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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】妊婦用腰腹部支持ベルト及び衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20221025BHJP
   D04B 7/32 20060101ALI20221025BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20221025BHJP
   A41D 1/14 20060101ALI20221025BHJP
   D04B 1/24 20060101ALI20221025BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20221025BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A41D13/05 125
D04B7/32
A41D1/06 503B
A41D1/06 B
A41D1/14 502B
A41D1/14 E
A41D1/06 F
D04B1/24
D04B1/18
D04B1/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018539041
(86)(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2018073675
(87)【国際公開番号】W WO2019140704
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514149772
【氏名又は名称】クリスタル アパレル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】ウォン チファイ
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0320121(US,A1)
【文献】米国特許第01446928(US,A)
【文献】特表2005-526918(JP,A)
【文献】特開2003-201601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0239353(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253397(US,A1)
【文献】特表2010-529310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0049584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/05
A41C1/00-1/20
A41D1/06-1/16
D04B7/00-7/34
D04B1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料製の弾性糸を編んで形成され、継ぎ目がない円筒形状を呈する腰腹部支持ベルト(100)であって、該腰腹部支持ベルトは、上縁部(101,201)と、フロントピース(102,202)と、リアピース(107,207)と、下縁部(108,208)との少なくとも4つの部分からなる造形構造に構成され、前記上縁部(101,201)は、前記腰腹部支持ベルト(100)の頂部に位置し、前記下縁部(108,208)は、前記腰腹部支持ベルトの最下端に位置し、前記フロントピース(102,202)は、前記腰腹部支持ベルトの前部に配置され、前記フロントピース(102,202)の上側が前記上縁部(101,201)と接合し、前記リアピース(107,207)は、前記腰腹部支持ベルトの後部に位置し、前記フロントピースと前記リアピースとの編み構造は互いに異なり、前記上縁部または前記下縁部の編み構造とも異なり、
細長い接続部(103)と、狭幅部(104)と、支持部(105,205)と、三角形状部(106,206)とを更に備え、
前記フロントピース(102)の両側と下側に前記接続部(103)が接合し、前記接続部(103)は、前記フロントピース(102)の両側と下側を取り囲むように位置し、
前記狭幅部(104)は、前記接続部の後方に接合した2つの帯状領域からなり、前記フロントピース(102)と前記リアピース(107)との間で前記接続部(103)の後方に接合し、前記三角形状部(106)の前方に接合し、
前記支持部(105,205)は、前記フロントピースと前記下縁部の間に位置し、前記接続部(103)の下部と前記狭幅部(104)の下部とを囲み、
前記三角形状部(106,206)は、腰部の動きに伴って伸縮し、前記腰腹部支持ベルトの両側の腰部分であって、前記支持部と前記リアピースの間に位置し、その最も広い底部が側腰部に位置し、前記三角形状部(106,206)の鋭角が後方の腰部中央に向かって先細になることを特徴とする妊婦用腰腹部支持ベルト。
【請求項2】
