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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】排熱回収装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20221025BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20221025BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N13/08 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019094438
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2019203503
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2018098008
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 史朗
(72)【発明者】
【氏名】林田 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】鱒渕 宏章
(72)【発明者】
【氏名】久永 徹
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝文
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-31669(JP,A)
【文献】特開2009-209913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排ガスが導かれる主排気流路を有したバイパス部と、
前記バイパス部に隣接して配置され、前記排ガスと熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器を有した熱交換部と、
前記バイパス部から前記熱交換部に前記排ガスが流入する前記排ガスの上流側に配置されるガス流入口と、
前記熱交換部から前記バイパス部に前記排ガスが流出する前記ガス流入口より前記排ガスの下流側に配置されるガス流出口と、
前記ガス流出口より前記排ガスの下流側に配置され、前記バイパス部を開閉する弁体を有するバルブと、
前記弁体を回動するバルブ切換機構と
を備え、
前記バルブ切換機構は、前記弁体を回動させる際に進退するロッドを備え、
前記バルブ切換機構は、前記排ガスの流通方向と前記ロッドの進退方向とが交差するように、前記バイパス部と前記熱交換部とを横断して配置されていることを特徴とする排熱回収装置。
【請求項2】
前記バルブ切換機構は、前記バイパス部の外側に設けられるブラケットによって保持されることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収装置。
【請求項3】
前記ブラケットは、熱伝導体で構成され、前記熱交換部と対向する位置に設けられることを特徴とする請求項2に記載の排熱回収装置。
【請求項4】
前記バルブ切換機構は、前記ロッドを収容するロッド収容部と、前記熱交換された熱媒体を排出する排出管を有したシリンダ部とを備え、
前記ロッド収容部と前記シリンダ部とは加締め締結により接合されていることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収装置。
【請求項5】
前記シリンダ部は、該シリンダ部にろう付けにより一体的に接合されたフランジを介して前記熱交換部の筐体に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の排熱回収装置。
【請求項6】
前記フランジにろう付けされる箇所の前記シリンダ部はD形状であることを特徴とする請求項5に記載の排熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排熱回収装置に関する技術は種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたものは、内燃機関の排ガスを導入する主排気流路と、主排気流路から分岐し当該主排気流路に合流する迂回流路と、迂回流路に介装され、当該迂回流路内の排ガスを導入し内燃機関の冷却媒体と熱交換を行う熱交換器と、熱交換器の下流側で主排気流路及び迂回流路を開閉する弁装置(バルブ)を備え、弁装置と熱交換器との間の迂回流路を、再循環流路を介して排ガス再循環装置に連通接続するように構成されている。
