IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジクラの特許一覧

特許7164460光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法
<>
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図1
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図2
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図3
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図4
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図5
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図6
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図7
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図8
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図9
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図10
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図11
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図12
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図13
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図14
  • 特許-光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/24 20060101AFI20221025BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
G02B6/24
G02B6/26
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019024818
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020134593
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】及川 靖
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190714(JP,A)
【文献】特開2017-219627(JP,A)
【文献】特開2017-219626(JP,A)
【文献】特開2017-191261(JP,A)
【文献】特開2017-223897(JP,A)
【文献】特表2013-540288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0049983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02-6/036
G02B 6/04-6/08、6/10
G02B 6/24-6/255
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを含む複数の入力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が接続される出力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバの側面を囲む管状のケースと、
を備え、
前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、前記第1入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAは、前記第2入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAよりも小さく、
前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さくなる位置に配置され
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率は、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率よりも低く、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置される
ことを特徴とする光コンバイナ。
【請求項2】
第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを含む複数の入力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が接続される出力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバの側面を囲む管状のケースと、
を備え、
前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、前記第1入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAは、前記第2入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAよりも小さく、
前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さくなる位置に配置され
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁は光を乱反射し、前記領域を基準とした他方側の前記内壁は前記一方側の内壁よりも乱反射が抑制されて光を反射し、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置される
ことを特徴とする光コンバイナ。
【請求項3】
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率は、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率よりも低く、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置される
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項4】
前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を透過する
ことを特徴とする請求項1または3に記載の光コンバイナ。
【請求項5】
前記ケースの前記一方側の内壁は石英で
前記ケースの前記他方側の内壁は金属である
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項6】
前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を吸収する
ことを特徴とする請求項1または3に記載の光コンバイナ。
【請求項7】
第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを含む複数の入力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が接続される出力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバの側面を囲む管状のケースと、
を備え、
前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、前記第1入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAは、前記第2入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAよりも小さく、
前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さくなる位置に配置され
前記複数の入力用光ファイバは特定の入力用光ファイバを含み、
前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとは、前記特定の入力用光ファイバを挟む位置に配置される
ことを特徴とする光コンバイナ。
【請求項8】
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率は、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率よりも低く、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置される
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項9】
前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を透過する
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項10】
前記ケースの前記一方側の内壁は石英で
前記ケースの前記他方側の内壁は金属である
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項11】
前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を吸収する
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項12】
