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特許7164543有機電界発光化合物およびそれを含む有機電界発光デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】有機電界発光化合物およびそれを含む有機電界発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/70 20060101AFI20221025BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C07D239/70
H05B33/14 A
H05B33/22 B
C07D403/10 CSP
C07D403/04
C07D401/04
C07D401/10
C07D401/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019555193
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2018004246
(87)【国際公開番号】W WO2018194314
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0050573
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0140298(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0043572(KR,A)
【文献】特開2018-002710(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0111214(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0124000(KR,A)
【文献】特開2010-184881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00-521/00
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式4または7で表される有機電界発光化合物であって、
【化1】
式中
~Yは各々独立して、CR11またはNを表し、但し、Y~Yのうちの少なくとも1つは、Nを表し、
Rは各々独立して重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表し、
11 は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表し、
およびRは各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか、あるいは互いに連結して、置換もしくは非置換、単環もしくは多環、(3~30員)の脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせを形成し、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えてもよく、
Lは、単結合、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール(アリーレン)を表し、但し、Lは、置換または非置換カルバゾールではなく、nが0である場合、Lは単結合ではなく、
mは、0~4の整数を表し、nは、0~2の整数を表し、m+nは、1以上であり、mおよびnが2以上である場合、各Lおよび各
【化2】
は、同じでも異なっていてもよく、*は、(L)との結合部位を表し、
前記ヘテロアリール(アリーレン)および前記ヘテロシクロアルキルは、B、N、O、S、Si、およびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有
R、R 、R 、R 11 およびLにおける前記置換アルキル、前記置換アリール(アリーレン)、前記置換ヘテロアリール(アリーレン)、前記置換ヘテロシクロアルキル、前記置換シクロアルキル、および前記置換された単環式もしくは多環式の脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせの置換基が、各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換もしくは(C6~C30)アリール(複数可)で置換された(5~30員)ヘテロアリール、非置換もしくは(5~30員)ヘテロアリール(複数可)で置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-もしくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、非置換もしくは(C1~C30)アルキル(複数可)で置換されたモノ-もしくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキルおよび(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、
R、R 、R 、R 11 、Lおよび前記置換基における前記置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールの(5~30員)ヘテロアリールは、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリルおよびジヒドロアクリジニルからなる群から選択され
Lにおける前記置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリーレンの(5~30員)ヘテロアリーレンは、フリレン、チオフェニレン、ピロリレン、イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、チアジアゾリレン、イソチアゾリレン、イソキサゾリレン、オキサゾリレン、オキサジアゾリレン、トリアジニレン、テトラジニレン、トリアゾリレン、テトラゾリレン、フラザニレン、ピリジレン、ピラジニレン、ピリミジニレン、ピリダジニレン、ベンゾフラニレン、ベンゾチオフェニレン、イソベンゾフラニレン、ジベンゾフラニレン、ジベンゾチオフェニレン、ベンズイミダゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾイソチアゾリレン、ベンゾイソキサゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、イソインドリレン、インドリレン、ベンゾインドリレン、インダゾリレン、ベンゾチアジアゾリレン、キノリレン、イソキノリレン、シノリニレン、キナゾリニレン、ベンゾキナゾリニレン、キノキサリニレン、ベンゾキノキサリニレン、ナフチリジニレン、カルバゾリレン、ベンゾカルバゾリレン、ジベンゾカルバゾリレン、フェノキサジニレン、フェノチアジニレン、フェナントリジニレン、ベンゾジオキソリレンおよびジヒドロアクリジニレンからなる群から選択される、有機電界発光化合物。
【請求項2】
4または7において、
【化3】
が、以下の式で表され、
【化4】
式中、各R11は、同じでも異なっていてもよく、*は、(L)との結合部位を表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項3】
