(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】カードローン利用支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20221025BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
(21)【出願番号】P 2020087828
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500113567
【氏名又は名称】株式会社伊予銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】境 竜介
(72)【発明者】
【氏名】山本 隼
(72)【発明者】
【氏名】越智 郁水
(72)【発明者】
【氏名】粟倉 万統
(72)【発明者】
【氏名】眞壁 伸治
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101479(JP,A)
【文献】特開2002-163459(JP,A)
【文献】特開2003-323547(JP,A)
【文献】特開2019-057160(JP,A)
【文献】特開2008-158605(JP,A)
【文献】特開2004-070684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からカードローンが申し込まれ、引落口座とともに顧客データベースに設定登録された前記カードローンを対象とし、前記顧客に対して、前記顧客が前記カードローンの前記引落口座として登録した口座の口座残高と、前記口座残高の不足が予測される残高不足予測額と、前記顧客が借入できる利用可能額とを表示し、前記顧客が前記残高不足予測額を借入できるカードローン利用支援方法であって、
サーバーが、
入出金繰返し登録ステップでは、
前記顧客から繰返し登録照会があると、前記顧客データベースから、前記顧客が前記引落口座として登録した前記口座から過去
の所定期間に発生した全ての引落実績がある実績出金情報、及び過去
の所定期間に発生した全ての入金実績がある実績入金情報を抽出し、
抽出した前記実績出金情報及び前記実績入金情報を、前記顧客に対して、実績明細照会として表示し、
表示された前記実績明細照会を基に、前記顧客が繰返し登録を希望するイベントを選択して実績繰返し登録を指示することで、前記顧客が登録を希望する前記実績出金情報を実績出金繰り返しイベント情報として、また前記顧客が登録を希望する前記実績入金情報を実績入金繰り返しイベント情報として前記顧客データベースに登録し、
前記顧客に対して、前記実績明細照会に無いイベントに対して、登録の希望があるかを確認し、
前記顧客が前記実績明細照会に無い前記イベントについて登録を希望する場合には、固有出金情報及び固有入金情報の登録を促し、
前記顧客が前記固有出金情報を登録したときには、前記固有出金情報を、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを前記顧客データベースに登録し、
前記顧客が前記固有入金情報を登録したときには、前記固有入金情報を、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを前記顧客データベースに登録し、
入出金予測確認ステップでは、
前記顧客の前記口座残高と、前記口座から引落が予測される前記実績出金繰り返しイベント情報と、前記口座に入金が予測される前記実績入金繰り返しイベント情報と、前記口座から引落されない前記固有出金繰り返しイベント情報と、前記口座に入金されない前記固有入金繰り返しイベント情報とを前記顧客データベースから抽出し、
前記実績出金繰り返しイベント情報として、実績出金繰り返しイベント項目と、実績出金繰り返しイベント発生予測日と、実績引落予測金額とを含み、
前記実績入金繰り返しイベント情報として、実績入金繰り返しイベント項目と、実績入金繰り返しイベント発生予測日と、実績入金予測金額とを含み、
前記固有出金繰り返しイベント情報として、前記固有出金繰り返しイベント項目と、前記固有出金繰り返しイベント発生予測日と、前記固有出金予測金額とを含み、
前記固有入金繰り返しイベント情報として、前記固有入金繰り返しイベント項目と、前記固有入金繰り返しイベント発生予測日と、前記固有入金予測金額とを含み、
前記実績出金繰り返しイベント情報及び前記固有出金繰り返しイベント情報が抽出される場合には、イベント発生予測日順に、前記口座残高から前記実績出金繰り返しイベント情報又は前記固有出金繰返しイベント情報ごとに前記実績引落予測金額又は前記固有引落予測金額を減算し、
前記実績入金繰り返しイベント情報及び前記固有入金繰り返しイベント情報が複数抽出される場合には、イベント発生予測日順に、前記口座残高に前記実績入金繰り返しイベント情報又は前記固有入金繰返しイベント情報ごとに前記実績入金予測金額又は前記固有入金予測金額を加算し、
