(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】粒子状材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 2/02 20060101AFI20221025BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20221025BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20221025BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221025BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B01J2/02 A
C08J3/12 101
C08J3/12 CEZ
A61K47/34
A61K31/77
A61K9/14
A61P1/10
(21)【出願番号】P 2018565048
(86)(22)【出願日】2017-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2017063529
(87)【国際公開番号】W WO2017215963
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-05-28
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】デュバラ・ミヒャエル
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-524142(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004004968(DE,A1)
【文献】特開平08-165352(JP,A)
【文献】特開平03-139528(JP,A)
【文献】特開昭62-042980(JP,A)
【文献】特表2016-505064(JP,A)
【文献】特表2006-504742(JP,A)
【文献】特表2008-534629(JP,A)
【文献】特表2003-534269(JP,A)
【文献】特表2011-519886(JP,A)
【文献】特開2005-226071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00-2/30
C08J 3/12
C08G 65/00-67/04
A61K 9/14、31/77、47/34
A61P 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物から粒子を製造する方法であって、
a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置に溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
b)向流でガス流を使用することによって、前記噴霧を前記溶融物分散装置において冷却して粉体を得るステップ、
c)前記タワーコーンで得られた前記粉体、および前記タワーヘッドで得られた前記粉体を有するステップb)の前記ガスを、取り出すステップ、
d)前記タワーヘッドで得られた前記粉体を有するステップc)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
e)前記分離器ユニットにおいて前記粉体と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
を含み、ステップb)における前記ガス流のガスが-35~-3℃の間の温度を有し、前記タワーヘッドで取り出された前記ガスが-5~9℃の間の温度を有
し、
前記タワーコーンでの前記粉体が、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B2.1 4~12wt%は90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μmである、
平均粒度分布を有する、
前記方法。
【請求項2】
前記タワーコーンで得られた前記粉体および/または前記タワーヘッドで得られた前記粉体は製品粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融物分散装置は噴霧乾燥機である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
分離器ユニットがサイクロンである、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記溶融物はポリマー溶融物である、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記ガス流は窒素を含有する、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
ステップe)からの前記粉体を前記タワーコーンで得られた前記粉体と混合する、請求項1~
6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記タワーコーンで得られた前記粉体、および/またはステップe)からの粉体と混合された前記タワーコーンで得られた前記粉体は、500~700kg/m
3の範囲のかさ密度を有する、請求項1~
7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
(a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置にポリエチレングリコール溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
(b)向流でガス流を使用することによって、ポリエチレングリコールの前記噴霧を溶融物分散装置において冷却してポリエチレングリコールミクロ粒子を得るステップ、
(c)前記タワーコーンで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子、および前記タワーヘッドで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(b)の前記ガスを、取り出すステップ、
(d)前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(c)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
(e)前記分離器ユニットにおいて前記ポリエチレングリコールミクロ粒子と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
によって得られる、ポリエチレングリコールミクロ粒子であって、ステップb)における前記ガス流のガスが-35~-3℃の間の温度を有し、前記タワーヘッドで取り出された前記ガスが-5~9℃の間の温度を有する、ポリエチレングリコールミクロ粒子の、化粧品および/または医薬品における使用。
【請求項10】
(a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置にポリエチレングリコール溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
(b)向流でガス流を使用することによって、ポリエチレングリコールの前記噴霧を溶融物分散装置において冷却してポリエチレングリコールミクロ粒子を得るステップ、
