】
また、クランプ部材は略C字状に形成されていてもよい。
クランプ部材は略C字状であるため樹脂管の突起部または枝管部に係止保持され、落下時にクランプ部材が樹脂管の下側で直接床面等に衝突することを防止できる。
【0010】
本発明によるクランプ部材と樹脂管の梱包方法は、樹脂管に形成された突起部または枝管部にクランプ部材を係止させる工程と、樹脂管及びクランプ部材を包装部材で梱包する工程と、包装部材を絞って接着テープで接着する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、誤って梱包体を落下させた場合でも、樹脂管の本管と突起部または枝管部とのいずれかが突出していて床面に衝突するため、クランプ部材は直接床面等に衝突しにくく、クランプ部材が床面等に衝突したとしても突起部または枝管部に係止した状態で包装部材内で移動して衝撃を小さく吸収できるため破損を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプ部材と樹脂管を封入した包装部材が落下したとしても、樹脂管と突起部または枝管部のいずれかが床面に衝突するためクランプ部材は直接床面等に衝突しない。或いは、クランプ部材が床面等に衝突したとしても突起部または枝管部に係止した状態で包装部材内を移動するため、クランプ部材にかかる衝撃が小さく吸収され、破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電気融着継手と樹脂管をクランプ部材で係止した状態の一部破断正面図である。
【
図3】スクリュージョイントからなる樹脂管の要部斜視図である。
【
図4】スクリュージョイントにクランプ部材を取り付けた斜視図である。
【
図5】スクリュージョイントをビニール袋に収納した状態の斜視図である。
【
図6】ビニール袋をスクリュージョイントの径方向に絞って接着テープで固定した図である。
【
図7】
図6に示すビニール袋を長手方向に絞って接着テープで固定した図である。
【
図8】第二実施形態として、チーズの枝管部にクランプ部材を係止させた斜視図である。
【
図9】
図8に示すチーズをビニール袋に封入して接着テープで径方向に絞った図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の第一実施形態によるクランプ部材1及び樹脂管2の梱包体K1について説明する。
実施形態によるクランプ部材1と樹脂管2の梱包体K1について説明する前に、樹脂管2と電気融着継手3をクランプ部材1によって位置決めして融着する構造について、
図1及び
図2により説明する。
図1に示すように、筒状の電気融着継手3の両側の開口端部に樹脂管2をそれぞれ嵌合すると共に、各樹脂管2と電気融着継手3の接合部にクランプ部材1がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
電気融着継手3の周壁3aのうち、内周面の近傍には、電熱線5が樹脂管2毎に埋設されている。電気融着継手3の各開口端部の近傍には、電熱線5と導通された給電端子6がそれぞれ設けられている。給電端子6から電熱線5に電流を流すことで電熱線5を発熱させ、電気融着継手3の内側に挿入された樹脂管2を、電気融着継手3の内面に熱融着することができる。
【0015】
図2に示すクランプ部材1は、内側に樹脂管2が挿入された状態で、樹脂管2を保持するように縮径可能な締付帯部10を備えている。締付帯部10は、周方向の一部が分断された略C字状を形成している。クランプ部材1は、周方向端部を互いに係合することで、締付帯部10の縮径状態を維持する一対の係合部11A,11Bと、締付帯部10に連結され、電気融着継手3の給電端子6を保持する保持部12と、を備えている。一対の係合部11A,11B及び保持部12は、締付帯部10と一体に形成されている。
【0016】
締付帯部10における周方向の両端部に第1係合部11Aと第2係合部11Bとがそれぞれ形成されている。第1係合部11Aは締付帯部10よりも径方向外側に円弧状に形成され、第2係合部11Bは、第1係合部11Aよりも径方向外側に円弧状に形成されている。
締付帯部10における第2係合部11Bが形成された端部には、締付帯部10の延長上で第2係合部11Bよりも径方向内側に、周方向に延びる案内部10Aが形成されている。案内部10Aは、第1係合部11Aに対して径方向内側に位置し、第1係合部11Aの周方向の移動を案内する。第1係合部11Aは、第2係合部11Bと案内部10Aとの径方向の間の空間に挿入される。
【0017】
第1係合部11Aと第2係合部11Bには、締付帯部10が縮径する方向の相対変位を許容し、かつ締付帯部10が拡径する方向の相対変位を規制する係合歯13A,13Bがそれぞれ形成されている。各係合歯13A,13Bは、平面視で三角形状(鋸歯状)をなし、周方向に連続して形成されている。
