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特許7164435航空機タービンエンジン用の翼台座及びファンディスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】航空機タービンエンジン用の翼台座及びファンディスク
(51)【国際特許分類】
   F02K 3/06 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
F02K3/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018549497
(86)(22)【出願日】2017-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 FR2017050649
(87)【国際公開番号】W WO2017162975
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-02-27
(31)【優先権主張番号】1652401
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】トマ アラン ドゥ ガイヤール
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ベルナール マリー ボワッソン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0069355(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02814495(FR,A1)
【文献】特開2002-195102(JP,A)
【文献】特表2014-513765(JP,A)
【文献】特開2008-232147(JP,A)
【文献】特開2003-148104(JP,A)
【文献】特開2002-195103(JP,A)
【文献】特開昭55-093905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0337661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0244003(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0107102(US,A1)
【文献】米国特許第06634863(US,B1)
【文献】米国特許第05281096(US,A)
【文献】米国特許第05277548(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02006883(GB,A)
【文献】特開2014-005834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン(2)の隣接する2つの翼(20)の間に介在するのに適した少なくとも1つの台座(30)と、ファンディスク(40)と、を具備するアセンブリにおいて、
前記ファンディスク(40)は、
前記ファンの台座(30)を支持するために、ファン翼(20)を受容するための一連のスロット(42)と、前記一連のスロット(42)の間に介在する一連の歯(44)と、を有する外面(40a)と、
前記ファンディスクの上流面(40b)と、
前記ファンディスク(40)の前記上流面(40b)上において前記ファンディスクの軸線(A)の周りで半径方向に配置されていて且つファン台座保持フランジ(50)に固定されるのに適した、複数の軸方向突起(46)と、を具備しており、
前記複数の軸方向突起(46)が、前記ファンディスク(40)の前記歯(44)に対して前記ファンディスク(40)の内側に向かって半径方向に偏倚しており、
前記ファンディスク(40)の前記歯(44)の上流側軸方向端部が、面取りされた被面取り面(44b)を有し、
前記台座(30)は、
ファン空気流路を画定するための通路壁(34)と、
前記ファンディスク(40)に当接するための主面(36a)を有する底壁(36)と、を具備しており、
前記台座(30)は、前記台座(30)の2つの軸方向端部に配置された、軸方向及び半径方向保持面を有しており、
前記台座(30)の上流側軸方向端部に配置された、前記軸方向及び半径方向保持面(38)は、前記底壁(36)が前記ファンディスク(40)に当接する方向において、前記底壁(36)の前記主面(36a)から半径方向に偏倚しており、
