(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】状態監視装置および状態監視システム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20221025BHJP
G01M 13/045 20190101ALI20221025BHJP
【FI】
G01M99/00 A
G01M13/045
(21)【出願番号】P 2019039666
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2018133003
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 誠
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05744723(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0269118(US,A1)
【文献】特開平06-023968(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043009(WO,A1)
【文献】特開2013-185507(JP,A)
【文献】特開2018-036124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01M 13/00~13/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転トルクが伝達される機器の状態を監視する状態監視装置であって、
前記回転体の回転速度に応じて変化する、前記機器の振動データから生成された特定情報が予め保存された記憶部と、
前記回転体の回転速度および前記機器の振動データを用いて前記機器の異常診断を行なう制御部とを備え、
前記制御部は、前記特定情報を用いて、前記機器の振動データが測定されたときの前記回転体の回転速度を推定
し、
前記特定情報は、基準スペクトルパターンを含み、
前記基準スペクトルパターンは、前記機器の第1振動データから生成された第1周波数スペクトルの各周波数が回転次数に変換されたスペクトルであり、
前記第1振動データは、前記回転体が特定回転速度で回転している状態の前記機器の振動データであり、
前記回転次数は、前記特定回転速度に対応する回転周波数に対する前記第1周波数スペクトルの各周波数の比であり、
前記制御部は、前記機器の第2振動データから生成された第2周波数スペクトルと、前記基準スペクトルパターンの各回転次数に変換係数を乗じることによって得られる第3周波数スペクトルとの類似度を算出し、
前記制御部は、前記変換係数を所定の範囲で変化させたときに、前記類似度が最大となる前記変換係数に基づいて、前記第2振動データが測定されたときの回転速度を推定する、状態監視装置。
【請求項2】
前記第1周波数スペクトルは、前記機器に関する特定周波数および前記特定周波数の高調波周波数のそれぞれを含む複数の周波数帯を含み、
前記基準スペクトルパターンは、前記第1周波数スペクトルにおいて、前記複数の周波数帯に含まれない全ての周波数に対応する強度が0とされた後に、前記第1周波数スペクトルの各周波数が前記回転次数に変換されることによって得られたスペクトルである、請求項
1に記載の状態監視装置。
【請求項3】
前記類似度は、前記第2周波数スペクトルと前記第3周波数スペクトルとの内積である、請求項
1または
2に記載の状態監視装置。
【請求項4】
前記振動データを測定する少なくとも1つの振動センサと、
前記回転速度を測定する回転センサと、
請求項
1~
3のいずれか1項に記載の状態監視装置とを備える、状態監視システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記回転センサから前記回転体の回転速度を取得し、前記回転センサが故障していることを示す条件が成立する場合、推定された回転速度を用いて前記異常診断を行ない、前記条件が成立しない場合、前記回転センサから取得した回転速度を用いて前記異常診断を行なう、請求項
4に記載の状態監視システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの振動センサの数は、2以上であり、
前記状態監視装置の記憶部には、前記特定情報として前記回転体の回転速度と前記機器の振動データの振動値との関係式が予め保存されており、
前記関係式は、前記回転体の回転速度および前記機器の振動データの振動値の、複数の組合せに対する回帰分析によって導かれ、
前記条件が成立する場合において、
前記制御部は、前記基準スペクトルパターンを用いて前記少なくとも1つの振動センサによって測定された複数の振動データにそれぞれ対応する複数の第1回転速度を算出し、
前記複数の第1回転速度の標準偏差がしきい値よりも大きいとき、前記制御部は、前記複数の振動データの振動値にそれぞれ対応する複数の第2回転速度の平均値または中央値を用いて前記異常診断を行ない、
前記標準偏差が前記しきい値よりも小さいとき、前記制御部は、前記複数の第1回転速度の平均値または中央値を用いて前記異常診断を行なう、請求項
5に記載の状態監視システム。
【請求項7】
回転体の回転トルクが伝達される機器の状態を監視する状態監視装置であって、
