(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】シート供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20221025BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B65H1/14 322A
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2019015205
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】柴田 龍一
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-11150(JP,A)
【文献】特開2015-134685(JP,A)
【文献】特開2010-120721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準色を含めた各色のうち所定色のシートを積載するシート積載台と、
前記シート積載台を昇降させる昇降手段と、
前記シート積載台に積載された最上位のシートを供給対象装置へ供給する搬送手段と、
前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する反射光センサと、
前記昇降手段を制御して前記シート積載台を前記反射光センサの位置まで上昇させ、前記反射光が所定時間変化しなくなった時点での前記反射光センサの検出結果に基づいてシート色を決定し、前記決定したシート色のシートについて前記搬送手段により搬送可能となる前記反射光センサの閾値を決定し、所定高さだけ前記積載台を下降させ、前記決定した前記閾値に基づいて上昇させるように、前記昇降手段を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
基準色を含めた各色のうち所定色のシートを積載するシート積載台と、
前記シート積載台を昇降させる昇降手段と、
前記シート積載台に積載された最上位のシートを供給対象装置へ供給する搬送手段と、
前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの上方に設けられ、前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する第2のセンサと、
前記昇降手段を制御して前記シート積載台を前記第1のセンサの位置まで上昇させ、前記第1のセンサにより検出された反射光が所定時間変化しなくなった時点での前記第1のセンサの検出結果に基づいてシート色を決定し、前記決定したシート色のシートについて前記搬送手段により搬送可能となる前記第2のセンサの閾値を決定し、前記第2のセンサにより検出された反射光が前記決定した前記閾値に到達するまで前記シート積載台を上昇させるように、前記昇降手段を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする
シート供給装置。
【請求項3】
前記昇降手段は第1速度または前記第1速度より遅い第2速度で昇降可能であり、
前記制御部は、
前記第1速度で前記シート積載台を所定位置まで昇降した後に、前記所定位置から前記閾値に対応する位置まで第2速度で前記シート積載台を昇降させ、
前記閾値に減速割合を乗算することにより決定された前記所定位置に対応する減速位置閾値と、前記反射光の検出結果と基づいて前記昇降動作を制御すること、
を特徴とする請求項1または2記載のシート供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載台に積載されたシートを供給するシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、給紙台に積載された最上部の用紙を1枚ずつ画像形成装置に送り出す給紙装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、用紙載置台(給紙台)に収納された用紙束を昇降させる昇降部と、用紙束の上部側面に送風して前記用紙束から用紙を上方に浮上させる送風部と、光学式の用紙検知センサを備えた給紙装置に関する技術が開示されている。
【0004】
この用紙検知センサは、発光部と、受光した光を電気信号に換える受光部で構成され、発光部から発光した光を用紙束に照射し、所定の光量以上の反射光を受光部で受光した場合に用紙有と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の給紙装置では、用紙検知センサが所定の光量以上の反射光を受光部で受光した場合に用紙有と判断するが、用紙色によって反射率が異なるため、必ずしも適切に用紙の有無を判断することができない。
【0007】
用紙の有無を判断できないと、給紙台に積載された最上位の用紙の位置がわからず、シートを適切に供給することができなかった。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、給紙台に積載されたシートの色にかかわらず、シートを適切に供給するシート供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るシート給紙装置の特徴は、
基準色を含めた各色のうち所定色のシートを積載するシート積載台と、
前記シート積載台を昇降させる昇降手段と、
前記シート積載台に積載された最上位のシートを供給対象装置へ供給する搬送手段と、
前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する反射光センサと、
