(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】トランスジェニックマクロファージ、キメラ抗原受容体、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20221025BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221025BHJP
C12N 5/0786 20100101ALI20221025BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20221025BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20221025BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221025BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20221025BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N5/10
C12N5/0786
C12N15/13
C12N15/12
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/705
(21)【出願番号】P 2020514655
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(86)【国際出願番号】 US2017033039
(87)【国際公開番号】W WO2018212770
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519411250
【氏名又は名称】サンダー・バイオテック・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キム・オニール
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/019848(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/025944(WO,A2)
【文献】特表2017-500869(JP,A)
【文献】Quatromoni, J. G. et al.,"Tumor-associated macrophages: function, phenotype, and link to prognosis in human lung cancer",Am. J. Transl. Res.,2012年,Vol. 4,pp. 376-389
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロファージをM2マクロファージに分極する方法
における使用のための、キメラ受容体を含むマクロファージを含む、組成物であって、
前記方法が、
キメラ受容体を含む前記マクロファージを、前記キメラ受容体の細胞外ドメインのリガンドと接触させることと、
前記リガンドを、前記キメラ受容体の前記細胞外ドメインと結合させることと、を含み、
前記キメラ受容体の前記細胞外ドメインに対する前記リガンドの前記結合が、
前記キメラ受容体の細胞質部分を活性化させ、
前記
キメラ受容体の細胞質部分の活性化が、前記マクロファージをM2マクロファージに分極し、
前記キメラ受容体が、
細胞質ドメインと、
膜貫通ドメインと、
細胞外ドメインと、を含み、
前記細胞質ドメインが、活性化された際にマクロファージをM2マクロファージに分極する受容体の細胞質部分を含み、
前記細胞質部分を含む野生型タンパク質が、前記細胞外ドメインを含まない、
組成物。
【請求項2】
前記細胞外ドメインとのリガンドの結合が、前記細胞質部分を活性化する、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
前記細胞外ドメインが、ScFv断片である、請求項1に記載の
組成物。
【請求項4】
前記キメラ受容体が、前記膜貫通ドメインと前記細胞外ドメインとの間にリンカーを更に含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項5】
前記リンカーが、GSリンカーである、請求項4に記載の
組成物。
【請求項6】
前記キメラ受容体が、前記膜貫通ドメインと前記細胞外ドメインとの間にヒンジ領域を更に含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項7】
前記キメラ受容体が、前記膜貫通ドメインと前記リンカーとの間にヒンジ領域を更に含む、請求項4に記載の
組成物。
【請求項8】
前記キメラ受容体が、ポリヌクレオチドを含む核酸によってコードされる、請求項1に記載の
組成物。
【請求項9】
前記核酸が、前記ポリヌクレオチドと作動可能に連結されたプロモーターを更に含む、請求項8に記載の
組成物。
【請求項10】
前記核酸が、ベクターに含まれる、請求項8に記載の
組成物。
【請求項11】
前記ベクターが、レンチウイルスベクターである、請求項10に記載の
組成物。
【請求項12】
キメラ受容体が
、マクロファージである細胞に含まれる、請求項1に記載の
組成物。
【請求項13】
前記核酸が
、マクロファージである細胞に含まれる、請求項8に記載の
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してバイオテクノロジーに関する。より詳細には、本開示は、キメラ抗原受容体、キメラ抗原受容体をコードする核酸、キメラ抗原受容体及び/又はコードする核酸を保有するマクロファージ、並びに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、制御されていない細胞増殖及び死、ゲノムの不安定性及び変異、腫瘍促進炎症、血管形成の誘導、免疫系の回避、代謝経路の脱調節、腫瘍細胞複製、並びに転移性組織浸潤を伴う疾患群からなる[1]。がんは、心臓疾患の次に米国において死亡の第2の原因である[2]。160万を超える新しいがんの症例が、毎年診断されると見込まれており、580,000人を超えるアメリカ人が死亡すると予測され(1日あたり約1600人のがんによる死亡)、アメリカの全死者数の4人に1人近くを占めている[2、3]。
【0003】
免疫系は、がんの発達及び進行において重要な役割を果たす。腫瘍部位への免疫細胞浸潤は、悪性疾患の進行及び転移に不利に影響できる[4、5]。腫瘍部位へのマクロファージの浸潤は、特定の乳癌症例において腫瘍量の50%超を占めることが示されており、マクロファージが腫瘍の進行に重要な役割を有することを示唆している[6~8]。
【0004】
マクロファージは、ミエロイド系由来の細胞であり、自然免疫系に属する。それらは、組織内に移行する血液単球由来である。それらの主要な機能の1つは、微生物を貪食し、細胞残屑を取り除くことである。これらは更に、炎症の開始及び敞消散の両方において重要な役割を果たす[9、10]。そのうえ、マクロファージは、周囲の微小環境からそれらが受ける刺激の種類に応じて、炎症誘発から抗炎症までの範囲の異なる応答を表示することができる[11]。極端なマクロファージ応答と相関する2つの主要なマクロファージ表現型である、M1及びM2が提案されている。
【0005】
M1炎症誘発性マクロファージは、リポ多糖(LPS)、IFNγ、IL-1β、TNFα、及びToll様受容体係合などの特定の分子と接触すると活性化される。M1マクロファージは、感染症と戦うために展開される免疫系の強力なアームを構成する。これらは、病原体の直接的(病原体型認識受容体)又は間接的(Fc受容体、補体受容体)認識のいずれかであり得る。これらはまた、病原体の殺傷を助けるための手段として、反応性酸素種(ROS)を生成する能力も備えている。更に、M1マクロファージは、他の種類の免疫細胞を誘引し、免疫応答を統合/編成する、炎症促進性サイトカイン及びケモカインを分泌する。M1活性化は、IFN-g、TNFa、GM-CSF、LPS、及び他のtoll様受容体(TLR)リガンドによって誘導される。
【0006】
対照的に、代替活性化マクロファージとしても知られるM2抗炎症マクロファージは、IL-4、IL-13、及びIL-10などの抗炎症分子によって活性化される[12、13]。M2マクロファージは、炎症の部位への調節性T細胞の補充を可能にする免疫調節、組織修復、及び血管形成の特性を示す。M2マクロファージは、均一な集団を構成せず、多くの場合に、M2a、M2b、及びM2cカテゴリに更に細分化される。3つのサブ集団の全ての共通要素は、IL-12の産生が低いことを伴う、IL-10の産生が高いことである。これらの識別特性のうちの1つは、L-アルギニンを枯渇させ、それによってT細胞応答を抑制し、その基質のiNOSを欠乏させる酵素アルギニン1の産生である。
【0007】
マクロファージの分極化の生体内分子機構は、細胞微小環境においてマクロファージが経験する様々なシグナルのために、十分に特徴付けられていない[10、14]。近年では、個体発生、妊娠、並びにアレルギー、慢性炎症、及びがんのような病理学的状態などの生理学的条件下での生体内でのマクロファージの分極の特定において進展がなされている。しかしながら、生体内でのマクロファージの分極は可塑性であり、マクロファージはサイトカインの助けを伴い、表現型のいずれかに前後に分極させることができることがわかっている[15、16]。インターフェロンγ(IFNγ)及びIL-4は、マクロファージをM1及びM2表現型のそれぞれに分極できる、2つのサイトカインである[15]。
【0008】
マクロファージの存在は、腫瘍の進行及び増殖に重要であり、予後の決定において密接な関係を有する[17、18]。マクロファージは炎症性及び抗炎症性の両方を示すことができるため、腫瘍の進行及び転移におけるそれらの分極及び機能を理解することが重要である。
【0009】
マクロファージの分極
腫瘍微小環境は、マクロファージの分極に影響を及ばすことができる。分極の過程は、IL-10、グルココルチコイドホルモン、アポトーシス細胞、及び自然免疫細胞機能を妨げることができる免疫複合体の不利な環境により、多様及び複雑であり得る[11、19]。分極の機構は、依然として明確ではないが、転写調節を伴うことは知られている。例えば、LPS又はIFNγに曝露されたマクロファージは、M1表現型に向かって分極するが、IL-4又はIL-13に曝露されたマクロファージは、M2表現型に向かって分極する。LPS又はIFNγは、Trif及びMyD88経路を誘導するマクロファージの表面上のToll様受容体4(TLR4)と相互作用し、転写因子IRF3、AP-1、及びNFκBの活性化を誘導し、したがって、炎症性M1マクロファージ応答に必要なTNF遺伝子、インターフェロン遺伝子、CXCL10、NOS2、IL-12などを活性化させることができる[20]。同様に、IL-4及びIL-13は、IL-4Rと結合し、抗炎症応答(M2応答)に関連する遺伝子であるCCL17、ARG1、IRF4、IL-10、SOCS3などの発現を調節するJak/Stat6経路を活性化する。
【0010】
マクロファージの分極の更なる機構としては、マイクロRNA(miRNA)のマイクロマネジメントが含まれる。miRNAは、mRNAの分解速度に影響を及ぼすため、転写後に遺伝子発現を調節する長さ22ヌクレオチドの小分子非コードRNAである。いくつかのmiRNAは、分極されたマクロファージ、特にmiRNA-155、miRNA-125、miRNA-378(M1分極)、及びmiRNA let-7c、miRNA-9、miRNA-21、miRNA-146、miRNA147、miRNA-187(M2分極)において高度に発現されることが示されている[21]。
【0011】
マクロファージの分極は複雑な過程であり、マクロファージの挙動であった、微小環境刺激に応じて異なる応答を誘発した。したがって、マクロファージの分極は、M1及びM2表現型がスペクトルの極値である連続的な活性化状態によってより良好に表される。近年では、マクロファージ活性化及びマクロファージの分極の定義/記述については、多くの議論がなされてきた。Murrayらにより出版された最近の論文では、マクロファージ活性化、分極、活性化因子、及びマーカーの総意の定義/記述について考慮されるべき一連の基準を記載する。この刊行物は、活性化/分極されたマクロファージの定義及び特徴付けに非常に必要であった[22]。
【0012】
M1表現型
M1炎症誘発性マクロファージ又は古典的に活性化されたマクロファージは、活動的で貪食性が高く、大量の反応性酸素及び窒素種を生成し、それによってTh1応答を促進する[11]。M1マクロファージは、2つの重要な炎症性サイトカインであるIL-12及びIL-23を高レベルで分泌する。IL-12は、炎症に寄与する大量のIL-17を分泌する、Th17細胞の活性化及びクローン増殖を誘導する[23]。これらの特徴により、M1マクロファージは、転移を制御し、腫瘍成長を抑制し、微生物感染を制御することができる[24]。更に、M1マクロファージの腫瘍部位への浸潤及び補充は、固形腫瘍を有する患者におけるより良好な予後及びより高い全体生存率と相関する[17、18、25~28]。
【0013】
M1表現型へのマクロファージの分極は、IFNγ、TNFα、IL-1β、及びLPS、並びに転写因子、及びmiRNAなどの炎症シグナルによって生体外で調節される[29、30]。古典的に活性化されたマクロファージは、CXCL9、CXCL10(IP-10としても知られる)、IFN調節因子1、及びサイトカインシグナル伝達1の抑制因子を標的とするSTAT1転写因子の誘導を開始する[31]。サイトカインシグナル伝達1タンパク質は、サイトカイン受容体の下流で機能し、負のフィードバックループに加わり、サイトカインシグナル伝達を減衰する。腫瘍微小環境において、Notchシグナル伝達は、M1マクロファージの分極において重要な役割を果たし、それにより、転写因子RBP-Jが古典的な活性化を調節することを可能にする。Notchシグナル伝達において不十分なマクロファージは、他の外因性誘導因子にかかわらず、M2表現型を発現する[32]。1つの重要なmiRNAであるmiRNA-155は、マクロファージがM2からM1に移行する際に上方制御され、miRNA-155を過剰発現しているM1マクロファージは一般的により活動的であり、腫瘍の縮小に関連している[33]。更に、miRNA-342-5pは、マウスにおけるAkt1を標的とすることによって、マクロファージにおけるより高い炎症応答を助長することが見出されている。このmiRNAは、Nos2及びIL-6の上方調節を更に促進し、これらの両方がマクロファージの炎症シグナルとして作用する[34]。MiRNA-125及びmiRNA-378などの他のmiRNAは、マクロファージ(M1)の古典的な活性化経路に関与することが更に示されている[35]。
【0014】
古典的に活性化されたマクロファージは、その存在が通常、良好な予後を示すため、がん細胞の認識及び破壊において重要な役割を果たすと考えられる。認識後に、悪性細胞は、接触依存的貪食作用及び細胞傷害(すなわち、TNF-αなどのサイトカイン放出)を含むいくつかの機構を介して、M1マクロファージによって破壊され得る[24]。しかしながら、腫瘍微小環境又は組織常在性細胞などの環境シグナルは、M1マクロファージをM2マクロファージに分極させることができる。マウスマクロファージの生体内研究は、マクロファージがサイトカイン及び表面マーカー発現において可塑性であり、がんの存在下でマクロファージがM1表現型に再分極することは、免疫系が腫瘍を拒絶するのを助けることができることを示している[19]。
【0015】
M2表現型
M2マクロファージは、抗炎症性であり、血管形成及び組織修復の過程において助成する。それらはスカベンジャー受容体を発現し、大量のIL-10及び他の抗炎症性サイトカインを産生する[33、36]。M2マクロファージによるIL-10の発現は、Th2応答を促進する。結果として、Th2細胞は、IL-3及びIL-4の産生を上方制御する。IL-3は、ミエロイド系(顆粒球、単球、及び樹状細胞)における全ての細胞の増殖を、他のサイトカイン、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、及びIL-6と併せて刺激する。IL-4は、細胞外マトリックスの産生に寄与するため、治癒の過程において重要なサイトカインである[23]。M2マクロファージは、血管が悪性細胞に栄養を与えることを可能にし、したがって増殖を促進することによって腫瘍の進行を助け得る機能を示す。固形腫瘍の大部分におけるマクロファージ(M2と考えられる)の存在は、治療の成功及びより長い生存率と負に相関する[37]。更に、M2マクロファージの存在は、乳癌における転移能に連鎖されている。Lin及び同僚らは、マウスにおける乳房腫瘍部位へのマクロファージの早期の補充が血管形成及び悪性腫瘍の発生率を増加することが見出された[38]。腫瘍微小環境は、マクロファージがM2表現型を維持するのを助けると考えられる[23、39]。アディポネクチン及びIL-10などの腫瘍微小環境中に存在する抗炎症シグナルは、M2応答を増強できる[41]。
【0016】
腫瘍関連マクロファージ(TAM)
腫瘍微小環境に曝露された細胞は、異なる挙動である。例えば、固形腫瘍の周辺部に見られる腫瘍関連マクロファージは、腫瘍の増殖及び転移を促進するのを助け、M2様表現型を有すると考えられる[42]。腫瘍関連マクロファージは、組織に存在するマクロファージ、又は骨髄由来の補充されたマクロファージ(単球からマクロファージに分化して組織に移行するマクロファージ)のいずれかであり得る。Cortez-Retamozoによる研究では、脾臓中のTAM前駆体の多数が腫瘍間質に移行し、更にTAMの貯蔵所としてこの器官を示唆することが見出された[43]。脾臓に見られるTAM前駆体は、CCR2ケモカイン受容体を通して移動を開始することが見出された[43]。最近の研究では、がん細胞によるCSF-1産生が生存率の低下を予測し、全体的な予後不良を示す、マクロファージを腫瘍周辺に誘引する主要な因子としてCSF-1が見出されている[44~46]。TNF-α及びIL-6などの他のサイトカインもまた、マクロファージの腫瘍周辺部への蓄積/補充に連鎖されている[45]。
【0017】
腫瘍境界周囲に補充されるマクロファージは、腫瘍内で活性化される「血管形成スイッチ」によって調節されると考えられる。血管形成スイッチは、腫瘍が、腫瘍が転移することを潜在的に可能にする血管の高密度ネットワークを発達させる過程として定義され、悪性転移に必要である。乳癌マウスモデルにおいて、完全な血管形成スイッチにマクロファージの存在が必要であることが観察された。腫瘍の周囲のマクロファージの成熟、移動、蓄積が遅延された場合に、血管形成スイッチも更に遅延され、血管形成スイッチはマクロファージの非存在下では発生せず、マクロファージの存在は悪性腫瘍の進行に必要であることが示唆された[47]。更に、腫瘍間質細胞は、マクロファージを腫瘍周囲に補充するであろうCSF1、CCL2、CCL3、CCL5、及び胎盤成長因子などのケモカインを産生する。これらのケモカインは、マクロファージが血管形成スイッチを活性化する環境を提供し、マクロファージは、高レベルのIL-10、TGF-β、ARG-1、並びに低レベルのIL-12、TNF-α、及びIL-6を産生するであろう。これらのサイトカインの発現レベルは、マクロファージが免疫排除を調節することを示唆する。マクロファージは、低酸素腫瘍環境に誘引され、血管新生に関連する遺伝子の転写を調節する低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)、及びHIF-2αを産生することによって応答するであろうことに留意することが重要である。血管形成スイッチの間、マクロファージは更に、血管の成熟及び血管透過性を促進するであろうVEGF(NF-κB経路によって刺激される)を分泌することができる[48]。
【0018】
腫瘍関連マクロファージは、IkBキナーゼβ及びNF-kBシグナル伝達カスケードを介して媒介されるIL-1R、及びMyD88などの悪性細胞からの分極シグナルを受信することによって、それらのM2様表現型を維持することができると考えられる。TAMにおけるNF-kBの阻害は、古典的な活性化を促進する[40]。更に、別の研究では、p50 NF-kBサブユニットがM1マクロファージの抑制に関与し、炎症の低減が腫瘍成長を促進したことを示唆した。Saccaniらにより生成されたp50 NF-κBノックアウトマウスは、p50 NF-kBノックアウトでM1の活動性が回復し、腫瘍の生存率を減少させたことを示唆した[49]。
【0019】
腫瘍塊は多数のM2様マクロファージを含有するため、TAMは、がん治療の標的として使用されることができる。TAMの数を低減するか、又はM1表現型に向かって分極することは、がん細胞を破壊し、腫瘍の増殖を減らすのを助けることができる[50~52]。Luo及び同僚らは、潜在的な腫瘍標的と考えられるTAMにおいて上方制御されたシステインプロテアーゼ、及びストレスタンパク質であるレグメインに対するワクチンを使用した[52]。レグメインに対するワクチンがマウスに投与された場合に、血管形成を制御する遺伝子が下方制御され、腫瘍の増殖が停止された[52]。