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁は光を乱反射し、前記領域を基準とした他方側の前記内壁は前記一方側の内壁よりも乱反射が抑制されて光を反射し、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置される
ことを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の光コンバイナ。
【請求項13】
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率と、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率とが互いに等しく、
前記第1入力用光ファイバから前記一方側の内壁までの距離は、前記第2入力用光ファイバから前記他方側の内壁までの距離よりも大きい
ことを特徴とする請求項に記載の光コンバイナ。
【請求項14】
前記複数の入力用光ファイバは、前記特定の入力用光ファイバと、前記第1入力用光ファイバ及び前記第2入力用光ファイバを含み前記特定の入力用光ファイバの周りに配置される6本の光ファイバと、からなる
ことを特徴とする請求項7または13に記載の光コンバイナ。
【請求項15】
第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを含む複数の入力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が接続される出力用光ファイバと、
前記複数の入力用光ファイバの側面を囲む管状のケースと、
を備え、
前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、前記第1入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAは、前記第2入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAよりも小さく、
前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さくなる位置に配置され
前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率と、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率とが互いに等しく、
前記第1入力用光ファイバから前記一方側の内壁までの距離は、前記第2入力用光ファイバから前記他方側の内壁までの距離よりも大きい
ことを特徴とする光コンバイナ。
【請求項16】
前記ケースは、溝が形成される第1ケース部と、溝が形成される第2ケース部とを有し、
前記複数の入力用光ファイバは、前記第1ケース部の前記溝内に配置され、
前記第1ケース部は、前記第1ケース部の溝が前記第2ケース部側を向いて、前記第2ケース部の前記溝内に配置される
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の光コンバイナ。
【請求項17】
前記複数の入力用光ファイバは、前記ケースの前記内壁に光透過性の樹脂で固定される
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の光コンバイナ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の光コンバイナと、
それぞれの前記入力用光ファイバに光を入射する複数の光源と、
を備える
ことを特徴とするレーザ装置。
【請求項19】
複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が出力用光ファイバに接続された光学部品を有する光コンバイナの製造方法であって、
前記複数の入力用光ファイバにおける2本の前記入力用光ファイバの他端から個別に同じ入射角の光を入射する場合における当該2本の前記入力用光ファイバのNAの大小関係を判定するファイバ判定工程と、
管状のケース内に前記複数の入力用光ファイバの側面が囲まれるように、前記光学部品を配置する配置工程と、
を備え、
前記配置工程において、前記ファイバ判定工程で判定した2本の前記入力用光ファイバにおけるNAの小さな方の前記入力用光ファイバを第1入力用光ファイバとし、NAの大きな方の前記入力用光ファイバを第2入力用光ファイバとする場合に、前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さい位置に配置される
ことを特徴とする光コンバイナの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戻り光による影響を抑制し得る光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ装置は、非接触加工が可能であることから、加工分野、医療分野等、様々な分野において用いられており、更なる高出力化が求められている。
【0003】
このようなレーザ装置の高出力化を実現する方法の一つとして、複数の光ファイバから出力するレーザ光を纏めて、1本の光ファイバから出力する方法がある。下記特許文献1には、このようなレーザ装置に用いることができる光コンバイナである光ファイバ部品が記載されている。
【0004】
この光コンバイナは、複数の入力用光ファイバが、テーパ光ファイバの一方側の端部に接続されている。このテーパ光ファイバは、一方側から他方側にかけて外径が縮径される縮径部を有しており、外径が細い他方側の端部に1本の出力用光ファイバが接続されている。更に、上記複数の入力用光ファイバの一部とテーパ光ファイバと1本の出力用光ファイバの一部とがケース内に配置され、それぞれの入力用光ファイバとケースとが樹脂で固定され、出力用光ファイバとケースとが他の樹脂で固定さている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5648131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の光コンバイナは高出力レーザ等に用いられる。この光コンバイナが用いられたレーザ装置において、それぞれの入力用光ファイバから光が入射されると、当該光がテーパ光ファイバを介して出力用光ファイバから出射され、出射した光が加工物等で反射して再び出力用ファイバに入射する場合がある。出力用ファイバに入射した光は、戻り光として出力用ファイバから入力用ファイバに向けて伝搬し、この戻り光がケース内で漏洩する場合がある。ケース内で光が漏洩すると、当該光がケースの内壁で反射して、上記複数の入力用光ファイバのいずれかに再入射する場合があり、当該光は入力用光ファイバを戻り光として伝搬し得る。また、光ファイバの被覆層や光ファイバを固定する固定樹脂に再入射した光が吸収されて、光を吸収した被覆層や固定樹脂が発熱する可能性がある。上記特許文献1では、漏洩した光を散乱させる散乱材料が設けられている。しかし、他の方法によって、出力用光ファイバ側から上記入力用光ファイバに入射する戻り光の影響を抑制したいとの要請がある。
【0007】
そこで、本発明は、戻り光による影響を抑制し得る光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の光コンバイナは、第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを含む複数の入力用光ファイバと、前記複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が接続される出力用光ファイバと、前記複数の入力用光ファイバの側面を囲む管状のケースと、を備え、前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、前記第1入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAは、前記第2入力用光ファイバから入射され前記出力用光ファイバから出射する光のNAよりも小さく、前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さくなる位置に配置されることを特徴とするものである。なお、本明細書では、光ファイバに入射する光の入射角とは、光ファイバの中心軸と光ファイバに入射する光とがなす角である。
【0009】
上記のように加工物等で反射して再び出力用光ファイバから入力用光ファイバに向かって伝搬する戻り光がケース内において漏洩する場合がある。しかし、上記光コンバイナでは、ケースの内壁で反射して第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーは、ケースの内壁で反射して第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さい。ところで、第1入力用光ファイバと第2入力用光ファイバとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、出力用光ファイバから出射する光のNAが小さな第1入力用光ファイバの方が、出力用光ファイバから出射する光のNAが大きな第2入力用光ファイバよりも、戻り光が入射し易い傾向にある。つまり、本発明の光コンバイナでは、ケースの内壁で反射して再入射する光のエネルギーが第2入力用光ファイバよりも低い第1入力用光ファイバには、出力用光ファイバから戻り光が第2入力用光ファイバよりも入射し易い。従って、出力用光ファイバから伝搬する戻り光のエネルギーとケースで反射して再入射する光のエネルギーとの総和の差を、第1入力用光ファイバと第2入力用光ファイバとで小さくし得る。このため、本発明の光コンバイナによれば、入射する戻り光のエネルギーが高い第1入力用光ファイバに第2入力用光ファイバよりも高いエネルギーの光が再入射する場合と比べて、戻り光による影響を抑制し得る。
【0010】
また、前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率は、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率よりも低く、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置されることが好ましい。
【0011】
