(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】基板処理装置およびフィルタの気泡抜き方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20221025BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/304 648F
H01L21/304 648K
(21)【出願番号】P 2018241250
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】和食 雄大
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-347205(JP,A)
【文献】特開2008-282907(JP,A)
【文献】特開2001-077015(JP,A)
【文献】特開2013-229501(JP,A)
【文献】特開2003-190860(JP,A)
【文献】特開2010-135535(JP,A)
【文献】特開2013-077640(JP,A)
【文献】特開2015-220318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
前記フィルタと前記トラップタンクとを接続し、前記フィルタから前記トラップタンクに処理液を戻すように構成された戻り配管と、
前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、
予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記トラップタンクに向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出
し、
前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記トラップタンクの上部に接続し、処理液を排出できるベント配管と、
前記ベント配管に設けられたベント開閉弁と、を更に備え、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開き、かつ前記ベント開閉弁を閉じながら、前記ポンプによって処理液を送り出し、
前記制御部は、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記トラップタンク内または前記ベント配管内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する気泡検出センサを更に備え、
前記制御部は、前記気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出したとき、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記気泡検出センサは、前記トラップタンク内に予め設定された量の気泡が存在することを検出するトラップタンクセンサと、前記処理液容器と前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、設置位置における前記送り配管内の処理液の有無を検出する処理液容器センサとを備え、
前記制御部は、前記トラップタンクセンサが予め設定された量の気泡の存在を検出し、かつ、前記処理液容器センサが処理液有りと検出したとき、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
前記トラップタンクと前記ポンプの間でかつ前記トラップタンクと前記フィルタの間における前記送り配管に設けられた合流管と、
前記フィルタと前記合流管とを接続し、前記フィルタから前記合流管に処理液を戻すように構成された戻り配管と、
前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、
予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記合流管に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記送り配管は、共通管と、前記共通管から分岐した第1枝配管および第2枝配管とを備え、
前記共通管は、前記処理液容器と接続し、
前記共通管には、前記トラップタンクが設けられ、
前記第1枝配管は、前記ノズルと接続し、
前記第1枝配管には、前記合流管、前記ポンプおよび前記フィルタが設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
前記フィルタと前記処理液容器とを接続し、前記フィルタから前記処理液容器に処理液を戻すように構成された戻り配管と、
前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、
予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記処理液容器に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出
し、
前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記戻り配管から分岐するように設けられ、処理液を排出できる戻り側ベント配管と、
前記戻り開閉弁を含む切換弁であって、少なくとも排出動作および戻し動作のいずれかを選択する前記切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出し、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記戻し動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通さずに前記戻り配管を通じて前記フィルタからの処理液を戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置において、
前記戻り開閉弁と前記フィルタの間の前記戻り配管、または前記戻り側ベント配管に設けられ、前記戻り配管内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する戻り側気泡検出センサを更に備え、
前記制御部は、前記戻り側気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出したときは、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際の予め設定された初期期間において、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出し、
前記制御部は、前記定期戻し動作の際の前記初期期間以外の残りの期間において、前記切換弁で前記戻し動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通さずに前記戻り配管を通じて前記フィルタからの処理液を戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、
予め設定された時間間隔で、前記フィルタと前記トラップタンクとを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記トラップタンクに向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、
前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、
を備え
、
前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするフィルタの気泡抜き方法。
【請求項12】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、
予め設定された時間間隔で、前記トラップタンクと前記ポンプの間でかつ前記トラップタンクと前記フィルタの間における前記送り配管に設けられた合流管と前記フィルタとを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記合流管に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、
前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、
を備えていることを特徴とするフィルタの気泡抜き方法。
【請求項13】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、
前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、
前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、
前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、
を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、
予め設定された時間間隔で、前記フィルタと前記処理液容器とを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記処理液容器に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、
前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、
を備え
、
前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするフィルタの気泡抜き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置およびフィルタの気泡抜き方法に関する。なお、基板は、例えば、半導体基板、液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置(例えばコータデベロッパ)は、基板を保持し、保持された基板を回転する保持回転部と、ノズルを含むレジスト配管系統とを備えている(例えば、特許文献1参照)。基板処理装置は、処理液であるレジスト液をノズルから基板上に吐出し、基板を回転させる。これにより、基板上のレジスト液が広げられて、基板上にレジスト液が塗布される。
【0003】
レジスト液は、空気または窒素(N2)ガスなどの溶存成分を含んでいる。その空気または窒素ガスなどの溶存成分は、例えば液圧によって気泡となる。気泡を含むレジスト液がフィルタを通過すると、フィルタによってレジスト液中の気泡がトラップされる。トラップされた気泡は、フィルタから取り除くためにレジスト液と一緒に供給経路から排出される。この排出動作は、フィルタの気泡抜き動作(またはエア抜き動作)と呼ばれている。気泡抜き動作は、多くのレジスト液を消費する。レジスト液は、非常に高価な液である。