第1係合部11Aに形成された第1係合歯13Aは、径方向外側を向く外側面に形成されている。第2係合部11Bに形成された第2係合歯13Bは、径方向内側を向く内側面に形成されている。第1係合部11Aの第1係合歯13Aが形成されている部分の周方向長さは、第2係合部11Bの第2係合歯13Bが形成されている部分の周方向長さと同等となっている。
【0018】
第1係合部11Aには径方向の外側に向けて突出する第1操作部14Aが設けられ、第2係合部11Bにも、径方向の外側に向けて突出する第2操作部14Bが設けられている。第1操作部14Aは、第1係合部11Aの基端部に形成されている。第2操作部14Bは、第2係合部11Bの先端部に形成されている。
締付帯部10の内周面には、径方向の内側に突出する突起部15が形成されている。突起部15は断面視で略三角形状をなしている。突起部15は、締付帯部10の内周面の全周にわたって連続して延びているが、断続的に形成されていてもよい。クランプ部材1に突起部15を設けたことで、締付帯部10の内側から樹脂管2が抜けるのを抑制し、強固に樹脂管2を保持する。
【0019】
保持部12は、締付帯部10の一方側の端部に連結され、径方向外側に延びる連結片12Aと、連結片12Aに連結されていて電気融着継手3の給電端子6を保持する保持片12Bと、が一体形成されている。連結片12Aは、電気融着継手3の開口端縁に当接する。連結片12Aと締付帯部10との間には補強リブ16が接続されている。保持片12Bには、電気融着継手3の給電端子6が挿通される挿通孔12Cが形成されている。
締付帯部10における連結片12Aに対向する部分には、軸方向に向けて突出する突出片17が形成されている。突出片17は締付帯部10の周方向に間隔をあけて複数個配設されてもよい。
【0020】
次に、クランプ部材1による電気融着継手3と樹脂管2との仮固定方法について
図1により説明する。
樹脂管2を熱融着により電気融着継手3に接続する際には、クランプ部材1における保持部12の挿通孔12C内に、電気融着継手3の給電端子6を挿通する。電気融着継手3の両側端部にそれぞれクランプ部材1を装着して樹脂管2を挿入する。締付帯部10における連結片12A及び突出片17を電気融着継手3の開口端縁に当接させた状態で、樹脂管2を電気融着継手3の開口部内に挿通させて位置決めする。
【0021】
次に、クランプ部材1における操作部14A,14Bをペンチなどの工具で締めることで締付帯部10を縮径させて、一対の係合部11A,11Bに形成された係合歯13A,13B同士を互いに係合させる。これにより、電気融着継手3と樹脂管2とが仮固定された状態となる。
そして、給電端子6に電流を流すことで、電気融着継手3に樹脂管2が熱融着される。熱融着完了後には、クランプ部材1を電気融着継手3に付けたまま残置しておく。或いは、クランプ部材1を電気融着継手3及び樹脂管2から取り外してもよい。なお、電気融着継手3に装着する樹脂管2は2個に限らず、1個でもよい。その際、クランプ部材1も樹脂管2と同数必要になる。
【0022】
上述したクランプ部材1による電気融着継手3と樹脂管2との仮固定方法において、樹脂管2とクランプ部材1が対応して電気融着継手3に取り付けられる。そのため、各部材を施工現場に搬送して施工する際、樹脂管2は1個ずつ包装部材として例えばビニール袋に梱包される。樹脂管2とクランプ部材1の使用数を管理するためにビニール袋に樹脂管2とクランプ部材1を同梱する管理方法が考えられる。
この場合、ビニール袋の中でのクランプ部材1の位置が決まらないため、樹脂管2の下側に位置することがある。この状態で、施工現場等で誤ってビニール袋をコンクリート等の床面に落下させると、樹脂管2の荷重が加わるためクランプ部材1が床面に衝突した衝撃で破損する恐れがある。本発明は、このような課題を解決できるようにしたものである。以下に、その実施形態について説明する。
【0023】
(第一実施形態)
第一実施形態では、樹脂管2として
図3に示すようなスクリュージョイント20を用いた場合について説明する。
本実施形態によるスクリュージョイント20からなる樹脂管は、
図3に示すように、略円筒状をなす熱可塑性樹脂製の本管22の一方の端部に金属製の接続管21が連結されている。接続管21には例えば連結用の雄ねじが形成されている。また、樹脂製の本管22の径方向には比較的小径の管状をなすターミナル突起部22a、22bが平行に突出して配列されている。