第1入力用光ファイバが第2入力用光ファイバよりも反射率の低い内壁側に配置されることで容易に第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。
【0012】
このように前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした前記一方側の内壁の反射率が前記領域を基準とした前記他方側の内壁の反射率よりも低い場合、前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を透過することが好ましい。
【0013】
内壁が光の少なくとも一部を透過することで、第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0014】
また、前記ケースの前記一方側の内壁は石英で、前記ケースの前記他方側の内壁は金属であることとしてもよい。
【0015】
金属は、加工が容易であるとともに耐熱性、放熱性、及び加工性に優れるためケースに用いることが好ましい。一方、金属は一般的に光の反射率が高い。そこで、上記のように、第1入力用光ファイバに近いケースの他方側の内壁が光透過性を有する石英とされ、第2入力用光ファイバに近いケースの他方側の内壁が金属とされてもよい。
【0016】
或いは、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした前記一方側の内壁の反射率が前記領域を基準とした前記他方側の内壁の反射率よりも低い場合、前記一方側の内壁は光の少なくとも一部を吸収することが好ましい。
【0017】
内壁が光の少なくとも一部を吸収することで、第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0018】
また、前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁は光を乱反射し、前記領域を基準とした他方側の前記内壁は前記一方側の前記内壁よりも乱反射が抑制されて光を反射し、前記第1入力用光ファイバは、前記第2入力用光ファイバよりも前記一方側の内壁の近くに配置されることが好ましい。
【0019】
一般的に、第2入力用光ファイバよりも第1入力用光ファイバの近くに位置する内壁が光を乱反射することで、反射する光のエネルギー密度を低下させることができる。このため、第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0020】
また、前記ケースの長手方向に垂直な面において、前記複数の入力用光ファイバが配置される領域を基準とした一方側の前記内壁の反射率と、前記領域を基準とした他方側の前記内壁の反射率とが互いに等しく、前記第1入力用光ファイバから前記一方側の内壁までの距離は、前記第2入力用光ファイバから前記他方側の内壁までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0021】
この場合、一方側の内壁と他方側の内壁とで反射率を変えずとも、内壁で反射して第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。従って、一方側の内壁と他方側の内壁とで反射率が異なる場合と比べて、ケースの構成を簡易にすることができる。
【0022】
また、前記複数の入力用ファイバは特定の入力用光ファイバを含み、前記第1入力用光ファイバと前記第2入力用光ファイバとは、前記特定の入力用光ファイバを挟む位置に配置されることが好ましい。
【0023】
特定の入力用光ファイバを挟むことで、特定の入力用光ファイバを挟まない場合と比べて、特定の入力用光ファイバが障壁となり、第1入力用光ファイバよりも第2入力用光ファイバに近い内壁で反射した光が、第1入力用光ファイバに再入射することが抑制できる。従って、第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。
また、前記複数の入力用光ファイバは、前記特定の入力用光ファイバと、前記第1入力用光ファイバ及び前記第2入力用光ファイバを含み前記特定の入力用光ファイバの周りに配置される6本の光ファイバと、からなることが好ましい。
【0024】
この場合、特定の入力用光ファイバと特定の入力用光ファイバの周りに配置される入力用光ファイバとで、7本の入力用光ファイバとなり、互いに隣り合う入力用光ファイバの中心間距離を等しくし得る。また、複数の入力用光ファイバを細密充填し得、この場合、光コンバイナの大型化を抑制することができる。
【0025】
また、前記ケースは、溝が形成される第1ケース部と、溝が形成される第2ケース部とを有し、前記複数の入力用光ファイバは、前記第1ケース部の前記溝内に配置され、前記第1ケース部は、前記第1ケース部の溝が前記第2ケース部側を向いて、前記第2ケース部の前記溝内に配置されることが好ましい。
【0026】
この場合、複数の入力用光ファイバを容易に管状のケース内に配置することができる。また、上記のように第1入力用光ファイバが第2入力用光ファイバよりも一方側の内壁の近くに配置される場合において、第1入力用光ファイバと第2入力用光ファイバとの位置関係を守りつつ、第1入力用光ファイバ及び第2入力用光ファイバを容易にケース内に配置することができる。また、上記のように第1ケース部の内壁と第2ケース部の内壁との反射率を異ならせることが容易であるため、上記のように一方側の内壁の反射率と他方側の内壁の反射率とを容易に異ならせることができる。
【0027】
前記複数の入力用光ファイバは、前記ケースの前記内壁に光透過性の樹脂で固定されることが好ましい。
【0028】
複数の入力用光ファイバがケースの内壁に固定されることで、それぞれの入力用光ファイバの位置を固定できる。また、入力用光ファイバを固定する樹脂が光透過性であることにより、樹脂がケース内に漏洩した光を吸収することで発熱して損傷することを抑制することができる。
【0029】
また、上記課題を解決するため、本発明のレーザ装置は、上記のいずれかに記載の光コンバイナと、それぞれの前記入力用光ファイバに光を入射する複数の光源と、を備えることを特徴とするものである。
【0030】
上記のように光コンバイナによれば、第1入力用光ファイバにおける出力用光ファイバから伝搬する戻り光のエネルギーとケースで反射して再入射する光のエネルギーとの総和と、第2入力用光ファイバにおける出力用光ファイバから伝搬する戻り光のエネルギーとケースで反射して再入射する光のエネルギーとの総和、との差を、第1入力用光ファイバと第2入力用光ファイバとで小さくし得る。従って、この光コンバイナを用いるレーザ装置では、特定の光源に戻り光が集中して入射することを抑制することができ、戻り光による影響を抑制し得る。
【0031】
また、上記課題を解決するため、本発明は、複数の入力用光ファイバのそれぞれの一端が出力用光ファイバに接続された光学部品を有する光コンバイナの製造方法であって、前記複数の入力用光ファイバにおける2本の前記入力用光ファイバの他端から個別に同じ入射角の光を入射する場合における当該2本の前記入力用光ファイバのNAの大小関係を判定するファイバ判定工程と、管状のケース内に前記複数の入力用光ファイバの側面が囲まれるように、前記光学部品を配置する配置工程と、を備え、前記配置工程において、前記ファイバ判定工程で判定した2本の前記入力用光ファイバにおけるNAの小さな方の前記入力用光ファイバを第1入力用光ファイバとし、NAの大きな方の前記入力用光ファイバを第2入力用光ファイバとする場合に、前記第1入力用光ファイバは、前記出力用光ファイバから前記入力用光ファイバに向かって伝搬する光の一部が漏洩し前記ケースの内壁で反射して前記第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が前記内壁で反射して前記第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーよりも小さい位置に配置されることを特徴とするものである。
【0032】
このような光コンバイナの製造方法によれば、出力用光ファイバから第1入力用光ファイバに伝搬する戻り光のエネルギーとケース内で光学部品から漏洩してケースの内壁で反射して第1入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーとの総和と、出力用光ファイバから第2入力用光ファイバに伝搬する戻り光のエネルギーとケース内で光学部品から漏洩してケースの内壁で反射して第2入力用光ファイバに再入射する光のエネルギーとの総和と、の差を小さくすることができる光コンバイナを製造することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、戻り光による影響を抑制し得る光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ装置を示す概念図である。
図2図1の光コンバイナを示す分解図である。
図3図2の光コンバイナから第2ケース部を外した様子を示す図である。
図4図3のIV-IV線に沿った位置における光コンバイナの断面図である。
図5】光学部品の出力用光ファイバの中心軸に沿った断面図である。
図6】光学部品の配置の詳細を示す図である。
図7】光コンバイナの製造方法を示すフローチャートである。
図8】準備工程の様子を示す図である。
図9】測定工程の様子を示す図である。
図10】配置工程の様子を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態の光コンバイナを図6と同様の方法で示す図である。
図12】本発明の第3実施形態の光コンバイナを図6と同様の方法で示す図である。
図13】入力用光ファイバと第2ケースの内壁との距離と、故障発生時における光源から入力用光ファイバに入射する光のパワーとの関係を示す図である。
図14】本発明の第4実施形態の光コンバイナを図2と同様の方法で示す図である。
図15図14の光学部品を図5と同様の方法で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法の好適な実施形態について、図面を参照しながらそれぞれ詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ装置を示す概念図である。図1に示すように、本実施形態のレーザ装置100は、複数の光源10と、複数の入力用光ファイバ20と、光コンバイナ1と、デリバリ光ファイバ40とを主な構成として備える。