【0004】
特許文献1には、次のような基板処理装置が開示されている。処理液ボトルとノズルの間を接続する配管には、処理液ボトル側から順番に、トラップタンク、第2トラップタンク、ポンプ、フィルタが設けられている。フィルタは、フィルタ本体、流入部、および2つの流出部を備えている。第1流出部は、フィルタ本体を通過した処理液をノズル側に流出させる。第2流出部は、フィルタ本体を通過していない処理液を流出させる。フィルタの第2流出部と第2トラップタンクとは戻り配管により接続される。また、第2トラップタンクには、上限、下限の液面を検出する2つの液面センサ、および排出配管が設けられている。
【0005】
基板処理装置は、戻り配管を通じて、フィルタの第2流出部から第2トラップタンクに気泡を含む処理液を戻す。第2トラップタンクに気泡を含む処理液が戻されることにより、第2トラップタンク内の処理液の液面が下がる。処理液の液面を下限液面センサが検出すると、上限液面センサが液面を検出するまで、第2トラップタンクに設けられた排出配管から気体を排出しながら、処理液ボトルに窒素ガスを供給してトラップタンク側から第2トラップタンクに処理液を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の基板処理装置は次のような問題がある。レジスト液中の気泡は、パーティクル源となったり、通液時に圧力を不安定にしたり、また、吐出量を不安定にしたりする。そのため、フィルタの気泡抜き動作は、定期的に行う必要がある。気泡が排出されると、同時に、気泡の何倍ものレジスト液も排出される。そのため、レジスト液(処理液)の排出量を削減することが望まれている。
【0008】
また、特許文献1の装置は、追加のトラップタンクを備えている。追加のトラップタンクは、気泡を検知し、レジスト液(処理液)の排出量を削減することができる。しかしながら、近年は、レジスト液の消費量と共に、パーティクルの削減が重要な課題であるが、追加のトラップタンクは、パーティクル源となるリスクがある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理液の消費量を削減することができると共に、パーティクルの発生を抑えることができる基板処理装置およびフィルタの気泡抜き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、前記フィルタと前記トラップタンクとを接続し、前記フィルタから前記トラップタンクに処理液を戻すように構成された戻り配管と、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記トラップタンクに向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出し、前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液容器の残量を検出するための既存のトラップタンクに戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液をトラップタンクに戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
また、他端側配管の内径が小さいので、処理液を少量で遠くに送ることができる。そのため、戻すための処理液が少量で済む。
【0012】
また、上述の基板処理装置は、前記トラップタンクの上部に接続し、処理液を排出できるベント配管と、前記ベント配管に設けられたベント開閉弁と、を更に備え、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開き、かつ前記ベント開閉弁を閉じながら、前記ポンプによって処理液を送り出し、前記制御部は、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することが好ましい。
【0013】
予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作は、フィルタからトラップタンクに気泡を含む処理液を戻す。戻された気泡は、トラップタンクの上部に接続されたベント配管から排出することができる。
【0014】
また、上述の基板処理装置は、前記トラップタンク内または前記ベント配管内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する気泡検出センサを更に備え、前記制御部は、前記気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出したとき、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することが好ましい。
【0015】
気泡検出センサが予め設定された量の気泡を検出すると、処理液送り出しユニットによる処理液の送り出しにより、気泡を含む処理液を排出する。予め設定された量の気泡が検出されたときだけ処理液を排出するので、処理液の消費量を低減することができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置の一例は、前記気泡検出センサは、前記トラップタンク内に予め設定された量の気泡が存在することを検出するトラップタンクセンサと、前記処理液ボトルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、設置位置における前記送り配管内の処理液の有無を検出する容器センサとを備え、前記制御部は、前記トラップタンクセンサが予め設定された量の気泡の存在を検出し、かつ、前記ボトルセンサが処理液有りと検出したとき、前記戻り開閉弁を閉じ、かつ前記ベント開閉弁を開きながら、前記処理液送り出しユニットによって処理液を送り出すことにより、前記ベント配管から気泡を排出することである。
【0017】
トラップタンクセンサは、トラップタンク内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する。処理液容器センサは、処理液容器とトラップタンクの間における送り配管内の処理液の有無を検出する。トラップタンクセンサが予め設定された量の気泡の存在を検出し、かつ処理液容器センサが処理液有りと検出したときに、気泡排出動作を行う。処理液容器センサが処理液なしと検出したときは、処理液が送れず気体を送っていることを示す。すなわち、処理液なしは、処理液容器が空であることを示す。この状態で気泡排出動作を行うと、ベント配管に主に気体が排出されることになる。この場合、気泡排出動作を有効に行うことができない。本発明により、処理液容器に処理液があることを確認しつつ気泡排出動作を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る基板処理装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、前記トラップタンクと前記ポンプの間でかつ前記トラップタンクと前記フィルタの間における前記送り配管に設けられた合流管と、前記フィルタと前記合流管とを接続し、前記フィルタから前記合流管に処理液を戻すように構成された戻り配管と、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記合流管に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、送り配管に設けられた合流管、すなわち送り配管に戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのためパーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を送り配管に戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
【0020】
また、上述の基板処理装置は、前記送り配管は、共通管と、前記共通管から分岐した第1枝配管および第2枝配管とを備え、前記共通管は、前記処理液容器と接続し、前記共通管には、前記トラップタンクが設けられ、前記第1枝配管は、前記ノズルと接続し、前記第1枝配管には、前記合流管、前記ポンプおよび前記フィルタが設けられていることが好ましい。
【0021】
合流管は共通管から分岐した第1枝配管に設けられているので、上流ポンプの近くに戻すことができる。
【0022】
また、本発明に係る基板処理装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、前記フィルタと前記処理液容器とを接続し、前記フィルタから前記処理液容器に処理液を戻すように構成された戻り配管と、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁と、予め設定された時間間隔で前記戻り配管を通じて前記フィルタから前記処理液容器に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する制御部と、備え、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出し、前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液ボトルに戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を処理液ボトルに戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
また、他端側配管の内径が小さいので、処理液を少量で遠くに送ることができる。そのため、戻すための処理液が少量で済む。
【0024】
また、上述の基板処理装置は、前記戻り配管から分岐するように設けられ、処理液を排出できる戻り側ベント配管と、前記戻り開閉弁を含む切換弁であって、少なくとも排出動作および戻し動作のいずれかを選択する前記切換弁と、を備え、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出し、前記制御部は、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記戻し動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通さずに前記戻り配管を通じて前記フィルタからの処理液を戻すことが好ましい。
【0025】
予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作において、切換弁は、少なくとも戻し動作および排出動作のいずれかを選択することができる。