(c)前記タワーコーンで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子、および前記タワーヘッドで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(b)の前記ガスを、取り出すステップ、
(d)前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(c)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
(e)前記分離器ユニットにおいて前記ポリエチレングリコールミクロ粒子と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
によって得られる、ポリエチレングリコールミクロ粒子であって、ステップb)における前記ガス流のガスが-35~-3℃の間の温度を有し、前記タワーヘッドで取り出された前記ガスが-5~9℃の間の温度を有する、ポリエチレングリコールミクロ粒子の、瀉下薬としての使用。
【請求項11】
(a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置にポリエチレングリコール溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
(b)向流でガス流を使用することによって、ポリエチレングリコールの前記噴霧を溶融物分散装置において冷却してポリエチレングリコールミクロ粒子を得るステップ、
(c)前記タワーコーンで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子、および前記タワーヘッドで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(b)の前記ガスを、取り出すステップ、
(d)前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(c)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
(e)前記分離器ユニットにおいて前記ポリエチレングリコールミクロ粒子と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
によって得られる、ポリエチレングリコールミクロ粒子であって、ステップb)における前記ガス流のガスが-35~-3℃の間の温度を有し、前記タワーヘッドで取り出された前記ガスが-5~9℃の間の温度を有する、ポリエチレングリコールミクロ粒子の、錠剤製造または溶融造粒における助剤としての使用。
【請求項12】
前記ポリエチレングリコールミクロ粒子が、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B2.1 4~12wt%は、90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は、90~200μmの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は、200~400μmの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は、200~400μmの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μmである、
平均粒度分布を有する、
請求項
9~
11のいずれか1つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融体から粒子を製造する方法、ポリエチレングリコールミクロ粒子、ならびに化粧品および/または医薬品においての、瀉下薬(laxative)としてまたは錠剤製造もしくは溶融造粒における助剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬、ヘルスケア、農業、パーソナルケア、殺生物剤および工業用途を含む多くの産業において、粒子特性の選択的カスタマイズによって、生産プロセスおよび活性物質送達について興味深い機会を提供することが可能である。個々の粒子の形態が、密度、残留溶媒含有量および流動性などのバルク粉体特性に直接影響を及ぼすので、粒子の形態はこの探求において中心的な役割を演じる。
【0003】
加えて、粒子の形状と内部構造を改変する技法によって、活性物質の装填、結晶性、放出速度、溶解性および生物学的利用率などの製品特性に多大な影響を与えることが可能である。したがって、粒子形態を設計する能力は、生産プロセスおよび製品属性にとって重大な意味合いを有する。
【0004】
噴霧乾燥は、医薬品、食品、化粧品、肥料、染料および研磨剤を含めた多くの用途向けの粒子の製造において通常に使用されている。噴霧乾燥は、ミクロ粒子を含めて、広範なスペクトルの粒径を作り出すように調整することができる。噴霧乾燥された粒子は、治療薬および診断薬の送達などの、種々の生物医学用途および医薬用途で有用である。
【0005】
噴霧乾燥装置の通常用途は、溶融物を急速冷却(噴霧冷却または噴霧凝固)するための、液体溶液、懸濁液(噴霧乾燥)またはペースト状混合物の短期乾燥である。一般に、湿潤材または溶融物は噴霧タワーに分散され、噴霧タワーから必要な部分だけ取り出されて固体粒子を形成する。
【0006】
噴霧乾燥器の操作は、粒子の特徴に影響を与える。湿潤材を乾燥させることに関して、霧状球体からの溶媒蒸発は3段階を経て進行することが知られている:最初に、小滴表面が溶媒で飽和している場合、蒸発は一定速度で進行し、乾燥の第一段階と呼ばれる。表面上での乾燥固体の形成に起因して、さらなる乾燥を伴いながら、乾燥速度の変化が認められる。この臨界点において、表面は溶媒で自由に飽和しているとはもはやみなされない。小滴からのさらなる溶媒蒸発は、より遅い速度で進行し、固体表面層を通しての拡散または毛管作用を必要とする。この乾燥段階では、できるだけ多くの溶媒を除去し、小滴が膨張することおよび低密度粉体が生成することを回避するために、噴霧乾燥器を注意深く操作することが望ましい。入口温度および出口温度ならびに乾燥ガスの流動様相を制御する必要がある。
【0007】
溶融物の冷却に関して、内部空間を有する容器内において、ノズル装置を内部空間の上部領域に配置することが知られている。熱溶融物はノズル装置によって供給される。融解した材料は、重力によって落下する小滴または細糸の形態でノズル装置から出る。極低温ガスの送り装置が内部空間に配置されており、溶融物のそうした小滴と接触する。小滴は極低温ガスと接触することにより冷却され、その結果、その表面はもはや粘着性ではなくなり、粉体を得ることができる。
【0008】
冷却のために噴霧タワーを操作する場合、循環路内で熱交換器を通してガス流を移動させること、すなわちガスを適切に冷却した後に噴霧タワー内に導通させることが通常である。これは、主に不活性系で行なわれている(例えば、GMF-Gouda社(Waddinxveen、オランダ)の会社パンフレットの「閉ループ系」を参照されたい)。不活性系には窒素が強く推奨されている。
【0009】
従来技術によれば、分離器ユニットが、噴霧タワーとガス流のための熱交換器との間に配置されている。この分離器ユニットは、熱交換器を汚染から保護するのに使用される。ほとんどの場合、これらは、Schubert, H.(編)、Handbuch der mechanischen Verfahrenstechnik、2巻、Wiley VCH、2002、883頁(非特許文献1)にあるもののようなサイクロンである。
【0010】
このように、この技術は長らく知られており、経済的で信頼性のある操作モードであると一般にみなされている。
【0011】
