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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】捩り振動低減装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/14 20060101AFI20221025BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20221025BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20221025BHJP
   F16H 45/02 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
F16F15/14 A
F16F15/134 A
F16H1/28
F16H45/02 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019183738
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021060063
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】594079143
【氏名又は名称】株式会社アイシン福井
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀之
(72)【発明者】
【氏名】田淵 元樹
(72)【発明者】
【氏名】石橋 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】輪嶋 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 卓也
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】平本 知之
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090476(JP,A)
【文献】特開平06-257632(JP,A)
【文献】特開2013-245774(JP,A)
【文献】特開平09-079344(JP,A)
【文献】特開2019-052768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0283967(US,A1)
【文献】特開平10-026184(JP,A)
【文献】特開平10-159902(JP,A)
【文献】特開2012-047278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
F16F 15/00-15/36
F16H 1/28- 1/48
39/00-48/42
57/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心回転要素と、前記中心回転要素に対して同心円上に配置されたリング回転要素と、前記中心回転要素の外周部と前記リング回転要素の内周部との間に配置されていて前記中心回転要素と前記リング回転要素とが相対回転することにより自転かつ公転する複数の遊星回転要素を保持しているキャリヤ回転要素とによって差動作用を行う遊星回転機構を備え、
前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか一つがトルクが入力される入力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか他の一つが前記トルクを出力する出力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちの更に他のいずれか一つが前記入力要素と前記出力要素とに対して相対回転する慣性要素とされ、
前記入力要素と前記出力要素とが所定角度、相対回転可能に弾性体を介して連結されており、前記慣性要素に追加慣性体が付加されている捩り振動低減装置であって、
前記慣性要素と前記追加慣性体との少なくとも一方が、前記遊星回転機構の円周方向に分割された複数の分割片によって形成されており、
前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結されて環状体を形成し、
前記分割片同士の連結箇所は、前記トルクの振動によって前記遊星回転要素が往復回転する角度範囲から前記円周方向に外れた箇所である
とを特徴とする捩り振動低減装置。
【請求項2】
請求項1に記載の捩り振動低減装置であって、
前記分割片同士は、前記円周方向で互いに対向する前記分割片の端部同士の嵌め合いと、前記端部同士の溶接とのうちの少なくとも一方によって、前記円周方向に互いに連結されている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の捩り振動低減装置であって、
前記追加慣性体が、前記円周方向に分割された複数の前記分割片によって形成されており、
前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結された状態で、前記遊星回転機構の軸線方向での前記慣性要素の側面に固定手段によって一体に取り付けられている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の捩り振動低減装置であって、
前記入力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの一方とされ、 前記出力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの他方とされ、
前記慣性要素は、前記リング回転要素とされている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の捩り振動低減装置であって、
前記遊星回転機構は、前記中心回転要素がサンギヤによって構成され、前記リング回転要素がリングギヤによって構成され、前記遊星回転要素がピニオンギヤによって構成され、前記キャリヤ回転要素が前記ピニオンギヤを保持しているキャリヤによって構成された遊星歯車機構である
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力されたトルクの変動(振動)に起因する捩り振動を低減するように構成された捩り振動低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は、遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構のキャリヤが入力要素とされ、サンギヤが出力要素とされ、リングギヤが慣性質量体と一体となっている反力要素もしくは振子要素とされている。慣性質量体はリング状に形成された側板であって、軸線方向でリングギヤの両側にそれぞれ配置されており、リングギヤにリベット止めされている。また、当該遊星歯車機構と並列にばねダンパが設けられている。ばねダンパはエンジンなどの駆動力源からトルクが伝達されて回転する入力部材と、入力部材と同心円上に設けられ、かつ、出力軸にトルクを出力する出力部材と、トルクの伝達方向でそれら入力部材と出力部材との間に配置された中間部材とを有している。入力部材と中間部材とは第1弾性体を介して相対回転可能に連結され、中間部材と出力部材とは第2弾性体を介して相対回転可能に連結されている。このばねダンパにおける入力部材とキャリヤとが連結され、出力部材とサンギヤとが連結されている。つまり、キャリヤとサンギヤとがばねダンパを介して連結されている。