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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】圧力ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221025BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20221025BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20221025BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20221025BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20221025BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61B5/00 101M
A61M25/09 550
A61M25/09 510
A61L31/04 110
A61L31/08
A61L31/06
A61L31/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020509436
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2018070098
(87)【国際公開番号】W WO2019109442
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】201711284145.9
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519228854
【氏名又は名称】上海英諾偉医療器械有限公司
【住所又は居所原語表記】1F And East 2F Building 7,No.150 Cailun Road,Pilot Free Trade Zone,Pudong New Area Shanghai 201203 China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】鄭忠偉
(72)【発明者】
【氏名】厳航
(72)【発明者】
【氏名】王攀
(72)【発明者】
【氏名】袁慶
(72)【発明者】
【氏名】陳奇
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0303354(US,A1)
【文献】特表2016-501680(JP,A)
【文献】特表2017-503585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0275950(US,A1)
【文献】中国実用新案第206414602(CN,U)
【文献】特表平10-505269(JP,A)
【文献】特開2007-296354(JP,A)
【文献】特開2001-079093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/03
A61M 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非血管系に適用される圧力ガイドワイヤであって、
挿入部及び操作部を備え、
前記挿入部は、
マンドレルと、
前記マンドレルの遠位端部分に被覆される遠位端シースと、
前記マンドレルの近位端部分に被覆される近位端シースと、
前記遠位端シースと前記近位端シースとの間に設置され、且つ前記マンドレルに固定外嵌され、外面に溝が設けられた中間リングと、
前記中間リングの溝内に設けられ、複数の感知線が接続された圧力センサと、を備え、
前記感知線は前記近位端シースと前記マンドレルの間に延びており、前記感知線の他端は操作部に繋がり、
前記操作部は、前記挿入部の近位端に繋がり、前記センサの信号を外部の表示装置に送信することに用いられることを特徴とする圧力ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記操作部は前記圧力センサの信号を有線又は無線で前記外部の表示装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項3】
前記複数の感知線の前記近位端シースと前記マンドレルとの間に位置する部分は、互いに交差しないことを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項4】
前記複数の感知線の前記近位端シースと前記マンドレルとの間に位置する部分は、周方向に前記マンドレルの表面に均一に分布されることを特徴とする請求項3に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項5】
前記複数の感知線の前記近位端シースと前記マンドレルとの間に位置する部分は、前記マンドレルの表面にらせん状に巻き付けられることを特徴とする請求項3に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項6】