前記昇降手段を制御して前記シート積載台を前記反射光センサの位置まで上昇させ、前記反射光が所定時間変化しなくなった時点での前記反射光センサの検出結果に基づいてシート色を決定し、前記決定したシート色のシートについて前記搬送手段により搬送可能となる前記反射光センサの閾値を決定し、所定高さだけ前記積載台を下降させ、前記決定した前記閾値に基づいて上昇させるように、前記昇降手段を制御する制御部と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るシート供給装置の特徴によれば、シート積載台に積載されたシートの色にかかわらず、シートを適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係る給紙装置(シート供給装置)を搭載したインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1に示すインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置における閾値決定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置における給紙台位置決め処理の処理内容を示したフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置における外部給紙台の昇降と反射光量とを示したタイミングチャートである。
【
図6】本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置が備える記憶手段に記憶された閾値テーブルの一例を示した図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る給紙装置を搭載したインクジェット記録装置の給紙部2Aの拡大側面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置の処理内容を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置における外部給紙台の昇降と反射光量とを示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0013】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る給紙装置(シート供給装置)を搭載したインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。
図2は、
図1に示すインクジェット記録装置の制御ブロック図である。なお、
図1に示すインクジェット記録装置は、インクジェット方式のラインカラープリンタであるものとする。
【0015】
また、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を左右方向とし、紙面表方向を右側とする。また、
図1における紙面の上下を上下方向とし、
図1における紙面の水平方向を前後方向とする。なお、紙面右方向を前方、左方向を後方とする。また、
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路Rである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路Rにおける上流、下流を意味する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、給紙部2と、印刷部3とを備える。
【0017】
給紙部2は、用紙P(請求項中のシートに相当)を印刷部3に給紙する。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ユニット12と、複数の内部給紙台13と、複数対の内部給紙ローラ14と、複数対の内部給紙搬送ローラ15と、レジストローラ16と、昇降部18とを備える。
【0018】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11は、一部がインクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の外部に露出して設置されている。外部給紙台11は、昇降部18の駆動により昇降される。
【0019】
外部給紙ユニット12は、外部給紙台11から用紙Pを1枚ずつ取り出し、搬送経路Rに沿ってレジストローラ16へ向けて搬送する。具体的には、外部給紙ユニット12は、図示しないモータにより回転駆動されるベルト12aの周回方向に沿って用紙Pを前方の搬送経路Rに向けて搬送する。ベルト12aには、空気を吸引するための吸引孔(図示せず)が設けられており、ベルト12aの内側に設けられたファン(図示しない)を駆動することにより、用紙Pは、ベルト12aの吸引孔から吸引する空気によりベルト12aの表面に吸着されて搬送される。
【0020】
この搬送経路Rの外部給紙ユニット12の出口側には、搬送される用紙Pの厚さを検出する用紙センサ17cが設けられている。また、上下方向における外部給紙ユニット12により搬送される最上位のシートの位置近傍には用紙センサ17aが設けられている。なお、用紙センサ17aおよび用紙センサ17cは、光学式のセンサであり光を照射する発光素子と、照射した光の反射光を受光する受光素子とを備え、受光素子による受光した光の光電変換により反射光量を電圧値として出力する。
【0021】
内部給紙台13は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台13は、インクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の内部に配置されている。
【0022】