図4に示すように、このスクリュージョイント20の一方のターミナル突起部22aにはクランプ部材1が係止されている。また、クランプ部材1を係止するターミナル突起部22a、22bの高さはクランプ部材1の締付帯部10の幅より高いことが好ましい。このクランプ部材1は略C字状であり、しかも第1係合部11Aと第2係合部11Bの係合歯13A,13B同士が係合しない非係合状態にあり、案内部10A及び第2係合部11Bと第1係合部11Aとの隙間は小さい。そのため、クランプ部材1はターミナル突起部22aに係止された状態で移動可能であるが、離脱し難い。このクランプ部材1には、製品の材質や用途等を記録したバーコード23aのラベルを取り付けた識別タグ23が連結されているが、識別タグ23は省略してもよい。
【0024】
このようなスクリュージョイント20及びクランプ部材1がビニール袋24に同梱され、しかもスクリュージョイント20の長手方向(軸方向)と径方向にビニール袋24が絞られて接着テープ26でそれぞれ接着されている(
図7参照)。これを梱包体K1というものとする。接着テープ26は、紙テープや布テープ、ビニールテープ等、各種の粘着性を有するテープを使用できる。
【0025】
本実施形態による梱包体K1は上述した構成を有しており、次にその梱包方法について
図5乃至
図7により説明する。
図4に示すように、スクリュージョイント20の一方のターミナル突起部22aにクランプ部材1を係止した。これによって、クランプ部材1の位置決めを行う。他方のターミナル突起部22bには識別タグ23を取り付けた。
このスクリュージョイント20及びクランプ部材1を、
図5に示す透明なビニール袋24内に開口から挿入し、同梱する。次いで、ビニール袋24の開口を不図示のヒートシール機でヒートシールする。この状態で、
図6及び
図7に示すように、ビニール袋24を本管22の周方向に絞り込んで縮径させた状態で接着テープ26を周方向に接着する。更に、ビニール袋24を本管22の長手方向(軸方向)に折り畳んで絞り、接着テープ26を長手方向に接着する。こうして梱包体K1を包装できる。
【0026】
本実施形態による梱包体K1は、施工現場等で誤って落下させたとしても、クランプ部材1はスクリュージョイント20の本管22のターミナル突起部22aに係止され、しかもビニール袋24を径方向と長手方向に絞って接着テープ26で固定しているため、クランプ部材1がターミナル突起部22aから脱落しない。
梱包体K1の落下時に、スクリュージョイント20の本管22または接続管21の端部やターミナル突起部22a、22bで床面に衝突するため、クランプ部材1は落下時の衝撃を直接受けにくく破損しにくい。また、落下時にクランプ部材1が床面に衝突したとしても、ターミナル突起部22aに係止した状態でわずかに移動してビニール袋24に当接して衝撃が緩衝される。そのため、この場合でも、クランプ部材1は落下時の衝撃で破損しにくい。
【0027】
従って、本実施形態によれば、スクリュージョイント20及びクランプ部材1をビニール袋24に収納した梱包体K1は、誤って落下させたとしてもクランプ部材1を損傷しにくい。
また、接着テープ26はビニール袋24に接着されて一体であるため、施工現場でごみが増加することがない。
【0028】
以上、本発明の第一実施形態によるクランプ部材1と樹脂管2の梱包体K1及び梱包方法について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。なお、以下に、本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部材、部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0029】
次に、第二実施形態によるクランプ部材1と樹脂管2の梱包体K2及び梱包方法について、
図8及び
図9により説明する。
本第二実施形態では、樹脂管2として熱可塑性樹脂からなるチーズ28を用いたものである。
図8において、本第二実施形態におけるチーズ28は、直管状の本管28aの長手方向中央から分岐して本管28aと同径または異径の枝管部28bが形成されている。本管28aの両端部にはターミナル突起部28c、28dがそれぞれ枝管部28bと同一方向(または異なる方向)に突出して略平行に形成されている。枝管部28bには例えば2本(1本でもよい)のクランプ部材1が挿入されて係止されている。また、一方のターミナル突起部28cには識別タグ23が取り付けられている。
これらチーズ28及びクランプ部材1はビニール袋24内に収納されており、ビニール袋24の開口をヒートシール機でヒートシールして、長手方向に折り畳んで絞る。更にビニール袋24を本管28aの径方向にそれぞれ絞り込んで、枝管部28bの先端で接着テープ26を接着して枝管部28bとビニール袋24を固定し、梱包体K2を形成できる。
【0030】
本第二実施形態においても、2本のクランプ部材1を枝管部28bに取り付けて係止したため、誤って梱包体K2を床面に落下させたとしても、クランプ部材1はチーズ28の本管28a、枝管部28b、ターミナル突起部28c、28dによって保護され、直接衝撃を受けることを防止できる。しかも、クランプ部材1を係止させた枝管部28bの先端のビニール袋24を接着テープ26で固定しているため、クランプ部材1が枝管部28bから脱落することがなく、一層破損しにくい。