前記口座残高がマイナスとなる残高不足タイミングでの実績繰り返しイベント発生予測日又は固有繰り返しイベント発生予測日と前記残高不足予測額とを予測する残高予測処理を行い、
前記残高予測処理によって予測される前記残高不足タイミングでの前記実績繰り返しイベント発生予測日又は前記固有繰り返しイベント発生予測日と前記残高不足予測額とを前記顧客に対して入出金明細照会として表示し、
カードローン借入ステップでは、
前記顧客に対して、表示した前記入出金明細照会において借入額の入力を促し、
前記顧客が前記借入額を設定すると借入登録処理を行う
ことを特徴とするカードローン利用支援方法。
【請求項2】
前記サーバーが、
前記実績引落予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し、確定していないときには過去の実績引落金額を前記実績引落予測金額として抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載のカードローン利用支援方法。
【請求項3】
前記サーバーが、
前記顧客が設定した前記借入額が前記利用可能額を越える場合には前記借入登録処理を行わない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカードローン利用支援方法。
【請求項4】
前記サーバーが、
前記借入登録処理を行った場合には、前記顧客が設定した前記借入額を減算した前記利用可能額を前記顧客に対して表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカードローン利用支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードローンを利用する顧客に対して残高不足予測情報を提示するカードローン利用支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一定期間内の口座引落について残高不足になるか否かの判定を行い、その判定結果が肯定の場合には別口座及びカードローン口座の残高及び利用可能残高を出力表示し、別口座及びカードローン口座が未保有の場合にはカードローン申込案内を表示可能とした情報提供方法を提案している。
特許文献1の方法は、例えば、一定期間内の口座引落合計額が5万円、現在の残高が6万円である場合に、3万円を口座から引き出そうとすると、現在の残高から口座引落合計額の差額は1万円となり、引き出そうとする3万円より少なくなるため、判定結果が肯定となる。この場合に、別口座及びカードローン口座の残高及び利用可能残高を出力表示するものである。
特許文献2は、カード利用状況管理装置が、クレジットカード利用による決済金額情報をクレジットカード会社のサーバーから受信し、また、決済口座の残高を示す残高情報を金融機関のサーバーから受信し、これら受信した決済金額情報と残高情報とを顧客端末に送信する装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-163459号公報
【文献】特開2004-280386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、一定期間内の口座引落について残高不足の発生を検知し、その残高不足を回避することができる。
しかし、特許文献1では、一定期間内の口座引落に関する情報が確定情報であるために、正確な金額であるが限られた短期間が対象となる。また、特許文献1では、不定期な引落に対応できる反面、本来は定期的に繰り返し発生する引落、例えば毎月や隔月で発生する引落は、確定された後でしか反映されない。
特許文献2によれば、顧客は、カード決済金額が口座から引き落とされても大丈夫か否かの判断を、ホームページを閲覧するだけで同時に確認でき、そのための負担が軽減される。
しかし、特許文献2では、クレジットカード利用時の確認はできても、繰り返して毎月や隔月で発生する引落に対して、残高不足タイミングと残高不足予測額とを確認できるものではない。
【0005】
本発明は、定期的に繰り返し発生する引落に対して、残高不足タイミングと残高不足予測額とを期間的に余裕を持って予測ができ、更に借入できる利用可能額を確認して借入ができるカードローン利用支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のカードローン利用支援方法は、顧客からカードローンが申し込まれ、引落口座とともに顧客データベースに設定登録された前記カードローンを対象とし、前記顧客に対して、前記顧客が前記カードローンの前記引落口座として登録した口座の口座残高と、前記口座残高の不足が予測される残高不足予測額と、前記顧客が借入できる利用可能額とを表示し、前記顧客が前記残高不足予測額を借入できるカードローン利用支援方法であって