(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/38 20180101AFI20221025BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20221025BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20221025BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221025BHJP
【FI】
F24F11/38
F24F11/89
G01K1/14 Z
F24F110:10
(21)【出願番号】P 2019031556
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】月元 秀樹
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-127348(JP,A)
【文献】特開2011-174702(JP,A)
【文献】特開2011-247560(JP,A)
【文献】国際公開第2012/101762(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/208344(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調風を供給する複数の空調機であって、無線信号を発信可能な複数の空調機と、
空気温度を検出する複数の温度センサであって、無線信号を発信可能な複数の温度センサと、
前記複数の温度センサ及び前記複数の空調機それぞれが発信する無線信号を利用して、前記複数の温度センサの位置及び前記複数の空調機の位置を認識する位置演算部と、
前記
位置演算部が演算した位置を利用して各温度センサと各空調機とを関連付ける関連付け部と
、
前記複数の空調機のうち必要な空調能力が発揮されていない空調機(以下、停止空調機という。)があるか否かを判断する稼働判断部とを備え
、
前記関連付け部は、認識された位置を利用して制御影響度を演算し、当該制御影響度を利用して各温度センサと各空調機とを関連付ける機能を発揮可能であり、
前記制御影響度は、認識した位置を利用して各温度センサと各空調機との距離を利用して決定される値であって、かつ、
前記複数の空調機のいずれか示す記号をjとし、前記複数の温度センサのいずれかを示す記号をiとし、温度センサiと空調機jとの距離をD(i,j)とし、温度センサiと各空調機との距離の総和をAとし、空調機の台数をnとしたとき、空調機jの温度センサiに対する制御影響度E(i,j)は、以下の数式1により決定される値であり、
E(i,j)={A-D(i,j)}/{A×(n-1)}・・・・数式1
さらに、前記関連付け部は、前記稼働判断部により前記停止空調機があると判断されたときには、当該停止空調機を除く空調機の台数をnとし、温度センサiと当該停止空調機との距離を除いた値をAとして、上記数式1を用いて各温度センサと各空調機とを関連付ける空調システム。
【請求項2】
前記
位置演算部が演算した位置が前回演算した位置に対して予め決められた値を超えて変化したか否かを判断する位置判断部を備え、
前記関連付け部は、少なくとも前記位置判断部により変化したと判断されたときに、各温度センサと各空調機とを関連付ける請求項1に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の空調管理システムは、以下の構成を備える。
すなわち、空調管理システムは、統括コントローラ、複数の温度センサ端末及び空調機器を備える。温度センサ端末は、他の温度センサ端末との距離から自身の位置情報を取得し、取得した位置情報を統括コントローラに送信する。位置情報を取得した統括コントローラは、当該温度センサ端末と空調機器とを対応付ける。統括コントローラは、対応付けた情報と温度センサ端末から取得した温度情報とに基づいて空調機器を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、1台の空調機に対して複数の温度センサが関連付けられている場合においては、その1台の空調機がサーモオフ状態となって事実上停止状態になったとき、又は故障等により当該空調機の運転が停止状態となったときは、当該空調機に関連付けられた複数の温度センサの監視エリアが無監視状態になる。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、空調機が停止状態となった場合、又は空調機の設置位置が変更された場合に、無監視状態の監視エリアが発生することを抑制可能な空調システムの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空調システムは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、空調風を供給する複数の空調機(5A~5D)であって、無線信号を発信可能な複数の空調機(5A~5D)と、空気温度を検出する複数の温度センサ(S1~S17)であって、無線信号を発信可能な複数の温度センサ(S1~S17)と、複数の温度センサ(S1~S17)及び複数の空調機(5A~5D)それぞれが発信する無線信号を利用して、複数の温度センサ(S1~S17)の位置及び複数の空調機(5A~5D)の位置を認識する位置演算部(1、53)と、位置演算部(1、53)が演算した位置を利用して各温度センサ(S1~S17)と各空調機(5A~5D)とを関連付ける関連付け部(1、53)とである。
