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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】クレーン車のブームヘッド機構
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/66 20060101AFI20221025BHJP
   B66C 23/42 20060101ALI20221025BHJP
   B66C 23/70 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B66C23/66 A
B66C23/42 A
B66C23/70 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019003832
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020111440
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
(72)【発明者】
【氏名】三枝 寿
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-267664(JP,A)
【文献】特開2000-143162(JP,A)
【文献】実開平05-019284(JP,U)
【文献】実開昭59-071280(JP,U)
【文献】実開平07-044521(JP,U)
【文献】特開平10-258990(JP,A)
【文献】特開2002-226176(JP,A)
【文献】特開2014-185014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方と他方の側板の上端部内側に配設され当該両側板に軸支されて成る補巻ガイドシーブ及び補巻トップシーブと、主巻ガイドシーブ及び主巻トップシーブとを備え、前記補巻ガイドシーブ及び補巻トップシーブが主巻ガイドシーブ及び主巻トップシーブの取付け位置よりもブームの長手方向の先端側に配置されて成るクレーン車のブームヘッド機構において、
前記補巻ガイドシーブを前記ブームの幅方向の中心部領域に配設すると共に、前記主巻ガイドシーブを、前記ブームの幅方向の一方の側板に寄せて配設装備し、
前記補巻ガイドシーブと主巻ガイドシーブとの間に、当該主巻ガイドシーブ用のワイヤロープの横移動を可能とした隙間空間を設けたことを特徴とするクレーン車のブームヘッド機構。
【請求項2】
請求項1記載のクレーン車のブームヘッド機構において、
前記隙間空間は、前記補巻ガイドシーブの支軸と主巻ガイドシーブの支軸との間の空間に設定されていることを特徴とするクレーン車のブームヘッド機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクレーン車のブームヘッド機構において、
前記各側板の内側上部に補強リブを設けると共に、前記各側板の外側上部で前記補巻ガイドシーブの支軸領域に、ボス用リブを設けたことを特徴とするクレーン車のブームヘッド機構。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つに記載のクレーン車のブームヘッド機構において、
前記各側板の外側上部で前記補巻ガイドシーブの支軸領域に、ブーメラン形パッチを貼り付けた(装着した)ことを特徴とするクレーン車のブームヘッド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン車のブームの先端部に装備されたブームヘッド機構に係り、特に、作業時には、ブームヘッド部分に連結保持されたジブを振り出して使用する構造の、クレーン車におけるブームヘッド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クレーン車は、例えば図7に示すように、クレーン車本体110上に装備されたブーム100と、このブーム100の先端部から下方に向けて枢着されたアーム状のジブ107と、このアーム状のジブ107を前記ブーム100に対して起伏回動自在に枢着し保持するブームヘッド機構109とを備えている。
【0003】
ブームヘッド機構109は、その主要部が、図7(a)に示すように,上述したジブ107を枢着するためのジブ枢着ピン108と、主巻ワイヤ支持ユニット103と、前記ジブ107の振り出し時の操作に直接的に関連する補巻ワイヤ支持ユニット106とを備えて構成されている。
