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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】液滴分配システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20221025BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221025BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20221025BHJP
   C12M 1/34 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
G01N35/08 B
G01N37/00 101
B01J19/00 321
C12M1/34 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019570875
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 GB2018051743
(87)【国際公開番号】W WO2018234821
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】1710002.5
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517131204
【氏名又は名称】スフィア フルイディクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Sphere Fluidics Limited
【住所又は居所原語表記】The Jonas Webb Building, Babraham Research Campus, Babraham, Cambridge, Cambridgeshire CB22 3AT, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリス・ジョセフィデス
(72)【発明者】
【氏名】フランク・エフ・クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マリアン・リハク
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・ホームズ
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/193758(WO,A1)
【文献】特開2015-142586(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024095(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0162262(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02495182(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125947(US,A1)
【文献】特表2011-527011(JP,A)
【文献】特表2010-525325(JP,A)
【文献】特表2016-517281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0151558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/08
G01N 37/00
B01J 19/00
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体の液滴分配システムであって、
分配するための液滴を運ぶための液滴供給ライン(105)と、
前記液滴を分配するための分配流体を運ぶための第1の分配ライン(110)と、
液滴出口(125)に結合される液滴出口ライン(120)と、
分配流体を運ぶための第2の分配ラインと、
体積流量スロットル(135)と、
第1の接合部であって、前記液滴供給ライン(105)からの流れを受け入れるための前記第1の接合部の第1の入力部を有し、前記第1の分配ライン(110)からの流れを受け入れるための前記第1の接合部の第2の入力部を有し、および前記液滴出口ライン(120)への前記第1の接合部の出力部を有する、第1の接合部と、
前記第1の接合部と前記液滴出口(125)との間で前記液滴出口ライン(120)に結合される廃棄物ライン(130)と、
前記液滴出口(125)から液滴を排出するために前記第1の分配ライン(110)へ加圧された分配流体を提供するための第1の圧力源(155)と、
前記液滴出口(125)からの液滴の前記排出を制御するための、前記第1の圧力源(155)と前記第1の分配ライン(110)との間の液滴分配弁(115)と、
を含み、
前記液滴分配システムは、
前記第2の分配ラインへ加圧された分配流体を提供するための第2の圧力源(155)と、
第2の接合部であって、前記液滴供給ライン(105)からの前記第2の接合部の第1の入力部を有し、前記第2の分配ラインからの前記第2の接合部の第2の入力部を有し、および前記体積流量スロットル(135)への前記第2の接合部の出力部を有する、第2の接合部と、
をさらに含み、
前記体積流量スロットル(135)は、前記第2の接合部から前記第1の接合部内への体積流量を制限するために、前記第2の接合部の前記出力部と前記第1の接合部の前記第1の入力部との間に結合される、マイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項2】
前記体積流量スロットルは、前記第2の接合部の前記出力部と前記第1の接合部の前記第1の入力部との間に結合される流量制限ラインを含み、
