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特許7164572視覚ディスプレイを有する連続的グルコースモニタリング身体装着型センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】視覚ディスプレイを有する連続的グルコースモニタリング身体装着型センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1459 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61B5/1459
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020137013
(22)【出願日】2020-08-14
(62)【分割の表示】P 2018199313の分割
【原出願日】2014-03-10
(65)【公開番号】P2020185449
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-09-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】61/782,019
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522179943
【氏名又は名称】エンベクタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレン ディ レスタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン プラデン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ サレンメ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック グンラック
(72)【発明者】
【氏名】アン サリバン トレーシー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー リナーネ
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-2804(JP,A)
【文献】国際公開第2007/002189(WO,A2)
【文献】特開2011-252851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0123227(US,A1)
【文献】特表2001-513350(JP,A)
【文献】特表2007-513333(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第(CN,A)101947115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の分析対象を光学的に検出するための身体装着型装置であって、
マイクロコントローラを有する連続的グルコースモニタリングセンサを少なくとも部分的に収容するカバーと、
前記カバーに固定された基板であって、直接ユーザの皮膚の表面の第1の領域に接着剤を介して接着されるように適合される第1の底面を有する基板と、
前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示するように適合されるディスプレイ
備え、
前記カバーは、前記ディスプレイが取り外し可能に固定される第2の面を有し、
前記第2の面から取り外されたディスプレイの底面は、直接前記ユーザの皮膚の表面の第2の領域に接着剤を介して固定されるように適合されることを特徴とする身体装着型装置。
【請求項2】
生体内の分析対象を光学的に検出するときに利用する光路を形成するコネクタおよびフィルタの組立体を有する光結合器を備える身体装着型装置であって、
マイクロコントローラを有する連続的グルコースモニタリングセンサを少なくとも部分的に収容するカバーと、
皮膚に接着されるように適合される第1の底面と、
前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示するように適合されるディスプレイと
を備え、
前記カバーは、前記ディスプレイが取り外し可能に固定される第2の面を有し、
前記コネクタは、前記第1の底面に対して予め定められた角度で傾いた状態で前記フィルタを支持する取付面を有することを特徴とする身体装着型装置。
【請求項3】
前記データは、
ユーザの現在のグルコース値、
グルコースの傾向、
前記連続的グルコースモニタリングセンサの故障通知、
前記グルコース値を連続して測定する時間
からなる群から選択される少なくとも1つに関連するデータを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項4】
前記第2の面は、前記カバーの上面と前記カバーの側面とからなる群から選択される少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、ジャイロスコープの向きを認識するように適合される前記ジャイロスコープをさらに備え、前記ディスプレイは、前記ジャイロスコープが認識した向きに応じて情報を表示するように適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項6】