そして、入力部材にトルクが伝達されると、出力部材には変速機や駆動輪などによる負荷が掛かっているので、第1弾性体および第2弾性体を圧縮する荷重が生じて入力部材と出力部材とが相対回転する。併せてサンギヤとキャリヤとの相対回転が生じる。入力部材と出力部材との間で伝達されるトルクが安定している状態では、入力部材と出力部材とが所定角度回転した捩れた状態を維持し、また、サンギヤとキャリヤとが所定角度回転した捩れた状態を維持する。入力されるトルクが振動すると、上述した荷重が変化して第1弾性体および第2弾性体が伸縮する。すなわち、入力部材と出力部材との間で相対回転が生じ、併せてキャリヤとサンギヤとの間で相対回転が生じる。それに伴ってリングギヤが強制的に回転させられ、リングギヤの慣性トルクがエンジントルクの振動に対する抵抗として作用し、捩り振動低減装置から出力されるトルクの振動が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/208767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、側板はリングギヤと一体となって回転するので、その重心が遊星歯車機構の回転中心軸線からずれることによる振動を回避するために、リング状の一体品であることが好ましい。上述した側板をリング状の一体品とするためには、例えば、平板状の素材から側板を打ち抜いて形成することが好ましい。しかしながら、平板状の素材からリング状の側板を打ち抜いて形成すると、平板状の素材のうち、側板以外の部分はスクラップとなるため、材料の歩留りが悪化してしまう。
【0005】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、装置の全体として材料の歩留まりを向上することができる捩り振動低減装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、中心回転要素と、前記中心回転要素に対して同心円上に配置されたリング回転要素と、前記中心回転要素の外周部と前記リング回転要素の内周部との間に配置されていて前記中心回転要素と前記リング回転要素とが相対回転することにより自転かつ公転する複数の遊星回転要素を保持しているキャリヤ回転要素とによって差動作用を行う遊星回転機構を備え、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか一つがトルクが入力される入力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか他の一つが前記トルクを出力する出力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちの更に他のいずれか一つが前記入力要素と前記出力要素とに対して相対回転する慣性要素とされ、前記入力要素と前記出力要素とが所定角度、相対回転可能に弾性体を介して連結されており、前記慣性要素に追加慣性体が付加されている捩り振動低減装置であって、前記慣性要素と前記追加慣性体との少なくとも一方が、前記遊星回転機構の円周方向に分割された複数の分割片によって形成されており、前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結されて環状体を形成し、前記分割片同士の連結箇所は、前記トルクの振動によって前記遊星回転要素が往復回転する角度範囲から前記円周方向に外れた箇所であることを特徴とするものである。
【0007】
この発明では、前記分割片同士は、前記円周方向で互いに対向する前記分割片の端部同士の嵌め合いと、前記端部同士の溶接とのうちの少なくとも一方によって、前記円周方向に互いに連結されていてよい。
【0009】
この発明では、前記追加慣性体が、前記円周方向に分割された複数の前記分割片によって形成されており、前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結された状態で、前記遊星回転機構の軸線方向での前記慣性要素の側面に固定手段によって一体に取り付けられていてよい。
【0010】
この発明では、前記入力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの一方とされ、前記出力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの他方とされ、前記慣性要素は、前記リング回転要素とされていてよい。
【0011】
この発明では、前記遊星回転機構は、前記中心回転要素がサンギヤによって構成され、前記リング回転要素がリングギヤによって構成され、前記遊星回転要素がピニオンギヤによって構成され、前記キャリヤ回転要素が前記ピニオンギヤを保持しているキャリヤによって構成された遊星歯車機構であってよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、慣性要素と追加慣性体との少なくとも一方は、遊星回転機構の円周方向に複数の分割片に分割して形成されており、それらの分割片同士が前記円周方向に連結されて環状体を形成している。それらの分割片は、例えば、平板状の素材を打ち抜いて形成される。そのため、平板状の素材を打ち抜いて環状体の慣性要素や追加慣性体の一体品を構成する場合と比較して、スクラップとなる部分を削減できるので、材料の歩留まりを向上できる。またこれにより、材料コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。
図2図1に示す捩り振動低減装置の一例を模式的に示す正面図である。
図3図1に示す捩り振動低減装置の一部を模式的に示す断面図である。
図4】この発明の第1実施形態における慣性質量体の一例を模式的に示す図である。
図5】この発明の第2実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図6】この発明の第3実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図7】この発明の第4実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図8】この発明の第5実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図9】この発明の第6実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図10】この発明の第7実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図11】この発明の第8実施形態における慣性質量体の各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図12図11に示す連結部分の正面図である。
図13】この発明の第9実施形態における慣性質量体の一部を模式的に示す断面図である。
図14】この発明の第10実施形態における慣性質量体の一部を模式的に示す断面図である。
図15】この発明の第11実施形態におけるリングギヤの一例を模式的に示す図である。
図16】この発明の第12実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図17】この発明の第13実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図18】この発明の第14実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図19】この発明の第15実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図20】この発明の第16実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図21】この発明の第17実施形態におけるリングギヤの各分割片の連結部分を模式的に示す図である。