【0004】
この内、主巻ワイヤ支持ユニット103は、ブーム100の揺動面内(図7(a)の紙面内)においてブーム100を幅方向から挟むようにして当該ブーム100の先端の両側に枢着された主巻ウインチ側ガイドシーブ(以下、「主巻ガイドシーブ」という)101と、主巻ワイヤ用トップシーブ(以下、「主巻トップシーブ」という)102とによって構成され、これらの各シーブ(ワイヤ用滑車)101,102には、クレーン車本体110側に配設された主巻ウインチ(図示せず)により巻取り/巻戻される主巻ワイヤ111が張設されている。
【0005】
また、補巻ワイヤ支持ユニット106は、ブーム100の揺動面内(図7(a)の紙面内)においてブーム100を幅方向から挟むようにして当該ブーム100の先端の両側に枢着された補巻ウインチ側ガイドシーブ(以下、「複巻ガイドシーブ」という)104と補巻ワイヤ用トップシーブ(以下、「複巻トップシーブ」という)105とによって構成され、これらの各シーブ(ワイヤ用滑車)104,105には、クレーン車本体110側に配設された補巻ウインチ(図示せず)により巻取り/巻戻される補巻ワイヤ112が張設されている。
【0006】
この場合、補巻ガイドシーブ104は、主巻ガイドシーブ101と同軸上で且つ図7(a)の紙面厚み方向(紙面に直交する方向)にオフセットされた状態で、ブーム100の先端部に配設され装備されている。
【0007】
そして、上記クレーン車自体の稼働時にあっては、図7(b)乃至図7(d)の手順をもって、まずクレーン車が全体的に操作され、ジブ107に装備されているテッションロッド115が引き出されて、その先端がブームヘッド機構109に枢着され、これによって、ジブ107とブーム100とが一体的に連結されるように構成されている。
【0008】
次に、図8(A)(B)に、他の従来例を示す。
前述した図7に開示した従来例では、主巻ガイドシーブ101と補巻ガイドシーブ104とが同軸上にオフセットされた状態でブーム100の先端部に配設され装備されているのに対し、この図8(A)(B)に示す他の従来例では、主巻ガイドシーブ201と補巻ガイドシーブ204とが、各々異なった支軸により、それぞれ独立して支持されており、これらが、ブームヘッド機構209内にあって相互に連携した状態で、配設装備され、相互に干渉することなく、その個別動作が確保されている。
【0009】
ここで、図8(A)は、上述したブームヘッド機構209にあって、側板501,502の内の他方の側板502を外した場合の概略側面図を示す。また、図8(B)は、他方の側板502を付した状態における図8(A)の概略平面図を示す。
更に、符号202は、前記主巻ガイドシーブ201に対応して装備された主巻トップシーブを示す。また、符号205は、前記補巻ガイドシーブ204に対応して装備された補巻トップシーブを示す。
【0010】
ここで、上記した主巻ガイドシーブ201と主巻トップシーブ202とによって、主巻ワイヤ支持ユニット203が構成され、又、上記複巻ガイドシーブ204と複巻トップシーブ205とによって、複巻ワイヤ支持ユニット206が構成されている。
その他の構成は、前述した図7の従来例と同一となっている。
【0011】
そして、この図8に示す他の従来例では、補巻ワイヤ支持ユニット206には主に単索ワイヤロープが使用され、且つ当該補巻ワイヤ支持ユニット206を構成する補巻ガイドシーブ204及び補巻トップシーブ205は、図8(B)に示すように、ブームヘッド領域の幅中央部に配置されており、これにより、使用時における装置全体のバランスが維持され、安定した稼働状態が保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2003-267664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図8に示す上記他の従来例にあって、主巻ワイヤ支持ユニット203については、実際には複数掛けワイヤロープで使用するため、左右どちらかの側に寄せて配置された構成となっている。
このため、この主巻ガイドシーブ201と前記補巻ガイドシーブ204の各支軸相互間の空間スペースに、図8(B)の符号P,Qに示すように、片寄りが生じる。
【0014】
即ち、主巻ガイドシーブ201,202と補巻ガイドシーブ204,205との支軸相互間にあって、主巻ガイドシーブ201が配置されない側の空間P領域は、ロープソケット付のまま主巻ワイヤロープが通る程の余裕が十分あるのに対し、主巻ガイドシーブ201が配置された側の空間Q領域は、主巻ガイドシーブ201と補巻ガイドシーブ204との間に空間を十分に確保できない状態となっている。
