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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】毛髪の運動特性を測定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A41G5/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019570523
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018066479
(87)【国際公開番号】W WO2018234410
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】17177721.2
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベントレー,クリストファー・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,スィール・グリンドゥール
(72)【発明者】
【氏名】マーヘル,エリック・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ジュリー・マリー
(72)【発明者】
【氏名】クリーバー,グレアム・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スタシク,アネタ・マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】コーワン,ジェームズ・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ロートン,ジェフリー・フランシス
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-518254(JP,A)
【文献】特表2018-538602(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099938(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/072009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/00- 5/02
G06T 7/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアピース(10)の運動特性を測定する装置(1)であって、
前記ヘアピース(10)を取り付け可能で、前記ヘアピースに強制振動を適用するために動作できる運動装置(2)と、
前記強制振動の適用中及び適用後に、前記ヘアピースが運動している間の前記ヘアピース(10)の画像を取り込むためのカメラ(3)と、
前記カメラ(3)と通信可能に接続されるコンピュータ(4)であって、前記取り込み画像を処理し、前記取り込み画像から前記ヘアピースの定量測定値を抽出するためのプロセッサを含む前記コンピュータ(4)と、を含む装置において、
前記画像の後続の分析を実施する前に、フィルタを前記取り込み画像に適用して、検出されたいかなるほつれ毛も除外することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
2個以上のヘアピース(10)が前記運動装置(2)に取り付け可能であり、前記2個以上のヘアピース(10)に同一の強制振動を同時に適用する、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記定量測定値が、x振幅、y振幅、前記ヘアピースの最高点と最低点間の相、減衰時間、自然周波数、前記ヘアピースの2D領域並びに運動前、運動中及び運動後の2D領域の変化の1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータ(4)が、前記ヘアピース(10)を使用して実施される消費者調査をベースとした消費者モデルデータを受信するためのインプットを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記受信した消費者モデルデータが、2つ以上のヘアピースの相対的な差に関する前記消費者認識にサストニアンモデルを適用することで算出した消費者認識値、dプライム(d’)である、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
消費者モデルデータを受信すると、前記プロセッサが、前記取り込み画像からの前記ヘアピースの前記定量測定値と、前記消費者モデルデータと、を組み合わせた交差検証モデルを適用する、請求項4又は5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記交差検証モデルが、前記取り込み画像からの前記定量測定値と、前記消費者モデルデータから抽出する前記消費者認識値(d’)と、を相関させる部分的最小二乗法モデルである、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記交差検証モデルをベースとした予測モデルを新しいヘアピースセットに適用して、新しいデータの実験測定値を取得し、前記交差検証モデルをベースに消費者の反応を予測するようにさらに構成される、請求項4~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
ヘアピース(10)の運動特性の変化を測定する方法であって、
前記ヘアピース(10)を取り付け可能で、前記ヘアピース(10)に強制振動を適用するために動作できる運動装置(2)を提供するステップと、
前記強制振動の適用中及び適用後に、前記ヘアピースが運動している間の、前記ヘアピース(10)の画像を取り込むためのカメラ(3)を提供するステップと、
前記カメラ(3)と通信可能に接続されるコンピュータ(4)であって、プロセッサを含む前記コンピュータを提供するステップと、
前記プロセッサで前記取り込み画像の処理をするステップと、
前記ヘアピースの定量測定値を前記取り込み画像から抽出するステップと、を含み、
前記画像の後続の分析を実施する前に、フィルタを前記取り込み画像に適用して、検出されたいかなるほつれ毛も除外することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記コンピュータへのインプットで、前記ヘアピースを使用して実施される消費者調査をベースとした消費者モデルデータを受信するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
消費者モデルデータを受信すると、前記プロセッサが、前記取り込み画像からの前記ヘアピースの前記定量測定値と、前記消費者モデルデータと、を組み合わせた交差検証モデルを適用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記交差検証モデルが、前記取り込み画像からの前記定量測定値と、前記消費者モデルデータから抽出する前記消費者認識値(d’)と、を相関させる部分的最小二乗法モデルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記交差検証モデルをベースとした予測モデルを、新しいヘアピースセットから取得する定量測定値に適用するステップをさらに含み、前記予測モデルが消費者の前記新しいヘアピースセットへの反応を、前記交差検証モデルをベースに予測する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