【0026】
また、上述の基板処理装置は、前記戻り開閉弁と前記フィルタの間の前記戻り配管、または前記戻り側ベント配管に設けられ、前記戻り配管内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する戻り側気泡検出センサを更に備え、前記制御部は、前記戻り側気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出したときは、前記定期戻し動作の際に、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出することが好ましい。
【0027】
予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作において、切換弁は、気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出していないときは、処理液を戻すことができる。また、切換弁は、気泡検出センサが予め設定された量の気泡の存在を検出したときは、処理液を排出することができる。必要なときだけ気泡を含む処理液を排出するので、パーティクル源である気泡を排出すると共に、処理液の消費量を削減することができる。
【0028】
また、上述の基板処理装置において、前記制御部は、前記定期戻し動作の際の予め設定された初期期間において、前記切換弁で前記排出動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通じて前記フィルタからの処理液を排出し、前記制御部は、前記定期戻し動作の際の前記初期期間以外の残りの期間において、前記切換弁で前記戻し動作を選択しながら、前記ポンプによって処理液を送り出すことにより、前記戻り側ベント配管を通さずに前記戻り配管を通じて前記フィルタからの処理液を戻すことが好ましい。
【0029】
予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作において、切換弁は、初期期間に処理液を排出し、初期期間以外の残りの期間に処理液を戻すことができる。フィルタは、気泡と共に異物を取り除く。初期期間に、戻り側ベント配管を通じて主に異物を排出する(捨てる)ことができる。
【0031】
また、本発明に係るフィルタの気泡抜き方法は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、予め設定された時間間隔で、前記フィルタと前記トラップタンクとを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記トラップタンクに向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、を備え、前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするものである。
【0032】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液容器の残量を検出するための既存のトラップタンクに戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液をトラップタンクに戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
また、他端側配管の内径が小さいので、処理液を少量で遠くに送ることができる。そのため、戻すための処理液が少量で済む。
【0033】
また、本発明に係るフィルタの気泡抜き方法は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、予め設定された時間間隔で、前記トラップタンクと前記ポンプの間でかつ前記トラップタンクと前記フィルタの間における前記送り配管に設けられた合流管と前記フィルタとを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記合流管に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、送り配管に設けられた合流管、すなわち送り配管に戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を送り配管に戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
【0035】
また、本発明に係るフィルタの気泡抜き方法は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、処理液を収容する処理液容器を有し、前記処理液容器から処理液を送り出すことができる処理液送り出しユニットと、前記処理液容器から前記ノズルに処理液を送るための送り配管と、前記送り配管に設けられ、前記処理液容器の残量を検出するように構成されたトラップタンクと、前記ノズルと前記トラップタンクの間の前記送り配管に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記トラップタンクの下流側の前記送り配管に設けられたポンプと、を備えた基板処理装置におけるフィルタの気泡抜き方法において、予め設定された時間間隔で、前記フィルタと前記処理液容器とを接続する戻り配管を通じて前記フィルタから前記処理液容器に向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する工程と、前記定期戻し動作の際に、前記戻り配管に設けられた戻り開閉弁を開きながら、前記ポンプによって処理液を送り出す工程と、を備え、前記戻り配管は、前記フィルタに一端が接続されるフィルタ側配管と、前記フィルタ側配管の他端に直列に接続され、前記フィルタ側配管よりも内径が小さい他端側配管とを備えていることを特徴とするものである。
【0036】
本発明に係る基板処理装置によれば、フィルタからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液容器に戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本発明は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を処理液容器に戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
また、他端側配管の内径が小さいので、処理液を少量で遠くに送ることができる。そのため、戻すための処理液が少量で済む。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る基板処理装置およびフィルタの気泡抜き方法によれば、処理液の消費量を削減することができると共に、パーティクルの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図3】基板処理装置の制御に係る構成を示す図である。
【
図4】(a)、(b)は、トラップタンク内を処理液で満たす動作を説明するための図である。
【
図5】実施例1にかかる、フィルタの気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】(a)は、フィルタの定期戻し動作を説明するための図であり、(b)は、気泡排出動作を説明するための図である。
【
図7】(a)、(b)は、上側液面センサの検出動作を説明するための図である。
【
図8】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図9】実施例2にかかる、フィルタの気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図10】実施例3にかかる、フィルタの気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図11】実施例4に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図12】実施例5に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図13】実施例5の変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図14】(a)、(b)は、気泡センサの検出動作を説明するための図である。
【
図15】変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図17】変形例に係るフィルタの定期戻し動作を説明するための図である。
【
図18】変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図19】変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【実施例1】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0040】
図1を参照する。基板処理装置1は、2つの保持回転部2A,2B、2つのノズル3A,3B、送り配管4、処理液ボトル5、トラップタンク7、2つの上流ポンプ8A,8B、2つのフィルタ9A,9B、および2つの下流ポンプ10A,10Bを備えている。
【0041】
保持回転部2Aは、略水平姿勢で基板Wを保持して、保持した基板Wを回転させるものである。保持回転部2Aは、例えば真空吸着により基板Wの裏面を保持するスピンチャック13と、鉛直方向の回転軸AX周りにスピンチャック13を回転させる回転駆動部14とを備えている。回転駆動部14は、電動モータを備えている。
【0042】
ノズル3Aは、保持回転部2Aで保持された基板Wに対して処理液を吐出する。処理液は、例えば、フォトレジスト液などのレジスト液、反射防止膜形成用の塗布液、レジストカバー膜形成用の塗布液、溶剤(例えばシンナー)、リンス液(例えばDIW)、現像液、またはエッチング液が用いられる。
【0043】
ノズル3Aには、送り配管4の一端が接続されており、送り配管4の他端は、処理液ボトル5内に挿入されている。処理液ボトル5には、処理液が貯留されている。処理液ボトル5からの処理液は、送り配管4を通じてノズル3Aに送られる。
【0044】
気体供給部16は、気体(例えば窒素などの不活性ガス)を供給することができるように構成されている。これにより、処理液ボトル5に貯留される処理液を送り配管4を通じてトラップタンク7の方向に押し出すことができる。なお、気体供給部16および処理液ボトル5は、本発明の処理液送り出しユニットに相当する。処理液ボトル5は、本発明の処理液容器に相当する。
【0045】