【0004】
また、弁装置(バルブ)を回動するバルブ切換機構(アクチュエータ等)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-44666公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に係る排熱回収装置では、バルブ切換機構(アクチュエータ)が、排ガスの流れと並行して配置されていたので、車両の前後方向の寸法が大きくなり、排熱回収装置の全体サイズが大型化するという不都合があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題を解決すべくなされたものであり、全体サイズのコンパクト化を図ることのできる排熱回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排熱回収装置は、内燃機関から排ガスが導かれる主排気流路を有したバイパス部と、前記バイパス部に隣接して配置され、前記排ガスと熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器を有した熱交換部と、前記バイパス部から前記熱交換部に前記排ガスが流入する前記排ガスの上流側に配置されるガス流入口と、前記熱交換部から前記バイパス部に前記排ガスが流出する前記ガス流入口より前記排ガスの下流側に配置されるガス流出口と、前記ガス流出口より前記排ガスの下流側に配置され、前記バイパス部を開閉する弁体を有するバルブと、前記弁体を回動するバルブ切換機構とを備え、前記バルブ切換機構は、前記弁体を回動させる際に進退するロッドを備え、前記バルブ切換機構は、前記排ガスの流通方向と前記ロッドの進退方向とが交差するように、前記バイパス部と前記熱交換部とを横断して配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排ガスの流通方向の寸法を小さくして全体サイズのコンパクト化を図ることのできる排熱回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る排熱回収装置の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る排熱回収装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る排熱回収装置の外観を示す斜視図である。
図4】上記第2実施形態に係る排熱回収装置のバルブ切換機構の平面図である。
図5】上記第2実施形態に係る排熱回収装置のバルブ切換機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係る排熱回収装置1を示す断面図、図2は、排熱回収装置1の外観を示す斜視図である。
【0013】
(排熱回収装置の全体構成)
本発明の実施形態に係る排熱回収装置1は、内燃機関の排気管の途中に配設されて、内燃機関から排出される排ガスの熱を回収するための装置であり、排ガスの熱回収を行う熱回収モードと、熱回収を行わない熱非回収モードとを有する。
【0014】
なお、説明の便宜上、図1上において、排熱回収装置1の上側を上部、下側を下部と定義する。
【0015】
図1に示すように、実施形態に係る排熱回収装置1は、図示しない内燃機関から排ガスG1が導かれるバイパス部20(なお、排ガスG1が熱交換器111をバイパス(迂回)するという意味で「バイパス部」と称する)から成る主排気流路20Aと、排ガスG1が主排気流路20Aからガス流入口11を通って分岐され、排ガスG1がガス流出口12を通過して主排気流路20Aに戻る熱交換部10で構成される熱交換流路10Aと、熱交換流路10A内に配置され、排ガスG1と冷却水等から成る熱媒体Wとの間で熱交換を行う熱交換器111と、ガス流入口11より下流位置の主排気流路20Aに配置され、この主排気流路20Aを開閉する弁体135を有するバルブ30(所謂フラップ型のバルブ)と、弁体135を回動するバルブ切換機構(アクチュエータ200等)から構成されている。
【0016】
そして、図2に示すように、バルブ切換機構としてのアクチュエータ200は、排ガスの流通方向D1とロッドの進退方向D2とが交差するように、主排気流路20Aと熱交換流路10Bとを横断して配置されている。
【0017】
これにより、排ガスG1の流通方向D1とロッド250の進退方向D2とが並行して配置される構成に比して、排熱回収装置1の長手方向(排ガスの流路方向)の寸法を小さくすることができ、排熱回収装置1全体の小型化を図ることができる。
【0018】
なお、アクチュエータ200の構成例については後述する。
【0019】