【0037】
それぞれの光源10は、所定の波長の光を出射するレーザ装置であり、例えば、ファイバレーザ装置や固体レーザ装置からなる。光源10がファイバレーザ装置である場合、光源10は共振器型のファイバレーザ装置であったり、MO-PA(Master Oscillator Power Amplifier)型のファイバレーザ装置であったりする。それぞれの光源10から出射する光は、例えば、1070nmの波長の光とされる。本実施形態では、光源10が7つの例を示している。それぞれの光源10には、光源10から出射する光を伝搬する入力用光ファイバ20が接続されている。従って、入力用光ファイバ20の数は、光源10の数と同数とされる。
【0038】
図2は、図1の光コンバイナを示す分解図である。図2に示すように光コンバイナ1は、光学部品2と、ケース3とを主な構成として備える。
【0039】
ケース3は、第1ケース部60と、第2ケース部70とからなる。
【0040】
第1ケース部60は、溝60Gが形成された断面がコ字状の形状をした部材である。具体的には、平板状の底壁部61の両側縁に当該底壁部61に対して垂直に側壁部62が接続されており、底壁部61とそれぞれの側壁部62とで、溝60Gが形成されている。溝60Gの大きさは、光学部品2を収容可能な大きさとされる。また、溝60Gを形成する第1ケース部60の各内壁には、サンドブラスト等により粗面加工がなされている。従って、第1ケース部60の内壁で反射する光や、第1ケース部60の内壁を透過する光は散乱する。本実施形態では、第1ケース部60は石英から構成されている。なお、本実施形態と異なるが、第1ケース部60の各内壁のうち少なくとも一部が粗面加工されていなくても良い。
【0041】
第2ケース部70は、第1ケース部60と概ね同じ長さの部材であり、溝70Gが形成された断面がコ字状の形状をしている。具体的には、平板状の底壁部71の両側縁に当該底壁部71に対して垂直に側壁部72が接続されており、底壁部71とそれぞれの側壁部72とで、溝70Gを形成している。溝70Gは第1ケース部60を収容可能な大きさとされる。具体的には、第1ケース部60の溝60Gが第2ケース部70の底壁部71側を向いた状態で、第1ケース部60は第2ケース部70の溝70Gに収容される。第2ケース部70における一対の側壁部72の互いに内側を向く面の距離は、第1ケース部60のそれぞれの側壁部62の互いに外側を向く面の距離よりも僅かに大きい距離とされる。また、第2ケース部70の溝70Gの深さは、第1ケース部60の側壁部62の高さと概ね同等とされる。このため、第1ケース部60の溝60Gが第2ケース部70の底壁部71側を向いた状態で第1ケース部60は第2ケース部70の溝に収容されると、第1ケース部60の底壁部61の外側の面と、第2ケース部70のそれぞれの側壁部72の縁部とが、概ね面一となる。このように、第1ケース部60が第2ケース部70の溝70Gに収容されることで、第1ケース部60と第2ケース部70とで、管状のケース3が形成されている。また、溝70Gを形成する第2ケース部70の各内壁は、概ね平面状とされる。従って、第2ケース部70の内壁では、光が反射し易い。本実施形態では、第2ケース部70はアルミニウムや真鍮等の金属から構成されている。
【0042】
光学部品2は、上記の複数の入力用光ファイバ20と、テーパ光ファイバ30と、デリバリ光ファイバ40とを主な構成として備える。
【0043】
複数の入力用光ファイバ20は、光コンバイナ1において、1本の特定の入力用光ファイバ20の周りを6本の入力用光ファイバ20が囲んで配置されている。このため本実施形態では、複数の入力用光ファイバ20は、光コンバイナ1において、互いに中心間距離が等しくされている。また、本実施形態では、それぞれの入力用光ファイバ20は、光コンバイナ1において互いに平行とされている。それぞれの入力用光ファイバ20は、互いに同様の構成とされ、コア21と、コア21を囲むクラッド22と、クラッドを被覆する被覆層23とを有し、コア21の屈折率が、クラッド22の屈折率よりも高くされている。コア21は、例えば、屈折率を高くするゲルマニウム(Ge)等のドーパントが添加される石英から成り、クラッド22は、例えば、純粋な石英から成る。なお、コア21の屈折率が、クラッド22の屈折率よりも高くされていればよく、例えば、コア21が純粋な石英から成り、クラッド22の屈折率を低くするフッ素(F)等のドーパントが添加される石英から成ってもよい。また、入力用光ファイバ20は、例えば、コア21の直径が10μmとされ、クラッド22の外径が125μmとされる。またそれぞれの入力用光ファイバ20は、例えば、基本モードの光が主に伝搬するシングルモードファイバや、2~3モードの光が主に伝搬するフューモードファイバとされる。それぞれの入力用光ファイバ20の一端近傍では被覆層23が剥離されており、それぞれの入力用光ファイバ20の一端はテーパ光ファイバ30の一端に接続されている。
【0044】
テーパ光ファイバ30は、それぞれの入力用光ファイバ20が接続される一端側の外径が縮径されておらず、他端側の外径が縮径されている光ファイバである。具体的には、テーパ光ファイバ30は、一端側において、一定の外径を保つ非縮径部33と、非縮径部33と一体に形成され、他端側に向かって外径が徐々に縮径されるテーパ部34とを含む。なお、本実施形態においては、テーパ光ファイバ30は、特にコア-クラッド構造を有しておらず、テーパ光ファイバ30の全体が、光を伝搬可能な部位とされる。テーパ光ファイバ30の非縮径部33における直径は、それぞれの入力用光ファイバ20が接続できる限りにおいて、特に限定されないが、例えば、450μmとされ、他端における直径は、例えば、100μmとされる。また、テーパ光ファイバ30のテーパ部34の長さは、例えば30mmとされる。
【0045】
なお、テーパ光ファイバ30の屈折率は、入力用光ファイバ20のコア21の屈折率と概ね同等とされることが、後述のように入力用光ファイバ20からテーパ光ファイバ30に光が入射される場合に、光の反射を抑制することができるため好ましい。テーパ光ファイバ30は、例えば、屈折率を高くするゲルマニウム(Ge)等のドーパントが添加される石英や、純粋な石英や、フッ素(F)等のドーパントが添加される石英から成ってもよい。また、なお、テーパ光ファイバ30の屈折率は、入力用光ファイバ20のコア21の屈折率と異なっていてもよい。
【0046】
デリバリ光ファイバ40は、コア41と、コア41を囲むクラッド42と、クラッド42の外周面を被覆する被覆層43とを有し、コア41の屈折率が、クラッド42の屈折率よりも高くされている。コア41の屈折率は、テーパ光ファイバ30から入射する光の屈折を抑制する観点から、テーパ光ファイバ30と同等であることが好ましい。従って、例えば、コア41は屈折率を高くするゲルマニウム(Ge)等のドーパントが添加される石英から成り、クラッド42は純粋な石英から成る。なお、コア41の屈折率が、クラッド42の屈折率よりも高くされていればよく、例えば、コア41が純粋な石英から成り、クラッド42の屈折率を低くするフッ素(F)等のドーパントが添加される石英から成ってもよい。本実施形態において、コア41の直径は、テーパ光ファイバ30の縮径された他端の直径以上とされる。従って、上記のように、テーパ光ファイバ30の縮径された他端の直径が100μmである場合、デリバリ光ファイバ40のコア41の直径は、例えば、100μmとされる。デリバリ光ファイバ40の一端近傍では被覆層43が剥離されており、デリバリ光ファイバ40の一端におけるコア41と、テーパ光ファイバ30の他端とが互いに接続されている。
【0047】
このように入力用光ファイバ20のコア21とテーパ光ファイバ30とが接続され、テーパ光ファイバ30とデリバリ光ファイバ40のコア41とが接続されることで、入力用光ファイバ20のコア21と、テーパ光ファイバ30と、デリバリ光ファイバ40のコア41とが互いに光学的に結合している。このため、入力用光ファイバ20からテーパ光ファイバ30に入射する光は、テーパ光ファイバ30から出射可能であり、テーパ光ファイバ30から出射する光はデリバリ光ファイバ40から出射可能である。また、テーパ光ファイバ30とデリバリ光ファイバ40とを一体として把握することも可能であり、本実施形態では、テーパ光ファイバ30とデリバリ光ファイバ40とで出力用光ファイバ50が構成されていると理解することができる。
【0048】
本実施形態では、光学部品2が第1ケース部60の溝60G内に配置され、第1ケース部60が第2ケース部70の溝70G内に配置されることで、光コンバイナ1が組み立てられている。以下、光学部品2の配置等の詳細を説明する。
【0049】
図3は、図2の光コンバイナ1から第2ケース部70を外した様子を示す図である。図3に示すように、光コンバイナ1が第1ケース部60の溝60G内に配置された状態で、複数の入力用光ファイバ20は光透過性の第1固定部材81で第1ケース部60の内壁に固定されている。第1固定部材81は、それぞれの入力用光ファイバ20の被覆層23と被覆層23が剥離されて露出しているクラッド22とを被覆して、複数の入力用光ファイバ20を第1ケース部60に固定している。また、第1固定部材81は、テーパ光ファイバ30と所定の間隔をあけて設けられている。このため、それぞれの入力用光ファイバ20は、テーパ光ファイバ30に接続される近傍において、第1固定部材81により第1ケース部60に固定されていない。また、第1固定部材81は、第2ケース部70の底壁部71に固定されることが好ましいが、第2ケース部70の底壁部71に固定されなくてもよい。第1固定部材81は、熱硬化性の樹脂であることが熱による複数の入力用光ファイバ20の位置ずれを抑制する観点から好ましい。
【0050】
また、図3に示すように、光コンバイナ1が第1ケース部60の溝60G内に配置された状態で、デリバリ光ファイバ40は光透過性の第2固定部材82で第1ケース部60の内壁に固定されている。本実施形態では、第2固定部材82は、デリバリ光ファイバ40の被覆層43と第1ケース部60の内壁とを固定している。第2固定部材82は、第1固定部材81と同様に熱硬化性の樹脂であることが熱によるデリバリ光ファイバ40の位置ずれを抑制する観点から好ましい。また、第2固定部材82は、第1固定部材81と同様に第2ケース部70の底壁部71に固定されることが好ましいが、第2ケース部70の底壁部71に固定されなくてもよい。
【0051】