気体供給部16は、気体供給源18、3つの気体配管20,21,22、三方弁V1を備えている。気体供給源18は、例えば、装置1の外部に設けられた工場供給配管や耐圧容器(ボンベ)である。三方弁V1は、2つの気体配管20,21の間に設けられている。気体配管22は、三方弁V1を介して気体配管20に接続する。気体配管20の一端は、処理液容器5に接続する。気体配管21の一端は、気体供給源18に接続する。また、気体配管22の一端は、大気に開放されている。
【0046】
三方弁V1は、気体配管20を気体配管21または気体配管22に選択的に接続させる。具体的には、三方弁V1は、通常、気体配管20と気体配管22とが接続するように構成されている。これにより、処理液ボトル5は、気体配管20,22を通じて大気に開放される。そして、ソレノイドなどによって三方弁V1を操作することにより、三方弁V1は、気体配管20と気体配管21とが接続される。これにより、気体供給源18から処理液容器5に気体が送られる。
【0047】
送り配管4は、共通管24と、分岐管26と、共通管24から分岐した2つの枝配管27A,27Bとを備えている。共通管24は、処理液ボトル5と分岐管26とを接続する。共通管24には、トラップタンク7が設けられている。第1枝配管27Aは、分岐管26とノズル3Aとを接続する。第1枝配管27Aには、トラップタンク7側から順番に、上流ポンプ8A、フィルタ9A、下流ポンプ10Aが設けられている。第2枝配管27Bは、分岐管26とノズル3Bとを接続する。第2枝配管27Bには、トラップタンク7側から順番に、上流ポンプ8B、フィルタ9B、下流ポンプ10Bが設けられている。
【0048】
トラップタンク7は、処理液を溜めることが可能でかつ処理液ボトル5の残量を検出するように構成されている。トラップタンク7は、処理液を溜める貯留部30と、貯留部30の下側(底側)に設けられた下側液面センサ32と、貯留部30の上側に設けられた上側液面センサ34とを備えている。2つの液面センサ32,34は各々、トラップタンク7内の所定の高さの液面を検出する。上側液面センサ34は、後述する戻り配管51(共通戻り配管57)から戻された処理液に含まれる気泡を検出するために用いられる。また、共通管24には、ボトルセンサ35が設けられている。ボトルセンサ35は、共通管24内の処理液の有無を検出する。3つの液面センサ32,34,35は各々、例えば光学式センサが用いられるが、例えば静電容量式や超音波式の非接触センサであってもよい。
【0049】
ボトルセンサ35が共通管24内に気体領域(処理液なし)を検出し、上側液面センサ34が気体領域(液面が下がったこと)を検出したときは、後述する制御部59は、処理液ボトル5が空になったと判定する。この場合、制御部59は、ボトル交換を操作者に報知する。また、ボトルセンサ35が気体領域を検出せず(処理液有り)、上側液面センサ34が気体領域(液面が下がったこと)を検出したときは、制御部59は、トラップタンク7内に戻された処理液に含まれる気泡によって液面が下がったものと判定する。この場合、制御部59は、気泡排出動作を行う。
【0050】
例えばノズル3Aからの処理液の吐出動作により、処理液ボトル5中の処理液が徐々に減る。その後、処理液ボトル5に処理液が無くなると、処理液ボトル5内の気体がトラップタンク7に送られる。処理液ボトル5内の気体は、気体配管20,22を通じて処理液ボトル5内に送られた気体である。このとき、ボトルセンサ35は、気体領域を検出する。トラップタンク7内に気体が送られると、トラップタンク7内の処理液の液面が下がる。トラップタンク7内の液面が下がって上側液面センサ34が液面を検出すると、制御部59は、ボトルセンサ35が気体領域を検出している検出結果も考慮し、処理液ボトル5の交換のタイミングであることを操作者に報知するように制御する。また、トラップタンク7内の液面が更に下がって下側液面センサ32が液面を検出すると、制御部59は、ノズル3からの処理液の吐出を停止するように制御する。
【0051】
なお、上側液面センサ34は、本発明のトラップタンクセンサに相当する。ボトルセンサ35は、本発明の処理液容器センサに相当する。上側液面センサ34およびボトルセンサ35は、本発明の気泡検出センサに相当する。
【0052】
トラップタンク7は、2つの流入部(流入口)36A,36Bと、2つの流出部(流出口)36C,36Dとを備えている。第1流入部36Aには、送り配管4(共通管24)が接続され、処理液ボトル5からの処理液が流入する。第2流入部36Bは、後述する戻り配管51が接続され、フィルタ9A,9Bからの処理液が流入する。
【0053】
第1流出部36Cは、トラップタンク7の下部、具体的には、貯留部30の底部に設けられている。第1流出部36Cには、送り配管4が接続されている。第1流出部36Cは、ノズル3A,3Bの方向に処理液を流出させるものである。第2流出部36Dは、トラップタンク7の上部、具体的には、貯留部30の天井部に設けられている。第2流出部36Dには、ベント配管38が接続されている。第2流出部36Dは、ベント配管38を通じて処理液を排出するものである。
【0054】
ベント配管38は、トラップタンク7の上部の第2流出部36Dに接続し、基板処理装置1の外部(例えば処理液回収用タンク)に処理液を排出できるように構成されている。ベント配管38には、ベント開閉弁V2が設けられている。また、ベント配管38は、第2流出部36Dから上方に延びており、第2流出部36Dからの気泡がベント配管38の管内でベント開閉弁V2側(上方)に行きやすいようになっている。
【0055】
なお、流入部36Bは、流入部36Aよりも高い位置に設けられる。この点、流入部36Bは、流入部36Aと同じ高さに設けられてもよく、流入部36Bは、流入部36Aよりも低い位置に設けられてもよい。
【0056】
上流ポンプ8Aは、フィルタ9Aの上流に設けられている。具体的には、上流ポンプ8Aは、トラップタンク7とフィルタ9Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。また、下流ポンプ10Aは、フィルタ9Aの下流に設けられている。具体的には、下流ポンプ10Aは、フィルタ9Aとノズル3Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。上流ポンプ8Aおよび下流ポンプ10Aは、例えば電動モータで駆動される。
【0057】
上流ポンプ8Aと下流ポンプ10Aの間には、ポンプ側戻り配管41Aが接続されている。ポンプ側戻り配管41Aは、下流ポンプ10A内の処理液を上流ポンプ8Aに戻すため配管である。
【0058】
図2は、フィルタ9A(9B)の概略構成図である。フィルタ9Aは、フィルタ本体43、1つの流入部45A、2つの流出部45B,45C、ろ過前流路47、およびろ過後流路49を備えている。フィルタ本体43は、処理液を通過させて処理液をろ過するものである。フィルタ本体43は、例えば中空円筒状に形成されている。ろ過前流路47は、フィルタ本体43の周囲および下部に設けられている。ろ過後流路49は、フィルタ本体43の内側に設けられている。流入部45Aから流入した処理液は、ろ過前流路47、フィルタ本体43、ろ過後流路49の順番に流れて、流出部45Bからノズル3A側に送り出される。処理液がフィルタ本体43を通過すると、処理液中に含まれる例えば気泡や異物(ゴミ)が取り除かれる。取り除かれた気泡や異物は、ろ過前流路47に残される。
【0059】
ろ過前流路47には、
図1、
図2に示すように、戻り配管51が接続されている。戻り配管51は、フィルタ9Aとトラップタンク7を接続し、フィルタ本体43を通過する前の処理液をトラップタンク7に戻すように構成されている。戻り配管51は、2つの戻り枝配管53A,53B、合流管55、および共通戻り配管57を備えている。
【0060】
第1戻り枝配管53Aは、フィルタ9Aと合流管55とを接続する。第2戻り枝配管53Bは、フィルタ9Bと合流管55とを接続する。共通戻り配管57は、合流管55とトラップタンク7の第2流入部36Bとを接続する。
【0061】
基板処理装置1は、6つの開閉弁V11A~開閉弁V16Aと、6つの開閉弁V11B~V16Bとを備えている。開閉弁V11Aは、分岐管26と上流ポンプ8Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。また、開閉弁V11Aは、上流ポンプ8Aの近くに設けられている。開閉弁V12Aは、上流ポンプ8Aとフィルタ9Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。開閉弁V13Aは、フィルタ9Aと下流ポンプ10Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。開閉弁V14Aは、下流ポンプ10Aとノズル3Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。
【0062】
開閉弁V15Aは、下流ポンプ10Aと上流ポンプ8Aの間のポンプ側戻り配管41Aに設けられている。開閉弁V16Aは、フィルタ9Aの第2流出部45Cと、合流管55との間の第1戻り枝配管53Aに設けられている。開閉弁V16Aは、合流管55よりもフィルタ9Aの近くに設けられている。なお、開閉弁V16A(V16B)は、本発明の戻り開閉弁に相当する。
【0063】
図3は、基板処理装置1の制御に係る構成を示す図である。基板処理装置1は、1つまたは複数の制御部59と、操作部60とを備えている。制御部59は、例えば中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部59は、基板処理装置1の各構成を制御する。操作部60は、表示部(例えば液晶モニタ)、記憶部および入力部を備えている。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。入力部は、キーボード、マウス、タッチパネルおよび各種ボタンの少なくとも1つを備えている。記憶部には、基板処理の各種条件および基板処理装置1の制御に必要な動作プログラム等が記憶されている。
【0064】
なお、第1吐出ユニット62は、ノズル3A、第1枝配管27A、上流ポンプ8A、フィルタ9A、下流ポンプ10A、ポンプ側戻り配管41A、第1戻り枝配管53A、および開閉弁V11A~V16Aを備えている。第2吐出ユニット63は、ノズル3B、第2枝配管27B、上流ポンプ8B、フィルタ9B、下流ポンプ10B、ポンプ側戻り配管41B、第2戻り枝配管53B、および開閉弁V11B~V16Bを備えている。なお、第2吐出ユニット63は、第1吐出ユニット62と同様に構成され、第1吐出ユニット62と同様に動作される。
【0065】
<基板処理装置1の動作>
次に基板処理装置1の動作について説明する。まず、基板処理装置1による処理液の吐出動作について説明する。
【0066】
〔基板処理装置1による処理液の吐出動作〕
図1の左側に示す三方弁V1は、気体配管20と気体配管22を接続させている。そのため、処理液ボトル5には、気体供給源18からの気体(例えば窒素)は供給されていない。