インストラクションを含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムがコンピュータ(4)によって実行され、請求項9の前記運動装置(2)及びカメラ(3)と組み合わせて提供されるとき、前記コンピュータ(4)に請求項9~13に記載のいずれか一項による方法の残りのステップを実施させる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の運動特性を測定する装置及び方法に関し、特に、毛髪の運動及びしなやかさに関連する測定、特に、毛髪へ強制振動を適用中及び適用後の両方での測定に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪がどのように動くかは、消費者及び毛髪製品の製造者にとって同様に長らく関心の対象であった。通常、毛髪の自然な運動やしなやかさが望ましい。現在、毛髪の運動及び/又はしなやかさを改善すると謳うシャンプー、コンディショナー、ヘアトリートメント及びスタイリング製品などの毛髪製品の販売がますます増加している。
【0003】
しかしながら、毛髪の濃さや輝きなど他の毛髪パラメータとは異なり、毛髪の運動やしなやかさの判断は、現在に至るまで、通常、技術的なデータではなく消費者の認識をベースとした運動の定性分析に依存している。
【0004】
毛髪の運動属性がこれまで以上に消費者にとって重要になっているため、確実かつ再現可能な方法で毛髪運動特性を評価する、改善されたメカニズムの提供が求められている。
【0005】
Galliano et al,International Journal of Cosmetic Science,Vol 37,No 1(2015年2月)56~62ページは、毛髪製品の性能について新たな基準を提唱するための、計器を使用した毛髪運動の評価方法を記載している。この方法は高速カメラを使用した動画取得システムからなる。毛髪運動のin vitro評価によって、様々なヘアケア及びスタイリング技術がスワッチ運動のメカニズムに適用されるとき、発現する現象をよりよく理解することが可能となる。
【0006】
同様に、Galliano et al,IFSCC 2014,2014 1~2ページ及び1~16ページは、目視による認識のための新たな見識として毛髪運動の評価について記載している。5台のデジタルカメラによるin-vitro法によって、「move Hair 3D」動画取得が可能となる。この方法によって、連続モーション及び減衰モードの、2種類の毛髪運動のシミュレーションが可能となる。周波数が異なると、単純な振り子運動からより複雑な回転モーションまで、三次元で様々な形態の運動が観察される。これらの異なるパラメータの変化の分析を通じて、毛髪製品の効果を評価することができ、より適切な法則を発展させることができる。
【0007】
米国特許出願公開第2015/072332号明細書は、対象に対する強制選択評価試験を作成する装置及び方法であって、各項目ブロックが対象に回答を必要とする複数項目を含む、一連の項目ブロックを含む試験を記載している。このスキームはサストニアン型項目回答をベースとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】Galliano et al,International Journal of Cosmetic Science,Vol 37,No 1(2015年2月)56~62ページ
【文献】Galliano et al,IFSCC 2014,2014 1~2ページ及び1~16ページ
【文献】米国特許出願公開第2015/072332号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明は前述の問題を、第1態様に従う、ヘアピースの運動特性を測定する装置であって、毛髪を取り付け可能で、毛髪に強制振動を適用するために動作できる運動装置と、強制振動の適用中及び適用後に、毛髪試料が運動している間の毛髪の画像を取り込むためのカメラと、カメラと通信可能に接続されるコンピュータで、取り込み画像の処理をして毛髪の定量測定値を取り込み画像から抽出するためのプロセッサを含む、コンピュータと、を含む装置において、画像の後続の分析を実施する前に、フィルタを取り込み画像に適用して、検出されたいかなるほつれ毛も除外することを特徴とする、装置を提供することで解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
通常、ヘアピースは毛髪本体として運動する。しかし、ほつれ毛又は毛髪の少量の束が毛髪本体から切り離されてしまうことがある。ヘアピース本体から切り離された、そのようなほつれ毛又は毛髪の少量の束(そうでなければ「乱れ毛」として知られる)の存在が識別される。本発明はフィルタを適用して、そのようなほつれ毛又は毛髪の少量の束を無視することで、さらなる分析から除外するように構成され、従って関連するヘアピースのさらなる分析では乱れ毛を除外する。言い換えると、画像の後続の分析を実施する前に、フィルタを取り込み画像に適用して、検出されたいかなるほつれ毛も除外する。フィルタは画像上で、ヘアピースの外郭線を位置付けるように作動し、外郭線は少なくとも部分的に、ヘアピースの本体から切り離されて位置するほつれ繊維(「乱れ毛」)を除外する。この方法で乱れ毛を無視することで、毛髪の背部位置決めを向上させてもよい。
【0011】
フィルタは最小長さ比の形態をとってもよい。最小長さ比は、半径の長さに対するヘアピースの長さの比の最小値であってよい。そのような最小長さ比を超える毛髪を除外することで、ヘアピースの本体から大きく切り離された毛髪(すなわち、乱れ毛)を除外することが可能となる。画像中で最小長さ比の外側にあって検出されたいかなる毛髪も、前述の定量測定のいずれか1つ以上の決定を含んでもよい後続の分析において、不要と見なし、無視することできる。
【0012】
フィルタの2つ目の選択肢は、画像の彩度閾値であってよい。ほつれ毛は通常、画像中で低い彩度を有するため、彩度閾値を適用することで閾値より低い画像部分を無視することができ、ほつれ繊維フィルタを実施することが可能となる。
【0013】
フィルタは彩度閾値構成要素と最小長さ比構成要素を含んでもよい。
【0014】
本発明の任意選択の特徴をこれから列挙する。それらは単一で又は本発明の任意の態様と任意に組み合わせて適用可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、2個以上のヘアピースを運動装置に取り付け、そこで2個以上のヘアピースに同一の強制振動を同時に適用する。
【0016】
このようにして、装置は個々のヘアピースの定量測定のメカニズムと、2個以上のヘアピース間の比較測定(定量及び定性の両方)もまた、両方を提供する。2個以上のヘアピースの各々は、測定を行う前に異なる毛髪製品で処理されていてもよい。従って、装置は使用した毛髪製品の結果生じる、ヘアピースのしなやかさ及び運動への影響を定量的に比較することを可能にする。ヘアピースに適用する毛髪製品は、例えばシャンプー、コンディショナー、ヘアトリートメント及びヘアスタイリング製品の1種以上を含んでいてよい。
【0017】
定量測定は、x振幅、y振幅、ヘアピースの最高点と最低点間の相対位相、減衰時間、自然周波数、ヘアピースの2D領域、運動前と運動後のヘアピースの2D領域の変化の1つ以上を含んでいてよい。ヘアピースの2D領域の定量測定及び運動の定常状態におけるその変化もまた作成する。例えば、運動の定常状態におけるヘアピースの最小ボリューム、最大ボリューム、平均ボリュームを測定してもよい。
【0018】
X振幅の測定は、ヘアピースが水平に、X軸上にどの程度遠くまで移動するかの測定である。
【0019】
Y振幅の測定は、ヘアピースが鉛直に、Y軸上にどの程度遠くまで移動するかの測定である。
【0020】
相対位相の測定は、所与のヘアピースの最高点と最低点の間の、運動の差の測定である。
【0021】
減衰時間は、強制振動が停止した後にヘアピースが静止するまでにかかる時間である。
【0022】