前記近位端シースは、熱収縮チューブであり、前記熱収縮チューブは、フッ素ポリマー、ポリウレタン及びナイロン弾性体のうちの1つの材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項7】
前記熱収縮チューブはフッ素化エチレンプロピレン共重合体で製造されることを特徴とする請求項6に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項8】
前記中間リングの遠位端と前記遠位端シースの近位端との外径はほぼ同じであり、前記中間リングの近位端と前記近位端シースの遠位端との外径はほぼ同じであることを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項9】
前記中間リングは、金属材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【請求項10】
前記近位端シースの遠位端及び/又は前記遠位端シースに機能性コーティングがさらに塗布され、前記機能性コーティングは親水性コーティング、潤滑コーティング、又は生物活性コーティングであることを特徴とする請求項1に記載の圧力ガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の技術分野に関し、具体的に、圧力ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
泌尿器系、消化器系、呼吸器系及び生殖器系等の非血管系は人体の外部に連通しているため、現在、非血管系の疾患の治療は低侵襲の内視鏡手術を選択することが多く、例えば、泌尿器系において、膀胱鏡、尿管鏡、腎鏡等の内視鏡を利用して手術治療を行うことが多く、治療中に、内視鏡における注水チャネルを介して医療用灌流液を利用して洗浄し、手術視野を明瞭に保持するとともに、手術中に発生した付加物を取り除く必要がある。しかしながら、現在、灌流液の圧力は主に手術者の経験により制御され、人体の泌尿器系内に圧力が高すぎると、大量の灌流液は血液に入ってしまう。灌流液に大量の細菌内毒素が含まれるため、血液に入った後に人体の循環系に影響を及ぼし、体に低体温、電解質混乱、血液生化学及び電流動力学の変化を現させ、菌血症、内毒素血症、敗血症性ショックを発生させてしまい、患者の生命や安全を深刻に脅かす。したがって、人体の泌尿器系における実際の圧力の変化をリアルタイムに監視しかつ精確に制御することが特に重要である。
【0003】
従来技術には、非血管系に適用される複数種類の非侵襲的圧力測定技術が開示されており、例えば、参考文献CN205107661U及び参考文献CN204428509Uのいずれには、泌尿器系に適用される圧力測定装置が開示されているが、いずれもホースを人体内に配置し、コネクタの原理によって体外に位置するホースの他端を圧力センサに接続して測定を行い、このような体外測定方法はいずれも感度が悪く、精度が低く、干渉要素が多く、測定の結果が不安定である欠陥がある。管路における微細な気泡、手術中の揺り、結石破粋後の破片による閉塞等のいずれにより、測定値に歪みを生じさせ、さらに測定を失敗させてしまう。
【0004】
体外圧力測定に上記の様々な問題があるため、体内圧力測定装置を提供することがますます重要になっている。参考文献CN104146699Aには、腎臓内の圧力の監視及び制御システムが開示されており、光ファイバー圧力センサ、信号チューナー、信号分路器、ディスプレイ、フィードバックコントローラ及び医療用灌流ポンプを含み、光ファイバー圧力センサは手術内視鏡の操作孔を介して腎臓内に内装され、光ファイバーと信号チューナーにより接続され、腎臓のキャビティにおける手術操作領域に対してリアルタイムに圧力を監視することに用いられ、信号チューナーが信号分路器の入力端に接続され、信号分路器の信号出力端がそれぞれディスプレイとフィードバックコントローラに接続され、フィードバックコントローラが医療用灌流ポンプに接続され、医療用灌流液はカテーテルを介して医療用灌流ポンプ内に注入されて、医療用灌流ポンプの制御下でカテーテルを介して腎臓のキャビティ内に注入される。当該技術考案は、腎臓におけるリアルタイムの圧力を精確に測定して医療用灌流ポンプにフィードバックし、各種の腎臓内の操作を安全に行うことを確保することができる。しかし、当該技術考案には、腎臓内の圧力の監視の構想が提供されただけであり、具体的な構造を有する腎臓内の圧力測定装置が開示されていない。
【0005】
