(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】剃刀カートリッジコネクタ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B26B21/14 C
(21)【出願番号】P 2020512466
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(86)【国際出願番号】 US2018047752
(87)【国際公開番号】W WO2019046097
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315017030
【氏名又は名称】エッジウェル パーソナル ケア ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Edgewell Personal Care Brands, LLC
【住所又は居所原語表記】1350 Timberlake Manor Parkway, Chesterfield, MO 63017 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バンネル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】エバーツ デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チャン ズーキー
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/061324(WO,A1)
【文献】特表2000-508204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全剃刀であって、
延長部を有するハンドルと、
刃ユニット及びコネクタを含む剃刀カートリッジと、
を備え、
前記延長部は、前記剃刀カートリッジの陥凹部に係合するカートリッジ支持構造を提供し、
前記延長部は、前記剃刀カートリッジが前記延長部との接続中及び前記延長部からの分離中に沿って移動できる軸を定め、
前記延長部は、それぞれが前記剃刀カートリッジの2つの戻り止めのそれぞれ一方を受け取る1対の凹部を有し、
前記ハンドルは、前記延長部に沿って摺動可能であるとともに前記剃刀カートリッジに係合して該剃刀カートリッジを前記ハンドルの前記延長部から分離させるように適合されたユーザ操作可能なエジェクタを含み、
前記剃刀カートリッジの前記陥凹部は、床部及び天井部を形成する前記コネクタの対向壁によって部分的に定められ、前記2つの戻り止めは、前記床部上に存在して前記陥凹部内に延び、
前記床部は、前記2つの戻り止め間の中心スロットをさらに有し、該中心スロットは、前記ハンドルの前記延長部から前記剃刀カートリッジを分離させるために前記ユーザ操作可能なエジェクタが操作された時に、それぞれの床部上のいずれか一方の戻り止めの撓みがそれぞれの床部上の他方の戻り止めの撓みに実質的に影響されないような大きさに設定される、
ことを特徴とする安全剃刀。
【請求項2】
前記陥凹部は、外側壁によってさらに定められ、前記床部は、該床部と前記外側壁との間の接合部又はその付近に側方スロットを有する、
請求項1に記載の安全剃刀。
【請求項3】
前記陥凹部は、前記床部から前記天井部に向かって延びる、前記陥凹部の入口に対向する前記陥凹部の端部の2つの端壁によってさらに定められ、各端壁は、それぞれの戻り止めに隣接する、
請求項1又は2に記載の安全剃刀。
【請求項4】
前記端壁の少なくとも一方は、前記床部から前記天井部に延びる、
請求項3に記載の安全剃刀。
【請求項5】
少なくとも一方の端壁と前記天井部との間に、該端壁と該天井部とを分離する間隙が設けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の安全剃刀。
【請求項6】
前記戻り止めは対称的な大きさに設定され、及び/又は前記コネクタの中心面の周囲に配置される、
請求項1から5のいずれかに記載の安全剃刀。
【請求項7】
前記戻り止めは非対称的な大きさに設定され、及び/又は前記コネクタの中心面の周囲に配置される、
請求項1から5のいずれかに記載の安全剃刀。
【請求項8】
刃ユニットとコネクタとを備えた剃刀カートリッジであって、
前記コネクタは、床部及び天井部を形成する前記コネクタの対向壁によって部分的に定められた陥凹部を有し、前記床部から前記陥凹部内に2つの戻り止めが延び、
前記床部は、前記2つの戻り止め間の中心スロットをさらに有し、該中心スロットは、前記2つの戻り止めのいずれか一方に撓みが伝わった時に、それぞれの床部上のいずれか一方の戻り止めの撓みがそれぞれの床部上の他方の戻り止めの撓みに実質的に影響されない大きさに設定される、
ことを特徴とする剃刀カートリッジ。
【請求項9】
前記陥凹部は、外側壁によってさらに定められ、前記床部は、該床部と前記外側壁との間の接合部又はその付近に側方スロットを有する、
