(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221025BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B41J2/175 121
B41J2/18
B41J2/175 301
(21)【出願番号】P 2019015625
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】矢森 雄大
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 寛
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-018267(JP,A)
【文献】特開2012-035564(JP,A)
【文献】特開2016-190354(JP,A)
【文献】特開2014-094536(JP,A)
【文献】特開2011-110828(JP,A)
【文献】特開2016-033503(JP,A)
【文献】特開2013-248782(JP,A)
【文献】特開2007-261051(JP,A)
【文献】特開2005-125738(JP,A)
【文献】特開2010-105239(JP,A)
【文献】特開2013-111967(JP,A)
【文献】特開2001-304943(JP,A)
【文献】特開2006-110764(JP,A)
【文献】特開2011-037091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0244064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部の底面に形成された溝部と、
前記溝部に開口し、前記液体収容部から液体を排出させる排出口と、
前記溝部内の液面高さが下限高さ未満であるか否かを検出する検出部とを備え、
前記検出部は、液面高さの
検出誤差を有し、前記検出
誤差の範囲の上限位置が、前記溝部の上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部の底面に形成された溝部と、
前記溝部に開口し、前記液体収容部から液体を排出させる排出口と、
前記溝部内の液面高さが下限高さ未満であるか否かを検出する検出部と、
前記溝部に開口し、前記液体収容部内のインクを外部の経路を介して循環させるために前記液体収容部から前記経路へ液体を流出させる流出口と、
前記経路から前記液体収容部に液体を流入させる流入口と
を備え、
前記検出部は、液面高さの検出範囲の上限位置が、前記溝部の上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されており、
前記液体収容部の底面は、前記流入口から前記流出口への液体の流れ方向における前記溝部の上流側に隣接して形成された突起部を有することを特徴とす
る容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が収容される容器内の液面高さを、センサを用いて検出することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、液体の排出時に容器内の液面高さが下限高さまで下降したことがセンサで検出されたか否かにより、容器内の液体の有無を判定することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センサの検出誤差により、液面高さが下限高さまで下降したことが検出され、容器内に液体なしと判定されても、実際には液面高さが下限高さである場合よりも多くの液体が容器内に残留していることがある。このため、容器内に残留して無駄になる液体が多くなることがあった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、無駄になる液体を低減できる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の容器は、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部の底面に形成された溝部と、前記溝部に開口し、前記液体収容部から液体を排出させる排出口と、前記溝部内の液面高さが下限高さ未満であるか否かを検出する検出部とを備え、前記検出部は、液面高さの検出範囲の上限位置が、前記溝部の上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の容器によれば、無駄になる液体を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るタンクが設けられた印刷装置の概略構成図である。
【
図5】
図2のA-A線に沿った部分拡大断面図である。
【