具体的な人体内の圧力測定装置について、従来技術には、血管内に用いられる複数種類の圧力測定ガイドワイヤが開示されており、ガイドワイヤの遠位端に圧力センサを取り付けることで、圧力センサの圧力信号によって、生体内の血管における血圧を得てFFR値を算出して血管の血流レベルを評価することに用いられ、最終的に血管の狭さの程度を機能的に判断する。しかし、このようなガイドワイヤが血管内に適用されるため、一般的に、血管が比較的に狭く、かつ経路が曲がりくねって複雑であり、血管内に用いられる圧力測定ガイドワイヤは、一般的にマンドレルを中空にし、圧力センサがマンドレルの内部に設置され、センサの対応する領域におけるマンドレルに大きな開口が設けられており、これにより、圧力センサが位置するキャビティを外部と連通させ、圧力センサと血管壁との直接な接触を回避することに基づいて血管内の圧力を測定する。しかし、このような圧力センサの測定精度は開口位置及び開口の大きさによって制限され、加工の難易度が高くなり、製品の設計及び組み付けもすごく難しく、製造過程における操作の容易性を大いに損なってしまう。
【0006】
なお、参考文献CN103720463Aには、心血管の介入治療に適用される圧力ガイドワイヤが開示されており、当該圧力ガイドワイヤの本体は中実構造であり、当該圧力ガイドワイヤの尾部に多点式圧力センサが設置され、圧力センサが内部のリード線に繋がり、ガイドワイヤに沿ってヘッド部に直接に達し、ヘッド部にセンサリード線電極ポイントが設けられ、センサリード線電極ポイントが操作ハンドルに繋がり、圧力センサによって測定された血流圧力信号をリアルタイムに採集する。圧力センサは、完全な柔軟性の特徴を有し、巻き付けられるようにガイドワイヤの表面に被覆され、ガイドワイヤのヘッド部が扁平状に設計されることにより、操作ハンドルにおける外部トルクセンセに容易に繋がり、ガイドワイヤが回転する際のフィードバックトルクをリアルタイムに測定する。当該技術考案における圧力センサ及びそのセンサリード線はいずれも完全に柔軟なフィルムに固定され、柔軟なセンサ層が得られ、ガイドワイヤのコア部に接着剤が塗布された後に、らせん状に巻き付けるように柔軟なセンサ層をコア部での設定位置に均一に貼着する。接着剤が乾燥された後、硬度が高いため、ガイドワイヤの柔軟性に大きな影響を及ぼし、ガイドワイヤの屈曲の過程において柔軟なフィルムとマンドレルが割れたり分離したりする可能性が生じやすい。なお、らせん状に巻き付けられた柔軟なフィルム毎に隙間が容易に生じ、ガイドワイヤの表面が平坦にならなくなり、挿入するキャビティの内壁を損傷してしまい、人体の健康を損なってしまう。
【0007】
したがって、上記の従来技術に基づいて、測定精度が高くて加工が簡単である、非血管系に適用できる圧力ガイドワイヤを提供することは、本医療分野において早急に解決しなければならない課題となる。
【発明の概要】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、測定精度が高くて加工が簡単である、非血管系に適用できる圧力ガイドワイヤを提供することである。
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本発明には、圧力ガイドワイヤが提供され、挿入部及び操作部を備え、
挿入部は、
マンドレルと、
マンドレルの遠位端部分に被覆される遠位端シースと、
マンドレルの近位端部分に被覆される近位端シースと、
遠位端シースと近位端シースとの間に設置され、且つマンドレルに固定外嵌され、外面に溝が設けられた中間リングと、
中間リングの溝内に設けられ、複数の感知線が接続された圧力センサと、を備え、
感知線は近位端シースとマンドレルの間に延びており、感知線の他端は操作部に繋がり、
操作部は、挿入部の近位端に繋がり、センサの信号を外部の表示装置に送信することに用いられる。
【0010】
さらに、操作部は圧力センサの信号を有線又は無線で外部の表示装置に送信する。
【0011】
さらに、複数の感知線の近位端シースとマンドレルとの間に位置する部分は、互いに交差しない。
【0012】
さらに、複数の感知線の近位端シースとマンドレルとの間に位置する部分は、周方向にマンドレルの表面に均一に分布される。
【0013】
さらに、複数の感知線の近位端シースとマンドレルとの間に位置する部分は、マンドレルの表面にらせん状に巻き付けられる。
【0014】
さらに、圧力センサは、中間リングの溝内に接着剤により接着され、又は物理的構造により固定される。
【0015】
さらに、近位端シースは、熱収縮チューブであり、当該熱収縮チューブは、フッ素ポリマー、ポリウレタン及びナイロン弾性体のうちの1つの材料で製造される。
【0016】
さらに、熱収縮チューブはフッ素化エチレンプロピレン共重合体で製造される。さらに、中間リングの遠位端と遠位端シースの近位端との外径はほぼ同じであり、中間リングの近位端と近位端シースの遠位端との外径はほぼ同じである。
【0017】
さらに、中間リングは、金属材料で製造される。
【0018】
さらに、近位端シースの遠位端及び/又は遠位端シースに機能性コーティングがさらに塗布され、機能性コーティングは親水性コーティング、潤滑コーティング、又は生物活性コーティングである。
【0019】