前記ディスプレイは、
データのデジタル表現、
データのアナログ表現
からなる群から選択される少なくとも1つを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項7】
前記ディスプレイは、
発光ダイオード、
液晶ディスプレイ
からなる群から選択される少なくとも1つのディスプレイ要素を備え、
前記少なくとも1つのディスプレイ要素は、出力データを表すパターンを点灯するように適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項8】
前記ディスプレイは、
温度計のグラフ、
速度計のグラフ
からなる群から選択される少なくとも1つを表示するように適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記カバーよりも実質的に高くならないことを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項10】
前記ディスプレイは、グルコースの傾向表示を表示するように適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項11】
前記傾向表示は、矢印を備えることを特徴とする請求項10に記載の身体装着型装置。
【請求項12】
前記カバーは、前記ディスプレイを受容するように適合される凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項13】
前記ディスプレイは、電子ペーパーのマテリアルを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項14】
前記マイクロコントローラは、前記ディスプレイと一体となった送受信機と互換性のある送受信機を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項15】
前記マイクロコントローラは、
高周波無線通信、
見通し線通信、
パーソナルエリアネットワーク、
近距離通信
からなる群から選択される少なくとも1つを使用して、前記ディスプレイと通信するように適合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項16】
前記ディスプレイは、交換可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の身体装着型装置。
【請求項17】
生体内の分析対象を光学的に検出するときに利用する光路を形成するコネクタおよびフィルタの組立体を有する光結合器を備える身体装着型装置であって、
マイクロコントローラを有する連続的グルコースモニタリングセンサを少なくとも部分的に収容するカバーと、
ユーザの体の第1の領域に接着されるように適合される第1の底面と、
ユーザの体の第2の領域に固定されるように適合され、前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示するように適合されるディスプレイと
を備え、
前記カバーは、前記ディスプレイが取り外し可能に固定される第2の面を有し、
前記コネクタは、前記第1の底面に対して予め定められた角度で傾いた状態で前記フィルタを支持する取付面を有することを特徴とする身体装着型装置。
【請求項18】
前記マイクロコントローラは、
高周波無線通信、
見通し線通信、
パーソナルエリアネットワーク、
近距離通信
からなる群から選択される少なくとも1つを使用して、前記ディスプレイと通信するように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の身体装着型装置。
【請求項19】
生体内の分析対象を光学的に検出するための身体装着型装置であって、
マイクロコントローラを有する連続的グルコースモニタリングセンサを少なくとも部分的に収容する手段と、
前記収容する手段に固定された基板であって、直接ユーザの皮膚の表面の第1の領域に接着剤を介して接着されるように適合される第1の底面を有する基板と、
前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示する手段
備え、
前記収容する手段は、前記表示する手段が取り外し可能に固定される第2の面を有し、
前記第2の面から取り外された前記表示する手段の底面は、直接前記ユーザの皮膚の表面の第2の領域に接着剤を介して固定されるように適合されることを特徴とする身体装着型装置。
【請求項20】
生体内の分析対象を光学的に検出するときに利用する光路を形成するコネクタおよびフィルタの組立体を有する光結合器を備える身体装着型装置であって、
マイクロコントローラを有する連続的グルコースモニタリングセンサを少なくとも部分的に収容する手段と、
ユーザの体の第1の領域に接着されるように適合される第1の底面と、
前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示する手段であって、ユーザの身体の第2の領域に固定されるように適合される前記マイクロコントローラによって送信されるデータを表示する、手段と