、サーバーが、入出金繰返し登録ステップでは、前記顧客から繰返し登録照会があると、前記顧客データベースから、前記顧客が前記引落口座として登録した前記口座から過去の所定期間に発生した全ての引落実績がある実績出金情報、及び過去の所定期間に発生した全ての入金実績がある実績入金情報を抽出し、抽出した前記実績出金情報及び前記実績入金情報を、前記顧客に対して、実績明細照会として表示し、表示された前記実績明細照会を基に、前記顧客が繰返し登録を希望するイベントを選択して実績繰返し登録を指示することで、前記顧客が登録を希望する前記実績出金情報を実績出金繰り返しイベント情報として、また前記顧客が登録を希望する前記実績入金情報を実績入金繰り返しイベント情報として前記顧客データベースに登録し、前記顧客に対して、前記実績明細照会に無いイベントに対して、登録の希望があるかを確認し、前記顧客が前記実績明細照会に無い前記イベントについて登録を希望する場合には、固有出金情報及び固有入金情報の登録を促し、前記顧客が前記固有出金情報を登録したときには、前記固有出金情報を、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを前記顧客データベースに登録し、前記顧客が前記固有入金情報を登録したときには、前記固有入金情報を、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを前記顧客データベースに登録し、入出金予測確認ステップでは、前記顧客の前記口座残高と、前記口座から引落が予測される前記実績出金繰り返しイベント情報と、前記口座に入金が予測される前記実績入金繰り返しイベント情報と、前記口座から引落されない前記固有出金繰り返しイベント情報と、前記口座に入金されない前記固有入金繰り返しイベント情報とを前記顧客データベースから抽出し、前記実績出金繰り返しイベント情報として、実績出金繰り返しイベント項目と、実績出金繰り返しイベント発生予測日と、実績引落予測金額とを含み、前記実績入金繰り返しイベント情報として、実績入金繰り返しイベント項目と、実績入金繰り返しイベント発生予測日と、実績入金予測金額とを含み、前記固有出金繰り返しイベント情報として、前記固有出金繰り返しイベント項目と、前記固有出金繰り返しイベント発生予測日と、前記固有出金予測金額とを含み、前記固有入金繰り返しイベント情報として、前記固有入金繰り返しイベント項目と、前記固有入金繰り返しイベント発生予測日と、前記固有入金予測金額とを含み、前記実績出金繰り返しイベント情報及び前記固有出金繰り返しイベント情報が抽出される場合には、イベント発生予測日順に、前記口座残高から前記実績出金繰り返しイベント情報又は前記固有出金繰返しイベント情報ごとに前記実績引落予測金額又は前記固有引落予測金額を減算し、前記実績入金繰り返しイベント情報及び前記固有入金繰り返しイベント情報が複数抽出される場合には、イベント発生予測日順に、前記口座残高に前記実績入金繰り返しイベント情報又は前記固有入金繰返しイベント情報ごとに前記実績入金予測金額又は前記固有入金予測金額を加算し、前記口座残高がマイナスとなる残高不足タイミングでの実績繰り返しイベント発生予測日又は固有繰り返しイベント発生予測日と前記残高不足予測額とを予測する残高予測処理を行い、前記残高予測処理によって予測される前記残高不足タイミングでの前記実績繰り返しイベント発生予測日又は前記固有繰り返しイベント発生予測日と前記残高不足予測額とを前記顧客に対して入出金明細照会として表示し、カードローン借入ステップでは、前記顧客に対して、表示した前記入出金明細照会において借入額の入力を促し、前記顧客が前記借入額を設定すると借入登録処理を行うことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のカードローン利用支援方法において、前記サーバーが、前記実績引落予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し、確定していないときには過去の実績引落金額を前記実績引落予測金額として抽出することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のカードローン利用支援方法において、前記サーバーが、前記顧客が設定した前記借入額が前記利用可能額を越える場合には前記借入登録処理を行わないことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカードローン利用支援方法において、前記サーバーが、前記借入登録処理を行った場合には、前記顧客が設定した前記借入額を減算した前記利用可能額を前記顧客に対して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、定期的に繰り返し発生する引落に対して、残高不足タイミングと残高不足予測額とを期間的に余裕を持って予測ができるため、例えば不要不急な出費を延期するなどの対応が取れ、それらの対応によっても残高不足を解消できない場合には、借入できる利用可能額を確認して借入ができるため、引落ができないというトラブルを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例によるカードローン利用支援方法を示すフローチャート