【0020】
代謝及び活性化経路
腫瘍細胞中に存在する代謝性異常は、がんを産生する同一の遺伝子変異によって制御される[53]。これらの代謝性異常の結果として、がん細胞は、マクロファージの分極を改変し、腫瘍の増殖を促進することができるシグナルを生成できる[54、55]。
【0021】
M1及びM2マクロファージは、それらの異なる挙動を反映する別個の代謝パターンを論証する[56]。M1表現型は解糖を増加させ、グルコース代謝を酸化的ペントースリン酸経路に向けて傾斜し、これにより、酸素消費量が減少し、その結果、大量のラジカル酸素及び窒素種、並びにTNF-α、IL-12、IL-6などの炎症性サイトカインが産生される[56、57]。ペントースリン酸経路への流動を低減させ、一方で細胞全体の酸化還元電位を増加させる、M2表現型は脂肪酸の取り込み及び酸化を増加させ、その結果、スカベンジャー受容体、並びにIL-10及びTGF-βなどの免疫調節性サイトカインを上方制御する[56]。
【0022】
複数の代謝経路は、マクロファージの分極において重要な役割を果たす。Akt1及びAkt2などのプロテインキナーゼは、がん細胞の生存、増殖、中間代謝の使用を可能にすることによってマクロファージの分極を変更する[58]。他のプロテインキナーゼは、解糖を増加させ、酸素消費を低減させることによって、グルコース代謝を通してマクロファージの分極を誘導することができる[57、59]。Shu及び同僚らは、最初に、PETスキャン及びグルコース類似体を使用して、生体内でマクロファージ代謝及び免疫応答を可視化した[60]。
【0023】
L-アルギニン代謝は、マクロファージにおけるサイトカイン発現に重要な個別的な転換を示し、TAM腫瘍細胞相互作用を変更する別個の代謝経路を例示する[61]。古典的に活性化された(M1)マクロファージは、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)を支持する。iNOS経路は、細胞傷害性一酸化窒素(NO)を産生し、その結果、抗腫瘍挙動を示す。あるいは、活性化された(M2)マクロファージは、アルギナーゼ経路を支持し、進行性腫瘍細胞増殖に寄与するウレウム及びl-オルニチンを産生することが示されている[61、62]。
【0024】
代謝経路の直接的な操作は、マクロファージの分極を変更できる。グルコース代謝において役割を果たす炭水化物キナーゼ様タンパク質(CARKL)タンパク質は、マクロファージサイトカイン識別特性を変更するために使用されている[56、57]。CARKLがRNAiによってノックダウンされると、マクロファージは、M1様代謝経路(解糖に向かって傾斜され、酸素消費を低減させる代謝)を採用する傾向がある。CARKLが過剰発現されると、マクロファージは、M2様代謝(解糖流動の減少、及びより多くの酸素消費)を採用する[56]。マクロファージがLPS/TLR4係合を介してM1様の代謝状態を採用すると、CARKLレベルが低下し、NFκB経路によって制御される遺伝子が活性化され(TNF-α、IL-12、及びIL-6)、NADH:NAD+及びGSH:GSSSG複合体の濃度の増加により、細胞の酸化還元電位が増加する。M2様代謝状態の間、マクロファージは、CARKL及びSTAT6/IL-4(IL-10及びTGF-β)によって調節される遺伝子を上方制御する。
【0025】
肥満は、マクロファージの分極に更に影響を及ぼすことができる。肥満は、慢性炎症の状態、M2応答に向かってマクロファージを駆動するNKT細胞を活性化するためにIL4/STAT6経路を駆動する環境と関連付けられる。後期食事性肥満中に、マクロファージは脂肪組織に移行し、免疫細胞が脂肪組織のTH1又はTH2サイトカイン発現のレベルを変更し、M2表現型の傾向、場合によってはインスリン感受性の増加を引き起こす[63]。
【0026】
TAMSにおける代謝経路の標的化によるM1表現型傾向は、腫瘍の増殖及び転移を減少する代替的な手段を提供し得る。
【0027】
がんに対するマクロファージ免疫療法のアプローチ
がん免疫療法の役割は、免疫系を刺激してがん細胞を認識、拒絶、及び破壊することである。単球/マクロファージを用いたがん免疫療法は、マクロファージを炎症促進応答(M1)に向かって分極することを目的とし、したがって、マクロファージ及び他の免疫細胞が腫瘍を破壊することを可能にする。多数のサイトカイン及び細菌化合物は、生体外でこれを達成できるが、典型的には、副反応が生体内で非常に深刻である。重要なのは、患者の副反応が最小限又は簡単に管理される化合物を見つけることである。単球/マクロファージを使用する免疫療法は過去数十年に使用されており、新しいアプローチは毎年開発されている[64、65]。早期免疫療法は、より良好ながん療法のための良好な基盤が確立されており、免疫療法を用いて治療された患者における生存率が増加された[66]。
【0028】
がん免疫療法に対するいくつかのアプローチとしては、活性化マクロファージ及び他の免疫細胞を腫瘍部位に補充するサイトカイン又はケモカインの使用が含まれ、これにより、腫瘍部位の認識及び標的の破壊を可能にする[67、68]。IFN-α及びIFN-βは、細胞分化及びアポトーシスを誘導することによって腫瘍の進行を阻害することが示されている[69]。更に、IFN治療は抗増殖性であり、細胞周期におけるS期の期間を増加させることができる[70、71]。Zhang及び同僚らは、ヒト前立腺癌細胞を標的として、IFN-β遺伝子療法を使用してヌードマウスにおける研究を実施した。それらの結果は、アデノウイルス送達IFN-β遺伝子療法がマクロファージを伴い、増殖及び転移を抑制するのを助けることを示す[72]。
【0029】
マクロファージ阻害因子(MIF)は、がん免疫療法において使用されることができる別のサイトカインである。通常、MIFは、固形腫瘍において見られ、予後不良を示す。MIFは、活動的なマクロファージ機能を阻害し、M2表現型に向かってマクロファージを駆動し、これは腫瘍の増殖及び進行を補助することができる。Simpson、Templeton、及びCross(2012)は、MIFが、マクロファージ前駆体であるミエロイド系細胞の、M2表現型を発現するミエロイド系細胞の抑制集団への分化を誘導することを見出した[73]。MIFを標的化することにより、マクロファージのこの抑制集団を枯渇させ、増殖を阻害し、したがって腫瘍の増殖及び転移を制御することができた[73]。
【0030】
ケモカイン受容体2型、CCR2は、炎症部位への単球の補充にとって重要であり、腫瘍部位へのマクロファージの補充、血管形成、及び転移を防止する標的として示されている。Sanford及び同僚ら(2013)は、膵臓マウスモデルにおいて新規CCR2阻害剤(PF-04136309)を研究し、CCR2阻害剤が、単球/マクロファージの腫瘍部位への補充を枯渇させ、腫瘍の増殖及び転移を低減させ、抗腫瘍免疫を増加させたことを実証している[74]。Schmallらによる別の最近の研究は、10種類の異なるヒト肺癌と共培養されたマクロファージがCCR2発現を上方制御したことが示された。更に、これらは、CCR2アンタゴニストを用いて治療された肺マウスモデルにおいて腫瘍の増殖及び転移が減少したことを示した[75]。
【0031】
他の研究では、薬物を送達して腫瘍からM2マクロファージを枯渇させ、血管形成を停止させるリポソームが使用されている。高レベルのIL-1βを発現するがん細胞は、より速く増殖し、生体内でより多くの血管形成を誘導する。Kimura及び同僚らは、IL-1βを発現する腫瘍細胞に曝露されたマクロファージが、血管内皮増殖因子A(VEG-A)、IL-8、単球走化性タンパク質1などの高レベルの血管形成因子及びケモカインを産生し、腫瘍の増殖及び血管形成を促進することを見出した[76]。マクロファージを枯渇させるためにクロドロネートリポソームを使用すると、それらは、より少ないIL-1β産生腫瘍細胞が見られた。更に、がん細胞内でNF-κB及びAP-1転写因子を阻害することにより、腫瘍の増殖及び血管形成が減少されたことが見出された。これらの所見は、腫瘍部位を取り囲むマクロファージが、腫瘍の増殖及び血管形成の促進に関与し得ることを示唆し得る[76]。
【0032】
メチオニンエンケファリン(MENK)などの化合物は、生体内及び生体外で抗腫瘍特性を有する。MENKは、CD206及びアルギナーゼ-1(M2マーカー)を下方制御し、一方でCD64、MHC-II、及び一酸化窒素の産生(M1マーカー)を上方制御することにより、M2マクロファージをM1マクロファージに分極する能力を有する。更に、MENKは、TNF-αを上方制御し、IL-10を下方制御できる[77]。
【0033】
最近の研究では、M2マクロファージの潜在的な阻害剤としてビスホスホネートに焦点が当てられている。ビスホスホネートは、骨吸収などの骨格の合併症を予防し、転移性乳癌の患者を治療するために一般的に使用される[78]。ビスホスホネートは短期間で体内に留まると同時に、ビスホスホネートは、ヒドロキシアパタイトに対して高い親和性のために、破骨細胞、マクロファージと同じファミリーの細胞を標的とすることができる。ビスホスホネートが骨に結合すると、骨マトリックスは、エンドサイトーシスによってビスホスホネートを内部化する。一度細胞質に入ると、ビスホスホネートは、インテグリンのシグナル伝達とエンドソームの輸送を防ぐ事象であるタンパク質のプレニル化を阻害でき、それにより、細胞をアポトーシスさせる[69]。最近まで、ビスホスホネートが腫瘍関連マクロファージを標的とし得るかは不明であったが、Junankarらによる最近の研究では、マクロファージが食作用及び貪食作用により窒素含有ビスホスホネート化合物を取り込み、事象は腫瘍周囲の上皮細胞では発生しないことが示されている[79]。ビスホスホネートを使用して、強制的にTAMをアポトーシスに進めると、血管形成及び転移を減少させることができた。
【0034】
がん免疫療法への更なるアプローチとしては、免疫応答を誘発し得る生体材料の使用が含まれる。カチオン性ポリマーは、水に溶解されると反応するため、免疫療法において使用される。Chenらは、PEI、ポリリジン、カチオン性デキストラン、及びカチオン性ゼラチンを含むカチオン性ポリマーを使用して、強いTh1免疫応答を生成する[77]。これらは、CD4+細胞の増殖、及びM1マクロファージの典型的なIL-12の分泌を誘導することが更にできた[77]。Huang及び同僚らは、TLR4を標的化することにより、TAMが抗腫瘍応答を引き起こすように誘因する生体材料を使用した[80]。この研究は、TAMがM1表現型に分極し、IL-12を発現できたことを見出した。これらのカチオン性分子は、直接的な殺腫瘍性の活性を有し、マウスにおける腫瘍の減少を実証することが見出された[80]。
【0035】
TLR4
Toll様受容体4は、TLR4遺伝子によりコードされるヒトのタンパク質である。TLR4は、グラム陰性細菌上でリポ多糖(LPS)を検出し、したがって、危険の認識及び自然免疫系の活性化に根本的な役割を果たす(
図7)。それは、マクロファージがLPSによって誘導される際に、シグナル伝達を媒介するために、LY96(MD-2)及びCD14と協働する。TLR4の細胞質ドメインは、LPSの存在を検出する際に、M1マクロファージの活性化に関与する。これは、CARが標的タンパク質に結合する際に、単球/マクロファージの活性化を誘導するために、MOTO-CAR(すなわち、キメラ受容体)と結合される受容体の機能部分である。
【0036】
アダプタータンパク質MyD88及びTIRAPは、TLR4 Toll/インターロイキン-1受容体(IL-1R)(TIR)ドメインとの直接的な相互作用を介して、いくつかの及び場合によっては全ての経路の活性化に寄与する。しかしながら、経路の特定のサブセットの活性化に必要とされる追加のアダプターが存在し得、これは標的遺伝子の差異的な調節に寄与し得る。
【0037】
チミジンキナーゼ
ヒトチミジンキナーゼ1(TK1)は、腫瘍での過剰発現の状況下において大部分が研究されている、周知のヌクレオチドサルベージ経路の酵素である。当初TK1は、がん患者の血清(sTK)での発現により最初に一般化されたため、その診断及び予後の可能性は広範に研究されてきた。例えば、いくつかの研究では、多くの異なるがん患者におけるsTK1が、より進行した腫瘍を示す、より高いレベルのTK1を有するステージ上様式で上昇されることが実証されている[81]。
【0038】
他の研究では、TK1の予後の可能性が調査されている。このような研究の1つは、原発性乳房腫瘍におけるTK1レベルを使用して再発を予測することができることを実証する。他の興味深いTK1の予後研究は、患者が治療に応答した際にsTK1レベルの有意な減少を示した一方で、sTK1レベルは、それらの治療に応答したことを現わさない患者において上昇し続ける。sTK1レベルは再発前に上昇し始めることも知られており、いくつかの場合でのsTK1レベルは、「臨床症状の発症の1~6ヶ月前」に再発を予測できることも広く知られている。いくつかの他の研究では、がんの診断及び予後の指標としてTK1の豊富な可能性を確認する[82]。
【0039】
TK1の診断及び予後の可能性は十分に確立されているが、比較してTK1の治療の可能性は不明瞭さが残されている。HSV-TKが遺伝子治療に使用されており、PETイメージングではTK1を利用して増殖中のがん細胞を特定しているのは事実であるが、TK1免疫療法の可能性に取り組んでいる任意の研究である場合は、ほぼない。おそらくこれは、主にTK1が既知のサイトゾルタンパク質であるためである。最近では、TK1はがん細胞のみならず、複数の腫瘍種類の表面膜上にも発現されており、したがって、腫瘍免疫療法のための非常に実現可能な標的であることが発見されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本明細書に記載されるのは、キメラ受容体である。キメラ受容体は、細胞質ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞外ドメインと、を含む。実施形態において、細胞質ドメインは、活性化された際にマクロファージを分極する受容体の細胞質部分を含む。更なる実施形態において、この細胞質部分を含む野生型タンパク質は、キメラ受容体の細胞外ドメインを含まない(例えば、
図21を参照されたい)。実施形態において、キメラ受容体の細胞外ドメインに対するリガンドの結合が、キメラ受容体の細胞内部分を活性化する(例えば、
図22を参照されたい)。キメラ受容体の細胞内部分の活性化は、マクロファージをM1又はM2マクロファージに分極し得る(例えば、
図23、及び
図24(A)、及び
図25を参照されたい)。
【課題を解決するための手段】
【0041】
特定の実施形態において、細胞外ドメインは、リガンドと特異的に結合する抗体又はその断片を含み得る。実施形態において、キメラ受容体は、リンカーを含み得る。実施形態において、キメラ受容体は、ヒンジ領域を含み得る。
【0042】
更なる実施形態は、キメラ受容体又はキメラ受容体をコードする核酸を含む細胞を含む。
【0043】
実施形態は、キメラ受容体を含むマクロファージを、キメラ受容体の細胞外ドメインのリガンドと接触させることと、リガンドをキメラ受容体の細胞外ドメインと結合させることとによって、マクロファージを分極する方法を含む。キメラ受容体の細胞外ドメインに対するリガンドの結合は、細胞質部分を活性化し、細胞質部分の活性化が、マクロファージを分極する。
【0044】
本開示のこれら及び他の態様は、本明細書に含まれる教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1A】キメラ受容体TKs1-MOTO1における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図1B】TK1-MOTO1の配列(配列番号35)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~313はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸314~496はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図2A】キメラ受容体TK1-MOTO2における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図2B】TK1-MOTO2の配列(配列番号36)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~295はLRRの短いヒンジであり、アミノ酸296~318はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸319~500はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図3A】キメラ受容体TK1-MOTO3における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図3B】TK1-MOTO3の配列(配列番号37)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~345はLRRの長いヒンジであり、アミノ酸346~368はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸269~501はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図4A】キメラ受容体TK1-MOTO4における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図4B】TK1-MOTO4の配列(配列番号38)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~302はIgG4の短いヒンジであり、アミノ酸303~325はTLR4膜貫通ドメインであり、アミノ酸326~508はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図5A】キメラ受容体TK1-MOTO5における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図5B】TK1-MOTO5の配列(配列番号39)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~409はIgG 119アミノ酸媒介ヒンジであり、アミノ酸410~432はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸433~615はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図6A】キメラ受容体TK1-MOTO6における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図6B】TK1-MOTO6の配列(配列番号40)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~518はIgG4の長いヒンジであり、アミノ酸519~541はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸542~724はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図7A】キメラ受容体TK1-MOTO7における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図7B】TK1-MOTO7の配列(配列番号41)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はC339S及びC356Sで変異されたCD8のヒンジであり、アミノ酸359~381はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸382~564はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図8A】キメラ受容体TK1-MOTO8における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図8B】TK1-MOTO8の配列(配列番号42)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はCD8ヒンジの一部であり、アミノ酸359~381はTLR4膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸382~564はTLR4サイトゾルドメインである。
【