4または7において、Lは、以下の式で表され、
【化5】
式中、*は、結合部位を表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項4】
Rが各々独立して、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール、または置換もしくは非置換(5~15員)ヘテロアリールを表し、 11 が各々独立して、水素、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール、または置換もしくは非置換(5~15員)ヘテロアリールを表し、およびRが各々独立して、水素を表し、Lが、単結合、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項5】
Rが各々独立して非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換されたもしくは(5~15員)ヘテロアリール(複数可)で置換された(C6~C25)アリール、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~15員)ヘテロアリールを表し、 11 が各々独立して、水素、非非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換されたもしくは(5~15員)ヘテロアリール(複数可)で置換された(C6~C25)アリール、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~15員)ヘテロアリールを表し、およびRが各々独立して、水素を表し、Lが、単結合、非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換された(C6~C25)アリール(アリーレン)、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表す、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項6】
4または7で表される化合物が、
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の有機電界発光化合物を含む有機電界発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機電界発光化合物、およびそれを含む有機電界発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光(EL)デバイスは、利点として、より広い視角、より高いコントラスト比、およびより速い応答時間を提供する自己発光デバイスである。最初の有機ELデバイスは、1987年にイーストマンコダックによって、発光層を形成するための材料として芳香族ジアミン小分子およびアルミニウム錯体を用いて開発された(Appl.Phys.Lett.51,913,1987を参照されたい)。
【0003】
有機ELデバイスは、有機発光材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換するものであり、通常は、アノード、カソード、およびその2つの電極間に形成された有機層を含む。有機ELデバイスの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層(ホストおよびドーパント材料を含有する)、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などから構成することができ、有機層において使用される材料は、機能に応じて、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類することができる。有機ELデバイスでは、アノードからの正孔およびカソードからの電子が、電圧の印加によって発光層に注入され、正孔と電子の再結合によって、高エネルギーの励起子が生成される。有機発光化合物は、エネルギーによって励起状態に移行し、有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るときにエネルギーから光を放出する。
【0004】
有機ELデバイスにおける各層に好適な材料を使用することにより、有機ELデバイスの性能を改善する研究が続けられている。
【0005】
例えば、電子輸送材料は、カソードから発光層に電子を能動的に輸送し、発光層で再結合されない正孔の輸送を抑制して、発光層での正孔および電子の再結合機会を増加させる。したがって、電子親和性材料は、電子輸送材料として使用される。Alqなどの発光機能を有する有機金属錯体は、電子の輸送に優れているため、従来から電子輸送材料として使用されてきた。しかしながら、Alqは、他の層に移動するという問題を有し、青色発光デバイスで使用すると色純度の低下を示す。したがって、上記の問題がなく、電子親和性が高く、有機ELデバイスにおいて電子を迅速に輸送して、高い発光効率を有する有機ELデバイスを提供する新規の電子輸送材料が必要とされている。
【0006】
さらに、電子緩衝層は、パネル製造プロセスで高温にさらされるとデバイスの電流特性が変化して、発光輝度の歪みが引き起こされる問題を改善できる層である。電子緩衝層に含有される化合物の特性は、高温曝露に対する安定性と、電子緩衝層を有していないデバイスと比較して同様な電流特性と、を確保するために重要である。
【0007】
韓国特許出願公開第KR2015-0042387A号および同第KR2015-0122343A号は、リン光ホストとしてまたは有機ELデバイスの電子輸送層用化合物として、ベンゾキナゾリン誘導体を開示している。しかしながら、当該参考文献に開示されている化合物は、本開示の化合物とは異なる構造を有する。
【発明の概要】
【0008】
発明が解決しようとする課題
本開示の目的は、優れた寿命特性を有し、同時または選択的に優れた発光効率および/または駆動電圧特性を有する有機電界発光デバイスを効率的に製造できる有機電界発光化合物を提供することにある。
【0009】
課題を解決するための手段
従来技術によれば、窒素含有6員縮合ナフタレン誘導体が有機電界発光化合物として使用されるとき、窒素含有6員縮合ナフタレン部分は、最低の非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルを示す部分である。窒素含有6員縮合ナフタレン誘導体は、移動電子を安定化してデバイスの寿命特性を改善できるが、電子移動度が低下し、駆動電圧が増加することを、本発明者らは見出した。上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らは、上記誘導体を特異的な構造を有する置換基と組み合わせることにより、デバイスの寿命特性を維持しつつ、駆動電圧を低下させ得ることを見出した。
【0010】
具体的には、本発明者らは、以下の式1で表される有機電界発光化合物によって上記目的が達成され得ることを見出した。
【化1】
式中、
~Xは各々独立して、CRまたはNを表し、但し、X~Xのうちの少なくとも1つは、Nを表し、
~Yは各々独立して、CR11またはNを表し、但し、Y~Yのうちの少なくとも1つは、Nを表し、