前記流量制限ラインは、前記第1の接合部に入る分配流体の体積を減少させるために、流体抵抗を提供するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項3】
前記第1の圧力源および前記第2の圧力源は、同一の圧力源を含む、請求項1または2に記載のマイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項4】
前記第2の圧力源は、前記第1の圧力源と等しい圧力または前記第1の圧力源より大きい圧力を提供する、請求項1または2に記載のマイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項5】
前記液滴分配弁が閉鎖されたときに前記廃棄物ライン内に廃棄物流を提供するために、前記廃棄物ラインに結合された吸引ポンプをさらに含み、前記体積流量スロットルは、前記液滴分配弁が閉鎖されたときに前記液滴出口ライン内の体積流量が前記廃棄物流と等しくなるまたは前記廃棄物流より少なくなるのに十分に、前記体積流量を規制するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項6】
液滴処理/アッセイ用に構成された使い捨てのマイクロ流体カートリッジを含み、ラインおよび接合部を支える基材を有し、前記液滴は油中水型の液滴を含み、および前記分配流体は油を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロ流体の液滴分配システム。
【請求項7】
ラインのうちの1つまたは複数が、フッ素化された内壁を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の液滴分配システム。
【請求項8】
分配流体が、1つまたは複数のフッ素化された界面活性剤を含む油担体を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の液滴分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液滴、特に、1つまたは複数の実体(entity)を含むピコ液滴を分配するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載される液滴分配技法は、概して、しかし排他的にではなく、典型的には、概して界面活性剤で安定化させられた油中水型のマイクロ液滴を含むエマルションに関する。1つまたは複数の生体細胞または粒子のような1つまたは複数の生物学的実体は、例えば生物学的アッセイを行うために、各液滴内に、および次いで液滴内部で行われる実験内に組み込まれてもよい。微小体積(microvolume)の液滴(マイクロ液滴)は、潜在的に毎秒数千個を超える速度で生成および処理され得る。
【0003】
典型的には、油組成物は、フルオラス油および/または鉱物油、好ましくは界面活性剤を、例えばおよそ0.5~5体積/体積%で含む。フルオラス油はマイクロ液滴に酸素を輸送するのが得意であるので、フルオラス油の使用は、マイクロ液滴が生きている実体を含むときに、特に有利である。界面活性剤は、重合体または小分子のいずれであってもよく、例えば、クライトックス(商標)(Krytox(商標))またはポリエチレングリコール(PEG)のようなパーフルオロエーテルのブロック共重合体に由来する界面活性剤が使用されてもよい。マイクロ液滴内部の材料または分析物は、例えば、細胞、DNA、タンパク質、ペプチド、ビーズ、粒子、結晶、ミセル、巨大分子、酵素的アッセイ用の材料、細胞小器官、細胞例えば哺乳類細胞、酵母細胞、藻類細胞またはバクテリアのような有機体、ウイルス、プリオンおよびその他、を含んでいてもよい。典型的には、ピコリットル体積の液滴(ピコ液滴)は、1~120μmの範囲の直径を有するが、液滴は、ナノリットルからフェムトリットルの範囲であってもよい、より大きくても(より小さくても)よい体積を与える。
【0004】
発明者らは、そのような液滴を処理および分配するための既存の技法についてのいくつかの問題を認識している。特に、分配に関連するマイクロ流体デバイス内部の圧力変動は、デバイス内部の液滴を崩壊し得る。加えて、分配プロセスは、液滴または液滴の部分が意図されないマイクロ流体チャンネル(ライン)内に移動する原因となることがあり得る。
【0005】
さらなる背景の先行技術は、特許公報の特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6に見出され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2014/162262号明細書
【文献】英国特許出願公開第2495182号明細書
【文献】米国特許出願第2015/125947号明細書
【文献】米国特許出願第2009/320930号明細書
【文献】米国特許出願第2008/261295号明細書
【文献】米国特許出願第2016/136643号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴分配システムを提供し、システムは、分配するための液滴を運ぶための液滴供給ライン、液滴を分配するための分配流体を運ぶための分配ライン、液滴出口に結合される液滴出口ライン、前記液滴供給ラインからの流れを受け入れるための第1の入力部を有し、前記分配ラインからの流れを受け入れるための第2の入力部を有しおよび前記液滴出口ラインへの出力部を有する第1の接合部、前記第1の接合部と前記液滴出口との間で前記液滴出口ラインに結合される廃棄物ライン、前記液滴出口から液滴を排出するために前記分配ラインへ加圧された分配流体を提供するための第1の圧力源、前記液滴出口からの液滴の排出を制御するための、前記第1の圧力源と前記分配ラインとの間の液滴分配弁、を含み、システムは、液滴保護ラインへ加圧された分配流体を提供するための第2の圧力源、前記液滴供給ラインからの第1の入力部を有し、液滴保護ラインからの第2の入力部を有し、および出力部を有する第2の接合部、ならびに前記第2の接合部から前記第1の接合部内への体積流量を制限するために前記第2の接合部の出力部と前記第1の接合部の第1の入力部との間に結合される体積流量スロットル、をさらに含む。