図4は、図3のIV-IV線に沿った位置における光コンバイナ1の断面図である。なお、図4では、第2ケース部70が外されていない状態を示す。上記のように、第1ケース部60と第2ケース部70とで、管状のケース3が形成されている。従って、光学部品2はケース3に囲まれており、このため、光学部品2の複数の入力用光ファイバ20の側面はケース3に囲まれている。また、第1ケース部60のそれぞれの側壁部62における底壁部61側と反対側の側面と、第2ケース部70の底壁部71における溝70G側の面とが不図示の接着剤により固定されている。この接着剤は、熱による影響を抑制する観点から熱硬化性の樹脂であることが好ましい。
【0052】
次に、それぞれの入力用光ファイバ20から光を個別に入射する場合におけるデリバリ光ファイバ40から出射する光の開口数(NA:Numerical Aperture)について説明する。出力用光ファイバ50の出射端側に位置するデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAは、デリバリ光ファイバ40のコア41の中心軸とデリバリ光ファイバ40から出射する光の伝搬方向とがなす角θoutの正弦の値と、光が出射するデリバリ光ファイバ40のコア41の屈折率noutとの積nout×sinθoutにより定まる。この角θoutは発散角と呼ばれる場合がある。従って、同じビーム品質の光であれば、出射する光の広がりが大きければ、出射する光のNAが大きいことになる。
【0053】
図5は、光学部品2の出力用光ファイバ50の中心軸に沿った断面図である。なお、図が煩雑になることを避けるため、図5ではハッチングが省略されている。図5において一点鎖線で示されるように、本実施形態では、テーパ光ファイバ30の中心軸は、縮径されていない一端を含む非縮径部33の中心軸33Cと、縮径された他端を含むテーパ部34の中心軸34Cがずれている。具体的には、テーパ部34の中心軸34Cは、非縮径部33の中心軸33Cに対して傾いている。このため、テーパ光ファイバ30の他端の中心は、テーパ光ファイバ30の非縮径部33の中心軸33Cに対して所定の径方向にずれている。ここで、図5に示す入力用光ファイバ20のうち、テーパ光ファイバ30の非縮径部33の中心軸33Cを基準として上記所定の径方向側に位置する入力用光ファイバ20を第1入力用光ファイバ20aとし、中心軸33Cを基準として上記所定の径方向側と反対側に位置する入力用光ファイバ20を第2入力用光ファイバ20bとする。この場合、第1入力用光ファイバ20aのコア21の中心軸とデリバリ光ファイバ40のコア41の中心軸との軸ずれ量は、第2入力用光ファイバ20bのコア21の中心軸とデリバリ光ファイバ40のコア41の中心軸との軸ずれ量よりも小さくなる。このとき、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとに同じ入射角の光を入射する場合において、第1入力用光ファイバ20aから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAは、第2入力用光ファイバ20bから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAよりも小さくなる。
【0054】
なお、上記のように第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとが配置されることで、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとは、複数の入力用光ファイバ20のうちテーパ光ファイバ30の縮径されていない一端における端面の中心に配置される特定の入力用光ファイバ20を挟んでいる。
【0055】
次に光学部品2の配置の詳細について説明する。図6は、光学部品の配置の詳細を示す図である。図6に示すように、本実施形態では、ケース3の長手方向に垂直な面において、複数の入力用光ファイバ20が配置される点線で示す領域ARを基準として、一方側に第1ケース部60の底壁部61が位置し、領域ARを基準として、他方側に第2ケース部70の底壁部71が位置する。上記のように、本実施形態では、第1ケース部60が石英から形成され、第2ケース部70が金属から形成されている。従って、領域ARを基準としたケース3の上記一方側の内壁よりも上記他方側の内壁の方が光の反射率が高い傾向にある。また、上記のように、第1ケース部60の内壁は光を乱反射する粗面加工されており、溝70Gを形成する第2ケース部70の各内壁は概ね平面状とされる。このため、第2ケース部70の内壁は、第1ケース部60の内壁よりも乱反射が抑制されて光を反射する。従って、仮に第1ケース部60の底壁部61と第2ケース部70の底壁部71とが同じ反射率であっても、第1ケース部60の底壁部61で反射する光のエネルギー密度は、第2ケース部70の底壁部71で反射する光のエネルギー密度よりも低い傾向にある。
【0056】
また、本実施形態では、図6に示すように、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも一方側の内壁すなわち第1ケース部60の底壁部61の近くに配置されている。つまり、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも、光の反射率が低く、光を乱反射する第1ケース部60の内壁である一方側の内壁の近くに配置されている。
【0057】
次に、レーザ装置100の動作について説明する。
【0058】
それぞれの光源10は、入力用光ファイバ20のコア21に光を入射する。この光はそれぞれの入力用光ファイバ20のコア21を伝搬して、入力用光ファイバ20の一端から出射する。入力用光ファイバ20から出射した光は、テーパ光ファイバ30の一端からテーパ光ファイバ30に入射する。テーパ光ファイバ30に入射した光は、非縮径部33からテーパ部34に達し、テーパ部34において、光の少なくとも一部は、テーパ光ファイバ30の外周面で反射しながら伝搬する。そして、テーパ部34を伝搬する光は、テーパ光ファイバ30の他端から出射して、デリバリ光ファイバ40のコア41に入射し、デリバリ光ファイバ40を伝搬する。なお、デリバリ光ファイバ40のコア41を伝搬する光のエネルギー密度が、それぞれの入力用光ファイバ20のコア21を伝搬する光のエネルギー密度よりも高くなることが好ましいが、高くなくてもよい。デリバリ光ファイバ40を伝搬する光はデリバリ光ファイバ40の他端から出射して、加工物等の被照射体に照射される。こうして加工物等が加工される。
【0059】
被照射体に照射された光は、一部が反射されて被照射体から再びデリバリ光ファイバ40に入射する場合がある。例えば、被照射体が板状の金属である場合、レーザ装置100からの光が照射される初期においては、被照射体の反射率が高いため、被照射体からデリバリ光ファイバ40のコア41に入射する光の強度が高い傾向がある。このため、被照射体に光が照射された初期において、高いエネルギーの戻り光が瞬間的に入射する傾向がある。
【0060】
デリバリ光ファイバ40に入射した光は、戻り光としてデリバリ光ファイバ40からテーパ光ファイバ30に入射して、テーパ光ファイバ30からそれぞれの入力用光ファイバ20に入射する。このとき、入力用光ファイバ20から同じ入射角の光を個別に入射する場合にデリバリ光ファイバ40からNAの小さな光が出射する入力用光ファイバ20ほど、戻り光が入射し易い傾向にある。従って、第1入力用光ファイバ20aには、第2入力用光ファイバ20bよりも多くの戻り光が入射し易い。
【0061】
また、テーパ光ファイバ30の入力用光ファイバ20が接続される側の一端において、入力用光ファイバ20が接続されていない部分から戻り光の一部が漏洩する場合がある。更に、入力用光ファイバ20に入射した光の一部が漏洩する場合がある。入力用光ファイバ20から漏洩する光の多くは、クラッド22に入射した光である。上記のように入力用光ファイバ20をケース3に固定する第1固定部材81は、光透過性の樹脂である。従って、図6において、破線で示すように、光学部品2から漏洩する光の少なくとも一部は、第1固定部材81を伝搬する。第1固定部材81を伝搬する光の一部は、第1ケース部60の内壁や第2ケース部70の内壁、すなわちケース3の内壁で反射する。ケース3の内壁で反射した光の少なくとも一部は、入力用光ファイバ20に再入射する。また、光学部品2から漏洩して第1固定部材81を伝搬する光の他の一部は、第1固定部材81から光透過性の部材である第1ケース部60に入射して、第1ケース部60から光コンバイナ1の外部に放出される。
【0062】
上記のように、本実施形態では、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも、光の反射率が低く光を乱反射する一方側の内壁すなわち第1ケース部60の底壁部61の近くに配置されており、第2入力用光ファイバ20bは第1入力用光ファイバ20aよりも相対的に第2ケース部70の底壁部71の近くに配置されている。つまり、第1入力用光ファイバ20aは、出力用光ファイバ50から入力用光ファイバ20に向かって伝搬する光の一部が漏洩しケース3の内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光が内壁で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーよりも小さい位置に配置されている。
【0063】
従って、第1入力用光ファイバ20aにテーパ光ファイバ30から入射する戻り光のエネルギーは、第2入力用光ファイバ20bにテーパ光ファイバ30から入射する戻り光のエネルギーよりも高いが、光学部品2から漏洩した光が第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーは、当該漏洩した光が第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーよりも低い。
【0064】
次に本実施形態の光コンバイナ1及びレーザ装置100の作用、効果について説明する。
【0065】