図7】撹拌動作時におけるタンク内のインクの流れの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0011】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係るタンク(容器に相当)が設けられた印刷装置の概略構成図である。
図2は、タンクの斜視図である。
図3は、タンクの分解斜視図である。
図4は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
図5は、
図2のA-A線に沿った部分拡大断面図である。
図6は、タンク本体の平面図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。ここで、
図1に示す上下方向は鉛直方向である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、印刷部2と、インク供給部3と、制御部4とを備える。
【0014】
印刷部2は、インクジェットヘッド(図示せず)を有し、インクジェットヘッドから用紙にインクを吐出して画像を印刷する。
【0015】
インク供給部3は、インクを撹拌するとともに、印刷部2にインクを供給する。インク供給部3は、インクカートリッジ11と、撹拌部12とを備える。
【0016】
ここで、印刷装置1で印刷に使用されるインクは顔料インクであり、放置されると顔料粒子の沈降が生じるおそれがあるものである。例えば、印刷装置1で印刷に使用されるインクは、磁性体である金属粒子を含むMICR(Magnetic Ink Character Reader)インクである。インクの顔料粒子の沈降は、インクジェットヘッドにおける吐出不良や、吐出されるインクの濃度のバラツキ等の不具合を招く。インクカートリッジ11でインクの顔料粒子が沈降している可能性があるため、印刷装置1では、撹拌部12においてインクの撹拌を行い、顔料粒子が沈降している場合にはそれが解消されるようにする。
【0017】
撹拌部12は、インクカートリッジ11からインクを取得し、取得したインクを撹拌する。また、撹拌部12は、撹拌したインクを印刷部2に供給する。撹拌部12は、タンク21と、大気開放管22と、エアフィルタ23と、インク移送管24と、インク流出管25と、インク移送弁26と、撹拌弁27と、ポンプ28と、インク供給管29と、インク供給弁30とを備える。
【0018】
タンク21は、インクカートリッジ11から取得したインクを撹拌するために収容する。タンク21の詳細は後述する。
【0019】
大気開放管22は、タンク21を大気開放するための空気の流路を形成する。大気開放管22は、一端がタンク21に接続され、他端がエアフィルタ23を介して大気に通じている。エアフィルタ23は、大気開放管22への空気中のゴミ等の進入を防止する。
【0020】
インク移送管24は、インクカートリッジ11とタンク21とを接続する。インク移送管24は、インクカートリッジ11からタンク21へインクを移送する経路である移送経路Rtを構成する。
【0021】
インク流出管25は、タンク21とインク移送管24とを接続する。
【0022】
インク流出管25と、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりタンク21側の部分とにより、撹拌経路Rsが構成される。撹拌経路Rsは、タンク21内のインクを循環させて撹拌するための、タンク21の外部の経路である。
【0023】
インク移送弁26は、インク移送管24内のインクの流路を開閉する。インク移送弁26は、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりインクカートリッジ11側の部分に配置されている。
【0024】
撹拌弁27は、インク流出管25内のインクの流路を開閉する。
【0025】
インク移送弁26および撹拌弁27は、移送経路Rtおよび撹拌経路Rsのうち、開通する経路の切り替えを行う。具体的には、インク移送弁26が開放され、撹拌弁27が閉鎖されることにより、移送経路Rtが開通され、撹拌経路Rsが閉鎖された状態となる。また、インク移送弁26が閉鎖され、撹拌弁27が開放されることにより、撹拌経路Rsが開通され、移送経路Rtが閉鎖された状態となる。
【0026】
ポンプ28は、撹拌経路Rsを介してインクをタンク21から流出させてタンク21に戻すように送液することで、タンク21内のインクを撹拌する。また、ポンプ28は、インクカートリッジ11からタンク21へインクを移送するためにも使用される。ポンプ28は、移送経路Rtと撹拌経路Rsとの共通部分に配置されている。具体的には、ポンプ28は、インク移送管24のインク流出管25が接続された地点よりタンク21側の部分に配置されている。
【0027】
インク供給管29は、タンク21と印刷部2とを接続する。
【0028】
インク供給弁30は、インク供給管29内のインクの流路を開閉する。インク供給弁30が開放されると、タンク21から印刷部2へインクが供給される。
【0029】