前記底壁(36)は、前記底壁(36)の前記主面(36a)に対して傾斜する傾斜面(36b)であって且つ前記台座の上流側軸方向端部に配置された前記半径方向保持面(38)と連続する状態で、前記底壁(36)の前記主面(36a)に接続する、傾斜面(36b)を有し、
前記台座(30)が前記ファンディスク(40)の歯(44)に当接した時に、前記底壁(36)の前記傾斜面(36b)は、前記ファンディスクの前記歯(44)の前記被面取り面(44b)に接触しており、更に、前記傾斜面(36b)と前記被面取り面(44b)は平行であり、
前記アセンブリは、前記台座(30)の上流側端部を軸方向及び半径方向において保持するための少なくとも1つの上流側保持フランジ(50)を更に具備しており、
前記上流側保持フランジ(50)は、前記ファンディスク(40)の前記上流面(40b)の軸方向突起(46)に固定されるアセンブリ。
【請求項2】
前記上流側保持フランジ(50)は、シュラウドである請求項に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ファンディスク(40)の前記一連のスロット(42)に設置された複数の翼(20)と、請求項に記載のアセンブリとを具備するタービンエンジンファン(2)。
【請求項4】
前記複数の軸方向突起(46)は、前記ファンディスク(40)の前記上流面(40b)において機械加工された、スタッドである、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の軸方向突起(46)は、立方体形状であり、かつ、前記軸線(A)の周りにおいて一定の間隔で周方向に配設されている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の軸方向突起(46)の各々は、その上流面において、ねじ又はボルトを受容するのに適した固定開口部(460b)を有し、前記複数の軸方向突起(46)の各々は、その外面において、タップ穴を有するインサートが挿入される挿入開口部(460a)を有する、請求項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機タービンエンジンの一般的な分野に関し、より詳細には、航空機タービンエンジン用の翼台座の分野及びファンディスクの分野と、前記台座及び前記ディスクを具備するアセンブリ(組立体)と、更に前記アセンブリを含むファンとに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンにおいて、ファンの翼台座は、幾つかの機能を実行する必要がある。空気力学的な観点から、台座の主な機能は、空気流通路を画定することである。台座はまた、出来る限り殆ど変形せず且つ台座を支えるディスクに固定される状態のままで保持されながら、大きな力に耐えることができる必要がある。
【0003】
これらの様々な要求を満たすために、台座が、エンジンが回転している間に空気流路を画定し更に台座を保持するように作用する第1の部分と、遠心力の効果の下で第1の部分の任意の変形を制限して更にエンジンの停止時に台座を所定の位置に保持するように作用する第2の部分と、を保有する、特定の形態が提案されてきた。
【0004】
既存の解決策において、台座は、ドラム(鼓形部)により下流でそしてシュラウド(覆い)により上流で保持される、二次元通路壁を有する箱体の形態であってもよく、その際シュラウドによる上流の保持は、ファンディスクの歯の上で行われる(シュラウドのフランジは、台座の上流側端部を軸方向及び半径方向の両方で塞ぐように作用する)。
【0005】
シュラウドを用いてディスクの歯に亘って実施されるその様な上流側の保持は、大きなハブ比を課すという欠点を有しており、ハブ比は、回転軸線と、台座の表面に対して同一平面上にある翼の前縁の点との間で測定された半径を、回転軸線と前縁の最外点との間で測定された半径により除算した比である。