図22】この発明の第18実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。
図23】この発明の第19実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。
図24】この発明の第20実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図であり、図2図1に示す捩り振動低減装置の一部を模式的に示す正面図であり、図3図1に示す捩り振動低減装置1の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す捩り振動低減装置1は、トルクコンバータ2の内部であって、駆動力源3と駆動対象部4との間のトルクの伝達経路に設けられており、駆動力源3で発生したトルクの振動を低減して駆動対象部4に伝達するように構成されている。駆動力源3は一例としてガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、単にエンジンと記す。)である。したがって、その出力トルク(以下、エンジントルクと記す。)は不可避的に振動する。駆動対象部4は例えば変速機であって、その変速機は変速比がステップ的に変化する有段式の変速機、もしくは、変速比が連続的に変化する無段変速機などの従来知られた変速機であってよい。
【0015】
上記のトルクコンバータ2は、従来知られているものと同様の構成であって、トルクコンバータ2のハウジング5は、エンジン3の出力軸3aに連結されるフロントカバー6と、フロントカバー6に一体化されているポンプシェル7とによって液密状態に形成されている。ハウジング5の内部にトルクの伝達を行うフルード(オイル)が封入されている。ポンプシェル7の内面に、複数のポンプブレード8が取り付けられてポンプインペラ9が構成されている。ポンプインペラ9によって生じさせられた流体流を受けて回転するタービンランナ10がポンプインペラ9に対向して配置されている。タービンランナ10はタービンハブ11を介して、変速機4の入力軸4aに連結されている。
【0016】
ポンプインペラ9とタービンランナ10との間にステータ12が配置されている。ステータ12は一方向クラッチ13を介してトルクコンバータ2内の図示しない固定軸に取り付けられている。ステータ12はポンプインペラ9とタービンランナ10との速度比が小さい状態では、タービンランナ10から流れ出たオイルの流動方向を変化させてポンプインペラ9に供給し、速度比が大きい状態ではタービンランナ10から流れ出たオイルに押されて回転することによりオイルの流動方向を変えないように構成されている。
【0017】
フロントカバー6の内面に対向してロックアップクラッチ14が配置されている。図1に示すロックアップクラッチ14は多板クラッチであって、例えばフロントカバー6に一体化されているクラッチハブにスプライン嵌合させられた複数のクラッチディスク15と、クラッチハブの外周側を覆うように配置されたクラッチドラム16の内周面にスプライン嵌合させられかつクラッチディスク15と交互に配置された複数のクラッチプレート17とを備えている。これらのクラッチディスク15とクラッチプレート17とは、図示しないロックアップピストンとクラッチドラム16に取り付けた図示しないスナップリングとの間に交互に配置されている。したがって、ロックアップピストンが前進してクラッチディスク15およびクラッチプレート17をスナップリングとの間に挟み付けることによって、クラッチディスク15とクラッチプレート17とが摩擦接触して両者の間でトルクが伝達される。すなわち、ロックアップクラッチ14がトルクを伝達する係合状態になる。なお、トルクコンバータ2の半径方向でロックアップクラッチ14の内周側に、ロックアップクラッチ14の少なくとも一部と並んで図示しないリターンスプリングが配置されている。リターンスプリングはロックアップクラッチ14を解放させる方向に、つまり、クラッチディスク15とクラッチプレート17とを離隔させる方向にロックアップピストンを押圧している。
【0018】
トルクコンバータ2の回転中心軸線方向(以下、単に軸線方向と記す。)でロックアップクラッチ14と互いに隣接して、捩り振動低減装置1が配置されている。捩り振動低減装置1はこの発明の実施形態における遊星回転機構と弾性体とを備えている。遊星回転機構は要は、遊星歯車機構や遊星ローラ機構などの三つの回転要素によって差動作用を行う機構であって、ここに示す例ではシングルピニオン型の遊星歯車機構18によって構成されている。遊星歯車機構18はサンギヤSと、サンギヤSに対して同心円上に配置されたリングギヤRと、サンギヤSとリングギヤRとに噛み合う複数のピニオンギヤPを回転可能に保持するキャリヤCとを回転要素として備えている。図1に示す例では、エンジン3の出力軸3aにロックアップクラッチ14を介してキャリヤCが連結されており、駆動対象部4にサンギヤSが連結されている。リングギヤRには、慣性質量体19が一体に取り付けられている。したがって、図1に示す例では、上述したキャリヤCが、この発明の実施形態におけるキャリヤ回転要素および入力要素に相当し、サンギヤSが、この発明の実施形態における中心回転要素および出力要素に相当し、リングギヤRが、この発明の実施形態におけるリング回転要素および慣性要素に相当し、慣性質量体19が、この発明の実施形態における追加慣性体に相当している。
【0019】
慣性質量体19はリングギヤRと一体となって回転してリングギヤRが生じる慣性トルクを増大させるものである。ここに示す例では、慣性質量体19は図3に示すように、リングギヤRとほぼ同じ外径のリング状に構成されており、また、リングギヤRとは別体品として構成されている。そして、軸線方向でリングギヤRの両側に慣性質量体19がそれぞれ配置されており、リングギヤRと一体となって回転するように、リングギヤRにリベット止めされている。すなわち、リングギヤRの円周方向に一定の間隔で、慣性質量体19をリベット止めするための図示しないリベット孔が形成されている。なお、ここに示す例では、リングギヤRは、平板状の素材をリング状に打ち抜いて形成されたいわゆる一体品であってよい。あるいは、帯状や平板状の部材に歯が形成されたいわゆるラックをリング状に湾曲させ、そのラックの両端部を溶接によって互いに連結して形成されていてもよい。慣性質量体19の構成については後述する。
【0020】
ここに示す例では、遊星歯車機構18と並列に、この発明の実施形態における弾性体に相当するばねダンパ20が設けられている。また、ばねダンパ20は、図2図3に示すように、捩り振動低減装置1の半径方向で遊星歯車機構18の内周側に、遊星歯車機構18と同心円上に並んで配置されている。ここで、「並んで」とは、ばねダンパ20と遊星歯車機構18とのそれぞれの少なくとも一部が、半径方向で重なり合っている状態を意味している。ばねダンパ20は図1に示すように、エンジントルクの伝達方向で上流側に配置されたドライブプレート21と、エンジントルクの伝達方向でドライブプレート21の下流側に配置されたドリブンプレート22と、ドライブプレート21とドリブンプレート22とを相対回転可能に連結するコイルスプリング23とを備えている。ドライブプレート21に遊星歯車機構18のキャリヤCが連結されており、ドリブンプレート22にサンギヤSが連結されている。したがって、上述したドライブプレート21はキャリヤCを兼ねている。
【0021】