前記接続部(103)のステッチの張力は前記フロントピース(102)の張力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項3】
前記三角形状部(106、206)の編み構造は、接続部(103)、狭幅部(104)、及び支持部(105)よりも複雑に形成されることを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項4】
前記上縁部(101,201)及び前記下縁部(108,208)は、それぞれリブ(整列繰返し)編み構造によって形成され、前記フロントピース(102,202)は、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造、またはスモールホールデザイン編み構造によって形成され、前記リアピース(107,207)は、ミスステッチ整列繰返し編み構造によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項5】
前記上縁部(101,201)及び前記下縁部(108,208)は、それぞれリブ(整列繰返し)編み構造であり、前記フロントピース(102,202)は、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造、またはスモールホールデザイン編み構造であり、前記支持部(105,205)は、ミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記三角形状部(106,206)、及び前記リアピース(107,207)は、ミスステッチ整列繰返し編み構造であることを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項6】
前記上縁部(101,201)及び前記下縁部(108,208)は、それぞれリブ(整列繰返し)編み構造であり、前記フロントピース(102,202)は、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造、またはスモールホールデザイン編み構造であり、前記接続部(103)、前記狭幅部(104)、及び前記支持部(105,205)は、それぞれミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記三角形状部(106,206)、及び前記リアピース(107,207)は、ミスステッチ整列繰返し編み構造であることを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項7】
前記上縁部(101,201)は、5×1前記リブ(整列繰返し)編み構造であり、前記フロントピース(102,202)は、前記メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造であり、前記支持部(105,205)は、3×1(計3コース)前記ミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記三角形状部(106,206)は、2×2(計9コース)前記ミスステッチ整列繰返し編み構造であり、前記リアピース(107,207)は、1×1(計10コース)前記ミスステッチ整列繰返し編み構造であり、前記下縁部(108,208)は、3×1前記リブ(整列繰返し)編み構造であることを特徴とする請求項5に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項8】
前記上縁部(101,201)は、5×1リブ(整列繰返し)編み構造であり、前記フロントピース(102)は、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造であり、前記接続部(103)は、3×1ミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記狭幅部(104)は、3×1(計2コース)前記ミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記支持部(105)は、3×1(計3コース)前記ミスステッチ交互繰返し編み構造であり、前記三角形状部(106)は、2×2(計9コース)ミスステッチ整列繰返し編み構造であり、前記リアピース(107)は、1×1(計10コース)前記ミスステッチ整列繰返し編み構造であり、前記下縁部(108)は、3×1前記リブ(整列繰返し)編み構造であることを特徴とする請求項1に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項9】
前記繊維材料において、ナイロンが90~96%を占め、スパンデックスが4~10%を占めることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項10】
前記繊維材料において、ナイロンが92%、スパンデックスが8%であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項11】