【0008】
このようにして1つの態様において、発明者らは、典型的にはしかし本質的にではなくポリマーまたは他の基材上に複数のチャンネルまたはラインを含む、マイクロ流体の液滴分配システムを記載する。システムは、基材上/内部にあってもよくまたは基材から分離されていてもよい1つまたは複数の弁、ポンプおよび同様のものを含んでいてもよい。ポリマー基材、および任意選択的に1つまたは複数の付加的な構成要素は、使い捨ての/消費できるカートリッジの形式であってもよい。
【0009】
1つの実施形態において、液滴分配システムは、典型的には、キャリアオイル中に水性液滴を含む前述された一般的なタイプのシングルまたはダブルエマルションの状態で、分配するための液滴を運ぶための液滴供給ラインを含む。分配ラインは、液滴を分配するための、分配流体、典型的にはキャリアオイル、を運ぶために提供される。液滴出口ラインは、液滴出口またはノズルに結合される。そのようなノズルは、液滴を崩壊する/それをエマルションから分離するための機構、例えばメッシュ、電極、または無乳化剤(de-emulsifier)を添加するためのラインを含んでいてもよい。
【0010】
第1の接合部は、液滴供給ラインからの流れを受け入れるための第1の入力部、分配ラインからの流れを受け入れる第2の入力部を有し、および液滴出口ラインへの出力部を有する。廃棄物ラインは、第1の接合部と液滴出口との間で液滴出口ラインに結合される。吸引、例えば真空ポンプがそれに対して典型的には適用される廃棄物ラインは、無駄になる不要な材料を吸い込むように機能してもよい。
【0011】
第1の圧力源は、前記液滴出口から液滴を排出するために、分配ラインへ加圧された分配流体を提供してもよく、および液滴分配弁は、前記液滴出口からの液滴の排出を制御するために、第1の圧力源と分配ラインとの間に位置する。液滴分配弁は、液滴を分配するために一時的に開く(例えば、これは1000:1のオーダーのマーク対スペース比により作動してもよい)。
【0012】
第2の圧力源は、液滴保護ラインへ加圧された分配流体を提供してもよい。液滴保護ラインは、液滴供給ラインからの別の入力部を有する第2の接合部の1つの入力部へ加圧された分配流体を提供する。体積流量スロットルは、第2の接合部から第1の接合部への体積流量を制限するために、第2の接合部の出力部と第1の接合部の第1の入力部との間に結合される。好ましい実施形態において、しかし必然的にではないが、第2の圧力源は連続的な圧力を提供し、あるいはまた、それは分配弁と同期されてもよい。第2の圧力源は、第1のものと異なる圧力源であってもよいが、便利には、同一の圧力源が両方のために採用される。
【0013】
大まかには、システムの実施形態は、上流の流体素子を保護するために、分配接合部(分配圧力が印加されるところ)の上流の接合部で流体素子を加圧する。加圧は、実質的に連続的であってもよい。さもなければ液滴出口から出て行く過剰なキャリア流体(主に油)を生じるであろう分配接合部内への体積流量を低減させるために、第2の接合部と第1の接合部との間にスロットルが適用される。好ましくは、流れは、液滴出口ライン内の体積流量がそのような無駄になる不要な材料を運ぶための廃棄物ラインの容量を超えないように、絞られる。付加的にまたは代替的に、画像化および/または液滴分析、例えば蛍光測定を助けるために、体積流量は、分配する前に液滴の速度を落とすために(さらに)絞られてもよい。なおさらに付加的にまたは代替的に、体積流量は、分配サイクル毎に使用される試薬の量を制限するために絞られてもよい。当業者は、圧力源が一定の体積流量を必ずしも提供しない(例えばシリンジポンプとは異なり)ことを理解するであろう。
【0014】
関連した態様において、本発明は、マイクロ流体の液滴分配の方法を提供し、方法は、分配するための液滴を液滴供給ライン内に受け入れるステップと、前記分配するための液滴を液滴出口に結合される液滴出口ラインへ提供するステップと、前記液滴出口ラインからの廃棄物流を可能にするステップと、前記液滴出口ラインへ増大された圧力を選択的に印加することによって前記液滴出口からの液滴の排出を制御するステップと、前記増大された圧力が印加される場所の上流の前記液滴供給ラインの領域を加圧することによって、前記選択的に印加された増大された圧力から前記液滴供給ライン内の液滴を保護するステップと、を含む。
【0015】
この一般的なタイプの分配システムについて持ち上がり得る別の問題は、分配することが意図される液滴、またはその部分が、代わりに、廃棄物ライン内に移動し得ることである。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、したがって、マイクロ流体の液滴分配システムを提供し、システムは、分配するための液滴を運ぶための液滴供給ラインと、液滴を分配するための分配流体を運ぶための分配ラインと、液滴出口に結合される液滴出口ラインと、前記液滴供給ラインからの流れを受け入れるための第1の入力部を有し、前記分配ラインからの流れを受け入れるための第2の入力部を有しおよび前記液滴出口ラインへの出力部を有する第1の接合部と、前記第1の接合部と前記液滴出口との間の廃棄物ライン接合部で前記液滴出口ラインに結合される廃棄物ラインと、前記液滴出口から液滴を排出するために前記分配ラインへ加圧された分配流体を提供するための第1の圧力源と、前記液滴出口からの液滴の排出を制御するための、前記第1の圧力源と前記分配ラインとの間の液滴分配弁と、を含み、システムは、分配弁の開放と同期して廃棄物ライン内へ流体を吐出するための、廃棄物ラインに結合される注入ラインをさらに含む。
【0017】
好ましくは、方法は、また、増大された圧力が印加される点の下流の液滴供給ライン内の/を通る体積流量を制限するステップを含む。
【0018】