図9A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-1における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図9B】TK1-MO-FCGRA-CAR-1の配列(配列番号43)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~311はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸312~336はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸337~378はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図10A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-2における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図10B】TK1-MO-FCGRA-CAR-2の配列(配列番号44)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はC339S及びC356Sで変異されたCD8のヒンジであり、アミノ酸359~379はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸380~404はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸405~446はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図11A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-3における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図11B】TK1-MO-FCGRA-CAR-3の配列(配列番号45)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はCD8ヒンジの一部であり、アミノ酸359~379はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸380~404はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸405~446はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図12A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-4における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図12B】TK1-MO-FCGRA-CAR-4の配列(配列番号46)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~303はIgG4の短いヒンジであり、アミノ酸304~324はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸325~349はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸350~391はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図13A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-5における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図13B】TK1-MO-FCGRA-CAR-5の配列(配列番号47)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~409はIgG4の119アミノ酸ヒンジであり、アミノ酸410~430はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸431~455はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸456~497はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図14A】キメラ受容体TK1-MO-FCGRA-CAR-6における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図14B】TK1-MO-FCGRA-CAR-6の配列(配列番号48)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~519はIgG4の長いヒンジであり、アミノ酸520~540はFCGR3A膜貫通ドメインであり、アミノ酸541~565はFCGR3Aサイトゾルドメインであり、及びアミノ酸566~607はFCER1Gサイトゾルドメインである。
【
図15A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-1における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図15B】TK1-MO-FCG2A-CAR-1の配列(配列番号49)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~312はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸313~390はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図16A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-2における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図16B】TK1-MO-FCG2A-CAR-2の配列(配列番号50)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はC339S及びC356Sで変異されたCD8のヒンジであり、アミノ酸359~380はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸381~458はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図17A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-3における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図17B】TK1-MO-FCG2A-CAR-3の配列(配列番号51)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~358はCD8のヒンジの一部であり、アミノ酸359~380はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸381~458はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図18A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-4における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図18B】TK1-MO-FCG2A-CAR-4の配列(配列番号52)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~303はIgG4の短いヒンジであり、アミノ酸304~325はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸326~403はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図19A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-5における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図19B】TK1-MO-FCG2A-CAR-5の配列(配列番号53)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~409はIgG4の119アミノ酸ヒンジであり、アミノ酸410~431はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸432~509はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図20A】キメラ受容体TK1-MO-FCG2A-CAR-6における構成分子の整列のブロック図を示す。
【
図20B】TK1-MO-FCG2A-CAR-6の配列(配列番号54)を示す。アミノ酸1~18はシグナルペプチド(SP)であり、アミノ酸19~275は抗TK1 ScFvであり、アミノ酸276~290はGSリンカーであり、アミノ酸291~519はIgG4の長いヒンジであり、アミノ酸520~541はFCGR2A膜貫通ドメインであり、アミノ酸542~619はFCGR2Aサイトゾルドメインである。
【
図22】キメラ受容体を発現するマクロファージを示す概略図である。示されるように、キメラ受容体は、Toll様受容体のサイトゾルドメイン、膜貫通ドメイン、及びリガンドに特異的なScFvを含む。矢印は、ScFvがリガンドと結合する際にマクロファージを分極させるシグナル伝達を示す。
【
図23】キメラ受容体を構築するために利用され得る異なるマクロファージ受容体を示す概略図である。
【
図24A】細胞活性化につながるFcガンマ受容体IIIシグナル伝達カスケードを示す概略図である。
【
図24B】カルシウム流動及び増殖の阻害につながるFcガンマ受容体IIIシグナル伝達カスケードを示す概略図である。
【
図24C】アポトーシスにつながるFcガンマ受容体IIIシグナル伝達カスケードを示す概略図である。
【
図25】Toll様受容体シグナル伝達カスケードを示す概略図である。
【
図26】発現された抗体断片が目的のリガンドと結合することを確認するフローサイトメトリーを示すグラフを提示する。
【
図27】キメラ受容体を用いた形質導入後のマクロファージにおける表現型の変化を示す2つの画像を提示する。
【
図28】単球におけるキメラ受容体の発現を確認する2つの画像を提示する。
【
図29】dTomatoの発現を実証する蛍光活性化セルソーティングの3つの散布図を示す。左端のプロットは、細胞の0.58%のみが、dTomatoの発現を表すであろう蛍光を示す対照を示す。右2つのプロットは、形質導入後に27.1パーセントの形質導入効率を示す。
【
図30】キメラ受容体を用いて形質導入されたマクロファージにおける色素(Alexa 647)の保持、並びにCD80、CD163、CD206、及びCD14の発現を実証する蛍光活性化セルソーティングの6つの散布図を提示する。
【
図31】キメラ受容体を用いて形質導入されたマクロファージにおけるCD80、CD163、CD206、及びCD14の相対的な発現レベルを示すヒストグラムを提示する。
【
図32】肺癌細胞株(NCI-H460)において検出、攻撃、及び細胞死を誘導するキメラ受容体を発現する形質導入されたマクロファージの6つの画像を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書に記載されるのは、キメラ受容体である。キメラ受容体は、細胞質ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞外ドメインと、を含む。実施形態において、細胞質ドメインは、活性化された際にマクロファージを分極する受容体の細胞質部分を含む。更なる実施形態において、この細胞質部分を含む野生型タンパク質は、キメラ受容体の細胞外ドメインを含まない。実施形態において、キメラ受容体の細胞外ドメインに対するリガンドの結合が、キメラ受容体の細胞内部分を活性化する。キメラ受容体の細胞内部分の活性化は、マクロファージをM1又はM2マクロファージに分極し得る。
【0047】
特定の実施形態において、キメラ受容体の細胞質部分は、toll様受容体、ミエロイド系分化一次応答タンパク質(MYD88)(配列番号19)、toll様受容体3(TLR3)(配列番号1)、toll様受容体4(TLR4)(配列番号3)、toll様受容体7(TLR7)(配列番号7)、toll様受容体8(TLR8)(配列番号9)、toll様受容体9(TLR9)(配列番号11)、ミエリン及びリンパ球タンパク質(MAL)(配列番号21)、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)(配列番号23)、低親和性免疫グロブリンガンマFc領域受容体III-A(FCGR3A)(配列番号15)、低親和性免疫グロブリンガンマFc領域受容体II-a(FCGR2A)(配列番号13)、高親和性免疫グロブリンイプシロン受容体サブユニットガンマ(FCER1G)(配列番号19)由来の細胞質ドメイン、並びに前述のうちのいずれか1つの細胞質ドメインと少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み得る。特定の実施形態において、細胞質部分は、toll様受容体、FCGR3A、IL-1受容体、又はIFN-ガンマ受容体由来の細胞質ドメインではない。実施形において、サイトゾル部分は、活性化されるとマクロファージの分極をもたらすであろう任意のポリペプチドであり得る。
【0048】
更なる実施形態において、細胞外ドメインと結合するリガンドの例は、チミジンキナーゼ(TK1)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、ムチン-16(MUC-16)、上皮成長因子受容体vIII(EGFRvIII)、メソセリン、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、がん胎児性抗原(CEA)、B細胞成熟抗原(BCMA)、グリピカン3(GPC3)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、エリスロポエチン産生肝細胞癌A2(EphA2)、ナチュラルキラーグループ2D(NKG2D)リガンド、ジシアロガングリオシド2(GD2)、CD19、CD20、CD30、CD33、CD123、CD133、CD138、及びCD171であり得るが、これらに限定されない。特定の実施形態において、リガンドはTK1又はHPRTではない。
【0049】
キメラ受容体の細胞外ドメインを生成するように改造され得る抗体は、当該技術分野において十分に周知であり、市販されている。市販の抗体の例としては、抗HGPRT、clone 13H11.1(EMD Millipore)、抗ROR1(ab135669)(Abcam)、抗MUC1[EP1024Y](ab45167)(Abcam)、抗MUC16[X75](ab1107)(Abcam)、抗EGFRvIII[L8A4](Absolute antibody)、抗Mesothelin[EPR2685(2)](ab134109)(Abcam)、HER2[3B5](ab16901)(Abcam)、抗CEA(LS-C84299-1000)(LifeSpan BioSciences)、抗BCMA(ab5972)(Abcam)、抗Glypican 3[9C2](ab129381)(Abcam)、抗FAP(ab53066)(Abcam)、抗EphA2[RM-0051-8F21](ab73254)(Abcam)、抗GD2(LS-C546315)(LifeSpan BioSciences)、抗CD19[2E2B6B10](ab31947)(Abcam)、抗CD20[EP459Y](ab78237)(Abcam)、抗CD30[EPR4102](ab134080)(Abcam)、抗CD33[SP266](ab199432)(Abcam)、抗CD123(ab53698)(Abcam)、抗CD133(BioLegend)、抗CD123(1A3H4)ab181789(Abcam)、及び抗CD171(L1.1)(Invitrogen antibodies)が含まれるが、これらに限定されない。既知の抗体からのScFvなどの抗体断片を作製するための技術は、当該技術分野において慣例である。更に、かかる断片をコードする、及びキメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部としてそれらを組換え的に含む配列を生成することもまた、当該技術分野において慣例である。
【0050】
特定の実施形態において、細胞外ドメインは、リガンドと特異的に結合する抗体又はその断片を含み得る。抗体及びその断片の例としては、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、Fab断片、F(ab’)2断片、一価抗体、ScFv断片、scRv-Fc断片、IgNAR、hcIgG、VhH抗体、ナノボディ、及びアルファボディが含まれるが、これらに限定されない。更なる実施形態において、細胞外ドメインは、二量体化ドメイン、受容体、結合ポケットなどを含むがこれらに限定されない、リガンドの特異的結合を可能にする任意のアミノ酸配列を含み得る。
【0051】
実施形態において、キメラ受容体は、リンカーを含み得る。限定されないが、リンカーは、キメラ受容体の細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に配置され得る。限定されないが、リンカーは、Gリンカー、GSリンカー、G4Sリンカー、EAAAKリンカー、PAPAPリンカー、又は(Ala-Pro)nリンカーであり得る。リンカーの他の例は、当該技術分野において十分に周知である。
【0052】
実施形態において、キメラ受容体は、ヒンジ領域を含み得る。限定されないが、ヒンジ領域は、キメラ受容体の細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置され得る。更なる実施形態において、ヒンジ領域は、リンカーと膜貫通ドメインとの間に配置され得る。限定されないが、リンカーは、ロイシンリッチリピート(LRR)、又はtoll様受容体、IgG、IgG4、CD8m、若しくはFcγIIIa-hingのヒンジ領域であり得る。実施形態において、ヒンジ領域内のシステインは、セリンで交換され得る。ヒンジ領域の他の例は、当該技術分野において周知である。
【0053】
本明細書に記載のキメラ受容体は、配列番号1、3、4、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25~34のうちの1つ以上、それらのうちのいずれかの断片、並びに/又は配列番号1、3、4、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25~34のうちの少なくとも1つと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、若しくはその断片を含み得る。キメラ受容体の例としては、配列番号35~54、又はその相同物若しくは断片が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号35~54のうちの少なくとも1つと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0054】
実施形態は、上述されるキメラ受容体をコードする核酸配列を含む核酸配列を含む。かかる核酸の例としては、配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24のうちの1つ以上、それらのうちのいずれかの断片、並びに/又は配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24のうちの少なくとも1つと少なくとも90%の配列同一性を有する核酸、若しくはその断片が含まれ得る。更なる例としては、配列番号24~54のうちの1つ以上をコードする核酸、及びそれらのうちのいずれかの断片が含まれる。
【0055】
実施形態において、キメラ受容体は、グリコシル化、ペグ化、及び/又は他の方法で翻訳後に修飾され得る。更に、核酸配列は、ベクターの一部であり得る。例として、ベクターは、プラスミド、ファージ、コスミド、人工染色体、ウイルスベクター、AAVベクター、アデノウイルスベクター、又はレンチウイルスベクターであり得る。特定の実施形態において、キメラ受容体をコードする核酸は、プロモーター及び/又は他の制御配列(例えば、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、遺伝子座制御領域、シス作用領域など)と作動可能に連結され得る。
【0056】
更なる実施形態としては、キメラ受容体又はキメラ受容体をコードする核酸を含む細胞が含まれる。かかる細胞の非限定的な例としては、ミエロイド系細胞、ミエロイド系前駆細胞、単球、好中球、好塩基球、好酸球、巨核球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、白血球、リンパ球、樹状細胞、及びマクロファージが含まれる。