RおよびR11は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表し、
およびRは各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか、あるいは互いに連結して、置換もしくは非置換、単環もしくは多環、(3~30員)の脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせを形成し、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えてもよく、
Lは、単結合、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール(アリーレン)を表し、但し、Lは、置換または非置換カルバゾールではなく、nが0である場合、Lは単結合ではなく、
mは、0~4の整数を表し、nは、0~2の整数を表し、m+nは、1以上であり、そこで、mおよびnが2以上である場合、各Lおよび各
【化2】
は、同じでも異なっていてもよく、*は、(L)との結合部位を表し、
ヘテロアリール(アリーレン)およびヘテロシクロアルキルは、B、N、O、S、Si、およびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。
【0011】
発明の効果
本開示によれば、優れた寿命特性を有する有機電界発光デバイスを提供することができる。同時に、または選択的に、デバイスの発光効率および/または駆動電圧特性を優れたレベルに維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は本開示を説明することを意図しており、決して本開示の範囲を限定することを意味していない。
【0013】
本開示における「有機電界発光化合物」という用語は、有機電界発光デバイスで用いることができる化合物を意味し、必要に応じて有機電界発光デバイスを構成する任意の材料層に含まれ得る。
【0014】
本開示における「有機電界発光材料」という用語は、有機電界発光デバイスで用いることができ、少なくとも1つの化合物を含むことができる材料を意味する。必要に応じて、有機電界発光材料は、有機電界発光デバイスを構成する任意の層中に含まれ得る。例えば、有機電界発光材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料などであり得る。
【0015】
本開示の有機電界発光材料は、式1で表される化合物のうちの少なくとも1つを含むことができる。化学式1で表される化合物は、有機電界発光デバイスを構成する少なくとも一つの層中に、例えば、限定するものではないが発光層、電子緩衝層、および/または電子輸送層中に含まれ得る。発光層中に含まれるとき、式1の化合物は、ホスト材料として含まれ得る。電子緩衝層中に含まれるとき、式1の化合物は電子緩衝材料として含まれ得る。電子輸送層中に含まれるとき、式1の化合物は電子輸送材料として含まれ得る。
【0016】
以下、式1で表される化合物について詳細に説明する。
【0017】
式1では、
【化3】
は以下の式で表すことができ、
【化4】
式中、*は、(L)との結合部位を表す。
【0018】
式1では、
【化5】
は、以下の式で表すことができ、
【化6】
式中、各R11は同じでも異なっていてもよく、*は、(L)との結合部位を表す。
【0019】
式1は、以下の式2~7のいずれか1つで表すことができる。
【化7-1】
【化7-2】
【0020】
式2~7において、Y~Y、R、R、R、L、m、およびnは、式1で定義したとおりである。
【0021】
式1において、X~Xは各々独立して、CRまたはNを表すが、但し、X~Xのうちの少なくとも1つは、Nを表し、好ましくはX~Xのうちの少なくとも2つは、Nを表す。
【0022】
~Yは各々独立して、CR11またはNを表し、但し、Y~Yのうちの少なくとも1つは、Nを表す。
【0023】
RおよびR11は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表し、好ましくは、各々独立して、水素、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール、または置換もしくは非置換(5~15員)ヘテロアリールを表し、より好ましくは、各々独立して、水素、非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換されたもしくは(5~15員)ヘテロアリール(複数可)で置換された(C6~C25)アリール、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~15員)ヘテロアリールを表す。具体的には、本開示の一実施形態によれば、RおよびR11は各々独立して、水素、フェニル、ナフチル、ビフェニル、スピロビフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ピリジルフェニル、ピリジル、キノリニル、フェニルピリジルなどを表し得る。
【0024】
およびRは各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、または置換もしくは非置換(C3~C30)シクロアルキルを表すか、あるいは互いに連結して、置換もしくは非置換、単環もしくは多環、(3~30員)の脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせを形成し、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えてもよい。好ましくは、RおよびRは各々独立して、水素を表し得る。
【0025】
Lは、単結合、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール(アリーレン)を表し、但し、nが0である場合は、Lは、単結合ではない。nが0である場合、Lは、一価の置換基(アリール、ヘテロアリール)であり、nが1以上である場合、Lは、二価の置換基(アリーレン、ヘテロアリーレン)である。好ましくは、Lは、単結合、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表し、より好ましくは、単結合、非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換された(C6~C25)アリール(アリーレン)、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表す。具体的には、本開示の一実施形態によれば、Lは、単結合、フェニル、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、フェナントレニル、フルオランテニル、トリフェニレニル、スピロビフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、フルオランテニルフェニル、トリフェニレニルフェニル、ジメチルフルオレニル、ジメチルベンゾフルオレニル、ピリジレン、フェニルイソキノリニルなどを表すことができる。
【0026】
さらに、本開示の一実施形態によれば、Lは、以下の式によって表すことができ、
【化8】
式中、*は結合部位を表す。
【0027】
mは、0~4の整数を表し、nは、0~2の整数を表し、m+nは、1以上であり、mおよびnが2以上である場合、各Lおよび各