を備え、
前記収容する手段は、前記表示する手段が取り外し可能に固定される第2の面を有し、
前記コネクタは、前記第1の底面に対して予め定められた角度で傾いた状態で前記フィルタを支持する取付面を有することを特徴とする身体装着型装置。
【請求項21】
前記マイクロコントローラは、
高周波無線通信、
見通し線通信、
パーソナルエリアネットワーク、
近距離通信
からなる群から選択される少なくとも1つを使用して、マイクロコントローラによって送信されるデータを表示する前記手段と通信するように適合されていることを特徴とする請求項19または2に記載の身体装着型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、グルコース結合タンパク質(Glucose Binding Protein:GBP)の光学的な監視を用いて、皮下連続的グルコースモニタを行い、ユーザのグルコース濃度を決定するために使用される連続的グルコースモニタリング(Continuous Glucose Monitoring:CGM)装置に関する。さらに詳細には、本発明は、CGM装置を組み込み、一体型の出力ディスプレイを有するカバーを備える身体装着型センサ(On-Body Sensor:OBS)に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者にとって、グルコース値(glucose level)は、体内のグルコースの健全なバランスを維持するように監視される必要がある。グルコース値は、身体装着型CGM装置などのGBP被覆されたセンサによって監視されうる。CGM装置は、その周囲の組織液中のグルコース値を測定するように、ユーザの組織内に挿入される針またはプローブを有することができる。
【0003】
従来、身体装着型CGM装置は、通常小型であり、各センサの装着期間中に使用者の腹部の皮膚に固定されるように構成される。送信機は、CGM装置に組み込まれ、携帯受信機と通信する。CGM装置によって収集されるデータは、装着期間全体を通じ所定間隔で受信機に転送される。
【0004】
ユーザは、OBSに組み込まれたディスプレイがなければ、CGM装置によって得られる情報、および/または、処理される情報を調べるため、別個の装置を持ち運ばなければならない。したがって、患者は、CGM装置からのデータを受信、処理、および表示するためのデータ受信装置を持っていないことを原因として、現在のグルコース値またはグルコースの傾向(glucose trend)を知ることの利点をそれほど有しない。
【0005】
また、ユーザの動きへの妨げや起こりうる皮膚刺激を低減するために、薄型(low profile)のCGM装置を保つことも重要である。薄型のCGM装置でなければ、ユーザの通常の体の動きが、CGM装置によって収集されたデータが損なわれるような針またはプローブの不要な微細運動を引き起こしうる。さらに、身体装着型CGM装置の形状および外観構成は、ユーザの衣服に引っ掛け、ユーザへのさらなる刺激、装置自体の故障さえ引き起こしうる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の例示的な実施形態の目的は、実質的に上記および他の問題に対処し、OBS装置に改良された構造を提供することである。
【0007】
本発明の例示的な実施形態の別の目的は、身体装着型出力ディスプレイを提供するOBS装置を提供することである。
【0008】
本発明の例示的な実施形態の別の目的は、複数の位置において、ユーザが簡便に調べることができる身体装着型ディスプレイを提供することである。
【0009】
本発明の例示的な実施形態の別の目的は、ユーザの動きへの妨げが最小化されるようにOBS全体の薄型を保持する身体装着型ディスプレイを提供することにある。
【0010】
本発明の例示的な実施形態の別の目的は、OBS装置の適切な位置決めを維持しながら、患者が自由に移動できるようにすることである。
【0011】
本発明の例示的な実施形態の別の目的は、ユーザと共に曲がり移動することを可能にするが、OBSの故障を引き起こしたりユーザを傷つけたりしうる針の微細運動を減少することである。
【0012】
これらおよび他の目的は、CGM装置のための例示的なOBSカバーを提供することによって実質的に達成され、当該カバーは、構造および位置の整合性を維持しながら、薄くなった輪郭を有する一体した身体装着型出力ディスプレイを含む。したがって、OBS装置の有効性、不快でないこと、耐久性及び固定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の種々の目的、利点および例示的な実施形態の新規な特徴は、添付の図面を併せて読めば、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
図1】本発明の例示的な実施形態に係るCGM装置の断面図である。
図2】光結合器を介した発光ダイオード(Light-Emitting Diode:LED)からファイバの面への光線追跡を含む図1のCGM装置の概略図である。
図3】光結合器を介したファイバの面からフォトダイオードへの光線追跡を含む図1のCGM装置の概略図である。
図4】CGM装置のための身体装着型カバーおよびディスプレイの例示的な実施形態を示す図である。