【
図2】本実施例によるカードローン利用支援方法の入出金明細照会での画面イメージ
【
図3】同カードローン利用支援方法の入出金明細照会での過去の実績欄を示す画面イメージ
【
図4】同カードローン利用支援方法の借入状況照会での画面のイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるカードローン利用支援方法は、サーバーが、入出金繰返し登録ステップでは、顧客から繰返し登録照会があると、顧客データベースから、顧客が引落口座として登録した口座から過去の所定期間に発生した全ての引落実績がある実績出金情報、及び過去の所定期間に発生した全ての入金実績がある実績入金情報を抽出し、抽出した実績出金情報及び実績入金情報を、顧客に対して、実績明細照会として表示し、表示された実績明細照会を基に、顧客が繰返し登録を希望するイベントを選択して実績繰返し登録を指示することで、顧客が登録を希望する実績出金情報を実績出金繰り返しイベント情報として、また顧客が登録を希望する実績入金情報を実績入金繰り返しイベント情報として顧客データベースに登録し、顧客に対して、実績明細照会に無いイベントに対して、登録の希望があるかを確認し、顧客が実績明細照会に無いイベントについて登録を希望する場合には、固有出金情報及び固有入金情報の登録を促し、顧客が固有出金情報を登録したときには、固有出金情報を、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを顧客データベースに登録し、顧客が固有入金情報を登録したときには、固有入金情報を、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを顧客データベースに登録し、入出金予測確認ステップでは、顧客の口座残高と、口座から引落が予測される実績出金繰り返しイベント情報と、口座に入金が予測される実績入金繰り返しイベント情報と、口座から引落されない固有出金繰り返しイベント情報と、口座に入金されない固有入金繰り返しイベント情報とを顧客データベースから抽出し、実績出金繰り返しイベント情報として、実績出金繰り返しイベント項目と、実績出金繰り返しイベント発生予測日と、実績引落予測金額とを含み、実績入金繰り返しイベント情報として、実績入金繰り返しイベント項目と、実績入金繰り返しイベント発生予測日と、実績入金予測金額とを含み、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを含み、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを含み、実績出金繰り返しイベント情報及び固有出金繰り返しイベント情報が抽出される場合には、イベント発生予測日順に、口座残高から実績出金繰り返しイベント情報又は固有出金繰返しイベント情報ごとに実績引落予測金額又は固有引落予測金額を減算し、実績入金繰り返しイベント情報及び固有入金繰り返しイベント情報が複数抽出される場合には、イベント発生予測日順に、口座残高に実績入金繰り返しイベント情報又は固有入金繰返しイベント情報ごとに実績入金予測金額又は固有入金予測金額を加算し、口座残高がマイナスとなる残高不足タイミングでの実績繰り返しイベント発生予測日又は固有繰り返しイベント発生予測日と残高不足予測額とを予測する残高予測処理を行い、残高予測処理によって予測される残高不足タイミングでの実績繰り返しイベント発生予測日又は固有繰り返しイベント発生予測日と残高不足予測額とを顧客に対して入出金明細照会として表示し、カードローン借入ステップでは、顧客に対して、表示した入出金明細照会において借入額の入力を促し、顧客が借入額を設定すると借入登録処理を行うものである。本実施の形態によれば、定期的に繰り返し発生する引落に対して、残高不足タイミングと残高不足予測額とを期間的に余裕を持って予測ができるため、例えば不要不急な出費を延期するなどの対応を取れ、それらの対応によっても残高不足を解消できない場合には、借入できる利用可能額を確認して借入ができるため、引落ができないというトラブルを無くすことができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるカードローン利用支援方法において、サーバーが、実績引落予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し、確定していないときには過去の実績引落金額を実績引落予測金額として抽出するものである。