請求項8に記載の剃刀カートリッジ。
【請求項10】
前記陥凹部は、前記床部から前記天井部に向かって延びる、前記陥凹部の入口に対向する前記陥凹部の端部の2つの端壁によってさらに定められ、各端壁は、それぞれの戻り止めに隣接する、
請求項8又は9に記載の剃刀カートリッジ。
【請求項11】
前記端壁の少なくとも一方は、前記床部から前記天井部に延びる、
請求項10に記載の剃刀カートリッジ。
【請求項12】
少なくとも一方の端壁と前記天井部との間に間隙が設けられる、
請求項8から10のいずれかに記載の剃刀カートリッジ。
【請求項13】
前記戻り止めは対称的な大きさに設定され、及び/又は前記コネクタの中心面の周囲に配置される、
請求項8から12のいずれかに記載の剃刀カートリッジ。
【請求項14】
剃刀カートリッジのコネクタであって、
前記コネクタは、床部及び天井部を形成する前記コネクタの対向壁によって部分的に定められた陥凹部を有し、前記床部から前記陥凹部内に2つの戻り止めが延び、
前記床部は、前記2つの戻り止め間の中心スロットをさらに有し、該中心スロットは、前記2つの戻り止めのいずれか一方に撓みが伝わった時に、それぞれの床部上のいずれか一方の戻り止めの撓みがそれぞれの床部上の他方の戻り止めの撓みに実質的に影響されない大きさに設定される、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項15】
前記陥凹部は、外側壁によってさらに定められ、前記床部は、該床部と前記外側壁との間の接合部又はその付近に側方スロットを有する、
請求項14に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記陥凹部は、前記床部から前記天井部に向かって延びる、前記陥凹部の入口に対向する前記陥凹部の端部の2つの端壁によってさらに定められ、各端壁は、それぞれの戻り止めに隣接する、
請求項14又は15に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記端壁の少なくとも一方は、前記床部から前記天井部に延びる、
請求項16に記載のコネクタ。
【請求項18】
少なくとも一方の端壁と前記天井部との間に間隙が設けられる、
請求項14から16のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項19】
前記戻り止めは対称的な大きさに設定され、及び/又は前記コネクタの中心面の周囲に配置される、
請求項14から18のいずれかに記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、安全剃刀及び安全剃刀カートリッジに関し、具体的には、剃刀ハンドルに接続するためのコネクタを含む剃刀カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
安全剃刀としても知られている多くの最新の湿式シェービング剃刀は、ハンドルと、ハンドルに取り付けられた剃刀カートリッジとを含む。一部の剃刀は、ハンドル及び剃刀カートリッジが使用後に廃棄されるいわゆる使い捨て剃刀である。他の剃刀は、再利用できるハンドルと、使用後に廃棄されて新たなカートリッジに交換できる着脱交換式剃刀カートリッジとを含む、いわゆるシステムの形をとることができる。
【0003】
米国特許第5,787,586号には、剃刀刃を保持するハウジングを含む剃刀カートリッジと、ハウジングを枢動可能に支持する相互接続部材としても知られているコネクタとを有するシェービングシステムが開示されている。剃刀ハンドルは、コネクタの陥凹部(recess)に係合するカートリッジ支持構造を提供する、一般に広くて平らな延長部を有する。陥凹部は、床部(floor)と対向する天井部(ceiling)とを提供する壁部によって部分的に定められる。床部の切り抜かれた片持ち状フラップ部分(cantilevered flap portion)には、1対の戻り止め(detents)が位置する。各戻り止めは、ハンドル延長部の1対の凹部(depressions)の一方に係合して剃刀カートリッジをハンドルにスナップ式に接続する。
【0004】
米国特許第5,956,851号には、剃刀刃を保持するハウジングとコネクタとを含む剃刀カートリッジを有する別のシェービングシステムが開示されている。このコネクタの床部の切り抜かれたフラップ部分には、1対のラッチ部材が位置する。各ラッチ部材は、ハンドル延長部の1対の凹部の一方に係合して剃刀カートリッジをハンドルにラッチ式に接続する。
【0005】