【化9】
は、同じでも異なっていてもよく、式中、*は、(L)との結合部位を表す。mは、好ましくは0~2の整数を表し、より好ましくは0または1を表す。nは、好ましくは0または1を表す。本開示の一実施形態によれば、mが0である場合nは1であり、mが1である場合nは0または1であり得る。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、式1において、RおよびR11は各々独立して、水素、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール、または置換もしくは非置換(5~15員)ヘテロアリールを表し、RおよびRは各々独立して、水素を表し、Lは、単結合、置換もしくは非置換(C6~C25)アリール(アリーレン)、または置換もしくは非置換(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表す。
【0029】
本開示の別の実施形態によれば、式1において、RおよびR11は各々独立して、水素、非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換された(C6~C25)アリール、または(5~15員)ヘテロアリール(複数可)、あるいは非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~15員)ヘテロアリールを表し、RおよびRは各々独立して、水素を表し、Lは、単結合、非置換もしくは(C1~C6)アルキル(複数可)で置換された(C6~C25)アリール(アリーレン)、または非置換もしくは(C6~C12)アリール(複数可)で置換された(5~20員)ヘテロアリール(アリーレン)を表す。
【0030】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」とは、その鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個であり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが挙げられる。「(C2~C30)アルケニル」とは、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルケニルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個であり、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブタ-2-エニルなどが挙げられる。「(C2~C30)アルキニル」とは、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキニルを意味し、炭素原子の数は、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個であり、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニルなどが挙げられる。「(C3~C30)シクロアルキル」とは、3~30個の環骨格炭素原子を有する単環または多環炭化水素であり、炭素原子の数は、好ましくは3~20個、より好ましくは3~7個であり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」とは、B、N、O、S、Si、およびPからなる群から選択される、好ましくはO、S、およびNからなる群から選択される、少なくとも1個のヘテロ原子と、3~7個の環骨格原子、好ましくは5~7個の環骨格原子と、を有するシクロアルキルを意味し、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピランなどが挙げられる。「(C6~C30)アリール(アリーレン)」とは、6~30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素由来の単環または縮合環ラジカルを意味し、部分的に飽和していてもよく、その環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~25個、より好ましくは6~18個であり、スピロ構造を含んでもよく、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フェニルテルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニルなどが挙げられる。「(5~30員)ヘテロアリール(アリーレン)」は、B、N、O、S、Si、およびPからなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは1~4個のヘテロ原子と、5~30個の環骨格原子と、を有するアリール基を意味し、単環、または少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり、部分的に飽和していてもよく、少なくとも1つのヘテロアリールまたはアリール基を、単結合(複数可)を介してヘテロアリール基に連結させることによって形成されたものであってもよく、スピロ構造を含んでいてもよく、単環型ヘテロアリールとしては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどが挙げられ、および縮合環型ヘテロアリールとしては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロアクリジニルなどが挙げられる。「ハロゲン」としてはF、Cl、Br、およびIが挙げられる。
【0031】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という表現における「置換」とは、ある特定の官能基中の水素原子が別の原子または官能基で、すなわち、置換基で置き換えられることを意味している。R、、R、R11、およびLにおける、置換アルキル、置換アリール(アリーレン)、置換ヘテロアリール(アリーレン)、置換ヘテロシクロアルキル、置換シクロアルキル、および置換された単環式もしくは多環式、脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせの置換基は、各々独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換もしくは(C6~C30)アリール(複数可)で置換された(5~30員)ヘテロアリール、非置換もしくは(5~30員)ヘテロアリール(複数可)で置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6-C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-もしくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、非置換もしくは(C1~C30)アルキル(複数可)で置換されたモノ-もしくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキル、および(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくは、各々独立して、(C1~C6)アルキル、(C6~C18)アリール、または(5~15員)ヘテロアリール、例えば、メチル、フェニル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピリジルなどを表す。