ドライブプレート21は、図3に示すように、ほぼ同じ外径の環状の第1ドライブプレート21Aと環状の第2ドライブプレート21Bとによって構成されている。また、各ドライブプレート21A,21Bは軸線方向に予め定めた間隔をあけて配置されている。軸線方向でエンジン3側に第1ドライブプレート21Aが配置され、駆動対象部4側に第2ドライブプレート21Bが配置されている。軸線方向で各ドライブプレート21A,21Bの間に遊星歯車機構18とドリブンプレート22とが配置されている。各ドライブプレート21A,21Bは、ドリブンプレート22を挟んで対称に形成されている。半径方向で各ドライブプレート21A,21Bの外側部分にピニオンピン24が取り付けられており、そのピニオンピン24の外周側にニードルベアリングなどの軸受25を介してピニオンギヤPが自転可能に取り付けられている。また、軸線方向でピニオンギヤPの両側に、ピニオンギヤPのピッチ円直径より僅かに大きい外径のスラストワッシャ26が設けられている。
【0022】
エンジントルクの伝達方向で各ドライブプレート21A,21Bの下流側であって、かつ、軸線方向で各ドライブプレート21A,21B同士の間にドリブンプレート22が配置されている。ドリブンプレート22は全体として環状に形成されている。ドリブンプレート22の外周面に外歯が形成されており、その外歯が遊星歯車機構18のサンギヤSとなっている。ドリブンプレート22の内周部は上述したタービンハブ11に連結されている。
【0023】
また、図2および図3に示すように、半径方向で各ドライブプレート21A,21Bの内側部分とドリブンプレート22の内側部分とにおける同一の半径位置に、コイルスプリング23が配置される窓孔部27がそれぞれ形成されている。ドライブプレート21A,21Bの窓孔部27とドリブンプレート22の窓孔部27とを重ね合わせた状態で各窓孔部27の内部にコイルスプリング23が配置される。そして、各ドライブプレート21A,21Bとドリブンプレート22とが相対回転することによってコイルスプリング23が捩り振動低減装置1の円周方向に伸縮するようになっている。
【0024】
ここで、上述した慣性質量体19の構成について説明する。図4は、慣性質量体19の一例を模式的に示す図である。図4に示す慣性質量体19は一定曲率の円弧状であってかつ同一形状の複数の分割片19sを備え、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、互いに隣接する分割片19sの端部同士を互いに連結してリング状に構成されている。図4に示す例では、3つの分割片19sによって慣性質量体19が構成されている。それらの分割片19sは、例えば、平板状の素材(以下、ワークと記す。)を打ち抜いて形成(以下、プレス成形と記す。)することができる。プレス成形によって分割片19sを形成する場合における各分割片19sの形状は、慣性質量体19の曲率とほぼ同じ曲率の円弧状であってよく、あるいは、帯状や平板状であってもよい。プレス成形によって形成した分割片19sの形状が帯状や平板状の場合には、それら帯状や平板状の分割片19sを湾曲させて慣性質量体19の曲率とほぼ同じ曲率にする。
【0025】
図4に示す例における分割片19sは、慣性質量体19の曲率とほぼ同じ曲率の円弧状に形成されており、それらの分割片19sの長さ方向における両端面は、慣性質量体19の法線を含む平面と互いに平行な平面に形成されている。そして、上述したように、各分割片19sを円周方向に整列した場合に、互いに隣接する分割片19sの端面同士を互いに接触させる。こうして互いに対向する端面同士を接触させた状態で、継ぎ目部分を溶接して分割片19s同士を一体化してリング状にする。分割片19s同士の溶接方法は、アーク溶接、レーザ溶接、圧接、ろう接など従来知られた溶接方法であってよい。さらに、各分割片19sには、リベット孔28が当該分割片19sの板厚方向に貫通して形成されている。それらのリベット孔28は、各分割片19sを円周方向に連結して慣性質量体19を構成した状態で、慣性質量体19の円周方向に一定の間隔で形成されるように、各分割片19sに形成されている。そして、リングギヤRに形成されたリベット孔と慣性質量体19に形成されたリベット孔28とを重ね合わせ、それらのリベット孔28に挿入したリベット29をかしめることによってリングギヤRに対して慣性質量体19が一体に取り付けられる。なお、上述した慣性質量体19が、この発明の実施形態における環状体に相当し、リベット孔28およびリベット29が、この発明の実施形態における固定手段に相当している。
【0026】
また、リングギヤRの円周上でのピニオンギヤPの位置に対する分割片19s同士の連結部分の位置について説明する。先ず、リングギヤRの円周上でのピニオンギヤPの位置について説明すると、エンジン3と駆動対象部4との間のトルクの伝達経路にばねダンパ20が設けられているので、エンジントルクと駆動対象部4を回転させるためのトルクとによる捩りトルクによってばねダンパ20のコイルスプリング23を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた弾性変形がコイルスプリング23に生じる。これによってサンギヤSとキャリヤCとが相対回転する。エンジントルクが大きい場合には、捩りトルクが大きくなるので、キャリヤCとサンギヤSとが大きく捩れてサンギヤSに対するキャリヤCの回転角度が大きくなる。これとは反対にエンジントルクが小さい場合には、捩りトルクが小さくなるので、上記の回転角度が小さくなる。つまり、捩りトルクの大きさに応じてサンギヤSやリングギヤRの円周上でのピニオンギヤPの位置、および、円周方向に往復回転する領域αが変化する。したがって、エンジントルクの常用域においては、リングギヤRの円周上でのピニオンギヤPの位置、具体的には、ピニオンギヤPの組み付け位置P0からのピニオンギヤPの回転角度、および、円周方向にピニオンギヤPが往復回転する領域αはほぼ定まる。上記の組み付け位置P0は、入力要素であるキャリヤCと出力要素であるサンギヤSとの間に相対的な捩れが生じていない場合、つまり、キャリヤCとサンギヤSとが一体となって回転している場合におけるピニオンギヤPの位置である。また、上記のエンジントルクの常用域におけるリングギヤRの円周上でのピニオンギヤPの位置、および、円周方向にピニオンギヤPが往復回転する領域αは、主としてキャリヤCの正回転方向でピニオンギヤPの組み付け位置P0から前方側になる。なお、上述した正回転方向は、エンジン3の回転方向と同じ方向である。また、上述した領域αが、この発明の実施形態における遊星回転要素が往復回転する角度範囲に相当している。
【0027】
この発明の実施形態では、ピニオンギヤPが往復回転する上述した領域αから円周方向に外れた箇所に分割片19s同士の連結部分が位置するように、リングギヤRに慣性質量体19を取り付ける。これは、遠心力によってリングギヤRにピニオンギヤPが押し付けられることによるリングギヤRの変形を受けて慣性質量体19に変形が生じ、その慣性質量体19の変形に伴う荷重が分割片19s同士の連結部分に作用して連結部分の耐久性が悪化する可能性があるので、これを避けるためである。具体的には、円周方向で、ピニオンギヤPの組み付け位置P0を挟んで上述した領域αとは反対側に、分割片19s同士の連結部分が位置するように、リングギヤRに慣性質量体19を取り付ける。
【0028】
次に、第1実施形態に係る捩り振動低減装置1の作用について説明する。エンジン3が駆動され、エンジン3で発生したトルクがキャリヤCに入力される。これに対してサンギヤSには、駆動対象部4を回転させるためのトルクが作用している。これらのトルクによって、ばねダンパ20のコイルスプリング23を圧縮する荷重が生じ、その荷重に応じた弾性変形がコイルスプリング23に生じる。そして、捩りトルクの大きさに応じた角度、サンギヤSとキャリヤCとが捩れた状態で回転する。