内部給紙ローラ14は、内部給紙台13から用紙Pを1枚ずつ取り出して搬送経路Rへ送り出す。内部給紙ローラ14は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0023】
内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙台13から取り出された用紙Pをレジストローラ16に向けて搬送する。内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙ローラ14とレジストローラ16との間の搬送経路Rに沿って配置されている。内部給紙搬送ローラ15は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0024】
レジストローラ16は、外部給紙ユニット12または内部給紙搬送ローラ15から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、印刷部3に向けて搬送する。レジストローラ16は、外部給紙ユニット12及び内部給紙搬送ローラ15の下流側に配置されている。レジストローラ16は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0025】
昇降部18は、後述する制御部6からの指示に基づいて、図示しないモータ駆動により外部給紙台11を昇降させる。
【0026】
印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部3は、ベルト搬送部3aと、インクジェットヘッド部3bとを備える。
【0027】
ベルト搬送部3aは、レジストローラ16により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部3aは、レジストローラ16の下流側に配置されている。
【0028】
インクジェットヘッド部3bは、用紙Pの搬送方向と直交する方向(左右方向)に沿って複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aの上方に配置されている。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aにより搬送される用紙Pにインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して画像を印刷する。
【0029】
図2に示すように、制御部6は、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0030】
具体的には、制御部6は、給紙部2により用紙Pを給紙し、給紙された用紙Pを搬送部3により搬送しつつ、インクジェットヘッド51からインクを吐出して用紙Pに印刷するよう制御する。
【0031】
また、制御部6は、その機能上、閾値決定手段61と、昇降制御手段62と、速度決定手段63と、記憶手段69とを有する。
【0032】
記憶手段69は、第1反射光量と第2反射光量とを基準色測定結果として記憶している。第1反射光量とは、基準色(ここでは、白色とする。)の用紙Pが外部給紙台11に積載された状態で、昇降部18により搬送位置まで外部給紙台11を昇降させたときの用紙センサ17aにより検出された反射光の光量のことである。搬送位置とは、外部給紙台11に積載された最上位の用紙Pを外部給紙ユニット12が搬送可能な外部給紙台11の位置である。すなわち、第1反射光量は、用紙Pが基準色の場合に、搬送位置まで外部給紙台11を昇降したときの用紙センサ17aにより検出される反射光量となる。このとき、用紙センサ17aから照射された光の一部が外部給紙台11に積載された基準色の用紙Pの束の側面に反射し、その反射光を用紙センサ17aにより検出することになる。
【0033】
第2反射光量とは、基準色(ここでは、白色とする。)の用紙Pが外部給紙台11に積載された状態で、昇降部18により外部給紙台11を昇降したときに、用紙センサ17aにより検出された反射光の変化が所定以下となる位置まで昇降させたときの光量である。用紙Pが基準色の場合に、搬送位置を超えて外部給紙台11を昇降したときには用紙センサ17aにより検出される反射光量はほとんど変化がなくなることになる。第2反射光量は、そのときの光量であり基準反射光量ともいう。このとき、用紙センサ17aから照射された光のほぼ全てが外部給紙台11に積載された基準色の用紙Pの束の側面に反射し、その反射光を用紙センサ17aにより検出することになる。
【0034】
ただし、用紙色によって用紙束の側面の色も異なるので、用紙束に照射されたときの光の反射率は異なる。そのため、基準色以外の用紙Pが外部給紙台11に積載された場合、用紙センサ17aにより検出される反射光量が第1反射光量になったとしても、外部給紙台11が搬送位置まで昇降されたとは限らない。
【0035】
そこで、閾値決定手段61は、どのような色の用紙Pが外部給紙台11に積載されていたとしても、適切に外部給紙台11が搬送位置まで昇降されたことを検知するための閾値を決定する。
【0036】
例えば、閾値決定手段61は、記憶手段69に記憶された基準色測定結果に基づいて、第2反射光量に対する外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pの用紙センサ17aにより検出された反射光量の割合を算出し、算出した割合と第1反射光量とに基づいて、閾値を決定する。
【0037】
例えば、第1反射光量が2(V)、第2反射光量が3(V)であったとする。そして、外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pが外部給紙台11に積載されている場合に、用紙センサ17aにより検出された反射光の変化が所定以下となる位置まで昇降させたときの用紙センサ17aにより検出された反射光量が、0.25(V)であったとする。