【0057】
実施形態は、キメラ受容体を含むマクロファージを、キメラ受容体の細胞外ドメインのリガンドと接触させることと、リガンドをキメラ受容体の細胞外ドメインと結合させることとによって、マクロファージを分極する方法を含む。キメラ受容体の細胞外ドメインに対するリガンドの結合は、細胞質部分を活性化し、細胞質部分の活性化が、マクロファージを分極する。
【0058】
本開示に従って、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は核酸配列は、単量体及び二量体形態の二本鎖若しくは一本鎖のDNA若しくはRNA、並びにDNA若しくはRNAの転写産物の両方を意味するものとして理解されるであろう。
【0059】
本開示の態様は、例えば、イオン交換クロマトグラフィーなどの分離方法から開始され、分子サイズに基づく除外、親和性、若しくは代替的に異なる溶媒への溶解性に基づく分取技術によって単離、精製、若しくは部分精製することが可能とされており、又は増幅、クローニング、サブクローニングなどの遺伝子工学の方法から開始され、配列をベクターによって運ぶことが可能である、ヌクレオチド配列に関する。
【0060】
ヌクレオチド配列断片は、任意のヌクレオチド断片を示すものとして理解され得、非限定的な例として、それが起源となる配列の少なくとも8、12、20、25、50、75、100、200、300、400、500、1000以上の連続的なヌクレオチドの長さが含まれ得る。
【0061】
ヌクレオチド配列の特定の断片は、対応する野生型配列とのアライメント及び比較の後に、少なくとも1つ少ないヌクレオチド又は塩基を有する任意のヌクレオチド断片を示すものとして理解されるであろう。
【0062】
本明細書で使用される相同ヌクレオチド配列とは、ヌクレオチド配列の塩基と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、又は99.7%の同一性の割合を有するヌクレオチド配列を意味すると理解され、この割合は純粋に統計的であり、2つのヌクレオチド配列間の差を無作為、及びその全長にわたって分布させることが可能である。
【0063】
本開示の概念における特定の相同ヌクレオチド配列とは、上記で定義されたような特定の断片の少なくとも1つの配列を有する相同配列を意味するものとして理解される。「特定の」相同配列とは、例えば、ゲノム配列又はゲノム配列のバリアントを表すその断片の配列に対応する配列を含むことができる。したがって、これらの特定の相同配列は、配列内の変異に関連する変化に対応することができ、特に少なくとも1つのヌクレオチドの短縮、置換、欠失、及び/又は追加に対応することができる。同様に、相同配列は、遺伝子コードの縮重に関連する変化に対応し得る。
【0064】
「配列相同性の程度又は割合」という用語は、本出願で定義される「最適なアライメント後の2つの配列間の配列同一性の程度又は割合」を指す。
【0065】
以下に記載されるように、2つのヌクレオチド配列は、2つの配列内のアミノ酸又はヌクレオチド残基の配列が最大一致のためにアライメントされる場合に、「同一」であると言われる。典型的には、2つ(又はそれ以上)のペプチド又はポリヌクレオチド間の配列比較は、セグメント若しくは「比較ウィンドウ」で最適にアライメントされた2つの配列の配列を比較して、配列類似性の局所領域を特定及び比較することによって実行される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith及びWatermanの局所相同性アルゴリズム、Ad.App.Math 2:482(1981)、Neddleman及びWunschの相同性アライメントアルゴリズム、J.Mol.Biol.48:443(1970)、Pearson及びLipmanの類似法の検索、Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444(1988)、これらのアルゴリズムの電子化された実装(Wisconsin Genetics Software Package内のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,Wis.)、又は目視的検閲によって実行され得る。
【0066】
「配列同一性の割合」(又は同一性の程度)は、比較ウィンドウで最適にアライメントされた2つの配列を比較することにより決定され、比較ウィンドウにおけるペプチド又はポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために参照配列(追加又は欠失を含まない)と比較して追加又は欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。割合は、同一のアミノ酸残基又は核酸塩基が両方の配列に出現する位置の数を決定して一致する位置の数を求め、一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、結果に100を掛けて、配列同一性の割合を求める。
【0067】
上記の配列同一性の定義は、当業者によって使用される定義である。それ自体の定義は、任意のアルゴリズムの助けを必要とせず、アルゴリズムは、配列同一性の計算ではなく、配列の最適なアライメントを達成するためにのみ役立つ。
【0068】
上記の定義から、2つの比較された配列間の配列同一性の値は、最良又は最適なアライメントで得られた値に対応する、明確に定義された1つの値のみが存在することになる。
【0069】
BLAST N又はBLAST P「BLAST2配列」において、worldwideweb.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlのウェブサイトにおいて入手可能なソフトウェアであり、発明者及び一般的に2つの配列間の同一性を比較及び決定するために当業者によって通常使用される場合、比較される配列の長さに依存するギャップコストはソフトウェアによって直接的に選択される(即ち、長さが>85の置換マトリックスBLOSUM-62の場合は11.2)。
【0070】
本明細書で使用される配列の相補的ヌクレオチド配列とは、ヌクレオチドが配列のヌクレオチドと相補的であり、その方向が逆である任意のDNA(アンチセンス配列)を意味するものとして理解される。
【0071】
本明細書で使用されるヌクレオチド配列を用いたストリンジェンシーの条件下でのハイブリダイゼーションは、相補的なDNAの2つの断片間のハイブリダイゼーションの維持を可能にするような方法で選択される温度及びイオン強度の条件下でのハイブリダイゼーションを意味するものとして理解される。
【0072】
例示として、上記のヌクレオチド断片を定義することを目的としたハイブリダイゼーションのステップの非常にストリンジェントな条件は、以下において有利である。
【0073】
ハイブリダイゼーションは、SSC緩衝液、0.15M NaCl及び0.05Mクエン酸Naに対応する1×SSCの存在下で、65℃の特恵な温度で行われる。洗浄ステップは、例えば、2×SSC、周囲温度、その後2×SSCで2回洗浄、65℃で0.5%SDS;2×0.5×SSC、0.5%SDS;65℃でそれぞれ10分間であり得る。
【0074】
例えば、2×SSCバッファーの存在下で42℃の温度を使用する中程度のストリンジェンシー、又は2×SSCバッファーの存在下で37℃の温度の低度のストリンジェンシーの条件は、それぞれ、2つの配列間のハイブリダイゼーションに対して、全体的に低度に有意な相補性が必要である。
【0075】
およそ350塩基のサイズを有するポリヌクレオチドについて上述されたストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件は、Sambrook et al.,1989の教示に従って、当業者によってより大きい又はより小さいサイズのオリゴヌクレオチドに適合されるであろう。
【0076】
本明細書に記載されるヌクレオチド配列の中には、相同配列を得ることを可能にする方法においてプライマー又はプローブとして使用することができるものがあり、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸クローニング、及びシーケンシングなどのこれらの方法は、当業者に十分に周知である。
【0077】
ヌクレオチド配列の中には、特定の核酸、その断片のうちの1つか、又は以下に定義されるようなそれらのバリアントのうちの1つの存在を決定することを可能にする方法において、プライマー又はプローブとして使用できるものがある。実施形態において、ヌクレオチド配列は、膜貫通ドメイン、サイトゾルドメイン、又はその一部をコードする配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24の断片を含み得る。更なる断片としては、配列番号26~34のうちの1つ以上をコードするヌクレオチドなどのリンカー、ヒンジ、又はその断片をコードするヌクレオチド配列が含まれ得る。更なる断片としては、配列番号35~54のうちの1つ以上をコードするヌクレオチド配列の断片が含まれ得る。
【0078】
ヌクレオチド配列の断片は、例えば、PCRなどの特異的な増幅によって、又はヌクレオチド配列の適切な制限酵素による消化後に得られることが出でき、特定のこれらの方法は、Sambrook et al.,1989の研究に記載される。更に、かかる断片は、GenScript(登録商標)などの企業から入手可能な遺伝子合成標準技術を用いて得ることができ得る。かかる代表的な断片は、当業者に十分に周知の方法に従って、化学合成によって同様に得ることができる。
【0079】
修飾されたヌクレオチド配列は、当業者に十分に周知の技術に従って変異原性により得られた野生型配列に関する修飾、例えば、特にポリペプチドの発現速度の調節若しくは複製サイクルの調節につながるポリペプチド発現の制御及び/又はプロモーター配列における変異を含む、任意のヌクレオチド配列を意味することが理解されるであろう。
【0080】
修飾されたヌクレオチド配列は、同様に、以下に定義されるような修飾されたポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を意味するものとして理解される。
【0081】
キメラ受容体をコードするヌクレオチド配列が開示され、ヌクレオチド配列は、配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24、又はその断片のうちの1つから選択されるヌクレオチド配列を含む。かかる断片は、膜貫通ドメイン、又はサイトゾルドメイン、又はそれらの一部などの特定のドメインをコードし得る。更なるキメラ受容体をコードするヌクレオチド配列としては、配列番号26~34のうちの1つ以上をコードするヌクレオチドなどのリンカー、ヒンジ、又はその断片をコードするヌクレオチド配列が含まれ得る。キメラ受容体をコードするヌクレオチド配列は更に、配列番号35~54、又はその断片のうちの1つ以上をコードするヌクレオチド配列であり得る。
【0082】
同様に、実施形態は、a)配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つ、配列番号25~54のうちの少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列、若しくはその断片のうちの1つ、b)a)で定義されるような配列の特定の断片のヌクレオチド配列、c)a)又はb)で定義されるような配列と少なくとも80%の同一性を有する相同ヌクレオチド配列、d)a)、b)又はc)で定義されるような配列に対応する相補的なヌクレオチド配列若しくはRNAの配列、並びにe)a)、b)、c)、又はd)で定義されるような配列によって修飾されたヌクレオチド配列以下から選択されるヌクレオチド配列を含むことを特徴とするヌクレオチド配列に関する。
【0083】
ヌクレオチド配列の中には、配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24のうちのヌクレオチド配列、配列番号25~54のうちの少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列、又はその断片、並びに配列番号2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24の配列のうちの少なくとも1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、若しくは99.7%の同一性の相同性を有する任意のヌクレオチド配列、及び配列番号25~54のうちの少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列、又はその断片がある。相同配列は、例えば、野生型配列に対応する配列を含むことができる。同様に、これらの特定の相同配列は、野生型配列内の変異に関連する変化に対応することができ、特に少なくとも1つのヌクレオチドの短縮、置換、欠失、及び/又は追加に対応することができる。当業者には明らかであるように、かかる相同体は、標準的な技術及びBLASTなどの公的に利用可能なコンピュータプログラムを使用して容易に創造及び同定される。したがって、上記で参照された各相同体は、本明細書で明らかにされ、十分に記載されていると評価されるべきである。
【0084】
実施形態は、本明細書に記載されるヌクレオチド配列によってコード化されたキメラ受容体、又はその配列が断片によって表されるその断片を含む。ポリペプチドに対応するアミノ酸配列は、配列番号35~54の配列のうちの少なくとも1つの、3つの読み取り可能なフレームのうちの1つに従ってコード化されることができる。
【0085】
同様に、実施形態は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25~54のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つ、又はその断片のうちの1つから選択されるポリペプチドを含むことを特徴とするキメラ受容体に関する。
【0086】
ポリペプチドの中には、実施形態に従って、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25~54のうちのアミノ酸配列のポリペプチド、若しくはその断片、又は配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25~54の配列のうちの少なくとも1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、若しくは99.7%の同一性の相同性を有するその他のポリペプチド、若しくはその断片がある。当業者には明らかであるように、かかる相同体は、標準的な技術及びBLASTなどの公的に利用可能なコンピュータプログラムを使用して容易に創造及び同定される。したがって、上記で参照された各相同体は、本明細書で明らかにされ、十分に記載されていると評価されるべきである。
【0087】
実施形態はまた、a)アミノ酸配列のポリペプチドの少なくとも5つのアミノ酸の特定の断片、b)a)で定義されるようなポリペプチドに相同なポリペプチド、c)a)又はb)で定義されるようなポリペプチドの特定の生物学的に活性な断片、及びd)a)、b)又はc)で定義されるようなポリペプチドによって修飾されたポリペプチドから選択されるポリペプチドを含むことを特徴とするポリペプチドに関する。
【0088】
本明細書において、ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質という用語は、互換性がある。
【0089】
実施形態において、キメラ受容体は、グリコシル化、ペグ化、及び/又は他の方法で翻訳後修飾され得る。更なる実施形態において、グリコシル化、ペグ化、並びに/又は他の翻訳後修飾は、生体内若しくは生体外で生じ得、及び/若しくは化学技術を使用して実行され得る。更なる実施形態において、任意のグリコシル化、ペグ化、及び/又は他の翻訳後修飾は、N-連結型若しくはO-連結型であり得る。
【0090】
実施形態において、キメラ受容体のうちのいずれか1つは酵素的又は機能的に活性であり得、細胞外ドメインがリガンドによって結合されると、シグナルが変換されてマクロファージを分極する。
【0091】
本明細書で使用される「分極されたマクロファージ」とは、M1又はM2マクロファージ表現型と相関するマクロファージである。M1分極されたマクロファージは、IL-12及びIL-23を分泌する。M1に分極されたマクロファージの決定は、標準的なサイトカインアッセイを使用してIL-12及び/又はIL-23の発現を測定し、その発現を新たに分化した非分極マクロファージによる発現と比較することによって実行され得る。あるいは、この決定は、細胞がCD14+、CD80+、CD206+、及びCDCD163-であるかを決定することによって実行され得る。M2分極されたマクロファージは、IL-10を分泌する。M2に分極されたマクロファージの決定は、標準的なサイトカインアッセイを使用してIL-10の発現を測定し、その発現を新たに分化した非分極マクロファージによる発現と比較することによって実行され得る。あるいは、この決定は、細胞がCD14+、CD80-、CD206+、及びCDCD163+であるかを決定することによって実行され得る。
【0092】
本開示の態様は、遺伝子組換え、又は化学合成により得られたキメラ受容体に関してであり、したがって以下に説明されるように、それらが非天然アミノ酸を含み得る。
【0093】
実施形態に従って「ポリペプチド断片」は、少なくとも5つの連続的なアミノ酸、好ましくは10個の連続的なアミノ酸、又は15個の連続的なアミノ酸を含むポリペプチドを示すものとして理解される。
【0094】
本明細書では、特定のポリペプチド断片は、ヌクレオチド配列の特定の断片によってコード化される連続的なポリペプチド断片を示すものとして理解される。
【0095】
「相同ポリペプチド」は、天然のポリペプチドに関して、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、追加、若しくは置換、切断、伸長、キメラ融合、及び/又は変異などの特定の修飾を有するポリペプチドを示すものとして理解されるであろう。相同ポリペプチドの中では、そのアミノ酸配列が、本明細書に記載されるポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも80%又は90%の相同性を有することが好ましい。
【0096】
「特定の相同ポリペプチド」は、上記で定義されるような相同ポリペプチドを示し、本明細書に記載されるポリペプチドポリペプチドの特定の断片を有するものとして理解されるであろう。
【0097】
置換の場合、1つ以上の連続的又は非連続的なアミノ酸は、「同等の」アミノ酸で交換される。本明細書では、「同等の」アミノ酸という表現は、対応するペプチドの生物学的活性を本質的に変更することなく、基本構造のアミノ酸の1つで置換されることが可能な任意のアミノ酸を示すことを目的とし、以下のように定義される。当業者には明らかであるように、かかる置換は、標準的な分子生物学技術及びBLASTなどの公的に利用可能なコンピュータプログラムを使用して容易に創造及び同定される。したがって、上記で参照された各置換は、本明細書で明らかにされ、十分に記載されていると評価されるべきである。
【0098】
これらの等価なアミノ酸は、それらが置換するアミノ酸との構造的相同性に応じて、又は実行可能な異なるポリペプチド間の生物学的活性の比較試験の結果に応じて決定することができる。
【0099】
非限定的な例として、対応する修飾されたポリペプチドの生物学的活性の広範な修飾を生じさせることなく実行できる置換の可能性が言及され、例えば、バリン又はイソロイシンによるロイシンの交換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の交換、アスパラギンによるグルタミンの交換、リジンによるアルギニンの交換などが自然に逆置換される同じ条件下で想定される。
【0100】
更なる実施形態において、置換は、同様に同定された酵素活性を有する他のタンパク質間で保存されていないアミノ酸における置換に限定される。例えば、当業者は、類似の生物において同じ機能のタンパク質を整列させ、どのアミノ酸がその機能のタンパク質間で一般的に保存されているかを決定し得る。かかるアライメントを生成するために使用され得るプログラムの一例は、NCBIによって提供されるデータベースと併せてwordlwideweb.charite.de/bioinf/strap/である。
【0101】
したがって、一実施形態に従って、置換又は変異は、その機能のタンパク質間で一般的に保存されている位置で行われ得る。更なる実施形態において、核酸配列は、それらがコードするアミノ酸が変更されないように変異若しくは置換され得(退化する置換及び/又は変異)、及び/又は任意の結果として生じるアミノ酸置換若しくは変異が、その機能のタンパク質間で一般的に保存される位置で行われるように、変異若しくは置換され得る。
【0102】