前記繊維材料は、ビスコースレーヨン、ソフトナイロン、天然繊維、または再生繊維を更に含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の妊婦用腰腹部支持ベルト(100)。
【請求項12】
前記腰腹部支持ベルト(100)の前記下縁部(108,208)が、前記腰腹部支持ベルト(100)と、ボトムスとが一体となるように、該ボトムスの腰部バンドに取り付けられることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の腰腹部支持ベルトを備える衣服。
【請求項13】
前記衣服における取り付け方法として、縫製、紡績、ベルクロ(登録商標)、またはスライドファスナーを含むことを特徴とする請求項12に記載の衣服。
【請求項14】
前記ボトムスは、ズボン、ショーツ、またはスカートであることを特徴とする請求項12、または13に記載の衣服。
【請求項15】
前記ズボンは、ジーンズであることを特徴とする請求項14に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、妊婦用腰腹部支持ベルト(一般に腹帯と呼ばれる)に関するものであり、具体的には、継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトに関する。更に、本開示は、前記妊婦用腰腹部支持ベルトが取り付けられる衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、女性は妊娠中に一連の身体的不快感に直面している。例えば、妊婦のお腹は胎児の発達とともに成長する。妊娠が進むと、背中、腰、骨盤の痛みが増え、妊婦の運動能力に影響を与え、日常生活に不便をもたらす。伝統的に、妊婦の服は、着用者に快適さを与えるが、腹部を特別に支持することなく、サイズが緩いドレスまたは編みパンツである。成長する腹部のサイズに適応し、着用者の背中を支えて骨盤の痛みを軽減するために利用可能な妊婦服及び妊婦用ベルトがある。着用時に、パンツ、ショーツまたはスカートの腰部を開いたまま、これらのボトムス衣料の腰部バンドにボタンで直接または間接的に接続される伸縮性ベルトが装備されている妊婦服もある。このタイプの妊婦の衣類の問題は、2つの部分に分かれていて、着用時に柔軟性がないことである。腰腹部支持ベルトを備えたそのような妊婦用衣類は、通常、身体に対して密着しており、継ぎ目を有し、それらの腹部領域は通気性がない。腹部サイズに合わせて調節可能な腰腹部支持ベルトを備えた特別な妊婦用衣服もある。しかし、これらの腰腹部支持ベルトは、通常、弾性材料を使用して腹部の形状に沿って調節するのみであり、腹部の形状に合うように設計されてはいない。したがって、この種の妊婦服は、腹部を適切に支持することができず、骨盤痛を軽減することもできない。
【0003】
背中や骨盤の痛みを軽減するように設計されている妊婦用ベルトや腹部サポートベルトがある。このようなベルトの大部分は、伸縮性のある素材を用いて、ベルクロ(登録商標)またはフックアンドアイクロージャーを備えたものである。ベルクロ(登録商標)による固定は、しばらく着用した後に緩んでしまうのが普通である。これらの妊婦用ベルトは、筋肉が外部からのサポートに過度に依存するようになり、すでに提示された問題が解決できないので、一日中着用すべきではない。更に、そのような妊婦用ベルトは、通常、服の下に着用され、かさばるように見え、着用者に、特に夏期に不快感を与える。
【0004】
ジーンズはほとんどの女性にとって、服装の定番である。しかし、そのジーンズは、弾性の弱い織布デニム生地で製造されており、妊婦にとって十分快適ではなく、したがって、通常は妊婦用服とはみなされない。妊娠中の女性は、妊娠期間中にジーンズを着用し続けることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術に存在する上記の問題を解決するために、本開示は、特別に設計された編み構造を有し、ボトムスの腰部バンドに取り付けられることで、妊娠期間中の女性に異なる機能とサポートを与えることができる腰腹部支持ベルトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、繊維材料で形成された弾性糸を編むことによって構成された、継ぎ目がない円筒形状を呈する腰腹部支持ベルトを提供する。そして、前記腰腹部支持ベルトは、上縁部と、フロントピースと、リアピースと、下縁部との少なくとも4つの部分からなる造形構造に構成される。前記上縁部は、前記腰腹部支持ベルトの頂部に位置し、前記下縁部は、前記腰腹部支持ベルトの最下端に位置し、前記フロントピースは、前記腰腹部支持ベルトの前部に位置し、その上側が前記上縁部に接合しており、前記リアピースは、前記腰腹部支持ベルトの後部に位置する。前記フロントピースと前記リアピースの編み構造は互いに異なっており、前記上縁部または前記下縁部の編み構造とも異なっている。
更に、前記腰腹部支持ベルトは、細長い接続部と、狭幅部と、支持部と、三角形状部とを備える。