【0038】
このとき、閾値決定手段61は、反射光量を第2反射光量で除算することにより、割合Rを算出する。ここでは、Rは約8.3%(=0.25/3)として算出される。
【0039】
そして、閾値決定手段61は、第1反射光量に割合Rを乗算することにより閾値(第2閾値)を算出する。ここでは、閾値は0.166(V)(=2×0.083)として算出される。
【0040】
また、閾値決定手段61は、決定した閾値(第2閾値)に所定の減速割合を乗算することにより、搬送位置より手前の所定の位置まで昇降部18を昇降させるための反射光の減速位置閾値(第1閾値)を決定する。例えば、減速割合は、75(%)と予め設定されている。閾値が0.166(V)として算出された場合、減速位置閾値は0.1245(V)(=0.166×0.75)として算出される。
【0041】
昇降制御手段62は、用紙センサ17aにより検出された反射光量が閾値決定手段61により決定された閾値となるまで昇降部18に外部給紙台11を昇降させる。
【0042】
速度決定手段63は、用紙センサ17aにより検出された反射光量が減速位置閾値(第1閾値)まで昇降部18により外部給紙台11を昇降させる第1速度を決定し、減速位置閾値(第1閾値)から閾値(第2閾値)まで昇降部18により外部給紙台11を昇降させる第1速度より遅い第2速度を決定する。
【0043】
本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置1は、閾値決定処理と給紙台位置決め処理とを行う。そのため、各々の処理について以下に詳細に説明する。
【0044】
≪閾値決定処理≫
図3は、本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置1における閾値決定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【0045】
図3に示すように、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の上昇を開始させる(ステップS101)。
【0046】
そして、用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS103)、閾値決定手段61は、用紙センサ17aにより反射光量に基づいて、単位時間当たりの反射光量(電圧値)の変動幅が、所定の変動上限α未満となった状態がβ秒間継続したか否かを判定する(ステップS105)。ここで、変動上限αは、反射光量に変化がほぼなくなったか否かを判定するための上限である。β秒は、反射光量に変化がほぼなくなった状態が継続したか否かを判定する下限である。
【0047】
単位時間当たりの反射光量(電圧値)の変動幅が、所定の変動上限α未満となった状態がβ秒間継続したと判定された場合(ステップS105;YES)、反射光量に変化がない状態が継続している。すなわち、用紙センサ17aから照射された光のほぼ全てが外部給紙台11に積載された用紙Pの束の側面に反射し、その反射光を用紙センサ17aにより検出するまでに外部給紙台11が上昇されたと推測できる。
【0048】
そこで、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の上昇を停止させ(ステップS107)、閾値決定手段61が、記憶手段69に記憶された基準色測定結果に基づいて、減速位置閾値(第1閾値)と閾値(第2閾値)とを決定する(ステップS109)。
【0049】
減速位置閾値(第1閾値)と閾値(第2閾値)とが決定されると、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の下降を開始させる(ステップS111)。
【0050】
そして、用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS113)、用紙センサ17aにより検出された反射光量が閾値(第2閾値)の半分以下となった場合(ステップS115;YES)、外部給紙台11が十分に下降したと推測できる。
【0051】
そこで、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の下降を停止させる(ステップS117)。
【0052】
≪給紙台位置決め処理≫
図4は、本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置1における給紙台位置決め処理の処理内容を示したフローチャートである。
【0053】
まず、昇降制御手段62は、速度決定手段63により決定された第1速度で、昇降部18に外部給紙台11の上昇を開始させる(ステップS201)。
【0054】
そして、用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS203)、昇降制御手段62は、用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となったか否かを判定する(ステップS205)。
【0055】
用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となった場合(ステップS205;YES)、昇降制御手段62は、速度決定手段63により決定された第2速度で、昇降部18により外部給紙台11を上昇させる(ステップS207)。第2速度は第1速度より遅いので、外部給紙台11は微速上昇する。そのため、外部給紙台11をより正確に搬送位置で停止させることができる。
【0056】