制御部4は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部4は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0030】
次に、タンク21の詳細について説明する。
【0031】
タンク21は、タンク本体41と、蓋42と、センサ43とを備える。
【0032】
タンク本体41は、インクカートリッジ11から移送されてくるインクを収容する。タンク本体41は、略直方体形状に形成されている。
【0033】
タンク本体41は、インク収容部51(液体収容部に相当)を有する。インク収容部51は、インク(液体に相当)を収容する部分である。インク収容部51は、タンク本体41の上面41aから掘り下げて形成されており、周壁51aと、底面51bとを有する。
【0034】
インク収容部51の周壁51aは、平面視にて、左右方向に細長い略長円形状に形成されている。すなわち、周壁51aは、インク収容部51の左端部および右端部において湾曲した部分を有している。これにより、後述の流入口53a側(右側)から後述の流出口59a側(左側)へインクが流れやすくなり、インクの撹拌効率が向上する。
【0035】
インク収容部51の底面51bは、左下がりに傾斜している。すなわち、底面51bは、流入口53a側(右側)から流出口59a側(左側)へ向かって低くなるように傾斜している。これにより、流入口53a側から流出口59a側へインクが流れやすくなり、インクの撹拌効率が向上する。
【0036】
底面51bの左端部には、前後方向に細長い溝部51cが形成されている。溝部51cは、インク収容部51内のインクの残量が少なくなった状況において最後までインクが残る部分である。溝部51cは、底面51bを掘り下げて形成されている。溝部51cには、流出口59aおよび後述の供給口60aが開口している。
【0037】
底面51bには、流入口53aから流出口59aへのインクの流れ方向における溝部51cの上流側(右側)に隣接して、上方に突起した突起部51dが形成されている。突起部51dは、左側ほど高くなる傾斜面51eを有する。突起部51dは、傾斜面51eによりインクの流れを左斜め上方向に誘導するものである。
【0038】
底面51bには、突起部51dを左右方向に貫通する貫通穴51fが形成されている。貫通穴51fは、突起部51dの右側から溝部51cへインクを流すための流路を構成する。貫通穴51fは、突起部51dとその右側の部分との境界部の窪みにインクが溜まらないようにするためのものである。
【0039】
タンク本体41の右側部には、インク流入ポート52が設けられている。インク流入ポート52は、インク移送管24をタンク本体41に接続するためのものである。インク流入ポート52には、インク流入穴53が形成されている。
【0040】
インク流入穴53は、一端がインク流入ポート52に開口しており、他端がインク収容部51に開口している。これにより、インク流入穴53は、インク収容部51に連通されており、インク移送管24からインク流入穴53を介してインク収容部51にインクが流入するようになっている。インク流入穴53のインク収容部51における開口部が、インク収容部51へインクを流入させる流入口53aになっている。流入口53aは、インク収容部51の右端部に底面51bを掘り下げて形成された窪み部分に開口している。
【0041】
タンク本体41の左側部には、インク流出ポート56と、インク供給ポート57と、大気開放ポート58とが設けられている。
【0042】
インク流出ポート56は、インク流出管25をタンク本体41に接続するためのものである。インク流出ポート56には、インク流出穴59が形成されている。
【0043】
インク流出穴59は、一端がインク流出ポート56に開口しており、他端がインク収容部51に開口している。これにより、インク流出穴59は、インク収容部51に連通されており、インク収容部51からインク流出穴59を介してインク流出管25へインクが流出するようになっている。インク流出穴59のインク収容部51における開口部が、インク収容部51からインク流出管25へインクを流出させる流出口59aになっている。流出口59aは、前後方向におけるインク収容部51の中央より後側において、溝部51cに開口している。
【0044】
インク供給ポート57は、インク供給管29をタンク本体41に接続するためのものである。インク供給ポート57には、インク供給穴60が形成されている。
【0045】
インク供給穴60は、一端がインク供給ポート57に開口しており、他端がインク収容部51に開口している。これにより、インク供給穴60は、インク収容部51に連通されており、インク収容部51からインク供給穴60を介してインク供給管29へインクが流出するようになっている。インク供給穴60のインク収容部51における開口部が、インク供給管29を介して印刷部2へインクを供給するためにインク収容部51からインクを排出する供給口(排出口に相当)60aになっている。供給口60aは、前後方向におけるインク収容部51の中央より前側において、溝部51cに開口している。