実施形態において、廃棄物ライン内へ、好ましくは廃棄物ライン接合部に隣接して、キャリア流体を注入することによって、分配することが意図される液滴は保護され得る。実施形態において、注入ラインは、増大された圧力を分配弁と同期して提供する圧力源に結合される。これは、液滴分配弁と同期して注入ラインへ圧力を提供するために、液滴分配弁と同期して動作する注入弁に結合される同一のまたは第2の圧力源を用いて達成されてもよい。付加的にまたは代替的に、注入ラインは、それが分配弁からの流れの部分によって加圧されおよび分配弁からの流れの部分を受け入れるように、分配ライン(すなわち、第1の接合部の上流)に結合されてもよい。注入ラインは、そして、ラインを通る流量を、液滴が通常の流れ方向に逆らって出口ラインの上に押し返されないように十分に絞るように、および任意選択的に、液滴出口から出る過剰な油を制限するように構成されてもよい。しかしながら、圧力/流れは、分配することが意図される液滴(またはその部分)が、代わりに、無駄となるように移動するのを実質的に防止するのに十分であるべきである。
【0019】
当業者は、液滴分配システムの好ましい実施形態は、単一システムにおいて上述された技法の両方(上流加圧および廃棄物ライン注入)を組み合わせてもよいことを理解するであろう。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、流体の液滴を分配する方法を提供し、方法は、液滴供給ラインから液滴出口ライン内に液滴を受け入れるステップと、前記液滴出口ライン内へ加圧された分配流体を提供することによって、前記液滴出口ラインから液滴出口を通して液滴を排出するステップと、加圧された分配流体が液滴出口ライン内へ提供されないときに、液滴出口ラインから廃棄物ライン内に液滴を受け入れるステップと、液滴出口ラインの上流に加圧された分配流体を提供することによって、前記液滴出口ラインの上流の液滴を保護するステップと、を含む。
【0021】
好ましくは、方法は、また、液滴出口ラインの上流の圧力を、液滴出口ラインと等しいまたはそれより高い圧力で維持するステップを含む。
【0022】
液滴出口ラインの上流に適用される加圧された分配流体は、液滴出口ラインに適用される加圧された分配流体.と同一の源からであってもよい。
【0023】
方法は、また、液滴出口ラインの上流の体積流量スロットルを用いて、液滴出口ラインに入る流体の流量を規制するステップを含んでもよい。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、流体の液滴を分配する方法を提供し、方法は、液滴供給ラインから液滴出口ライン内に液滴を受け入れるステップと、前記液滴出口ライン内へ加圧された分配流体を提供することによって、前記液滴出口ラインから液滴出口を通して液滴を排出するステップと、加圧された分配流体が液滴出口ライン内へ提供されないときに、廃棄物ライン内に液滴を受け入れるステップと、加圧された分配流体が液滴出口ライン内へ提供されるときに、廃棄物ライン内へ流体を注入するステップと、を含む。
【0025】
廃棄物ライン内へ注入される流体は、液滴出口ラインに適用される加圧された分配流体と同一の源からであってもよい。
【0026】
上述されたシステムおよび方法において、ライン(チャンネル)のうちの1つまたは複数は、フッ素化された内壁を有していてもよい。これは、液滴の安定性、保護および運動を促進する。上述されたシステムおよび方法において、分配流体は、同様に、安定化し、保護し、および液滴の運動を促進するために、1つまたは複数のフッ素化された界面活性剤を含む油担体を含んでいてもよい。
【0027】
大まかには、発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、封入される流体または粒子の部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0028】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、物理的、物理化学的または生物学的検出方法を用いて識別された部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0029】
検出方法は、また、物理化学的(例えば、光学的、電気化学的、熱量測定的、熱的、質量感受性の、音響学的、磁気的、ナノワイヤセンシングまたは機械的な)検出方法および/または生物学的検出方法の両方ならびに両方の組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、廃棄物チャンネルと、圧力均衡化サイドチャンネルと、圧力抵抗器と、検出チャンネルと、を含み、物理的検出方法を用いて識別された部分は、改善されたおよびより正確な分配または廃棄物除去を与えるために制御されたやり方で、選択されおよび方向付けられる。
【0031】
圧力均衡化サイドチャンネルは、流体および圧力ネットワークの受動制御を提供してもよい。
【0032】
代替的に、圧力均衡化サイドチャンネルは、マイクロ流体構造内部に組み込まれたかまたはマイクロ流体構造の外部のかいずれかの、接続された弁を調節することによって、流体および圧力ネットワークの能動制御を提供してもよい。
【0033】
マイクロ流体構造の圧力調整ネットワークは、マイクロ流体構造の物理的寸法、設計、および形状によって制御されてもよい。
【0034】
分配ノズルは、定義された形状のものであってもよい。好ましくは、ノズルは、材料の最小限の損失を伴って正確および制御された分配を可能にする定義された形状を有していてもよい。
【0035】
任意選択的に、ノズルおよびマイクロ流体構造は、一体化された形式で同一の型から同時に製造されてもよい。
【0036】
発明者らは、また、大きな空洞内部に位置付けられる分配出口を含んでいてもよい、マイクロ流体構造を説明する。これは、試料の側方運動を防止することによって試料のウイッキングおよび損失を低減し得、ならびにこのようにして分配を改善し得る。
【0037】