前記フロントピースの両側と下側に前記接続部が接合し、前記接続部は、前記フロントピースの両側と下側を取り囲むように位置する。
前記狭幅部は、前記接続部の後方に接合した2つの帯状領域からなり、前記フロントピースと前記リアピースとの間で前記接続部の後方に接合し、前記三角形状部の前方に接合する。
前記支持部は、前記フロントピースと前記下縁部の間に位置し、前記接続部の下部と前記狭幅部の下部とを囲む。
前記三角形状部は、腰部の動きに伴って伸縮し、前記腰腹部支持ベルトの両側の腰部分であって、前記支持部と前記リアピースの間に位置し、その最も広い側腰部に位置し、前記三角形状部の鋭角が後方の腰部中央に向かって先細になることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記腰腹部支持ベルトにおいて、前記上縁部及び前記下縁部はそれぞれリブ(整列繰返し)編み構造であり、前記フロントピースは、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造またはスモールホールデザイン編み構造によって形成される。前記リアピースはミスステッチ整列繰返し編み構造によって形成される。
【0008】
好ましくは、前記腰腹部支持ベルトは、前記接続部のステッチの張力は前記フロントピースの張力よりも大きい
【0009】
好ましくは、前記支持部は、ミスステッチ交互繰返し編み構造に形成され、前記三角形状部は、前記ミスステッチ整列繰返し編み構造に形成される。
【0010】
好ましくは、前記腰腹部支持ベルトは、前記三角形状部の編み構造は、接続部(103)、狭幅部(104)、及び支持部(105)よりも複雑に形成される。

【0011】
好ましくは、前記接続部及び前記狭幅部はそれぞれ、前記ミスステッチ交互繰返し編み構造である。
【0012】
好ましくは、別の態様では、前記腰腹部支持ベルトにおいて、前記上縁部は、5×1前記リブ(整列繰返し)編み構造である。前記フロントピースは、前記メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造である。前記接続部は、3×1前記ミスステッチ交互繰返し編み構造である。前記狭幅部は、3×1(計2コース)前記ミスステッチ交互繰返し編み構造である。前記支持部は、3×1(計3コース)前記ミスステッチ交互繰返し編み構造である。前記三角形状部は、2×2(計9コース)前記ミスステッチ整列繰返し編み構造である。前記リアピースは、1×1(計10コース)前記ミスステッチ整列繰返し編み構造である。前記下縁部は3×1前記リブ(整列繰返し)編み構造である。
【0013】
好ましくは、前記腰腹部支持ベルトに使用される繊維材料は90~96%のナイロンと4~10%のスパンデックスである。より好ましくは、前記腰腹部支持ベルトに使用される繊維材料は、ナイロン92%、スパンデックス8%である。
【0014】
好ましくは、前記腰腹部支持ベルト用の繊維材料は、ビスコースレーヨン、ソフトナイロン、天然繊維または再生繊維を更に含むことができる。
【0016】
更に、本発明は、上記態様のいずれかによる前記腰腹部支持ベルトを備える衣服であって、前記腰腹部支持ベルトの前記下縁部が、ボトムスの腰部バンドに取り付けられ、前記腰腹部支持ベルトと前記ボトムスを一体化する衣服を提供する。
【0017】
好ましくは、前記衣服における取り付け方法は、縫製、紡績、熱融着、ボタン、スナップファスナー、ベルクロ(登録商標)またはスライドファスナーを含む。
【0018】
好ましくは、前記衣服における前記ボトムスは、ズボン、ショーツまたはスカートである。
【0019】
好ましくは、前記衣服における前記ズボンは、ジーンズである。
【発明の効果】
【0020】
本開示による妊婦用腰腹部支持ベルトは、継ぎ目がない円筒形状の造形構造であり、表面及び裏面に凹凸がなく、非常に快適である。また、腰腹部支持ベルトは、膨らんだお腹の形状に合わせて、妊婦の腰と背中をサポートするように異なる部分を異なる編み構造に形成させることにより、骨盤痛を軽減できる。更に、本開示による腰腹部支持ベルトは、様々なボトムスに取り付けられて、妊娠中の女性がファッション性を保ちながら快適になるようにするため、従来の妊婦用ベルトによる問題点を実質的に改善する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(1a)及び(1b)はそれぞれ、本発明に係る造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの正面図及び背面図である。
図2】(2a)、(2b)及び(2c)はそれぞれ、本発明による第1の実施形態に係る腰腹部支持ベルトの正面図、背面図、及び側面図である。
図3】本発明による第1の実施形態に係る腰腹部支持ベルトの中央前部から中央後部までの縦断面図である。
図4】本発明による第2の実施形態に係る腰腹部支持ベルトの各編み構造の正面図である。
図5a】ボトムスに取り付けられた本発明の腰腹部支持ベルトの実施形態を示す斜視図である。
図5b】ボトムスに取り付けられた本発明の腰腹部支持ベルトの実施形態を示す正面図である。