同様に、特定の相同ポリペプチドは、上記で定義されるような特定の相同ヌクレオチド配列によってコード化されるポリペプチドに対応し、したがって、本定義において、特に少なくとも1つのアミノ酸残基の切断、置換、欠失、及び/又は追加に対応する野生型配列において存在できる、変異型若しくはバリアント体と対応するポリペプチドを含む。
【0103】
本明細書で使用される「ポリペプチドの特定の生物学的に活性な断片」は、特に、本明細書に記載されるポリペプチドの特徴の少なくとも1つを有する、上記で定義されるような特定のポリペプチド断片を示すものとして理解されるであろう。特定の実施形態におけるペプチドは、活性化されるとマクロファージを分極するキメラ抗原受容体として挙動することが可能である。
【0104】
本明細書で使用されるポリペプチドの「修飾されたポリペプチド」とは、野生型配列に関して少なくとも1つの修飾を有する、以下に記載されるであろう遺伝子組換え又は化学合成によって得られるポリペプチドを示すものとして理解される。かかる修飾は、本明細書に記載されるポリペプチドの特異性及び/若しくは活性の起源、又は構造的適合、局在化、及び膜挿入の能力の起源のアミノ酸を担うことができ得るか、又はでき得ない。したがって、同等の、増加される、又は低減される活性、及び同等、より制限される、又はより広範な特異性のポリペプチドを作製することが可能となるであろう。修飾されたポリペプチドの中で、最大5つ以上のアミノ酸が修飾され、N-若しくはC-末端で切断され、又は更に欠失若しくは追加されることができるポリペプチドを言及する必要がある。
【0105】
真核生物又は原核生物の調整の実証を可能にする方法は、当業者に十分に周知である。同様に、例えば、以下に記載されるようなベクターを介して、調整のために修飾されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を使用することが可能であろうことが十分に理解される。
【0106】
前述の修飾されたポリペプチドは、モデル、細胞培養又は微生物でそれらを試験する前に、ポリペプチドの一部を体系的に変化させて、例えば、最も活性が高い又は求められる特性を有する化合物を選択することが可能であるコンビナトリアルケミストリーを使用することによって得られることができる。
【0107】
同様に、化学合成は、非天然アミノ酸又は非ペプチド結合を使用することが可能であるという利点を有する。
【0108】
したがって、ポリペプチドの寿命を改善するために、例えば、D型の非天然アミノ酸、又は例えば、アミノ酸類似体、特に硫黄含有型を使用することは重要であり得る。
【0109】
最後に、ポリペプチドの構造、その特異的又は修飾された相同形態を、ポリペプチド型又はその他の化学構造に組み込むことが可能であろう。したがって、プロテアーゼにより認識されないN-及びC-末端化合物を提供することは重要であり得る。
【0110】
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、同様に本明細書に開示される。
【0111】
同様に、実施形態は、配列が本明細書に記載されるヌクレオチド配列から選択されることを特徴とする、プライマー又はプローブとして利用可能なヌクレオチド配列に関する。
【0112】
同様に、様々な実施形態は、特に以下に記載されるような当業者に十分に周知である手順による天然のポリペプチドからの精製、遺伝子組換え、又は化学合成により得られることが可能なヌクレオチド配列によりコード化されるキメラ受容体を含む特定のポリペプチドに関連することは十分に理解される。同様に、ヌクレオチド配列によってコード化される特定のポリペプチドに対する標識化若しくは非標識化のモノ又はポリクローナル抗体が更に本開示によって包括される。
【0113】
実施形態は更に、核酸配列の検出及び/又は増幅のためのプライマー若しくはプローブとしてのヌクレオチド配列の使用に関する。
【0114】
したがって、実施形態に従ってヌクレオチド配列は、特にPCR技術(ポリメラーゼ連鎖反応)によってヌクレオチド配列を増幅するために使用されることができる(Erlich,1989、Innis et al.,1990、Rolfs et al.,1991、及びWhite et al.,1997)。
【0115】
これらのオリゴデオキシリボヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチドプライマーは、有利には、少なくとも8ヌクレオチド、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さを有する。
【0116】
標的核酸の他の増幅技術は、PCRの代替として有利に利用されることができる。
【0117】
本明細書に記載されるヌクレオチド配列、特にプライマーは、標的核酸の増幅の他の手順、例えば、1989年にKwohらによって記載されたTAS技術(転写系増幅システム)、1990年にGuatelliらによって記載された3SR技術(自家持続配列複製法(Self-Sustained Sequence Replication))、1991年にKievitisらによって記載されたNASBA技術(核酸シーケンスベースの増幅)、SDA技術(鎖置換増幅)(Walker et al.,1992)、TMA技術(転写媒介増幅)で同様に利用されることができる。
【0118】
キメラ受容体を含むポリヌクレオチドは、熱安定性リガーゼを利用する1988年にLandegrenらによって記載され、1991年にBaranyらによって改善されたLCR技術(リガーゼ連鎖反応)、1992年にSegevによって記載されたRCR技術(修復連鎖反応)、1990年にDuckらによって記載されたCPR技術(サイクリングプローブ反応)、1983年にMieleらによって記載され、特に、1986年にChuら、1988年にLizardiらによって、その後Burgらによって、及び1996年にStoneらによって改善されたQ-ベータレプリカーゼを用いた増幅技術などのプローブとして機能する核酸の増幅又は修飾の技術において更に利用されることができる。
【0119】
検出される標的ポリヌクレオチドがおそらくRNA、例えば、mRNAである場合に、少なくとも1つのプライマーの助けを伴う増幅反応を利用する前に、又は少なくとも1つのプローブの助けを伴う検出手順を利用する前に、生物学的試料内に含まれるRNAからcDNAを得るための逆転写酵素類の酵素を使用することが可能であるだろう。したがって、得られるcDNAは、増幅又は検出手順に利用されるプライマー(複数可)若しくはプローブ(複数可)の標的として機能するであろう。
【0120】
検出プローブは、標的配列又は標的配列から生成されたアンプリコンとハイブリダイズするような様式で選択される。配列として、かかるプローブは、有利には、少なくとも12ヌクレオチド、特に少なくとも20ヌクレオチド、及び好ましくは少なくとも100ヌクレオチドの配列を有する。
【0121】
実施形態は、放射性化合物若しくは非放射性化合物で標識化されることを特徴とする、プローブ又はプライマーとして利用可能なヌクレオチド配列を更に含む。
【0122】
非標識化ヌクレオチド配列は、プローブ又はプライマーとして直接的に使用できるが、配列は一般に放射性同位体(32P、35S、3H、125I)若しくは非放射性分子(ビオチン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン、5-ブロモデオキシウリジン、フルオレセイン)で標識化され、多くの用途に利用可能なプローブが得られる。
【0123】
ヌクレオチド配列の非放射性標識の例は、例えば、仏国特許第78,10975号、又は1988年にUrdeaらによって、若しくはSanchez Pescadorらによって記載される。
【0124】
後者の場合において、特許FR-2 422 956及びFR-2 518 755に記載される標識方法のうちの1つを使用することも可能であろう。
【0125】
ハイブリダイゼーション技術は、様々な様式(Matthews et al.,1988)で実行されることができる。最も一般的な方法は、支持体(ニトロセルロース、ナイロン、ポリスチレンなど)上の細胞の核酸抽出物を固定化し、及び十分に定義された条件下で固定化された標的核酸をプローブと培養することからなる。ハイブリダイゼーション後に、過剰なプローブが除去され、形成されたハイブリッド分子は適切な方法(プローブに連結された放射活性、蛍光、又は酵素活性の測定)によって検出される。
【0126】
同様に、様々な実施形態は、共有結合又は非共有結合的に支持体上に固定化されることを特徴とする、本明細書に記載されるヌクレオチド配列又はポリペプチド配列を含む。
【0127】
ヌクレオチド配列を採用する別の有利な様式によると、後者は支持体上に固定化されて使用でき、したがって、特定のハイブリダイゼーションにより、試験される生体試料から得られる標的核酸を捕捉する役割を果たすことができる。必要に応じて、固体支持体はサンプルから分離され、次いで、捕捉プローブと標的核酸との間に形成されたハイブリダイゼーション複合体は、容易に検出可能な要素で標識された第2のプローブ、いわゆる検出プローブを用いて検出される。
【0128】
別の態様は、本明細書に記載のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、配列のクローニング及び/又は発現のためのベクターである。
【0129】
決定された宿主細胞におけるヌクレオチド配列の組み込み、発現、及び/又は分泌を可能にする要素を含むことを特徴とする、ベクターが同様に提供される。
【0130】
次いで、ベクターは、プロモーター、翻訳の開始及び終結のシグナル、並びに転写の調節の適切な領域を含み得る。宿主細胞において安定的に維持することができ得、任意に、翻訳されたタンパク質の分泌を特定する特定のシグナルを有することができる。これらの異なる要素は、使用される宿主細胞の機能として選択され得る。この目的のために、本明細書に記載されるヌクレオチド配列は、選択された宿主内の自律複製ベクター、又は選択された宿主の組み込まれたベクターに挿入され得る。
【0131】
かかるベクターは、当業者によって現在使用される方法に従って調製され、それから得られるクローンを、例えばリン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、エレクトロポレーション、及び熱ショックなどの標準的な方法によって適切な宿主に導入することが可能であろう。
【0132】
ベクターは、例えば、プラスミド又はウイルス起源のベクターに従うものである。本明細書に記載されるポリペプチドの発現のためのベクターの例は、プラスミド、ファージ、コスミド、人工染色体、ウイルスベクター、AAVベクター、バキュロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、キメラウイルスベクター、及びAD5/F35などのキメラアデノウイルスである。
【0133】
これらのベクターは、本明細書に記載されるヌクレオチド配列をクローン又は発現させるために宿主細胞を形質転換するのに有用である。
【0134】
同様に、実施形態は、ベクターによって形質転換された宿主細胞を含む。
【0135】
これらの細胞は、上記に定義したようなベクターに挿入されたヌクレオチド配列の宿主細胞への導入し、次いで、形質導入されたヌクレオチド配列の複製及び/又は発現を可能にする条件下で細胞を培養することによって得ることができる。
【0136】
宿主細胞は、例えば細菌細胞(Olins及びLee、1993)などの原核生物又は真核生物系、しかし同様に、酵母細胞(Buckholz、1993)、及びシロイヌナズナ種などの植物細胞、並びに動物細胞、特に哺乳類細胞の培養物(Edwards及びAruffo、1993)、例えば、HEK293、細胞、HEK 293T細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ミエロイド系細胞、ミエロイド系前駆細胞、単球、好中球、好塩基球、好酸球、巨核球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、白血球、リンパ球、樹状細胞、及びマクロファージ、しかし同様に、バキュロウイルスを利用する手順を使用することが可能な昆虫の細胞、例えばsf9昆虫細胞(Luckow、1993)から選択されることができる。
【0137】
同様に、実施形態は、形質転換された細胞のうちの1つを含む生物に関する。
【0138】
1つ以上の核酸又は核酸の一部を発現するトランスジェニック生物の取得は、ウイルス性若しくは非ウイルス性の遺伝子導入などの当業者に十分に周知の方法に従って、例えば、ラット、マウス、若しくはウサギで実行され得る。ユビキタス性の強力なプロモーターの制御下で、又は1種の組織に選択的な遺伝子の複数コピーの遺伝子導入により、1つ以上の遺伝子を発現するトランスジェニック生物を得ることが可能であろう。同様に、胚細胞株における相同組換え、これらの細胞株の胚への導入、生殖系のレベルでの影響を受けたキメラの選択、及びキメラの成長により、トランスジェニック生物を得ることが可能であろう。
【0139】
形質転換された細胞及びトランスジェニック生物は、組換えポリペプチドの調製のための手順において利用可能である。
【0140】
現在、発現ベクターによって形質転換された細胞を使用する、又はトランスジェニック生物を使用する遺伝子工学技術により、比較的大量の組換えポリペプチドを生産することが可能である。
【0141】
ベクター、及び/又はベクターによって形質転換された細胞、及び/又は、形質転換された細胞のうちの1つを含むトランスジェニック生物を利用することを特徴とする、組換え型のキメラ受容体などのポリペプチドの調製されるための手順は、それ自体が本開示に含まれる。
【0142】
本明細書で使用される「形質転換」及び「形質転換された」は、原核生物又は真核生物にかかわらず、細胞への核酸の導入に関する。更に、本明細書で使用される「形質転換」及び「形質転換された」は、成長制御又は成長調節に関係する必要はない。
【0143】
組換え型のキメラ受容体などのポリペプチドの調製するための手順の中で、調製手順は、ベクター、及び/又は、ベクターによって形質転換された細胞、及び/又はキメラ受容体をコードするものなどのヌクレオチド配列を含む形質転換された細胞のうちの1つを含むトランスジェニック生物を利用する。
【0144】
本明細書で使用されるバリアントは、「担体」タンパク質(キメラタンパク質)に融合された組換えポリペプチドを生成することからなり得る。この系の利点は、組換え産物のタンパク質分解の安定化及び/又は低減、生体外での再生の過程における溶解度の増加、及び/又は融合パートナーが特定のリガンドに対する親和性を有する場合の精製の簡素化を可能にし得ることである。
【0145】
より詳細には、実施形態は、a)ヌクレオチド配列の組換えポリペプチドの発現を可能にする条件下での形質転換された細胞の培養、b)必要な場合に、組換えポリペプチドの回収のステップを含むポリペプチドの調製のための手順に関する。
【0146】
キメラ受容体などのポリペプチドの調製のための手順のトランスジェニック生物を利用する場合に、組換えポリペプチドは、生物から抽出され得、又はそのまま残され得る。
【0147】
実施形態はまた、前述のような手順によって得られることが可能なポリペプチドに関する。
【0148】
実施形態は、ポリペプチドのアミノ酸の配列を使用することを特徴とする、合成ポリペプチドの調製のための手順を更に含む。
【0149】
同様に、本開示は、手順によって得られるキメラ受容体などの合成ポリペプチドに関する。
【0150】
同様に、キメラ受容体などのポリペプチドは、ペプチド合成の分野において従来の技術によって調製されることができる。この合成は、均質な溶液又は固相で実行されることができる。
【0151】
例えば、1974年にHouben-Weylによって記載された均質な溶液における合成の技術に頼ることができる。
【0152】
この合成方法は、必要な順序で連続したアミノ酸を2つずつ連続して縮合させる、又は以前に形成され、既に好適な順序でいくつかのアミノ酸を含むアミノ酸及び断片を凝縮させる、又は代替的に、この手段において以前に準備された、いくつかの断片からなり、ペプチドの合成において十分に周知である方法に従って、特にカルボキシル官能基の活性化後に、通常はペプチド結合の形成において関与する必要がある、一方がアミン官能基及び他方がカルボキシル基、若しくはその逆も同様な場合を除く、これらのアミノ酸又は断片によって運搬される全ての反応性官能基を事前に保護する必要があることが理解される。
【0153】
更に、Merrifieldによって記載された技術に頼ることができ得る。
【0154】
Merrifieldの手順に従ってペプチド鎖を作製するために、非常に多孔性の高分子樹脂に頼ることができ、その上には鎖の最初のC末端アミノ酸が固定化される。このアミノ酸は、そのカルボキシル基を介して樹脂上に固定化され、そのアミン官能基が保護される。したがって、ペプチド鎖を形成しようとするアミノ酸は、既に形成されたペプチド鎖の部分が毎回事前に脱保護され、樹脂に付着されたアミノ基上に次々に固定化される。所望のペプチド鎖の全体が形成されていると、ペプチド鎖を形成する異なるアミノ酸の保護基が除去され、ペプチドが酸の補助で樹脂から分離される。
【0155】
これらのハイブリッド分子は、部分的に、おそらく免疫原性部分、特にジフテリア毒素、破傷風毒素、B型肝炎ウイルスの表面抗原(特許FR 79 21811)、ポリオウイルスのVP1抗原、又は任意のその他のウイルス若しくは細菌の毒素若しくは抗原のエピトープに関連するポリペプチド担体分子又はその断片から形成され得る。
【0156】
キメラ受容体を含むポリペプチド、以下に記載される抗体、及び前述のうちのいずれかをコードするヌクレオチド配列は、マクロファージの分極のための手順において有利に利用できる。
【0157】
実施形態において、キメラ受容体をコードする核酸配列は、細胞に提供される。次いで、細胞は、コード化されたキメラ受容体を発現し得る。発現されたキメラ受容体は、細胞の表面上又は細胞質内に存在し得る。特定の実施形態において、キメラ受容体を発現する細胞は、マクロファージである。マクロファージが発現されたキメラ受容体はリガンドと結合し得、リガンドと結合されることは、前述のようにマクロファージの分極を誘導するようにキメラ受容体を活性化し得る。
【0158】
実施形態において、キメラ受容体をコードする核酸配列を提供された細胞は、対象から単離され得る。細胞に核酸が提供された後に、細胞は、例えば注入又は輸注によって、それが得られた対象に戻され得る。他の実施形態において、核酸を提供された細胞は、ドナーによって提供され得る。ドナー細胞に核酸が提供された後に、次いで、細胞はドナー以外の個体に提供され得る。ドナー細胞の例としては、対象からの初代細胞、及び細胞株からの細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
他の実施形態において、キメラ受容体は、細胞に直接的に導入され得る。マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、膜融合、及びタンパク質形質導入ドメインの使用を含むがこれらに限定されない、タンパク質を細胞に導入する任意の方法が使用され得る。細胞にキメラ受容体が提供された後に、細胞は、例えば注入又は輸注によって、それが得られた対象に戻され得る。他の実施形態において、キメラ受容体を提供された細胞は、ドナーによって提供される。ドナー細胞に核酸が提供された後に、次いで、細胞はドナー以外の個体に提供され得る。ドナー細胞の例としては、対象からの初代細胞、及び細胞株からの細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0160】
同様に、実施形態は、蛍光又は放射性型の酵素などの好適な標識の補助で標識化された、キメラ受容体などのポリペプチドに関する。
【0161】
ポリペプチドは、ポリペプチドを特異的に認識することを特徴とする、モノクローナル又はポリクローナル抗体が調製されることを可能にする。1975年にKohler及びMilsteinによって記載された技術に従って、ハイブリドーマからモノクローナル抗体を調製することが有利に可能であろう。例えば、動物、特にマウスを免疫応答のアジュバントに関連するポリペプチド又はDNAで免疫し、次に抗原として機能されているポリペプチドが予め固定化されているアフィニティーカラム上で免疫された動物の血清中に含まれる特異的抗体の精製をすることによって、ポリクローナル抗体を調製することが可能であろう。ポリクローナル抗体は、ポリペプチドが予め固定化されているアフィニティーカラム上で、キメラ受容体、又はそのポリペプチド若しくは断片により免疫学的に負荷された動物の血清内中に含まれる抗体の精製により調製されることが更にできる。
【0162】
更に、抗体を使用して、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、Fab断片、F(ab’)2断片、一価抗体、scFv断片、scRv-Fc断片、IgNAR、hcIgG、VhH抗体、ナノボディ、及びアルファボディを含むがこれらに限定されない結合分子の他の形態を調製できる。
【0163】