【0032】
式1で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【0033】
本開示による式1で表される化合物は、例えば以下の反応スキームに従って、当業者に知られている合成方法により調製することができるが、これらに限定されない。
【化11】
【化12】
【0034】
反応スキーム1および2において、X~X、Y~Y、R、R、R、L、m、およびnは、式1で定義したとおりである。
【0035】
本開示は、式1の有機電界発光化合物を含む有機電界発光材料、およびその材料を含む有機電界発光デバイスを提供する。
【0036】
上記材料は、本開示の有機電界発光化合物のみからなることができ、または有機電界発光材料で一般的に使用される従来の材料をさらに含むことができる。
【0037】
本開示による有機電界発光デバイスは、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2電極との間に少なくとも1つの有機層を含む。有機層は、式1の少なくとも1つの有機電界発光化合物を含み得る。
【0038】
第1および第2の電極のうちの1つは、アノードであってもよく、他方は、カソードであってもよい。有機層は、発光層を含んでもよく、さらに正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、および電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を含んでもよい。
【0039】
本開示の式1の有機電界発光化合物は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、および電子阻止層のうちの1つ以上の層中に含まれることがあり、好ましくは、発光層、電子緩衝層、および電子輸送層のうちの1つ以上の層中に含まれ得る。発光層で使用されるとき、本開示の式1の有機電界発光化合物は、ホスト材料として含まれ得る。電子緩衝層で使用されるとき、本開示の式1の有機電界発光化合物は、電子緩衝材料として含まれ得る。電子輸送層で使用されるとき、本開示の式1の有機電界発光化合物は、電子輸送材料として含まれ得る。
【0040】
発光層は、1つ以上のホストおよび1つ以上のドーパントを含むことができる。必要であれば、発光層は、共ホスト材料、すなわち2つ以上の複数のホスト材料を含むことができる。
【0041】
本開示で使用されるホストは、少なくとも1つのリン光ホスト化合物または少なくとも1つの蛍光ホスト化合物であり、これらのホスト化合物は特に限定されない。具体的には、ホスト化合物は、蛍光ホスト化合物、例えば、以下の式11で表されるアントラセン化合物であり得る。
【化13】
式中、
Ar31およびAr32は各々独立して、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表し、
Ar33およびAr34は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、置換もしくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキルシリル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリールシリル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリールシリル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール(C1~C30)アルキルシリル、またはNR4142を表し、
41およびR42は各々独立して、水素、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(5~30員)ヘテロアリールを表すか、または互いに連結して、単環もしくは多環、(3~30員)脂環式環もしくは芳香環、またはそれらの組み合わせを形成し、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えてもよく、
rrおよびssは各々独立して、1~4の整数を表し、rrまたはssが2以上の整数を表す場合、各Ar33または各Ar34は、同じでも異なっていてもよい。
【0042】
式11で表される化合物には、以下の化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【0043】
本開示で使用されるドーパントは、少なくとも1つのリン光ドーパント化合物または少なくとも1つの蛍光ドーパント化合物であり得る。具体的には、ドーパント化合物は、蛍光ドーパント化合物、例えば、以下の式21で表される縮合多環アミン誘導体であってもよい。
【化15】
式中、
Ar41は、置換もしくは非置換(C6~C50)アリール、またはスチリルを表し、
は、単結合、置換もしくは非置換(C6~C30)アリーレン、または置換もしくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Ar42およびAr43は各々独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換もしくは非置換(C1~C30)アルキル、置換もしくは非置換(C6~C30)アリール、または置換もしくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表すか、または隣接する置換基に連結して、単環もしくは多環、(3~30員)脂環式環もしくは芳香族環、またはそれらの組み合わせを形成してもよく、その炭素原子(複数可)は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置き換えてもよく、
ttは、1または2を表し、ttが2を表す場合、各
【化16】
は、同じでも異なっていてもよい。
【0044】
好ましくは、Ar41中のアリール基としては、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換フルオレニル基、置換もしくは非置換アントリル基、置換もしくは非置換ピレニル基、置換もしくは非置換クリセニル基、置換もしくは非置換ベンゾフルオレニル基、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]などが挙げられる。
【0045】
式21で表される化合物には、以下の化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【化17-4】
【0046】
また、本開示は、式1の有機電界発光化合物を含む、ホスト材料、電子輸送材料、または電子緩衝材料を提供する。
【0047】
電子緩衝材料とは、電荷の流れを制御する材料を指す。したがって、電子緩衝材料は、例えば、電子を捕獲するか、電子を阻止するか、または電子輸送ゾーンと発光層との間のエネルギー障壁を低下させるものであり得る。有機電界発光デバイスでは、電子緩衝材料を電子緩衝層に使用してもよく、または電子輸送ゾーンもしくは発光層などの別の領域に組み込んでもよく、その場合、電子緩衝層は、発光層と電子輸送ゾーンとの間、または電子輸送ゾーンと有機電界発光デバイスの第2の電極との間に、配置される。電子緩衝材料は、有機電界発光デバイスを製造するために一般的に使用される従来の材料をさらに含んでもよい。