以上により、本発明は、圧力センサを中間リングの溝内に固定することにより、圧力センサを人体のルーメン内の液体と接触させ、人体のルーメン内の圧力の変化を精確かつリアルタイムに監視することができ、また、感知線が近位端シースにより被覆され、近位端シースとマンドレルの間に接着剤がないため、ガイドワイヤの柔軟性が良好であり、ガイドワイヤが屈曲されても割れず、使用寿命が長く、耐久性が優れている。なお、近位端シースで感知線を全体的に被覆することにより、加工が簡単になり、ガイドワイヤの外壁が滑らかであり、人体の器官を傷つけることを回避し、安全性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、図面及び具体的な実施形態を組み合わせて本発明をさらに詳細に説明する。
図1図1は、本発明に係る圧力ガイドワイヤのガイドワイヤ部分の構成模式図である。
図2図2は、図1のA-A面に沿った断面図である。
図3図3は、本発明に係る感知線がマンドレルにらせん状に巻き付けられることを示す構成模式図である。
図4図4は、本発明に係る中間リングの構成模式図である。
図5図5は、本発明に係る圧力ガイドワイヤと表示装置との1つの接続方式を示す構成模式図である。
図6図6は、本発明に係る圧力ガイドワイヤと表示装置との別の接続方式を示す構成模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1-遠位端シース
2-中間リング
21-溝
3-近位端シース
4-マンドレル
5-圧力センサ
51-感知線
6-操作部
7-表示装置
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。各実施形態を組み合わせて本発明を説明するが、これは、本発明の特徴が当該幾つかの実施形態に限定されることを意味するものではない。逆に、実施形態を組み合わせて本発明を説明する目的は、本発明の請求項に基づいて拡張可能な他の選択又は改良をカバーすることである。本発明に対する深い理解を提供するために、以下の記載では、多くの具体的な詳細が含まれる。本発明は、これらの詳細を使用せずに実施することも可能である。なお、本発明の要点を混乱させ又は曖昧にすることを回避するために、本説明では一部の具体的な内容は省略される。
【0023】
また、以下の説明に使用される「上」、「下」、「左」、「右」、「天」、「底」は、本発明の好適な実施形態をよりよく説明するために設定されるものであり、本発明に対する限定として理解されるべきではない。
【0024】
本文に使用される用語について、「近位端」又は「尾端」は、使用する時に医者に最も近い一端である。「遠位端」又は「前端」は、人体のキャビティ内において入口箇所から最も遠い一端であり、即ち医者から最も遠い一端であり、即ち挿入端である。
【0025】
以下の図面では、ガイドワイヤの全長が示されていない。ガイドワイヤの長さは必要に応じて変えられるが、典型的なガイドワイヤの長さは30~800センチメートル(cm)の範囲内にある。
【0026】
本発明の技術考案は、図1乃至図6に示されており、ガイドワイヤは、挿入部及び操作部6を備え、挿入部は、
マンドレル4と、
マンドレル4の遠位端部分に被覆される遠位端シース1と、
マンドレル4の近位端部分に被覆される近位端シース3と、
遠位端シース1と近位端シース3との間に設置され、且つマンドレル4に固定外嵌され、外面に溝21が設けられた中間リング2と、
中間リング2の溝21内に設けられ、複数の感知線51が接続された圧力センサ5と、を備え、
感知線51は近位端シース3とマンドレル4との間に延びており、感知線51の他端は操作部に繋がり、
操作部6は、挿入部の近位端に繋がり、センサの信号を外部の表示装置7に送信することに用いられる。
【0027】
本発明では、圧力センサ5を中間リング2の溝21内に固定することにより、圧力センサ5を人体のルーメン内の液体と直接に接触させ、ルーメン内の圧力の変化を精確かつリアルタイムに監視することができ、そして、感知線51が近位端シース3によって被覆され、近位端シース3とマンドレル4の間に接着剤がないため、ガイドワイヤの柔軟性が良好であり、ガイドワイヤは屈曲されても割れず、耐久性が優れている。なお、近位端シース3で感知線51を全体的に被覆することにより、加工が簡単になり、ガイドワイヤの外壁が滑らかであり、人体の器官を傷つけることを回避でき、安全性が良好である。
【0028】
さらに、操作部6は圧力センサ5の信号を有線又は無線で外部の表示装置7に送信する。図5に示される有線の接続方式を採用する場合、操作部6に接続口が設けられ、接続口は、通常のUSBインタフェース又はPS/2インターフェース等であってもよく、外部の表示装置7は、携帯電話、タブレットPC又はコンピュータ等であってもよく、表示プログラムとしてのAPP又はソフトウェアプログラムが搭載されており、外部の表示装置7と操作部6は、データ線を介して接続されてもよい。
【0029】
さらに、外部の表示装置7と操作部6は図6に示される無線の接続方式を採用することができ、この場合、圧力センサ5の信号を外部の表示装置7に送信するための無線通信モジュールを操作部6内に設ける必要があり、圧力センサ及び無線通信モジュールに電力を供給するための電源モジュールをさらに設ける必要があり、これに対応して、外部の表示装置7内にも圧力センサ5からの信号を受信するための無線通信モジュールを設ける必要がある。
【0030】