前記回転体の回転速度に応じて変化する、前記機器の振動データから生成された特定情報が予め保存された記憶部と、
前記回転体の回転速度および前記機器の振動データを用いて前記機器の異常診断を行なう制御部とを備え、
前記制御部は、前記特定情報を用いて、前記機器の振動データが測定されたときの前記回転体の回転速度を推定し、
前記特定情報は、前記回転体の回転速度と前記機器の振動データの振動値との
特定関係式を含み、
前記
特定関係式は、前記回転体の回転速度および前記機器の振動データの振動値の、複数の組合せに対する回帰分析によって導かれ、
前記制御部は、前記回帰分析において前記回転体の回転速度と前記機器の振動データの振動値との関係式を複数の近似法の各々によって近似し、前記複数の近似法によってそれぞれ近似された複数の近似式のうち決定係数が1に最も近い近似式を前記特定関係式として前記記憶部に保存し、
前記制御部は、前記
特定関係式において前記機器の特定振動データの振動値に対応する回転速度を用いて、前記機器の特定振動データが測定されたときの前記回転体の回転速度を推定する
、状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、状態監視装置および状態監視システムに関し、特に回転体から回転トルクが伝達される機器の状態を監視する状態監視装置および状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体から回転トルクが伝達される機器の状態を監視する状態監視装置、および状態監視システムが知られている。たとえば、特開2013-185507号公報(特許文献1)には、風力発電装置に設けられる機器(たとえば主軸受および増速機)の振動データから算出される診断パラメータがしきい値を超えるか否かを判定することによって、当該機器の状態の診断を行なう状態監視システムが開示されている。当該状態監視システムによれば、風力発電装置の運転条件が診断運転条件を満たす場合に測定された振動データからしきい値が生成されることにより、風力発電装置に設けられた機器に対する異常診断を精度よく行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている状態監視システムにおいては、回転体から回転トルクが伝達される機器の振動データから回転周波数成分、および当該回転周波数の高調波周波数成分が診断パラメータとして算出され、当該診断パラメータを用いた異常診断が行なわれる。当該診断パラメータの算出には回転体の回転速度が必要である。通常、当該回転速度は回転センサによって測定される。
【0005】
特許文献1に開示されている状態監視システムのように、回転体から回転トルクが伝達される機器の異常診断に当該回転体の回転速度が必要である場合、回転センサの故障等により回転センサから回転体の回転速度が取得できないと、当該機器に対する異常診断が困難になる。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る状態監視装置は、回転体の回転トルクが伝達される機器の状態を監視する。状態監視装置は、記憶部と、制御部とを備える。記憶部には、回転体の回転速度に応じて変化する、機器の振動データから生成された特定情報が予め保存されている。制御部は、回転体の回転速度および機器の振動データを用いて機器の異常診断を行なう。制御部は、特定情報を用いて、機器の振動データが測定されたときの回転体の回転速度を推定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る状態監視装置においては、回転体の回転速度に応じて変化する、機器の振動データから生成された特定情報を用いて回転体の回転速度を推定するため、当該回転体の回転速度を用いた異常診断が中断されることがない。本発明に係る状態監視装置によれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る状態監視システムの監視対象の機器を含む風力発電装置の外観図である。
【
図2】
図1の風力発電装置のナセルの内部を概略的に示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る状態監視システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3の制御部によって行なわれる異常診断の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】異常診断に先立って制御部によって行なわれる基準スペクトルパターン作成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図5の周波数スペクトル作成処理において作成される周波数スペクトルの一例を示す図である。
【
図7】
図6の周波数スペクトルから特徴周波数帯が抽出された周波数スペクトルを示す図である。
【
図8】
図7の周波数スペクトルの各周波数が回転次数に変換された基準スペクトルパターンを示す図である。
【
図9】
図4に示されるフローチャートの回転速度設定処理の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図9の回転速度推定処理の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】(a)基準スペクトルパターンの一例と、(b)異常診断時に測定された振動データから作成された周波数スペクトルの一例とを併せて示す図である。