同様に、実施形態は、本明細書に記載されるポリペプチド、又はポリペプチド及び/若しくはキメラ受容体のリガンドを特異的に認識できることを特徴とする、モノ又はポリクローナル抗体若しくはその断片、又はキメラ抗体若しくはその断片に関する。
【0164】
同様に、抗体は、蛍光又は放射型の酵素の標識化などの、核酸プローブについて前述された同じ様式において標識化されることが可能であろう。キメラ受容体の一部として、かかる抗体及び/又はその断片を含むことも可能であろう。非限定的な例として、かかる抗体又はその断片は、キメラ受容体の細胞外ドメインの一部を構成し得る。
【0165】
実施形態は、a)試料とモノ若しくはポリクローナルとの接触(抗体と生体試料中に存在する可能性のあるキメラ受容体との間の免疫学的反応を可能にする条件下)、b)形成された可能性のある抗原抗体複合体の実証のステップを含むことを特徴とする、試料中のキメラ受容体の検出及び/又は同定のための手順を更に目的とする。
【0166】
実施形態は、以下の例示的な実施例において更に詳細に記載される。実施例は、選択された実施形態のみを表し得るが、以下の実施例は例示的であり、限定するものではないことを理解されたい。
【0167】
実施例
実施例1:特定のリガンドに対するScFv断片の単離
cDNAは、ヒトTK1と特異的な抗体を発現する、モノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞(CB1)から精製した。単離されたcDNAを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介してCB1可変領域の重鎖及び軽鎖を増幅させた。その重鎖及び軽鎖からの配列を、NCBI Blastを使用して確認した。CB1重鎖及び軽鎖を、部位重複伸長(SOE)PCRを介して一緒に融合させ、G4Sリンカーを使用して一本鎖断片可変(scFv)を形成させた。G4Sリンカーを、タンパク質発現を最大化するために、IDT(https://www.idtdna.com/CodonOpt)により提供されるコドン最適化ツールを使用して、酵母及びヒトに対してコドン最適化した。CB1 scFvを、制限酵素を用いて切断し、pMP71 CARベクターに挿入した。
【0168】
TK-1及びHPRT特異的ヒトscFv断を酵母抗体ライブラリから単離した。TK-1及びHPRTタンパク質を単離し、Hisでタグ付けし、精製した。TK-1及びHPRTタンパク質を、抗Hisビオチン化された抗体で標識化し、ライブラリに追加して、TK-1及びHPRT特異的抗体クローンを選択した。TK-1及びHPRT抗体クローンを、ストレプトアビジン又は抗ビオチンマイクロビーズで交互に染色し、磁気カラムを使用して濃縮した。選別及び選択の2つの追加ラウンドを実施して、TK-1及びHPRT特異的抗体を単離した。最終選択のために、可能性のあるTK-1及びHPRT抗体クローン並びにそれぞれのタンパク質は、TK-1及びHPRT特異的抗体を分離するために、蛍光標識化された抗HA又は抗c-myc抗体で交互に標識することにより、蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって選別した。高親和性クローンを、キメラ受容体構築のために選択した。他のヒト抗体又は他の動物由来のヒト化抗体を、ファージディスプレイ又は他の組換え方法を使用することによって特異的に、TK-1又はHPRTに選択又は改変することができる。
【0169】
次いで、選択したscFvクローンを、ヒトIgG1定常ドメインと組み合わせて、scFvの結合特異性を確認するためのウエスタンブロット又はELISAなどの用途で使用するための抗体を作製した。抗体構築物を、pPNL9酵母分泌ベクターに挿入し、YVH10酵母を構築物で形質転換し、抗体を産生するように誘導した。大腸菌又は哺乳類系などの他の発現系を使用して抗体を分泌させることもできる。
【0170】
タンパク質特異的抗体断片の単離及び特徴付け。
図26を参照すると、105の酵母は、蛍光タグAPCを用いて標識化された2.5ugの目的タンパク質と培養された。左のより高いピーク(赤色)は、目的のタンパク質と結合されていない酵母集団を示す(陰性対照)。左の左下のピーク(青色)は、その表面タンパク質を発現しない酵母を示し、一方で右側の高いピーク(青色)は、発現された抗体断片の目的のタンパク質との結合を示す。
【0171】
抗体間の構造的一致は、抗原5結合部位、PLoS ComputBiol.8(2):e1002388.doi:10.1371/journal.pcbi.1002388,Kunik V,Ashkenazi S,Ofran Y(2012)を定義する。パラトープ:配列又は構造に基づいて抗体において抗原結合領域を体系的に識別するためのオンラインツールは、Nucleic Acids Res.2012 Jul;40(Web Server issue):W521-4.doi:10.1093/nar/gks480.Epub 2012 Jun 6である。
【0172】
実施例2:キメラ受容体の作製
キメラ受容体ベクターの構築:
過程における第1のステップは、合成キメラ受容体遺伝子のヌクレオチド配列の設計、及び好適なレンチウイルスベクターの選択である。全てのベクターの設計は、高度なソフトウェアバージョン9.1.6で実行される。配列は、Uniprot及びHuman Protein Reference Data base及びNCBIからも取得する。
【0173】
ベクターは、組換えDNA技術及び遺伝子合成の組み合わせで合成する。
【0174】
一本鎖可変断片の配列は、ヒト化抗体酵母ディスプレイライブラリ又はファージディスプレイライブラリを用いて生成する。TK1、HPRT、ROR1、MUC-16、EGFRvIII、メソセリン、HER2、CEA、BCMA、GPC3、FAP、EphA2、NKG2Dリガンド、GD2、CD19、CD20、CD30、CD33、CD123、CD133、CD138、及びCD171のそれぞれに対して特異的なScFvをコードする核酸。a)、b)、c)、d)、及びe)のそれぞれのうちの少なくとも1つを有するキメラ受容体をコードする全ての可能性のある核酸の組み合わせであり、a)、b)、c)、d)、及びe)が、
a)TK1、HPRT、ROR1、MUC-16、EGFRvIII、メソセリン、HER2、CEA、BCMA、GPC3、FAP、EphA2、NKG2Dリガンド、GD2、CD19、CD20、CD30、CD33、CD123、CD133、CD138、及びCD171に対して特異的なScFv、
b)GSリンカー又はGSリンカー無し、
c)LRRの5アミノ酸の短いヒンジ、LRRの長いヒンジ、IgG4の短いヒンジ、IgGの119アミノ酸媒介ヒンジ、及びIgG4の長いヒンジ、CD8のヒンジ、システインがセリンに変換されたCD8ヒンジから選択されるヒンジ領域、並びにヒンジ無し、
d)MYD88、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8、TLR9、MAL、IRAK1、FCGR2A、FCGR3A、及びFCER1Gの膜貫通ドメインから選択される膜貫通ドメイン
e)Myd88、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8、TLR9、MAL、IRAK1、FCGR2A、FCGR3A、及びFCER1Gのサイトゾルドメインから選択されるサイトゾルドメインである。
【0175】
前述のキメラ受容体をコードする核酸は、組換えDNA技術及び遺伝子合成の組み合わせで合成される。
【0176】
マクロファージは、キメラ受容体をコードする核酸を提供するために、レンチウイルス媒介遺伝子導入を介した組み込まれた遺伝子の送達法により遺伝子的に改変する。Addgeneからの第3世代のレンチウイルスシステムを使用して、レンチウイルスベクターを梱包する。pHIV-dTomato(#21374)及びpUltra-chilli(#48687)は、遺伝子導入プラスミドである。pCMV-VSV-G(#8454)、pMDLg/pRRE(#12251)、pRSV-Rev(#12253)、pHCMV-AmphoEnv(#15799)は、梱包化プラスミドである。ヒトリンパ球のレンチウイルス媒介遺伝子導入は、以前から最大50%の形質導入の効率を得るように標準化されている。HEK293T細胞は、リン酸カルシウム法(SIGMA CAPHOS)を用いてトランスフェクトする。およそ10μgの各梱包化プラスミド及び20ugのキメラ受容体をコードするベクターが、トランスフェクションごとに使用される。48~36時間後に、ウイルス粒子を回収し、滅菌濾過する。ウイルスの滴定は、HT1080及びU937細胞に感染していると決定される。
【0177】
分析は、赤色蛍光タンパク質を検出するフローサイトメトリーによって実行する。ウイルスの滴定後のヒト単球を、レトロネクチンプレート(Clonetech、T100B)及びスピン感染法を使用して形質導入する。
【0178】
レンチウイルス形質導入の前に、単球を、Monocyte Isolation Kit II、ヒト(MACS130-091-153)を使用して、陰性選択及び磁気選別により、PBMNC全体から単離する。単球の単離後、細胞を、2つのnunclonの6ウェルプレート(Thermo、145380)に分割し、各ベクターについて各ウェルに1.5×106細胞を播種する。1つ目のプレートは直ぐに形質導入し、一方で2つ目のプレートは、単球からM1マクロファージへの生体外の分化に使用する。M1マクロファージは、M1-Macrophage Generation Medium DFX(Promocell、C-28055)培地を使用して生成する。7日後にマクロファージを形質導入し、9日目にLPS(500X)(Affimetryx、00-4976-03)及びIFNγ(Promokine、C-60724)を用いて活性化させる。形質導入効率は、フローサイトメトリーによって分析する。形質導入細胞を、FACS Ariaセルソータを使用して細胞選別することによって分離する。細胞選別後、形質転換された単球を、分化の前に数日間、生体外で培養し、同時に分化したマクロファージは1か月持続することができる。
【0179】
実施例3:キメラ受容体を介したマクロファージの分極
実施例2において調製した形質導入されたマクロファージは、TK1、HPRT、ROR1、MUC-16、EGFRvIII,メソセリン、HER2、CEA、BCMA、GPC3、FAP、EphA2、NKG2D共役リガンド、GD2、CD19、CD20、CD30、CD33、CD123、CD133、CD138、及びCD171に別個で曝露され、標準的なサイトカインアッセイを使用してIL-12及びIL-23の分泌をモニタリングするか、又はRNA産生を測定することによって、M1表現型への分極について試験された。キメラ受容体を有するマクロファージは、特定のキメラ受容体に対して特異的なリガンドに曝露され、IL-12及び/又はIL-23の分泌が増加されることによって決定されると、M1表現型に分極される。特定のキメラ受容体に対する特異的リガンド以外のリガンドは、IL-12及び/又はIL-21の増加を示さない。
【0180】
実施例4:単球由来マクロファージの産生及び形質導入
分化の7日後の単球由来マクロファージは、表現型の変化を受けていた。これらの変化は、形質導入細胞と非形質導入細胞とが比較されたものである。
図27で観察できるように、形質導入された細胞は、M1又は古典的に活性化されたマクロファージと同様のより活動的な表現型を有する。
図27は、分化の8日目での非形質導入及び形質導入された単球由来マクロファージの画像を示す。この時点では、インターフェロンガンマ及びLPSは追加されていない。キメラ受容体を用いて形質導入されたマクロファージの表現型は、非形質導入マクロファージとは異なることが観察できる。形質導入された細胞は、マクロファージ活性化を示す古典的に活性化された又はM1様表現型を表示した。改変された表現型は、形質導入過程及び新たな合成受容体の発現の組み合された効果であり得る。
【0181】
図28は、形質導入から48~72時間後のdTomatoの発現により確認されたように、キメラ受容体をコードする構築物の挿入及び発現の確認を提供する。これは、ヒト単球由来マクロファージの形質導入の成功を実証する。
【0182】
実施例5:形質導入効率
分化の10日後の形質導入効率が評価され、キメラ受容体を発現するマクロファージが細胞選別された。レンチウイルス形質導入は、マクロファージにおいて困難である。しかしながら、EF1-αプロモーターを有するHIV-1系システムを使用して、ほぼ30%のマクロファージ形質導入が達成された。マクロファージ分化の初期段階における細胞の形質導入は、異なる形質導入効率を表示した。分化の早期段階における単球又はマクロファージは、形質導入がより容易である。キメラアデノウイルスAD5/F35を用いたアデノウイルス形質導入は、マクロファージ形質導入の別の選択肢として現れている。
図29は、形質導入されたマクロファージの結果を、FACSAriaシステムを使用して細胞選別した結果を示す。マクロファージ形質導入の約30%は、レンチウイルスアプローチを使用して達成された。左端のプロットは、細胞の0.58%のみが、dTomatoの発現を表すであろう蛍光を示す対照を示す。右2つのプロットは、形質導入後に27.1パーセントの形質導入効率を示す。
【0183】
実施例6:形質導入されたマクロファージの免疫表現型
キメラ受容体の発現のためのベクターを用いて形質導入されたマクロファージの免疫表現型検査を行い、形質導入された細胞の活性化状態を特定した。TLR-4の細胞外ドメインの修飾により、そのシグナル伝達ドメインの定常的な活性化が誘導され得ることが報告されている(Gay et al.,2014)。TLR-4シグナル伝達の定常的な活性化は、マクロファージ活性化又はM1表現型をもたらし得る。TLR-4に基づいて使用された構築物が、TLR-4から取得されたTIRドメインを介したシグナル伝達の定常的な活性化を誘因できるかどうかは知られていない。しかしながら、形質導入の過程の後に、表現型の変化が観察され、マクロファージ内の細胞表面マーカーの発現が変化した。これは、レンチウイルス形質導入とキメラ受容体タンパク質の発現との組み合わせに起因する可能性が高い。CD14、CD80、D206の発現及びCD163の発現が低いことは、M1表現型に向かうマクロファージの分極の指標であった。これらの細胞表面マーカーの発現は、形質導入された細胞において観察された。
図30は、キメラ受容体を用いて形質導入されたマクロファージにおける色素(Alexa 647)の保持、並びにCD80、CD163、CD206、及びCD14の発現を実証する蛍光活性化セルソーティングの6つの散布図を提示する。
【0184】
図31は、キメラ受容体を発現するためのベクターを用いて形質導入されたマクロファージにおけるM1細胞表面マーカーの相対的な発現レベルのヒストグラムを示す。
【0185】
実施例7:NCI-H460細胞に対してキメラ受容体が形質導入されたマクロファージを標的とするTK1の生体外での毒性。
キメラ受容体が形質導入されたマクロファージを標的とするTK1の腫瘍活性を、NCI-H460-GFP細胞に対して試験した。使用されたE:T比は、1:10であった。分析は、共焦点顕微鏡検査を用いて実行した。蛍光の検出は、12時間の間、5分毎に実行した。タイムラプス中に、キメラ受容体を形質導入したマクロファージを標的とするTK1がH460-GFP細胞に向かって移行し、それらを攻撃することが観察された。シナプスの後に、標的細胞に特異的な細胞死が誘導される。
図32において画像によって実証されるように、TK1標的化キメラ受容体で形質導入されたマクロファージは、TK1を発現する肺癌細胞株において検出、攻撃、及び細胞死を誘導することができる。NCI-H460細胞は、改変されてGFPを発現させた。キメラ受容体が形質導入されたマクロファージを標的とするTK1の殺腫瘍活性は、標的細胞における蛍光の喪失として共焦点顕微鏡を用いて検出された。
【0186】
本開示は、この開示の趣旨及び範囲内で更に修正されることができる。したがって、本出願は、その一般原理を使用して、開示の任意の変形、使用、又は適合を網羅することを意図している。更に、本出願は、本開示が関連し、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物の範囲内に含まれ、当技術分野で既知又は慣習的な実施の範囲内に収まる、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図している。
【0187】
参考文献の一覧表
1.Hanahan,D.,&Weinberg,R.a.(2011).Hallmarks of cancer:the next generation.Cell,144(5),646-74.http://doi.org/10.1016/j.cell.2011.02.013
2.American Cancer Society.(2015).Cancer Facts&Figures 2015.
3.Hoyert,D.L.,&Xu,J.(2012).National Vital Statistics Reports Deaths:Preliminary Data for 2011(Vol.61).
4.Kurahara,H.,Shinchi,H.,Mataki,Y.,Maemura,K.,Noma,H.,Kubo,F.,...Takao,S.(2011).Significance of M2-polarized tumor-associated macrophage in pancreatic cancer.Journal of Surgical Research,167(2),e211-9.http://doi.org/10.1016/j.jss.2009.05.026
5.Steidl,C.,Lee,T.,&Shah,S.(2010a).Tumor-associated macrophages and survival in classic Hodgkin’s lymphoma.The New England Journal of Medicine,875-885.http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0905680から取得された
6.Eiro,N.,&Vizoso,F.J.(2012).Inflammation and cancer.World Journal of Gastrointestinal Surgery,4(3),62-72.http://doi.org/10.4240/wjgs.v4.i3.62
7.Kelly,P.M.,Davison,R.S.,Bliss,E.,&McGee,J.O.(1988).Macrophages in human breast disease:a quantitative immunohistochemical study.British Journal of Cancer,57(2),174-7.http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=2246436&tool=pmcentrez&rendertype=abstractから取得された
8.Lewis,C.,&Leek,R.(1995).Cytokine regulation of angiogenesis in breast cancer:the role of tumor-associated macrophages.Journal of Leukocyte...,57(May),747-751.http://www.jleukbio.org/content/57/5/747.shortから取得された
9.Mantovani,A.,Biswas,S.K.,Galdiero,M.R.,Sica,A.,&Locati,M.(2013).Macrophage plasticity and polarization in tissue repair and remodelling.The Journal of Pathology,229(2),176-85.http://doi.org/10.1002/path.4133
10.Porta,C.,Rimoldi,M.,Raes,G.,Brys,L.,Ghezzi,P.,Di Liberto,D.,...Sica,A.(2009).Tolerance and M2(alternative)macrophage polarization are related processes orchestrated by p50 nuclear factor kappaB.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,106(35),14978-83.http://doi.org/10.1073/pnas.0809784106
11.Sica,A.,&Mantovani,A.(2012).Macrophage plasticity and polarization:in vivo veritas.The Journal of Clinical Investigation,122(3),787-796.http://doi.org/10.1172/JCI59643DS1