自然周波数の測定は、強制振動による励振が停止した後にヘアピースが(x軸及び/又はy軸方向に)運動する速度の測定である。
【0023】
ヘアピースの2D領域はカメラで観察される(すなわち、像平面の全体ボリューム)。
【0024】
運動前と運動後のヘアピースの2D領域の変化は、ヘアピースのボリュームの変化とも呼ばれ得る。言い換えると、カメラで観察される運動前と運動後のヘアピースのボリュームの差を測定してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、コンピュータは、(1つ又は複数の)ヘアピースを使用して実施される消費者調査をベースとした消費者モデルデータを受信するためのインプットを含んでもよい。
【0026】
この受信した消費者モデルデータは、通常、2つ以上のヘアピースの特定の毛髪属性に関する相対的な差の消費者認識に、サストニアンモデル又はその他の潜在変数モデルを適用することで算出した、消費者認識値、「dプライム(d’)」の形態であってよい。サストニアンモデルは、(消費者調査からの)消費者の印象を描く潜在変数モデルであり、例えば、どのヘアピース試料が最良の「しなやかさ」を有しているかに関しての消費者の印象を、個別に整理された回答の分類上で描く。サストニアンモデルは、感覚を識別するタスクのメカニズムを提供するものとして知られる。
【0027】
消費者グループから得られる未加工データは、毛髪の1つ以上の異なる属性と関連付けられてもよく、その例としては以下が挙げられる。
【0028】
・しなやかさ
・軽やかな運動
・流れるような運動
・制御された運動
これらの属性は毛髪の運動に対して一般的に使用される用語であり、消費者によって、毛髪の運動特性を説明する際に使用される一般的な用語である。消費者調査を行う際、消費者にはこれらの属性の正式な定義は提供されなかった。より大きな消費者の母集団を考慮することで、所与の属性に関する個人の理解及び評価の差が低減されると理解されよう。
【0029】
記載されているように、所与の属性について作成される予測属性値は、同一の属性に関連する消費者データを基に作成されたモデルをベースにしている。例えば、「しなやかさ」属性の予測されるパフォーマンスは、作成中に「しなやかさ」に関連する消費者モデルデータを有した「しなやかさ」モデルをベースにするであろう。いくつかの実施形態では、ヘアピースの定量測定値を受信すると、プロセッサは、モデル作成に使用したヘアピースの定量測定値と、(交差検証モデル作成に使用したものと同一のヘアピースに関する消費者調査からの)消費者モデルデータと、を組み合わせた交差検証モデルを適用する。
【0030】
交差検証モデルは、ヘアピースセットの定量測定値と、同一のヘアピースセットの消費者認識値との間の相関関係を提供する。そのような相関関係をモデリングするために、多数のモデリング方法が好適であり得ると理解されよう。交差検証モデルの一例は、取り込み画像に由来する定量測定値と、消費者モデルデータから抽出する消費者認識値(d’)と、を相関させる部分的最小二乗法(PLS)モデルである。
【0031】
具体的な交差検証モデルは、多くの属性モデルを含み得る。それぞれの属性モデルはそれ自体が、単一の具体的な運動属性に関して交差検証モデルであり得る。例えば、特定の交差検証モデルは、しなやかさ、軽やかな運動、流れるような運動及び制御された運動の各々の属性モデルを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、新しいヘアピース(すなわち、交差検証モデル作成に使用していないヘアピース)に予測モデルを適用するようにさらに構成される。予測モデルは交差検証モデルをベースにし得る。予測モデルを使用して、新しいデータ(すなわち、新しいヘアピースの定量測定値)の実験測定値を分析し、今度は(1つ又は複数の)交差検証モデルをベースとした予測モデルをベースに消費者の反応を予測することができる。
【0033】
このようにして、装置は実験室ベースのデータを交差検証モデルの形態で使用して消費者の反応を予測し、それにより高価で時間のかかる消費者調査を設定し実施することを必要とせず、消費者調査の有益性を得ることを可能にする。言い換えると、交差検証モデルを作成するために使用される、先の消費者調査は、運動装置に取り付けられたヘアピースの後の測定で、消費者の反応を予測することができるように、校正ツールとして作用する。
【0034】
本発明の第2態様によると、ヘアピースの運動特性を測定する方法が提供され、この方法は、
毛髪を取り付け可能で、毛髪に強制振動を適用するために動作できる運動装置を提供するステップと、
強制振動の適用中及び適用後に、毛髪試料が運動している間のヘアピースの画像を取り込むためのカメラを提供するステップと、
カメラと通信可能に接続されるコンピュータで、プロセッサを含むコンピュータを提供するステップと、
プロセッサで取り込み画像の処理をするステップと、
ヘアピースの定量測定値を取り込み画像から抽出するステップと、を含み、
画像の後続の分析を実施する前に、フィルタを取り込み画像に適用して、検出されたいかなるほつれ毛も除外することを特徴とする。
【0035】
第1態様の装置に関しての前述の任意選択の特徴は、すべて第2態様の方法に適用することができる。特に、
この方法は、コンピュータへのインプットで、(1つ又は複数の)ヘアピースを使用して実施される消費者調査をベースとした消費者モデルデータを受信するステップをさらに含むことができる。受信した消費者モデルデータは通常、2つ以上のヘアピースの相対的な差に関する消費者認識にサストニアンモデルを適用することで算出した消費者認識値、dプライム(d’)である。
【0036】
消費者モデルデータを受信すると、プロセッサは取り込み画像からのヘアピースの定量測定値と、消費者モデルデータと、を組み合わせた交差検証モデルを作成することができる。交差検証モデルは、取り込み画像からの定量測定値と、消費者モデルデータから抽出する消費者認識値(d’)と、を相関させる部分的最小二乗法モデルであってもよい。
【0037】
この方法は、交差検証モデルをベースとした予測モデルを、新しいヘアピースセットから取得する定量測定値に適用するステップをさらに含むことができ、予測モデルは消費者の新しいヘアピースセットへの反応を、交差検証モデルをベースに予測する。
【0038】
本発明の第3態様によると、インストラクションを含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータで実行され、第1態様及び第2態様の運動装置及びカメラと組み合わせて提供されるとき、コンピュータに第2態様による方法の残りのステップを実施させるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0039】
本発明の任意選択の特徴をこれから列挙する。
【0040】
本発明の実施形態を実例として、添付図面を参照してこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による装置の概略図である。
図2】装置の運動装置とカメラをより詳細に示す。
図3】モーション中のヘアピースの取り込まれたスクリーンショット画像であり、ヘアピースの定量測定値を得るために分析される取り込み画像を示す。
図4】測定装置を使用して定量測定値を得るための方法の概要である。
図5】本発明の装置で取り込み画像から定量測定値を得るために実施される測定及び分析プロセスのユーザーインプットの例を示す。
図6】所与のヘアピースの取り込み画像で実施される分析例を示す。
図7】取り込み画像のデータで実施される、さらなる分析プロセスを示す。
図8】運動装置を使用して取得された画像を、消費者調査から取得した同一の製品を使用したデータと適合させ、無関係の製品セットの予測測定を出力するために実施される校正プロセスを示す。
図9】運動装置における3つのヘアピースの例を示す。
図10A図9の3つのヘアピースで実施される画像分析の2つの例である。