更に、この上流側の保持は、歯の上、及びシュラウドとディスクとの間において接続が形成されるディスクの凹部において、過剰な応力を生じさせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファンの、より一般的にはタービンエンジンの、性能を最適化するために、ファンディスクにおいてファン翼に取り付けられた台座を具備していて且つディスクの歯及び凹部における応力を制限しながら出来る限り小さいハブ比を有する、アセンブリを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、ファンの隣接する2つの翼の間に介在するのに適した台座を提供しており、台座は、ファン空気流路を画定するための通路壁と、ファンディスクに当接するための主面を有する底壁と、を具備しており、更に、台座は、台座の2つの軸方向端部に配置された、軸方向及び半径方向保持面を有しており、台座の上流側軸方向端部に配置された、半径方向保持面は、底壁がディスクに当接する方向において、底壁の主面から半径方向に偏倚することを、台座は特徴とする。
【0008】
用語「軸方向」は、台座の最も長い方向を指定するように使用されており、そして用語「半径方向」は、軸方向及び底壁の主面に対して垂直な方向を意味するように使用される。
【0009】
用語「上流」は、台座がファンディスクに当接する場合に、空気の流れ方向に対する上流を意味するように使用される。
【0010】
台座は、通路壁と底壁とを一緒に組み立てることにより形成された箱体の形態であってもよい。通路壁は、ファン内に入る空気のための流路を画定するように作用する。底壁は、通路壁を所定の位置に保持するとともに、遠心力の影響下で、通路壁の任意の変形を制限するように作用する。底壁はまた、ファンディスクに当接可能な主面を有する。
【0011】
台座の2つの軸方向の端部に配置された軸方向及び半径方向保持面は、台座を保持し、更にディスクが動いている間に台座に当接する、ディスクに対して所定の位置に台座を保持するように作用する。
【0012】
台座の上流側軸方向端部に配置された半径方向保持面は、底壁の主面に対して半径方向に偏倚する。用語「半径方向に偏倚する」は、底壁がディスクに当接する方向において偏倚することを意味するように使用される。半径方向保持面と底壁の主面は、お互いに実質的に平行であってもよい。半径方向保持面のこの偏倚は、既知の台座と比較して、通路壁の、及び従って台座の、上流側軸方向端部の形状を変更するように作用する。例えば、台座は、傾斜する箱体、即ち、底壁の主面に対して半径方向に偏倚したその上流側端部を有する箱体の形態であってもよい。台座の形状に対するこの変更は、台座がファン内に配置される時に空気流路を変更し、そして従ってハブ比を低減して、ファンの及び従って、ファンが取り付けられる、タービンエンジンの、性能を向上させるように作用する。
【0013】
特定の実施の形態において、底壁は、底壁の主面に対して傾斜する傾斜面であって且つ台座の上流側軸方向端部に配置された半径方向保持面に底壁の主面を連続した状態で接続する、傾斜面を有する。
【0014】
台座の上流側軸方向端部に配置された半径方向保持面は、底壁の主面に対して半径方向に偏倚するので、傾斜面は、半径方向保持面と底壁の主面との間の偏倚を補償するように作用する、底壁の区域に対応する。その結果、傾斜面がディスクに当接することが分かる。台座の上流側軸方向端部に配置された半径方向保持面と傾斜面と底壁の主面とは、一体であってもよく、更に底壁を構成してもよい。
【0015】
この傾斜面の存在は、台座の形状を変更して、ハブ比を減少させるように最適化することを可能にして、それによりファン及びタービンエンジンの性能が改善される。
【0016】
特定の実施の形態において、傾斜面は、直線状の壁部分である。
【0017】
その結果、直線状壁部分は、半径方向保持面を底壁の主面に直線状に接続しており、それにより、ハブ比を減少させるように、台座の上流側軸方向端部の形状を変更する。この直線状壁部分は、簡単であって且つ例えば機械加工により製作が容易である、形状であるという利点を有する。
【0018】
特定の実施の形態において、傾斜面は、曲線状壁部分である。
【0019】
その結果、曲線状壁部分は、半径方向保持面を底壁の主面に漸進的に接続して、それにより台座の上流側軸方向端部の形状を変更して、ハブ比を減少させる。この曲線状壁部分は、直線状壁部分とは異なり、傾斜面と主面との間の接合部における任意の不連続が存在することを避けることにより、底壁の主面からの傾斜の変化を平滑化するという利点を有しており、それにより接合部における応力を減少させる。
【0020】
特定の実施の形態において、傾斜面と通路壁は、実質的に平行である。
【0021】
その結果、台座の上流側軸方向端部は、傾斜した形状を有しており、傾斜面及び通路部分は、台座がディスクに当接する方向において同様に半径方向に傾斜する。台座の上流側軸方向端部に関するこの形状は、ハブ比を減少させることを可能にする。