しかし、循環ガス中で噴霧タワーと熱交換器との間でかかる分離ユニットを使用すると、圧力損失が増大する可能性がある。これによって、ガス流量が減少するので、冷却力が低下する。
【0012】
サイクロンを使用する場合、螺旋様の流れは、ガス流内の流れプロフィルにおいて強力かつ持続的な変化を引き起こし、この場合、明確に定めた再現可能な条件が困難であり、またサイクロン内部の変化も全プロセスに直接的な影響を及ぼす。
【0013】
さらに、熱交換器が皮殻で覆われてしまうことから、これを比較的短期間の後に清掃する必要があったので、噴霧乾燥材料を製造するための上記プロセスは、それらの使用寿命において非効率であることがわかった。
【0014】
残念なことに、得られるミクロ粒子は、不規則な形状ならびに空洞を呈する。これにより、かさ密度の低下という結果がもたらされる。
【0015】
DE102004004968A1(特許文献1)には、噴霧タワー内で噴霧乾燥材料を製造する方法が開示されており、この方法では、タワーに送られた溶融物をガスの逆流で冷却し、次いでタワーから放出しながら、一方で、ガス流を取り出し熱交換器に直接移してガスの温度を低下または上昇させる。
【0016】
しかし、全く異なる粒度分布を有する複数の異なるPEG(ポリエチレングリコール)粉体を加工の前または間に一緒に混合することが、しばしば必要である。粒度分布の異なる固体の均一混合は、多大な努力が必要であり、または完全な均一性での均一混合が全くもって不可能であることは頻繁にある。
【0017】
混合されるPEG粉体中において約100マイクロメータ未満の粒径を有する細粒含有量が高すぎる場合には、粉塵爆発の危険があり、電荷を排除することができる包装材料および系またはその都度の加工量を制限するなどの、入念な追加手段が必要とされる。
【0018】
これらの用途向けの市場では、ある特定の粒子形状でテーラーメードの結晶粒度を有する低コストで大量の粉体、およびテーラーメードのかさ密度を有する粉体の需要が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【非特許文献】
【0020】
【文献】Schubert, H.(編)、Handbuch der mechanischen Verfahrenstechnik、2巻、Wiley VCH、2002、883頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を提示しないミクロ粒子の製造方法を提供することである。具体的には、ミクロ粒子は、低コストかつテーラーメードで、好ましくは高いかさ密度および特定の粒度分布をもって、提供されることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本目的は、
a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置(melt distribution device)に溶融物を送り、溶融物から噴霧を発生させるステップ、
b)向流でガス流を使用することによって、噴霧を溶融物分散装置において冷却して粉体を得るステップ、
c)タワーコーンで得られた粉体、およびタワーヘッドで得られた粉体を有するステップb)のガスを、取り出すステップ、
d)タワーヘッドで得られた粉体を有するステップc)のガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
e)分離器ユニットにおいて粉体およびガスを分離し、分離したガスを冷却するステップ、
を含む、溶融物から粒子を製造する方法によって解決される。
【0023】
好ましくは、溶融物分散装置はタワー、タワーコーンおよびタワーヘッドを備える。
【0024】
好ましくは、溶融物はポリマー溶融物である。溶融物は、懸濁液、エマルジョンまたは溶液ではないことが好ましい。さらなるポリマーの存在が、それらとポリマー溶融物の第1のポリマーとの相互作用によって、最終粒子形態に寄与する場合がある。
【0025】
溶融物は、50から200℃までの範囲の温度を有するのが好ましく、特に好ましくは60から180℃までの範囲の温度、とりわけ好ましくは80から150℃までの範囲の温度を有する。
【0026】
特定のポリマーには、限定されるものではないが、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリD-ラクチド)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、イソマルト)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースおよび架橋カルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、ポリアミン(例えば、キトサン)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG8000、PEG20000)、メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、N-ビニルピロリドンのホモおよびコポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン-co-ビニルアセテート)、ビニルラクタムのホモおよびコポリマー、デンプン(例えば、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム)、多糖(例えば、アルギン酸)、ポリグリコール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル(例えば、ポリビニルアセテート)、シェラックが含まれる。
【0027】
ポリマー溶融物用のポリマーとしては、ポリエチレングリコール(略称PEG)が好ましい。一般式H(OCH2CH2)nOHを有するポリエチレングリコールが特に好ましく、式中、nは32超であり、これは数平均分子量(Mn)1500g/molに対応し、粉体形態に変換(粉体状態に転化)するのに十分な固体である。興味深い特性により、これは多くの用途分野で採用されている。室温で固体であり、数平均分子量(Mn)1500g/mol超、好ましくは3000から30000g/molまで、特に好ましくは3350から10000g/molまでを有する粉体形態のPEGの1つの重要な用途分野は、化粧品および/または医薬品においての、瀉下薬としてまたは錠剤製造もしくは溶融造粒における助剤としての使用である。分子量は、DIN53240に準拠して滴定により決定された水酸基価から計算によって決定した。
【0028】
PEGは、方法に応じて非常に異なる機能を請け負うことができる。PEGは、例えば潤滑剤および結合剤として作用することができる。選択された分子量に応じて、融点は非常に低くなり得るので、PEGは圧縮圧力下で溶融し、いわゆる焼結技法または圧縮技法を可能にする。これらの場合には、PEGはまた、成形剤として作用し、錠剤の形状を維持するのに助けともなる。その後の錠剤圧縮を伴う特定の溶融造粒の場合には、PEGはさらに担体物質、可溶化剤または有効成分の吸収促進剤としても働くことができる。多くの場合、上で詳述した様々な機能を同時に満たすことができるためには、非常に様々な粒径を有するPEGが必要である。
【0029】
ポリマーと有機材料とのブレンドも使用することができる。ブレンド中のポリマーの量は、ブレンドの、約1重量%から約95重量%まで、より具体的には約5重量%から90重量%までの範囲とすることができる。
【0030】