国際公開第2016/061324号には、剃刀刃を保持するハウジングとコネクタとを含む剃刀カートリッジを有するさらなるシェービングシステムが開示されている。このコネクタの床部には、1対の非対称的なサイズないし大きさに設定及び/又は配置された戻り止め、あるいは爪が位置する。戻り止めは、ハンドル延長部の1対の凹部に係合して剃刀カートリッジをハンドルにスナップ式に接続する。戻り止めは、ユーザがカートリッジを分離させるためにハンドルのエジェクトボタンを操作すると、少なくともある程度連続的に離脱する。本開示の文脈における「ある程度連続的に」は、いずれか一方の戻り止めを離脱させるための力/撓み(f/d)プロット(force/deflection(f/d) plot)が他方の戻り止めのf/dプロットと一時的に重なることを意味するように意図される。「少なくとも」は、f/d離脱プロット同士が完全に連続して一時的に重なることができることを意味するように意図される。
【0006】
上述した文献では、1対の戻り止めが、いずれもそれぞれのコネクタの床部の切り抜かれた片持ち状フラップ部分に位置する。剃刀ハンドルとの接続/分離中にいずれか一方の戻り止めが動き又は撓み、又はエジェクトボタンが作動すると、1対の戻り止めの他方も動き又は撓むようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5,787,586号明細書
【文献】米国特許第5,956,851号明細書
【文献】国際公開第2016/061324号
【文献】米国特許第6,026,577号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記文献のものを含むシェービングシステムでは、ハンドルからカートリッジを分離させるためにユーザがエジェクトボタンを介して加える力が比較的弱くて済むことがシェービングカートリッジにとって有益である。これとは逆に、使用中又は剃刀をうっかり落下させた場合などの他の事象中には、ハンドルからカートリッジを分離させるために比較的強い力を加える必要があることがシェービングカートリッジにとって有益である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、安全剃刀、安全剃刀の剃刀カートリッジ、又は剃刀カートリッジのコネクタを提供することによって先行技術の欠点を解消又は少なくとも実質的に軽減することを目的とする。この安全剃刀は、ハンドル及び剃刀カートリッジを含む。ハンドルは、剃刀カートリッジの陥凹部に係合するカートリッジ支持構造を提供する延長部を有し、延長部は、剃刀カートリッジが延長部との接続中及び延長部からの分離中に沿って移動できる軸を定め、延長部は、それぞれが剃刀カートリッジの2つの戻り止めのそれぞれ一方を受け取る1対の凹部を有する。ハンドルは、延長部に沿って摺動可能であるとともに剃刀カートリッジに係合して剃刀カートリッジをハンドルの延長部から分離させるように適合されたユーザ操作可能なエジェクタも含む。安全剃刀の剃刀カートリッジは、刃ユニット及びコネクタを有する。剃刀カートリッジの陥凹部は、床部及び天井部を形成するコネクタの対向壁によって部分的に定められ、2つの戻り止めは、床部上に存在して陥凹部内に延びる。床部は、2つの戻り止め間の中心スロットをさらに有し、中心スロットは、ハンドルの延長部から剃刀カートリッジを分離させるためにユーザ操作可能なエジェクタが操作された時に、それぞれの床部上のいずれか一方の戻り止めの撓みがそれぞれの床部上の他方の戻り止めの撓みに実質的に影響されないようなサイズすなわち大きさに設定あるいは形状に設定される。
【0010】
他の態様では、陥凹部が外側壁によってさらに定められ、床部が、床部と外側壁との間の接合部又はその付近に側方スロットを有する。
【0011】
さらなる態様では、陥凹部が、床部から天井部に向かって延びる、陥凹部の入口に対向する陥凹部の端部の2つの端壁によってさらに定められ、各端壁は、それぞれの戻り止めに隣接する。端壁の少なくとも一方は、床部から天井部に延びることができる。或いは、少なくとも一方の端壁と天井部との間に、端壁と天井部とを分離する間隙を設けることもできる。
【0012】
さらなる態様では、戻り止めが対称的なサイズないし形状、あるいは大きさに設定され、及び/又はコネクタの中心面の周囲に配置される。或いは、戻り止めが非対称的なサイズあるいは大きさに設定され、及び/又はコネクタの中心面の周囲に配置される。
【0013】
中心スロット及び任意の側方スロットは、いずれか一方の戻り止めのあらゆる動き又は撓みが他方の戻り止めのあらゆる撓みに影響されず、或いは他方の戻り止めを全く又は実質的に全く撓ませないことをコネクタに与える。いずれか一方の戻り止めのそれぞれのハンドル延長部凹部との係合及び離脱は、他方の戻り止めの係合/離脱から実質的に切り離される。ユーザは、エジェクトボタンを介して弱い力を加えてハンドルからカートリッジを分離できる一方で、使用中又は剃刀をうっかり落下させた場合などの他の事象中には、剃刀ハンドルからカートリッジを分離させるために比較的強い力が必要とされる。
【0014】
当業者には、以下の詳細な説明及び図面に照らして本開示の上記の及びその他の利点が明らかになるであろう。
【0015】
全体を通じて同じ参照数字の要素が同様の要素を示す添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】