【0067】
図4(a)を参照する。トラップタンク7は、ベント開閉弁V2まで処理液で満たされるように気泡を含む気体が抜かれた状態にする。トラップタンク7内に気体が溜まると、気体と処理液とが接触した部分が乾燥してゲル化や固化し、それが異物となる。また、気体部分において薄膜を有する気泡が存在すると、気泡の薄膜(処理液の薄膜)は、速く乾燥し、更に異物化しやすくなる。
【0068】
そのため、
図4(b)のように、トラップタンク7内の液面が下がっている場合は、まず、ベント開閉弁V2を開く。そして、三方弁V1の操作により、処理液ボトル5に気体を供給して処理液ボトル5からトラップタンク7に向けて処理液を送り出す。これにより、トラップタンク7内の液面が上昇し、更に、ベント配管38内においても液面が上昇し、ベント開閉弁V2まで処理液が満たされると、ベント開閉弁V2を閉じると共に、処理液ボトル5への気体供給を停止して、処理液ボトル5からの処理液の送り出しを停止する。これにより、
図4(a)に示す状態になる。
【0069】
図1を参照する。保持回転部2A上には、図示しない搬送ロボットにより基板Wが搬送される。スピンチャック13は、基板Wの裏面を真空吸着によって保持する。そして、基板Wの上方に配置されたノズル3Aから処理液を吐出する。処理液を吐出する際または処理液を吐出する前後で、回転駆動部14は、スピンチャック13に保持された基板Wを回転させる。
【0070】
ここで上流ポンプ8Aおよび下流ポンプ10Aの動作について説明する。なお、ステップS01~S05において、気体供給源18からの処理液ボトル5への気体の供給は、停止した状態である。制御部59は、開閉弁V16Aおよびベント開閉弁V2を閉じながら、上流ポンプ8Aおよび下流ポンプ10Aによって処理液を送り出す。これにより、フィルタ本体43を通過した処理液をノズル3Aに送る。
【0071】
〔ステップS01〕準備完了(Ready)
現在、上流ポンプ8A内の貯留部(チャンバ)に所定の処理液が存在し、また、下流ポンプ10A内の貯留部に所定の処理液が存在している状態であるとする。このとき、開閉弁V11A~V16Aは閉じている。
【0072】
〔ステップS02〕吐出
下流ポンプ10Aから処理液を送り出し、ノズル3Aから処理液を吐出する。具体的には、下流ポンプ10Aは、ダイアフラムの移動により下流ポンプ10A内の貯留部の容積を小さくする。この際、開閉弁V14Aは開かれ、その他の開閉弁V11A~V13A、V15A、V16Aは閉じられる。これにより、下流ポンプ10A内の貯留部に存在する処理液がノズル3A方向に送り出され、ノズル3Aから処理液が吐出される。
【0073】
〔ステップS03〕濾過
上流ポンプ8A内の貯留部には、所定の処理液が存在したままである。この処理液を、フィルタ9Aを通じて下流ポンプ10A内の貯留部に送り出す。すなわち、上流ポンプ8Aは、ダイアフラムの移動により上流ポンプ8A内の貯留部の容積を小さくする。これと同時に、下流ポンプ10Aは、ダイアフラムの移動により下流ポンプ10A内の貯留部の容積を大きくする。この際、開閉弁V12A,V13Aは開かれ、その他の開閉弁V11A,V14A~V16Aは閉じられる。
【0074】
〔ステップS04〕パージ
下流ポンプ10Aは、ポンプ側戻り配管41Aを通じて下流ポンプ10A内の処理液を上流ポンプ8Aに戻す。すなわち、下流ポンプ10Aは、ダイアフラムの少しの移動により下流ポンプ10A内の貯留部の容積を少し小さくする。この際、開閉弁V11A,V15Aが開かれ、その他の開閉弁V12A~V14,V16は閉じられる。これにより、例えば下流ポンプ10A内の気泡を含む処理液を上流ポンプ8Aに戻すことができる。
【0075】
〔ステップS05〕吸引
上流ポンプ8A内に処理液を吸引する。すなわち、上流ポンプ8Aは、ダイアフラムの移動により上流ポンプ8A内の貯留部の容積を大きくする。この際、開閉弁V11Aは開かれ、その他の開閉弁V12A~V16Aは閉じられる。これにより、ステップS01の準備完了状態となる。ステップS01~S05は、繰り返される。
【0076】
なお、連続吐出の場合は、吐出工程と吸引工程が同時に行われる。この場合、例えば、吐出および吸引工程(ステップS02+S05)、濾過工程(ステップS03)、パージ(ステップS04)がこの順番で繰り返される。
【0077】
ノズル3Aから所定量の処理液を吐出して、所定の時間および所定の回転速度で基板Wが回転された後(すなわち、所定の処理後)、回転駆動部14は、基板Wの回転を停止させる。その後、スピンチャック13は、基板Wの保持を解除する。そして、図示しない搬送ロボットは、保持回転部2A上から基板Wを搬送する。
【0078】
なお、第2吐出ユニット63(例えば上流ポンプ8B、下流ポンプ10B)は、第1吐出ユニット62(例えば上流ポンプ8A、下流ポンプ10A)と独立して動作する。
【0079】
〔基板処理装置1におけるフィルタ9A(9B)の気泡抜き動作〕
次に、基板処理装置1におけるフィルタ9Aの気泡抜き動作を説明する。
【0080】
フィルタ本体43に処理液が通過する際に、気泡や異物が取り除かれる。フィルタ本体43で取り除かれた気泡は、フィルタ9A内のろ過前流路47に残るが、次のような問題がある。気泡は、パーティクル源となる。また、気泡は、通液時の圧力を不安定にし、それにより、処理液の吐出を不安定にする可能性がある。そのため、一定期間に一度(例えば1時間に1回)のペースでフィルタ9Aの気泡抜き動作を行う必要がある。
【0081】
図5は、フィルタの気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、
図5には、気泡抜き動作以外の動作、例えば上流ポンプ8Aにより下流ポンプ10Aに処理液を送る動作(すなわち吐出動作)については示されていない。また、
図6(a)は、フィルタ9Aの定期戻し動作を説明するための図である。
図6(b)は、気泡排出動作を説明するための図である。
【0082】
制御部59は、予め設定された時間間隔INTで、戻り配管51を通じてフィルタ9からトラップタンク7に向けて処理液を戻す動作(定期戻し動作)を行う(
図6(a)参照)。
図5において、例えば、上流ポンプ8Aを有する第1吐出ユニット62(
図1参照)の定期戻し動作は、時点t1,t4,t6に行われる。2つの時点t1,t4の間、および2つの時点t4,t6の間の間隔はほぼ一定である。この戻し動作を行う際に、制御部59は、ベント開閉弁V2を閉じ(OFF)、開閉弁V16Aを開き(ON)ながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す(ON)。上流ポンプ8Aによる処理液の送り出しは、予め設定された期間TL1で行われる。なお、第2吐出ユニット63の定期戻し動作は、第1吐出ユニット62の定期戻し動作と重ならないように行われるが、重ねて行ってもよい。第2吐出ユニット63の定期戻し動作は、例えば、時点t11,t15、t17に行われる。
【0083】
また、定期戻し動作を行う際、開閉弁V13A~V15Aは閉じられ、開閉弁V11A,V12Aは、上流ポンプ8Aの動作に対応して開閉する。具体的には、上流ポンプ8A内の貯留部に処理液を吸引するときは、開閉弁V11Aを開き、かつ開閉弁V12Aを閉じながら、上流ポンプ8Aは、ダイアフラムの移動により、上流ポンプ8A内の貯留部の容積を大きくする。また、上流ポンプ8A内の貯留部に吸引された処理液を吐出するときは、開閉弁V11Aを閉じ、かつ開閉弁V12Aを開きながら、上流ポンプ8Aは、ダイアフラムの移動により、上流ポンプ8A内の貯留部の容積を小さくする。上流ポンプ8Aは吸引と吐出を繰り返す。
【0084】
戻り配管51を通じてフィルタ9Aからトラップタンク7の方向に処理液を戻すときに、フィルタ本体43を通過できなかった気泡および異物がフィルタ9Aから送り出される。トラップタンク7の構造上、気泡はトラップタンク7に溜まり易く、また、気泡の浮力によって、トラップタンク7の貯留部30やベント配管38内に集まり易い。そのため、トラップタンク7内に気泡が溜まると、処理液の液面が下がってくる(
図7(a)参照)。
【0085】
図7(a)において、上側液面センサ34が例えば基準面SSで液面を検出する仮定する。
図7(b)に示すように、気泡が溜まることにより下がった液面が基準面SSに到達したときに、上側液面センサ34は、液面を検出する(
図5の時点t21)。換言すると、上側液面センサ34は、ベント配管38内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する。上側液面センサ34が液面を検出したことの信号は、制御部59に送られる。また、ボトルセンサ35は、設置位置における共通管24内の処理液の有無を検出する。
【0086】
上側液面センサ34が予め設定された量の気泡の存在を検出し、かつ、ボトルセンサ35が処理液有りと検出したとき、制御部59は、気泡排出動作を行う(
図1、
図6(b)参照)。すなわち、制御部59は、2つの開閉弁V16A,V16Bを閉じ、かつベント開閉弁V2を開きながら、気体供給部16が処理液ボトル5に気体を供給する(ON)ことによって処理液ボトル5から処理液を送り出す。処理液ボトル5からの処理液の送り出しは、予め設定された期間TL2(例えば検知してから5秒間)で行われる。これにより、溜まった気泡を、ベント開閉弁V2を挟んでトラップタンク7の反対側に排出することができる。
【0087】
なお、2つの吐出ユニット62,63による期間戻し動作と、上側液面センサ34、三方弁V1およびベント開閉弁V2による気泡排出動作は、同時に行われないように制御されている。例えば、
図5に示すように、時点t17から開始する定期戻し動作を行っている途中(時点t23)で、上側液面センサ34が液面を検出した場合、時点t17から開始する戻し動作が終わった後、時点t24から排出動作を開始する。なお、気泡排出動作は、期間TL2の間で行われているが、時点t22,t25のように、液面を検出しなくなったことに基づいて気泡排出動作の期間を設定してもよい。
【0088】
本実施例によれば、フィルタ9A(9B)からの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液ボトル5の残量を検出するための既存のトラップタンク7に戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本実施例は、追加のトラップタンクを設けておらず追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液をトラップタンク7に戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
【0089】