粒子はまた、噴霧冷却材料の特性を改変することができるさらなる有機材料を含有してもよい。例えば、ある特定の有機物質を含めることにより、粒子形態/粒径、ならびに有効成分の溶解性、生物学的利用率および放出性を制御することができる。さらなる有機材料を含めることにより、活性物質の再結晶をさらに抑制し、活性物質濃度をさらに最大化し、かつ溶解速度をさらに強化/遅延/阻止することもできる。組み入れることが可能なさらなる有機材料は特に限定されない。本発明の一実施形態では、さらなる有機材料は高分子とすることができる。
【0031】
本方法によって、粒子状材料、粉体、粒状物、ビーズ、噴霧冷却材料、微粒子またはこれらに類似のものということもできる、(ミクロ)粒子(複数可)が製造される。簡潔にするために、本出願では、これらの(ミクロ)粒子は好ましくは粉体を指す。
【0032】
好ましくは、粒子のジオメトリーは球形である。
【0033】
これらの種類の粉体は、例えば、射出成形技法、合金の製造、焼結技法、接着材料、触媒、塗料およびラッカー、または発泡プラスチック製造において使用することができる。
【0034】
本明細書で使用される用語「溶融物分散装置」とは、少なくとも1つの装置壁、少なくとも1つの溶融物給送装置、少なくとも1つの溶融物チャネル、少なくとも1つのタワーコーン、少なくとも1つのタワーヘッド、および1つまたは複数のホールを有する少なくとも1つの分配プレートを備えているのが好ましい。好ましくは、分配プレートはタワーヘッドにある。
好ましくは、溶融物チャンネル、噴霧冷却室または噴霧乾燥室は、タワー、好ましくは噴霧タワーということもできる。
【0035】
好ましくは、溶融物分散装置は、噴霧タワーまたは噴霧乾燥機である。
【0036】
好ましくは、ステップb)におけるガス流のガスは、-35~-3℃の間の温度を有し、タワーヘッドで取り出されたガスは-5~15℃の間の温度を有する。より好ましくは、ステップb)におけるガス流のガスは-35~-3℃の間の温度を有し、タワーヘッドで取り出されたガスは-5から9℃の間の温度を有する。温度は、EN60751に準拠したPT100プラチナ電気抵抗温度センサーによって測定される。
【0037】
粒子形態に対するさらなる影響は、ノズルに近い固化領域での温度プロフィルである。溶融物とガス(ガス出口温度)との間の大きな温度差、小滴サイズ分布、および混合された小滴とガスとの高乱流は、熱伝達が大きいことから急速な固化につながる可能性があり、したがって中空球状粒子または部分中空粒子をもたらす可能性がある。品質への影響は、中空球と全球の間で比較して、かさ密度が低下することである。より低いガス出口温度は、まだ粘着性であり十分に固化していない小滴と噴霧室内にまだ存在している粒子とによる凝集効果をもたらす可能性がある。したがって、噴霧ノズルにおいて生成するある特定の小滴サイズ分布でかさ密度を調整する場合、固化挙動および凝集効果によって、所定の品質(粒度分布、かさ密度)をもたらすある特定の粒子形態が得られる。
【0038】
ステップb)におけるガス流の温度は、溶融物分散装置内のガスの入口温度に対応する。タワーヘッドで取り出されたガスの温度は、溶融物分散装置から外へのガスの出口温度に対応する。
【0039】
好ましくは、タワーコーンで得られた粉体および/またはタワーヘッドで得られた粉体は製品粒子であり、すなわち、これらは溶融物から製造された粒子である。
【0040】
本発明の方法で使用する噴霧乾燥機は、種々の市販の装置のいずれでもよい。具体的な噴霧乾燥装置の例には、Niro,Inc.製の噴霧乾燥機(例えばSB-Micro(登録商標))、Mini Spray Dryer(Buchi Labortechnik AG)、Spray Drying Systems,Inc.(例えばモデル30、48、72)製およびSSP Pvt.Ltd.製の噴霧乾燥機が含まれる。
【0041】
噴霧乾燥方法および噴霧乾燥装置は、全体的に、Perry R. H.、Green D.、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、第6版、McGraw-Hill Book Co.、1984、20~57頁に記載されている。噴霧乾燥方法および装置に関するさらなる詳細については、Marshall W. R.、「Atomization and Spray Drying」、Chem. Eng. Prog. Monogr. Series 2、50、1954によってレビューされている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれ、噴霧冷却にも使用することができる。
【0042】
好ましくは、ガス流(乾燥ガスまたは冷却ガス)の温度および流量ならびに噴霧乾燥機(溶融物分散装置)の設計は、霧状小滴がタワーの壁に到達する時間までに十分に乾燥して本質的に固体であるように、かつ霧状小滴が粉体を形成し壁にくっつかないように、選択される。このレベルの乾燥を達成するための実際の時間の長さは、噴霧の小滴のサイズ、配合、および噴霧乾燥機によって異なる。固化に続いて、(固体)粉体は噴霧乾燥室(タワー)内に5~60秒間留まる場合もある。
【0043】
本発明によるステップa)では、タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置に溶融物を送り、溶融物から噴霧を発生させる。この文脈において、送ると供給するは同時に使用することができる。好ましくは、溶融物は分配プレートに、好ましくは小滴形成ノズルに送られ、後に粉体(粒子)に固化し得る噴霧を形成する小滴に変換される。小滴サイズによって、粉体の後の(粒子)サイズを決定することができる。小滴サイズは、一方では溶融物が小滴形成ノズルを通して押し出される圧力に、他方ではノズルのジオメトリーに左右される。
【0044】
本発明のある特定の態様によるこのような加工された粒子形態のさらなる結果は、粉体のかさ密度が高まることである。粉体密度が高いことは、医薬品、ヘルスケア、パーソナルケア、農業、殺生物剤および工業用化学物質を含めた多くの用途にとって重要な属性である。溶融物がポリマーを含む場合、その崩壊の程度(および、したがって噴霧冷却粉体の特性に及ぼす正味の影響)は、ポリマーの化学構造および分子量などのポリマー因子、ガス(窒素)の流動速度、ならびにノズルを出る小滴のサイズに依存する。
【0045】
溶融物を、60~140℃の間、好ましくは70~120℃の間、特に好ましくは80~110℃の間の温度でタワーに導入することができる。加熱ノズルの温度も同様にこれらの範囲内である。ノズルオリフィスの直径は、0.05~5mm、好ましくは0.1~3mm、特に好ましくは0.5~2mmとすることができる。
【0046】
溶融物がノズル装置を通して押し出される圧力は、粘度に頻繁に左右される。ポリマーの場合、これは、平均鎖長、すなわち固化するPEG(ポリエチレングリコール)の(数)平均分子量、および採用温度に依存する。
典型的に使用し得る圧力は、0.1から100バールまで、好ましくは2から45バールまで、特に好ましくは5から70バールまでである。
【0047】
例えば空気または窒素または二酸化炭素などの極低温ガスなどのあらゆる慣用の冷却剤を使用することによって、小滴を(粉体)粒子に固化することができる。
【0048】
溶融物を噴霧および冷却する慣用の方法によって、例えばEP0945173に記載の方法によって、または振動するノズルオリフィス・プレートを使用して溶融物を小滴化し冷却する慣用の方法によって、溶融物から、好ましくはポリエチレングリコール溶融物から、製造が可能である。
【0049】
本発明によるステップb)では、噴霧への向流でガス流を使用することによって、噴霧を溶融物分散装置において冷却して粉体を得る。好ましくは、噴霧は重力によって落下する。好ましくは、溶融物分散装置は噴霧乾燥機である。好ましくは、噴霧乾燥機はタワー、タワーコーンおよびタワーヘッドを備える。特に好ましくは、タワーコーンおよびタワーヘッドはタワーの両端に配置されている。タワーは管状とすることができる。