そして、用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS209)、昇降制御手段62は、用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となったか否かを判定する(ステップS211)。
【0057】
用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となった場合(ステップS211;YES)、外部給紙台11が搬送位置まで上昇したと推測できるので、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の上昇を停止させる(ステップS213)。
【0058】
図5は、本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置1における外部給紙台11の昇降と反射光量とを示したタイミングチャートである。
【0059】
図5に示すように、t1時点に、昇降部18による外部給紙台11の上昇が開始される。
【0060】
t1時点からt2時点まで、用紙センサ17aが検出する反射光量は一定の変動率で上昇している。これは、外部給紙台11の上昇に伴い、用紙センサ17aから照射された光のうち外部給紙台11に積載された用紙Pの束の側面に反射して受光素子で受光する反射光量が増加していると推測できる。
【0061】
そして、t2時点からt3時点までの間(β秒の間)、用紙センサ17aが検出する反射光量はほぼ一定の値となっている。これは、用紙センサ17aから照射された光のほぼ全てが外部給紙台11に積載された用紙Pの束の側面に反射し、その反射光を用紙センサ17aにより検出するまで外部給紙台11が上昇されたと推測できる。
【0062】
そこで、t3時点において、昇降部18は外部給紙台11の上昇を停止し、t4時点まで外部給紙台11を下降させる。
【0063】
その後、昇降部18は、第1速度で外部給紙台11を再度上昇させる。t5時点に用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となると、昇降部18は、外部給紙台11を上昇させる速度を第1速度から第2速度へ切り替え、第2速度で外部給紙台11を微速上昇させる。
【0064】
t6時点に用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となると、昇降部18は、外部給紙台11が搬送位置まで上昇したと推測できるので、外部給紙台11の上昇を停止する。
【0065】
以上のように、本発明の実施例1に係るインクジェット記録装置1によれば、外部給紙台11に積載された用紙Pに適切な閾値(第2閾値)を決定することができるので、外部給紙台11に積載された用紙Pの色に関わらず、搬送位置まで外部給紙台11を上昇させることができる。これにより、用紙Pを適切に供給することができる。
【0066】
特に外部給紙ユニット12は、ベルト12aの吸引孔から吸引する空気によりベルト12aの表面に吸着されて(エア吸引されて)搬送されるので、エアにより吸引された用紙にバタつきが生じた場合であっても、正確に適切な搬送位置まで外部給紙台11を上昇させることができる。
【0067】
なお、本発明の実施例1では、閾値決定手段61が、記憶手段69に記憶された基準色測定結果に基づいて、第2反射光量に対する外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pの用紙センサ17aにより検出された反射光量の割合を算出し、算出した割合と第1反射光量とに基づいて閾値を決定したが、閾値の算出方法はこれに限らない。
【0068】
例えば、記憶手段69に、閾値テーブルを記憶しておき、この閾値テーブルを用いて減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを決定するようにしてもよい。閾値テーブルを用いることにより、都度、減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)を算出する必要がないので、演算負荷を低減させてより素早く減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを決定することができる。
【0069】
図6は、記憶手段69に記憶された閾値テーブルの一例を示した図である。
【0070】
図6に示すように、記憶手段69には、用紙種類(用紙の色)ごとに、第2反射光量に対する光量の割合である対基準色割合(%)と、減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを関連付けて閾値テーブルとして記憶されている。
【0071】
そして、閾値決定手段61が、第2反射光量に対する外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pの用紙センサ17aにより検出された反射光量の割合を算出し、記憶手段69に記憶された閾値テーブルに基づいて、算出した割合に最も近い対基準色割合(%)に対応する用紙色を外部給紙台11に積載された用紙Pの用紙色として決定する。そして、決定した用紙色に対応する減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを抽出する。
【0072】
これにより、外部給紙台11に積載された用紙Pに適切な減速位置閾値(第1閾値)および閾値(第2閾値)を決定することができる。そのため、減速した状態で外部給紙台11を搬送位置まで昇降させることができるので、より適切に位置出しすることができる。
【0073】
<実施例2>