12.Anderson,C.F.,&Mosser,D.M.(2002).A novel phenotype for an activated macrophage:the type 2 activated macrophage.Journal of Leukocyte Biology,72(1),101-6.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12101268から取得された
13.Ghassabeh,G.H.,De Baetselier,P.,Brys,L.,Noel,W.,Van Ginderachter,J.a,Meerschaut,S.,...Raes,G.(2006).Identification of a common gene signature for type II cytokine-associated myeloid cells elicited in vivo in different pathologic conditions.Blood,108(2),575-83.http://doi.org/10.1182/blood-2005-04-1485
14.Liao,X.,Sharma,N.,&Kapadia,F.(2011).Kruppel-like factor 4 regulates macrophage polarization.The Journal of Clinical Investigation,121(7).http://doi.org/10.1172/JCI45444DS1
15.Davis,M.J.,Tsang,T.M.,Qiu,Y.,Dayrit,J.K.,Freij,J.B.,Huffnagle,G.B.,&Olszewski,M.A.(2013).Macrophage M1/M2 polarization dynamically adapts to changes in cytokine microenvironments in Cryptococcus neoformans infection.mBio,4(3),e00264-13.http://doi.org/10.1128/mBio.00264-13
16.Mantovani,A.,Sozzani,S.,Locati,M.,Allavena,P.,&Sica,A.(2002).Macrophage polarization:tumor-associated macrophages as a paradigm for polarized M2 mononuclear phagocytes.Trends in Immunology,23(11),549-55.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12401408から取得された
17.Edin,S.,Wikberg,M.L.,Dahlin,A.M.,Rutegard,J.,Oberg,A.,Oldenborg,P.-A.,&Palmqvist,R.(2012).The distribution of macrophages with a m1 or m2 phenotype in relation to prognosis and the molecular characteristics of colorectal cancer.PloS One,7(10),e47045.http://doi.org/10.1371/journal.pone.0047045
18.Forssell,J.,Oberg,A.,Henriksson,M.L.,Stenling,R.,Jung,A.,&Palmqvist,R.(2007).High macrophage infiltration along the tumor front correlates with improved survival in colon cancer.Clinical Cancer Research,13(5),1472-9.http://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-06-2073
19.Guiducci,C.,Vicari,A.P.,Sangaletti,S.,Trinchieri,G.,&Colombo,M.P.(2005).Redirecting in vivo elicited tumor infiltrating macrophages and dendritic cells towards tumor rejection.Cancer Research,65(8),3437-46.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-04-4262
20.Baccala,R.,Hoebe,K.,Kono,D.H.,Beutler,B.,&Theofilopoulos,A.N.(2007).TLR-dependent and TLR-independent pathways of type I interferon induction in systemic autoimmunity.Nature Medicine,13(5),543-51.http://doi.org/10.1038/nm1590
21.Banerjee,S.,Xie,N.,Cui,H.,Tan,Z.,Yang,S.,Icyuz,M.,...Liu,G.(2013).MicroRNA let-7c regulates macrophage polarization.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950),190(12),6542-9.http://doi.org/10.4049/jimmunol.1202496
22.Murray,P.J.,Allen,J.E.,Biswas,S.K.,Fisher,E.A.,Gilroy,D.W.,Goerdt,S.,...Wynn,T.A.(2014).Macrophage Activation and Polarization:Nomenclature and Experimental Guidelines.Immunity,41(1),14-20.http://doi.org/10.1016/j.immuni.2014.06.008
23.Hao,N.-B.,Lu,M.-H.,Fan,Y.-H.,Cao,Y.-L.,Zhang,Z.-R.,&Yang,S.-M.(2012).Macrophages in tumor microenvironments and the progression of tumors.Clinical&Developmental Immunology,2012,948098.http://doi.org/10.1155/2012/948098
24.Sinha,P.,Clements,V.K.,&Ostrand-Rosenberg,S.(2005).Reduction of myeloid-derived suppressor cells and induction of M1 macrophages facilitate the rejection of established metastatic disease.Journal of Immunology,174(2),636-45.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15634881から取得された
25.Bingle,L.,Brown,N.J.,&Lewis,C.E.(2002).The role of tumour-associated macrophages in tumour progression:implications for new anticancer therapies.The Journal of Pathology,196(3),254-65.http://doi.org/10.1002/path.1027
26.Herbeuval,J.-P.,Lambert,C.,Sabido,O.,Cottier,M.,Fournel,P.,Dy,M.,&Genin,C.(2003).Macrophages from cancer patients:analysis of TRAIL,TRAIL receptors,and colon tumor.Journal of the National Cancer Institute,95(8),611-21.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12697854から取得された
27.Ma,J.,Liu,L.,Che,G.,Yu,N.,Dai,F.,&You,Z.(2010).The M1 form of tumor-associated macrophages in non-small cell lung cancer is positively associated with survival time.BMC Cancer,10,112.http://doi.org/10.1186/1471-2407-10-112
28.Ohri,C.M.,Shikotra,A.,Green,R.H.,Waller,D.a,&Bradding,P.(2009).Macrophages within NSCLC tumour islets are predominantly of a cytotoxic M1 phenotype associated with extended survival.European Respiratory Journal,33(1),118-26.http://doi.org/10.1183/09031936.00065708
29.Urban,J.L.,Shepard,H.M.,Rothstein,J.L.,Sugarman,B.J.,&Schreiber,H.(1986).Tumor necrosis factor:a potent effector molecule for tumor cell killing by activated macrophages.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,83(14),5233-7.http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=323925&tool=pmcentrez&rendertype=abstractから取得された
30.Wong,S.-C.,Puaux,A.-L.,Chittezhath,M.,Shalova,I.,Kajiji,T.S.,Wang,X.,...Biswas,S.K.(2010).Macrophage polarization to a unique phenotype driven by B cells.European Journal of Immunology,40(8),2296-307.http://doi.org/10.1002/eji.200940288
31.Hardison,S.E.,Herrera,G.,Young,M.L.,Hole,C.R.,Wozniak,K.L.,&Wormley,F.L.(2012).Protective immunity against pulmonary cryptococcosis is associated with STAT1-mediated classical macrophage activation.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950),189(8),4060-8.http://doi.org/10.4049/jimmunol.1103455
32.Wang,Y.-C.,He,F.,Feng,F.,Liu,X.-W.,Dong,G.-Y.,Qin,H.-Y.,...Han,H.(2010).Notch signaling determines the M1 versus M2 polarization of macrophages in antitumor immune responses.Cancer Research,70(12),4840-9.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-10-0269
33.Cai,X.,Yin,Y.,Li,N.,Zhu,D.,Zhang,J.,Zhang,C.-Y.,&Zen,K.(2012).Re-polarization of tumor-associated macrophages to pro-inflammatory M1 macrophages by microRNA-155.Journal of Molecular Cell Biology,4(5),341-3.http://doi.org/10.1093/jmcb/mjs044
34.Wei,Y.,Nazari-Jahantigh,M.,Chan,L.,Zhu,M.,Heyll,K.,Corbalan-Campos,J.,...Schober,A.(2013).The microRNA-342-5p fosters inflammatory macrophage activation through an Akt1-and microRNA-155-dependent pathway during atherosclerosis.Circulation,127(15),1609-19.http://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.112.000736
35.Squadrito,M.L.,Etzrodt,M.,De Palma,M.,&Pittet,M.J.(2013).MicroRNA-mediated control of macrophages and its implications for cancer.Trends in Immunology,34(7),350-9.http://doi.org/10.1016/j.it.2013.02.003
36.Biswas,S.K.,Gangi,L.,Paul,S.,Schioppa,T.,Saccani,A.,Sironi,M.,...Sica,A.(2006).A distinct and unique transcriptional program expressed by tumor-associated macrophages(defective NF-kappaB and enhanced IRF-3/STAT1 activation).Blood,107(5),2112-22.http://doi.org/10.1182/blood-2005-01-0428
37.Steidl,C.,Lee,T.,&Shah,S.(2010b).Tumor-associated macrophages and survival in classic Hodgkin’s lymphoma.The New England Journal of Medicine,362(10),875-885.http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0905680から取得された
38.Lin,E.Y.,Li,J.-F.,Gnatovskiy,L.,Deng,Y.Zhu,L.,Grzesik,D.a,...Pollard,J.W.(2006).Macrophages regulate the angiogenic switch in a mouse model of breast cancer.Cancer Research,66(23),11238-46.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-06-1278
39.Hagemann,T.,Wilson,J.,Burke,F.,Kulbe,H.,Li,N.F.,Pluddemann,A.,...Balkwill,F.R.(2006).Ovarian cancer cells polarize macrophages toward a tumor-associated phenotype.The Journal of Immunology,176(8),5023-32.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16585599から取得された
40.Hagemann,T.,Lawrence,T.,McNeish,I.,Charles,K.a,Kulbe,H.,Thompson,R.G.,...Balkwill,F.R.(2008).「Re-educating」tumor-associated macrophages by targeting NF-kappaB.The Journal of Experimental Medicine,205(6),1261-8.http://doi.org/10.1084/jem.20080108
41.Mandal,P.,Pratt,B.T.,Barnes,M.,McMullen,M.R.,&Nagy,L.E.(2011).Molecular mechanism for adiponectin-dependent M2 macrophage polarization:link between the metabolic and innate immune activity of full-length adiponectin.Journal of Biological Chemistry,286(15),13460-9.http://doi.org/10.1074/jbc.M110.204644
42.Mantovani,A.,Allavena,P.,Sica,A.,&Balkwill,F.(2008).Cancer-related inflammation.Nature,454(7203),436-44.http://doi.org/10.1038/nature07205
43.Cortez-Retamozo,V.,Etzrodt,M.,Newton,A.,Rauch,P.J.,Chudnovskiy,A.,Berger,C.,...Pittet,M.J.(2012).Origins of tumor-associated macrophages and neutrophils.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,109(7),2491-6.http://doi.org/10.1073/pnas.1113744109
44.Hercus,T.R.,Thomas,D.,Guthridge,M.A.,Ekert,P.G.,King-Scott,J.,Parker,M.W.,&Lopez,A.F.(2009).The granulocyte-macrophage colony-stimulating factor receptor:linking its structure to cell signaling and its role in disease.Blood,114(7),1289-98.http://doi.org/10.1182/blood-2008-12-164004
45.Smith,H.O.,Stephens,N.D.,Qualls,C.R.,Fligelman,T.,Wang,T.,Lin,C.-Y.,...Pollard,J.W.(2013).The clinical significance of inflammatory cytokines in primary cell culture in endometrial carcinoma.Molecular Oncology,7(1),41-54.http://doi.org/10.1016/j.molonc.2012.07.002
46.West,R.B.,Rubin,B.P.,Miller,M.A.,Subramanian,S.,Kaygusuz,G.,Montgomery,K....van de Rijn,M.(2006).A landscape effect in tenosynovial giant-cell tumor from activation of CSF1 expression by a translocation in a minority of tumor cells.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,103(3),690-5.http://doi.org/10.1073/pnas.0507321103
47.Lin,E.Y.,&Pollard,J.W.(2007).Tumor-associated macrophages press the angiogenic switch in breast cancer.Cancer Research,67(11),5064-6.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-07-0912