【0050】
好ましくは、ステップb)において噴霧を冷却する。言い換えれば、ステップb)において、溶融物から生じた噴霧を噴霧冷却する。用語「噴霧乾燥」および「噴霧冷却」とは、慣用的に使用されるものであり、好ましくは、容器(噴霧乾燥機)中で液体混合物を(小さい)小滴に分裂させるステップ、好ましくはそれに続いて乾燥するステップを含むプロセスを指す。小滴を形成する霧化技法としては、例えば圧力ノズルまたはロータリーアトマイザーが挙げられる。
【0051】
好ましくは、単一物質ノズルは噴霧乾燥機のタワーヘッドにある。好ましくは、溶融物を回転させ、それによって溶融物の円環(hollow cone)がノズルオリフィスで形成される。好ましくは、この円環は溶融物を液滴に崩壊させ、噴霧が形成される。好ましくは、ガス流が、タワーコーンで形成され、この溶融物によって形成された噴霧に向流で流れる。好ましくは、噴霧は冷却されて粉体になる。有利には、粉体が溶融物分散装置の壁、言い換えると、噴霧乾燥機の内壁に付着しない。
【0052】
好ましくは、ガス流は窒素を含有し、好ましくはガス流の全重量を基準として少なくとも5重量%の窒素、より好ましくはガス流の全重量に対して50~99重量%の窒素を含有する。特に好ましくは、ガス流のガスは窒素からなる。
【0053】
好ましくは、ステップb)におけるガス流は-45~30℃の間の温度を有し、より好ましくは-30~-10℃の間の温度を有する。好ましくは、タワーヘッドで取り出されたガスは-5~9℃の間の温度を有し、より好ましくは-3~4℃の間の温度を有する。温度は、EN60751に準拠したPT100プラチナ電気抵抗温度センサーによって測定される。
【0054】
好ましくは、ステップb)におけるガス流は、600から1500m/hまで、より好ましくは763から1273m/hまでの特定のガス流量を有する。
【0055】
本発明によるステップc)では、タワーコーンで得られた粉体、およびタワーヘッドで得られた粉体を有するステップb)のガスを、取り出す。これは、タワーコーンで得られた粉体が取り出され、かつステップb)のガスがタワーヘッドで得られた粉体と一緒に取り出されることを意味する。好ましくは、粉体は回転弁を介してタワーコーンで取り出される。好ましくは、粉体を有するガスは少なくとも1つの出口接続部を介して取り出される。
【0056】
本発明によるステップd)では、粉体を有するステップc)のガスを分離器ユニットに供給する。好ましくは、分離器ユニットはサイクロンである。
【0057】
本発明によるステップe)では、分離器ユニットにおいて粉体とガスとを分離し、分離したガスをその後冷却する。分離したガスを濾過してより小さい粒子を取り出すことができる。好ましくは、フィルターによって精製されたガスには、20mg/m3までしか(微)粒子が含有さていない。好ましくは、フィルターは全自動バグフィルターである。
【0058】
好ましくは、ステップe)からの粉体を、タワーコーンで得られた粉体と混合する。
【0059】
好ましくは、ガスを、フィルターにより精製した後、冷却し大気中に放出してもよく、またはステップa)において再び使用してもよい。
【0060】
好ましくは、本発明の方法は以下のステップを含む:
a)噴霧タワーを備える少なくとも1つの噴霧乾燥機にポリエチレングリコール(PEG)溶融物を送るステップであり、噴霧タワー内の圧力は10から90ミリバールまでの範囲にあり、噴霧タワー内の温度は-30から10℃までの範囲にあり、PEG溶融物は、圧力ノズルでのジェット分裂(jet break-up)によって、10から200バールまでの範囲の圧力で、110から140℃までの範囲の温度で、3.07から6.6kg/(噴霧タワーの容積m3・h)までの範囲の比容積ベースでの固体処理量で、噴霧ノズル内で噴霧に分散される、ステップ、
b)向流で窒素のガス流を使用することによって、PEG噴霧を噴霧乾燥機において冷却して粉体を得るステップであり、10から90ミリバールまでの範囲の圧力と、-30から-2.5℃まで、好ましくは-30から-10℃までの範囲の温度と、ガス分配器のリングを介して763から1273m/hまでの噴霧タワー内の空塔速度とを有する窒素を、噴霧タワーの底部に送る、ステップ、
c)タワーコーンで得られた粉体、および噴霧タワーヘッドでのガス出口を介してタワーヘッドで得られた粉体を有するステップb)の窒素を取り出すステップであり、タワーコーンで得られた粉体を回転弁を介して取り出す、ステップ、
d)ガス中に存在する粒子を分離するために、粉体を有するステップc)の窒素をサイクロンに供給するステップ、
e)サイクロンにおいて粉体と窒素とを分離するステップであり、サイクロンから引き出された窒素を、微粉塵を分離するためのフィルターバグを備える連続式バックフィルターに送り、残留粉塵含有量を20mg/m3未満に低下させ、フィルターバグを操作中に圧力ガスパルスによりパージし、フィルター内の微粉塵をフィルターの下にある粉塵収集パンから取り出し、分離した窒素をガス循環冷却器の冷却循環路中で冷却し噴霧タワーに再循環する、ステップ、ならびに
f)サイクロン中で取り出された粉体は、回転弁を介して取り出された粉体と混合され、メッシュサイズ2mmの篩で篩にかけられて、粗大粒子を分離する。
【0061】
好ましくは、粉体、特にタワーコーンでの粉体は、平均粒度分布を有し、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μm、好ましくは115~125μmであり、
または
B2.1 4~12wt%は90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400から630μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μm、好ましくは215~225μmであり、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400から630μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μm、好ましくは275~285μmである。
【0062】
この粒径および粒度分布は、レーザー回折による技術水準の分析技法により、例えば、Malvern Instruments GmbH製のMastersizer2000または3000などの分析装置により決定することができる。本発明の意味における粒度分布とは、D10-、D50-、およびD-90値により特徴づけられる。D10の定義は、試料の(粒子の)10質量%がより小さな直径を有し、したがって残りの90%はより粗い、その対応直径である。D50およびD90の定義も同様に導出することができる(HORIBA Scientific、A Guidebook to Particle Size Analysis、2014、6ページを参照されたい)。
【0063】
好ましくは、タワーコーンで得られた粉体、および/またはステップe)からの粉体と混合されたタワーコーンで得られた粉体は、500から700kg/m3まで、より好ましくは650から730kg/m3までの範囲のかさ密度を有する。
【0064】
本発明のさらなる一実施形態では、ポリエチレングリコールミクロ粒子が、
(a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置にポリエチレングリコール溶融物を送り、溶融物から噴霧を発生させるステップ、
(b)向流でガス流を使用することによって、ポリエチレングリコールの噴霧を溶融物分散装置において冷却してポリエチレングリコールミクロ粒子を得るステップ、