図10B図9の3つのヘアピースで実施される画像分析の2つの例である。
図11A】乱れ毛のフィルタを含む、図9の3つのヘアピースで実施される画像分析の、さらなる2つの例である。
図11B】乱れ毛のフィルタを含む、図9の3つのヘアピースで実施される画像分析の、さらなる2つの例である。
図12A図9のそれぞれ第1、第2及び第3のヘアピースの水平位置データである。
図12B図9のそれぞれ第1、第2及び第3のヘアピースの水平位置データである。
図12C図9のそれぞれ第1、第2及び第3のヘアピースの水平位置データである。
図13図9の3つのヘアピースの半径を関数とした定常状態位相角である。
図14図9の3つのヘアピースの各々の半径を関数としたモーション減衰定数である。
図15A図9の3つのヘアピースそれぞれのボリューム時間プロファイル(2Dボリュームプロファイル)である。
図15B図9の3つのヘアピースそれぞれのボリューム時間プロファイル(2Dボリュームプロファイル)である。
図15C図9の3つのヘアピースそれぞれのボリューム時間プロファイル(2Dボリュームプロファイル)である。
図16】時間を関数とした、単一のヘアピースの円弧の長さ及び幅の例である。
図17】5つのヘアピースについて、4つの異なる毛髪タイプの属性に関する消費者調査グループから取得されたデータの例であり、各々のヘアピースは異なる製品で処理される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の方法の装置は、図1図2及び図3を参照してさらに詳細に以下で説明するように、1つ以上のヘアピースの運動の特性を測定するように構成される。これらの特性(「運動パラメータ」としても知られる)は、x振幅、y振幅、ヘアピースの最高点と最低点間の相対位相、減衰時間、自然周波数、ヘアピースの2D領域、運動前と運動後のヘアピースの2D領域の変化の定量測定値を含み得る。
【0043】
本発明の装置はまた、フィルタを適用して、ヘアピース本体から切り離されて位置するほつれ繊維を、それらの毛を無視することで、さらなる分析から除外するように構成される。その他多数の毛髪運動の属性もまた定義されてもよい。測定した運動特性は、今度は、ヘアピース10、10a、10bの1つ以上のしなやかさ、軽やかな運動、流れるような運動及び制御された運動などの毛髪運動の属性を推定するために使用することができる。その他多数の毛髪運動の属性もまた定義されてもよい。例えば、
・運動中の柔軟性
・運動中の形状/スタイル/位置の維持
・運動中の「毛髪のへたり」にくさ
・軽やかな運動及び
・生き生きとした運動、などである。
【0044】
このような属性は、多数の異なる国(例えばイギリス、アメリカ、中国、日本、インドネシア、インド、タイ及びブラジル)で適用可能である。当然ながら、属性はすべての国で同様に有用であり得る。
【0045】
その他いくつかの属性は、特定の国の消費者にとりわけ適用可能である。例えば、
・重厚感(タイ)
・Sa-Luay(タイ)
・美しく自然な流れ(タイ)
・活力のある動き(インドネシア)及び
・サラサラ感(日本)、などである。
【0046】
装置1は運動装置2を含み、運動装置2にヘアピースが取り付けられる。通常、装置は複数のヘアピース固定具を含むバー(図2には図示せず)を含み、各々のヘアピース固定具がそれぞれのヘアピースに当接する。運動装置は、バーの水平軸方向に振動力(強制振動)を適用するモータを含み、バーが「x」と示される方向に振動運動を受けるようにする。
【0047】
振動周波数は好適な値の範囲を取り得ると理解されよう。例えば、好適な範囲は0.8~1.3Hzであり得る。より低い周波数の場合、それより低いとヘアピースの振動運動が引き起こされず、ヘアピース全体が強制振動とともに強張って動く。より高い周波数の場合、それより高いと望ましくないヘアピースの運動(例えば、ねじり運動など)が引き起こされる。バーの好ましい振動周波数は1.0Hzであり得る。同様に、振動周波数は異なる、好適な値である可能性もある。強制振動周波数を決定するに際して多くの要因が重要になるが、強制振動周波数には厳密な制限はなくてもよいと理解されよう。すべてのヘアピースを単一のバーに付着させることで、バーのいかなる運動も同一の運動の力が、各々の取り付けられたヘアピース10a、10bに適用されるようにできるであろう。
【0048】
交差検証モデル生成のために使用するヘアピースの定量測定値を作成する際に使用する強制振動周波数は、対応する予測モデルのインプットとして使用するヘアピースの定量測定値に使用する強制振動周波数と、同一であってもよい。
【0049】
図2に示す実施形態において、バーはライトボックス21の前に位置する。カメラ3、具体的には、動画機能のあるカメラは、ライトボックス21から固定された距離に取り付けられ、毛髪試料の画像を(動画フレームを介して)、初期の励振及びバーが振動している時間(取り付けられたヘアピースは、それゆえ定常状態の運動を受ける)だけでなく、バーが振動を終了した後の時間で取り付けられたヘアピースがモーションの減衰を受ける時間もまた撮像する。このようにして、カメラは、強制振動中の毛髪の運動を撮像することができるが、同時に、強制振動が停止した後の運動の減衰の画像もまた適用するべきである。
【0050】
画像はカメラを使用して録画した動画から得られてもよい。画像は動画から抽出される。各々の画像は、動画のフレームに相当してもよい。特定の動画からの画像の再分析もまた、動画から画像を再抽出する必要性なく可能である。言い換えると、画像は動画から1回のみ抽出され、その後保存され得る。保存した画像は、動画から画像を抽出するステップを繰り返す必要なく、その後分析に利用することができる。
【0051】
カメラ3による録画の開始と、運動装置2による強制振動運動の開始と、の間で遅延を適用することができる。例えば、この遅延は1秒以上の長さを有し得る。バーが振動するモーション継続時間は7秒以上の持続時間を有してもよく、(バーの運動を停止させることによる)強制振動の停止と、カメラが画像撮像を停止する時間と、の間の遅延は6秒以上の値を有し得る。これらの時間は例に過ぎないと理解されよう。
【0052】
装置1はさらに、カメラ3と通信可能に接続されるコンピュータ4を含み、コンピュータは、カメラ3によって取り込まれた画像及び/又は動画を処理し、取り込み画像からヘアピースの定量測定値を抽出するためにプロセッサを含む。
【0053】
コンピュータ4、カメラ3及び運動装置2は、ワイヤレスネットワークなどのインターフェース5を介して接続されてもよい。このようにして、コンピュータ上で動作するプログラムを使用して、運動装置及びカメラを、特に開始時間及び終了時間を、制御してもよい。
【0054】
画像を処理し測定値を抽出するための、プロセッサにより動作する測定用及び分析用ソフトウェアは、例えばExelis IDLバージョン8.3又はより最新のバージョンなどの任意の好適なプラットフォームに記憶されていてよく、重要な特徴は、得られた動画ファイルを画像に変換するIDL機能IDLffVideoReadが含まれていることである。例えば、Exelis IDLバージョン8.4のIMF_ImageAnalysisライブラリなどの、画像分析機能の専用ソフトウェアの存在もまた有利であり得る。
【0055】
好適なカメラとしては、ニコンD90、ニコンD5000及びニコンD3200のカメラが挙げられるが、これらに限定されない。D3200などのカメラは、ユーザーがマニュアル動画モードでシャッタースピードを設定することができるため特に有利であることが判明した。1/500秒及び1/1000秒のシャッタースピードを試験し、ともに良好に機能したが、1/1000秒のシャッタースピードが特に良好であった。D90及びD5000などのカメラは、動画を撮影するときのシャッタースピードを変えることができず、モーションがぼやけてしまう結果になる可能性があり、ヘアピースの外郭線が識別しづらいものとなり、その後に得られる測定値の正確性も低くなってしまう。これらのカメラは例に過ぎず、その他多くのカメラが本明細書に詳細が記される技術的性能を有してもよいことが理解されよう。