【0029】
エンジントルクの振動によってコイルスプリング23に作用する圧縮力つまり捩りトルクが変化し、キャリヤCとサンギヤSとの捩り回転が繰り返し生じる。ピニオンギヤPはエンジントルクの振動に応じた角度範囲で円周方向に往復回転する。つまり、ピニオンギヤPは主として上記の領域αで往復回転する。また、キャリヤCやサンギヤSに対してリングギヤRが相対回転させられると共に、リングギヤRの回転に振動が生じる。上述した構成では、リングギヤRの回転速度はサンギヤSの回転速度に対してギヤ比に応じて増速されるため、リングギヤRの角加速度が増大されてリングギヤRと慣性質量体19とによる慣性トルクが大きくなる。また、キャリヤCに入力されるエンジントルクの振動と、リングギヤRの振動とには位相のずれがあるため、上記の慣性トルクが、エンジントルクの振動に対する制振トルクとして作用し、キャリヤCに入力されたエンジントルクは、前記慣性トルクによって低減されて滑らかになり、駆動対象部4に伝達される。
【0030】
そして、上記の構成の捩り振動低減装置1では、上述したように、ワークから複数の分割片19sを打ち抜き、それらの分割片19sを円周方向に連結してリング状の慣性質量体19を構成する。そのため、ワークからリング状の慣性質量体19を一体品として打ち抜く場合と比較して、スクラップとなる部分を削減できるので、材料の歩留まりを向上でき、また、材料コストを低減できる。また、互いに平行な端面同士を付き合わせてそれらの継ぎ目部分を溶接するので、各分割片19sの形状公差に伴うずれがあったとしても組み付け性を特には損なうことがない。さらに、ピニオンギヤPが往復回転する領域αから外れた箇所に、分割片19s同士の連結部分が位置している。そのため、上記のように、遠心力によってリングギヤRにピニオンギヤPが押し付けられることによるリングギヤRの変形を受けて慣性質量体19に変形が生じ、その慣性質量体19の変形に伴う荷重が分割片19s同士の連結部分に作用して連結部分の耐久性が悪化することを回避もしくは抑制できる。また、各分割片19s同士は溶接されており、遠心力によって各分割片19sが半径方向で外側に移動してリベット29に対して過大なせん断力が作用することを抑制できる。また、遠心力に起因して各分割片19sを円周方向に互いに離隔させる引張荷重が連結部分に作用するとしても、各分割片19sの連結状態を維持できる。つまり、強度的に慣性質量体19を一体品とみなすことができる。そのため、装置の全体として耐久性を損なうことを回避もしくは抑制できる。
【0031】
ところで、プレス成形では不可避的に反り変形(湾曲)が生じる。すなわち、ワークからリング状の慣性質量体19を一体品として打ち抜く過程では、ワークに対してパンチあるいはダイが食い込んで、ワークに対して慣性質量体19が反った状態となる。そして、その状態のまま、ワークから慣性質量体19が打ち抜かれる。したがって、リング状の慣性質量体19を一体品としてプレス成形すると、プレス成形の過程で上記のようにして生じた慣性質量体19の反り変形がプレス成形後においても慣性質量体19に残ってしまう可能性がある。一方、この発明の実施形態に係る捩り振動低減装置1では、ワークから分割片19sを打ち抜く過程で、ワークに対してパンチあるいはダイが食い込んでワークに対して分割片19sに反り変形が生じたとしても、その反り変形はワークに対する分割片19sの反り変形であるため、プレス成形後において、上記の反り変形は分割片19sに残りにくい。その結果、複数の分割片19sを円周方向に連結して慣性質量体19を構成した場合に、慣性質量体19の全体として反り変形を回避もしくは抑制できる。
【0032】
(第2実施形態)
上述した分割片19s同士は、慣性質量体19を強度的に一体品とみなすことができる程度に、互いに連結されていればよい。図5は、この発明の第2実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図5に示す例は、円周方向で互いに隣接する分割片19sの端部同士のうち、少なくとも一部分同士を半径方向に重ね合わせ、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。すなわち、分割片19sの長さ方向での一方の端面は、図5に示すように、慣性質量体19の外周面の接線を含む平面との成す角度が鋭角となる平面に形成されている。分割片19sの長さ方向での他方の端面は、上述した分割片19sの一方の端面と互いに平行な端面に形成されている。そして、上記と同様に、各分割片19sを円周方向に整列して互いに隣接する分割片19sの端面同士を互いに接触させ、それらの継ぎ目部分を溶接して一体化してリング状にする。なお、円周方向で、ピニオンギヤPの組み付け位置P0を挟んでピニオンギヤPが往復回転する領域αとは反対側に、分割片19s同士の連結部分が位置するように、リングギヤRに慣性質量体19を取り付ける。
【0033】
このような構成であれば、継ぎ目部分は慣性質量体19の半径方向に対して傾斜した方向に延びているので、第1実施形態と比較して継ぎ目部分の長さが長くなり、溶接長さが長くなる。また、各分割片19sの形状公差に伴うずれがあったとしても組み付け性を特には損なうことがない。したがって、第1実施形態よりも、連結部分における強度を向上できる。また、第2実施形態であっても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図6は、この発明の第3実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図6に示す例は、互いに隣接する分割片19sの端部同士をいわゆる相欠き継ぎによって継ぎ合わせると共に、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。すなわち、図6に示すように、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向で外側部分に、円周方向に突出した外側突出部19aが形成されている。半径方向で外側突出部19aの内側面つまり図6で外側突出部19aの下側の面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっている。また、円周方向で外側突出部19aの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。分割片19sの長さ方向での他方の端部における半径方向で内側部分に、円周方向に突出した内側突出部19bが形成されている。半径方向で内側突出部19bの外側面つまり図6で内側突出部19bの上側の面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっている。また、円周方向で内側突出部19bの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、互いに隣接する分割片19sの外側突出部19aと内側突出部19bとを付き合わせる。そして、それらの継ぎ目部分を溶接して一体化してリング状にする。このような構成であれば、継ぎ目部分がクランク状になるので、第2実施形態よりも溶接長さが長くなって、連結部分の強度を更に向上できる。また、各分割片19sの形状公差に伴うずれがあったとしても組み付け性を特には損なうことがない。そのため、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0035】
(第4実施形態)