【0046】
大気開放ポート58は、大気開放管22をタンク本体41に接続するためのものである。大気開放ポート58には、大気連通穴61が形成されている。大気連通穴61は、蓋42で覆われたタンク本体41の内部空間(インク収容部51)を大気に連通し、タンク21を大気開放するためのものである。大気連通穴61は、一端が大気開放ポート58に開口しており、他端がタンク本体41の上面41aに開口している。
【0047】
タンク本体41には、シール溝66が形成されている。シール溝66は、インク収容部51を囲むように形成されている。シール溝66は、シール部材67を設置するための溝である。シール部材67は、インク収容部51内のインクがタンク21から漏れるのを防ぐ部材である。
【0048】
蓋42は、タンク本体41の上側を覆うものである。蓋42は、タンク本体41の上面41aに載置される。
【0049】
センサ43は、溝部51c内の液面高さが所定の下限高さ未満であるか否かを検出する。センサ43は、インク収容部51内のインクがなくなったか否かを判定するために用いられるものである。センサ43は、溝部51c内の液面高さが下限高さ以上の場合、「オン」を示す信号を出力し、溝部51c内の液面高さが下限高さ未満の場合、「オフ」を示す信号を出力する。
【0050】
ここで、センサ43は、液面高さの検出誤差を有する。
図5に示すように、センサ43は、検出中心位置を中心とする検出誤差の範囲の上限位置が、溝部51cの上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されている。すなわち、センサ43の検出誤差の範囲の下限位置から上限位置までの範囲である検出範囲の上限位置が、溝部51cの上端位置よりも低い位置に配置されている。ここで、溝部51cの上端位置は、貫通穴51fの左側の開口部の下端位置である。
【0051】
次に、印刷装置1の動作について説明する。
【0052】
印刷を行う際、制御部4は、印刷部2のインクジェットヘッドから用紙にインクを吐出させる。これによりインクが消費され、印刷部2へのインクの供給が必要になると、制御部4は、インク供給弁30を開放する。インク供給弁30が開放されると、インク収容部51内のインクが供給口60aから排出され、インク供給管29を介して印刷部2に供給される。必要な量のインクが供給されると、制御部4は、インク供給弁30を閉鎖する。
【0053】
印刷部2へのインクの供給により、インク収容部51内のインクが減少し、インクの液面が下降する。そして、センサ43がオフになると、制御部4は、インク収容部51内のインクがなくなったと判定し、インク供給弁30を閉鎖する。ここで、前述のように、センサ43は、検出誤差の範囲の上限位置が、溝部51cの上端位置よりも低い位置となるように配置されている。このため、検出誤差があっても、センサ43がオフとなるのは、液面高さが溝部51cの上端位置よりも低い位置まで下降してからである。
【0054】
センサ43がオフになってインクがなくなったと判定すると、制御部4は、インクカートリッジ11からタンク21へのインクの移送を実行する。
【0055】
具体的には、制御部4は、インク移送弁26を開放し、撹拌弁27を閉鎖した状態とする。これにより、移送経路Rtが開通され、撹拌経路Rsが閉鎖された状態となる。ここで、印刷装置1には新しいインクカートリッジ11が装着されている。
【0056】
次いで、制御部4は、ポンプ28の駆動を開始させる。これにより、移送経路Rtを介してインクカートリッジ11からタンク21へインクが移送される。
【0057】
インクカートリッジ11内のすべてのインクがタンク21へ移送されると、制御部4は、インク移送弁26を閉鎖し、撹拌弁27を開放する。これにより、撹拌経路Rsが開通され、移送経路Rtが閉鎖された状態に切り替わる。そして、撹拌経路Rsに沿ってインクが循環され、タンク21内のインクが撹拌される。
【0058】
タンク21内のインクの撹拌が開始されてから規定時間が経過すると、制御部4は、ポンプ28を停止させ、撹拌弁27を閉鎖する。これにより、撹拌部12によるインクの撹拌動作が終了となる。なお、インクカートリッジ11からタンク21への移送中および撹拌動作中も、印刷部2に貯留されているインクにより印刷は継続可能である。
【0059】
撹拌部12における撹拌動作は、上述したインクカートリッジ11からタンク21への移送直後以外にも、タンク21内のインクの顔料粒子の沈降を防止するために、例えば、所定時間ごとに定期的に行われる。
【0060】
上述した撹拌動作時において、流入口53aからインク収容部51に流入したインクは、インク収容部51内を左に向かって流れ、流出口59aから流出する。この際、
図7に示すように、突起部51dに到達したインクは、傾斜面51eにより、左斜め上方向へ流れるように誘導される。これにより、インク収容部51の左側(流出口59a側)部分の上部の、インクが滞留しやすい領域にインクが流れ、滞留が軽減される。
【0061】