また、ガス流出口12から主排気流路20Aに戻る排ガスG1eは、閉位置P1の弁体135に閉塞されない補助流路155を通ってバルブ30の上流側からバルブ30の周囲を抜けて主排気流路20Aに戻るように構成されている。
【0020】
このような構成により、バルブ30の弁体135が閉じられた熱回収モードでは、内燃機関から排出された排ガスG1a、G1bが熱交換流路10Aを通り、熱交換器111で熱媒体Wとの熱交換が行われて排熱を回収することができる。
【0021】
また、バルブ30の弁体135が開かれた熱非回収モードでは、熱非回収モードでは、熱交換流路10Aの排ガスG1aの流入も僅かとなるが、流入した排ガスが該補助流路155を通して前記バルブ30の上流側に戻って、該バルブの開度劣化の影響を受けるので、熱交換器流路10Aの差圧が変動し難くなるため、熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収を確実に防止することができる。また、補助流路155が断熱空気層として機能するので、バイパス部20側からの熱の伝達を抑制することができる。これにより、熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収をより確実に抑制することができる。
【0022】
なお、バルブ30の弁体135が、後述するようなサーモアクチュエータ200等で開閉される場合には、アクチュエータの経年劣化等によってバルブ開度にバラツキを生じる場合があるが、本実施形態に係る排熱回収装置1によれば、バルブ開度にバラツキが発生した場合であってもバルブ開度差により熱交換器流路の差圧が変動しないため熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収を確実に防止することができる。また、バルブ30の弁体135が開かれた熱非回収モードでは、補助流路155への排ガスG1dの流入も止まり、補助流路155が断熱空気層として機能するので、バイパス部20側からの熱の伝達を抑制することができる。これにより、熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収をより確実に抑制することができる。
【0023】
また、熱交換流路10Aには、熱交換器111の側面(図1上は上面)の主排気流路20A側に、熱交換器111を通過した排ガスG1dがガス流出口12に向かってUターンして流れるリターン流路17が設けられている。
【0024】
このような構成により、バルブ30の弁体135が開かれた熱非回収モードでは、リターン流路17に排ガスG1dが流れないため、リターン流路17が熱交換器111と主排気流路20Aとの間に介在される断熱空気層として機能する。これにより、主排気流路20Aを流れる高温の排ガスG1f、G1gの熱が熱交換器111に伝達されるのを極力避けることができ、熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収をより確実に抑制することができる。
【0025】
また、バルブ30の弁体135が閉じられた熱回収モードでは、リターン流路17を流れる排ガスG1eが熱交換器111との間で再度熱交換を行い、残熱回収できるので、熱交換効率を向上することができる。
【0026】
さらに、ガス流入口11より下流側には、主排気流路20Aと熱交換流路10Aとの間に断熱空気層125が形成されている。
【0027】
これにより、バルブ30の弁体135が開かれた熱非回収モードでは、主排気流路20Aを流れる高熱が熱交換流路10Aに伝達されるのを極力避けることができ、熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収をより確実に抑制することができる。
【0028】
(バイパス部の構成)
図1および図2に示すように、主排気流路20Aを構成するバイパス部20は、例えば金属材により筒状(例えば、角筒状や円筒状など)に成形され、車両の前後方向に延設されるバイパス部本体120を備える。
【0029】
このバイパス部本体120は、排ガスG1の取り入れ側に設けられる筒状のガス導入口121と、排ガスG2の排出側に設けられる筒状のガス排出口122とを備える。
【0030】
バイパス部本体120の略中央には、バルブ30の一部を構成する弁用筒部35が配置されている。
【0031】
弁用筒部35の排ガスG1の下流側の端部には、下方側に行くに従って排ガス下流側に突出する傾斜部が形成されている。この傾斜部が、バルブ30の弁体135が当接する着座部31を構成している。
【0032】
なお、着座部31を構成する傾斜部の傾きは、特には限定されないが、例えば10~60度程度とすることができる。
【0033】