図5】CGM装置のための身体装着型カバーおよびディスプレイの例示的な別の実施形態を示す図である。
図6】CGM装置の例示的な身体装着型ディスプレイを視覚的に調べるユーザを示す図である。
図7】CGM装置の例示的な身体装着型ディスプレイを視覚的に調べるユーザを示す図である。
図8】CGM装置のための身体装着型カバーおよびディスプレイの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示されるCGM装置の諸例、改良および配置を行う多数の方法がある。図面および以下の説明に示された例示的な実施形態について説明するが、本明細書に開示された実施形態は、開示された発明に包含される種々の代替設計および実施形態を網羅することを意図するものではない。
【0015】
図1から図3は、本発明に係る光結合器12を利用する身体装着型CGMセンサ10の例示的な実施形態を示す。CGMセンサ10は、CGMセンサ10の様々な部品を支持する上面16を有する基板14を含む。基板14の底面18は、ユーザの皮膚にCGMセンサを支持し、および接着するために使用される。例えば、基板14の底面18は、ユーザの皮膚にCGMセンサを接着するように接着剤を含むことができる。プリント基板20は、基板14の上面16に固定され、マイクロコントローラ21と、フォトダイオード22およびLED 24と、出力ディスプレイ27と、の間の通信を可能にする。カバー25は、CGMセンサ10の部品を実質的に包み込み、基板14に固定されている。
【0016】
LED 24は、LED 24の上面に固定されたフィルタ26によって選択的にフィルタリングされた光を放射する。光結合器12は、LED 24およびフォトダイオード22の上方に位置し、LED 24に隣接して位置するファイバ28内に、LED 24から放射された光を向ける。ファイバ28は、針30の全長を通っている。針30は、ユーザの皮膚の下において、GBPなどの生体材料とファイバ28とが接触するように、ユーザにファイバ28を挿入するために使用される。GBPは、針30の端部を被覆し、または、針30の端部上に配置され、ユーザへの挿入後、血液または間質液(Interstitial Fluid:ISF)と接触する。
【0017】
光結合器12は、LEDレンズ32、ファイバレンズ34、および検出レンズ36の3つの一体型レンズを有するプラスチックコネクタ33を含む。プラスチックコネクタはまた、一対の傾斜ガラスの取付面37と、LED 24から放射された光を反射させてファイバレンズ34に通し、ファイバ28の中を通ってGBPへ光を伝送する鏡面39と、を含む。ガラスの取付面37は、フォトダイオード22、LED 24、およびファイバ28に対して予め定められた角度でフィルタを支持し、固定するように構成されている。プラスチックコネクタ31は、製造および組立に必要な光結合器12の個々の部品の数を減らして、単一の射出成形部品として製造されうる。プラスチックコネクタ31はまた、単一の一体部品を形成できる他の所望の製造プロセスによって形成されうる。
【0018】
光結合器12は、第1のガラスフィルタ38と、第2のガラスフィルタ40と、を含む。第1のガラスフィルタ38は、接着または別の所望の固定機構を介して第2のガラスフィルタ40に固定されている。接着された第1および第2のガラスフィルタ38、40はまた、傾斜ガラスの取付面37に固定され、または接着されている。第1および第2のガラスフィルタ38、40が一緒に固定された後、固定されたガラスフィルタ38、40と光結合器12の37の傾斜面との組立ての間、2つの部品だけを位置合わせすれば充分である。この単純化された組立ては、部品の配置のずれの可能性、およびCGMセンサ10の潜在的な故障を低減する。さらに、第1および第2のガラスフィルタ38、40を一緒に固定すること、および第1および第2のガラスフィルタ38、40を光結合器12の傾斜面に直接固定することによって、動作中に失われる光、および/または、拡散される光が少なくなる。したがって、光伝送において、非効率性の増加を引き起こすようなより開かれた空隙中および空隙外で光が伝送することが必要となる他の既知の光結合器と対照的に、光結合器12の性能を改善する。
【0019】
第1のガラスフィルタ38は、ガラスの取付面37に取り付けられたガラスフィルタ38の面上の第1のダイクロイックフィルタコーティング(dichroic filter coating)42を含む。第1のダイクロイックフィルタコーティング42は、LEDによって放射された光の波長を反射し、ファイバ28を介してGBPから放射された放射光の波長を透過する。
【0020】
第2のガラスフィルタ40は、第2のダイクロイックフィルタコーティング44を含み、その面が第1のガラスフィルタ38に取り付けられる。第2のダイクロイックフィルタコーティング44は、信号帯域を表す短い放射波長を反射し、リファレンスバンド(reference band)を表すより長い波長を透過する。鏡面46は、第1のガラスフィルタ38に取り付けられる面と反対側の第2のガラスフィルタ40の面に形成され、鏡面46は、すべての波長を反射するが、特に、第2のダイクロイックフィルタコーティング44によって伝送される長い波長を反射するために使用される。
【0021】