マイクロ流体構造の一部は、コーティングを改質する表面エネルギーで被覆されていてもよい。
【0038】
マイクロ流体構造の製造のために使用される材料は、半剛性または剛性固体であってもよい。
【0039】
マイクロ流体構造は、エマルションを使用してもよい。エマルションは、それらの分析、選択および分配を容易にするために様々な流体または粒子を区分するために使用されてもよい。任意選択的に、エマルションは、界面活性剤および/または化学的または物理的手段によって安定化されてもよく、または非安定化されてもよい。
【0040】
大まかには、発明者らは、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を用いる方法を説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、封入される流体または粒子の部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0041】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を用いる方法を説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、物理的、物理化学的および/または生物学的検出方法を用いて識別された部分は、選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0042】
付加的に、発明者らは、また、試料の側方運動を防止することによって試料のウイッキングおよび損失を低減させ得、ならびにこのようにして分配を改善させ得る、大きな空洞内部に位置付けられる分配出口を含んでいてもよい、マイクロ流体構造を使用する方法を説明する。
【0043】
大まかには、発明者らは、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を用いるシステムを説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、封入される流体または粒子の部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0044】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を用いるシステムを説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、物理的、物理化学的および/または生物学的検出方法を用いて識別された部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0045】
付加的に、発明者らは、試料の側方運動を防止することによって試料のウイッキングおよび損失を低減させ得、ならびにこのようにして分配を改善させ得る大きな空洞内部に位置付けられる分配出口を含んでいてもよいマイクロ流体構造を用いるシステムを説明する。
【0046】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を使用するシステムを説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、封入される流体または粒子の部分は選択されおよび分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0047】
発明者らは、また、流体または懸濁液中粒子の定義された体積を分配するためのマイクロ流体構造を使用するシステムを説明し、構造は、少なくとも2つの試料入口流と、試料分配ノズルと、検出チャンネルと、を含み、物理的検出方法を用いて識別された部分は選択されおよびレセプタクルまたは標的領域内へ分配ノズルを介して分配され、ならびに他の部分は別個の廃棄物チャンネルに送られる。
【0048】
発明者らは、また、試料の側方運動を防止することによって試料のウイッキングおよび損失を低減しならびにこのようにしてレセプタクルまたは標的領域への分配を改善する大きな空洞内部に位置付けられる分配出口を含むマイクロ流体構造を使用するシステムを説明する。
【0049】
本明細書中において、流体は、気体、液体、エマルション、懸濁液、コロイド、ゲルおよびエアロゾルを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0050】
粒子は、ビーズ、粉、結晶、量子ドット、細胞および沈殿物を含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0051】
本開示は、後続する詳細な説明および添付図面から、より完全に理解されるであろうが、これは、しかしながら、本発明は示される特定の実施形態に限定するものと取るべきではないが、説明および理解のみのためである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】例示的な二重のT字型接合部の液滴分配ユニットを示す概略図である。
図2】本発明の実施形態による、保護された上流流体と遅延ラインを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略図である。
図3】本発明の実施形態による、過剰な廃棄液滴を防止するための油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略図である。
図4】本発明の実施形態による、過剰な廃棄液滴を防止するための分配弁と同期される弁を用いる油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略図である。
図5】本発明の実施形態による、過剰な廃棄液滴を防止するための分配弁を用いる油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
<液滴分配システム>
図1を参照して、これは、2つのT字型接合部を備える液滴分配ユニットの例の概略を示す。