(バルブの構成)
バルブ30は、回動自在な回動軸140と、この回動軸140に一端部が固定された弁体135と、回動軸140を回動するアクチュエータ200(図2参照)とを備える。
【0034】
弁体135の先端部135aは、熱交換部10の排ガスG1(G1c)の出口12より下流側に形成されている。
【0035】
また、弁体135の他端部135bは、回動軸140よりも排ガスG1の上流側に位置するようにできる。
【0036】
弁体135は、アクチュエータ200の駆動による回動軸140の回動に伴って、着座部31に当接した閉位置P1と、着座部31から離間した開位置P2との間をD10方向に揺動するように構成されている。
【0037】
ここで、上述のように、弁体135が当接する着座部31は傾斜部を有している。そのため、着座部が排ガスG1の直進成分G1eに対して垂直な端面で構成される場合に比して、排ガスの直進成分G1fの弁体135に対する受圧面積を広くすることができる。
【0038】
これにより、弁体135を閉位置P1から開位置P2へ回動させる際のアクチュエータ200の負荷を小さくすることができ、バルブ30の開弁性能を向上させることができる。
【0039】
したがって、熱回収モードから熱非回収モードへの切り換えを迅速に行うことが可能となる。
【0040】
なお、弁体135は、バネ等の弾性体により着座部31側に付勢されている。これにより、熱回収モード時に、弁体135をより確実に閉位置P1に保持することができる。
【0041】
また、弁体135の排ガス下流側の表面には、ウェイト136が設けられているので、ウェイト136の質量により排気脈動に起因する共振を抑えることができる。
【0042】
(熱交換部の構成)
図1に例示するように、熱交換器111を備える熱交換流路10Aを構成する熱交換部10は、バイパス部本体120の下部に一体的に取り付けられる金属製の筐体10aを備える。
【0043】
筐体10a内には、複数層に亘って配置されて排ガスG1cが流通するガス通路部から成る排気通路100と、熱媒体(例えば、冷却水)Wが循環する複数の熱媒体流路101から成る熱媒体流路部110とから構成される熱交換器111が設けられている。
【0044】
図1上、筐体10aの排ガス上流側の上部には、バイパス部本体120と連通して排ガスG1(G1a)を筐体10a内に導入するガス流入口11が形成されている。
【0045】
また、筐体10aの略中央の上部には、筐体10a内に導入されて排気通路100を通り抜けた排ガスG1dを再びバイパス部本体120内に戻すガス流出口12が形成されている。
【0046】
熱交換部10の排ガスG1aのガス流入口11および排ガスG1eのガス流出口12は、バルブ30の上流側に配置されている。
【0047】
ガス流入口11の近傍には、熱交換部10に流入した排ガスG1aを各排気通路100に排ガスG1cとして分岐させるガス分岐部15としての空間が形成されている。
【0048】
また、排気通路100の下流側の端部付近には、各排気通路100を流通した排ガスG1cを排ガスG1dとして合流させるガス合流部16としての空間が形成されている。
【0049】
さらに、図上、最上部の排気通路100と、バイパス部本体120の底面との間には、ガス流出口12とガス合流部16とに連通するリターン流路17が形成されている。
【0050】
バルブ30の弁体135が開かれた熱非回収モードでは、リターン流路17に排ガスG1dが流れないため、リターン流路17が熱交換器111と主排気流路20Aとの間に介在する断熱空気層として機能し、バイパス部20と熱交換部10との間の断熱効果を向上させることができ、熱非回収モード時における熱交換器111による熱回収を抑制させることができる。
【0051】
また、ガス合流部16で合流された排ガスG1dは、リターン流路17により各排気通路100を流通する排ガスG1cとは逆方向のB1方向に導かれ、ガス流出口12からバイパス部本体120内のB2方向に補助流路155を介して排ガスG1eとして排出される。
【0052】
排ガスG1cは、リターン流路17を介して、B1方向(図1上、右側から左方向)へと、Uターンするように導かれる。このように、排ガスG1cをB1方向にUターンさせることにより、排気通路17を流れる排ガスG1dの残熱を排気通路100の端面100Aを介して回収することができ、熱回収効率を向上させることができる。
【0053】
また、排ガスG1cをリターン流路17を介してUターンさせる構成により、排熱回収装置1の長手方向(排ガスの流路方向)の寸法を小さくすることができ、排熱回収装置1全体の小型化を図ることができる。
【0054】
また、図2に示すように、熱交換部10の筐体10aの外側には、熱媒体流路101に熱媒体(例えば、冷却水)Wを導入する導入管220が設けられている。