【0007】
これにより、当該空調システムの関連付け部(1、53)は、複数の温度センサ(S1~S17)の位置情報及び複数の空調機(5A~5D)の位置情報を利用して各温度センサ(S1~S17)と各空調機(5A~5D)とを関連付ける。
【0008】
これに対して、特許文献1に記載の空調管理システムは、空調機の位置情報を利用することなく、温度センサの位置情報のみを利用して関連付けを行うので、空調機が停止状態となった場合、又は空調機の設置位置が変更された場合に適切な関連付けを行うことができない。
【0009】
しかし、当該空調システムでは、複数の温度センサ(S1~S17)の位置情報及び複数の空調機(5A~5D)の位置情報を利用して各温度センサ(S1~S17)と各空調機(5A~5D)とを関連付けるので、空調機が停止状態となった場合、又は空調機の設置位置が変更された場合であっても、無監視状態の監視エリアが発生することなく、適切な関連付けを行うことができ得る。
【0010】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る関連付け処理を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る空調システムを示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る空調システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0013】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0014】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0015】
(第1実施形態)
1.空調システムの概要
本実施形態は、サーバ室に適用される空調システムに本開示に係る空調システムの一例を適用したものである。サーバ室SR内には、複数の空調機5A~5D(
図1参照)及び複数のラック3A~3D(
図2参照)が設置されている。
【0016】
複数の空調機5A~5Dそれぞれは、サーバ室SR内に空調風(本実施形態では、冷風)を供給する。なお、複数の空調機5A~5Dそれぞれは、
図2に示されるように、サーバ室SRの床下から当該サーバ室SR内に冷風を供給する。
【0017】
複数のラック3A~3Dそれぞれは、ICT装置(図示せず。)が搭載される棚である。ICT装置は、少なくとも情報処理を実行する情報処理ユニット(例えば、CPUやGPU等)を有する。
【0018】
ICT装置は、情報処理を実行する際に発熱する。このため、各空調機5A~5Dは、ICT装置(情報処理ユニット)の温度を予め決められた温度範囲に維持すべく、冷風をサーバ室SR内に供給する。
【0019】
複数のラック3A~3Dは、列状に配置されてラック列を構成している。本実施形態では、
図1に示されるように、サーバ室SR内には、少なくとも1つ(本実施形態では、複数)のラック列R1~R5が構成されている。
【0020】
各ラック列R1~R5を挟んで一方側の空間(以下、コールドアイルCiという。)には、冷風が供給される。各ICT装置を冷却して温度が上昇した空気は、各ラック列R1~R5を挟んで他方側の空間(以下、ホットアイルHiという。)に排出される。
【0021】
各コールドアイルCiと各ホットアイルHiとは、仕切部材(図示せず。)にて仕切られている。このため、各コールドアイルCiに供給された冷風は、各ICT装置内を流通していずれかのホットアイルHiに流れ込む。
【0022】
各ホットアイルHi内の空気は、いずれかの空調機5A~5Dに吸引されて冷却される。本実施形態では、各ホットアイルHi内の空気は、サーバ室SRの天井側空間を経由していずれかの空調機5A~5Dに吸引される。
【0023】
2.空調システムの詳細
2.1 各空調機の構成及び作動
<各空調機の構成>
複数の空調機5A~5Dそれぞれは、
図2に示されるように、冷却器51、送風機52及び制御部53等を少なくとも有する。冷却器51は、空気を冷却するための熱交換器である。送風機52は、サーバ室SR内から空気を吸引するとともに、冷却器51を通過した空気を当該サーバ室SRに供給する。
【0024】
<各空調機の作動>
制御部53は、冷却器51で発生させる冷却能力、及び送風機52の送風量のうち少なくとも一方(以下、空調能力という。)を制御する。本実施形態に係る制御部53は、複数の温度センサS1~S17(
図1参照)のうち当該制御部53に関連付けられた温度センサの検出温度が目標とする温度となるように設定温度を変更制御する。
【0025】