【0015】
このため、ロープソケット付で主巻ワイヤロープをブームヘッド上面より当該主巻ワイヤロープに向けて直接差し込むことも、又主巻ガイドシーブ201の側から横移動して当該主巻ガイドシーブ201に掛け回すことも、いずれも実行できない、という不都合があった。
【0016】
一方、かかる不都合を改善するために、例えば、主巻ガイドシーブ201を一方の側板501に寄せることで、主巻ガイドシーブ201と補巻ガイドシーブ204との間に隙間を確保すると、この隙間を通して主巻ワイヤロープを主巻ガイドシーブ201に掛け回すことが可能となる。
【0017】
しかしながら、主巻ガイドシーブ201を一方の側板501に寄せると、当該主巻ガイドシーブ201から当該一方の側板501に作用する力が大きくなる。このため、主巻ガイドシーブ201側の側板(例えば、上記一方の側板501)の強度が保てなくなるという不都合が生じる。
【0018】
更にこの場合、側板501,502を厚くして強度を増加させれば、上記不都合を改善し得るが、このブームヘッド側板を厚くしての対処方法は、ブーム先端の重量増を招き、クレーン車全体を勘案すると、クレーン車の吊り上げ性能の低下につながる、という不都合が生じる。
【0019】
そこで、本案は、ブームヘッドの重量増を必要最小限に抑制すると共に主巻ガイドシーブと補巻ガイドシーブ相互間の隙間を確保して、主巻ガイドシーブに対する主巻ワイヤロープの掛け回し作業(稼働時の準備作業)の効率化を図り得るクレーン車のブームヘッド機構を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本案は、補巻ガイドシーブを、主巻ガイドシーブの取付け位置よりもブーム長手方向の先端に配置して成るクレーン車のブームヘッド機構において、主巻ガイドシーブをブームヘッド側板に寄せることで、主巻ガイドシーブとブームヘッドの幅中心に配置される補巻ガイドシーブとの間の隙間を確保して、主巻ワイヤロープをその隙間を通して主巻ガイドシーブに掛け回すことを可能とした。
【0021】
また、その際、主巻ガイドシーブ側の側板の強度アップを図るため、補巻ガイドシーブの軸の中心部の周囲に、ブーメラン形の補強用パッチを固着装備する。この場合、当該側板部分には、前記補強用パッチが固着された側板上部には、前記補強用パッチの翼端部に対応して各側板上部の内側に補強リブが設けられている。
これにより、ブームラン形の補強用パッチと側板上部の補強リブとが、ブームヘッド側板の裏表で繋がるように一体化されている。
【0022】
そして、更に、ブーメラン形の補強用パッチの上端部には、補巻ガイドシャフト用ボスに架かるように、外側に突設されたボス用リブが設けられ、これによって、当該側板上部の強度が全体的に強化され、主巻ガイドシーブ側の主巻ガイドシーブシャフトの中心部の側板に働く力を、補巻ガイドシーブシャフトの中心部に受け流すことができ、力の分散を図ることができるようになっている。
【発明の効果】
【0023】
本提案に係るクレーン車のブームヘッド機構は、上述したように構成したので、これによると、補巻ガイドシーブを、主巻ガイドシーブの取付け位置よりもブーム長手方向の先端に配置すると共に、主巻ガイドシーブをブームヘッド側板に寄せることで、主巻ガイドシーブとブームヘッドの幅中心に配置される補巻ガイドシーブとの間の隙間を確保し得ることとなり、これによって、主巻ワイヤロープをその隙間を通して主巻ガイドシーブに掛け回すことを可能となり、これにより、ロープソケットを付したままの状態でも、外部から、主巻ガイドシーブに対する主巻ワイヤロープの掛け回し作業を実行することができ、当該主巻ワイヤロープの掛け回し作業の効率化を図り得るという、従来にない優れたクレーン車のブームヘッド機構を提供することができる。
【0024】
更に、本提案によると、各側板の内側上部に補強リブを設けると共に、前記各側板の外側上部で前記補巻ガイドシーブの支軸領域に、ボス用リブを設けたので、各側板を厚さを厚く設定することなく当該側板の強度を有効に維持することが可能となる。
【0025】
また、前述した各側板の外側上部で前記補巻ガイドシーブの支軸領域に、ブーメラン形パッチを貼り付けるように構成してもよい。