【0054】
分配ユニット10は、ピコ液滴(1nlよりも少ない体積を持つ液滴)を提供する第1の入力チャンネル15を有する。分配ユニット10は、流れて無駄になる(flows to waste)第1の出力チャンネル40、およびリザーバ内における収集のための選択された液滴を排出するための分配ユニット10のための出口を提供する第2の出力チャンネル30を有する。液滴は、ノズル35を通して排出される。第2の入力チャンネル20は、本例において、圧縮空気を受け入れるために、分配弁25に結合される。この方法において、圧力パルスは、マルチウェルリザーバのウェル内における収集のための選択された標的液滴を含むエマルションの塊を排出するために、第2の出力チャンネル30内を流れるエマルションに印加され得る。典型的には、圧力パルスは、キャリア流体、より具体的には油によって印加され得るが、気体(空気)もまた採用されてもよい。同じことが、後述されるシステムにも当てはまる。分配弁25は、分配するのに適当な液滴が検出されたときに、作動する。入力チャンネルと出力チャンネルとの間に共有されるチャンネル部分50がある。
【0055】
上記された二重のT字型接合部の分配技法は、分配弁25の開放および閉鎖によって引き起こされる圧力変動を考慮に入れない。これらの圧力変動は、上流の流れの性質に何の影響も有さないであろうことが想定され得る。しかしながら、実際の実験から、これらの圧力変動がピコ液滴の間隔に崩壊を引き起こす可能性があり、および高流量の逆流を引き起こす可能性があることは明らかである。これは、ピコ液滴の潜在的な進路変更および破壊を引き起こし得る。さらに、分配弁25が作動するとき、分配するために選択されたピコ液滴は、代わりに、真空廃棄物ライン40の下に移動することとなる優位な蓋然性がある。
【0056】
図1に示される型の分配器10は、マイクロ流体チャンネルを支える平板または基材の形態を有していてもよく、これは、また、1つまたは複数の保持領域、弁、および同様のものを含んでいてもよい。それは、好ましくは、実質的に、光学的に透明であり、および広範なプラスチック材料、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)または環状オレフィンポリマーまたはコポリマー(COPまたはCOC)から製作されてもよい。基材は、そして、マルチウェルまたはマイクロタイタープレートに向かって下方に方向付けられる分配器出力チャンネル30により、液滴処理システム/機器内において垂直にまたは適当な角度で据え付けられてもよい。機器は、そして、選択されたウェル内へ出力チャンネル30を方向付けるために、カートリッジおよび/またはプレートを移動させてもよい。
【0057】
適当なマイクロ液滴処理システム/機器は、参照により本明細書に組み込まれている発明者らの特許公報、米国特許出願第2016/193758号に記載されており、そのような機器は、このようにして、(使い捨ての)マイクロ流体カートリッジを組み込んでもよい。機器は、その内部に哺乳類の細胞、細菌または同様のもののような生物学的実体が処理のために保持される、概して培養基を含む、水性媒体を保持する1つまたは複数のリザーバを有していてもよい。1つまたは複数のリザーバのセットは、システムの様々な段階でエマルションを提供するための油を保持してもよく、これらは、機器の一部またはカートリッジの一部としてであってもよい。リザーバの1つは、標的液滴の抽出および排出のために使用される油である溶離液を提供してもよい。任意選択的に、カートリッジ/基材の分配器部分は、1つまたは複数の液滴検知領域を有していてもよく、液滴が流れの中に存在しているときに識別し、およびエマルションの塊を排出させるために、適切に液滴排出の時機の制御するために使用される。例えば、光学的液滴検出領域は、第1のT字型接合部の下流に、より具体的には、第1および第2のT字型接合部間に設けられてもよい。
【0058】
そのような機器の例は、非常に大きな母集団からの興味のある生物学的実体を含む非常に少ないきわめて稀な液滴を識別するために使用されてもよい。基材上の液滴分類器は、そして、1桁または2桁のオーダーで液滴分配器よりも速く作動してもよく、例えば、分配器は、1~10Hzで作動してもよく、一方、分類器は、100~1,000Hzで作動してもよい。このようにして、液滴分配器に対するエマルション流量を制御するために、1つまたは複数のエマルション流の緩衝領域は、基材の分類領域と分配領域との間に提供されてもよい。実施形態において、そのような緩衝領域は、液滴が堆積し得る一方で過剰な油が吸い出されまたは放出されて無駄になる室、またはマイクロ流体チャンネルの長さを含んでいてもよい。液滴の特性は、緩衝領域からのそれらの退出(順番に)の間にまたはその後に、例えば光学的に、液滴がウェル/リザーバ内に分配されたときに、特定のウェル/リザーバ内部の液滴(複数を含む)の性質が知られるように、測定されてもよい。この方法において、所望の/標的の性質を持つ液滴内容物(例えば、細胞、タンパク質、抗体、試薬または分析物)は、液滴分配の後に回収され得る。
【0059】
分配器の出力チャンネルは、エマルションからの液滴または液滴の内容物の遊離を促進する機構を含んでいてもよい。
【0060】
排出されたエマルションの塊は、50~300nlまたは50~2000nlの体積(チャンネル幅および弁開放時間にある程度、依存する)を有していてもよく、一方、液滴は、50plまたはそれより大きいオーダーの体積を有していてもよい。エマルションの塊が排出されるとき、液滴からの水およびその内容物は、最後には油の表面上に浮くこととなる可能性がある。液滴排出機構は、したがって、エマルションから液滴を抽出するためのおよび/または液滴を細分化させるためのシステムを含んでいてもよい。これは、分配器出力チャンネルのノズルを整形、例えば、狭小化させることによって、および/または出力チャンネルにわたってメッシュを設けることによって、機械的に達成されてもよく、および/または、これは、例えば、エマルション/液滴を崩壊させるために電場を生み出すように電圧が印加され得る分配器出力チャンネルの出口に隣接して1対の電極を設けることによって、電気的に達成されてもよく、および/または化学的機構は、例えば、分配器出力チャンネル内へパーフルオロオクタノールのような無乳化物質の流れを加えることによって、採用されてもよい。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、マイクロ流体の基材は、特に、そのカートリッジの実施形態において、所望の特性を持つ液滴を例えば識別するおよび/または追跡する1つまたは複数のセンサを含んでいてもよい。