また、基板処理装置1は、ベント配管38、ベント開閉弁V2、上側液面センサ34およびボトルセンサ35を備えている。制御部59は、定期戻し動作の際に、開閉弁V16Aを開き、かつベント開閉弁V2を閉じながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。制御部59は、上側液面センサ34が予め設定された量の気泡の存在(すなわち液面)を検出し、かつ、ボトルセンサ35が処理液有りと検出したとき、2つの開閉弁V16A,V16Bを閉じ、かつベント開閉弁V2を開きながら、気体供給部16および処理液ボトル5によって処理液を送り出すことにより、ベント配管38から気泡を排出する。
【0090】
予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作は、フィルタ9Aからトラップタンク7に気泡を含む処理液を戻す。戻された気泡は、トラップタンク7の上部に接続されたベント配管38から排出することができる。
【0091】
上側液面センサ34がトラップタンク7内に存在する予め設定された量の気泡を検出すると、気体供給部16および処理液ボトル5による処理液の送り出しにより、気泡を含む処理液を排出する。予め設定された量の気泡が検出されたときだけ処理液を排出するので、処理液の消費量を低減することができる。
【0092】
また、上側液面センサ34は、トラップタンク内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する。ボトルセンサ35は、処理液ボトル5とトラップタンク7の間における共通管24(送り配管4)内の処理液の有無を検出する。上側液面センサ34が予め設定された量の気泡の存在を検出し、かつボトルセンサ35が処理液有りと検出したときに、気泡排出動作を行う。ボトルセンサ35が処理液なしと検出したときは、処理液が送れず気体を送っていることを示す。すなわち、処理液なしは、処理液ボトル5が空であることを示す。この状態で気泡排出動作を行うと、ベント配管38に主に気体が排出されることになる。この場合、気泡排出動作を有効に行うことができない。本実施例により、処理液ボトル5に処理液があることを確認しつつ気泡排出動作を行うことができる。
【実施例2】
【0093】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
図8は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0094】
実施例1では、戻り配管51を通じて戻される処理液を、トラップタンク7に到達した後にベント配管38から外部に排出することができた。この点、実施例2では、トラップタンク7に到達する前に処理液を外部に排出することができるように構成されている。
【0095】
図8を参照する。基板処理装置1は、更に、2つの戻り側ベント配管65A,65B、2つの三方弁V21A,V21B、2つの液面センサ67A,67Bを備えている。なお、液面センサ67A,67Bは各々、本発明の戻り側気泡検出センサに相当する。
【0096】
戻り側ベント配管65Aは、第1戻り枝配管53A(戻り配管51)から分岐するように設けられている。戻り側ベント配管65Aは、装置1の外部に処理液を排出できる。三方弁V21Aは、開閉弁V16Aとトラップタンク7の間の第1戻り枝配管53A(戻り配管51)に設けられている。すなわち、三方弁V21Aは、開閉弁V16Aを挟んでフィルタ9Aの反対側の第1戻り枝配管53A(分岐部分)に設けられている。三方弁V21Aは、戻り側ベント配管65Aと接続する。また、三方弁V21Aは、フィルタ9Aをトラップタンク7または戻り側ベント配管65Aに選択的に接続(連通)する。すなわち、三方弁V21Aは、戻し動作または排出動作のいずれかを選択できる。
【0097】
液面センサ67Aは、開閉弁V16Aとフィルタ9Aの間の第1戻り枝配管53A(戻り配管51)に設けられている。液面センサ67Aは、
図8の円形で囲まれた拡大図のように、戻り枝配管53Aの液面の高さを検出する。すなわち、液面センサ67Aは、第1戻り枝配管53A内に予め設定された量の気泡が存在することを検出する。液面センサ67Aは、上側液面センサ34と同様に、例えば光学式センサが用いられるが、静電容量式、光学式や超音波式の非接触センサであってもよい。
図8において、開閉弁V16Aは、フィルタ9Aの上方に設けられている。また、開閉弁V16Aまでの第1戻り枝配管53Aは、フィルタ9Aの流出部45Cから上方に延びて構成されている。なお、開閉弁V16Aおよび三方弁V21Aは、本発明の切換弁に相当する。
【0098】
図9は、実施例2に係るフィルタ9A(9B)の気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0099】
制御部59は、予め設定された時間間隔INTで、第1戻り枝配管53Aを通じてフィルタ9Aからトラップタンク7に向けて処理液を戻す定期戻し動作を行う。第1吐出ユニット62は、時点t1,t4,t6において定期戻し動作を行う。この際、三方弁V21Aは、フィルタ9Aをトラップタンク7に接続する。
【0100】
また、第1吐出ユニット62は、トラップタンク7に処理液を送らなくても気泡を排出することができる。気泡の排出は、液面センサ67Aの検出結果に基づいて行われる。
図9の時点t5において、第1吐出ユニット62の液面センサ67Aは、第1戻り枝配管53A内の液面が予め設定された高さに下がったことを検出している。すなわち、液面センサ67Aは、第1戻り枝配管53A内に予め設定された量の気泡の存在を検出している。
【0101】
時点t1,時点t4において定期戻し動作が行われるが、液面センサ67Aは、予め設定された量の気泡の存在を検出していない(OFF)。この場合、制御部59は、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aをトラップタンク7に接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、第1戻り枝配管53Aを通じてフィルタ9Aから処理液を戻す。
【0102】
また、時点t6において定期戻し動作が行われるが、液面センサ67Aは、時点t5において、予め設定された量の気泡の存在を検出している(ON)。この場合、制御部59は、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aを戻り側ベント配管65Aに接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aから処理液を排出する。
【0103】
なお、第2吐出ユニット63は、時点t11,時点t17において、第2戻り枝配管53Bを通じてフィルタ9Bからトラップタンク7に処理液を戻す。また、第2吐出ユニット63は、時点t14で液面センサ67Bが予め設定された量の気泡の存在を検出している(ON)ので、時点t15において、戻り側ベント配管65Bを通じてフィルタ9Bからの処理液を排出する。その他、時点t7は、液面センサ67Aが気泡の存在を検出しなくなったことを示し、時点t16は、液面センサ67Bが気泡の存在を検出しなくなったことを示す。
【0104】
本実施例によれば、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作において、三方弁V21Aは、戻し動作または排出動作のいずれかを選択することができる。また、その定期戻し動作において、三方弁V21Aは、液面センサ67Aが予め設定された量の気泡の存在を検出していないときは、処理液を戻すことができる。また、三方弁V21Aは、液面センサ67Aが予め設定された量の気泡の存在を検出したときは、処理液を排出することができる。必要なときだけ気泡を含む処理液を排出するので、パーティクル源である気泡を排出すると共に、処理液の消費量を削減することができる。
【実施例3】
【0105】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。
【0106】
実施例2では、制御部59は、
図8に示す基板処理装置1において、予め設定された時間間隔INTで、第1戻り枝配管53Aを通じてフィルタ9Aからトラップタンク7に向けて処理液を戻す定期戻し動作を行っていた。そして、定期戻し動作の際に、フィルタ9Aからの全ての処理液をトラップタンク7に向けて戻していた。この点、実施例3では、フィルタ9Aからの一部の処理液を排出する。
【0107】
図10は、実施例3に係るフィルタ9A(9B)の気泡抜き動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0108】
図8に示す基板処理装置1において、第1吐出ユニット62は、時点t1,t4,t6において戻し動作を行う。
図10の例えば時点t1から時点t2までの初期期間TL3では、三方弁V21Aは、フィルタ9Aを戻り側ベント配管65Aに接続する。
【0109】
具体的には、制御部59は、定期戻し動作の際の予め設定された初期期間TL3において、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aを戻り側ベント配管65Aに接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aからの処理液を排出する。
【0110】
各回の戻し動作は期間TL1で行われる。そのため、期間TL1は、初期期間TL3と、初期期間TL3以外の残りの期間TL4とで構成される。
図10の例えば時点t2から時点t3までの期間TL4では、三方弁V21Aは、フィルタ9Aをトラップタンク7に接続する。
【0111】
具体的には、制御部59は、残りの期間TL4において、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aをトラップタンク7に接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、第1戻り枝配管53Aを通じてフィルタ9Aからトラップタンク7に向けて処理液を戻す。
【0112】
また、例えば時点t5において、液面センサ67Aが気泡の存在(液面)を検出したときは、その次の定期戻し動作においては、排出動作のみが行われる。なお、第2吐出ユニット63も、
図10に示すように、第1吐出ユニット62とほぼ同じように動作する。
【0113】
本実施例によれば、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作において、三方弁V21Aは、初期期間TL3に処理液を排出し、初期期間TL3以外の残りの期間TL4に処理液を戻すことができる。フィルタ9Aは、気泡と共に異物を取り除く。初期期間TL3に、戻り側ベント配管65Aを通じて主に異物を排出する(捨てる)ことができる。異物が低減された液を戻すことができる。
【実施例4】