【
図12】参照周波数スペクトル(点線)と
図11の周波数スペクトル(実線)とを重ねて示す図である。
【
図13】実施の形態2に係る状態監視装置が収容される、風力発電装置のナセルの内部を概略的に示す図である。
【
図14】実施の形態2に係る状態監視システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図15】
図14の制御部によって行なわれる異常診断の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】異常診断に先立って、実施の形態3に係る制御部によって行なわれる回転速度および振動値の関係式の導出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】増速機のおよび主軸の回転速度の複数の組合せの各々に指定される点がプロットされた座標平面を振動値示す図である。
【
図18】主軸の振動値および主軸の回転速度の複数の組合せの各々に指定される点がプロットされた座標平面を示す図である。
【
図19】実施の形態3における回転速度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図20】実施の形態3の変形例における異常診断の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態4に係る状態監視装置を収容するナセルの内部を概略的に示す図である。
【
図22】実施の形態4に係る状態監視システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図23】実施の形態4において行なわれる回転速度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図24】
図23の回転速度推定処理の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る状態監視システムの監視対象の機器を含む風力発電装置10の外観図である。
図1に示されるように、風力発電装置10のタワー100の上端部には、ナセル90およびロータヘッド20が設けられている。ロータヘッド20には風力発電装置10の主軸の先端部分が接続されている。主軸はナセル90内部で支持され、増速機へと接続されている。ロータヘッド20には複数のブレード30が取り付けられている。
【0012】
風力発電装置10は、風力の強さに応じてブレード30の風の方向に対する角度(以下、ブレードピッチともいう。)を変化させることによって、適度な回転を得ている。風車の起動および停止を行なう場合にも同様に、ブレードピッチが制御される。その結果、風から得ることのできるエネルギーの量を調整することができる。強風時などでは、風車の回転を抑制するためにブレードの風受け面(翼面、あるいは羽面ともいう。)を風の方向と平行にする。
【0013】
図2は、
図1の風力発電装置10のナセル90の内部を概略的に示す図である。
図2に示されるように、ナセル90には、主軸22(回転体)と、ブレード30と、増速機40と、発電機50と、主軸受60と、加速度センサ70と、状態監視装置80とを備える。増速機40、発電機50、主軸受60、加速度センサ70(振動センサ)、回転センサ77、および状態監視装置80は、ナセル90に格納される。ナセル90は、タワー100によって支持される。
【0014】
主軸22は、ナセル90内に進入して増速機40の入力軸に接続される。主軸22は、主軸受60によって回転自在に支持される。主軸22は、風力を受けたブレード30により発生する回転トルクを増速機40の入力軸へ伝達する。ブレード30は、ロータヘッド20を介して、主軸22の先端に設けられ、風力を回転トルクに変換して主軸22に伝達する。
【0015】
主軸受60は、ナセル90内において固設され、主軸22を回転自在に支持する。主軸受60は、転がり軸受によって構成され、たとえば、自動調芯ころ軸受や円すいころ軸受、円筒ころ軸受、あるいは玉軸受等によって構成される。なお、これらの軸受は、単列のものでも複列のものでもよい。
【0016】
加速度センサ70は、増速機40の上面に設置され、増速機40の振動データを測定する。回転センサ77は、主軸受60の内部に配置され、主軸22の回転速度を測定する。
【0017】
増速機40は、主軸22と発電機50との間に設けられ、主軸22の回転速度を増速して発電機50へ出力する。一例として、増速機40は、遊星ギヤ、中間軸、および高速軸等を含む歯車増速機構によって構成される。なお、特に図示しないが、増速機40内にも、複数の軸を回転自在に支持する複数の軸受が設けられている。
【0018】
発電機50は、増速機40の出力軸に接続され、増速機40から受ける回転トルクによって発電する。発電機50は、たとえば、誘導発電機によって構成される。なお、この発電機50内にも、ロータを回転自在に支持する軸受が設けられている。
【0019】