図5c】ボトムスに取り付けられた本発明の腰腹部支持ベルトの実施形態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。同一の符号は同一の部分を示す。
【0023】
図1a及び図1bは、本発明に係る腰腹部支持ベルト100が装着された衣服を着用した妊婦の正面図及び背面図を示している。本発明に係る造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルト100は、妊婦の腰部及び腹部を包んでいる。
【0024】
以下、第1の実施形態について説明する。
【0025】
本発明による第1の実施形態に係る造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの構造、製造方法及び特性について、図2及び図3を組み合わせて詳細に説明する。図2a、2b、及び2cは、本発明による第1の実施形態に係る造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの正面図、背面図、及び側面図である。図3は、本発明による第1の実施形態に係る造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの中央前部から中央後部までの縦断面図であり、異なる部分における編み構造の詳細を示す。ここで、図中左側が後方向であり、右側が前方向である。
【0026】
腰腹部支持ベルト100は、丸編み機によってナイロンとスパンデックスの繊維材料からなる弾性糸を編んで形成される。ナイロンは90~96%、好ましくは92%であり、スパンデックスは4~10%、好ましくは8%である。円形の編みデザインにより、継ぎ目のない腰腹部支持ベルトが形成される。製品全体に継ぎ目がないため、妊娠中の女性に不快感を与えないようにすることができる。
【0027】
本発明による造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトは、異なる部分に異なる編み構造を使用するため、胎児が腹部を動かして腹部を変形させたとしても、弾性構造体により腹部の変形に合わせるように腰腹部支持ベルトの形状を調節可能であって、着用者が不快感を覚えないようにすることができる。しかも、妊婦の背中を支持し、腰部の痛みを軽減できる。
【0028】
腰腹部支持ベルト100は、上縁部101と、フロントピース102と、接続部103と、狭幅部104と、支持部105と、三角形状部106と、リアピース107と、下縁部108とを備えている。これらの部分はそれぞれ異なる編みステッチを有する。支持ベルトは、一体に編まれているので、隣り合って接続されている各部分の境界は明確でなく、継ぎ目が形成されていない。各部分の編み構造及び対応する特性及び機能について、以下で詳細に説明する。
【0029】
腰腹部支持ベルトの上縁部101は、5×1(ミス+ニットステッチ)のコース1と、すべてニットステッチであるコース2とにより、腰腹部支持ベルトの上部が弾性バンドの構造に形成される5×1リブ(整列繰返し)編み構造である。リブ(整列繰返し)編み構造は、#2030ナイロン被覆糸と210D裸スパンデックス糸のストレッチ糸で構成され、良好な弾性回復性及び伸張性が確保でき、快適性、耐久性、フィット感及び強固性が保証できる。この弾性バンド構造は、造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトが腹部上に快適にフィットし、ベルトが滑り落ちるのを防止するのに役立つ。
【0030】
腰腹部支持ベルトのフロントピース102は、支持ベルトの前面に位置し、妊婦のお腹を覆い、1×1(ミス+ニットステッチ)のコース1と、コース1と交互になる1×3(ミス+ニットステッチ)のコース2と、コース1と交互になる1×1(ミス+ニットステッチ)のコース3と、すべてニットステッチであるコース4とによる、メッシュデザインミスステッチ組合せ交互繰返し編み構造であり、腰腹部支持ベルトの前部を形成している。フロントピースの上側は、上縁部101に接合し、腹部を快適に覆う。この複数のステッチの組み合わせは、妊婦への総合的な保護を提供する。メッシュステッチ構造が通気性を提供し、交互(ミス+ニットステッチ)構造が腹部を包んでいるため、夏にはより良い通気性を提供する。このミスステッチの組合せは、他のスモールホールデザイン編み構造に置き換えることもできる。
【0031】
腰腹部支持ベルトの接続部103は、細長い形状であり、頂部を除いて、フロントピース102を取り囲む周縁を形成する。つまり、接続部103は、フロントピース102の両側と下側のみに囲いを形成している。接続部103は、3×1(ミス+ニットステッチ)のコース1と、すべてニットステッチであるコース2とによる、3×1ミスステッチ交互繰返し編み構造である。これは、複雑なステッチ構造の第1のレベルとして、ステッチの張力は小さいが、フロントピース102の張力よりも大きいので、圧力を背面に伝達することができる。
【0032】