【0022】
本開示はまた、ファンの台座及び翼を支持するのに適したディスクを提供しており、ディスクは、ファン台座を支持するために、ファン翼を受容するための一連のスロット及びスロット間に介在する一連の歯を有する外面と、ディスクの上流面と、ディスクの上流面上においてディスクの軸線の周りで半径方向に配置されていて且つファン台座保持フランジに固定されるのに適した、複数の軸方向突起と、を具備しており、突起が、ディスクの歯に対してディスクの内側に向かって半径方向に偏倚することを、ディスクは特徴とする。
【0023】
用語「上流面」は、ディスクがファン内に配置された時に空気の流れ方向に対する上流を意味するように使用される。
【0024】
用語「軸方向突起」は、ディスクがファン内に配置された時に空気流方向において軸方向である、突起を意味するように使用される。
【0025】
用語「半径方向に偏倚する」は、ディスクの内側に向かって、即ちディスクの回転軸線に向かって偏倚することを意味するように使用される。
【0026】
ディスクは、ディスクが歯を有するのと同様に多数の軸方向突起を有してもよい。
【0027】
各軸方向突起は、軸方向突起がファン台座保持フランジに、例えばねじ又はボルトを使用して固定可能であるように、開口部を具備可能である。
【0028】
軸方向突起がディスクの歯に対してディスクの内側に向かって半径方向に偏倚するので、突起が台座保持フランジに固定される場合に、突起上に位置する固定区域は、従って、ディスクの歯に対して半径方向に偏倚する。このことは、外部要素(例えば、台座保持フランジ)がディスクに固定される場合に、ディスクの歯への応力を制限するという利点を有する。
【0029】
更に、この固定区域はディスクの歯に対して半径方向に偏倚するので、このことは、ディスクの歯の上流側軸方向端部において空間を解放する、例えば、ディスクの歯を機械加工することが可能になる、という利点を有する。
【0030】
特定の実施の形態において、軸方向突起は、ディスクの上流面において機械加工されたスタッド(柱材)である。
【0031】
突起は、立方体の形状であってもよく、各々は、突起の上流面において軸方向に機械加工された固定開口部を有する。固定開口部は、例えばねじ又はボルトを使用して、外部要素、例えば保持フランジ又はシュラウド、をディスクに固定するように作用可能である。軸方向突起はまた、突起の外面において半径方向に機械加工された、それぞれの挿入開口部を具備してもよい。挿入開口部は、外側要素をディスクに固定するために、固定要素が挿入されることを可能にするように作用してもよい。
【0032】
特定の実施の形態において、ディスクの歯の上流側軸方向端部は、面取りされた被面取り面を有する。
【0033】
被面取り面は、ディスクの内側に向かって、ディスクの歯の主面に対して傾斜した、傾斜面の形態であってもよい。被面取り面は、例えば、ディスクの歯の上流側軸方向端部を機械加工することにより製作されてもよい。その様な機械加工は、ディスクの上流面における軸方向突起の半径方向偏倚により利用可能になる、空間により可能になる。この被面取り面の存在によって、ディスクの歯の形状を、歯に当接するべき、台座の形状に適合させることを可能となり、それにより、ファンの性能を向上させるために、ハブ比を減少させるという利点を有する。
【0034】
本開示はまた、ディスクと少なくとも1つの台座とを具備する、アセンブリを提供しており、アセンブリは、台座の上流側端部を軸方向及び半径方向に保持するための少なくとも1つの上流側保持フランジを更に具備しており、上流側保持フランジは、ディスクの上流面の突起に固定される。
【0035】
保持フランジがディスクに固定される場合に、ディスクの軸方向突起上におけるフランジの固定区域に対応する、ディスクとフランジとの間の接点面は、この面がディスクの歯の同じレベルに位置する、既知のシステムとの比較において、ディスクの歯に対してディスクの内側に向かって半径方向に偏倚する。この偏倚は、歯とディスクのスロットとの上流側軸方向端部における応力を制限するように作用する。更に、この接点面の偏倚は、ディスクの各歯の上流側軸方向端部における空間を解放するように作用して、歯を機械加工するための及び従って台座の形状を変更するための、より大きな可能性を提供して、更にそれによりハブ比を減少させる。
【0036】