48.Dalton,H.J.,Armaiz-Pena,G.N.,Gonzalez-Villasana,V.,Lopez-Berestein,G.,Bar-Eli,M.,&Sood,A.K.(2014).Monocyte subpopulations in angiogenesis.Cancer Research,74(5),1287-93.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-13-2825
49.Saccani,A.,Schioppa,T.,Porta,C.,Biswas,S.K.,Nebuloni,M.,Vago,L.,...Sica,A.(2006).p50 nuclear factor-kappaB overexpression in tumor-associated macrophages inhibits M1 inflammatory responses and antitumor resistance.Cancer Research,66(23),11432-40.http://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-06-1867
50.Gazzaniga,S.,Bravo,A.I.,Guglielmotti,A.,van Rooijen,N.,Maschi,F.,Vecchi,A.,...Wainstok,R.(2007).Targeting tumor-associated macrophages and inhibition of MCP-1 reduce angiogenesis and tumor growth in a human melanoma xenograft.Journal of Investigative Dermatology,127(8),2031-41.http://doi.org/10.1038/sj.jid.5700827
51.Luo,Y.,Zhou,H.,&Krueger,J.(2006).Targeting tumor-associated macrophages as a novel strategy against breast cancer.Journal of Clinical Investigation,116(8),2132-2141.http://doi.org/10.1172/JCI27648.2132
52.Zeisberger,S.M.,Odermatt,B.,Marty,C.,Zehnder-Fjallman,a H.M.,Ballmer-Hofer,K.,&Schwendener,R.a.(2006).Clodronate-liposome-mediated depletion of tumour-associated macrophages:a new and highly effective antiangiogenic therapy approach.British Journal of Cancer,95(3),272-81.http://doi.org/10.1038/sj.bjc.6603240
53.Bettencourt-Dias,M.,Giet,R.,Sinka,R.,Mazumdar,a,Lock,W.G.,Balloux,F.,...Glover,D.M.(2004).Genome-wide survey of protein kinases required for cell cycle progression.Nature,432(7020),980-7.http://doi.org/10.1038/nature03160
54.Geschwind,J.H.,Vali,M.,&Wahl,R.(2006).Effects of 3 bromopyruvate(hexokinase 2 inhibitor)on glucose uptake in lewis rats using 2-(F-18)fluoro-2-deoxy-d-glucose.2006 Gastrointestinal Cancers Symposium(pp.12-14).
55.Wolf,A.,Agnihotri,S.,Micallef,J.,Mukherjee,J.,Sabha,N.,Cairns,R.,...Guha,A.(2011).Hexokinase 2 is a key mediator of aerobic glycolysis and promotes tumor growth in human glioblastoma multiforme.The Journal of Experimental Medicine,208(2),313-26.http://doi.org/10.1084/jem.20101470
56.Blagih,J.,&Jones,R.G.(2012).Polarizing macrophages through reprogramming of glucose metabolism.Cell Metabolism,15(6),793-5.http://doi.org/10.1016/j.cmet.2012.05.008
57.Haschemi,A.,Kosma,P.,Gille,L.,Evans,C.R.,Burant,C.F.,Starkl,P.,...Wagner,O.(2012).The sedoheptulose kinase CARKL directs macrophage polarization through control of glucose metabolism.Cell Metabolism,15(6),813-26.http://doi.org/10.1016/j.cmet.2012.04.023
58.Arranz,A.,Doxaki,C.,Vergadi,E.,Martinez de la Torre,Y.,Vaporidi,K.,Lagoudaki,E.D.,...Tsatsanis,C.(2012).Akt1 and Akt2 protein kinases differentially contribute to macrophage polarization.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,109(24),9517-22.http://doi.org/10.1073/pnas.1119038109
59.Jones,R.G.,&Thompson,C.B.(2007).Revving the engine:signal transduction fuels T cell activation.Immunity,27(2),173-8.http://doi.org/10.1016/j.immuni.2007.07.008
60.Shu,C.J.,Guo,S.,Kim,Y.J.,Shelly,S.M.,Nijagal,A.,Ray,P.,...Witte,O.N.(2005).Visualization of a primary anti-tumor immune response by positron emission tomography.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,102(48),17412-7.http://doi.org/10.1073/pnas.0508698102
61.Van Ginderachter,J.A.,Movahedi,K.,Hassanzadeh Ghassabeh,G.,Meerschaut,S.,Beschin,A.,Raes,G.,&De Baetselier,P.(2006).Classical and alternative activation of mononuclear phagocytes:Picking the best of both worlds for tumor promotion.Immunobiology,211(6),487-501.http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0171298506000829から取得された
62.Mills,C.D.,Shearer,J.,Evans,R.,&Caldwell,M.D.(1992).Macrophage arginine metabolism and the inhibition or stimulation of cancer.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950),149(8),2709-14.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1401910から取得された
63.Ji,Y.,Sun,S.,Xu,A.,Bhargava,P.,Yang,L.,Lam,K.S.L.,...Qi,L.(2012).Activation of natural killer T cells promotes M2 Macrophage polarization in adipose tissue and improves systemic glucose tolerance via interleukin-4(IL-4)/STAT6 protein signaling axis in obesity.Journal of Biological Chemistry,287(17),13561-71.http://doi.org/10.1074/jbc.M112.350066
64.Andreesen,R.,Scheibenbogen,C.,&Brugger,W.(1990).Adoptive transfer of tumor cytotoxic macrophages generated in vitro from circulating blood monocytes:a new approach to cancer immunotherapy.Cancer Research,7450-7456.http://cancerres.aacrjournals.org/content/50/23/7450.shortから取得された
65.Korbelik,M.,Naraparaju,V.R.,&Yamamoto,N.(1997).Macrophage-directed immunotherapy as adjuvant to photodynamic therapy of cancer.British Journal of Cancer,75(2),202-7.http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=2063270&tool=pmcentrez&rendertype=abstractから取得された
66.Ellem,K.A.O.,Rourke,M.G.E.O.,Johnson,G.R.,Parry,G.,Misko,I.S.,Schmidt,C.W.,...Mulligan,R.C.(1997).A case report:immune responses and clinical course of the first human use of granulocyte/macrophage-colony-stimulating-factor-transduced autologous melanoma.Cancer Immunology,Immunotherapy,10-20.http://www.springerlink.com/index/JQ4EB21E4C7ADMT7.pdfから取得された
67.Gast,G.de,&Klumpen,H.(2000).immunotherapy with subcutaneous granulocyte macrophage colony-stimulating factor,low-dose interleukin 2,and interferon I± in progressive metastatic melanoma.Clinical Cancer Research.http://clincancerres.aacrjournals.org/content/6/4/1267.shortから取得された
68.Hill,H.,Jr,T.C.,&Sabel,M.(2002).Immunotherapy with Interleukin 12 and Granulocyte-Macrophage Colony-stimulating Factor-encapsulated Microspheres Coinduction of Innate and Adaptive Antitumor.Cancer Research.http://cancerres.aacrjournals.org/content/62/24/7254.shortから取得された
69.Lokshin,A.,Mayotte,J.,&Levitt,M.(1995).Mechanism of Interferon Beta-Induced Squamous Differentiation and Programmed Cell Death in Human Non-Small-Cell Lung Cancer Cell Lines.Journal of the National Cancer Institute,87,206-212.http://jnci.oxfordjournals.org/content/87/3/206.shortから取得された
70.Johns,T.,&Mackay,I.(1992).Antiproliferative potencies of interferons on melanoma cell lines and xenografts:higher efficacy of interferon I2.Journal of the National Cancer Institute,(type II),1185-1190.http://jnci.oxfordjournals.org/content/84/15/1185から取得された
71.Qin,X.-Q.,Runkel,L.,Deck,C.,DeDios,C.,&Barsoum,J.(1997).Interferon-beta induces S phase accumulation selectively in human transformed cells.Journal of Interferon&Cytokine Research,17(6),355-367.http://doi.org/10.1089/jir.1997.17.355
72.Zhang,F.,Lu,W.,&Dong,Z.(2002).Tumor-infiltrating macrophages are involved in suppressing growth and metastasis of human prostate cancer cells by INF-β gene therapy in nude mice.Clinical Cancer Research,2942-2951.http://clincancerres.aacrjournals.org/content/8/9/2942.shortから取得された
73.Simpson,K.D.,Templeton,D.J.,&Cross,J.V.(2012).Macrophage Migration Inhibitory Factor Promotes Tumor Growth and Metastasis by Inducing Myeloid-Derived Suppressor Cells in the Tumor Microenvironment.The Journal of Immunology.http://doi.org/10.4049/jimmunol.1201161
74.Sanford,D.E.,Belt,B.A.,Panni,R.Z.,Mayer,A.,Deshpande,A.D.,Carpenter,D.,...Linehan,D.C.(2013).Inflammatory monocyte mobilization decreases patient survival in pancreatic cancer:a role for targeting the CCL2/CCR2 axis.Clinical Cancer Research:American Association for Cancer Researchの公報,19(13),3404-15.http://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-13-0525
75.Schmall,A.,Al-Tamari,H.M.,Herold,S.,Kampschulte,M.,Weigert,A.,Wietelmann,A.,...Savai,R.(2014).Macrophage and Cancer Cell Crosstalk via CCR2 and CX3CR1 is a Fundamental Mechanism Driving Lung Cancer.American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine.http://doi.org/10.1164/rccm.201406-1137OC
76.Kimura,Y.N.,Watari,K.,Fotovati,A.,Hosoi,F.,Yasumoto,K.,Izumi,H.,...Ono,M.(2007).Inflammatory stimuli from macrophages and cancer cells synergistically promote tumor growth and angiogenesis.Cancer Science,98(12),2009-18.http://doi.org/10.1111/j.1349-7006.2007.00633.x
77.Chen,H.,Li,P.,Yin,Y.,Cai,X.,Huang,Z.,Chen,J.,...Zhang,J.(2010).The promotion of type 1 T helper cell responses to cationic polymers in vivo via toll-like receptor-4 mediated IL-12 secretion.Biomaterials,31(32),8172-80.http://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2010.07.056
78.Rogers,T.L.,&Holen,I.(2011).Tumour macrophages as potential targets of bisphosphonates.Journal of Translational Medicine,9(1),177.http://doi.org/10.1186/1479-5876-9-177
79.Junankar,S.,Shay,G.,Jurczyluk,J.,Ali,N.,Down,J.,Pocock,N....Rogers,M.J.(2015).Real-time intravital imaging establishes tumor-associated macrophages as the extraskeletal target of bisphosphonate action in cancer.Cancer Discovery,5(1),35-42.http://doi.org/10.1158/2159-8290.CD-14-0621
80.Huang,Z.,Yang,Y.,Jiang,Y.,Shao,J.,Sun,X.,Chen,J.,...Zhang,J.(2013).Anti-tumor immune responses of tumor-associated macrophages via toll-like receptor 4 triggered by cationic polymers.Biomaterials,34(3),746-55.http://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2012.09.062
81.Q.He,T.Fornander,H.Johansson et al.,「Thymidine kinase 1 in serum predicts increased risk of distant or loco-regional recurrence following surgery in patients with early breast cancer,」Anticancer Research,vol.26,no.6,pp.4753-4759,2006.
82.K.L.O’Neill,M.Hoper,and G.W.Odling-Smee,「Can thymidine kinase levels in breast tumors predict disease recurrence?」Journal of the National Cancer Institute,vol.84,no.23,pp.1825-1828,1992.
【配列表】