腰腹部支持ベルトの狭幅部104は、支持ベルトの両側の接続部103の後方に接合し、三角形状部106の前方に接合している。狭幅部は、3×1(ミス+ニットステッチ)のコース1及び2と、すべてニットステッチであるコース3とによる、3×1(計2コース)ミスステッチ交互繰返し編み構造である。この構造は、3×1ミスステッチ(交互繰返し)編み構造にもう一つ(ミス+ニットステッチ)コースを追加する。これは、複雑なステッチ構造の第2のレベルとして、腰部及び背部へ、より高い圧力を伝達する。
【0033】
腰腹部支持ベルトの支持部105は、3×1(ミス+ニットステッチ)のコース1~3と、すべてニットステッチであるコース4とによる、3×1(計3コース)ミスステッチ交互繰返し編み構造を使用している。この構造は、3×1(計2コース)ミスステッチ交互繰返し編み構造にもう1つ(ミス+ニットステッチ)コースを追加し、複雑なステッチ構造の第3のレベルになる。妊娠中の胎児の成長は、腹部の大きさを変化させるので、支持部105は、その変化に応じて適切な伸張性を有し、上方向への一定の支持力を提供する。
【0034】
腰腹部支持ベルトの三角形状部106は人間工学に準拠した三角形の区域であり、腰腹部支持ベルトの両側の腰部分に位置し、その最も広い底部は側腰部に位置し、その鋭角は後方の腰部中央に向かって先細になる。三角形状部106は、2×2(ミス+ニットステッチ)のコース1~9と、すべてニットステッチであるコース10及び11とによる、2×2(計9コース)ミスステッチ整列繰返し編み構造を使用している。整列繰返しの2×2(計9コース)2針(ミス+ニットステッチ)は、複雑な編み構造について最高レベルの緊密さをもたらす。人間工学に準拠した三角形状部106の三角形領域は、身体の前側からの圧力を身体の後部の中央に向かって伝達する。腰部分に位置されている人間工学に準拠した2つの三角区域は、腰部を動かすために適切に伸縮するとともに、腰部をしっかりと把持することができる。
【0035】
腰腹部支持ベルトのリアピース107は、腰腹部支持ベルトの後側に位置し、腹部を取り囲むように腰部分の後部に接合する最も広い部分である。リアピース107は、1×1(ミス+ニットステッチ)のコース1~9と、すべてニットステッチであるコース10とによる、1×1(計10コース)ミスステッチ整列繰返し編み構造を採用している。ここでの編み目構造は、緊密さが最も高いため、強力な支持力を提供することができ、腰部及び背中の支持及び保護のために重要である。
【0036】
腰腹部支持ベルトの下縁部108は、腰腹部支持ベルトの最下端に位置し、上縁部101と同様に、3×1(ミス+ニットステッチ)のコース1と、すべてニットステッチであるコース2とによる、3×1リブ(整列繰返し)編み構造を採用している。当該下縁部は、腰腹部支持ベルトをジーンズの腰部バンドに連結するために使用され、一方、ジーンズの腰部バンドを腰部にフィットさせることで、滑り止めを可能にする。
【0037】
図3から明らかなように、上縁部101は腰腹部支持ベルトの頂部であり、円筒形状を呈する。着用時に、造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトを正しい位置に保持し、スリップを防止する機能を果たす。下縁部08も円筒形状であり、ボトムスの頂部に接続させることができる。フロントピース102は、腰腹部支持ベルトの前部を形成し、腹部の動きに柔軟に対応し、腹部の通気性を提供する。接続部103からリアピース07までの間が一連の異なる編み構造により、一体に形成されて、背中に圧力を伝え、腰部及び背部を支持して妊婦の骨盤痛を軽減できる。
【0038】
第2の実施形態を以下に説明する。
【0039】
図4は、本発明の第2の実施形態による、造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの各部分における異なる編み構造の正面図である。第2の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様であるが、第1の実施形態と比較して第2の実施形態では接続部と狭幅部を設けない点で相違する、第2の実施形態は、上縁部201と、フロントピース202と、支持部205と、三角形状部206と、リアピース207と、下縁部208とを備える。上縁部201は、腰腹部支持ベルト100の頂部に、下縁部208は腰腹部支持ベルトの最下端にそれぞれ位置する。フロントピース202は腰腹部支持ベルトの前方に位置し、その上側が上縁部201に接合し、下側が支持部205に接合し、両側が三角形状部206に接合している。支持部205は、フロントピース202と三角形状部206の下側と下縁部208の上側との間に位置する。三角形状部206は人間工学に準拠した三角形の区域であり、最も広い底部が側腰部に位置し、その鋭角が後方の腰部中央に向かって先細になるように腰腹部支持ベルトの両側の腰部分に位置している。リアピース207は、腰腹部支持ベルトの後側に配置される。これらの部分の編み構造、特徴、機能は、第1の実施形態における対応部分と同様のため、詳細な説明は省略する。

【0040】