特定の実施の形態において、台座がディスクの歯を支持する時に、底壁の傾斜面は、ディスクの歯の被面取り面に接触しており、傾斜面と被面取り面は平行である。
【0037】
保持フランジとディスクとの間の接点面が、ディスクの内側に向かって偏倚するので、ディスクの歯は、より自由に機械加工可能である。従って、歯の上流側軸方向端部は、被面取り面が台座の傾斜面に平行である状態において、台座の形状を機械加工するのに適した面取りを有してもよい。これは、ディスクの突起に固定された保持フランジにより、台座がディスクの歯に押し付けられる、コンパクトなアセンブリを形成するという利点を有する。
【0038】
特定の実施の形態において、上流側保持フランジは、シュラウドである。
【0039】
本開示はまた、ディスクのスロットに取り付けられた複数の翼と共に、本開示に記載の実施の形態のいずれかによるアセンブリを具備する、タービンエンジンファンを提供する。
【0040】
本発明及びその利点は、非限定的な例として与えられる、本発明の様々な実施の形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より良好に理解可能である。説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明のタービンエンジンの図式的断面図である。
図2図2は、方向IIに沿って見た図1のファンの図式図である。
図3A図3Aは、本発明の台座の長手方向断面図である。
図3B図3Bは、本発明の台座の長手方向断面図である。
図4図4は、本発明のディスクの斜視図である。
図5図5は、本発明の保持フランジと台座とディスクとを具備する、アセンブリの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示において、用語「長手方向」及びその派生語は、検討中の台座の主方向に対して定義されており、用語「半径方向」、「内側」、「外側」及びそれらの派生語は、タービンエンジンの主軸線に対して定義されており、最後に、用語「上流」及び「下流」は、タービンエンジンを通過する流体の流れ方向に対して定義される。更に及び反対に特定されない限り、様々な図において、同じ参照符号は、同じ特徴を指定する。
【0043】
図1は、軸線Aを中心とする本発明の複流式ターボジェット1の図式的長手方向断面図である。上流から下流へ、ターボジェット1は、ファン2と、低圧圧縮機3と、高圧圧縮機4と、燃焼室5と、高圧タービン6と、低圧タービン7とを具備する。
【0044】
図2は、方向II方向から見た図1のファン2の図式図である。ファン2は、その外周において形成された複数のスロット(長穴)42を有する、ファンディスク40を有する。これらのスロット42は、直線状であり、スロット42は、ディスク40の全体に沿って上流から下流へ軸方向に伸びる。スロット42はまた、ディスク40の軸線Aの周りに規則的に分布する。このようにして、各スロット42は、隣接するスロットと協働して、ディスク40全体に沿って上流から下流へ同様に伸びる、歯44を画定する。同様に、スロット42は、隣接する2つの歯44の間に画定される。
【0045】
ファン2はまた、曲線のある形状の複数の翼20(4つの翼20のみが図2において示される)を有する。各翼20は、ファンディスク40の対応するスロット42に取り付けられた、根部20aを有する。この目的のために、翼20の根部20aは、スロット42の形状に適合するようにクリスマスツリー形状又はダブテール(ありつぎ)形状であってもよい。
【0046】
最後に、ファン2は、ファンディスク40に取り付けられた複数の台座30を有しており、各台座30は、ファン翼20の根部20aの近傍において、隣接する2つのファン翼20の間の隙間に取り付けられて、ファン2内への環状の空気入口通路の内側を画定しており、通路は、ファンケーシングにより外側において画定される。
【0047】
図1及び図2はまた、内側半径RI及び外側半径REを示す。内側半径RIは、回転軸線Aと、台座30の表面と同一平面上にある、翼20の前縁の点との間で測定される半径に対応する。外側半径REは、回転軸線Aと翼20の前縁の最外点との間で測定される半径に対応する。これらの2つの半径RI及びREは、本発明のアセンブリ(組立体)により減少されるべき、ハブ比RI/REを計算するために使用される半径である(特に、内側半径RIを小さくすることにより)。言い換えれば、特に内側半径RIを決定することによりハブ比を減少させることは、空気力学的な空気入口通路を、ファンディスクに対して出来る限り近くに移動することになる。