マイクロコントローラ21は、フォトダイオード22、LED 24、および出力ディスプレイ27を、少なくとも動作し制御するために提供される。マイクロコントローラ21は、CGM装置内に設置する前に、フォトダイオード22の動作、および配線接続23を介して出力ディスプレイ27に送信されるデータを正確に制御するように、充分にプログラム可能であることが好ましい。マイクロコントローラ21はまた、出力ディスプレイ27に表示されるデータの種類を操作し、変更するように、プログラム可能でありうる。例えば、マイクロコントローラ21は、ユーザの現在のグルコース値、グルコースの傾向、出力ディスプレイ27がいつ点灯またはシャットダウンするか、CGM装置の故障通知、およびグルコース測定間隔、に関連するデータを出力ディスプレイ27に送信することができる。さらなるデータ処理とデータ送信はまた、マイクロコントローラ21によって提供されうる。
【0022】
図2は、本発明の例示的な実施形態に係るCGMセンサ10の概略図を示し、ファイバ28の端部に接触したGBPに照射するための光路であって、LED 24から光結合器12を通ってファイバ28までの光路を表す光線追跡を含む概略図を示す。光45は、先ず、LED 24から放射され、フィルタ26によってフィルタリングされる。光45は、その後、LEDレンズ32を通過し、LEDレンズ32は、光45を焦点に合わせて第1のダイクロイックコーティング42に向かわせ、第1のダイクロイックコーティング42は、光45を反射して光結合器12の鏡面39に向かわせる。鏡面39は、その後、ファイバレンズ34に向かう光45を反射し、ファイバレンズ34は、光45を焦点に合わせてファイバ28に向けて伝送し、ファイバ28は、GBP(図示せず)に照射する。
【0023】
図3は、本発明の例示的な実施形態に係るCGMセンサ10の概略図を示し、リファレンスバンドの波長および信号帯域の波長を捕捉するための光路であって、ファイバ28から光結合器12を通ってフォトダイオード22までの光路を表す光線追跡を含む概略図を示す。光47は、GBPから放射され、ファイバ28を通って、ファイバレンズ34に向けて伝送される。光47は、その後、ファイバレンズ34を通過し、ファイバレンズ34は、光47を焦点に合わせて鏡面39に向かわせ、鏡面39は、光47を反射して第1のダイクロイックコーティング42に向かわせ、第1のダイクロイックコーティング42は、光47を第2のダイクロイックコーティング44に向けて伝送する。
【0024】
上記で定義された光ファイバのCGM装置10は、前述したように、カバー25内に収容され、または、以下に説明する例示的なOBSカバーを利用するように変更されうる。さらに、当技術分野で公知の代替の光学的CGM装置はまた、以下に説明する例示的なOBSカバーを含むように変更されうる。
【0025】
OBSカバーは、CGM装置10を包み込み、CGM装置10の部品に悪影響を与え、および/または、この部品が破損する環境条件からCGM装置10を保護する。
【0026】
図4は、本発明に係るCGMセンサ410の例示的な実施形態の上面透視図を示す。CGMセンサ410は、CGMセンサ10の輪郭形状より薄い輪郭形状を有するが、実質的に同様の方法で動作することができる。CGMセンサ410は、カバー425よりも実質的に高くならない一体型の出力ディスプレイ427を含む。出力ディスプレイ427は、ユーザの現在のグルコース値、グルコースの傾向、CGM装置の故障通知、グルコース測定間隔、および任意の他の所望の通知、の視覚的な確認をユーザに提供するように適合されている。装置410はまた、ユーザが出力情報を正しく見ることが出来るように、装置410の向きを認識し、正しい向き情報をディスプレイ427上に出力するようなジャイロスコープ429を含むことができる。CGM装置がユーザの身体上の別の位置に配置される場合、ジャイロスコープ429を装置410に提供することは、大きな利点でありうる。出力ディスプレイ427は、例えば、データのデジタル表現、またはより多くのデータのアナログ表現を表示し、小型のLEDや光は、図5に示された例示的な実施形態と同様に、出力データを表すパターンを点灯する。代替のディスプレイはまた、液晶ディスプレイ(Liquid-Crystal Display:LCD)、温度計のグラフ、または速度計のグラフを含むことができる。
【0027】
本発明の例示的な実施形態では、図4に示すように、カバー425に出力ディスプレイ427を組み込むことは、CGM装置410の輪郭を大幅に厚くさせることなく達成することができる。薄くなった輪郭を保持することは、より薄い輪郭を有するCGMがユーザの日々の活動を刺激したり妨げたりする可能性が低くなるため、重要である。
【0028】
図5は、本発明に係る身体装着型CGM装置510の例示的な実施形態を示し、カバー525と、一体型の出力ディスプレイ527と、を含む身体装着型CGM装置510を示す。出力ディスプレイ527は、デジタル読み出しを含み、数値読み取り529、および現在の傾向表示(上向きの矢印)531、の一例を表示する。図5に示すように、出力ディスプレイは、CGM装置の輪郭を大幅に厚くさせない。よって、使用中のユーザへの妨げを最小限に抑える。
【0029】