状態監視装置80は、ナセル90の内部に設けられ、加速度センサ70によって測定された振動データ、および回転センサ77によって測定された回転速度を受ける。状態監視装置80は、加速度センサ70および回転センサ77と不図示の有線ケーブルで接続されている。
【0020】
図3は、実施の形態1に係る状態監視システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3に示されるように、状態監視システム1は、加速度センサ70と、回転センサ77と、状態監視装置80とを備える。状態監視装置80は、制御部81と、記憶部82と、表示部83とを含む。
【0021】
加速度センサ70は、たとえば圧電素子を用いた加速度センサである。加速度センサ70は、監視対象の加速度を測定し、制御部81に出力する。回転センサ77は、主軸22の回転速度を測定し、制御部81に出力する。
【0022】
制御部81は、加速度センサ70によって測定された振動データ、および主軸22の回転速度を用いて監視対象に対する異常診断を行なう。制御部81は、CPU(Central Processing Unit)のようなコンピュータを含む。
【0023】
記憶部82は、不揮発性のメモリを含む。記憶部82には、加速度センサ70によって測定された振動データが保存される。記憶部82には、増速機40に含まれる歯車のかみ合い周波数、あるいは当該歯車のかみ合い周波数を求めるために必要な情報(たとえば歯車の歯数、および主軸22の回転速度に対する歯車の回転速度の比)が予め保存されている。表示部83には、制御部81によって行なわれた異常診断の結果が表示される。
【0024】
図4は、
図3の制御部81によって行なわれる異常診断の処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示される処理は、
図3の状態監視システム1を統合的に制御する不図示のメインルーチンによって呼び出される。以下ではステップを単にSと記載する。
【0025】
図4に示されるように、制御部81は、S100において加速度センサ70から振動データを取得し、処理をS200に進める。制御部81は、S200において、異常診断に用いる主軸22の回転速度を取得し、処理をS300に進める。制御部81は、S300において、監視対象の異常診断を行なう。制御部81は、S400において異常診断の結果を表示部83に表示して処理をメインルーチンに返す。
【0026】
S400においては、たとえば、増速機40の振動データから歯車のかみ合い周波数成分、および当該かみ合い周波数の高調波周波数成分が診断パラメータとして算出され、当該診断パラメータを用いて異常診断が行なわれる。歯車のかみ合い周波数を算出するには、主軸22の回転速度が必要である。
【0027】
状態監視システム1において、回転センサ77の故障により回転センサ77から主軸22の回転速度が取得できない場合、監視対象に対する異常診断を行なうことが困難になる。
【0028】
そこで、状態監視システム1においては、異常診断に先立って、回転センサ77が正常な状態で監視対象の振動データを測定し、当該振動データおよび回転センサ77によって測定された回転速度を用いて基準スペクトルパターンを作成する。異常診断時においては、回転センサ77から主軸22の回転速度が取得できない場合、基準スペクトルパターンを用いて主軸22の回転速度を推定する。状態監視システム1においては、回転体の回転速度の推定機能により、回転センサ77の故障等により異常診断が中断されることがない。状態監視システム1によれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。
【0029】
図5は、異常診断に先立って制御部81によって行なわれる基準スペクトルパターン作成処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示されるように制御部81は、S11において、加速度センサ70から振動データ(第1振動データ)を取得し、処理をS12に進める。制御部81は、S12において回転センサ77から主軸の回転速度(特定回転速度)を取得し、処理をS13に進める。制御部81は、S13において振動データから周波数スペクトル(第1周波数スペクトル)を作成し、処理をS14に進める。制御部81は、S14において周波数スペクトルにおいて特徴周波数帯(特徴周波数を含む周波数帯)に含まれない全ての周波数に対応する強度を0として処理をS15に進める。制御部81は、S15において、周波数スペクトルの各周波数を回転次数(特定回転速度に対応する回転周波数に対する周波数スペクトルの各周波数の比)に変換して基準スペクトルパターンを作成し、処理をS16に進める。制御部81は、S16において、基準スペクトルパターン(特定情報)を記憶部82に保存して処理をメインルーチンに返す。
【0030】
図6は、
図5の周波数スペクトル作成処理(S13)において作成される周波数スペクトルの一例を示す図である。
図6において、特徴周波数f
1~f
7は、増速機40に含まれる歯車のかみ合い周波数(特定周波数)およびかみ合い周波数の高調波周波数である。
【0031】
図6に示されるように、特徴周波数f
1~f
7近傍においては、周波数スペクトルの特徴を表すピークが生じることが多い。そこで、状態監視システム1においては、
図7に示されるように、特徴周波数f
1~f
7のそれぞれを含む特徴周波数帯B
1~B