上記のように、本実施形態の光コンバイナ1では、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとに同じ入射角の光を入射する場合に、第1入力用光ファイバ20aから入射され出力用光ファイバ50から出射する光のNAは、第2入力用光ファイバ20bから入射され出力用光ファイバ50から出射する光のNAよりも小さい。更に、第1入力用光ファイバ20aは、出力用光ファイバ50から入力用光ファイバ20に向かって伝搬する光の一部が漏洩しケース3の内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光がケース3の内壁で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーよりも小さい位置に配置されている。
【0066】
出力用光ファイバ50から出射した光が加工物等で反射して再び出力用光ファイバ50から入力用光ファイバ20に向かって伝搬する場合があり、この戻り光がケース3内において漏洩する場合がある。しかし、上記光コンバイナ1では、ケース3の内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーは、ケース3の内壁で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーよりも小さい。ところで、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとに個別に同じ入射角の光を入射する場合に、上記のように出力用光ファイバ50から出射する光のNAが小さな第1入力用光ファイバ20aの方が、出力用光ファイバ50から出射する光のNAが大きな第2入力用光ファイバ20bよりも、戻り光が入射し易い傾向にある。つまり、本実施形態の光コンバイナ1では、ケース3の内壁で反射して再入射する光のエネルギーが第2入力用光ファイバ20bよりも低い第1入力用光ファイバ20aには、出力用光ファイバ50から第2入力用光ファイバ20bに入射する戻り光のエネルギーよりも高いエネルギーの光が入射する。従って、出力用光ファイバ50から伝搬する戻り光のエネルギーとケース3で反射して再入射する光のエネルギーとの総和の差を、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとで小さくし得る。このため、本実施形態の光コンバイナ1によれば、入射する戻り光のエネルギーが高い第1入力用光ファイバ20aに第2入力用光ファイバ20bよりも高いエネルギーの光が再入射する場合と比べて、戻り光による影響を抑制し得る。
【0067】
従って、光コンバイナ1と、それぞれの入力用光ファイバ20に光を入射する複数の光源10と、を備えるレーザ装置100では、第1入力用光ファイバ20aが接続される光源10と第2入力用光ファイバ20bが接続される光源とに、戻り光が伝搬する場合であっても、一方の光源10に多くの戻り光が集中して入射することを抑制し得る。
【0068】
また、本実施形態の光コンバイナ1では、ケース3の長手方向に垂直な面において、複数の入力用光ファイバ20が配置される領域ARを基準とした一方側の内壁の反射率、すなわち第1ケース部60の内壁の反射率は、領域ARを基準とした他方側の内壁の反射率、すなわち第2ケース部70の内壁の反射率よりも低く、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも一方側の内壁の近くに配置されている。このため、容易に第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。
【0069】
さらに、本実施形態の光コンバイナ1では、第1ケース部60の内壁である上記一方側の内壁は光の少なくとも一部を透過する。このため、第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態の光コンバイナ1では、第1ケース部60の内壁である一方側の内壁は光を乱反射し、第2ケース部70の内壁である領域ARを基準とした他方側の内壁は一方側の内壁よりも乱反射が抑制されて光を反射し、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも一方側の内壁の近くに配置されている。このため、一方側の内壁が反射する光のエネルギー密度を低下させることができるため、第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態の光コンバイナ1では、ケース3の第2ケース部70が金属から成る。金属は、加工が容易であるとともに耐熱性や加工性に優れるためケースに用い易い。また、金属は熱伝導性に優れるため、第2ケース部70を介して容易に放熱することができる。
【0072】
また、本実施形態の光コンバイナ1では、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとは、特定の入力用光ファイバ20を挟む位置に配置されている。このため、特定の入力用光ファイバ20を挟まない場合と比べて、特定の入力用光ファイバ20が障壁となり、第1入力用光ファイバ20aよりも第2入力用光ファイバ20bに近い内壁で反射した光が、第1入力用光ファイバ20aに再入射することが抑制できる。従って、第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。
【0073】
更に、本実施形態の光コンバイナ1では、複数の入力用光ファイバ20は、特定の入力用光ファイバ20と、第1入力用光ファイバ20a及び第2入力用光ファイバ20bを含み特定の入力用光ファイバ20の周りに配置される6本の光ファイバと、からなる。このため、特定の入力用光ファイバ20と特定の入力用光ファイバの周りに配置される入力用光ファイバ20とで、7本の入力用光ファイバ20となり、互いに隣り合う入力用光ファイバ20の中心間距離を等しくし得る。
【0074】
なお、1本の特定の入力用光ファイバ20の周りを6本の入力用光ファイバ20が囲む場合に、互いに隣り合う入力用光ファイバ20が接していれば、複数の入力用光ファイバ20は最密充填される。この場合、光コンバイナ1を小型化し得る。
【0075】
また、本実施形態の光コンバイナ1では、複数の入力用光ファイバ20は、第1ケース部60の溝60G内に配置され、第1ケース部60は、第1ケース部60の溝60Gが第2ケース部70側を向いて、第2ケース部70の溝70G内に配置されている。このため、ケース3が第1ケース部60と第2ケース部70とに分かれていない場合と比べて、複数の入力用光ファイバ20を容易に管状のケース3内に配置することができる。また、上記のように第1入力用光ファイバ20aが第2入力用光ファイバ20bよりも一方側の内壁の近くに配置される場合において、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとの位置関係を守りつつ、第1入力用光ファイバ20a及び第2入力用光ファイバ20bを容易にケース3内に配置することができる。また、上記のように第1ケース部60の内壁と第2ケース部70の内壁との反射率を異ならせることが容易であり、上記のように一方側の内壁の反射率と他方側の内壁の反射率とを容易に異ならせることができる。
【0076】
本実施形態の光コンバイナ1では、複数の入力用光ファイバ20は、ケース3の内壁に光透過性の樹脂からなる第1固定部材81で固定されている。このため、それぞれの入力用光ファイバ20の位置を固定でき、樹脂がケース3内に漏洩した光を吸収することで発熱して損傷することを抑制することができる。
【0077】
次に、本実施形態の光コンバイナ1の製造方法について説明する。
【0078】
図7は、本実施形態の光コンバイナ1の製造方法を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施形態の光コンバイナ1の製造方法は、準備工程PS1と、ファイバ判定工程PS2、及び配置工程PS3とを備える。
【0079】
<準備工程PS1>
本工程は、複数の入力用光ファイバ20のそれぞれの一端が出力用光ファイバ50に接続された光学部品2を準備する工程である。図8は、本工程の様子を示す図である。まず、複数の入力用光ファイバ20と、テーパ光ファイバ30と、デリバリ光ファイバ40とを準備する。それぞれの入力用光ファイバ20の一端近傍の被覆層23を剥離する。また、テーパ光ファイバ30は、例えば、非縮径部33の直径を有しクラッドを備えない光ファイバを準備して、当該光ファイバの一部を溶融延伸してテーパ部34を形成することにより得ることができる。また、デリバリ光ファイバ40の一端近傍の被覆層43を剥離する。
【0080】
そして、図8に示すように、複数の入力用光ファイバ20の被覆層23が剥離された一端をテーパ光ファイバ30の一端に接続する。テーパ光ファイバ30の一端は非縮径部33側の端部である。また、デリバリ光ファイバ40の被覆層43が剥離された一端をテーパ光ファイバ30の他端に接続する。テーパ光ファイバ30の他端はテーパ部34側の端部である。テーパ光ファイバ30とデリバリ光ファイバ40とが接続されることで、出力用光ファイバ50となる。なお、入力用光ファイバ20とテーパ光ファイバ30との接続と、テーパ光ファイバ30とデリバリ光ファイバ40との接続のどちらが先に行われてもよい。また上記接続は、融着により行うことが好ましい。こうして、図2に示す光学部品2が準備される。
【0081】
なお、上記で説明した本工程は一例であり、図2に示す光学部品2が準備されれば、どのように準備されてもよい。例えば、図2に示す光学部品2を購入することで、本工程が行われてもよい。
【0082】
<ファイバ判定工程PS2>
本工程は、複数の入力用光ファイバにおける2本の入力用光ファイバの他端から個別に同じ入射角の光を入射する場合における当該2本の入力用光ファイバのNAの大小関係を判定する工程である。2本の入力用光ファイバのNAの大小関係が判定されればよく、本工程は、測定工程PS2aと、比較工程PS2bとを含む。なお、本工程は、下記に示す測定工程PS2a及び比較工程PS2bの少なくとも一方を含まない他の方法により行われてもよい。
【0083】
<測定工程PS2a>