【0056】
D3200の最大動画フレームレートは、1920×1080の画像サイズで毎秒25フレームの順次走査(25p)であった。より低空間分解能のインターレース動画モードでのみ利用可能であるより高いフレームレート、例えば50iなどは、2つの別個の露光がともに交錯され、露光間のモーションが二重の画像を生成する可能性があるため避けるべきである。
【0057】
測定及び分析はソフトウェアによって、単一のヘアピースの測定及び分析と同様に、運動装置に同時に取り付けられる複数のヘアピース10a、10bで実施することができる。複数のヘアピースの場合、ヘアピースの数だけソフトウェアへのインプットを行い、ソフトウェアは、ソフトウェアにインプットされた数のヘアピースを画像中に見つけようとするだろう。装置は、特定の数のヘアピースをカメラの視野の中に特定することができなかった場合に、エラーを出すように構成されてもよい。
【0058】
装置はまた、カメラの視野に位置する校正ディスク(図示せず)を含む。校正ディスクは既知寸法を有し、それにより取り込み画像のピクセルを実際の空間測定に校正するメカニズムを提供する。
【0059】
ヘアピースの取り込み画像の例が図3に図示され、取り込み画像はヘアピースの定量測定値を得るために分析される。最初に、画像中のヘアピース各々について、ソフトウェアは、ヘアピースの外郭線11及び背部12を抽出する。その後ソフトウェアは、複数の、ヘアピースの長さに沿って均等に配置された円弧13a、13b…13nにおいて運動パラメータを分析する。図示される例においては、隣接する円弧間の間隔は10mmである。
【0060】
特定のヘアピースのモーションを分析するために使用する式を、定常状態(強制振動)(式(1)及び減衰時間(式(2))(強制振動後)の各々について下記に列挙する。
【0061】
定常状態
【数1】
【0062】
減衰状態
【数2】
【0063】
式中、
xはmmで表される背部と特定の半径の交差点の水平位置、
Aはmmで表される振幅、
tは秒で表される時間、
T2は強制モーションが停止したときの秒で表される時間、
Λは秒で表される波長、
Φは度で表される位相角、
Τは秒で表されるモーション減衰時間定数、
Bはmmで表されるオフセットである。
【0064】
x軸方向のモーションのモデル化した数学的形態は、(前述のように)正弦波形状である。前述の正弦波モーションの二乗平均平方根(RMS)はRMS=A/sqrt(2)である。RMSはx値の標準偏差に相当し、それは振幅、A=sqrt(2)*標準偏差(x位置の値)を意味する。
【0065】
y軸方向のモーションに関しては、y軸方向のモーションの振幅は、A_y=sqrt(2)*標準偏差(y位置の値)として算出される。
【0066】
コンピュータのプロセッサ上で動作するソフトウェアによって実施される測定及び分析ステップは、図4図9を参照して下記でより詳細に記載される。
【0067】
図4は、運動装置を使用して定量測定値を得るための方法の例の概要を示す。
【0068】
最初の器具設置ステップs4aにおいて、装置は図1及び図2に関して前述に記載されるように提供される。より詳細には、以下のサブステップの1つ以上が実施される。
【0069】
測定中に使用されるべきパラメータがソフトウェアによりロードされ定義される。そのようなパラメータには、モーションスピード、モーション振幅、モーション開始時間、モーション終了時間、モーション減衰時間、動画フレームレート、動画幅及び高さ、動画シャッタースピード及びレンズ口径、ヘアピースの数、定常状態領域が開始する前の無視するべき強制振動のサイクル数、ヘアピース測定の半径間隔(mm)、最大半径(mm)及び/又は校正ディスク寸法(mm)が挙げられる。
【0070】
器具設置には、カメラが分析する1つ以上のヘアピース各々に焦点が合うように、カメラの焦点設定が含まれる。
【0071】
背景の短い動画を撮像して単一の画像に変換し、通常、「背景」とラベル付けし、校正ディスクの短い動画を撮像して単一の画像に変換し、通常、「校正」とラベル付けする。
【0072】
後続のステップs4bで、調査が開始される。このステップには、例えば、ヘアピースの数などヘアピースの詳細入力が含まれる。各ヘアピースの種類及びヘアピース各々に適用された処理もまた書き留められてよい。1つ又は複数のヘアピースの動画撮像がT0の開始時間に開始され、T0を書き留める。
【0073】
バーの強制振動モーションが開始され、T0に対して振動モーションの開始時間TSを書き留める。
【0074】
バーの強制振動モーションが停止され、T0に対して振動モーションの停止時間TEを書き留める。
【0075】
TEから所与の時間(この時間は(1つ又は複数の)ヘアピースのモーション減衰を撮像するために選択される)の後、動画の記録を停止する。
【0076】
後続のs4c及びs4dステップでは、背景の分析、切り取り及び取り込み画像の校正が実施される。これには、背景ファイルを単一の背景画像に変換すること、校正ディスクファイルを単一の校正ディスク画像に変換すること、及びヘアピースモーションの動画ファイルから、分析用の連続画像を抽出すること、が含まれる。
【0077】
背景画像のライトボックス領域は切り取り座標の特定により特定され、これはライトボックス領域に相当する(s4c)。
【0078】
校正ディスク画像からピクセルサイズを校正する(s4d)ために、校正ディスク画像の校正ディスクが特定される。校正ディスクの既知寸法を使用して、現実世界のピクセルサイズを算出する。
【0079】
後続ステップでは、所望の(1つ又は複数の)ヘアピースの強制運動及び減衰の連続画像が測定される。切り取り/校正された画像は保存されてもよい。
【0080】
後続ステップs4fでは、得られたモーションデータが保存される。
【0081】
その後モーションデータは分析される(s4g)が、以下の分析ステップが含まれる。
【0082】
・TS及びTEとともにヘアピース・モーション・データの最高点を使用して、モーション開始時間T1を決定する。
【0083】
・TS及びTEとともにヘアピース・モーション・データの最高点を使用して、モーション終了時間T2を決定する。
【0084】
・正弦波をヘアピースデータの最高点にフィットさせ、A、Λ、Φ及びBを戻す。
【0085】
・モーション開始時間、フィット、Ncを使用して、定常状態領域の開始を決定するが、Ncは強制振動開始時の、定常状態領域が開始する前の無視するべき振動サイクル数である。
【0086】
・定常状態領域の終了及びT2に相当する減衰領域の開始を決定する。
【0087】
・正弦波をT1とT2間の各ヘアピース半径データにフィットさせ、Ai、Λi、Φi及びBiを戻す。フィットした各ポイントは背部とそれぞれの半径の交差点に相当する。
【0088】
・減衰正弦波をT2とTE間の各ヘアピース半径データにフィットさせ、モーション分析パラメータAi、Λi、Φi、τi及びBiを戻す。フィットした各ポイントは背部とそれぞれの半径の交差点に相当する。
【0089】
後続のステップで、モーション分析パラメータを保存する(s4h)。
【0090】
所望の場合は、結果画像ファイルを使用して結果動画を作成する。
【0091】
ソフトウェアはユーザーに以下の異なる選択肢を提供してもよい。
【0092】
・ヘアピースモーションを撮像し、個別の動画についてモーションを測定する、又は
・いくつかのヘアピース動画を撮像し、その後に動画を分析する。
【0093】
図5は、本発明の装置で取り込まれた画像から定量測定値を得るために実施される、測定及び分析プロセスのユーザーインプット・インターフェースの例を示す。この例では、測定及び分析プロセスは以下のステップを含む。
【0094】
1.ユーザーインプット・インターフェースでのパラメータを指定する(例が図5に示される)。
【0095】
1.1.ライトボックス領域とヘアピースを区別するために使用されるファクターを入力する(図5の例では、区分閾値=0.75である)。