【0055】
この導入管220は、筐体10aに開口された熱媒体入口221に溶接等により固定されている。
【0056】
さらに、熱交換部10の筐体10aの外壁側には、アクチュエータ(例えば、サーモアクチュエータ等のセルフ開閉式のアクチュエータ)200が設けられている。
【0057】
(アクチュエータについて)
アクチュエータの一種としてのサーモアクチュエータ200は、ロッド収容部203に収容される熱膨張体としてのワックス(図示せず)と、そのワックスの膨張、収縮に応じて前進、後退するピストン状のロッド250等を収容するロッド収容部203と、ロッドの先端に有って、回動軸140側の突起状の作動子145と係合して回動軸140を回動させる係合部204とを備える。
【0058】
そして、図2に示すように、サーモアクチュエータ200は、排ガスG1の流通方向D1とロッド250の進退方向D2とが交差する(図2に示す例では、D1とD2は略直交するように交差している)ように、熱交換部10とバイパス部20とを横断して配置されている。
【0059】
このような構成により、排ガスG1の流通方向D1とロッド250の進退方向D2とが並行して配置される構成に比して、排熱回収装置1の長手方向(排ガスの流路方向)の寸法を小さくすることができ、排熱回収装置1全体の小型化を図ることができる。
【0060】
シリンダ部200aの下端部は、熱交換部10の筐体10aに開口された熱媒体出口222に溶接等により固定されている。また、シリンダ部200aの中間位置には、熱媒体出口222から供給されてシリンダ部200a内を流通した熱媒体Wを排出する排出管202が設けられている。
【0061】
また、サーモアクチュエータ200のシリンダ部200aは、ブラケット201により熱交換部10の筐体10aに保持、固定されている。
【0062】
このブラケット201は、金属等の熱伝導体で構成され、熱交換部10の熱媒体流路部110と対向する位置に設けられている。これにより、温度差が比較的小さい所にフランジ部材201を配置して、シリンダ部200aとブラケット201の熱伸び差による破損を防止することができる。
【0063】
サーモアクチュエータ200のシリンダ部200aとロッド収容部203とは、フランジ部205a、205bをボルト206とナット207で螺合して接合されている。
【0064】
これにより、回動軸140側の作動子145と、サーモアクチュエータ200側の係合部204の係合具合や動作の円滑性等を、ボルト206とナット207との締め付け具合などによって微調整することができる。
【0065】
(排熱回収装置の動作)
以上のような構成を備える排熱回収装置1は、弁体135が付勢力により着座部31に当接した閉位置P1に保持された熱回収モードでは、排ガスG1(G1e)は、バイパス部本体120(主排気流路20A)内への流通が弁体135によって阻止される。そして、排ガスG1(G1a)は、熱交換部10のガス流入口11から熱交換部10内に流入して、排気通路100を排ガスG1cとして流通する。
【0066】
これによって、熱媒体流路101を流通する熱媒体Wと、排気通路100を流通する排ガスG1cとの間で熱交換が行われ、排ガスG1の熱が回収される。
【0067】
一方、アクチュエータ200の作動により、弁体135が回動されて着座部31から離間した開位置P2(なお、閉位置P1から開位置P2までの中間位置も含む)に変位された熱非回収モードでは、排ガスG1(G1f、G1g)は、バイパス部本体120(主排気流路20A)内を流通して、ガス排出口122から排ガスG2として排出される。ここで、ガス流入口11とガス流出口12とは共にバルブ30の上流側にあるため、バルブ30の開度がばらついてもガス流入口11とガス流出口12間は同じ差圧になる。このように、バルブ開度差により熱交換器流路10Aの差圧が変動しないため熱非回収モードにおける熱交換器111による熱回収を確実に防止することができる。
【0068】
また、着座部31は、下方側に行く程、排ガス下流側に突出する傾斜部で構成されているので、弁体135を閉位置P1から開位置P2に回動する際の変位角度(回動する角度)を比較的小さくすることができ、バルブ30の開弁性能を向上させて、熱非回収モード時における熱交換器による熱回収を抑制させることができる。
【0069】
また、排ガスG1の直進成分G1eの弁体135に対する受圧面積を広くすることができるので、弁体135を閉位置P1から開位置P2へ回動させる際のアクチュエータ200の負荷を小さくすることができ、バルブ30の開弁性能を向上させることができる。
【0070】