本発明の実施例1では、用紙センサ17aを設け、閾値決定手段61が、用紙センサ17aにより検出された反射光量に基づいて閾値を決定し、昇降制御手段62が、用紙センサ17aにより検出された反射光量に基づいて昇降部18に外部給紙台11を搬送位置まで昇降させたが、閾値決定用の用紙センサと、搬送位置の位置出し用の用紙センサとをそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0074】
本発明の実施例2では、用紙センサを2つ設けたインクジェット記録装置1Aを例に挙げて説明する。
【0075】
図7は、本発明の実施例2に係る給紙装置を搭載したインクジェット記録装置1Aの給紙部2Aの拡大側面図である。インクジェット記録装置1Aの印刷部3については、
図1に示した説明図と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、インクジェット記録装置1Aの給紙部2Aは、搬送位置の位置出し用の上部用紙センサ17aと、閾値決定用の下部用紙センサ17bとを備えている。
【0077】
上部用紙センサ17aは、
図1に示した用紙センサ17aと同一であり、上下方向における外部給紙ユニット12により搬送される最上位のシートの位置近傍に設けられている。
【0078】
下部用紙センサ17bは、上部用紙センサ17aの下方に設けられている。
【0079】
上部用紙センサ17aおよび下部用紙センサ17bは、光学式のセンサであり光を照射する発光素子と、照射した光の反射光を受光する受光素子とを備え、受光素子による受光した光の光電変換により反射光量を電圧値として出力する。
【0080】
図8は、本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置1の処理内容を示したフローチャートである。
【0081】
図8に示すように、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の上昇を開始させる(ステップS301)。
【0082】
そして、下部用紙センサ17bにより反射光の検出を行い(ステップS303)、閾値決定手段61は、下部用紙センサ17bにより反射光量に基づいて、単位時間当たりの反射光量(電圧値)の変動幅が、所定の変動上限α未満となった状態がβ秒間継続したか否かを判定する(ステップS305)。
【0083】
単位時間当たりの反射光量(電圧値)の変動幅が、所定の変動上限α未満となった状態がβ秒間継続したと判定された場合(ステップS305;YES)、閾値決定手段61が、記憶手段69に記憶された基準色測定結果に基づいて、減速位置閾値(第1閾値)と閾値(第2閾値)とを決定する(ステップS307)。
【0084】
そして、上部用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS309)、昇降制御手段62は、上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となったか否かを判定する(ステップS311)。
【0085】
上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となった場合(ステップS311;YES)、昇降制御手段62は、速度決定手段63により決定された第2速度で、昇降部18により外部給紙台11を微速上昇させる(ステップS313)。
【0086】
そして、上部用紙センサ17aにより反射光の検出を行い(ステップS315)、昇降制御手段62は、上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となったか否かを判定する(ステップS317)。
【0087】
上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となった場合(ステップS317;YES)、外部給紙台11が搬送位置まで上昇したと推測できるので、昇降制御手段62は、昇降部18に外部給紙台11の上昇を停止させる(ステップS319)。
【0088】
図9は、本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置1Aにおける外部給紙台11の昇降と反射光量とを示したタイミングチャートである。
【0089】
図9に示すように、t11時点に、昇降部18による外部給紙台11の上昇が開始される。
【0090】
t11時点からt12時点まで、下部用紙センサ17bが検出する反射光量は一定の変動率で上昇している。
【0091】
そして、t12時点からt13時点までの間(β秒の間)、下部用紙センサ17bが検出する反射光量はほぼ一定の値となっている。
【0092】
一方、上部用紙センサ17aは、t13時点から受光した反射光量が増加している。これは、上部用紙センサ17aから照射された光が、上昇してきた外部給紙台11に積載された用紙Pの束の側面に反射し始めたことを示している。
【0093】
そして、t14時点に上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第1閾値以上となると、昇降部18は、外部給紙台11を上昇させる速度を第1速度から第2速度へ切り替え、第2速度で外部給紙台11を微速上昇させる。
【0094】
t15時点に上部用紙センサ17aにより検出された反射光量が第2閾値以上となると、昇降部18は、外部給紙台11が搬送位置まで上昇したと推測できるので、外部給紙台11の上昇を停止する。
【0095】
以上のように、本発明の実施例2に係るインクジェット記録装置1によれば、搬送位置の位置出し用の上部用紙センサ17aと、閾値決定用の下部用紙センサ17bと設けているので、昇降部18は、外部給紙台11を下降させることなく上昇させるだけで、減速位置閾値(第1閾値)と閾値(第2閾値)とを決定し、搬送位置まで外部給紙台11を上昇させることができる。
【0096】