本工程は、光学部品2のそれぞれの入力用光ファイバ20の他端から個別に同じ入射角の光を入射して出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がりを測定する工程である。図9は本工程の様子を示す図である。本実施形態の本工程では、1つの入力用光ファイバ20の他端にテスト用光源91の光の出射端である光ファイバ91fの端部を融着する。次に、テスト用光源91から所定の波長で所定のモード数、すなわち所定のビーム品質の光を出射する。テスト用光源91は、それぞれの入力用光ファイバ20に互いに同じ波長で同じモード数の光を同じ入射角で個別に入射する。そして、デリバリ光ファイバ40から出射する光の直径を測定する。テスト用光源91としては、所定のビーム品質を出射する光源であれば特に限定はされない。本実施形態では、テスト用光源91は、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源またはSLD(Super-Luminescent Diode)光源等の光源92を含み、この光源に複数の光ファイバ93,94が接続されている。これら複数の光ファイバ93,94はコアの直径及びクラッドに対するコアの屈折率差の少なくとも一方が互いに異なり、光源92から離れる光ファイバほど伝搬する光のモード数が限られる。このため、光ファイバ91fから出射する光は、上記のように所定のビーム品質とされる。また、この測定には、例えば、図9に示すパワーメータ95を用いることができる。デリバリ光ファイバ40から出射する光をパワーメータ95に照射し、例えば光のパワーの積分値が全体の光のパワーの1/eとなる中心を含む領域の平均半径を測定する。この測定をそれぞれの入力用光ファイバ20について行う。上記のように、出力用光ファイバ50から出射する光の広がりが大きければ、出力用光ファイバ50から出射する光のNAが大きい。従って、上記測定において、パワーメータ95が受ける所定のパワー以上となる光の直径が大きければ、その光のNAが大きいと評価することができる。なお、測定の際、デリバリ光ファイバ40にクラッドモード光が除去されるクラッドモードストリッパが設けられることが好ましい。
【0084】
なお、本実施形態では、出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がりを測定するためにパワーメータ95が用いられているが、他の測定器により、出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がりを測定してもよい。例えば、出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がり角を測定可能な測定器が用いられてもよい。
【0085】
また、本工程では、光学部品2のそれぞれの入力用光ファイバ20の他端から個別に同じ入射角の光を入射して出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がりを測定した。しかし、光学部品2のうち、2本以上の入力用光ファイバ20の他端から個別に同じ入射角の光を入射して出力用光ファイバ50から出射するそれぞれの光の広がりを測定すればよく、すべての入力用光ファイバ20について測定をしなくてもよい。
【0086】
<比較工程PS2b>
本工程は、測定工程PS2aで測定したそれぞれの光の広がりを比較する工程である。本実施形態では、複数の入力用光ファイバ20における2本の入力用光ファイバ20において、比較した光の広がりの小さな入力用光ファイバ20を第1入力用光ファイバ20aとし、当該広がりの大きな入力用光ファイバ20を第2入力用光ファイバ20bとする。なお、第1入力用光ファイバ20aは、複数の入力用光ファイバ20において、光の広がりの最も小さな入力用光ファイバ20であることが好ましい。なお、測定工程PS2aで述べたように、本実施形態の測定工程PS2aで出力用光ファイバ50から出射する光の広がりが大きければ、出力用光ファイバ50から出射する光のNAが大きいため、測定したそれぞれの光の広がりを比較することと、出力用光ファイバ50から出射する光のNAを比較することとは同意である。従って、複数の入力用光ファイバにおける2本の入力用光ファイバである第1入力用光ファイバ20a、第2入力用光ファイバ20bの他端から個別に同じ入射角の光を入射する場合における第1入力用光ファイバ20a、第2入力用光ファイバ20bのNAの大小関係が判定される。
【0087】
<配置工程PS3>
本工程は、管状のケース3内に複数の入力用光ファイバ20の側面が囲まれるように、光学部品2を配置する工程である。図10は、本工程の様子を示す図である。本工程に先駆けて、まず、第1ケース部60及び第2ケース部70を準備する。この準備を準備工程PS1に行ってもよい。そして、まず、第1ケース部60の溝60G内に複数の入力用光ファイバ20の一端側、テーパ光ファイバ30、及びデリバリ光ファイバ40の一端側を配置する。上記のように第1ケース部60の内壁は、当該内壁に入射する光の一部を透過すると共に入射する光の他の一部を乱反射する。そこで、第1入力用光ファイバ20aが第2入力用光ファイバ20bよりも、第1ケース部60の底壁部61の近くとなるように光学部品2を溝60G内に配置する。
【0088】
そして、第1固定部材81及び第2固定部材82を図3に示すように充填して固化させる。第1固定部材81及び第2固定部材82が熱硬化性の樹脂であれば、加熱により樹脂を硬化させ、第1固定部材81及び第2固定部材82が光硬化性の樹脂であれば、光を照射することで樹脂を硬化させる。
【0089】
次に、第1ケース部60の側壁部62における底壁部61側と反対側の側面に接着剤を塗布して、第2ケース部70の溝70G内に第1ケース部60を配置して、接着剤を固化させる。この接着剤は熱硬化性の樹脂であることが好ましい。なお、本実施形態では、第1ケース部60が光透過性であるため、当該接着剤は光硬化性であってもよい。
【0090】
なお、上記と異なり、第1固定部材81及び第2固定部材82を図3に示すように充填した後、第1固定部材81及び第2固定部材82を固化させる前に、上記接着剤を塗布して、第2ケース部70の溝70G内に第1ケース部60を配置し、その後、接着剤の固化及び第1固定部材81及び第2固定部材82の固化を行ってもよい。この場合、第1固定部材81及び第2固定部材82は第2ケース部70にも固定され得る。
【0091】
このように第1ケース部60と第2ケース部70とが互いに固定されて管状のケース3とされる。上記のように、第1入力用光ファイバ20aは第2入力用光ファイバ20bよりも第1ケース部60の底壁部61の近くとなるように配置されているため、第2入力用光ファイバ20bは第1入力用光ファイバ20aよりも相対的に第2ケース部70の底壁部71の近くに配置されている。更に、第1ケース部60の内壁は、第2ケース部70の内壁よりも光の反射率が低く更に光を乱反射する。つまり、本工程では、ファイバ判定工程PS2で判定した2本の入力用光ファイバにおけるNAの小さな方の入力用光ファイバを第1入力用光ファイバ20aとし、NAの大きな方の入力用光ファイバを第2入力用光ファイバ20bとする場合に、第1入力用光ファイバ20aは、出力用光ファイバ50から入力用光ファイバ20に向かって伝搬する光の一部がケース3内で漏洩しケース3の内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーが、当該漏洩する光がケース3の内壁で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーよりも小さい位置に、第1入力用光ファイバ20aが配置される。
【0092】
こうして、上記光コンバイナ1が製造される。
【0093】
本実施形態の光コンバイナ1の製造方法によれば、出力用光ファイバ50から第1入力用光ファイバ20aに伝搬する戻り光のエネルギーとケース3内で光学部品2から漏洩してケース3の内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーとの総和と、出力用光ファイバ50から第2入力用光ファイバ20bに伝搬する戻り光のエネルギーとケース3内で光学部品2から漏洩してケース3の内壁で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する光のエネルギーとの総和と、の差を小さくすることができる光コンバイナを製造することができる。従って、本実施形態の製造方法で製造された光コンバイナ1は、戻り光による影響を抑制し得る。
【0094】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0095】
本実施形態の光コンバイナを図6と同様の方法で示す図である。本実施形態の光コンバイナ1は、第1ケース部60の内壁に光吸収性の加工が施されている点において、第1実施形態の光コンバイナ1と異なる。このため、第1ケース部60の内壁は、第2ケース部70の内壁よりも光の反射率が低い。本実施形態では、第1ケース部60が金属から構成されている。例えば、第1ケース部60がアルミニウムから構成され、第1ケース部60の内壁に黒アルマイト加工が施されている。なお、本実施形態と異なり第1ケース部60が金属以外の材料からなり、第1ケース部60の内壁に光吸収性の加工が施されてもよい。ただし、第1ケース部60が金属であることが、吸収した光から生じる熱を外部に放出しやすい観点から好ましい。
【0096】
本実施形態の光コンバイナ1は、複数の入力用光ファイバ20が配置される領域ARを基準とした一方側の内壁の反射率が当該領域ARを基準とした他方側の内壁の反射率よりも低く、一方側の内壁は漏洩した光の少なくとも一部を吸収する。このため、第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーをより抑制することができる。
【0097】
なお、本実施形態の光コンバイナ1は、第1実施形態の光コンバイナ1と同様に製造される。
【0098】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12図13を参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0099】
図12は、本実施形態の光コンバイナを図6と同様の方法で示す図である。図6に示すように、本実施形態の光コンバイナ1は、第1ケース部60の内壁の光の反射率と第2ケース部70の内壁の光の反射率とが同一である点において、第2実施形態の光コンバイナ1と異なる。つまり、本実施形態の光コンバイナ1では、ケース3の長手方向に垂直な面において、複数の入力用光ファイバ20が配置される領域ARを基準とした一方側の内壁の反射率と、当該領域ARを基準とした他方側の内壁の反射率とが互いに等しく、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも一方側の内壁の近くに配置されている。更に、本実施形態の光コンバイナ1では、第1入力用光ファイバ20aから一方側の内壁までの距離は、第2入力用光ファイバ20bから他方側の内壁までの距離よりも大きい。