さらに、本発明では、圧力センサ5の種類が特に限定されず、圧力センサ5は、半導体(例えば、シリコンウエハ)圧力センサ、圧電式圧力センサ、光ファイバ又は光学圧力センサ、ファブリペロー型(Fabry-Perot type)圧力センサ、超音波移行器及び/又は超音波圧力センサ、磁気式圧力センサ、固体圧力センサ等、或いは他の任意の適切な圧力センサの種類を含むことができる。
【0031】
さらに、圧力センサ5の測定精度を十分に確保するために、複数の感知線51の間に交差接触の状況をできる限り回避すべきであり、そうしなければ、信号が互いに干渉し、圧力センサ5の測定結果の精度に影響を及ぼしてしまう。従って、本発明において、複数の感知線51の近位端シース3とマンドレル4との間に位置する部分は、互いに交差しないことが好ましい。
【0032】
より好ましくは、複数の感知線51の近位端シース3とマンドレル4との間に位置する部分は、図2に示されるように、周方向にマンドレル4の表面に均一に分布されてもよく、これによって、感知線51の間を互いに最も遠く離れさせ、互いの信号の干渉をできる限り回避することができる。好ましくは、図3に示されるように、マンドレル4の表面にらせん状に巻き付けられてもよく、感知線51をらせん状にマンドレル4の表面に巻き付けることで、ガイドワイヤの柔軟性をより良好に保持することができ、ガイドワイヤが屈曲される時に、感知線51はガイドワイヤの動きを制限しない。
【0033】
さらに、圧力センサ5は、従来技術におけるいずれの既知の方法で中間リング2の溝21内に固定され、例えば、中間リング2の溝21内に接着剤により接着され、又は物理的構造により固定されることができる。圧力センサによる圧力の監視に影響を及ぼさない限り、当該物理的構造による固定は、従来技術における通常の係合又は部分的な被覆等の方式であってもよい。
【0034】
さらに、近位端シース3は、熱収縮チューブであり、マンドレル4の表面に熱収縮されたと同時に、複数の感知線51を近位端シース3とマンドレル4の間に固定し、近位端シース3とマンドレル4の間に接着剤がなく、圧力ガイドワイヤの柔軟性に影響を及ぼさず、ガイドワイヤの表面にも使用中の屈曲に起因する割れが生じてしまう状況がなく、使用寿命が長く、加工が簡単であり、かつガイドワイヤの表面が滑らかであり、人体のキャビティの内壁を傷つけるリスクはない。
【0035】
より好ましくは、熱収縮チューブは、フッ素ポリマー、ポリウレタン及びナイロン弾性体のうちの1つの材料で製造される。上記の材料はいずれも良好な生体親和性を有する。本発明では、好ましくは、熱収縮チューブはフッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP)で製造される。FEPは、熱収縮温度が低いため、製造中に熱収縮温度が高すぎることによって圧力センサを損傷してしまうことを回避できる。また、他のフッ素ポリマーに比べて、FEPは表面摩擦が小さく、製造されたガイドワイヤの挿入性がより良好である。
【0036】
さらに、遠位端シース1は、らせん状の金属ばねリングであってもよいし、ポリマーシースであってもよく、当該シースは、フッ素ポリマー、ポリウレタン及びナイロン弾性体のうちの1つ又は幾つかの材料で製造され得る。
【0037】
好ましくは、中間リング2の遠位端と遠位端シース1の近位端との外径はほぼ同じであり、中間リング2の近位端と近位端シース3の遠位端との外径はほぼ同じであり、即ち、遠位端シース1、中間リング2と近位端シース3の間は滑らかに移行し、ガイドワイヤの表面全体の平坦さ及び平滑さを確保し、内壁を傷つける可能性をさらに低減する。
【0038】
さらに、圧力センサ5を備えた中間リング2は、図4に示されるように、中間リングのスレンダー比について、特に限定されておらず、ガイドワイヤ及び圧力センサ5の寸法により調整されることができる。中間リング2は、一体の硬度を有する剛性材料で製造されることができ、これにより、ガイドワイヤが屈曲された時に、ガイドワイヤの屈曲に伴って変形せずに、圧力センサ5を元の形状に維持し、圧力センサ5の測定精度を確保することができる。より好ましくは、ガイドワイヤの軸方向における溝21の長さは圧力センサ5の長さよりも長く、圧力センサ5を中間リングの溝21内に固定する場合、圧力センサ5を固定すると同時に近位端シース3が圧力センサ5と直接に接触することを回避し、近位端シース3がマンドレル4の表面に熱収縮される時に、温度が高すぎることによって圧力センサ5を損傷してしまうことを回避することができる。
【0039】
好ましくは、中間リングは一定の硬度を有する剛性材料である。中間リングが熱収縮チューブと直接に接触するため、好ましくは、中間リングは、金属材料、例えば、ステンレス鋼やニッケルチタン合金等で製造され、変形せずに高い熱収縮温度に耐えられることができる。より好ましくは、中間リングは、ステンレス鋼で製造されることができ、ステンレス鋼材料は、X線下での現像性が良好であり、操作員が圧力センサの位置を正確に位置決めすることに役立つ。
【0040】