また、本発明の実施例2においても、閾値決定手段61が、記憶手段69に記憶された基準色測定結果に基づいて、第2反射光量に対する外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pの用紙センサ17aにより検出された反射光量の割合を算出し、算出した割合と第1反射光量とに基づいて閾値を決定したが、閾値の算出方法はこれに限らない。
【0097】
本発明の実施例1と同様に、記憶手段69に、閾値テーブルを記憶しておき、この閾値テーブルを用いて減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを決定するようにしてもよい。
【0098】
具体的には、閾値決定手段61が、第2反射光量に対する外部給紙ユニット12の搬送対象である用紙Pの下部用紙センサ17bにより検出された反射光量の割合を算出し、記憶手段69に記憶された閾値テーブルに基づいて、算出した割合に最も近い対基準色割合(%)に対応する用紙色を外部給紙台11に積載された用紙Pの用紙色として決定する。そして、決定した用紙色に対応する減速位置閾値(第1閾値)と、閾値(第2閾値)とを抽出する。
【0099】
なお、本実施形態では、給紙装置がインクジェット記録装置1,1Aの一部(外部給紙台11)である場合について説明したが、本発明は、インクジェット記録装置1,1Aに接続して使用される外付けの給紙装置にも適用可能である。
【0100】
また、本実施形態では、インクジェット記録装置1,1Aの外部給紙台11に本発明を適用して、用紙Pを印刷部3に供給する給紙装置を構成した場合について説明したが、本発明は、紙以外の薄いシートを供給対象に1枚ずつ供給する装置に広く適用可能である。
【0101】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0102】
(付記1)
基準色を含めた各色のうち所定色のシートを積載するシート積載台と、
前記シート積載台を昇降させる昇降手段と、
前記シート積載台に積載された最上位のシートを供給対象装置へ供給する搬送手段と、
前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する反射光センサと、
前記昇降手段を制御して前記シート積載台を前記反射光センサの位置まで上昇させ、前記反射光が所定時間変化しなくなった時点での前記反射光センサの検出結果に基づいてシート色を決定し、前記決定したシート色のシートについて前記搬送手段により搬送可能となる前記反射光センサの閾値を決定し、所定高さだけ前記積載台を下降させ、前記決定した前記閾値に基づいて上昇させるように、前記昇降手段を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするシート供給装置。
【0103】
これにより、シート積載台に積載されたシートに適切な閾値を決定することができるので、シート積載台に積載されたシートのシート色に関わらず、搬送位置までシート積載台を上昇させることができる。これにより、シートを適切に供給することができる。
【0104】
(付記2)
基準色を含めた各色のうち所定色のシートを積載するシート積載台と、
前記シート積載台を昇降させる昇降手段と、
前記シート積載台に積載された最上位のシートを供給対象装置へ供給する搬送手段と、
前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの上方に設けられ、前記シート積載台に積載されたシートの側面へ光を照射したときの反射光を検出する第2のセンサと、
前記昇降手段を制御して前記シート積載台を前記第1のセンサの位置まで上昇させ、前記第1のセンサにより検出された反射光が所定時間変化しなくなった時点での前記第1のセンサの検出結果に基づいてシート色を決定し、前記決定したシート色のシートについて前記搬送手段により搬送可能となる前記第2のセンサの閾値を決定し、前記第2のセンサにより検出された反射光が前記決定した前記閾値に到達するまで前記シート積載台を上昇させるように、前記昇降手段を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする
シート供給装置。
【0105】
これにより、昇降手段は、シート積載台を下降させることなく上昇させるだけで、シート積載台に積載されたシートに適切な閾値を決定することができると共に、搬送位置までシート積載台を上昇させることができる。
【0106】
(付記3)
前記昇降手段は第1速度または前記第1速度より遅い第2速度で昇降可能であり、
前記制御部は、
前記第1速度で前記シート積載台を所定位置まで昇降した後に、前記所定位置から前記閾値に対応する位置まで第2速度で前記シート積載台を昇降させ、
前記閾値に減速割合を乗算することにより決定された前記所定位置に対応する減速位置閾値と、前記反射光の検出結果と基づいて前記昇降動作を制御すること、
を特徴とする付記1または付記2記載のシート供給装置。
【0107】
これにより、シート積載台に積載されたシートに適切な減速位置閾値および閾値を決定することができる。そのため、減速した状態でシート積載台を搬送位置まで昇降させることができるので、より適切に位置出しすることができる。
【符号の説明】
【0108】
1,1A インクジェット記録装置
2,2A 給紙部
3 搬送部
3 印刷部
3a ベルト搬送部
3b インクジェットヘッド部
6 制御部
11 外部給紙台(シート積載台)
12 外部給紙ユニット(搬送手段)
12a ベルト
13 内部給紙台
14 内部給紙ローラ
15 内部給紙搬送ローラ
16 レジストローラ
17a 用紙センサ,上部用紙センサ(反射光センサ:第2のセンサ)
17b 下部用紙センサ(反射光センサ:第1のセンサ)
17c 用紙センサ
18 昇降部
61 閾値決定手段
62 昇降制御手段
63 速度決定手段
69 記憶手段