すなわち、
図1に示されるように、サーバ室SR内には、複数の温度センサS1~S17が配置されている。各温度センサS1~S17は、サーバ室SR内の空気温度を検出する。なお、本実施形態では、複数の温度センサS1~S17それぞれは、いずれかのコールドアイルCi内に離散配置されている。
【0026】
そして、各空調機5A~5Dの制御部53は、当該制御部53に関連付けられた温度センサの検出温度を利用して空調能力を制御する。具体的には、例えば、温度センサS1~S7が空調機5Aの制御部53に関連付けられている場合には、当該制御部53は、温度センサS1~S7の検出温度が目標とする温度となるように設定温度を変更制御する。
【0027】
「目標とする温度(以下、目標温度という。)」とは、特定の温度又は当該特定の温度を含む温度範囲である。「設定温度」とは、目標温度に基づいて制御部53が決定する温度であって、当該制御部53が設けられた空調機に吸い込まれる空気の温度又は当該空調機から供給される空気の温度である。
【0028】
例えば、温度センサS1~S7の検出温度が目標温度より高い場合には、制御部53は、設定温度を現時の設定温度より低くすることにより、空調能力を増大させる。温度センサS1~S7の検出温度が目標温度より低い場合には、制御部53は、設定温度を現時の設定温度より高くすることにより、空調能力を減少させる。
【0029】
以下、「複数の温度センサS1~S17のいずれかと複数の空調機5A~5Dのいずれかに設けられた制御部53とを関連付ける」ことを、「複数の温度センサS1~S17のいずれかと複数の空調機5A~5Dのいずれかとを関連付ける」という。
【0030】
2.2 温度センサの関連付け
<関連付けの概要>
複数の温度センサS1~S17のいずれかと複数の空調機5A~5Dのいずれかとを関連付けるための処理(以下、関連付け処理という。)は、
図1に示される統合制御部1にて実行される。
【0031】
なお、本実施形態に係る関連付け処理では、1つの温度センサが1又は2以上の空調機に関連付けられる場合、及び1つの空調機に1つ又は2以上の温度センサが関連付けられる場合のうち少なくとも一方の場合が発生し得る。
【0032】
各温度センサS1~S17は、少なくとも自身の位置情報を示す無線信号を発信可能である。当該無線信号を発信する発信機4A~4C等は、
図2に示されるように、例えば床下の通風路に設けられている。なお、各温度センサS1~S17が検出した検出温度を示す信号は、発信機4A~4C等を用いた無線通信又は有線通信により、関連付けられた空調機に送信される。
【0033】
各空調機5A~5Dは、少なくとも自身の位置情報を示す無線信号を発信可能である。当該無線信号を発信する発信機6A~6D(
図1参照)は、例えば床下の通風路に設けられている。
【0034】
各空調機5A~5Dは、発信機4A~4C等から送信された無線信号を受信可能な受信機7A~7Dを有する。各制御部53は、位置演算機能を実行可能である。位置演算機能は、複数の温度センサS1~S17及び複数の空調機5A~5Dそれぞれが発信する無線信号を利用して、複数の温度センサS1~S17の位置及び複数の空調機5A~5Dの位置を認識する機能である。
【0035】
具体的には、例えば、空調機5Aの制御部53は、複数の温度センサS1~S17及び他の空調機5B~5Dそれぞれが発信する無線信号を受信する。そして、当該制御部53は、空調機5Aから各温度センサS1~S17までの水平方向距離及び水平方向位置、並びに空調機5Aから空調機5B~5Dまでの水平方向距離及び水平方向位置を演算する。
【0036】
同様に、例えば、空調機5Bの制御部53は、複数の温度センサS1~S17及び他の空調機5A、5C、5Dそれぞれが発信する無線信号を受信する。そして、当該制御部53は、空調機5Bから各温度センサS1~S17までの水平方向距離及び水平方向位置、並びに空調機5Bから空調機5A、5C、5Dまでの水平方向距離及び水平方向位置を演算する。
【0037】
なお、空調機5C、5Dの制御部53も、同様な位置演算機能を実行する。各空調機5A~5Dが演算した水平方向距離及び水平方向位置を有する情報(以下、位置情報という。)は、有線送信又は無線送信にて統合制御部1に送信される。
【0038】
統合制御部1は、受信した位置情報を利用して制御影響度Eを演算し、当該制御影響度Eを利用して各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける機能を発揮可能である。
【0039】
制御影響度Eとは、各空調機5A~5Dが生成する空調能力の変化に対する各温度センサS1~S17の変化の度合いを示すパラメータである。例えば、空調能力の変化に対する各温度センサS1~S17の変化が大きい場合には、当該パラメータは大きな値となる。
【0040】
すなわち、統合制御部1は、位置情報を利用して各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとの距離を認識し、当該距離を利用して制御影響度Eを決定する。本実施形態に係る統合制御部1は、複数の温度センサS1~S17のいずれかと複数の空調機5A~5Dのいずれかとを関連付ける重み付けとして、制御影響度Eを用いる。