図7は、この発明の第4実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図7に示す例は、互いに隣接する分割片19sの端部同士をいわゆるほぞ継ぎによって継ぎ合わせると共に、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。図7に示すように、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での中間部分に、円周方向に突出したほぞ19cが形成されている。半径方向で当該ほぞ19cの両面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっており、また、円周方向でほぞ19cの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。そのほぞ19cが嵌合するほぞ溝19dが、分割片19sの他方の端部における半径方向での中間部分に形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、ほぞ溝19dにほぞ19cを嵌め合わせて互いに隣接する分割片19s同士を互いに継ぎ合わせてリング状にする。また、それらの継ぎ目部分を溶接して分割片19s同士を一体化する。このような構成であれば、分割片19s同士が嵌め合いによって互いに連結されている状態で、それらの継ぎ目部分を溶接するため、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を向上できる。また、第3実施形態よりも溶接長さが長くなる。これによっても連結部分の強度を向上できる。そのため、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0036】
(第5実施形態、第6実施形態)
図8は、この発明の第5実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図8に示す例は、互いに隣接する分割片19sを円周方向に互いに抜け止めするように、いわゆるあり継ぎなどによって分割片19sの端部同士を継ぎ合わせた例である。すなわち、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での中間部分に、円周方向に突出した矢じり形状あるいは三角形状などの先端部分が根本部分よりも半径方向に広がったあり部19eが形成されている。そのあり部19eに嵌まり合うあり溝19fが、分割片19sの他方の端部における半径方向での中間部分に形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、あり溝19fにあり部19eを嵌め合わせて互いに隣接する分割片19s同士を互いに継ぎ合わせて一体化してリング状にする。このような構成であれば、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合に、あり溝19fにあり部19eの顎の部分が引っ掛かるので、一方の分割片19sに対して他方の分割片19sを抜け止めできる。つまり、第5実施形態では、溶接を行うことなく、連結部分の強度を確保でき、また、溶接を行わないので、その分、製造コストを削減できる。なお、連結部分の継ぎ目部分を溶接すれば、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、上述したあり部19eの形状は、図8に第5実施形態として示す矢じり形状あるいは三角形状に替えて、図9に第6実施形態として示すように、円形であってもよい。このような構成であっても、図8に示す第5実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
(第7実施形態)
図10は、この発明の第7実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図10に示す例では、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での外側部分に円周方向に突出した外側突出部19aが形成されている。その外側突出部19aの先端部に、その根本部分よりも半径方向で内側に突出した外側鉤部19gが形成されている。また、分割片19sの長さ方向での他方の端部における半径方向での内側部分に円周方向に突出した内側突出部19bが形成されている。その内側突出部19bの先端部に、その根本部分よりも半径方向で外側に突出した内側鉤部19hが形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、図10に示すように、外側突出部19aの根元部分に内側突出部19bの内側鉤部19hを嵌め合わせると共に、内側突出部19bの根本部分に外側突出部19aの外側鉤部19gを嵌め合わせて分割片19s同士を一体化してリング状にする。このような構成であれば、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合に、各鉤部19g,19hは互いに引っ掛かるので、分割片19s同士を互いに抜け止めできる。つまり、第5実施形態と同様に、溶接を行うことなく、連結部分の強度を確保でき、また、溶接を行わないので、その分、製造コストを削減できる。なお、連結部分の継ぎ目部分を溶接すれば、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0038】
(第8実施形態)
図11は、この発明の第8実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す断面図であり、図12は、図11に示す連結部分の正面図である。ここに示す例では、分割片19sの長さ方向での一方の端部に、軸線方向に窪んだ凹部19iが形成されており、他方の端部に前記凹部19i内に配置されるように軸線方向に屈曲した屈曲部19jが形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列させた状態で、凹部19iに屈曲部19jを配置してリング状にする。なお、互いに隣接する分割片19sの接触部分は、図12に示すように、半径方向に延びている。このような構成であっても、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合には、凹部19iの縁部分に屈曲部19jが引っ掛かるので、分割片19s同士を互いに抜け止めできる。また、互いに隣接する分割片19sの接触部分を溶接すれば、上述した第5実施形態ないし第7実施形態と同様に連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0039】
(第9実施形態、第10実施形態)
図13は、この発明の第9実施形態における慣性質量体19の一部を模式的に示す断面図であり、図13に示す例は、半径方向で分割片19sの内側部分を軸線方向でリングギヤR側に屈曲させて内側屈曲部19kを形成し、その内側屈曲部19kの上側面(図13での上側の面)にリングギヤRを接触させた例である。また、図14は、この発明の第10実施形態における慣性質量体19の一部を模式的に示す断面図であり、図14に示す例は、半径方向で分割片19sの外側部分を軸線方向でリングギヤR側に屈曲させて外側屈曲部19lを形成し、その外側屈曲部19lの下側面(図14での下側の面)をリングギヤRに接触させた例である。なお、円周方向で互いに隣接する分割片19s同士を連結する構造は、上述した各実施形態のうちのいずれであってもよい。
【0040】