7の成分を周波数スペクトルから抽出するとともに、特徴周波数帯B
1~B
7に含まれない全ての周波数に対応する強度を0とする。状態監視システム1においては、周波数帯B
nは、特徴周波数f
nの±5%以内の範囲(0.95・f
n~1.05・f
n)である。
【0032】
図8は、
図7の周波数スペクトルの各周波数が回転次数に変換された基準スペクトルパターンを示す図である。基準スペクトルパターンは、主軸22の回転周波数の何倍の周波数近傍に特徴的なピークが発生するかを示すスペクトルである。基準スペクトルパターンは、異常診断に先立って作成され、記憶部82に保存される。
【0033】
図9は、
図4に示されるフローチャートの回転速度設定処理(S200)の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示されるように、制御部81は、S210において、回転センサ77から回転速度ω
rを取得し、処理をS220に進める。制御部81は、S220において振動データの振動値を算出し、処理をS230に進める。
【0034】
振動値は、振動エネルギーに相関するパラメータであれば、どのような値を用いてもよい。振動値としては、たとえば実効値(Root Mean Square)、あるいはOA(Overall)値を挙げることができる。振動値は、周波数帯域が限定された振動データから算出されることが望ましい。振動データの周波数帯域が限定されることにより、たとえば振動データへのノイズの混入が除外されたり、あるいは振動データへの外乱振動の影響を低減することができるため、振動値を用いる異常診断の精度を向上させることができる。
【0035】
制御部81は、S230において回転センサ77が故障しているか否かを判定する。具体的には、回転速度ωrの絶対値がしきい値δ以下であり、かつ振動値がしきい値th以上という故障条件が成立する場合に、制御部81は、回転センサ77が故障していると判定する。回転速度ωrの絶対値がしきい値δ以下である場合とは、回転速度ωrを0と近似することができる程度に回転速度ωrの絶対値が小さい場合である。振動値がしきい値th以上である場合とは、監視対象に無視することができない程度に振動が発生している場合である。すなわち、主軸22が十分に回転して回転トルクが増速機40に伝達されて、増速機40に無視することができない程度の振動が発生している場合である。このような場合に回転速度ωrの絶対値がしきい値δ以下であることは、回転センサ77が主軸22の実際の回転速度を測定できていないことを意味する。
【0036】
故障条件が成立しない場合(S230においてNO)、制御部81は、S240において回転センサ77からの回転速度ωrを異常診断用の回転速度に設定して、処理をメインルーチンに返す。故障条件が成立する場合(S230においてYES)、制御部81は、S250において回転速度推定処理を行ない、推定された回転速度を異常診断用の回転速度に設定して処理をメインルーチンに返す。
【0037】
図10は、
図9の回転速度推定処理(S250)の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。制御部81は、S251において、振動データから周波数スペクトル(第2周波数スペクトル)を作成し、処理をS252に進める。制御部81は、S252において、変換係数ν
kを所定の範囲(ν
min≦ν
k≦ν
max)で変化させて、各変換係数ν
kについて、周波数スペクトルと参照周波数スペクトル(第3周波数スペクトル)との内積を両者の類似度sm(ν
k)として算出し、処理をS253に進める。参照周波数スペクトルは、基準スペクトルの各回転次数に変換係数ν
kを乗じることによって得られるスペクトルである。類似度sm(ν
k)は、以下の式(1)に従って算出される。式(1)において、F
mes(f)は、周波数fにおける周波数スペクトルの強度である。F
ref(ν
k)(f)は、周波数fにおける参照周波数スペクトルの強度である。
【0038】
【0039】
制御部81は、S253において、類似度sm(νk)が最大となる変換係数νMを以下の式(2)に従って特定し、処理をS254に進める。
【0040】
【0041】
制御部81は、S254において、変換係数νMを主軸22の回転周波数として、当該回転周波数νMに対応する回転速度ωfを異常診断用の回転速度に設定して処理をメインルーチンに返す。回転速度ωfは、振動データが測定されたときの主軸22の回転速度として推定された回転速度である。
【0042】
以下では、
図11および
図12を用いて、
図10の類似度算出処理(S252)において算出される2つのスペクトルの内積と当該2つのスペクトルとの重なりの関係について説明する。
【0043】
図11は、(a)基準スペクトルパターンの一例と、(b)異常診断時に測定された振動データから作成された周波数スペクトルの一例とを併せて示す図である。
図11(a)に示されるように、回転次数r11~r14は特徴周波数に対応する回転次数であり、回転次数r11~r14においてピークが生じている。
【0044】
図12は、参照周波数スペクトル(点線)と
図11の周波数スペクトル(実線)とを重ねて示す図である。
図12(a)~(c)の参照周波数スペクトルは、
図11(a)の基準スペクトルパターンの各回転次数に変換係数ν
1~ν
3(ν
min≦ν
1<ν