【0048】
さらに、式1の有機電界発光化合物が電子輸送材料として使用される場合、電子輸送材料は、式1の有機電界発光化合物のみで構成されてもよく、または電子輸送材料中に含有される従来の材料をさらに含んでもよい。
【0049】
本開示による有機電界発光デバイスにおいて、有機層は、アリールアミン系化合物およびスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含んでもよい。
【0050】
さらに、本開示による有機電界発光デバイスにおいて、有機層は、周期表における、第1族金属、第2族金属、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、ランタノイド、およびd遷移元素の有機金属からなる群から選択される少なくとも1つの金属、または当該金属を含む少なくとも1つの錯体化合物をさらに含んでもよい。
【0051】
さらに、本開示による有機電界発光デバイスは、本開示による化合物に加えて、当技術分野で既知の青色発光化合物、赤色発光化合物、または緑色発光化合物を含む少なくとも1つの発光層をさらに含むことにより、白色光を放出し得る。また、必要に応じて、デバイスに黄色またはオレンジ色の発光層をさらに含めることもできる。
【0052】
本開示による有機電界発光デバイスにおいて、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層、および金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下、「表面層」)が、好ましくは、一方の電極の内面(複数可)または両方の電極の内面(複数可)に配置される。具体的には、シリコンまたはアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)層が、好ましくは、発光媒体層のアノード表面に配置され、金属ハロゲン化物層または金属酸化物層が、好ましくは、発光媒体層のカソード表面に配置される。かかる表面層は、有機電界発光デバイスに動作安定性を提供する。好ましくは、当該カルコゲニドはSiO(1≦X≦2)、AlO(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlONなどを含み、当該金属ハロゲン化物はLiF、MgF、CaF、希土類金属フッ化物などを含み、当該金属酸化物はCsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどを含む。
【0053】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、またはこれらの組み合わせは、アノードと発光層との間で使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層または電子阻止層への正孔注入バリア(または正孔注入電圧)を低下させるために多層であってもよく、多層の各層には、同時に2つの化合物を使用してもよい。正孔輸送層または電子阻止層もまた、多層であってもよい。
【0054】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、またはこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間で使用することができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために、多層であってもよく、多層の各層には、同時に2つの化合物を使用してもよい。正孔阻止層または電子輸送層もまた、多層であってもよく、多層の各層には、複数の化合物を使用してもよい。
【0055】
発光補助層は、アノードと発光層との間、またはカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層が、アノードと発光層との間に配置されるとき、正孔注入および/または正孔輸送を促進する、または電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層が、カソードと発光層との間に配置されるとき、電子注入および/または電子輸送を促進する、または正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。また、正孔補助層は、正孔輸送層(または正孔注入層)と発光層との間に配置されてもよく、正孔輸送速度(または正孔注入速度)を促進または阻止するのに有効になり得、それにより電荷バランスを制御することができる。さらに、電子阻止層は、正孔輸送層(または正孔注入層)と発光層との間に配設してもよく、発光漏れを防ぐために、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって発光層内の励起子を制限することができる。有機電界発光デバイスは、2つ以上の正孔輸送層を含むとき、さらに含まれる正孔輸送層は、正孔補助層または電子阻止層として使用され得る。正孔補助層または電子阻止層は、有機電界発光デバイスの効率および/または寿命を改善する効果を有し得る。
【0056】
好ましくは、本開示の有機電界発光デバイスにおいて、電子輸送化合物および還元性ドーパントの混合領域、または正孔輸送化合物および酸化性ドーパントの混合領域は、一対の電極の少なくとも1つの表面上に配置され得る。この場合、電子輸送性化合物はアニオンに還元され、したがって、混合領域から発光媒体へと電子を注入かつ輸送することがより容易になる。さらに、正孔輸送化合物は酸化されてカチオンになり、したがって、混合領域から発光媒体へ正孔を注入かつ輸送することがより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントとしては、様々なルイス酸およびアクセプター化合物が挙げられ、還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属、およびそれらの混合物が挙げられる。還元性ドーパント層を電荷発生層として用いて、白色光を放出する2つ以上の発光層を有する有機電界発光デバイスを調製してもよい。
【0057】
本開示の有機電界発光デバイスを構成する各層を形成するために、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング法などの乾式成膜法、またはスピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティングなどの湿式成膜法を使用することができる。本開示の第1および第2のホスト化合物の膜を形成するとき、共蒸着法または混合蒸着法が使用される。
【0058】
湿式成膜法を使用するとき、各層を構成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの好適な溶媒中に溶解または分散させることによって、薄膜が形成される。その溶媒は、各層を構成する材料が溶媒中に可溶または分散可能であり、膜を形成する際に問題を引き起こさない限り、特に限定されない。
【0059】