上述した第9実施形態および第10実施形態によれば、内側屈曲部19kや外側屈曲部19lを形成することによって分割片19sの断面二次モーメントを向上できるので、慣性質量体19の全体として剛性や強度が向上する。その結果、上述したように、遠心力によってリングギヤRにピニオンギヤPが押し付けられることによるリングギヤRの変形に伴って慣性質量体19に変形が生じることを防止もしくは抑制できる。また、第9実施形態では、リングギヤRと内側屈曲部19kの上側面とが直接接触し、第10実施形態では、リングギヤRと外側屈曲部19lの下側面とが直接接触して、それらの間で摩擦力が生じる。そのため、リングギヤRと慣性質量体19とがリベット29のみによるよりも一体化される。これにより、それらの相対移動をより効果的に抑制でき、リベット29に過大なせん断力が作用しにくくなる。このような構成によっても装置の全体として耐久性を向上でき、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。なお、軸線方向でリングギヤRの両側に慣性質量体19をそれぞれ配置した場合に、各慣性質量体19の内側部分に内側屈曲部19kをそれぞれ形成してもよく、あるいは、各慣性質量体19の外側部分に外側屈曲部19lをそれぞれ形成してもよい。または、一方の慣性質量体19の内側部分に内側屈曲部19kを形成し、他方の慣性質量体19の外側部分に外側屈曲部19lを形成してもよい。いずれの構成であっても、上述した第9実施形態および第10実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0041】
(第11実施形態)
図15は、この発明の第11実施形態におけるリングギヤRの一例を模式的に示す図である。図15に示す例は、慣性質量体19と同様に、リングギヤRを円周方向に複数に分割して構成した例である。すなわち、図15に示すリングギヤRは一定曲率の円弧状であってかつ同一形状の複数の分割片Rsを備え、各分割片Rsを円周方向に整列した状態で、互いに隣接する分割片Rsの端部同士を互いに連結してリング状に構成されている。それらの分割片Rsは、図4に第1実施形態として示す慣性質量体19の分割片19sと同様に、プレス成形によって形成することができる。分割片Rsをプレス成形する場合における各分割片Rsの形状は、設計上、定めたリングギヤRの曲率と同じ曲率の円弧状であってよく、あるいは、帯状や平板状であってもよい。ワークからプレス成形した分割片Rsの形状が帯状や平板状の場合には、それら帯状や平板状の分割片Rsを湾曲させて上述したリングギヤRの曲率と同じ曲率にする。
【0042】
なお、リングギヤRの円周上に、3つのピニオンギヤPを配置する場合には、図15に示すように、リングギヤRを3等分し、それら3つの分割片Rsを円周方向に互いに連結してリング状に形成する。また、4つのピニオンギヤPを配置する場合には、リングギヤRを4等分し、それら4つの分割片Rsを円周方向に互いに連結してリング状に形成する。つまり、リングギヤRの円周上に配置するピニオンギヤPの数と同じ数、リングギヤRを等分して分割片Rsを構成する。図15に示す例では、リングギヤRは3つの分割片Rsによって形成されている。
【0043】
また、各分割片Rsの連結部分は、リングギヤRの円周上でピニオンギヤPが往復回転する範囲の外側に設定される。これは、連結部分ではリングギヤRとピニオンギヤPとの噛み合いが悪化してリングギヤRの回転が阻害されてしまい、振動減衰性能が悪化する可能性があるので、これを避けるためである。ピニオンギヤPが往復回転する範囲は、上述したように設計上あるいは構造上、定まっており、図15に示すように、円周方向でピニオンギヤPの組み付け位置P0を挟んで正回転方向側の領域αと逆回転方向側の領域βとなっている。つまり、円周方向でそれらの領域α,βの両側では、ピニオンギヤPはサンギヤSやリングギヤRに噛み合わない。そのため、図15に示す例では、分割片Rsのうち、ピニオンギヤPが往復回転する範囲の外側となる領域γには、歯は形成されておらず、この歯が形成されていない領域γで分割片Rs同士が連結される。なお、図15に示す例では、分割片Rsの長さ方向における両端面は、リングギヤRの法線を含む平面と互いに平行な平面に形成されている。そのため、各分割片Rsを円周方向に整列した場合には、互いに隣接する分割片Rsの端面同士を互いに接触させた状態で、それらの継ぎ目部分を溶接して分割片Rs同士を一体化する。
【0044】
また、分割片Rs同士は、それらの分割片Rsが連結されて構成されるリングギヤRが強度的に一体とみなせるように互いに連結されていればよい。したがって、互いに隣接する分割片Rs同士の連結構造は、上述した図15に示す連結構造に替えて、図5ないし図10に示す連結構造と同様であってよい。それら分割片Rs同士の連結構造の他の例を、第12実施形態ないし第17実施形態として図16ないし図21に記載してある。なお、図16ないし図21に示す分割片Rs同士の連結構造は、図5ないし図11に示す連結構造と同様であるため、図5ないし図10に示す構成と同様の構成については図5ないし図10と同様の符号を付してそれらの説明を省略する。また、図16ないし図21に示す例では、図面を簡単にするため、リングギヤRの歯を省略している。
【0045】
したがって、図15ないし図21に示すように、リングギヤRを分割して構成した場合であっても、上述した各実施形態と同様に、ワークからリングギヤRを一体品として打ち抜く場合と比較して、スクラップとなる部分を削減できるため、材料の歩留まりを向上でき、また、材料コストを低減できる。また、分割片Rs同士の連結部分を、ピニオンギヤPが円周方向に往復回転する領域α,βから外れた領域γに設定するため、リングギヤRとピニオンギヤPとの噛み合いが悪化することを防止もしくは抑制できる。その結果、捩り振動低減装置1の所期の振動減衰性能を得ることができる。また、分割片Rs同士は、いわゆる継ぎ手構造や溶接、それらを組み合わせて互いに連結されるので、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用したとしても、上述した各実施形態と同様に、分割片Rs同士の連結状態を維持できる。つまり、強度的に一体品とみなすことができ、装置の全体として耐久性の悪化を防止もしくは抑制できる。
【0046】
(第18実施形態)
この発明の実施形態に係る捩り振動低減装置1の他の例を説明する。図22は、この発明の第18実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。慣性質量体19とリングギヤRとのうちの少なくとも一方は、上述した各実施形態と同様に、円周方向に複数に分割して構成され、それらの分割片19s,Rs同士を円周方向に互いに連結してリング状に構成されていればよい。図22に示す例では、ばねダンパ20は第1ばね30と、第2ばね31と、ばねダンパ20におけるトルクの伝達方向で第1ばね30と第2ばね31との間に配置された中間プレート32とを備えている。第1ばね30はトルクの伝達方向で第2ばね31の上流側に位置している。第1ばね30を介してドライブプレート21と中間プレート32とが所定角度、相対回転できるように連結されている。また、第2ばね31を介して中間プレート32とドリブンプレート22とが所定角度、相対回転できるように連結されている。つまり、第1ばね30と第2ばね31とは中間プレート32を介して直列に接続されている。第1ばね30と第2ばね31とは一例としてコイルスプリングによって構成されると共に、ほぼ同じ捩り剛性(ばね定数)に設定されている。他の構成は図1に示す構成と同様であるため、図1に示す構成と同様の構成については図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
(第19実施形態)