2<ν
3≦ν
max)をそれぞれ乗じることによって得られたスペクトルである。
図12において、参照周波数スペクトルと周波数スペクトルとが重なっている領域に斜線を付している。
【0045】
図12に示されるように、参照周波数スペクトルと周波数スペクトルとが重なっている領域の面積は、
図12(a)~(c)の中では、
図12(b)の場合が最も大きい。参照周波数スペクトルと周波数スペクトルとが重なっている領域の面積が大きいほど、式(1)に従って算出される内積は大きい。参照周波数スペクトルと周波数スペクトルとが類似しているほど両者が重なっている領域の面積が大きくなるため、状態監視システム1においては両者の内積を類似度として用いている。
【0046】
実施の形態1においては、振動センサとして加速度センサを用いる場合について説明した。振動センサは、加速度センサに限定されず、たとえば、速度センサ、変位センサ、AE(Acoustic Emission)センサ、超音波センサ、温度センサ、あるいは音響センサを用いてもよい。
【0047】
また、実施の形態1に係る状態監視システムの制御部は、振動センサから得られた振動データを実効値、ピーク値、OA値、あるいは所定の時間間隔における平均値などの振動値に変換することができる。さらに、制御部は、ローパスフィルター、ハイパスフィルター、あるいはバンドパスフィルターなどのフィルターを選択し、振動データが測定される周波数帯を限定することができる。
【0048】
実施の形態1においては、風力発電装置の主軸の回転速度を用いて異常診断行なう場合について説明したが、異常診断に用いられる回転速度は当該主軸の回転速度に限定されない。また、実施の形態1においては、異常診断の対象が風力発電装置の増速機の場合について説明したが、異常診断の対象は当該増速機に限定されない。
【0049】
以上、実施の形態1に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。
【0050】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、回転センサを含む異常診断システムについて説明した。実施の形態2においては、回転センサを含まない異常診断システムについて説明する。
【0051】
実施の形態2と実施の形態1との違いは、実施の形態2においては回転センサが用いられないという点である。実施の形態2においては、実施の形態1の
図2~
図4が、
図13~
図15にそれぞれ置き換えられる。
【0052】
図13は、実施の形態2に係る状態監視装置80Bを収容するナセル90の内部を概略的に示す図である。
図13に示されるナセル90の内部構成は、
図2のナセル90の内部構成から回転センサ77が除かれるとともに、状態監視装置80が状態監視装置80Bに置き換えられた構成である。それら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0053】
図14は、実施の形態2に係る状態監視システム2の機能構成を示す機能ブロック図である。
図14に示される状態監視システム2の構成は、
図3の状態監視システム1の構成から回転センサ77が除かれるとともに、制御部81が制御部81Bに置き換えられた構成である。それら以外の構成は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0054】
制御部81Bは、監視対象の設計データなどに基づいて
図5のS11~S15に相当する処理をシミュレーションする。記憶部82には、当該シミュレーションによって作成された基準スペクトルパターンが異常診断に先立って保存される。
【0055】
図15は、
図14の制御部81Bによって行なわれる異常診断の処理の流れを示すフローチャートである。
図15に示される処理は、
図4のS200が
図9のS250に置き換えられた処理である。状態監視システム2においては、主軸22の実際の回転速度が異常診断に用いられることはなく、推定された回転速度が異常診断に用いられる。
【0056】
以上、実施の形態2に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。また、実施の形態2に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、回転センサが不要であるため、状態監視システムのコストを低減することができる。
【0057】
[実施の形態3]
実施の形態1および実施の形態2においては、基準スペクトルパターンを用いて回転体の回転速度を推定する場合について説明した。実施の形態3においては、回転体の回転速度および機器の振動データの振動値の、複数の組合せに対する回帰分析によって導かれた関係式を用いて、回転体の回転速度を推定する場合について説明する。
【0058】
実施の形態3に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、基準スペクトルパターンを作成することが困難な場合(たとえば風力発電装置が増速機を備えない場合、あるいは増速機の歯車のかみ合い振動が風力発電装置全体の振動と比べて極端に小さい場合)でも、回転体の回転速度を精度よく推定することができる。
【0059】
実施の形態3と実施の形態1との違いは、異常診断に先立って制御部によって行われる処理、および回転速度設定処理である。すなわち、実施の形態1の