【0062】
既に記載されたように、いくつかの実施形態において、液滴排出機構は、分配器出力チャンネル内へ液滴を方向付けるために、エマルション流内の圧力を増大させるための機構を含む。いくつかの実施形態において、これは、それが主チャンネルおよびサイドチャンネル(T字型接合部の形態の)を有するように分配器出力を配置し、および、次いで、出力のためにサイドチャンネル内へ液滴を駆動するために圧力パルスを印加することによって達成されてもよい。1つの実施形態において、そのような配置は、サイドチャンネルによるエマルション流の長さに沿ってピンチ弁のような1対の弁を含んでいてもよい。この方法において、弁は、流れを隔離するために閉鎖され得、次いで、分配器出力チャンネル内へ液滴を含むエマルションを駆動するために、隔離されたエマルションの塊に圧力が印加され得る。別の取り組みにおいて、エマルションの塊は、第1のチャンネル/流れから、圧力パルスが塊およびその関連する液滴を排出するために印加されてもよい、第2のチャンネル/流れへ、移動させられてもよい。当業者は、他の構成は可能であることを認識するであろう。適当な圧力パルスは、例えば、圧電変圧器を使用して、機械的に提供されてもよい。代替的に、圧力パルスは、例えば、電気的加熱素子および泡膨張によち(インクジェットプリンタと同様のやり方で)電気的に生成させられてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、増大された圧力パルスは、その液滴を伴うエマルションの塊を排出するために印加されるが、当業者は、原則として、発明者らが後述する配置は、代わりに、低減された圧力のパルスが、エマルション流から分配器出力チャンネル内へ液滴を排出するために使用されるように、適用されてもよいことを理解するであろう。
【0063】
いくつかの好ましい実装形態において、排出のための液滴の存在を検知/検出するために使用されるシステムから液滴排出機構を物理的に分離することは便利である。実施形態において、これは、排出のためのシステムを分類することによって選択される液滴の位置および速度の一方または両方を検知するために、基材/カートリッジ(マイクロ液滴処理システム)を収容する機器を使用して達成されてもよい。検知は、液滴が排出機構に到達したときに液滴の位置が予測され得るように、液滴排出機構の上流で実行されてもよい。原則として、液滴速度は、エマルションの流量が十分に正確に制御され得る場合は、測定される必要がないが、実際には、速度を測定することは有利である。チャンネルサイズの変動、およびしたがって液滴速度の変動を低減させるために、チャンネルサイズ公差を制御することはさらに有利である。このやり方における液滴排出機構に対する別個の位置の液滴の画像化は、カートリッジ/機器をより単純におよびより効果的にする。
【0064】
<改善された技術>
次に図2を参照して、これは、本発明の1つの実施形態による、保護された上流流体および遅延ラインを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略を示す。
【0065】
分配ユニット100は、ピコ液滴を提供する第1の入力部チャンネルまたは液滴供給ライン105を有する。分配ユニット100は、流れて無駄になる、第1の出力チャンネルまたは液滴出口ライン130と、選択された液滴を排出するための分配ユニット100のための出口を提供する、第2の出力チャンネルまたは廃棄物ライン120と、を有する。液滴は、リザーバ内に収集するための、ノズルまたは液滴出口125を通して排出される。第2の入力部チャンネルまたは分配ライン110は、本例においては、圧力源155から圧縮空気を受け入れるために、液滴分配弁115に結合される。入力105、110および出力120、130チャンネル間には、共有されるチャンネル部分140がある。液滴分配弁115が作動するときに、マルチウェルリザーバのウェル内において収集するための選択された標的液滴を含むエマルションの塊を排出するために、圧力パルスは、共有されるチャンネル部分140においてエマルション流に印加され得る。過剰な油および非選択の液滴は、第1の出力チャンネル130が低い圧力に保たれる際、分配弁が作動しないときに、油にとって、ノズル125を通って分配されるのではなく廃棄物チャンネル130を通ってシステムを離れることが好ましいように、分配されることが防止される。
【0066】
第1の入力部チャンネル105は、上流流体が、分配圧力と等しいまたはそれよりも高い一定の圧力で保持されるように、圧力源155に結合される。これは、分配弁が作動するときに、第1の入力部チャンネル105の上流の流体の挙動を保護し、圧力変動およびピコ液滴のせん断を低減させる。遅延ラインまたは体積流量スロットル135の長さは、共に圧力源と結合される2つのポート間で、第1の入力部チャンネル105および第2の入力部チャンネル110を接続させる。遅延ラインとして言及されるが、ライン135の機能は、概して、出力チャンネル内への体積流量を低減させ、増大された上流圧力を補償するために、流量制限ラインまたは体積スロットルとして作用することである。しかしながら、液滴供給ラインから分配器を通って流れる量(液滴の数毎秒)は、図2の構成によって不変であることも評価されよう。
【0067】