【0096】
1.2.切り取った画像の最高点から、ヘアピースの最高点のオフセットをピクセル(オフセットピクセル)で入力する(図5の例では、オフセット値は0(ピクセル)である)。
【0097】
1.3.校正ディスクの直径の値を入力する(図5の例では、校正ディスクの直径の値=200.0(単位=「mm」)である)。
【0098】
1.4.動画/画像シーケンスの中で予測されるヘアピースの数を入力する。
【0099】
1.5.切り取った画像の最高点にあるモーション原点の距離を入力する(図5の例では、この距離の値は、センターオフセット=10.0(mm)である)。
【0100】
1.6.ヘアピース沿いの測定の距離間隔を入力する(図5の例では、距離間隔(円弧の隔たり)値=10.0(mm)である)。
【0101】
1.7.動画フレームレートをフレーム毎秒で入力する(図5の例では、フレームレート値=25.0である)。
【0102】
1.8.不要の乱れ毛を無視し、それゆえヘアピース背部座標を向上させるために使用される、最小長さ比、MinRatioを入力する。
【0103】
1.9.定常状態の開始を決定するために使用される、モーション開始後のスキップするべきサイクルの数、Ncを入力する(図5の例では、スキップサイクルの数値=1.0である)。
【0104】
1.10.モーション開始時間及びモーション終了時間を入力する(図5の例では、開始時間及び終了時間の値は両方とも0に設定される)。
【0105】
1.11.動画を使用する場合は、「分析に動画ファイルを使用する」ボックスにチェックを入れ、画像シーケンスファイルの場合はチェックを外す。
【0106】
2.ディスプレイ及び出力オプション
2.1.処理中に結果画像を表示させる場合は、「分析中に画像を表示する」ボックスにチェックを入れ、表示させない場合はチェックを外す。
【0107】
2.2.結果画像を保存する場合は、「結果画像を保存する」ボックスにチェックを入れる。
【0108】
2.3.動画フォーマットで結果画像を保存する場合は、「結果動画を保存する」ボックスにチェックを入れる。
【0109】
2.4.動画から作成された画像シーケンスを削除する場合は、「測定後にムービー・フレーム・ファイルを削除する」ボックスにチェックを入れる。測定及び分析が完了した後に、画像シーケンスは削除してもよい。
【0110】
2.5.結果動画が作成された後に結果画像を除去する場合は、「結果画像ファイルを削除する」にチェックを入れる。
【0111】
2.6.測定値データを再分析する場合は、「モーション測定を再分析する」ボックスにチェックを入れる。この分析に影響するパラメータ(フレームレート、スキップするサイクル数、モーション開始時間及びモーション終了時間)が変化する場合は、再分析は役立つ可能性がある。
【0112】
2.7.モーション測定からビジュアル属性を計算するために、「PLS属性モデルを使用する」ボックスにチェックを入れる。
【0113】
2.8.「フォルダ内のすべてのPLS属性モデルを使用する」ボックスにチェックを入れる。所望の属性モデルファイルを選択する場合はチェックを外す。
【0114】
2.9.PLSモデルで使用される水平のXパラメータの半径をmmで設定する。
【0115】
2.10.PLSモデルで使用される鉛直のYパラメータの半径をmmで設定する。
【0116】
3.上記の設定したパラメータのユーザーを保存する。これが、次回プログラムを起動させるときの初期設定となる。設定はまた、テキストロゴファイルに書き込まれてもよい。再分析のための、任意の後続の再測定値の設定を付け加えてもよい。各々の入力は現在の日時から始まる。画像シーケンスファイルを再分析又は測定する場合は、このファイルは、ムービーを含有するフォルダ内又は画像フォルダ内に保存される。
【0117】
4.インストラクション又はステータス情報と共に、「ステータスメッセージを表示させる」ダイアログが表示される。
【0118】
5.背景動画ファイル又は背景画像ファイルを指定する。
【0119】
6.校正動画ファイル又は校正画像ファイルを指定する。
【0120】
7.ヘアピース動画ファイル又はヘアピース画像シーケンスを指定する。バッチ処理を促進するために1つ以上の動画ファイルを選択することができる。
【0121】
8.動画を画像に変換する。
【0122】
9.背景画像と工程を使用して切り取り座標(最高点、最低点、左及び右)を見つける(ライトボックス領域に相当する切り取り座標)。
【0123】
10.校正ディスクの測定を行う。
【0124】
11.画像シーケンスの測定を行う。
【0125】
12.画像時間=画像数/フレームレートを指定する。
【0126】
13.結果を保存する。
【0127】
14.ヘアピースモーションを分析する。
【0128】
15.各々のヘアピースについて、各々の半径の、背部と半径の交差点のY位置振幅を算出する。
【0129】
16.PLSビジュアル属性を選択する場合は、属性値を計算する。
【0130】
17.分析ソフトウェアで生成された任意のグラフも含め、毛髪ボリューム及び塗りつぶしボリューム統計を算出及び保存する。
【0131】
18.定常状態パラメータ及びモーション減衰パラメータを保存する。
【0132】
19.幅統計を保存する。
【0133】
20.結果を表示させる。
【0134】
21.結果から結果動画を作成する。
【0135】
当然ながら、前述の方法及び図5に示されるユーザーインターフェースは例として提供されるに過ぎないと理解されよう。
【0136】
図6は、所与のヘアピースセットの取り込み画像で実施され得る詳細にわたる分析ステップの例を示す。
【0137】
以下のステップはモーション分析ソフトウェアによって実施され、取り込まれた画像の各々でループし、(特に指示しない限り)各画像でステップが実施される。
【0138】
・画像をロードする(s6a)。
【0139】
・ロードした画像中でヘアピースを見つける(s6b)。
【0140】
・画像中に存在するヘアピースにラベル付けし(s6c)、各ヘアピースの、それぞれの画像領域を設定する。
【0141】
・画像中の各ヘアピースについて、以下の詳細にわたる分析を実施する(s6d)。
【0142】
・ヘアピースの最高点座標を測定する(s6e)。
【0143】
・最初の画像及び最初のヘアピースの場合、ラベル付けした円弧画像を作成する(s6f)。
【0144】
・円弧画像をヘアピースの水平位置に移動させる。
【0145】
・ヘアピースの外側の円弧部分を除去する。
【0146】
・以下を含む、円弧(例えば、mmで)を測定する(s6h)。
【0147】
・円弧断片の数を数える。
【0148】
・円弧断片が1つのみの場合、円弧の重心X&Y座標を測定する。
【0149】
・円弧断片が1つより多い場合、すべての断片の合計長を計算する。最大断片を保持し、断片長さFragLenが、FragLen/TotalLen<MinRatioであるその他のいかなる断片も除外する。残りの断片の重心座標を計算する。Xpos及びYposとして保存する。
【0150】
・左端X&Y座標及び右端X&Y座標を決定する。
【0151】
・重心X&Y座標を決定する。
【0152】
・ヘアピース領域及び、切り離された繊維束の隙間を含む塗りつぶし領域を測定する。
【0153】
・要望に応じて、結果画像を作成する(s6i)。
【0154】
・要望に応じて、結果画像を表示する。
【0155】
・要望に応じて、結果画像を保存する。
【0156】
図7は、プロセッサで実施される、静止段階、定常状態(強制振動)段階及び減衰段階における時間を関数とした測定パラメータの推移を見るための、取り込み画像からのデータについてのさらなる分析プロセスの例を示す。この例では、プロセッサ上のソフトウェアがプロセッサに以下のステップを実施させる。
【0157】
・モーション開始時間及びモーション終了時間を決定する(s7a)。
【0158】
・すべての円弧に定常状態領域をフィットさせる(s7b)。