図1の安全剃刀の剃刀カートリッジのコネクタの下端図である。
【
図11】11-11において切り取った
図10の断面図である。
【
図12】12-12において切り取った
図10の対向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図面を参照すると、具体的には
図1~
図2に安全剃刀10を示す。安全剃刀10は、剃刀カートリッジ14が接続されたハンドル12を含む。これらの図及び
図3には、単にこれらの図を好適なスケールで表す都合上、ハンドル12を短縮した形で示しており、従って本発明はハンドル12の長さ又は形状に関して限定されるものではない。剃刀カートリッジ14はハウジング16を含み、ハウジング16内には1又は2以上の剃刀刃18が取り付けられる。ハウジング16は、コネクタ20によって支持される。図示の実施形態では、ハウジング16がコネクタ20に対して枢動軸24を中心に枢動できるように、ハウジング16をコネクタ20によって枢動可能に支持することができる。図示の実施形態では、ハウジング16が、シェルベアリング22を含む枢動支持構造を有するが、本開示は、この点に関して限定すべきものではなく、ピンインホール(pins in holes)及びいわゆる一体ヒンジのなどの他の支持方法も本開示の範囲に含まれる。ハウジング16は、剛体的に支持し、例えばコネクタ20によって非枢動可能に支持することも、或いは米国特許第6,026,577号などに記載されるようにコネクタ20と一体的に形成することもでき、この文献の(ヘッド11として記載されている)一体型ハウジング及び(チャンバ15として記載されている)コネクタに関する内容は引用により本明細書に組み入れられる。
【0018】
ハウジング16及びコネクタ20は、いずれも同じもの又は異なるものとすることができる好適な(単複の)熱可塑性材料で形成されることが好ましい。例えば、ハウジング16は、射出成形されたアクリロニトリルブタジエンスチレンスチレン(ABS)から形成することができ、コネクタは、射出成形されたポリオキシメチレン(POM)から形成することができる。これらの材料の利点としては、寸法安定性、湿式シェービング環境での使用において典型的に見られる耐化学薬品性、及び相対的枢動中に一方が他方に対して摺動する低摩擦が挙げられる。
【0019】
図3~
図4及び
図5は、それぞれハンドル12の正面図、上端図及び部分的断面図である。ハンドル12は、コネクタ20の陥凹部50(
図6を参照)に係合する延長部30を含む。延長部30は軸32を定め、剃刀カートリッジ14は、ハンドル12への接続及びハンドル12からの分離時にこの軸32に沿ってハンドルに対して動く。延長部30は、好ましくは軸32の周囲に対称的に配置される、或いは非対称的な大きさ、すなわちサイズに設定又は配置できる1対の凹部34を含む。両凹部34は、本開示において後述するような前縁36を有する。ハンドル12は、ユーザがボタン42を操作することによって延長部に沿って摺動できる、ボタン42に接続されたエジェクタ40を含む。エジェクタ40はU字形とすることができ、U字の各脚の遠位端44は、ユーザがハンドル12から剃刀カートリッジ14を分離させ又は別様に排出するためにボタン42を操作した時に、剃刀カートリッジ14のコネクタ20のそれぞれの内面(
図6の52を参照)に接触するように適合される。ハンドルは、(本開示で後述する)陥凹部50によって部分的に定められるコネクタ20の開口部を通じて作用できるバネ付勢式プランジャ38を有することもできる。プランジャ38の遠位端は、剃刀カートリッジ14のハウジング16のカム面に作用して、外力(例えば、シェービング動作中に引き起こされる力)が除去された時に剃刀カートリッジ14を中立又は静止位置に付勢することができる。
図1及び
図2に、典型的な中立位置を示す。
【0020】
図6には、
図1の安全剃刀10の剃刀カートリッジ14のコネクタ20の下端図、すなわち陥凹部50への入口のビューを示す。陥凹部50は、床部60及び天井部70を形成する対向壁と、床部60から天井部70に向かって延びる、入口に対向する陥凹部50の端部の端壁80、82とによって少なくとも部分的に定められ、各端壁は、それぞれの戻り止め56、58に隣接する。端壁80、82は、前段で説明したような内面52を定める。陥凹部50は、床部60から陥凹部50内に延びる2つの戻り止め56、58を含む。
図6に示すように、端壁82は、床部60から天井部70に延びて床部60を天井部70に接続する。端壁80は床部60から延び、この端壁80の頂部と天井部70との間には、この端壁80を天井部70から分離する間隙84が設けられる。他の実施形態では、両端壁80、82と天井部70との間に間隙84を設けることもできる。或いは、両端壁80、82が床部60から天井部70まで延びることもできる。
【0021】
図8~