本実施の形態によれば、実績引落金額が確定しているときには正確な残高不足予想額を確認でき、また未確定の時期においても、残高不足が生じるタイミングを予測できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるカードローン利用支援方法において、サーバーが、顧客が設定した借入額が利用可能額を越える場合には借入登録処理を行わないものである。本実施の形態によれば、利用可能額を越えるという借入トラブルを防止できる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態によるカードローン利用支援方法において、サーバーが、借入登録処理を行った場合には、顧客が設定した借入額を減算した利用可能額を顧客に対して表示するものである。本実施の形態によれば、表示される利用可能額をタイムリーに反映することで、利用可能額を越えるという借入トラブルを防止できる。
【実施例】
【0013】
以下本発明の一実施例によるカードローン利用支援方法について説明する。
図1は本実施例によるカードローン利用支援方法を示すフローチャートである。
本実施例によるカードローン利用支援方法は、顧客からカードローンが申し込まれ(S11)、引落口座とともに顧客データベース1に設定登録(S12)されたカードローンが対象となる。
顧客は、口座残高の不足が予測される残高不足予測情報を得るために、入出金繰返し登録を行うことができる。
サーバーは、顧客から繰返し登録照会があると(S21)、顧客データベース1から、この顧客が引落口座として登録した口座から過去に引落実績がある実績出金情報、及び過去に入金実績がある実績入金情報を抽出し(S22)、抽出した実績出金情報及び実績入金情報を、顧客に対して、実績明細照会として表示する(S23)。
ここで、抽出する実績出金情報及び実績入金情報は、例えば、1か月又は2か月のように過去の所定期間に発生したものを全て対象とする。なお、抽出する実績出金情報及び実績入金情報は、顧客が引落口座として登録した口座以外の口座も含めて対象とすることが好ましい。また、例えば、過去6か月という所定期間の中で複数回発生しているイベントを繰返しイベント候補として対象としてもよい。
【0014】
S23で表示された実績明細照会を基に顧客は繰返し登録を希望するか否かを判断する(S24)。
顧客は、表示された実績出金情報及び実績入金情報の中から、繰返し登録を希望するイベントを選択して実績繰返し登録を指示する(S25)。
サーバーは、顧客が登録を希望する実績出金情報を実績出金繰り返しイベント情報として、また顧客が登録を希望する実績入金情報を実績入金繰り返しイベント情報として顧客データベース1に登録する(S26)。ここで、顧客データベース1に登録する実績出金繰り返しイベント情報及び実績入金繰り返しイベント情報は、イベントを識別できるイベント項目を含んでいればよい。
このように、実績出金繰り返しイベント情報や実績入金繰り返しイベント情報を顧客の希望によって登録することで顧客の都合に合わせたサポートを行える。
【0015】
サーバーは、顧客に対して、口座から引落されない固有出金情報、すなわちS23で表示された実績明細に無いイベントに対して、顧客が登録の希望があるかを確認し(S27)、
顧客が実績明細に無いイベントについて登録を希望する場合には(S27でYes)、固有出金情報の登録を促し(S28)、S28で顧客が固有出金情報を登録したときには、固有出金情報を、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを顧客データベース1に登録する(S29)。
サーバーは、固有出金情報と同様に、顧客に対して、口座に入金されない固有入金情報の登録を促し(S28)、S28で顧客が固有入金情報を登録したときには、固有入金情報を、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを顧客データベース1に登録する(S29)。
サーバーは、S24及びS27における繰返し登録を顧客が希望しない場合には入出金繰返し登録を終了する(S30)。
【0016】
顧客は、口座残高の不足が予測される残高不足予測情報を得ることができる(入出金予測確認)。
サーバーは、顧客から入出金予測照会があると(S41)、顧客の口座残高の抽出と(S42)、固有繰り返しイベント情報の抽出と(S43)、実績繰り返しイベント情報の抽出と(S44)を行う。
S42における固有繰り返しイベント情報の抽出では、固有出金繰り返しイベント情報として、固有出金繰り返しイベント項目と、固有出金繰り返しイベント発生予測日と、固有出金予測金額とを抽出し、固有入金繰り返しイベント情報として、固有入金繰り返しイベント項目と、固有入金繰り返しイベント発生予測日と、固有入金予測金額とを抽出する。