このようにすると、各側板を厚い部材で構成することなく、当該ブームヘッド機構を全体的に強化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本提案にかかるブームヘッド機構の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に開示したブームヘッド機構の本体部を示す図で、図2(A)は本体部を示す斜視図、図2(B)は本体部の上部で補巻ワイヤ支持ユニットを軸支する側板部分の補強部材としてのパッチ部材(ブームメラン形パッチ)を示す平面図である。
図3図1に開示したブームヘッド機構を示す図で、図3(A)は図1の矢視A方向から見た正面図、図3(B)は図3(A)の概略平面図である。
図4図1に開示したブームヘッド機構におけるワイヤロープを掛け渡す際の作業手順を示す説明図で、図4(A)はロープを通す位置を示す説明図、図4(B)はワイヤロープを横移動させて主巻ガイドシーブに掛け渡す(係合させる)場合の状況を示す説明図である。
図5図2に開示したブームヘッド機構におけるワイヤー装着時の全体的な作業手順の一部を示す説明図である。
図6図5に開示したワイヤー装着時の作業手順の続き部分を示す明図である。
図7】従来例におけるクレーン車の全体的な動作を示す説明図である。
図8】他の従来例におけるクレーン車のブームヘッド機構部分を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本案におけるクレーン車のブームヘッド機構の一実施形態を、図1乃至図6に基づいて説明する。
【0028】
(構成、作用)
図1において、符号100はクレーン車用のブームを示し、符号9はブームヘッド機構を示す。このブームヘッド機構9は、前述したブーム100の先端部に装備され、作業用のジブ(前述した図7の一方の従来例における符号107に同じ)を垂下保持する機能を備えている。
【0029】
このブームヘッド機構9は、図1に示すように、対向装備された一方と他方の側板501、502を備えている。この側板501、502は、前述した他の従来例における側板501、502と同一のものが使用されている。
【0030】
この両側板501、502の間には、上下に分かれて配置された主巻ガイドシーブ1と主巻トップシーブ2とにより成る主巻ワイヤ支持ユニット3が、又、同じく上下に分かれた配置された補巻ガイドシーブ4と補巻トップシーブ5とにより成る補巻ワイヤ支持ユニット6が、それぞれ配設装備され、図3に示すように、それぞれが前後に分かれて且つ近接して配置され、当該両側板501、502に軸支されている。
【0031】
この主巻ガイドシーブ1及び主巻トップシーブ2と、補巻ガイドシーブ4及び補巻トップシーブ5とは、例えば、建築現場での作業用資材を係着し移送するロープを保持するためのもので、それぞれが、一組のロープ保持用の滑車としての機能を備えている。
符号8は、主巻トップシーブ2の中心軸に装備されたジブ枢着ピンを示す。
このジブ枢着ピン8は、前述した従来例にて開示したジブ107と同等のジブ(図示せず)を枢着するためのものである。
【0032】
この場合、補巻ワイヤ支持ユニット6は、本実施形態では、主巻ワイヤ支持ユニット3の取付け位置よりも外側(ブーム100の長手方向の先端方向側)に配設されている。
更に、補巻ワイヤ支持ユニット6は、前記ブーム100の幅方向の中心部領域に配設され、前記主巻ワイヤ支持ユニット3の主巻ガイドシーブ1は、前記ブーム100の幅方向の一方の側板501に寄せて装備されている(図3(B)参照)。
【0033】
これにより、主巻トップシーブ2では、資材系着用のロープを主巻トップシーブ2と主フックシーブ(図示せず)との間で掛け回せることになり、重量物の資材巻き上げ作業にも十分に対応し得るようになっている。又、補巻ワイヤ支持ユニット6は、前述した従来例の場合と同様に、一方と他方の側板501、502の中間位置に配設され、これによって装置全体のバランスがとられ、その安定動作が確保されている。
【0034】
上記した一方と他方の側板501、502の上端部の内側には、図2(A),図3(B)に示すように、上記した主巻ガイドシーブ1側から補巻ガイドシーブ4の支軸部分に向けて、補強リブ11,12が固着装備されている。
この補強リブ11,12には、その先端部(補巻ガイドシーブ4側に近い先端部)に、図3(B)に示すようにテーパ部11A,12Aが設けられ、これによって、適度に弾力性が保持され、外部からの衝撃を有効に吸収することができ、側板501,502が実質的に強化された状態となっている。
【0035】
又、この一方と他方の側板501、502の上端部外面には、前述した補巻ワイヤ支持ユニット6領域に、ブームメラン形で且つ翼端部がブームヘッド側板上部の補強リブ11,12のテーパ部11A,12Aに対応してパッチ部材(ブームメラン形パッチ)13,14が、貼り付けられた形態をもって配設装備されている。これによって、側板501と側板502の表裏が、強度的に繋がるように一体化された構造となっている。