なお、クランプ部材1は、枝管部28bに代えてターミナル突起部28c、28dに係止させてもよい。
【0031】
また、樹脂管2はスクリュージョイント20やチーズ28に限定されることなく、ソケットやエルボ等、適宜形状の継手管等に適用可能である。これらソケットやエルボにも枝管部28bまたはターミナル突起部28c、28dが突出して形成されている。そして、枝管部28bまたはターミナル突起部28c、28dにクランプ部材1が係止された状態でビニール袋24に封入され、本管の長手方向や径方向にビニール袋を絞り込んだ状態で接着テープ26によって固定して梱包体Kが形成されるものとする。
【0032】
(実施例)
次に本発明の実施例による梱包体K1、K2、Kについて落下試験を行った。
実施例1、2、3、4として、スクリュージョイント20(SJ)、チーズ28(T)、ソケット(S)、エルボ(L)を用いた。各実施例の本管の径はφ20mm、φ25mmの2種を用いた。各実施例1~4では、本管のターミナル突起部22a、22b、28c、28dまたは枝管部28bのいずれかにクランプ部材1を係止して、ビニール袋24に封入して長手方向及び/または径方向に絞って接着テープ26で固定した。実施例3、4のソケット(S)、エルボ(L)も同様に構成した。
比較例1、2、3、4も同様にスクリュージョイント20(SJ)、チーズ28(T)、ソケット(S)、エルボ(L)を用いたが、クランプ部材1をターミナル突起部または枝管部に係止することなく、別個にビニール袋24に封入し、絞り込みと接着テープ26による固定はしていないものとする。
【0033】
落下試験において、実施例1、2、3、4の各梱包体K1、K2、Kは樹脂管2の種類毎に1セット5回の落下試験を3セット(N=1、2、3)行った。実施例1、2、3、4の落下試験では、各セットとも1.2mの高さからコンクリートの床面に落下させた。
比較例1、2、3、4の各梱包体は樹脂管2の種類毎に1セット5回の落下試験を3セット(N=1、2、3)行った。比較例1、2、3、4の落下試験も各セットとも1.2mの高さからコンクリートの床面に落下させた。
実施例1、2、3、4と比較例1、2、3、4の落下試験の結果は下記の表1と表2に示す結果となった。クランプ部材1に損傷を生じない場合を〇、生じた場合を×とした。
【0034】
【0035】
【0036】
表1及び表2に示す落下試験の結果、実施例1、2、3、4ではクランプ部材1の損傷は全くなかった。比較例1、2、3、4では、スクリュージョイント20(SJ)のφ20mmのN=2の落下試験と、ソケット(S)のφ20mmのN=1の落下試験、φ25mmのN=2の落下試験と、エルボ(L)のφ25mmのN=2、3の落下試験でのみクランプ部材1の損傷がなかったが、他の試験ではいずれもクランプ部材1が破損した。
【0037】
また、ビニール袋24は、樹脂管2とクランプ部材1を各1個封入したものに限定されるものではなく、それぞれ適宜数収納することができる。また、ビニール袋24内にクランプ部材1と樹脂管2以外に他の部品、例えば電気融着継手3等を封入してもよい。
また、包装部材はビニール袋24に限定されるものではなく、その他の樹脂製の袋や紙袋や布袋等、適宜の包装材を使用できる。その際、包装材は袋状のものに限定されない。例えばシート状部材で樹脂管2とクランプ部材1を包装してもよい。
【0038】
ビニール袋24にスクリュージョイント20やチーズ28等の樹脂管2を封入して絞り込んで接着テープ26で貼着固定する際、ビニール袋24の絞り方向や接着テープ26の貼着方向は、樹脂管2の長手方向や径方向に限定されるものではない。長手方向と径方向の一方向のみ絞り込んでもよいし、斜め方向等、適宜の方向で絞り込んで接着テープ26を接着してもよい。
また、ビニール袋24は、接着テープ26に代えて紐等で樹脂管2とクランプ部材1を固定してもよいし、ビニール袋24を真空包装機で真空引きすることで固定してもよい。これらは固定部材に含まれる。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 クランプ部材
2 樹脂管
3 電気融着継手
10 締付帯部
11A 第1係合部
11B 第2係合部
12 保持部
12A 連結片
13A 第1係合歯(係合歯)
13B 第2係合歯(係合歯)
14A 第1操作部(操作部)
14B 第2操作部(操作部)
15 突起部
17 突出片
20 スクリュージョイント
22、28a 本管
22a、22b、28c、28d ターミナル突起部
24 ビニール袋
26 接着テープ
28 チーズ
28b 枝管部
K1、K2 梱包体