また、図5a、図5b及び図5cは、それぞれ、本発明の造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトがボトムスに取り付けられた斜視図、正面図及び背面図である。第1及び第2の実施形態における造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトは、両方とも確実にボトムスに取り付けることができる。通常、妊娠中の女性のボトムスは、妊娠中の大きなお腹に適応するために、低ウエストのデザインを採用している。更に、本発明の腰腹部支持ベルトの下部の編み構造は、腰腹部支持ベルトとボトムスとの間の滑らかな接続を提供し得る。腰腹部支持ベルト及びボトムスの接続方法には、縫製、紡績、熱融着、ボタン、スナップファスナー、ベルクロ(登録商標)またはスライドファスナーが含まれるが、これらに限定されない。ボトムスには、ズボン、ショーツ、スカートなどがあるが、これらに限定されない。ズボンはジーンズであってもよい。ボトムスは、織物または編み衣服であってもよい。
【0041】
本発明による造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトは、Santoni編み機(www.santoni.comで更に詳細に入手可能)を使用して製造することができ、継ぎ目のない特徴を有するため、伝統的な腹帯による不快感を最小限に抑える。造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトは、異なる部分において、異なる編みステッチが使用されることで、成長している腹部に対する快適性を維持し、且つ、腰部及び後部を支持し、骨盤痛を軽減する事が可能になる。
【0042】
造形された継ぎ目がない円筒形状の編み腰腹部支持ベルトの頂部は、ナイロンで覆われた糸とスパンデックス糸を使用し、5×1ミスステッチ構造で弾性バンドに形成するため、回復弾性及び引き締め性に優れ、快適性を確保し、滑り落ちを防ぐことができる。腰腹部支持ベルトの中央前部は、腹部を覆い、メッシュデザインミスステッチ組合せで編まれる。この部分は、着用者を全面的に保護する。メッシュデザインは、通気性と腹部の柔軟な動きを提供する。中央前方の左右両側における腰部分に近い領域及び中央前方の下部は、張力が弛緩から緊張まで一連の複雑な編み構造が採用されている。上述のような複雑な構造は、4段階で緊密さを増すことで、織物にかかる圧力が背中に伝達される。腰部分に近い領域は、極めて緊張した張力を持って、腰部をしっかりと把持できる、人間工学に準拠した三角形のパターンが形成されている特別な編み構造で構成される。そのようにすることで、腹部の下部を更にサポートすることができる。腹部の下部の中央後部に向かう部分の編み目は、背中の支持及び保護のために重要であり、最も高密度で最も緊密なものである。
【0043】
本発明で使用される繊維材料はナイロン及びスパンデックスを含み、妊婦に快適さ、耐久性、身体へのフィット性及び支持などの特性を与える。スパンデックスはライクラ(Lycra(登録商標))である。編み繊維材料は、ポリエステル繊維または軟質ナイロンのようなポリマー繊維を更に含んでもよい。他の糸は、暖かく乾燥した状態を保つ中空のポリエステル繊維、または冷たく乾燥した状態を保つ溝付きの表面ポリエステル繊維などの特殊な機能及び特徴を有するものを含んでもよい。様々な特性を有する材質が異なる繊維材料から形成された糸は、背部支持(圧縮)や、快適性(柔軟性及び伸張性、温かみまたは清涼感)の目的を果たすこともできる。そのような糸には、吸水速乾効果を提供するために使用することができるCoolmax(登録商標)(Invista(登録商標)から入手可能)のような特別な機能を有するポリマー繊維から形成された糸が含まれる。特別な機能を有するポリマー繊維には、例えば、Thermolite(登録商標)(Invista(登録商標)から入手可能)のような保温性を持ちかつ軽量である糸も含まれる。綿または羊毛のような他の天然繊維、ビスコースレーヨンまたはリヨセルのような再生繊維は、支持及び快適さの要求される特性を維持しながら自然な感触の編み物を作製するために、上記ポリマー繊維と組み合わせて使用することができる。糸自体の弾性率は、異なる程度の弾性を製品に与えるので、妊娠の程度の異なる妊婦のお腹の大きさに適合することができる。
【0044】
上述のように、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明が上記の特定の実施形態に限定されない事を理解されたい。そして、後述する特許請求の範囲に規定される範囲内において、本発明の主旨から逸脱することなく変更及び改良を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
100 腰腹部支持ベルト
101、201 上縁部
102、202 フロントピース
103 接続部
104 狭幅部
105、205 支持部
106、206 三角形状部
107、207 リアピース
108、208 下縁部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c