さらに、マンドレル4は金属材料からなる中実構造であり、特に限定されていない。本分野における通常の金属材料を選択することができ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、 SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等)、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)等の各種の金属材料を使用することができ、超弾性合金を使用することが好ましい。超弾性合金が比較的に柔らかでかつ復元性を有し、屈曲されにくいため、超弾性合金をマンドレル4のガイドワイヤとすると、その前端の部分は十分な屈曲の柔軟性及び弾性回復能力を有し、屈曲された複雑なルーメンへの挿入性能を向上させることができ、より優れた操作性を得ることができ、そして、ガイドワイヤに繰り返して屈曲、変形が生じても、ガイドワイヤは、優れた弾性回復能力により、永久的な屈曲、変形が生じないため、ガイドワイヤが使用中に屈曲されることにより操作性が低下してしまう状況を回避することができる。
【0041】
さらに、超弾性合金は、ニッケルチタン合金を採用することが好ましく、ニッケルチタン合金をマンドレル4のガイドワイヤとして用いると、優れた押し込み性やトルク伝達性を有し、良好な操作性を有すると同時に、遠位端に良好な柔軟性、復元性を有し、ルーメンへの追従性、安全性を向上させ、人体のキャビティの内壁を傷つけるリスクをさらに低減する。
【0042】
さらに、本発明の図面におけるガイドワイヤはいずれもストレート型のガイドワイヤを採用するが、圧力ガイドワイヤもエルボ型のガイドワイヤであってもよい。
【0043】
さらに、近位端シースの遠位端及び/又は遠位端シースに機能性コーティングがさらに塗布され、機能性コーティングは親水性コーティング、潤滑コーティング、又は生物活性コーティングである。親水性コーティングは水分子の表面を「ゲル状」の表面にし、ガイドワイヤを挿入する際の抵抗を低下させることができ、同時に、ガイドワイヤと筋肉組織の生体適合性をさらに向上させることができる。親水性コーティング材料について具体的に限定されておらず、コーティングは摩擦抵抗の小さい材料で形成されることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、無水マレイン酸共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン又はその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)-スチレンブロック共重合体、各種の合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸塩及びセルロース系共重合体のうちの1つ又は幾つかであることが好ましい。
【0044】
潤滑コーティングの種類について、具体的に限定されておらず、ガイドワイヤの表面の摩擦力を低減させ、ガイドワイヤの挿入性を向上させ得るものであればよく、具体的に、フッ素ポリマーコーティングを選択することができる。
【0045】
生物コーティングの種類について、具体的に限定されておらず、患者の病状の必要に応じて適宜なコーティングを選択することができる。例えば、ヘパリン四級アンモニウム錯体等の抗血栓薬、各種の銀化合物等の抗微生物剤、塩化ベンザルコニウム等の四級アンモニウム化合物、チモール等のフェノール誘導体及びゲンタマイシン、ノルフロキサシン、リファマイシン等の抗生物質等である。
【0046】
本発明の圧力ガイドワイヤは、非血管領域、例えば、泌尿器系、消化器系、呼吸器系及び生殖器系等に適用されることが好ましい。非血管系のルーメンが血管よりも広いため、内視鏡の存在下で、圧力センサ5が人体内のキャビティの内壁との直接な接触を十分に回避することができ、圧力センサ5をマンドレル4の内部に設ける必要がなく、即ち、ガイドワイヤの寸法を小さくすることができ、圧力センサ5の測定精度を向上させることもできる。
【0047】
以上により、本発明は、圧力センサを中間リングの溝内に固定することにより、圧力センサを人体のルーメン内の液体と接触させ、ルーメン内の圧力の変化を精確かつリアルタイムに監視することができ、また、感知線が近位端シースにより被覆され、近位端シースとマンドレルの間に接着剤がないため、ガイドワイヤの柔軟性が良好であり、ガイドワイヤが屈曲されても割れず、耐久性が優れている。なお、近位端シースで感知線を全体的に被覆することにより、加工が簡単になり、ガイドワイヤの外壁が滑らかであり、人体の器官を傷つけることを回避し、安全性が良好である。
【0048】
上記の説明は、本発明における具体的な実施形態の実施例であり、本発明の発明構想をより明確に説明することに用いられるが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の発明構想により、当業者は上記の実施例を容易に変更かつ修正することができ、これらの本発明の発明構想内の変更及び修正はいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6