【0159】
・すべての円弧にモーション減衰をフィットさせる(s7c)。
【0160】
・鉛直の振幅を算出する(s7d)。
【0161】
・静止段階、定常状態段階及び減衰段階の最終四半期内の幅測定の平均、最小、最大及び標準偏差、円弧長並びに幅(円弧のFeretMax)を含む、統計的出力を算出する(s7e)。
【0162】
・データファイル及び/又はその他のファイルを保存する(s7f)。
【0163】
分析結果は以下を含み得る。
【0164】
図10A図10B図11A及び図11Bに示される結果画像
・ヘアピースの定量測定値
図12A図12B図12C図13図14図15A図15B及び図15Cに示されるようなグラフ
・各ヘアピースについて、動画の各時点の、各半径での以下のパラメータの1つ以上。
【0165】
・隙間を含まない毛髪の幅、円弧長
・mmでの重心X(水平)座標
・mmでの重心Y(鉛直)座標
・隙間を含む、mmでのヘアピース幅
・mmでのX左座標
・mmでのY左座標
・mmでのX右座標
・mmでのY右座標
・mmでのX位置座標、背部座標及び
・mmでのY位置座標、背部座標
幅及び円弧長統計もまた算出されてもよく、各ヘアピースについての静止段階、定常状態段階及び減衰段階の最終四半期での幅パラメータの平均、最小、最大及び標準偏差を与える。
【0166】
各動画及び各ヘアピースについての、すべてのヘアピースの毛髪領域及び塗りつぶし領域の測定「毛髪ボリューム」もまた算出されてもよく、例えば、以下を与える。
【0167】
1.最初の時点での、mmでのヘアピース毛髪ボリューム(領域)
2.最後の時点での、ヘアピース毛髪ボリューム
3.定常状態段階中のヘアピース毛髪ボリューム最小値
4.定常状態段階中のヘアピース毛髪ボリューム最大値
5.定常状態段階中のヘアピース毛髪ボリューム平均値
6.定常状態段階中のヘアピース毛髪ボリューム振幅。振幅とは、標準偏差に2の平方根をかけたものである。
【0168】
7.上記と同様の測定を、塗りつぶしボリューム(ヘアピースに任意の隙間が含まれたもの)で行う。
【0169】
毛髪ボリュームデータとして、図15A図15B及び図15Cの各々でグラフを用いて示す。円弧長及び幅データの例が図16にプロットされる。
【0170】
消費者データを組み込んださらなる実施形態を、図8と関連して記載する。本実施形態では、運動装置を使用して取得した画像を、消費者調査から取得した同一の製品セットのデータと適合させ、それにより無関係の製品セットの予測測定出力(ときに「検証成果」と称される)を生成するために、校正型プロセスが実施される。
【0171】
本実施形態では、コンピュータ4は、インターフェース5又は別の方法のいずれかを介して、(1つ又は複数の)ヘアピースを使用して実施される消費者調査をベースとした、未加工消費者データ及び/又は処理後の消費者モデルデータを受信するためのインプットを含むであろう。
【0172】
最初のステップ(s8a)では、異なる毛髪製品で処理されている、異なるヘアピースを用いてヘアピースの校正セットを作成する。
【0173】
後続のステップ(s8b)では、ヘアピースが装置1の運動装置2に取り付けられ、カメラ3を使用して画像を取得する。コンピュータ4のプロセッサは、前述の方法のいずれか1つ以上に従う装置を使用して得られた、この「実験データ」の測定及び分析を実施する。
【0174】
それとは別に、消費者調査(s8c)を実施し、消費者は同一の(処理を受けた)ヘアピースの毛髪運動の様々な側面についての見解を提供する。消費者の結果は、2つのヘアピースを一度に見ることによって得られてもよい。対で分析することにより、消費者は、1つの所与のヘアピースがもう1つに対して運動属性がより高い又はより低いか、に関してより容易に有益な回答を提供することができる。
【0175】
その後、アルゴリズムを使用して消費者データをモデル化する(s8d)が、これはコンピュータ4で実行してもよく、又は実行しなくてもよい。このモデリングステップにより、各製品及び関心のある各運動属性の全体的な消費者認識値「dプライム」(「d’」)を作成するが、これが消費者モデルデータである。消費者モデルデータを生成するには多数の好適なモデルがあると理解されよう。例えば、アルゴリズムはサストニアンモデルを、2つ以上のヘアピースの相対的な差に関する消費者認識に適用して、消費者モデルデータ(消費者認識値、d’を含む)を導き出してもよい。
【0176】
さらなるモデリングステップ(s8e)では、プロセッサは消費者モデルデータを受信すると、取り込み画像からのヘアピースの定量測定値と、消費者モデルデータと、を組み合わせた交差検証モデルを作成する。通常、消費者モデルデータと定量測定値の間の相関関係に相当する交差検証モデルには、多数の好適なモデルがあると理解されよう。交差検証モデルの一例は、取り込み画像からの定量測定値と、消費者モデルデータから抽出する消費者認識値(d’)と、を相関させる部分的最小二乗法(PLS)モデルである。
【0177】
その後、交差検証モデルから予測モデルを作成することができる(s8f)。この予測モデルは、交差検証モデルで評価されたような実験データと消費者データの既知の関係を使用して、ヘアピースの新たな製品セット(s8h)からの新たな「実験データ」(s8g)の消費者の反応を予測する。それゆえ、予測モデル(s8f)の出力は予測消費者測定値(s8i)であり、これには新製品についての予測される消費者認識値が含まれる。
【0178】
ビジュアル属性(すなわち、予測される消費者回答)を計算するためにソフトウェアアルゴリズムによって実施されるステップについて、以下でより詳細に説明する。
【0179】
最初に、ビジュアル属性スコアを予測する測定値を算出するために、部分的最小二乗法(PLS)モデルを使用しなければならない。使用される測定値は、通常、以下のものでる。
【0180】
1.ユーザーインターフェースで指定された半径(PlsRadius)での、定常状態段階におけるX位置振幅
2.度での相対位相角(=PhaseAngle[PlsRadius]-PhaseAngle[0])
3.(PlsRadiusでの)減衰時間定数
4.分あたりの振動(=60/減衰波長)
5.(PlsRadiusYでの)Y位置振幅
動画ファイルの各ヘアピースについて測定値を算出する。
【0181】
1つの予測モデルは多数の属性モデルを含んでもよく、各属性モデルは毛髪属性に相当する。
【0182】
PLSモデルの例では、特定の属性モデルには、そのモデルが指定されたモーションパラメータを使用していると記すために「ヘアピース運動測定」を含有する説明が含まれる可能性があるが、これはPLSモデルが他の方法測定用に作成され得るためである。特定のPLS属性モデルは、以下を含むデータ構造PLSを含み得る。
【0183】
1.PLS.Name:流れるような運動、などの属性名を与える
2.PLS.Measures:測定名(インターセプト、X振幅(mm)、相対位相[°]、減衰時間(s)、振動/分、Y振幅(mm))を与える
3.PLS.Offsets:インターセプト値
4.PLS.Wts:測定の重み
PLSモデル例では、結果生じるビジュアル属性値は以下の関係、
【数3】
【0184】
式中、
A=予測されるビジュアル属性値
C=オフセット又はインターセプト
Wi=測定の重み付け因子、PLS.Wts[i]
Mi=上記PLS.Measuresで指定した順の測定ベクトル
で説明され得る。
【0185】
予測されるビジュアル属性値は、消費者モデルデータを組み立てるために使用されたビジュアル属性の予測値に相当する。消費者モデルデータは消費者検証モデルを作成するために使用され、消費者検証モデルは予測モデルを作成するために使用された。例えば、消費者モデルデータが消費者比較をベースとし、結果として消費者モデルデータがd’値を含んでいる場合、Aはその特定のビジュアル属性の予測されるd’値に相当する。第2の例として、消費者モデルデータが、特定の属性について0~10のスケールでヘアピースの得点付けした消費者をベースとする場合、A値は0~10のスケールのビジュアル属性と同様の値となる。