【0114】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。なお、実施例1~3と重複する説明は省略する。
図11は、実施例4に係る基板処理装置1の概略構成図である。
【0115】
実施例1~3では、フィルタ9Aからの処理液をトラップタンク7に戻していた。この点、実施例4では、フィルタ9Aからの処理液を第1枝配管27Aに戻す。
【0116】
図11を参照する。基板処理装置1は、2つの合流管71A,71B、2つの戻り配管73A,73B、2つの開閉弁V16A,V16B、2つの三方弁V21A,21B、2つの戻り側ベント配管65A,65B、および2つの液面センサ67A,67Bを備えている。
【0117】
合流管71Aは、トラップタンク7と上流ポンプ8Aの間、すなわち分岐管26と上流ポンプ8Aの間の第1枝配管27A(送り配管4)に設けられている。合流管71Aは、例えばT字状の流路を有するT字管で構成されている。合流管71Aは、トラップタンク7よりも上流ポンプ8Aの近く(傍)に配置されている。なお、開閉弁V11Aは、合流管71Aと上流ポンプ8Aの間の第1枝配管27Aに設けられている。すなわち、第1枝配管27Aには、分岐管26側から順番に、合流管71A、開閉弁V11A、上流ポンプ8A、フィルタ9A、下流ポンプ10A、開閉弁V14Aが設けられている。
【0118】
戻り配管73Aは、フィルタ9Aと合流管71Aを接続する。また、戻り配管73Aは、フィルタ9Aのフィルタ本体43を通過する前の処理液を合流管71Aに戻すように構成されている。開閉弁V16Aは、戻り配管73Aに設けられている。三方弁V21Aは、開閉弁V16Aと合流管71Aの間の戻り配管73Aに設けられている。三方弁V21Aは、戻り側ベント配管65Aと接続する。また、三方弁V21Aは、フィルタ9Aを合流管71Aまたは戻り側ベント配管65Aに選択的に接続する。
【0119】
本実施例の基板処理装置1は、実施例2の
図9または実施例3の
図10のように動作される。例えば、制御部59は、実施例2の
図9の時点t1,t4,t6のように、予め設定された時間間隔INTで、戻り配管73Aを通じてフィルタ9Aから合流管71Aに向けて処理液を戻す定期戻し動作を実行する。
【0120】
図9において、制御部59は、液面センサ67Aが予め設定された量の気泡の存在を検出しないとき、定期戻し動作の際に(時点t1,t4)、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aを合流管71Aに接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り配管73Aを通じてフィルタ9Aから合流管71Aに向けて処理液を戻す。また、制御部59は、液面センサ67Aが予め設定された量の気泡の存在を検出したとき、定期戻し動作の際に(時点t6)、開閉弁V16Aを開き、かつ三方弁V21Aでフィルタ9Aを戻り側ベント配管65Aに接続しながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aからの処理液を排出する。
【0121】
なお、第2吐出ユニット63も、第1吐出ユニット62のように構成され、かつ、第1吐出ユニット62のように動作される。
【0122】
本実施例によれば、フィルタ9Aからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、第1枝配管27Aに設けられた合流管71A、すなわち第1枝配管27Aに戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本実施例は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔INTで行われる定期戻し動作により、フィルタ9Aから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を第1枝配管27Aに戻して再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。また、合流管71Aは共通管24から分岐した第1枝配管27Aに設けられているので、上流ポンプ8Aの近くに戻すことができる。
【0123】
なお、
図11において、ボトルセンサ35は設けられていなくてもよい。この場合、トラップタンク7からの気泡排出動作を行わなくてもよい。
【実施例5】
【0124】
次に、図面を参照して本発明の実施例5を説明する。なお、実施例1~3と重複する説明は省略する。
図12は、実施例5に係る基板処理装置1の概略構成図である。
【0125】
実施例1~3では、フィルタ9Aからの処理液をトラップタンク7に戻していた。この点、実施例5では、フィルタ9Aからの処理液を処理液ボトル5に戻す。
【0126】
図12を参照する。基板処理装置1は、合流管81と、戻り配管51(2つの戻り枝配管53A,53B、合流管55および共通戻り配管57)とを備えている。
【0127】
合流管81は、処理液ボトル5とトラップタンク7の間の共通管24に設けられている。合流管81は、例えばT字状の流路を有するT字管で構成されている。合流管81は、トラップタンク7よりも処理液ボトル5の近くに配置されている。なお、共通管24は、共通管83,84を備えている。
【0128】
本実施例の基板処理装置1は、実施例1の
図5に示す2つの吐出ユニット62,63の動作のように動作される。例えば、制御部59は、実施例1の
図5の時点t1,t4,t6のように、予め設定された時間間隔INTで、第1戻り枝配管53Aおよび共通戻り配管57を通じてフィルタ9Aから処理液ボトル5に向けて処理液を戻す戻し動作を実行する。気泡を含む処理液が処理液ボトル5に戻されると、気泡が液面に上昇し、処理液中から気泡が抜ける。
【0129】
なお、第2吐出ユニット63も、第1吐出ユニット62のように構成され、かつ、第1吐出ユニット62のように動作される。
【0130】
本実施例によれば、フィルタ9Aからの処理液を追加のトラップタンクに戻すのではなく、処理液ボトル5に戻している。追加のトラップタンクは、パーティクル発生源となるおそれがある。本実施例は、追加のトラップタンクに処理液を戻さないので、追加のトラップタンクによるパーティクルを気にしなくてもよい。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、予め設定された時間間隔で行われる定期戻し動作により、フィルタ9Aから気泡を取り除きつつ、処理液が滞留してゲル化または固化することを抑制する。そのため、パーティクルの発生を抑えることができる。また、処理液を処理液ボトル5に戻すので、処理液を再利用することができる。そのため、処理液の消費量を削減することができる。
【0131】
また、フィルタ9Aからの気泡を含む処理液が処理液ボトル5に戻されると、処理液ボトル5内の液面を通じて気泡が抜ける。すなわち、戻された気泡は、気泡として留まらず処理液ボトル5内の気体層と同化する。そのため、
図1に示すボトルセンサ35を設けず、上側液面センサ34およびボトルセンサ35などによる気泡排出動作を行わなくてもよい。
【0132】
なお、本実施例は、次のように構成されていてもよい。
図12に示す基板処理装置1は、2つのフィルタ9A,9Bから処理液ボトル5に処理液を戻していた。この際、共通戻り配管57は、合流管81を介して共通管83に接続されていた。この点、
図13に示すように、共通戻り配管57が直接、処理液ボトル5に処理液を戻せるように、共通戻り配管57は直接、処理液ボトル5に接続されていてもよい。
【0133】
また、本実施例は、次のように構成されていてもよい。本実施例の基板処理装置1は、実施例2の
図8に示す、2つの三方弁V21A,21Bと、2つの戻り側ベント配管65A,65Bとを備えていてもよい。また、この構成に加えて、基板処理装置1は、実施例2の
図8に示す、2つの液面センサ67A,67Bを備えていてもよい。また、基板処理装置1は、実施例3の
図10に示す動作のように、動作させてもよい。すなわち、戻し動作の初期期間TL3では、三方弁V21Aは、フィルタ9Aを戻り側ベント配管65Aに接続する。初期期間TL3以外の残りの期間TL4では、三方弁V21Aは、フィルタ9Aを処理液ボトル5に接続する。
【0134】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0135】
(1)上述した各実施例では、気泡検出センサとして液面センサ34,67A,67Bが用いられた。この点、気泡検出センサとして気泡センサが用いられてもよい。上側液面センサ34は、
図7(b)に示すように、液上部で気泡が溜まって結合することで形成された空の領域(気体領域)を検出する。これに対し、気泡センサ91は、
図14(a)、
図14(b)に示すように、管内の処理液中の気泡を検出するようにしてもよい。気泡センサ91は、例えば超音波式センサやマイクロ波式センサが用いられる。
【0136】
気泡センサ91は、例えば処理液中の気泡の密度が所定閾値を超えた場合に、予め設定された量の気泡が存在することを検出する。気泡センサ91は、
図14(a)に示すように、気泡が少ないまたは小さい場合は気泡を検出しない。一方、気泡センサ91は、
図14(b)に示すように、気泡が多くまたは大きい場合には気泡を検出する。
【0137】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、例えば
図1において、基板処理装置1は、2つの吐出ユニット62,63を備えていた。この点、基板処理装置1は、1つの吐出ユニットを備えていてもよい。また、基板処理装置1は、3つ以上(例えば4つ)の吐出ユニットを備えていてもよい。基板処理装置1が1つの吐出ユニットだけを備える場合、
図1に示す分岐管26および合流管55は設けられない。また、基板処理装置1が例えば4つの吐出ユニットを備える場合は、分岐管26には、4つの枝配管が接続され、合流管55には、4つの戻り枝配管が合流する。
【0138】
(3)上述した各実施例および各変形例では、フィルタ9Aには、第1戻り枝配管53Aが接続されていた。この第1戻り枝配管53Aは、
図15に示すように、フィルタ側配管93と他端側配管95を備えていてもよい。フィルタ側配管93は、フィルタ9Aに一端が接続されるものである。他端側配管95は、フィルタ側配管93の他端に直列に接続されている。他端側配管95の内径ID2は、フィルタ側配管93よりも内径ID1が小さい。他端側配管95の内径ID2が小さいので、処理液を少量で遠くに送ることができる。そのため、戻すための処理液が少量で済む。
【0139】
また、他端側配管95の外径OD2は、フィルタ側配管93よりも外径OD1が小さい。この点について説明する。例えば、