圧力源155は、遅延/流量制限ライン135内へ油を導入し、およびピコ液滴間の間隔を増大させ、共有されるチャンネル部分140および出力チャンネル120、130に入る液滴の流量を規制する。分配弁115が作動させられていないとき、遅延ライン/流れ制限部135にわたって圧力降下がある。圧力源155からの過剰な油が、共有されるチャンネル部分140に連続的に入りおよびノズル125を通ってシステムを離れるのを防止するために、共有されるチャンネル部分140に入る油の流量が、真空廃棄物ライン130がシステムから取り除き得る流量よりも大きいことが望ましい。遅延ライン/流れ制限部135は、分配弁115が作動させられていないときに、共有されるチャンネル部分140に入る油の量を低減させるために、流体抵抗を提供する(およびまた、その構造にコンプライアンス度を有していてもよい)。圧力源155は、遅延ライン135内へ油を導入し、およびピコ液滴間の間隔を増大させ、共有されるチャンネル部分140および出力チャンネル120、130に入る液滴の流量を規制する。
【0068】
第1の入力部チャンネル105は、第2の入力部チャンネル110と同一の圧力源に結合されてもよく、または、第2の入力部チャンネル110に結合される分配圧力と等しいまたはそれよりも高い圧力で圧力源に結合されてもよいことは理解されよう。
【0069】
図3は、本発明の1つの実施形態による、過剰なピコ液滴が廃棄物出力チャンネル130を下に移動するのを防止するための、油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニット100の略図を示す。この実施形態の多くの特徴は、図2に示されるものと同一であり、およびしたがって、同一の参照符号を持つが、しかしながら、第3の入力チャンネルまたは注入ライン245は、第1の出力チャンネル130に接続される。第3の入力チャンネル245は、液滴が第1の出力チャンネル130に入った直後に、第1の出力チャンネル130に接続される。油は、分配弁115が作動するのと同じときに、このチャンネル245内へ注入される。これは、第1の出力チャンネル130に入りおよび廃棄物としてシステムを離れる、分配するために選択されたピコ液滴の量を低減させる。注入される油の量は、廃棄物出力チャンネル130に入るピコ液滴を停止するが、最小量の液体が分配されるのに十分であるように調整される。
【0070】
図4は、本発明の1つの実施形態による、過剰な廃棄液滴を防止するための、同期化された弁から油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの略図を示す。本実施形態の多くの特徴は、図3に示されるものと同一であり、およびしたがって、同一の参照符号を持つが、しかしながら第3の入力チャンネル245は、第2の弁350に結合される。第2の弁350は、所望量の油が第3の入力チャンネル245内へ注入さ得るように、第1の分配弁115と同期される。注入される油の量は、それが廃棄物出力チャンネル130に入るピコ液滴を停止するが最小量の流体が分配されるのに十分であるように調整される。
【0071】
図5は、本発明の1つの実施形態による、過剰な廃棄液滴を防止するために分配弁を使用する、油を注入するためのシステムを備える二重のT字型接合部の液滴分配ユニットの概略を示す。この実施形態の多くの特徴は、図3に示されるものと同一であり、およびしたがって、同一の参照符号を持つが、しかしながら、第3の入力チャンネル245は、分配弁115に結合される。第3の入力チャンネル245の寸法は、流体抵抗を提供し、および分配領域に入るピコ液滴が、第1の入力部チャンネル110を後退して移動しおよび次いで第3の入力チャンネル245を下降する選好性を有さないように、流れを規制するように調整され得る。
【0072】
液滴分配器の好ましい実施形態は、図2の取り組みを図3から図5のものと組み合わせてもよいことは理解されよう。
【0073】
分配ユニットは、分配器出力チャンネルとつながる流体流内へ、または廃棄物チャンネルとつながる流体流内へ、液滴を選択的に方向付けるために使用され得る回転弁を有していてもよいことは理解されよう。
【0074】
分配ユニットは、ピコ液滴に限定されていなくてもよく、しかし様々なサイズの液滴のためにスケールアップされ得ることは理解されよう。
【0075】
上述された技術は、分類、分配弁の開放/閉鎖のような他の手段によって引き起こされる圧力変動から、上流/下流流体素子を保護するために、広範囲な用途に適用されてもよいことは理解されよう。
【0076】
本発明者らは、好ましい実施形態において、生物学的実体を含む油中水型エマルションの液滴を処理するために適用される技術を説明してきた。原則として、しかしながら、有機または無機材料のような非生物学的実体は、同様のやり方で処理されてもよい。同様に、本発明者らが説明する技術は、また、原則として、油中油中水型のエマルションの液滴を処理するために適用可能である。
【0077】
疑いなく、多くの他の効果的な代替物が当業者に思いつくであろうことは理解されよう。本発明は、記載された実施形態に限定されず、および本明細書に添付される特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある当業者にとって明らかな修正を包含することは理解されよう。
【符号の説明】
【0078】
10 分配ユニット/分配器
15 第1の入力部チャンネル
20 第2の入力部チャンネル
25 分配弁
30 第2の出力チャンネル/分配器出力チャンネル/出力チャンネル
35 ノズル
40 第1の出力チャンネル/真空廃棄物ライン
50 共有されるチャンネル部分
100 分配ユニット
105 第1の入力部チャンネル/液滴供給ライン
110 第2の入力部チャンネル/分配ライン
115 液滴分配弁
120 第2の出力チャンネル/廃棄物ライン
125 ノズル/液滴出口
130 第1の出力チャンネル/液滴出口ライン
135 遅延ライン/体積流量スロットル/流れ制限部
140 共有されるチャンネル部分
155 圧力源
245 第3の入力チャンネル/注入ライン
350 第2の弁
図1
図2
図3
図4
図5