(c)タワーコーンで得られたポリエチレングリコールミクロ粒子、タワーヘッドで得られたポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(b)のガスを、取り出すステップ、
(d)ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(c)のガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
(e)分離器ユニットにおいてポリエチレングリコールミクロ粒子とガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ、
によって得られる。
【0065】
好ましくは、ステップ(e)からのポリエチレングリコールミクロ粒子をタワーコーンで得られたポリエチレングリコールミクロ粒子と混合する。
ポリエチレングリコールミクロ粒子は、平均粒度分布を有するのが好ましく、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μm、好ましくは115~125μmであり、
または
B2.1 4~12wt%は90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400から630μmまでの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μm、好ましくは215~225μmであり、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90から200μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は200から400μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400から630μmまでの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μm、好ましくは275~285μmである。
【0066】
本発明のさらなる一実施形態は、化粧品および/または医薬品における本発明のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用である。
【0067】
本発明のさらなる一実施形態は、瀉下薬としての本発明のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用である。
【0068】
本発明のさらなる一実施形態は、錠剤製造および/または溶融造粒における助剤としての本発明のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用である。
【0069】
本発明のミクロ粒子は、多種多様な産業で通常に使用されている多数の形態で提示することができる。例示的な提示形態は、粉体、顆粒、多粒子(multiparticulates)である。これらの形態を直接使用してもよいし、さらに加工して錠剤、カプセルまたはピルを製造してもよいし、水または他の液体を添加して再構成し、その結果、ペースト、スラリー、懸濁液または溶液を形成してもよい。種々の添加剤を本発明のミクロ粒子とともに混合、磨砕または造粒して、上の製品形態に適切な材料を形成してもよい。
上に列記の「好ましくは」または「より好ましくは」で始まる全ての実施形態、好ましい実施形態および対象は、これが不可能であることが文脈から明白でない限り、互いに自在に組み合わせることが可能である。
【0070】
用語「含む」とは、より限定的な用語「から本質的になる」および「からなる」を包含する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.溶融物から粒子を製造する方法であって、
a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置に溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
b)向流でガス流を使用することによって、前記噴霧を前記溶融物分散装置において冷却して粉体を得るステップ、
c)前記タワーコーンで得られた前記粉体、および前記タワーヘッドで得られた前記粉体を有するステップb)の前記ガスを、取り出すステップ、
d)前記タワーヘッドで得られた前記粉体を有するステップc)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
e)前記分離器ユニットにおいて前記粉体と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
を含む方法。
2.ステップb)における前記ガス流のガスは-35~-3℃の間の温度を有し、前記タワーヘッドで取り出された前記ガスは-5~15℃の間の温度を有する、上記1に記載の方法。
3.前記タワーコーンで得られた前記粉体および/または前記タワーヘッドで得られた前記粉体は製品粒子である、上記1または上記2に記載の方法。
4.前記溶融物分散装置は噴霧乾燥機である、上記1~3のいずれか一つに記載の方法。
5.分離器ユニットがサイクロンである、上記1~4のいずれか一つに記載の方法。
6.前記溶融物はポリマー溶融物である、上記1~5のいずれか一つに記載の方法。
7.前記ガス流は窒素を含有する、上記1~6のいずれか一つに記載の方法。
8.ステップb)における前記ガス流は-45~30℃の間の温度を有する、上記1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.前記タワーコーンでの前記粉体は、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B2.1 4~12wt%は90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μmである、
平均粒度分布を有する、
上記1~8のいずれか一つに記載の方法。
10.ステップe)からの前記粉体を前記タワーコーンで得られた前記粉体と混合する、上記1~9のいずれか一つに記載の方法。
11.前記タワーコーンで得られた前記粉体、および/またはステップe)からの粉体と混合された前記タワーコーンで得られた前記粉体は、500~700kg/m
3
の範囲のかさ密度を有する、上記1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.(a)タワーコーンおよびタワーヘッドを備える少なくとも1つの溶融物分散装置にポリエチレングリコール溶融物を送り、前記溶融物から噴霧を発生させるステップ、
(b)向流でガス流を使用することによって、ポリエチレングリコールの前記噴霧を溶融物分散装置において冷却してポリエチレングリコールミクロ粒子を得るステップ、
(c)前記タワーコーンで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子、および前記タワーヘッドで得られた前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(b)の前記ガスを、取り出すステップ、
(d)前記ポリエチレングリコールミクロ粒子を有するステップ(c)の前記ガスを分離器ユニットに供給するステップ、ならびに
(e)前記分離器ユニットにおいて前記ポリエチレングリコールミクロ粒子と前記ガスとを分離し、分離したガスを冷却するステップ
によって得られる、ポリエチレングリコールミクロ粒子。
13.前記ポリエチレングリコールミクロ粒子は、
B1.1 18~32wt%は90μm未満の粒径を有し、
B1.2 45~65wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B1.3 13~26wt%は200~400μmの範囲の粒径を有し、