本開示の有機電界発光デバイスを使用することによって、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV、もしくは車両のためのディスプレイデバイス、または照明デバイス、例えば屋内または屋外の照明デバイスを製造することができる。
【0060】
以下、本開示の有機電界発光化合物の調製方法、その化合物の物理的特性、およびその化合物を含む有機電界発光デバイスの発光特性を、本開示の代表的な化合物を参照して詳細に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されない。
【0061】
実施例1:化合物C-6の調製
【化18】
【0062】
化合物1-1の調製
20gの7-クロロ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(110.72mmol)、13gのベンズアルデヒド(121.80mmol)、6.6gの水酸化ナトリウム(166.08mmol)、および360mLのエタノールを、反応容器に導入し、室温で2時間撹拌した。反応終了後、得られた固体を濾過し、エタノールで洗浄して25.2gの化合物1-1を得た(収率:85%)。
【0063】
化合物1-2の調製
25.2gの化合物1-1(93.77mmol)、16.2gのベンズイミドアミド(103.15mmol)、6.8gの水酸化ナトリウム(281.31mmol)、および312mLのエタノールを、反応容器に導入し、還流下で20時間撹拌した。反応終了後、得られた固体を濾過し、エタノールで洗浄して34.5gの化合物1-2を得た(収率:100%)。
【0064】
化合物1-3の調製
34.5gの化合物1-2(93.77mmol)、43gの2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)(189.77mmol)、および474mLのクロロベンゼン(MCB)を、反応容器に導入し、還流下で18時間撹拌した。反応完了後、得られた生成物を、蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。次いで、抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を回転蒸発器で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、15.5gの化合物1-3を得た(収率:45%)。
【0065】
化合物1-4の調製
15.5gの化合物1-3(42.25mmol)、12.9gのビス(ピナコラート)ジボラン(50.70mmol)、1.6gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.69mmol)、1.4gの2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(s-phos)(3.38mmol)、12.4gの酢酸カリウム(126.75mmol)、および210mLの1,4-ジオキサンを、反応容器に導入し、還流下、130℃で6時間撹拌した。反応完了後、得られた生成物を室温に冷却し、酢酸エチルで抽出した。次いで、抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を回転蒸発器で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、14gの化合物1-4を得た(収率:72%)。
【0066】
化合物C-6の調製
5gの化合物1-4(10.9mmol)、3.2gの2-クロロ-4,6-ジフェニルトリアジン(12mmol)、0.4gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.33mmol)、2.9gの炭酸ナトリウム(27.28mmol)、55mLのトルエン、14mLのエタノール、および14mLの蒸留水を、反応容器に導入し、120℃で4時間撹拌した。反応終了後、沈殿した固体を蒸留水およびメタノールで洗浄した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、5gの化合物C-6を得た(収率:82%)。
【表1】
【0067】
実施例2:化合物C-36の調製
【化19】
3.2gの化合物1-4(7.0mmol)、3.2gの2-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-(3-クロロフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(7.7mmol)、0.6gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.70mmol)、0.6gの2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(s-phos)(1.40mmol)、1.0gのナトリウムtert-ブトキシド(10.47mmol)、および35mLのo-キシレンを、反応容器に導入し、還流下で3時間撹拌した。反応完了後、得られた生成物を、蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。次いで、抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を回転蒸発器で除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、2gの化合物C-36を得た(収率:42%)。
【表2】
【0068】
実施例3:化合物C-37の調製
【化20】
5gの化合物1-3(12mmol)、5.3gの2,4-ジフェニル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(12mmol)、0.4gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.33mmol)、3.2gの炭酸ナトリウム(30mmol)、61mLのトルエン、15mLのエタノール、および15mLの蒸留水を、反応容器に導入し、120℃で4時間撹拌した。反応終了後、沈殿した固体を蒸留水およびメタノールで洗浄した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、3.4gの化合物C-37を得た(収率:44%)。
【表3】
【0069】
比較例1:本開示によらない青色発光OLEDデバイスの製造