S43における実績繰り返しイベント情報の抽出では、実績出金繰り返しイベント情報として、実績出金繰り返しイベント項目と、実績出金繰り返しイベント発生予測日と、実績引落予測金額とを抽出し、実績入金繰り返しイベント情報として、実績入金繰り返しイベント項目と、実績入金繰り返しイベント発生予測日と、実績入金予測金額とを抽出する。
【0017】
なお、サーバーは、実績引落予測金額については、実績引落予測金額が確定しているか否かを判断し(S45)、実績引落予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し(S46)、確定していないときには過去の実績引落金額を実績引落予測金額として抽出する(S47)。
また、サーバーは、実績入金予測金額についても実績引落予測金額と同様に、実績入金予測金額が確定しているか否かを判断し(S45)、実績入金予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し(S46)、確定していないときには過去の実績入金金額を実績入金予測金額として抽出する(S47)。
【0018】
S48では、S42で抽出した顧客の口座残高と、S43で抽出した固有繰り返しイベント情報と、S44で抽出した実績繰り返しイベント情報とから、繰返しイベント発生時の残高算出を行う。
すなわち、S48では、複数の実績出金繰り返しイベント情報が抽出される場合には、実績繰り返しイベント発生予測日の順に、口座残高から実績出金繰り返しイベント情報ごとに実績引落金額を減算する。なお、固有出金繰り返しイベント発生日では、口座残高から固有出金予測金額を減算する。固有出金繰り返しイベント情報が複数抽出される場合にも、実績出金繰り返しイベント情報と同様に、イベント発生日順に処理し、固有出金繰り返しイベント情報は、実績出金繰り返しイベント情報とともにイベント発生日順に処理する。
【0019】
また、S48では、実績入金繰り返しイベント発生予測日には、口座残高に実績入金予測金額を加算し、固有入金繰り返しイベント発生日には、口座残高に固有入金予測金額を加算する。なお、実績入金繰り返しイベント情報及び固有入金繰り返しイベント情報が複数抽出される場合にも、実績出金繰り返しイベント情報と同様に、イベント発生日順に処理し、これらの入金繰返しイベントについても出金繰返しイベントとともにイベント発生日順に処理する。
従って、これらの全ての入出金に関するイベント情報は、イベント発生日順に加減算される。そして、S48の処理によって口座残高がマイナスとなる残高不足タイミングでの実績繰り返しイベント発生予測日又は固有繰り返しイベント発生予測日(繰返しイベント発生予測日)と、その時の残高不足予測額とを予測する(S49)。
このように、S48及びS49によって残高予測処理が行われる。
【0020】
サーバーは、S48によって算出した繰返しイベント発生時の残高と、S49によって予測される残高不足タイミングでの繰り返しイベント発生予測日と残高不足予測額とを、顧客に対して表示する(S50)。
S50において、顧客は、入出金明細を照会し、カードローンの借入照会を行うことができる(S61)。
サーバーは、S61において顧客からの借入照会の指示が有ると、顧客データベース1から顧客のローン情報を抽出し(S62)、顧客の借入状況を表示する(S63)。
S63において、顧客は、借入状況を照会し、カードローンの借入額を入力することができる(S64)。
サーバーは、顧客が借入額を設定すると(S64)、借入登録処理を行う(S65)。なお、サーバーは、S64で顧客が設定した借入額が利用可能額を越える場合にはS65における借入登録処理を行わず、S65における借入登録処理を行った場合には、その後の借入状況照会では、顧客が設定した借入額を減算した利用可能額を顧客に対して表示する(S63)。
従って、利用可能額を越えるという借入トラブルを防止できるとともに、S63において表示される利用可能額をタイムリーに反映することで、利用可能額を越えるという借入トラブルを防止できる。
【0021】
図2及び
図3は入出金明細照会での画面イメージである。
図2に示すように、口座残高欄2に現在(
図2では10/11 20:30時点)の口座残高「1,000円」が表示される。なお、
図2では、顧客がカードローンの引落口座として登録した口座(伊予銀行 愛媛県庁支店 口座番号12345678)の口座残高を示しているが、複数の口座の合算残高とすることもできる。
また、S49によって予測される残高不足タイミングでの繰り返しイベント発生予測日と残高不足予測額とが予測欄3に表示される。
図2では、繰り返しイベント発生予測日として「11/4」、残高不足予測額として「14,000円」を表示している。
また、S48によって算出した繰返しイベント発生時の残高がイベント単位入出金予測欄4に表示される。
【0022】
図2では、イベント単位入出金予測欄4には、イベント項目として、給与振込4a、ATM出金4b、クレジットカード4c、家賃4dとが表示されている。