【0100】
ケース3の内壁で反射する漏洩光が入力用光ファイバ20に再入射する場合、入力用光ファイバ20と当該入力用光ファイバ20に対向する内壁との距離が大きい方が、入力用光ファイバ20にケース3の内壁で反射する漏洩光が再入射しづらい。このことを図13を用いて説明する。図13は、第1実施形態の図6で示す入力用光ファイバ20と第2ケース部70の内壁との距離dと、故障発生時における光源10から入力用光ファイバ20に入射する光のパワーとの関係を示す図である。第1実施形態で説明したように、第1ケース部60の内壁は光の反射率が低く、また、光を乱反射する。従って、ケース3内で漏洩した光による影響は、第2ケース部70の内壁で反射して入力用光ファイバ20に再入射する光の影響が大きい。そこで、図13を参照すると、入力用光ファイバ20と第2ケース部70の内壁との距離dが小さい方が、故障発生時における光源10から入力用光ファイバ20に入射する光のパワーが小さい。光源10から入力用光ファイバ20に入射する光のパワーが小さいということは、加工物等で反射して出力用光ファイバ50に入射する戻り光のパワーも小さいことになり、ケース3内で漏洩した光のパワーも小さいことになる。このため、入力用光ファイバ20と第2ケース部70の内壁との距離dが小さいと、ケース3内で漏洩した光のパワーも小さくても故障が生じる傾向がある。従って、入力用光ファイバ20と第2ケース部70の内壁との距離dが大きければ、戻り光による影響が小さいことになる。この原因は、入力用光ファイバ20と第2ケース部70の内壁との距離dが大きい方が、入力用光ファイバ20に第2ケース部70の内壁で反射する漏洩光が再入射しづらいためと考えられる。
【0101】
そこで、本実施形態では、上記のように、光コンバイナ1では、領域ARを基準とした一方側の内壁の反射率と他方側の内壁の反射率とが互いに等しく、第1入力用光ファイバ20aから一方側の内壁までの距離が第2入力用光ファイバ20bから他方側の内壁までの距離よりも大きい。このため、ケース3で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する漏洩光のエネルギーは、ケース3で反射して第2入力用光ファイバ20bに再入射する漏洩光のエネルギーよりも低い。
【0102】
本実施形態の光コンバイナ1によれば、一方側の内壁と他方側の内壁とで反射率を変えずとも、内壁で反射して第1入力用光ファイバ20aに再入射する光のエネルギーを抑制することができる。従って、一方側の内壁と他方側の内壁とで反射率が異なる場合と比べて、ケース3の構成を簡易にすることができる。
【0103】
なお、本実施形態の光コンバイナ1は、図7のフローチャートで示される第1実施形態の製造方法と同様の工程により製造される。ただし、本実施形態の光コンバイナ1の製造方法では、配置工程PS3において、第1入力用光ファイバ20aから第1ケース部60の内壁までの距離が第2入力用光ファイバ20bから第2ケース部70の内壁までの距離よりも大きくなるように、光学部品2が配置される。
【0104】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図14図15を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0105】
図14は、本実施形態の光コンバイナ1を図2と同様の方法で示す図である。図14に示すように、本実施形態の光コンバイナ1は、光学部品2がテーパ光ファイバ30を備えない点において、第1実施形態の光コンバイナ1と主に異なる。従って、デリバリ光ファイバ40が出力用光ファイバ50となる。本実施形態では、デリバリ光ファイバ40の一端にそれぞれの入力用光ファイバ20が接続されており、デリバリ光ファイバ40のコア41とそれぞれの入力用光ファイバ20のコア21とが光学的に結合されている。従って、本実施形態のデリバリ光ファイバ40のクラッド42の直径は、例えば、第1実施形態のテーパ光ファイバ30のそれぞれの入力用光ファイバ20が接続される一端の直径と同等とされる。また、本実施形態のデリバリ光ファイバ40のコア41の直径は、それぞれの入力用光ファイバ20のコア21を囲う円の直径以上とされる。
【0106】
図15は、図14の光学部品2を図5と同様の方法で示す図である。図15に示すように本実施形態の光コンバイナ1では、第1入力用光ファイバ20aの長手方向とデリバリ光ファイバ40の長手方向とは概ね平行とされるが、第2入力用光ファイバ20bの長手方向とデリバリ光ファイバ40の長手方向とは非平行とされる。つまり、第1入力用光ファイバ20aの長手方向とデリバリ光ファイバ40の長手方向との平行度は、第2入力用光ファイバ20bの長手方向とデリバリ光ファイバ40の長手方向との平行度よりも高い。
【0107】
このように第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとがデリバリ光ファイバ40に接続される場合、第1入力用光ファイバ20a及び第2入力用光ファイバ20bから個別に同じ入射角の光を入射すると、第1入力用光ファイバ20aから入射されデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAは、第2入力用光ファイバ20bから入射されデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAよりも小さくなる。
【0108】
従って、本実施形態においても、第1入力用光ファイバ20aは、第2入力用光ファイバ20bよりも、第1ケース部60の底壁部61の近くに配置され、第2入力用光ファイバ20bは、第1入力用光ファイバ20aよりも、第2ケース部70の底壁部71の近くに配置される。
【0109】
なお、本実施形態では、それぞれの入力用光ファイバ20のコア21からデリバリ光ファイバ40のコア41に光が集光されるが、デリバリ光ファイバ40のコア41を伝搬する光のエネルギー密度は、それぞれの入力用光ファイバ20のコア21を伝搬する光のエネルギー密度よりも低くてもよい。
【0110】
本実施形態の光コンバイナ1は、テーパ光ファイバ30を備えないため、構成を簡易にすることができる。
【0111】
なお、本実施形態の光コンバイナ1は、図7のフローチャートで示される第1実施形態の製造方法と同様の工程により製造される。ただし、本実施形態の光コンバイナ1の製造方法では、準備工程PS1において、それぞれの入力用光ファイバ20がデリバリ光ファイバ40に直接接続される。
【0112】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
例えば、上記実施形態では、テーパ光ファイバ30において、縮径されていない一端を含む非縮径部33の中心軸33Cと縮径された他端を含むテーパ部34の中心軸34Cとがずれていた。しかし、テーパ光ファイバ30において、非縮径部33の中心軸33Cとテーパ部34の中心軸34Cとが一致してもよい。つまり、テーパ光ファイバ30が軸中心に完全に回転対称な形状であってもよい。この場合、第1入力用光ファイバ20aの中心軸とテーパ光ファイバ30の中心軸との平行度は、第2入力用光ファイバ20bの中心軸とテーパ光ファイバ30の中心軸との平行度よりも高くされる。この場合であっても、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとに個別に同じ入射角の光を入射する場合において、第1入力用光ファイバ20aから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAは、第2入力用光ファイバ20bから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAよりも小さくされる。つまり、本発明では、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとに個別に同じ入射角の光を入射する場合において、第1入力用光ファイバ20aから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAは、第2入力用光ファイバ20bから入射されてデリバリ光ファイバ40から出射する光のNAよりも小さくされれば、光ファイバ同士の接続等において適宜変形することができる。
【0114】
また、上記第1実施形態から第3実施形態において、デリバリ光ファイバ40は必須ではない。この場合、テーパ光ファイバ30が出力用光ファイバとなる。
【0115】
また、本発明の光コンバイナ1の複数の入力用光ファイバ20は、第1入力用光ファイバ20aと第2入力用光ファイバ20bとを含んでいる限りにおいて、その数は7本より少なくてもよく8本以上であってもよい。
【0116】
また、本実施形態の光コンバイナ1のケース3は、第1ケース部60と第2ケース部70とから構成されたが、管状のケースであればよく、1つの部材から構成されてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、第1固定部材81及び第2固定部材82により、光学部品2がケース3に固定されたが、他の方法により光学部品2がケース3に固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、戻り光による影響を抑制し得る光コンバイナ、レーザ装置、及び光コンバイナの製造方法が提供され、加工用レーザ装置や、医療用レーザ装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
1・・・光コンバイナ
2・・・光学部品
3・・・ケース
10・・・光源
20・・・入力用光ファイバ
21・・・コア
22・・・クラッド
30・・・テーパ光ファイバ
33・・・非縮径部
34・・・テーパ部
40・・・デリバリ光ファイバ
41・・・コア
42・・・クラッド
50・・・出力用光ファイバ
60・・・第1ケース部
70・・・第2ケース部
100・・・レーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15