図15の基板処理装置1は、4つの吐出ユニットを備えているものとする。この場合、送り配管4は、4本の枝配管を備え、戻り配管51は、4本の他端側配管95(戻り枝配管)を備えている。4本の枝配管に4本の他端側配管95を加えた8本の配管は束ねられ、配管を保護するケーブルキャリア97に収納されている。ケーブルキャリア97は、例えばチューブ状で形成されている。他端側配管95の外径OD2がフィルタ側配管93よりも外径OD1よりも小さいと、複数本(例えば4本)の他端側配管95を束ねた際に、複数本の他端側配管95の束の断面積を小さくできる。そのため、ケーブルキャリア97に収めやすくなる。また、ケーブルキャリアに収めることができる配管本数を増やすことができる。
【0140】
なお、
図15において、フィルタ側配管93と他端側配管95の境界は、開閉弁V16Aであった。この点、境界は、例えば三方弁V21Aであってもよく、また、ケーブルキャリア97に収納されない部分であれば、開閉弁V16Aおよび三方弁V21A以外の部分であってもよい。
【0141】
また、本変形例を実施例4に適用させた場合、
図11に示す合流管71Aは、ケーブルキャリア97(
図15参照)に収納されないように設けられる。すなわち、合流管71Aは、ケーブルキャリア97(
図15参照)を挟んでトラップタンク7の反対側の他端側配管95(第1戻り枝配管53A)に設けられる。
【0142】
(4)上述した各実施例および各変形例の例えば
図1において、上側液面センサ34が予め設定された量の気泡の存在を検出していた。
図16に示すように、上側液面センサ34に加えて、液面センサ98を追加してもよい。液面センサ98は、トラップタンク7の流出部36Dとベント開閉弁V2の間のベント配管38に設けられる。液面センサ98が気泡の存在(液面)を検出し、ボトルセンサ35が処理液有りと検出したとき、気泡排出動作を行う。また、液面センサ98が予め設定された量の気泡の存在を検出し、ボトルセンサ35が処理液なしと検出したときは、操作者にボトル交換を報知してもよい。この場合、上側液面センサ34の検出結果も用いて、ボトル交換を2段階に報知してもよい。また、上側液面センサ34を省略してもよい。また、ボトルセンサ35を設けずに、液面センサ98の検出結果だけに基づき、気泡排出動作を行ってもよい。
【0143】
(5)上述した各実施例および各変形例では、
図9,
図10の時点t1,t4,t6に示す定期戻し動作は、液面センサ67Aが予め設定された量の気泡の存在を検出したときに、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aから処理液を排出していた。液面センサ67Aを設けずに、制御部59は、例えば3回の定期戻し動作のうち1回の定期戻し動作を気泡排出動作として制御してもよい。
【0144】
(6)上述した各実施例および各変形例では、実施例1の
図6(a)において、制御部59は、定期戻し動作の際に、開閉弁V16Aを開きながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出していた。この点、制御部59は、定期戻し動作の際に、開閉弁V16Aを開きながら、下流ポンプ10Aによって処理液を送り出してもよい。
【0145】
この動作を詳しく説明する。
図17を参照する。定期戻し動作を行う際に下流ポンプ10A内の貯留部から処理液を送り出すときは、開閉弁V13A,V16Aを開いた状態かつ、開閉弁V2,V11A,V12A,V14A,V15Aを閉じた状態で、下流ポンプ10Aによって処理液を送り出す。下流ポンプ10Aは、フィルタ9A側に処理液を送り出し、
図2に示すフィルタ本体43に逆方向に処理液を通す。そして、戻り配管51を通じて、フィルタ9Aからトラップタンク7に処理液が送られる。
【0146】
また、定期戻し動作を行う際に下流ポンプ10A内の貯留部に処理液を吸引するときは、開閉弁V12A,V13Aを開いた状態かつ、開閉弁V11A,V14A~V16Aを閉じた状態で、上流ポンプ8Aによって処理液を送りながら下流ポンプ10Aに処理液を吸引させてもよい。また、下流ポンプ10A内の貯留部に処理液を吸引するときは、開閉弁V11A~V13Aを開いた状態かつ、V14A~V16Aを閉じた状態で、上流ポンプ8Aを駆動させないで下流ポンプ10Aに処理液を吸引させてもよい。
【0147】
また、定期戻し動作を行う際に下流ポンプ10A内の貯留部に処理液を吸引するときは、開閉弁V15Aを開いた状態かつ、開閉弁V11A~V14A,V16Aを閉じた状態で、上流ポンプ8Aによって処理液を送りながら下流ポンプ10Aに処理液を吸引させてもよい。この場合、処理液は、ポンプ側戻り配管41Aを通じて、上流ポンプ8Aから下流ポンプ10Aに送られる。また、下流ポンプ10A内の貯留部に処理液を吸引するときは、開閉弁V11A,V15Aを開いた状態かつ、開閉弁V12A~V14A,V16Aを閉じた状態で、上流ポンプ8Aを駆動させないで下流ポンプ10Aに処理液を吸引させてもよい。
【0148】
(7)上述した各実施例および各変形例では、基板処理装置1は、例えば、上流ポンプ8Aおよび下流ポンプ10Aを備えていた。この点、基板処理装置1は、上流ポンプ8Aを備えずに、下流ポンプ10Aを備えるようにしてもよい。また、基板処理装置1は、下流ポンプ10Aを備えずに、上流ポンプ8Aを備えるようにしてもよい。すなわち、1つまたは2以上のポンプは、トラップタンク7の下流側の送り配管4に設けられていてもよい。また、言い換えると、1つまたは2つ以上のポンプは、トラップタンク7とフィルタ9Aの間、およびフィルタ9Aとノズル3Aの間の少なくとも一方における送り配管4に設けられていてもよい。
【0149】
(8)上述した各実施例および各変形例では、例えば
図8に示す基板処理装置1は、例えば三方弁V21Aによって、フィルタ9Aからトラップタンク7に処理液を戻したり、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aから処理液を排出したりした。この点、
図18に示すように、変形例に係る基板処理装置1は、2つの開閉弁V16A,V23Aによって、フィルタ9Aからトラップタンク7に処理液を戻したり、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aから処理液を排出したりしてもよい。
【0150】
図18に示す基板処理装置1は、2つの分岐管101A,101Bと、2つの開閉弁V16A,V16Bと、2つの開閉弁V23A,V23Bと、2つの液面センサ67A,67Bを備えている。例えば、分岐管101B、開閉弁V16B、開閉弁V23Bおよび液面センサ67Bは、それぞれ分岐管101A、開閉弁V16A、開閉弁V23Aおよび液面センサ67Aと同様に構成されている。
【0151】
戻り側ベント配管65Aは、戻り配管51(戻り枝配管53A)から分岐するように設けられている。分岐管101Aは、戻り側ベント配管65Aが戻り配管51に接続する分岐点に設けられている。具体的には、分岐管101Aは、フィルタ9Aと合流管55の間の戻り枝配管53Aに設けられている。そして、分岐管101Aには、戻り側ベント配管65Aが接続されている。
【0152】
開閉弁V16Aは、分岐管101Aと合流管55の間の戻り枝配管53Aに設けられている。開閉弁V23Aは、戻り側ベント配管65Aに設けられている。液面センサ67Aは、分岐管101Aと開閉弁V23Aの間の戻り側ベント配管65Aに設けられている。この場合、例えば、液面センサ67Aは、開閉弁V23Aの近くに配置される。なお、液面センサ67Aは、フィルタ9Aと分岐管101Aの間の戻り枝配管53Aに設けられていてもよい。なお、開閉弁V16Aおよび開閉弁V23Aは、本発明の切換弁に相当する。
【0153】
図18を参照して、本変形例の動作を説明する。2つの開閉弁V16A,V23Aを制御することにより、戻し動作、第1排出動作および第2排出動作のいずれかを選択することが可能である。まず、戻し動作を説明する。制御部59は、開閉弁V2,V13A~V15A,V23を閉じ、開閉弁V12A,V16Aを開きながら、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り側ベント配管65Aを通さずに戻り配管51を通じてフィルタ9Aからの処理液を戻すことができる。
【0154】
次に、第1排出動作を説明する。制御部59は、開閉弁V13A~V16Aを閉じ、開閉弁V12A,V23Aを開きながら(開閉弁V13A~V16Aを閉じ、開閉弁V12A,V23Aを開いた状態で)、上流ポンプ8Aによって処理液を送り出す。これにより、戻り側ベント配管65Aを通じてフィルタ9Aからの処理液を排出することができる。
【0155】
次に、第2排出動作を説明する。第2排出動作は、例えば、装置搬入直後に行われる配管洗浄において、初期に生じている初期ゴミを、上流ポンプ8Aを通すことなく戻り側ベント配管65Aを通じて排出するために用いられる。制御部59は、例えば開閉弁V11A~V13Aを閉じ、開閉弁V16A,V23Aを開きながら、気体供給部16が処理液ボトル5に気体を供給することによって処理液ボトル5から処理液を送り出す。これにより、戻り配管51および戻り側ベント配管65Aを通じてトラップタンク7側からの処理液(液体)を排出することができる。なお、この第2排出動作を行うとき、2つの開閉弁V16B,V23Bを有する第2吐出ユニット63も、2つの開閉弁V16A,V23Aを有する第1吐出ユニット62と同様に動作される。
【0156】
なお、戻り枝配管53A(戻り配管51)および戻り側ベント配管65Aに処理液を流さないときは、制御部59は、開閉弁V16A,V23Aを閉じておく。
【0157】
また、
図11に示す例えば開閉弁16Aおよび三方弁V21Aに代えて、
図19に示す例えば2つの開閉弁V16A,V23Aを設けるように、基板処理装置1を構成してもよい。この場合も、
図18に示す基板処理装置1と同様に動作されるので、説明を省略する。また、
図12,
図13に示す基板処理装置1に関しても、
図18に示す基板処理装置1のように、例えば2つの開閉弁V16A,V23Aが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1 … 基板処理装置
3A,3B … ノズル
4 … 送り配管
5 … 処理液ボトル
7 … トラップタンク
8A,8B … 上流ポンプ
9A,9B … フィルタ
16 … 気体供給部
24 … 共通管
27A,28B … 枝配管
34 … 上側液面センサ
35 … ボトルセンサ
38 … ベント配管
43 … フィルタ本体
51,73A,73B … 戻り配管
59 … 制御部
65A,65B … 戻り側ベント配管
67A,67B,98 … 液面センサ
71A,71B … 合流管
91 … 気泡センサ
93 … フィルタ側配管
95 … 他端側配管
ID1,ID2 … 内径
INT … 時間間隔
TL3 … 初期期間
TL4 … 残りの期間
V1,V21A,V21B … 三方弁
V2 … ベント開閉弁
V16A,V16B … 開閉弁