B1.4 平均粒子直径d50は100~140μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B2.1 4~12wt%は、90μm未満の粒径を有し、
B2.2 25~42wt%は、90~200μmの範囲の粒径を有し、
B2.3 40~57wt%は、200~400μmの範囲の粒径を有し、
B2.4 5~17wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B2.5 平均粒子直径d50は200~240μmである、
平均粒度分布を有するか、
または
B3.1 5wt%未満は90μm未満の粒径を有し、
B3.2 12~23wt%は90~200μmの範囲の粒径を有し、
B3.3 40~60wt%は、200~400μmの範囲の粒径を有し、
B3.4 20~0wt%は400~630μmの範囲の粒径を有し、
B3.5 平均粒子直径d50は260~300μmである、
平均粒度分布を有する、
上記12に記載のポリエチレングリコールミクロ粒子。
14.化粧品および/または医薬品における、上記12または13に記載のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用。
15.瀉下薬としての、上記12または13に記載のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用。
16.錠剤製造または溶融造粒における助剤としての、上記12または13に記載のポリエチレングリコールミクロ粒子の使用。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】本発明による方法を概略的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1では、ポリエチレングリコール(PEG)溶融物(1)はラインを介して噴霧乾燥機(3)にタワーヘッドで供給される。さらに、窒素(2)はさらなるラインを介して噴霧乾燥機(3)のタワーコーンに供給される。溶融ポリエチレングリコール(1)は噴霧(4)の形態で噴霧乾燥機(3)のノズル(示されていない)から出る。噴霧(4)は重力によって落下する。ラインを介して供給される窒素(2)は、噴霧(4)に向流で流れる。それによって、粉体(4a)が得られる(図示せず)。ラインを介して、窒素(2)およびポリエチレングリコールの粉体(4a)が取り出され、サイクロン(5)に供給される。サイクロン(5)では、粉体(4a)と窒素(2)とが分離される。粉体(4a)は、混合ユニット(6)へのラインを介してサイクロン(5)を出る。窒素(2)は連続式バックフィルター(7)へのラインを介して取り出される。バックフィルター(7)は、窒素中になお存在する粒子(ポリエチレングリコールの微粉塵)を分離する。精製窒素(2)はその後ラインを介して噴霧乾燥機(3)に供給される。バックフィルター(7)から来るラインは、タワーコーンに窒素(2)を供給するラインに連結している。あるいは、バックフィルター(7)から来るラインは噴霧乾燥機(3)に直接連結していてもよい(示されていない)。噴霧乾燥機(3)のタワーコーンで得られた粉体(4a)は、ラインを介して混合ユニット(6)に供給され、ラインを介して混合ユニット(6)に供給されるサイクロン(5)で得られた粉体(4a)と混合される。
【0074】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明する。
【0075】
1 原料
ポリグリコール3350およびポリグリコール4000。
【0076】
1.1 滴点/粘度
PEG3350溶融物の粘度は120℃で70~75mPasである。滴点は80℃である。
PEG3350 Op 01/11 試料1=120℃で71.76mPas
PEG3350 Op 05/11 試料15=120℃で74.37mPas
PEG3350 Op07/11 試料2=120℃で72.15mPas
【0077】
2 方法の原理
改造型噴霧乾燥機のパイロットプラントFrankfurtにおける噴霧凝固方法で、改造型噴霧乾燥装置を使用する。噴霧タワーは向流モードで操作される。タワーヘッドおよびタワーコーンの改造が意味するところは、タワーがガス流の反転によって操作されることである。したがって、並流噴霧乾燥の代わりに、本方法は向流モードで操作する。
【0078】
上記プラントは、霧化装置として単一物質用の円環圧力ノズルを使用している。タワーヘッドの改造により、窒素ガス流はタワーヘッドでタワーを出る。タワーコーンに改造型ガス入口を取り付けた結果として、タワーコーンで冷却ガスを送ることが可能である。
【0079】
PEG溶融物は、送り容器から高圧ヒートジャケット管を通ってタワーヘッドに向かって汲み上げられ、タワーヘッドで円環圧力ノズルによって噴霧される。圧力ノズルでは、液体溶融物はノズルオリフィスに到達する前に加速されかつ回転する。この回転により、液体は、規定の角度で円環噴霧でノズルを出る。霧化は、ノズルオリフィスを出る溶融物ジェット流の脱凝集によって起こり、噴霧の規定の小滴サイズ分布を形成する。溶融物の霧化のためのエネルギー供給は、主として圧力上昇のエネルギーから生じる。
【0080】
冷却窒素ガスは、2.5バールでN2配管から注入弁によって噴霧タワーに進入する。窒素流を圧力に勝って30ミリバールに減少させ、熱交換器中で冷却する。ガス流は、液滴の粉塵(噴霧)に対して向流モードでタワーコーンの1階でタワーに進入し、手段によって噴霧タワーの底部から上部へ均一に導通する。
【0081】
噴霧タワー内では、霧状の溶融物小滴と冷却ガスとが激しく混合される。噴霧化小滴の巨大な表面および冷ガスのために、熱伝達は非常に高く、その結果、噴霧は、壁に到達しタワー壁に堆積し得る前に、十分な速度で固化する。
【0082】
タワーコーンの下の底部で、(ポリマー粒子の)固化した粗い材料は、回転弁によって放出される。(ポリマー粒子の)微粒子が混じり込んだガスは、タワーヘッドでのガス取出しを介して横方向に次の分離器ユニットへ通り抜ける。
【0083】
噴霧タワーの下流の分離器ユニットはサイクロンからなり、そこで、微粒子は冷却ガスから徹底的に取り出され、手動回転弁を介して放出される。
【0084】
ノズルで形成された液滴サイズ分布、タワー内の粒子特性およびガス速度によって、サイクロンに向かう微粒子の混ざり込みは1%から5%まで変動する。粒子特性に依存するが、サイクロンから放出されるガス流の残留粉塵含有量は、排気中の粉塵含有量に関する許容値よりかなり高い。したがって、冷却ガスはサイクロンからフィルターへと通り抜け、そこで微粒子が分離され、残留粉塵含有量は20mg/m3より低い値に減少する。
【0085】
フィルターは連続式の全自動バグフィルターで、このフィルターホースは操作中に圧力ガスパルスによってパージされる。
【0086】
フィルター内の微粉塵は、フィルターの下にある集塵容器から手動バルブによって取り出される。
【0087】
冷却ガスはファン(換気装置V0673)に進入し、屋根のそばでプラントから出る。生産規模では、ガスは循環ガス冷却器に再循環され、噴霧タワーに再導入されることになる。
【0088】
回転弁によって放出されるタワー生成物(ポリマー粒子)は、サイクロンから放出された(ポリマー粒子の)微粒子と連続的に混合され、過大の生成物を避けるために篩いにかけられて包装される。フィルター上で分離される材料は廃物である。
【0089】
生成物を分離するのに使用する各構成要素は、ガス経路ならびに生成物経路に添加することも、これらから取り除くこともできる。
向流モードでは、溶融物流は、ガス流の方向とは反対にタワーヘッドで注入される。生成物は上昇する冷却ガスと反対方向に落下し、タワーコーンで分離される。