【0041】
例えば、空調機5Aが温度センサS1~S17の全てと関連付けられた場合、当該空調機5Aは、制御影響度Eが最も大きくなる温度センサの影響を強く受け、制御影響度Eが最も小さくなる温度センサの影響が小さくなる。
【0042】
なお、本実施形態に係る制御影響度Eは、例えば、以下の数式1により決定される値である。
すなわち、温度センサS1~S17のうちいずれかの温度センサをSi(本実施形態では、i=1~17)とし、複数の空調機5A~5Dのいずれかを空調機5j(本実施形態では、j=A~D)とし、稼働空調の台数をn(本実施形態では、最大4)とし、温度センサSiと空調機5jとの距離をD(i,j)とする。
【0043】
そして、空調機5jの温度センサSiに対する制御影響度E(i,j)は、以下の数式1により決定される値である。
E(i,j)={A-D(i,j)}/{A×(n-1)}・・・・数式1
A=D(i,A)+D(i,B)+D(i,C)+D(i,D)
但し、A及びnには、必要な空調能力が発揮されていない空調機(以下、停止空調機ともいう。)は含まれない。
【0044】
必要な空調能力が発揮されていない空調機とは、例えば、「サーモオフ状態となって事実上停止状態になった空調機」、又は「故障等により運転が停止状態となった空調機」等をいう。稼働空調機とは、故障空調機以外の空調機をいう。
【0045】
このため、本実施形態に係る統合制御部1は、複数の温度センサのうち距離Dが最も短くなる温度センサが空調能力に大きな影響を与えるように、温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける。
【0046】
<関連付け処理の詳細>
図3に示される関連付け処理は、各制御部53と統合制御部1との連携により実現される。関連付け処理は、管理者により手動指示されたとき又は定期的に自動実行される。
【0047】
統合制御部1及び各制御部53は、CPU、ROM及びRAM等を少なくとも有するコンピュータにて構成されているとともに、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されたプログラムに従って関連付け処理を実行する。
【0048】
関連付け処理が統合制御部1にて起動されると、
図3に示されるように、統合制御部1は、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に記憶されている制御影響度E(i,j)が初期設定値であるか否かを判定する(S1)。なお、括弧内のS1等は、
図3に示された符号である。
【0049】
統合制御部1は、初期設定値であると判断した場合には(S1:NO)、S9を実行する。統合制御部1は、初期設定値でないと判断した場合には(S1:YES)、複数の温度センサS1~S17それぞれと各空調機5A~5Dとの距離等、つまり位置情報を取得する(S3)。
【0050】
次に、統合制御部1は、当該取得した位置情報が前回取得した位置情報に対して予め決められた値を超えて変化したか否かを判断する(S5)。統合制御部1は、S5にて変化したと判断した場合には(S5:NO)、S9を実行する。
【0051】
統合制御部1は、S5にて変化していないと判断した場合には(S5:YES)、複数の空調機5A~5Dのうち必要な空調能力が発揮されていない空調機、つまり停止空調機があるか否かを判断する(S7)。
【0052】
統合制御部1は、停止空調機が無いと判断した場合には(S7:NO)、関連付け処理を終了する。換言すれば、統合制御部1は、停止空調機が無いと判断した場合には(S7:NO)現時の関連付けを利用し、関連付けを更新しない。
【0053】
統合制御部1は、停止空調機が有ると判断した場合には(S7:YES)、関連付けを更新するための処理を実行する。具体的には、統合制御部1は、停止空調機以外の空調機、つまり稼働空調機の台数nを取得する(S9)。
【0054】
次に、統合制御部1は、稼働空調機の台数nについての距離D(i,j)を取得して(S11)、制御影響度E(i,j)を演算した後、複数の温度センサS1~S17のいずれかと複数の空調機5A~5Dのいずれかとを関連付ける(S13)。
【0055】
3.本実施形態に係る空調システムの特徴
本実施形態に係る空調システムの関連付け処理は、複数の温度センサS1~S17の位置情報及び複数の空調機5A~5Dの位置情報を利用して各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける。
【0056】
したがって、本実施形態に係る空調システムにでは、いずれかの空調機が停止状態となった場合、又は空調機5A~5Dの設置位置が変更された場合であっても、無監視状態の監視エリアが発生することなく、適切な関連付けを行うことができ得る。
【0057】
関連付け処理は、制御影響度E(i,j)を利用して各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける。これにより、各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dと適切に関連付けられ得る。