ここで、インク収容部51の左側部分における、流出口59aからインクが吸引されることによるインクの流れは、インク収容部51の下部では強いが、上部では弱い。このため、インク収容部51の左側部分の上部の領域において、インクの滞留が生じやすい。
【0062】
以上説明したように、印刷装置1では、センサ43は、検出範囲の上限位置が、溝部51cの上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されている。これにより、検出誤差があっても、液面が溝部51cの上端位置よりも高い位置にある状態でセンサ43がオフとなることが回避される。
【0063】
ここで、本実施の形態とは異なり、センサ43の検出範囲の上限位置が溝部51cの上端位置よりも高い位置にある場合、液面が溝部51cの上端位置よりも高い位置にある状態でセンサ43がオフになることがある。この場合、溝部51cの外部までインクが残っている状態でインクなしと判定される。
【0064】
インク収容部51内のインクがなくなったと判定された場合、前述のように、新たなインクカートリッジ11からタンク21へインクが補充される。ただし、そのまま印刷装置1の使用を終了する場合、インクカートリッジ11からタンク21へインクの補充は行われない。この場合、タンク21内の残留インクは使用されず、無駄になる。このため、インクなしと判定された際の残留インクは少ないほど望ましい。
【0065】
これに対し、本実施の形態では、検出誤差があっても、液面高さが溝部51cの上端位置よりも低い位置まで下降してからセンサ43がオフになる。このため、溝部51cの外部までインクが残っている状態でインクなしと判定されることが回避される。この結果、残留インクを少なく抑えることができ、無駄になるインクを低減できる。
【0066】
また、タンク21では、底面51bに、溝部51cの上流側に隣接して上方に突起した突起部51dが形成されている。これにより、撹拌動作時において、流入口53aから流出口59aへ流れるインクが突起部51dにより左斜め上方向へ流れるように誘導される。これにより、インクの滞留を軽減し、撹拌効率を向上できる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では、インク収容部51からインクを排出する供給口60aと、撹拌動作時にインク収容部51からインクを流出させる流出口59aとを個別に設けたが、これらを1つの開口部で兼用する構成であってもよい。
【0068】
また、センサ43において、液面を検出するための信号を通信する部材が設けられ、この部材の上端位置が溝部51cの上端位置より下にあってもよい。
【0069】
また、突起部51dを省略してもよい。また、貫通穴51fを省略してもよい。
【0070】
また、上述した実施の形態では、インクを撹拌するためのタンクについて説明したが、インクカートリッジ等の他の容器にも本発明は適用可能である。
【0071】
また、上述した実施の形態では、顔料粒子の沈降が生じるインクを撹拌する場合について説明したが、撹拌対象のインクは、成分の沈降が生じるものに限らず、例えば、成分の分離が生じるものであってもよい。
【0072】
また、インク以外の液体を収容する容器にも本発明は適用可能である。
【0073】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0074】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0075】
(付記1)
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部の底面に形成された溝部と、
前記溝部に開口し、前記液体収容部から液体を排出させる排出口と、
前記溝部内の液面高さが下限高さ未満であるか否かを検出する検出部とを備え、
前記検出部は、液面高さの検出範囲の上限位置が、前記溝部の上端位置よりも低い位置に配置されるように設置されていることを特徴とする容器。
【0076】
(付記2)
前記溝部に開口し、前記液体収容部内のインクを外部の経路を介して循環させるために前記液体収容部から前記経路へ液体を流出させる流出口と、
前記経路から前記液体収容部に液体を流入させる流入口とをさらに備え、
前記液体収容部の底面は、前記流入口から前記流出口への液体の流れ方向における前記溝部の上流側に隣接して形成された突起部を有することを特徴とする付記1に記載の容器。
【符号の説明】
【0077】
1 印刷装置
2 印刷部
3 インク供給部
4 制御部
11 インクカートリッジ
12 撹拌部
21 タンク
22 大気開放管
23 エアフィルタ
24 インク移送管
25 インク流出管
26 インク移送弁
27 撹拌弁
28 ポンプ
29 インク供給管
30 インク供給弁
41 タンク本体
42 蓋
43 センサ
51 インク収容部
51a 周壁
51b 底面
51c 溝部
51d 突起部
53 インク流入穴
53a 流入口
59 インク流出穴
59a 流出口
60 インク供給穴
60a 供給口