【0090】
2.1 プラントの説明
生産タワーの境界条件は、建物の最大高さのための最大円筒高さ>6m、円筒高さ>4m、およびある特定の直径である。粉体材料の質量流量は50kg/hである。生産性は3kg/hm3以内と計算される。
【0091】
2.2 冷却能力
PEG溶融物を凝固するのに必要な冷却能力(kg溶融物/時)は、入口温度および出口温度ならびに冷却ガスの流量に依存する。
【0092】
3 実験手順
3.1 噴霧溶融物の製造
PEG3350(平均分子量2931~3769g/mol;The Dow Chemical Companyの商標「CARBOWAX(商標)ポリエチレングリコール(PEG)3350」)を、顆粒、小粒または粉体の形態で送給容器に供し、ジャケットによって蒸気で加熱する。
【0093】
噴霧乾燥中、高圧ポンプを介して噴霧タワーのノズルに溶融物を連続的に供給する。ノズルタワーに到る管をジャケット管によって蒸気で加熱する。
【0094】
3.2 噴霧乾燥/噴霧凝固
試運転の過程において、プロセスパラメータと霧化の質を溶融物の粘度と温度に適合させ、また、最低限必要な質量流量と体積流量を調べる。
【0095】
開始時に、ステンレス鋼(W.-Nr.1.4571)製で規定の噴霧角度を有するオリフィス直径0.6mmを有する円環圧力ノズルを使用する。これにより、小滴が乾燥機の壁に到達するまでの小滴の最大限可能な滞留時間で、コーンの可能な限り最高の被覆が達成される。壁の覆いの発生は、決して観察されない。
【0096】
さらなる実験では、ステンレス鋼(W.-Nr.1,4571)製の直径0.4~0.7mmのさらなる圧力ノズルを使用する。
【0097】
冷却ガスの温度レベルおよび温度差によってプラントの定常操作が可能であることに注意すべきである。さらに確実に、限界温度まで十分な隔たりを保ち、溶融プロセスの変化による温度の変動が追加的に可能であるようにする。
【0098】
排ガス中へ粒子が放出されるため、ガス流の速度は0.3m/s以下である。したがって、タワーへのガス入口の最低温度は-30℃である。ガス出口の最高温度は6℃である。窒素冷却ガスは熱交換器を経る閉ループ内を循環する。
【0099】
最高霧化温度は、各製品で80から200℃まで様々である。冷却ガス温度は、製品および達成可能な粒子品質に応じて-30から6℃まで様々である。
【0100】
さらに、入口温度および出口温度、ならびに制御技術を介してのそこへの送りポンプの結合力は変動する。さらに、ノズルの前方の圧力は、溶融物の処理量またはノズルサイズをそれぞれ変えることによって変動する。
【0101】
窒素で不活性化する場合、粉塵爆発能力は無視できる。霧化前の最大の粘度低下での最高溶融温度を決定するために、熱分解をDTAおよびDSC測定によって決定する。
【0102】
4 向流モードでPEG3350仕様を有する粒子を得るための噴霧実験の結果
【0103】
全ての実験において球状のPEG粒子が製造されている。温度プロフィルと手順に依存して、ガス包有物または中空球が観察される。
【0104】
表1は所定の粒度分布を示し、粒子分布の所定のスパンは、かさ密度に大きな影響を与える。
【0105】
理論から、最も密な球充填での単峰形分布の球形粒子は、多孔度0.3を有する。したがって、所定の範囲でかさ密度を調整するには、さらなるパラメータによってこれが達成される。中空球体の粒子、部分的にガス巻込みを有する粒子または完全に密な球体の形態、および表面特性は、様々な粒度分布で粒子のかさ密度に影響を与える。
【0106】
いくつかのパイロット試験で述べられ示されている適切なプロセスパラメータを用いると(表1参照)、適切な温度プロフィルと流れの特徴、粒子の形態および様々な粒径でのかさ密度は、表1に示されている所定の仕様にしたがって調整することができる。
【0107】
【0108】
噴霧タワーの領域における非凝固PEG小滴の堆積は観察されない。噴霧タワーの壁には微粒子が付着する。
【0109】
ノズルのすぐ近くではガス流が強く加速されているため、大量のガスが周辺領域から噴霧コーン内に引き込まれる。これは噴霧ノズルの領域でガスの循環をもたらし、この循環によって、既に凝固した個々のPEG粒子がPEG溶融物の噴霧コーン内に引き込まれる。このプロセスでは、造粒効果(granulation effect)が観察され、これによって、生成している小滴の最大サイズよりもはるかに大きい粒子直径を有する粒子がもたらされる。
【0110】
5 比較例(従来技術)対本発明の例
DE102004004968に開示の方法をパイロットプラントで行った。本出願の表2に見られるように、DE102004004968に開示の方法は96%までの範囲の収率をもたらす。かさ密度は、630から640kg/m3までの範囲である。
【0111】
本出願の表2の1列目および2列目には、DE102004004968の比較例および発明例が例示されている。この文献には収率が一切記載されていないので、本発明者はこのプロセスをパイロットプラントで実施した(表2の第3列および第4列を参照されたい)。第3列は表2の比較例に対応し、第4列は表2の発明例に対応する。
【0112】
ノズルのすぐ近くではガス流が強く加速されているため、大量のガスが周辺領域から噴霧コーン内に引き込まれる。これは噴霧ノズルの領域でガスの循環をもたらし、この循環によって、既に凝固した個々のPEG粒子がPEG溶融物の噴霧コーン内に引き込まれる。このプロセスでは、望まれない造粒効果が観察され、これによって、生成している小滴の最大サイズよりもはるかに大きい粒子直径を有する粒子がもたらされる。出口温度が上昇すると、より高い凝集効果がもたらされ、これは、かさ密度および粒度分布(psd)に悪影響を及ぼす。粒子の凝集が増加すると、かさ密度は低下する。したがって、かさ密度>640kg/m3はもはや達成されない。
【0113】
この粒径および粒度分布は、レーザー回折による技術水準の分析技法により、例えば、Malvern Instruments GmbH製のMastersizer2000または3000などの分析装置により決定することができる。本発明の意味における粒度分布とは、D10-、D50-、およびD-90値により特徴づけられる。D10の定義は、試料の(粒子の)10質量%がより小さな直径を有し、したがって残りの90%はより粗い、その対応直径である。D50およびD90の定義も同様に導出することができる(HORIBA Scientific、A Guidebook to Particle Size Analysis、2014、6ページを参照されたい)
【0114】
出口温度>10℃での試験中の全ての観察によれば、粒度分布(psd)およびかさ密度ならびに収率に強い悪影響が及ぼされた。したがって、出口温度>10℃では、所定の品質および操作性能にいたらないので、さらなる調査は行わなかった。
【0115】
凝集を減少させて所定の粒子形態に調整し、かつ高品質の製品を観察するために、出口温度を全てのパイロット試験において最大10℃に制限した。出口温度を上昇させることで、タワーを出て管およびサイクロンの壁に堆積する、十分に固化していない粒子に起因して、収率はより低くなる。
【0116】
【0117】
表3に、本発明の方法の結果を開示する。DE102004004968についてパイロットプラントで行った方法より収率は高い。さらに、かさ密度はより高い。さらに、d50が230~240μmの範囲にある場合、かさ密度はより高い。
【0118】
【符号の説明】
【0119】
1 溶融物、とりわけポリエチレングリコール溶融物
2 ガス流、とりわけ窒素
3 溶融物分散装置、とりわけ噴霧乾燥機
4 噴霧
4a 粉体
5 分離器ユニット、とりわけサイクロン
6 混合ユニット
7 フィルター、とりわけ連続式バックフィルター