例えば、給与振込4aは、登録した口座に振り込まれるものとすれば、口座に入金が予測される実績入金繰り返しイベント情報であり、ATM出金4b及びクレジットカード4cは、登録した口座から引き落とされるものとすれば、口座から引落が予測される実績出金繰り返しイベント情報となる。
また、例えば家賃4dは、登録した口座から引落されないものとすれば、口座から引落されない固有出金情報となる。
【0023】
図2に示すイベント単位入出金予測欄4では、10/20に給与振込4aとして180,000円の入金が予測され、10/21にATM出金4bとして40,000円の出金が予測され、10/27にクレジットカード4cとして120,000円の出金が予測され、11/4に家賃4dとして35,000円の出金が予想されることを示している。
そして、現在の口座残高が1,000円であるため、10/20時点では給与振込によって181,000円が利用可能残高となり、10/21時点ではATM出金によって141,000円が利用可能残高となり、10/27時点ではクレジットカードによって21,000円が利用可能残高となり、11/4時点では家賃によってマイナス14,000円が利用可能残高となることを示している。
このように、入出金に関するイベント情報は、イベント発生日順に加減算される。そして、口座残高がマイナスとなる残高不足タイミングでの繰返しイベント発生予測日(
図2では11/4)と、その時の残高不足予測額(マイナス14,000円)とが予測欄3に表示される。
【0024】
図3に示すように、入出金明細照会では、口座残高欄2、予測欄3、及びイベント単位入出金予測欄4以外に、過去の実績欄5を表示する。なお、
図3に示す実績欄5をS23における実績明細照会として用いることもできる。
なお、
図2及び
図3では示していないが、残高不足によって引落不能となった明細を表示すること、すなわち引落日と引落金額又は引落不足金額とを表示することが好ましい。引落日当日であれば引落可能な場合があるため、借入手続きを行うことで引落不能トラブルを防止できる。
【0025】
図2に示すように、サーバーは顧客に対して借入照会欄6を表示し、顧客はこの借入照会欄6を指示することで
図4に示す借入状況照会を表示する。
図4は、借入状況照会での画面のイメージ図である。
図4に示すように、現在のカードローン利用可能額「968,000円」が表示される。
顧客は、借入額設定欄7に借入金額を入力し、確定指示することで借入ができる。
【0026】
このように、顧客に対して、顧客がカードローンの引落口座として登録した口座の口座残高と、口座残高の不足が予測される残高不足予測額と、顧客が借入できる利用可能額とを表示し、顧客が残高不足予測額を借入できるカードローン利用支援方法において、顧客は、定期的に繰り返し発生する引落に対して、残高不足タイミングと残高不足予測額とを期間的に余裕を持って予測ができるため、例えば不要不急な出費を延期するなどの対応を取れ、それらの対応によっても残高不足を解消できない場合には、借入できる利用可能額を確認して借入ができるため、引落ができないというトラブルを無くすことができる。
また、本実施例に示すように、サーバーが、実績引落予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し、確定していないときには過去の実績引落金額を実績引落予測金額として抽出するため、実績引落金額が確定しているときには正確な残高不足予想額を確認でき、また未確定の時期においても、残高不足が生じるタイミングを予測できる。
また、残高予測処理において実績入金繰り返しイベント情報も加味することで、残高不足をより正確に予測できる。
そして、サーバーが、実績入金予測金額が既に確定しているときには確定金額を抽出し、確定していないときには過去の実績入金金額を実績入金予測金額として抽出するため、実績入金金額が確定しているときには正確な残高不足予想額を確認でき、また未確定の時期においても、残高不足が生じるタイミングをより正確に予測できる。
また、残高予測処理において、口座から引落されない固有出金情報や口座に入金されない固有入金情報の登録を含めることで顧客の都合に合わせたサポートを行える。
なお、本実施例では、繰返し登録は顧客が登録したものに限って説明したが、例えば光熱費のように定期的に発生することが明確な繰返しイベントについては、顧客が登録を行っていなくても繰返しイベント情報として抽出してイベント単位入出金予測欄4に加えてもよく、光熱費のように金額の変動が大きなイベントに対しては、実績引落予測金額が確定した後に限って抽出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、特に金融機関が提供するカードローンに適している。
【符号の説明】
【0028】
1 顧客データベース
2 口座残高欄
3 予測欄
4 イベント単位入出金予測欄
4a 給与振込
4b ATM出金
4c クレジットカード
4d 家賃
5 実績欄
6 借入照会欄
7 借入額設定欄