本開示によらないOLEDデバイスを次のようにして製造した:OLED用ガラス基板(Geomatec Co.,Ltd.,Japan)上の透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、アセトンおよびイソプロピルアルコールで連続的に超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保管した。次いで、そのITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダー上に載置した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10-7トルに制御した。その後、セルに電流を印加して、導入した材料を蒸発させることにより、ITO基板上に60nmの厚さを有する第1の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層の上に形成した。化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入した。その後、セルに電流を印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより第2の正孔注入層上に20nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより5nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層の上に形成した。正孔注入層および正孔輸送層の形成後、次いで、発光層を以下のようにして堆積した。ホストとして化合物H-15を真空蒸着装置の1つのセルに導入し、ドーパントとして化合物D-38を、その装置の別のセルに導入した。これらの2つの材料を異なる比率で蒸発させ、ホストおよびドーパントの総重量に基づいて2重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、20nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層上に形成した。次に、化合物Xおよび化合物EIL-1を電子輸送材料として1:1の重量比で蒸発させて、発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。電子輸送層の上に厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を堆積させた後、電子注入層の上に別の真空蒸着装置によって80nmの厚さを有するAlカソードを堆積させた。このように、OLEDデバイスを製造した。OLEDデバイスを製造するために使用される全ての材料は、10-6トルでの真空昇華により精製した。
【0070】
製造されたOLEDデバイスの、輝度1mA/cmでの駆動電圧、発光効率、および色座標、ならびに輝度2,000ニトにおいて輝度が100%から90%に低下するまでの時間(寿命T90)を、以下の表1に示す。
【0071】
比較例2および3:本開示によらない青色発光OLEDデバイスの製造
比較例2および3では、電子輸送材料として以下の表1に示した化合物を使用した以外は、比較例1と同様にしてOLEDデバイスを製造した。比較例2および3のOLEDデバイスの評価結果を以下の表1に提供する。
【0072】
デバイス例1および2:本開示による化合物を含む青色発光OLEDデバイスの製造
デバイス例1および2では、電子輸送材料として以下の表1に示した化合物を使用した以外は、比較例1と同様にしてOLEDデバイスを製造した。デバイス例1および2のOLEDデバイスの評価結果を以下の表1に提供する。
【表4】
【0073】
電子輸送材料として本開示の化合物を含むOLEDデバイスは、比較例の化合物を含むOLEDデバイスと比較して、同等以上のレベルの駆動電圧および発光効率特性を示す一方で、より優れた寿命特性を有することが認められる。
【0074】
比較例4:本開示によらない青色発光OLEDデバイスの製造
本開示によらないOLEDデバイスを次のようにして製造した:OLED用ガラス基板(Geomatec Co.,Ltd.,Japan)上の透明電極インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜(10Ω/sq)を、アセトンおよびイソプロピルアルコールで連続的に超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保管した。次いで、そのITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダー上に載置した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバ内の圧力を10-7トルに制御した。その後、セルに電流を印加して、導入した材料を蒸発させることにより、ITO基板上に60nmの厚さを有する第1の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより5nmの厚さを有する第2の正孔注入層を第1の正孔注入層の上に形成した。化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入した。その後、セルに電流を印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより第2の正孔注入層上に20nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を形成した。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、電流をそのセルに印加して、導入した材料を蒸発させ、それにより5nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を第1の正孔輸送層の上に形成した。正孔注入層および正孔輸送層の形成後、次いで、発光層を以下のようにして堆積した。ホストとして化合物H-15を真空蒸着装置の1つのセルに導入し、ドーパントとして化合物D-38を、その装置の別のセルに導入した。これらの2つの材料を異なる比率で蒸発させ、ホストおよびドーパントの総重量に基づいて2重量%のドーピング量でドーパントを堆積させて、20nmの厚さを有する発光層を第2の正孔輸送層上に形成した。次に、化合物ET-1および化合物EI-1を電子輸送材料として1:1の重量比で蒸発させて、発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。電子輸送層の上に厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を堆積させた後、電子注入層の上に別の真空蒸着装置によって80nmの厚さを有するAlカソードを堆積させた。このように、OLEDデバイスを製造した。OLEDデバイスを製造するために使用される全ての材料は、10-6トルでの真空昇華により精製した。
【0075】
比較例5:本開示によらない青色発光OLEDデバイスの製造
比較例5では、電子輸送層の厚さを30nmに減らし、発光層と電子輸送層との間に5nmの厚さを有する電子緩衝層として化合物Yを挿入した以外は、比較例4と同様にしてOLEDデバイスを製造した。
【0076】
デバイス例3~5:本開示の化合物を含む青色発光OLEDデバイスの製造
デバイス例3~5では、電子輸送層の厚さを30nmに減らし、発光層と電子輸送層との間に5nmの厚さを有する電子緩衝層として化合物C-6、C-36、およびC-37の各々を挿入した以外は、比較例4と同様にしてOLEDデバイスを製造した。
【0077】
比較例4および5、ならびにデバイス例3~5で製造されたOLEDデバイスに関して、輝度1,000ニトにおける駆動電圧および発光色、ならびに輝度2,000ニトにおいて輝度が100%から90%に低下するまでの時間(寿命T90)を、以下の表2に提供する。
【表5】
【0078】
本開示の化合物を電子緩衝材料として含むOLEDデバイスは、電子緩衝層を含有していないか、または電子緩衝材料として従来の材料を含むOLEDデバイスと比較すると、より良好な寿命特性を有することが認められる。
【表6-1】
【表6-2】