【0048】
図3A及び3Bは、台座30の長手方向断面図である。本発明の台座30は、通路壁34と、底壁36と、台座30の2つの軸方向端部に配置された半径方向及び軸方向の保持面38及び39と、を具備する。通路壁34及び壁36により形成されたアセンブリは、台座30を構成する箱体32を形成する。底壁は、主面36a及び傾斜面36bにより構成される。傾斜面36bは、台座の上流側軸方向端部に位置する保持面38が主面36aに対して半径方向に偏倚するように、主面36aを保持面38に連続的に接続する。図3Aの例において、傾斜面36bは、直線状壁部分である。図3Bの例において、傾斜面36bは、曲線状壁部分である。
【0049】
図4は、外面40aと上流面40bとを有する、ファンディスクの斜視図である。外面40aは、スロット42間に介在する歯44によりファン翼20の根元20aを受容するのに各々が適していて且つファン台座30を支持するのに適する、一連のスロット42を有する。各歯44は、主歯面44aと、被面取り面44bとを有する。被面取り面44bは、被面取り面44bの形状が台座30の傾斜面36bの形状と同一になるように、例えば、歯44の上流側軸方向端部を機械加工することにより製作される。その結果、図5に示すように、台座30が歯44に当接する場合に、台座の主面36aは、歯の44aに接触しており、そして台座の傾斜面36bは、歯の被面取り面44bに接触する。
【0050】
更に、その上流面40bにおいて、ディスク40は、立方体形状であって且つ軸線Aの周りにおいて一定の間隔で周方向に配設されてもよい、複数の軸方向突起46を有する。軸方向突起46の数は、歯44の数に等しくてもよく、各突起46は、対応する歯44と半径方向に整列する。更に、各軸方向突起46は、対応する歯44に対して、ディスクの内側に向かって、即ち軸線Aに向かって、半径方向に偏倚する。例えば、軸線Aと突起46の外面46aとの間の距離は、軸線Aとスロット42との間の距離よりも短くてもよい。
【0051】
各軸方向突起46は、例えばねじ又はボルト等の固定手段49を受容するのに適した、その上流面46b内の固定開口部460bを有してもよい。各軸方向突46はまた、例えばタップ(雌ねじ切られた)穴を含むインサート等の、固定要素47を受容するのに適した、その外面46a内の挿入開口部460aを具備してもよい。上流側保持フランジ50、例えばシュラウドは、従って、例えば、フランジ内の開口部52及び突起内の固定開口部460bを介して固定手段49を挿入することにより、軸方向突起46に固定可能であり、固定手段49は、その後、突起の挿入開口部460aを介して挿入された固定要素47に、固定、例えばねじ固定される。保持フランジ50がディスク40に固定された状態で、フランジ50の上面54はその際に、台座30に半径方向の保持を提供するように作用する。
【0052】
ディスク40と保持フランジ50との間の固定区域が、軸方向突起46に位置するので、そのことは、ファンが動作している間に、ディスクの歯44の上流側軸方向端部及びスロット42等の傷つき易い表面に作用する応力を制限することを可能にする。更に、既知の構造と比較して、ディスク40と保持フランジ50との間のこの接点面は、ディスクの歯に対して半径方向に偏倚するので、そのことは、ディスクの歯の上流側軸方向端部において空間を減少させることを可能にする。結果的に、歯44の上流側軸方向端部、及び従って台座30の上流側軸方向端部をより自由に変更することが可能であり、それにより、ファン、及び従ってファンが取り付けられるタービンエンジンの性能を最適化するようにハブ比を減少させることが可能である。一例として、図5は、ディスク40の被面取り面44bの及び台座30の傾斜面36bの結果として、箱体32が、ディスク40の内側に向かって傾斜する形状を有する、台座30を示す。
【0053】
本発明は、特定の実施の形態を参照して説明されるがしかし、特許請求の範囲により規定される本発明の一般的な範囲を逸脱することなく、修正及び変更が、特定の実施の形態に実施されてもよいことは明らかである。特に、図示された及び/又は言及された様々な実施の形態の個々の特徴は、別の実施の形態において組み合わせ可能である。従って、説明及び図面は、限定的よりむしろ例示的な意味において考慮されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5