なお、図2に示すように、サーモアクチュエータ200のシリンダ部200aは、ロッド収容部203より長くなるように構成されている。これにより、バルブ30が開いた瞬間にカーテンエリアが広がるので、より小さなアクチュエータストロークで通気抵抗を下げることができ、アクチュエータ200をより小型化することができる。
【0071】
また、図1に示すように、バルブ30は、熱交換部10の略中央に配置されている。これにより、アクチュエータ200の長手方向のサイズをより小型化することができる。
【0072】
また、バイパス部20は、熱交換部10側と逆側で分割できる構造になっている。これにより、バルブ部分の組み立ての作業性を向上でき、また、ろう付け部と溶接部の距離を確保することができる。
【0073】
また、熱交換部10と、導入管220、排出管202およびサーモアクチュエータ200のシリンダ部200aは、一体的にろう付けして接合されている。これにより、排熱回収装置1の全体を小型化することができる。
【0074】
以上述べたように、第1実施形態に係る排熱回収装置1によれば、排ガスの流通方向の寸法を小さくして全体サイズのコンパクト化を図ることができる。
【0075】
なお、上述のように説明の便宜上、図1上において、排熱回収装置1の上側を上部、下側を下部と定義したが、排熱回収装置1を車両等に取り付ける際などには、上下の方向等は代わり得るので、この方向の定義には拘束されない。
【0076】
また、熱交換器111とバイパス部20等の位置関係も上下方向に限定されない。
【0077】
図3は本発明の第2実施形態に係る排熱回収装置1′の外観を示す斜視図、図4は排熱回収装置1′のバルブ切換機構200′の平面図、図5はバルブ切換機構200′の側面図である。
【0078】
この第2実施形態の排熱回収装置1′のアクチュエータ(バルブ切換機構)200′は、ロッド250を収容するロッド収容部203と、熱交換された冷却水(熱媒体)Wを排出する排出管202を有したシリンダ部200aとを備え、このロッド収容部203とシリンダ部200aとは加締め締結により接合されている(この加締め締結部分を図中符号Kで示す)。また、シリンダ部200aは、該シリンダ部200aの平坦部200bにろう付けにより一体的に接合されたフランジ205を介して熱交換部10の筐体10aにボルト206で締結固定され、平坦部200b及びフランジ205には前記第1実施形態の熱媒体出口222に相当する図示しない開口孔部がそれぞれ形成されている点が、前記第1実施形態のものとは異なる。即ち、例えば、フランジ205に一体接合される箇所のシリンダ部200aの断面形状はD形状になっている。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0079】
この第2実施形態の排熱回収装置1′では、図3及び図4に示すように、アクチュエータ200′のロッド収容部203とシリンダ部200aとを加締め締結により接合したことで、前記第1実施形態のアクチュエータ200のように、シリンダ部200aとロッド収容部203の各フランジ部205a、205b同士をボルト206とナット207で螺合して接合したものに比べて、排熱回収装置1′全体の小型化をより一段と図ることができる。尚、加締め締結ができるように、ロッド収容部203の端部の一部がシリンダ部200aに差し込んでいる構造になっているが、ロッド収容部203とシリンダ部200aとは加締め締結のほか、溶接で接合しても良い。
【0080】
また、図5に示すように、シリンダ部200aをその平坦部200bにろう付けにより一体的に接合されたフランジ205を介して熱交換部10の筐体10aにボルト206で締結固定したことで、フランジ205を含んだアクチュエータ200′の高さ寸法Hを、前記第1実施形態のアクチュエータ200の構造のものに比べて半分位低くすることができ、排熱回収装置1′全体の薄型化・小型化をより一段と図ることができる。
【符号の説明】
【0081】
1,1′…排熱回収装置
10…熱交換部
10A…熱交換流路
10a…筐体
11…ガス流入口
12…ガス流出口
17…リターン流路
20…バイパス部
20A…主排気流路
30…バルブ
31…着座部
35…弁用筒部
100…排気通路
101…熱媒体流路
110…熱媒体流路部
111…熱交換器
121…排ガス取入部
122…排ガス排出部
125…断熱空気層
135…弁体
155…補助流路
125…断熱空気層
200,200′…アクチュエータ(バルブ切換機構)
200a…シリンダ部
201…ブラケット
202…排出管
203…ロッド収容部
205…フランジ
250…ロッド
D1…排ガスの流通方向
D2…ロッドの進退方向
G1(G1a~G1g)、G2…排ガス
W…熱媒体
K…加締め締結部分
図1
図2
図3
図4
図5