図12に、やはり上述したような特徴を有する別のコネクタ20を示す。このコネクタは、陥凹部50を部分的に定める対向する床壁及び天井壁(それぞれ60、70)を有する。床部60からは、戻り止め56、58が延びる。床部60からは、天井部70に向かって端壁80、82が延びる。端壁80は、床部60と天井部70とを相互接続する。端壁82の頂部と天井部70との間には間隙84が設けられる。ハウジング16のそれぞれのシェルベアリング22に係合して、ハウジング16が枢動軸24を中心にコネクタ20に対して枢動できるようにする、対向する弓形ベアリング構造110、112が設けられる。弓形ベアリング構造110、112は、アーム120、122の遠位端に存在する。
【0022】
床部60は、戻り止め56、58間に位置する中心スロット90を含む。床部60と陥凹部50のそれぞれの外側壁100との間の接合部又はその付近における戻り止め56の反対側には、任意の側方スロット92が位置する。側方スロット92は、床部60内に存在することが好ましい。中心スロット90及び側方スロット92は、いずれも床部60を貫通又は実質的に貫通して延びることが好ましい。中心スロット90及び側方スロット92は、いずれか一方の戻り止め56、58のあらゆる動き又は撓みが他方の戻り止め56、58のあらゆる撓みに影響されないように、或いは他方の戻り止め58、56を全く又は実質的に全く撓ませないような大きさすなわち、サイズに設定される(すなわち、軸32と平行な方向の長さを有する)。いずれか一方の戻り止め56、58のそれぞれのハンドル延長部凹部34との係合及び離脱は、他方の戻り止め58、56の係合/離脱から実質的に切り離される。ユーザは、エジェクトボタンを介して弱い力を加えてハンドルからカートリッジを分離できる一方で、使用中又は剃刀をうっかり落下させた場合などの他の事象中には、ハンドルからカートリッジを分離させるために比較的強い力が必要とされる。
【0023】
図8~
図12(及び
図6)の実施形態に示すように、端壁80と天井部70との間には間隙84が設けられる。ユーザがハンドルからカートリッジ14を排出するためにハンドル12のボタン42を操作した結果、エジェクタ脚部遠位端44がそれぞれの内面52に作用すると、戻り止め56、床部の局所部分60及び端壁80が中心スロット90及び側方スロット92と連動して単一ラッチ部材として機能する。この実施形態では、端壁82が、戻り止め58又はその付近において床部60を天井部70に相互接続する。ユーザがハンドルからカートリッジ14を排出するためにハンドル12のボタン42を操作した結果、エジェクタ脚部遠位端44がそれぞれの内面52に作用すると、戻り止め58と床部60の局所部分とがそれぞれの凹部34内で単一スナップ嵌合部として機能する。換言すれば、一方の戻り止め(例えば、56)は、単一スナップ嵌合部の一部として機能する他方の戻り止め(例えば、58)とは無関係に単一ラッチ部材の一部として機能することができる。
【0024】
図8~
図12では、戻り止め56、58を概ね対称的な大きさ、すなわちサイズに設定して(断面切断面11-11/12-12を通るコネクタ20の中心面の周囲に)配置することができる。
図6では、(図示のような)戻り止め56、58が、床部60に対して垂直な方向に定められる、異なる高さ「v」を有することができる(
図7も参照)。
図6の部分的断面図である
図7では、戻り止め56の前縁(図の右手側)を戻り止め58の前縁に対して距離「h」だけオフセットすることができ、或いは一方の戻り止め56又は58が異なる引き込み角(lead-in angle)「a」を有することができる。戻り止め56は、ハンドル12からのカートリッジ14の分離中に、それぞれの凹部34の前縁36に係合する戻り止め58の係合とは無関係にそれぞれの凹部34の前縁36に係合する。このようにして、いずれか一方の戻り止め56、58の係合/脱離を、タイミング(例えば、いずれか一方が他方よりも前に離脱し始めることができる)、力/撓み特性及び作用(スナップ嵌合又はラッチ部材としての構成)の面で他方の戻り止め58、56に対して完全に独立させることができる。
【0025】
当業者であれば、以下の特許請求の範囲に定める本開示の実際の範囲から逸脱することなく変形及び修正を行うことができると認識するであろう。例えば、陥凹部の内壁内に凹部を設け、延長部の外面上に戻り止めを設けることもできる。戻り止めを軸の周囲に対称的に配置し、凹部を軸に関して非対称とすることもできる。いずれか1つの実施形態に関連して開示した特徴は、単独で使用することも、或いは他のそれぞれの実施形態の各特徴と組み合わせて使用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
20 コネクタ
50 陥凹部
52 内面
56 戻り止め
58 戻り止め
60 床部
70 天井部
80 端壁
82 端壁
84 間隙
90 中心スロット
92 側方スロット
100 外側壁
110 弓形ベアリング構造
112 弓形ベアリング構造
120 アーム
122 アーム