以前に開示されたように、出力ディスプレイの他の例示的な実施形態は、ポップアップ式のディスプレイ、鏡面ディスプレイ、コイル状の接続を有しCGM装置とつながれたディスプレイ、および上面ではなくカバーの側面に位置するディスプレイ、を含むことができる。ディスプレイの他の例示的な実施形態はまた、CGM装置のカバーから取り外し可能であるモジュラーディスプレイ(modular display)を含むことができる。モジュラーディスプレイは、例えば、カバーに磁気的に固定され、または、スナップ嵌め係合、レールロック(rail locking)機構、接続解除可能なテザー(disconnectable tether)、または接着剤を用いて機械的に固定されうる。例えば、ディスプレイは、裏に接着剤を有する電子インクペーパーディスプレイを含むことができる。
【0030】
図6および図7は、CGM装置610、710に対する身体装着型ディスプレイが、日常の状況において、どのようにユーザによって調べられるかを示し、同様に、CGM装置610、710に対する視覚的な身体装着型ディスプレイを有することの利便性を示す。
【0031】
図8は、出力ディスプレイ827を受容するための凹部829を有するカバー75を含む、身体装着型CGM装置810のさらなる例示的な実施形態を示す。カバー825における凹部829は、ディスプレイがカバー825に固定される場合、薄型を保持することを補助する。出力ディスプレイ827は、薄い電子ペーパーのマテリアル(material)を用いて形成されることが好ましい。マイクロコントローラは、CGMセンサ10の例示的な実施形態のマイクロコントローラ21を含むことができるが、これに限定されない。
【0032】
本発明の別の例示的な実施形態では、マイクロコントローラ21は、電子ペーパーディスプレイ77と一体となった送受信機と互換性のある送受信機を含むことができる。したがって、マイクロコントローラ21は、電子ペーパーディスプレイ77によって表示されるデータを送信することができる。他の代替の伝送システムはまた、マイクロコントローラからのデータを電子ペーパーディスプレイ77に送信するために使用することができる。医療機器は、現在、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、802.11、または他の従来の解決策などの無線通信を使用する。いくつかの医療機器は、さらに、赤外線(Infrared:IR)技術を用いて見通し線(line-of-sight)を介して通信する。無線通信システムは、見通し線を必要としないので、IR技術よりも好ましい。
【0033】
従来の無線技術は、それぞれの技術を利用する医療機器のコストに対して積極的に貢献するものである。有利なことに、本発明の別の例示的な実施形態では、図8に示す例示的な実施形態はまた、アンテナを使用することなく、ユーザの皮膚を介してマイクロコントローラ21と電子ペーパーディスプレイ827との間でデータを送受信するために容量結合されたパーソナルエリアネットワーク(Personal Area Network:PAN)を使用するように構成することができる。単純で低コストのマイクロコントローラとアナログ部品を使用して作成することができるパーソナルエリアネットワークは、動作するためにRFシステムよりも電力を必要とせず、少なくともRFシステムと同様に安全である。パーソナルエリアネットワークの使用は、減少する部品コストおよび低電力条件となる結果、使用期間を延長させることができる。
【0034】
本発明の例示的な実施形態では、PAN送受信機は、マイクロコントローラ21と一体化され、パーソナルエリアネットワークを確立して、ヒトの体を伝送媒体として利用してデータを送信する「近距離場」の電界を介して出力ディスプレイ827と通信することができる。マイクロコントローラ21および出力ディスプレイは、体を介して相互に通信するために、PAN送受信機をそれぞれ必要とする。
【0035】
本発明の例示的な実施形態では、PAN通信システムは、ユーザと直接接触しているだけの人がユーザの体を横切って伝搬する信号を検出することが可能であることを保証する。代わりに、従来の無線技術において、送信される信号は、無線技術の各範囲における受信機により誰でも検出することができる。上述の例示的なパーソナルエリアネットワークの機能を実現するために必要な送受信機の部品は、広く入手可能であり、コストが比較的低い。
【0036】
本発明の例示的な実施形態では、PAN通信システムの利用は、使用者の身体上の別の領域に、電子ペーパーディスプレイ827を固定して、CGM装置から分離することを可能にすることができる。電子ペーパーディスプレイ827は、比較的安価であり、従って、短期間の使用後に、使い捨てとすることができ、例えば、ユーザが運動後に電子ペーパーディスプレイを交換することを可能にする。
【0037】
本発明のごく少数の例示的な実施形態が上記で詳細に説明されたが、当業者であれば、多くの変形が例示的な実施形態において可能であることは容易に理解し、本発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく、例示的な実施形態の種々の組み合わせが可能であることが理解されるであろう。従って、全てのそのような変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
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