図5および
図9が、
図16および
図19にそれぞれ置き換えられる。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0060】
図16は、異常診断に先立って、実施の形態3に係る制御部によって行なわれる回転速度および振動値の関係式の導出処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図16において、測定回数Nの初期値は0である。
【0061】
図16に示されるように制御部は、S21において、測定回数Nに1を足して処理をS22に進める。制御部は、S22において、加速度センサ70から振動データを取得し、処理をS23に進める。制御部は、S23において回転センサ77から主軸の回転速度ω
rを取得し、処理をS24に進める。制御部は、S24において、S22で取得した振動データの振動値を算出し、処理をS25に進める。制御部は、S25において、S23で取得した回転速度ω
rおよびS24で算出した振動値を関連付けて記憶部に保存し、処理をS26に進める。
【0062】
制御部は、S26において、測定回数Nが予定回数N1より小さいか否かを判定する。測定回数Nが予定回数N1より小さい場合(S26においてYES)、制御部は、S27において主軸の回転速度ωrを変更し、処理をS21に戻す。
【0063】
測定回数Nが予定回数N1以上である場合(S26においてNO)、制御部は、S28において、記憶部に保存されている振動値および回転速度ωrの複数の組合せに対して回帰分析を行なって、振動値および回転速度ωrの関係式を複数の近似法の各々によって近似し、処理をS29に進める。S28において用いられる近似法は、たとえば多項式近似、指数近似、および線形近似である。制御部は、S29において、S28で算出された複数の近似式各々の決定係数R2を算出し、決定係数R2が1に最も近い近似式を振動値および回転速度ωrの関係式(特定情報)として記憶部に保存し、処理をメインルーチンに返す。
【0064】
図17は、増速機の振動値VP
1および主軸の回転速度ω
rの複数の組合せの各々に指定される点がプロットされた座標平面を示す図である。
図17に示されるように、増速機の振動値VP
1および主軸の回転速度ω
rの関係は、曲線C1として近似される。曲線C1に対応する関係式は、以下の式(3)のように表される。式(3)の決定係数R
2は、0.9806である。
【0065】
【0066】
なお、主軸の回転速度ω
rの推定に用いられる振動値は、増速機の振動データから算出された振動値に限定されない。たとえば、振動値は、主軸の振動データから算出されてもよい。
図18は、主軸の振動値VP
2および主軸の回転速度ω
rの複数の組合せの各々に指定される点がプロットされた座標平面を示す図である。
図18に示されるように、主軸の振動値VP
2および主軸の回転速度ω
rの関係は、曲線C2として近似される。曲線C2に対応する関係式は、以下の式(4)のように表される。式(4)の決定係数R
2は、0.999である。
【0067】
【0068】
記憶部には、振動値および回転速度ωrの複数の関係式が保存されてもよい。たとえば、増速機の振動値および主軸の回転速度ωrの関係式、および主軸の振動値および主軸の回転速度ωrの関係式が記憶部に保存されてもよい。
【0069】
図19は、実施の形態3における回転速度設定処理の流れを示すフローチャートである。
図19に示される処理は、
図9のS250が、S260に置き換えられた処理である。
【0070】
図19に示されるように、制御部は、S210、S220、およびS230を行なう。S230においてNOの場合、制御部は、S240を行なって処理をメインルーチンに返す。S230においてYESの場合、制御部は、S260において、記憶部に保存されている関係式を用いてS220で算出した振動値に対応する回転速度ω
cを算出し、回転速度ω
cを異常診断用の回転速度に設定して、処理をメインルーチンに返す。
【0071】
なお、実施の形態2と同様に、異常診断において回転センサを用いずに、記憶部に保存されている関係式において振動値に対応する回転速度ω
cを異常診断用の回転速度に設定してもよい。この場合の異常診断の処理は、
図20に示されるように、
図15のS250が
図19のS260に置き換えられた処理である。
【0072】
以上、実施の形態3に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。
【0073】
[実施の形態4]
実施の形態1~3においては状態監視システムに含まれる加速度センサの数が1つである場合について説明した。実施の形態4においては、状態監視システムに含まれる加速度センサが複数である場合について説明する。
【0074】
実施の形態4と実施の形態1との違いは、状態監視システムに含まれる加速度センサが複数である点、ならびに基準スペクトルパターンを用いた回転速度の推定および振動値と回転速度との関係式を用いた回転速度の推定が異常診断において使い分けられる点である。すなわち、実施の形態4においては、実施の形態1の
図2、
図3、
図9、および
図10が、
図21~