【0186】
通常の結果の例について、図9図16を参照してこれより説明する。
【0187】
図9は、装置1の運動装置2に取り付けられた3つのヘアピースの未加工画像を示す。この画像では、3つのヘアピースは強制振動を受けている。左側の31及び右側の33のヘアピースはダークブラウン色であり、真ん中のヘアピース32は脱色されている。しかし、ライトボックス21により、脱色されたヘアピースの画像化が促進されることが分かるであろう。この画像は動画から抽出されている。
【0188】
図10Aは、最初の処理ステップが行われた後の図9の未加工データに相当する結果画像である。その他の(処理後の)結果画像が、図10B図11A及び図11Bに示される。これらの画像は、ソフトウェアでロードされるとき、背景画像から決定した座標を使用して切り取られる。
【0189】
図10A図10B図11A及び図11Bの結果画像は、ヘアピース外郭線111、塗りつぶし毛髪外郭線114、ヘアピース背部112、及び測定円弧113a、113b(10mmの放射状の間隔)を示す。
【0190】
図10Bでは左側のヘアピース31は分離しているように見えるが、一方で図10Aでは左側のヘアピース31は単一の本体を形成している。図10Aのヘアピース31の塗りつぶしヘアピース領域外郭線114はそれゆえ、図10Bに示される塗りつぶしヘアピース領域外郭線114bが裂け目まで伸びているのに対し、図10Aのヘアピース毛髪外郭線114は裂け目まで伸びていない点で、図10Bのヘアピース31のヘアピース毛髪外郭線114bとは異なる。
【0191】
図11A及び図11Bは前述の図の3つのヘアピースを示し、その各々がヘアピース間の改善された分割方法を図示する。
【0192】
図11Aは、ほつれ繊維がフィルタによって少なくとも部分的に無視される結果画像を示す。言い換えると、図11Aでは、分析アルゴリズムがほつれ繊維部分を除外し、それによりヘアピース領域外郭線214とヘアピース毛髪外郭線211の両方が、ヘアピースの本体とういうよりは、部分的にほつれ繊維によって定義されるヘアピースの外側外郭線により緊密に従う結果となったことを理解することができる。フィルタなしでは、ヘアピース背部の端位置が誤って、乱れ毛の方向(すなわち、図11Aの過度に右の方へ)に置き換えられる可能性がある。
【0193】
図11Bでは、ほつれ繊維が測定及び分析アルゴリズムにより無視され、ヘアピース背部のより正確な位置付け、従ってヘアピース背部を使用して算出される任意の測定値がより正確に出力されることにつながる。
【0194】
また図11Bは、接触するヘアピースに対処する、改善されたヘアピース分割方法を組み込んでいる(この場合、真ん中のヘアピース32からの乱れ毛が左側のヘアピース31の本体に接触している)。
【0195】
ヘアピース分割は、下記の通常のステップを含むルーチンによって実行される。
【0196】
・画像中のライトボックス領域の、「WhiteGrey」と称される平均輝度を計算する。ヘアピースに相当するピクセルは、ヘアピースピクセルとして識別される。
【0197】
・ヘアピースピクセルは、画像ピクセル値<(WhiteGreyThreshFactor)を満たすものである。例としてThreshFactorの値が0.75のときが挙げられるが、この値は特定の状況によって変化し得る。
【0198】
・小さなオブジェクト(例えば、100ピクセルより小さいサイズのもの)をヘアピースから除去する。
【0199】
・アーティファクトを除去するが、以下のものが含まれる。
【0200】
・ヘアピースのオブジェクトを測定し、オブジェクトの重心y値CgY>MinValueかつCgY<MaxValueかつオブジェクト最高点>TopYであれば、各オブジェクトを画像標本にコピーする。標本中の、NumSwitchesと称されるオブジェクト数を数える。
【0201】
・NumSwitches<ExpectedNumSwitchesである場合、オブジェクト数がNumSwitches=ExpectedNumSwitchesとなるまで、オブジェクトを縮小させる。
【0202】
・NumSwitches>ExpectedNumSwitchesである場合、NumSwitchesを最大オブジェクト数に保持する。
【0203】
ヘアピース分割プロセスはまた、画像の端に接触するヘアピースに対処するルーチンを含んでもよい。
【0204】
図12A図12B及び図12Cは、前述の図10A図10B図11A及び図11Bに示される3つのヘアピース31、32及び33のヘアピース・モーション・データを示す。ヘアピースは円弧半径に応じて色分けされている。
【0205】
より詳細には、図12Aは最初のヘアピース31の半径によって陰影がつけられた(元々は色分けされていた)、0~240mmの円弧すべての水平位置データを示す。グラフは、ヘアピースが強制振動を受ける定常状態領域1201及び、強制振動が除去されてからのヘアピースの運動を示す減衰領域1202を伴うモーションの時間を示す。
【0206】
図12Bは、第2のヘアピース32の、同様に0~240mmの円弧に相当する水平位置データを示す。図12Cは、第3のヘアピース33の0~240mmの円弧に相当する水平位置データを示す。
【0207】
これらのグラフに示される定常状態段階の遅延は、強制振動に対する定常状態位相角を示す図13を参照すると、よりよく理解することができる。
【0208】
モーション減衰時間定数は図14に示される。ヘアピースモーション振幅は、強制振動周波数がどれほどヘアピースの自然周波数に近いかに依存する。それゆえモーション減衰周波数は、ヘアピースの自然周波数の良い尺度である。
【0209】
図15A図15B及び図15Cは、それぞれ前述の図の3つのヘアピース31、32、33のボリューム時間プロファイル(2D領域プロファイル)を示す。定常状態領域1501aと減衰状態領域1502aの差、及び毛髪ボリュームと塗りつぶしボリュームの差は明確に読み取れる。塗りつぶしボリューム(すなわち、取り込み画像の塗りつぶされた2D領域)は、所与のヘアピース内の切り離された繊維束間の隙間を含む。
【0210】
最初のヘアピース31(図15A)では最終的なボリュームは開始時のボリュームより大きくなっているが、一方で、2つ目及び3つ目のヘアピース32、33(それぞれ図15B及び図15C)では、最終的なボリュームは開始時のボリュームより(毛髪ボリューム値と塗りつぶしボリューム値の両方で)小さくなっていることに留意するべきである。
【0211】
図16は、単一のヘアピースの円弧170mmでの、時間を関数とした、円弧長さ及びヘアピース幅の例を示す。円弧長は隙間を除去した合計の毛髪幅であり、幅は隙間を含む全体的な幅である。
【0212】
図17は、5つのヘアピースについて、毛髪タイプの4つの異なる属性に関する消費者調査グループから取得したデータの例を示し、各ヘアピースは異なる製品で処理されている(OT56、DJ88、HQ32、KL97及びSV45(Syoss)とラベル付けする)。消費者から提供された4つの属性は、しなやかさ、流れるような運動、制御された運動及び軽やかな運動であった。図17のグラフは、調査からの属性を分析する消費者データモデルを使用して得られた結果を示す。調査において消費者は、対にしたヘアピースの異なる組合せを見て、比較して好みについて尋ねられた。
【0213】
本発明は前述の例示的な実施形態の観点から記載されているが、本開示が与えられるとき、多くの同様の変更及び改変は当業者には明らかであろう。従って、本明細書の前述の実施形態は、例示であり限定するものではないと解釈される。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を記載される実施形態に加えることができる。
【0214】
上記に記載されるすべての参考文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17