【0058】
関連付け処理は、停止空調機があると判断されたときに、各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける。これにより、無駄な関連付け処理が実行されることが抑制され得る。
【0059】
関連付け処理は、取得した位置情報が前回取得した位置情報に対して予め決められた値を超えて変化したと判断されたときに、各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付ける。これにより、無駄な関連付け処理が実行されることが抑制され得る。
【0060】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る発信機4A~4C、発信機6A~6D及び受信機7A~7Dは、床下に設けられた通風路に設けられていた。これに対して、本実施形態に係る発信機4A~4C、発信機6A~6D及び受信機7A~7Dは、床下通風路以外の空間に設けられている。
【0061】
具体的には、
図4は、発信機4A~4C、発信機6A~6D及び受信機7A~7Dがサーバ室SR内に設けられた例である。なお、当該
図4では、発信機4A~4Cはラック3A~3D等に配置され、発信機6A~6D及び受信機7A~7Dは、空調機5A~5Dに配置されている。
【0062】
図5は、発信機4A~4C、発信機6A~6D及び受信機7A~7Dがサーバ室の天井空間に設けられた例である。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0063】
(第3実施形態)
上述の実施形態に係る関連付け処理では、制御影響度E(i,j)の値が重み付けとして利用された。これに対して、本実施形態に係る関連付け処理では、稼働空調機5jは、複数の温度センサS1~S17のうち、制御影響度E(i,j)が最も大きくなる温度センサに関連付けられる。
【0064】
(第4実施形態)
本実施形態に係る関連付け処理は、距離D(i,j)の逆数を制御影響度E(i,j)として利用したものである。そして、稼働空調機5jは、複数の温度センサS1~S17のうち、制御影響度E(i,j)が最も大きくなる温度センサに関連付けられる。
【0065】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は、サーバ室SRに適用された空調システムであった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、ビル用空調システム等の通常の冷房用空調システム又は暖房用空調システムであってもよい。
【0066】
上述の実施形態に係る制御影響度E(i,j)は、数式1により得られる値であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、第4実施形態に示されるように、数式1以外の定義により得られる値であってよい。
【0067】
上述の実施形態に係る温度センサS1~S17及び空調機5A~5Dは、発信機及び受信機が別体であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、発信機若しくは受信機が一体化された温度センサS1~S17、又は発信機若しくは受信機が一体化された空調機5A~5Dを用いた空調システムであってもよい。
【0068】
上述の実施形態に係る空調システムは、制御影響度E(i,j)を利用して各温度センサS1~S17と各空調機5A~5Dとを関連付けた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。
【0069】
上述の実施形態に係る空調システムでは、制御部53にて位置演算機能が実行される構成であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、統合制御部1にて位置演算機能が実行される構成であってもよい。
【0070】
上述の実施形態に係る空調システムでは、統合制御部1にて関連付け処理が実行される構成であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、制御部53にて関連付け処理が実行される構成であってもよい。
【0071】
上述の実施形態に係る関連付け処理では、稼働判断(S7)、位置判断(S5)及び制御影響度が初期設定値であるか否かの判断(S1)が実行される構成であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、S7、S5及びS1のうち少なくとも1つの制御ステップが廃止された関連付け処理であってもよい。
【0072】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0073】
1… 統合制御部
4A~4C… 発信機
5A~5D… 空調機
6A~6D… 発信機
7A~7D… 受信機
51… 冷却器
52… 送風機
53… 制御部
SR… サーバ室
S1~S17… 温度センサ