図24にそれぞれ置き換えられる。実施の形態4に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、振動データに含まれるノイズによる回転速度の推定精度の低下を抑制することができる。
【0075】
図21は、実施の形態4に係る状態監視装置80Dを収容するナセル90の内部を概略的に示す図である。
図21に示されるナセル90の内部構成は、
図2の増速機40に複数の加速度センサ70が設置されているとともに、状態監視装置80が状態監視装置80Dに置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0076】
図22は、実施の形態4に係る状態監視システム4の機能構成を示す機能ブロック図である。状態監視システム4の構成は、
図3の状態監視システム1の構成に、1つ以上の加速度センサ70が加えられているとともに、状態監視装置80が状態監視装置80Dに置き換えられた構成である。状態監視装置80Dの構成は、状態監視装置80の制御部81が制御部81Dに置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0077】
制御部81Dは、複数の加速度センサ70の各々から振動データを受ける。制御部81Dは、異常診断に先立って、
図5に示される処理を各振動データに対して行なう。制御部81Dは、異常診断に先立って、
図16に示される処理を各振動データに対して行なう。その結果、記憶部82には、複数の基準スペクトルパターン、ならびに増速機40の振動値および主軸22の回転速度の関係式が保存される。
【0078】
図23は、実施の形態4において行なわれる回転速度設定処理の流れを示すフローチャートである。
図23に示されるフローチャートは、
図9に示されるS220、S230、およびS250が、S224、S234、およびS270にそれぞれ置き換えられたフローチャートである。
【0079】
図23に示されるように、制御部81Dは、S210を行なった後にS224において複数の加速度センサ70から受けた各振動データの振動値を算出し、処理をS234に進める。制御部81Dは、S234において回転センサ77が故障しているか否かを判定する。具体的には、回転速度ω
rの絶対値がしきい値δ以下であり、かつ振動値の平均値がしきい値th1以上という故障条件が成立する場合に、制御部81Dは、回転センサ77が故障していると判定する。
【0080】
故障条件が成立しない場合(S234においてNO)、制御部81Dは、S240を行なって処理をメインルーチンに返す。故障条件が成立する場合(S234においてYES)、制御部81Dは、S270において回転速度推定処理を行ない、推定された回転速度を異常診断用の回転速度に設定して処理をメインルーチンに返す。
【0081】
図24は、
図23の回転速度推定処理(S270)の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。制御部81Dは、S271において、各振動データに対して
図10に示される処理を行なって各振動データに対応する回転速度ω
fを算出し、処理をS272に進める。
【0082】
制御部81Dは、S272において複数の回転速度ω
fの標準偏差がしきい値th2以上か否かを判定する。複数の回転速度ω
fの標準偏差がしきい値th2以上である場合(S272においてYES)、複数の振動データに含まれるノイズのレベルが大きく、回転速度ω
fの精度が低いとして、処理をS273に進める。制御部81Dは、S273において、記憶部に保存されている関係式を用いて、
図23のS224で算出した複数の振動値の各々に対応する回転速度ω
cを算出し、処理を
図24のS274に進める。制御部81Dは、S274において、複数の回転速度ω
cの平均値を異常診断用の回転速度に設定して処理をメインルーチンに返す。S274において、複数の回転速度ω
cの中央値が異常診断用の回転速度に設定されてもよい。
【0083】
回転速度ωfの標準偏差がしきい値th2未満である場合(S272においてNO)、制御部81Dは、S275において回転速度ωfの平均値を異常診断用の回転速度に設定して処理をメインルーチンに返す。S275において回転速度ωfの中央値が異常診断用の回転速度に設定されてもよい。
【0084】
以上、実施の形態4に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、回転体から回転トルクが伝達される機器に対する異常診断の安定性を向上させることができる。また、実施の形態4に係る状態監視装置および状態監視システムによれば、複数の加速度センサによって測定された振動データに含まれるノイズのレベルに応じて、異常診断において、基準スペクトルパターンを用いた回転速度の推定および振動値と回転速度との関係式を用いた回転速度の推定が使い分けられるため、振動データに含まれるノイズによる回転速度の推定精度の低下を抑制することができる。
【0085】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1,2 状態監視システム、10 風力発電装置、20 ロータヘッド、22 主軸、30 ブレード、40 増速機、50 発電機、60 主軸受、70 加速度センサ、77 回転センサ、80,80B,80D 状態監視装置、81,81B,81D 制御部、82 記憶部、83 表示部、90 ナセル、100 タワー。