【0036】
符号15、16は、補巻ガイドシーブ4用のボスを示す。又、この補巻ガイドシーブ用ボス15、16に上側で当接し保護するようにして、側板501、502の上端部には、ボス用リブ17、18が装備され、これによって、当該箇所の側板501、502がより一層強化された状態となっている。
【0037】
これにより、一方と他方の側板501、502は、その上端部の主巻ガイドシーブ1及び補巻ガイドシーブ4の各支軸部分は、十分にその強度が強化されている。
即ち、このように構成することにより、これら一方と他方の側板501、502の厚さを厚くする事なく(即ち、側板501、502全体を厚くすることなく)、当該側板501、502の上端部が強化され、主巻ガイドシーブ1および補巻ガイドシーブ4の稼働時の振動負荷等に対しても、長期にわたって十分に、対応することができ、かかる点において動作の安定性が確保されている。
【0038】
また、この一方と他方の側板501、502に保持された主巻ガイドシーブ1と補巻ガイドシーブ4との回転面の相互間には、主巻ガイドシーブ1に巻回される資材係止用のワイヤロープを横移動させるに必要な隙間SKが設けられている(図3(B)、図4(B)参照)。
この隙間SKを含む主巻ガイドシーブ1と補巻ガイドシーブ4の,本案における配設状態の一例を、図4(A)(B)に示す。
【0039】
この図4(A)(B)に示すように、一方と他方の側板501、502で囲まれた空間領域Pには、ソケット付のワイヤロープ211を通過させるに必要な上下方向の空間PKが、主巻ガイドシーブ1の反対側に位置する側板502側に形成されている。
この側板502側の空間PKは、上述した主巻ガイドシーブ1が位置する他方の側板501側には、存在しない構造となっている。
【0040】
このため、本実施形態では、ロープソケット付のワイヤロープ211の先端部を、図1に示すように、側板502の内側の空間PK部分に、上方から挿入配置した後、これを図4(B)内の移動矢印Wで示すように、横移動させて前記隙間空間SKを通過させ、側板501側の主巻ガイドシーブ1に架設することが可能となる。
【0041】
更に、本実施形態では、一方と他方の各側板501、502の外側上部で前記補巻ガイドシーブ4,5の支軸領域には、図2図3(B)に示すように、補強部材であるパッチ部材(ブームメラン形パッチ)13,14が一体的に装着されている。
このため、かかる点においても、各側板501,502の厚さを厚くすることなく、当該各側板501,502の強度を大幅に強化することができるという利点がある。
その他の構成は、前述した図8の従来例と同一となっている。
【0042】
(ワイヤロープ取付手順)
次に、上記実施形態において装備されるワイヤロープ211の取付手順を、図5乃至図6に基づいて、具体的に説明する。
クレーン車のブームヘッド機構9には、その上端部に振動その他の理由でワイヤロープが外れるのを防止するロープ止めピン31,32が装備されている。
このため、ワイヤロープ取付に際しは、まず最初に、この主巻ガイドシーブ1側のロープ止めピン31を外す(図5(1)参照)。
【0043】
次に、ロープソケット付のワイヤロープ211を、その先端(下端部)部分をブーム100の上面からブームヘッド機構9の他方の側板502の内側に沿うて差し込む(図5(2)参照)。即ち、図5の(2)の平面図部分の、斜線を付した箇所に、ワイヤロープ211の先端を差し込む。
【0044】
続いて、図6(3)に示すように、先端部のロープソケット部分が差し込まれたままの状態で、ワイヤロープ211を、隙間SK(即ち、主巻ガイドシーブ1と補巻ガイドシーブ4との間)内を、横移動させて通し、主巻ガイドシーブ1に巻き架ける。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本案は、主巻ガイドシーブ1,2へのワイヤロープ211の架設作業を、特に熟練を要すること無く迅速に且つ円滑に実行することができる、という点で、その利用価値は大きいものである。
【符号の説明】
【0046】
1 主巻ガイドシーブ
2 主巻トップシーブ
4 補巻ガイドシーブ
5 補巻トップシーブ
9 ブームヘッド機構
11,12 補強リブ
17,18 ボス用リブ
100 ブーム
211 ワイヤロープ
501,502 側板
SK 隙間空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8