図23は、この発明の第19実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。慣性質量体19とサンギヤSとのうちの少なくとも一方は、上述した各実施形態と同様に、円周方向に複数に分割して構成され、それらの分割片19s,Ss同士を円周方向に互いに連結してリング状に構成されていればよい。なお、サンギヤSを円周方向に複数に分割して形成した場合について説明すると、サンギヤSの分割片Ssは、慣性質量体19の分割片19sおよびリングギヤRの分割片Rsと同様に、プレス成形によって形成することができる。分割片Ssをプレス成形する場合における各分割片Ssの形状は、設計上、定めたサンギヤSの曲率と同じ曲率の円弧状であってよく、あるいは、帯状や平板状であってもよい。ワークからプレス成形した分割片Ssの形状が帯状や平板状の場合には、それら帯状や平板状の分割片Ssを湾曲させて上述したサンギヤSの曲率と同じ曲率にする。また、分割片Ss同士は、それらの分割片Ssが連結されて構成されるサンギヤSが強度的に一体とみなせるように互いに連結されていればよい。したがって、互いに隣接する分割片Ss同士の連結構造は、詳細は図示しないが、リングギヤRの分割片Rsと同様に、図15ないし図21に示す連結構造と同様であってよい。
【0048】
図23に示す例では、エンジン3の出力軸3aにフライホイール33が連結されており、そのフライホイール33にばねダンパ20を介して駆動対象部4が連結されている。すなわち、フライホイール33にばねダンパ20のドライブプレート21が連結されている。ばねダンパ20のドリブンプレート22は駆動対象部4の入力軸4aにスプライン嵌合されている。また、軸線方向でドリブンプレート22を挟んでフライホイール33とは反対側にダンパーディスク34が配置されており、そのダンパーディスク34とドリブンプレート22とがリベット止めされている。ダンパーディスク34は全体としてリング状に形成されており、そのダンパーディスク34の内周面に形成された歯が遊星歯車機構18のリングギヤRとなっている。また、軸線方向でダンパーディスク34を挟んでドリブンプレート22とは反対側にダンパーカバー35が配置されている。そのダンパーカバー35の外周部分とフライホイール33の外周部分とが例えば溶接によって一体に連結されると共に、ダンパーカバー35の内周部分に遊星歯車機構18のキャリヤCが一体化されている。つまり、軸線方向でそれらのフライホイール33とダンパーカバー35との間に遊星歯車機構18と上記のばねダンパ20とが配置されている。
【0049】
遊星歯車機構18は、半径方向でばねダンパ20の内周側に、ばねダンパ20と同心円上に並んで配置されている。ここで、「並んで」とは、ばねダンパ20と遊星歯車機構18とのそれぞれの少なくとも一部が、半径方向で重なり合っている状態を意味している。そして、遊星歯車機構18のサンギヤSに慣性質量体19がリベット止めされている。慣性質量体19は、軸線方向で遊星歯車機構18を挟んでダンパーカバー35とは反対側に配置されている。具体的には、慣性質量体19は、図23に示す例では、サンギヤSとほぼ同じ外径の小径プレート19mdと、当該小径プレート19mdの外周部分に、内周部分がリベット止めされる小径プレート19mdよりも大径の大径プレート19ldとによって構成されている。慣性質量体19の各プレート19md,19ldは上述したように、円周方向に分割して構成され、円周方向に互いに連結してリング状に構成されていればよい。なお、第19実施形態では、上述したキャリヤCが、この発明の実施形態におけるキャリヤ回転要素および入力要素に相当し、サンギヤSが、この発明の実施形態における中心回転要素および慣性要素に相当し、リングギヤRが、この発明の実施形態におけるリング回転要素および出力要素に相当し、慣性質量体19が、この発明の実施形態における追加慣性体に相当している。
【0050】
(第20実施形態)
図24は、この発明の第20実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。図24に示す例は、半径方向で、図23に示すばねダンパ20の外周側に、ばねダンパ20と同心円上に並んで遊星歯車機構18を配置した例である。すなわち、フライホイール33に一体に連結されているダンパーカバー35は、軸線方向でエンジン3側に配置された第1ダンパーカバー35Aと、外周部分がフライホイール33に一体に連結された第2ダンパーカバー35Bとによって構成されている。軸線方向でそれらのダンパーカバー35A,35Bの間には、予め定めた間隔があけられている。それらのダンパーカバー35A,35Bの間にばねダンパ20と遊星歯車機構18とダンパーディスク34とが配置されている。また、各ダンパーカバー35A,35Bに遊星歯車機構18のピニオンピン24が一体に取り付けられている。ダンパーディスク34の外周面に形成された歯がサンギヤSとなっている。また、ダンパーディスク34の内周部分は、駆動対象部4の入力軸4aにスプライン嵌合されている。つまり、ダンパーディスク34は、ここに示す例では、ばねダンパ20のドリブンプレート22を兼ねている。なお、第20実施形態では、キャリヤCが、この発明の実施形態におけるキャリヤ回転要素および入力要素に相当し、サンギヤSが、この発明の実施形態における中心回転要素および出力要素に相当し、リングギヤRが、この発明の実施形態におけるリング回転要素および慣性要素に相当し、慣性質量体19が、この発明の実施形態における追加慣性体に相当している。
【0051】
図22ないし図24に示す構成であっても、慣性質量体19やリングギヤRもしくはサンギヤSのうちの少なくとも一つを分割して構成することによって、上述した各実施形態と同様に、材料の歩留まりを向上できると共に、材料コストを低減できる。また、慣性質量体19の分割片19sやリングギヤRの分割片Rs、もしくはサンギヤSの分割片Ss同士はいわゆる継ぎ手構造や溶接、それらを組み合わせて互いに連結されるので、遠心力に起因して各分割片19s,Rs,Ss同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用したとしても、各分割片19s,Rs,Ss同士を強固に連結しまた互いに抜け止めできる。そのため、例えば慣性質量体19を分割して構成したとしても、遠心力に起因してリベット29に過大な荷重(せん断荷重)が作用することを防止もしくは抑制できる。このように図22ないし図24に示す構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0052】
なお、この発明は上述した実施形態に限定されないのであって、リングギヤRやサンギヤSなどを慣性要素として機能させることに替えて、キャリヤCを慣性要素として機能させてもよい。また、キャリヤCを円周方向に分割し、そのキャリヤCの分割片同士を円周方向に互いに連結してリング状に形成してもよい。このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、上述したように、リングギヤRやサンギヤSなどに慣性質量体19をリベット止めすることに替えて、例えば、慣性質量体19をかしめることによってリングギヤRやサンギヤSなどに慣性質量体19を一体に取り付けてもよい。要は、慣性質量体19は、慣性要素と一体となって回転するように慣性要素に一体に取り付けられていればよい。
【符号の説明】
【0053】
1…捩り振動低減装置、 18…遊星歯車機構(遊星回転機構)、 19…慣性質量体、 19s…慣性質量体の分割片、 20…ばねダンパ(弾性体)、 21…ドライブプレート(入力部材)、 22…ドリブンプレート(出力部材)、 S…サンギヤ(中心回転要素)、 R…リングギヤ(リング回転要素)、 Rs…リングギヤの分割片、 P…ピニオンギヤ(遊星回転要素)、 C…キャリヤ(キャリヤ回転要素)。
図1
図2
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