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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】紙加工プラント
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/16 20060101AFI20221025BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20221025BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20221025BHJP
   B26F 1/18 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
B65H18/16
B26D7/32 B
B26D7/18 E
B26F1/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020520497
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 IT2018050187
(87)【国際公開番号】W WO2019077639
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】102017000117533
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506180062
【氏名又は名称】フューチュラ エス ピー エー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ペリーニ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーニ、ジョヴァッキーノ
(72)【発明者】
【氏名】カタリニ、アンドレア
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012249(JP,A)
【文献】特開2002-263595(JP,A)
【文献】特表2006-524620(JP,A)
【文献】特開平06-093588(JP,A)
【文献】特開平07-025522(JP,A)
【文献】特開2014-031539(JP,A)
【文献】米国特許第03548696(US,A)
【文献】特開2009-107792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00-27/00
B26D 7/00
B26F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ログを製造するように適合されかつ紙ウェブ(W)を供給するための入口(10)を有する巻き返し機(1)と、紙ログが形成される巻取ステーション(13)と、完成したログを取り出すための出口ステーション(14)とを含む紙ウェブを加工するための紙加工プラント(100)であって、
前記巻き返し機(1)には内部に紙ログが形成されるチャンバ(C)を画定する複数の壁(P)が設けられており、
前記巻き返し機(1)は前記チャンバ(C)の下部に配置されかつ作用する空気吸引チャネル(A)を備え、前記空気吸引チャネルはチャンバ(C)の内部で上部から底部に向かう空気流の形成を引き起こす吸引を行うように適合され、
前記チャンバ(C)はそれぞれのゾーンに下向きの垂直空気流(VS、VD)が生じるように、両方とも前記空気吸引チャネル(A)と連通し、前記チャンバ内の前記紙ウェブ(W)によって画定される2つのゾーンに分割され、
前記チャンバは、前記2つのゾーン内に垂直方向に向けられた同一の空気流量を供給するように前記垂直空気流(VS、VD)を調整するための調整手段を備えていることを特徴とする紙加工プラント。
【請求項2】
前記空気吸引チャネル(A)が、巻き返し機(1)の全幅(L)にわたって延在する開口部(BA)を有することを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項3】
前記巻き返し機(1)は、前記チャンバ(C)の外部に配置された電気モータ(M)を備えることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項4】
前記壁(P)は、前記空気吸引チャネル(A)に対応して、チャンバ(C)が該チャンバ(C)の底部で狭くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項5】
前記空気吸引チャネル(A)は、下流で空気濾過装置(F)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項6】
前記空気吸引チャネル(A)は、下流で空気濾過装置(F)に接続され、次いで前記チャンバ(C)の頂部に配置された入口(18)に接続されて、当該チャンバ(C)内に濾過された空気を導入することを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項7】
前記紙加工プラントが配置されている建物(111)の残りの部分から前記紙加工プラントを取り囲む環境を区切るように適合された格納キャビン(110)を備えることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項8】
前記チャンバ(C)が前記格納キャビン(110)の内側にあることを特徴とする請求項7に記載の紙加工プラント。
【請求項9】
前記巻き返し機(1)のモータが前記格納キャビン(110)の外部にあることを特徴とする請求項8に記載の紙加工プラント。
【請求項10】
前記チャンバ(C)の壁には、それぞれ作動手段(28)が設けられた取り外し可能または開放可能なドア(27)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項11】
前記空気流によって運ばれる残留物(30、31)を前記残留物自体の塊および/または大きさによって分離するための残留物分離手段(29、33)が設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の紙加工プラント。
【請求項12】
前記残留物分離手段は、前記チャンバ(C)を前記空気吸引チャネル(A)に接続する接続チャネル(29)と、前記接続チャネル(29)の底部に位置する容器(33)と、前記残留物の一部(30)を吸引チャネル(A)に向かって搬送するように適合された空気吹き付け手段(32)とを含み、
空気吸引チャネル(A)はチャンバ(C)からの残留物の出口部分に対して横方向に配置され、
前記接続チャネル(29)は容器(33)と連通する下部を有することを特徴とする請求項11に記載の紙加工プラント。
【請求項13】
前記2つのゾーンにおける等量の前記垂直空気流(VS、VD)が、前記2つのゾーンを画定する前記紙ウェブ(W)の2つの側同量の圧を決定することを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【請求項14】
前記垂直空気流を調整するための前記調整手段が、同じ面積を有しかつ前記垂直空気流(VS、VD)が交差する領域内の前記2つのゾーンの各々に配置された開口部(121、141)を備えることを特徴とする請求項1に記載の紙加工プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙加工プラントに関する。特に、本発明による設備は、ダスト、スクラップ、及び他の加工残留物の生成に関連する欠点を低減するように特に設計された巻き返し機を含む。
【背景技術】
【0002】
例えば、トイレットペーパーのロール又はキッチンペーパーのロールが得られる紙材で作られたログの製造は、紙材を分離可能なシートに分割する予備切断線を形成するための紙ウェブの横方向の予備切断を含む、ログの形成に進む前に様々な操作がそれに沿って行われる所定の経路上に、1つ以上の重ね合わされたプライによって形成された紙ウェブを供給することを含むことが知られている。
【0003】
ペーパーログの製造は、通常、一般に「コア」と呼ばれる紙管の使用を伴い、その紙管面には、一般に「巻き返し機」と呼ばれるログを製造する装置に徐々に導入されるコア上に紙ウェブを結合させるために、所定量の接着剤が分配される。その接着剤は、凹形状に起因して、一般に「クレードル」として知られている端部部分を含む経路に沿ってコアが通過するときに、コア上に分配される。
【0004】
また、ログの製造は巻取りローラの使用を伴うものであって、当該巻取りローラはそれぞれのコアをその長手方向軸の周りに回動させ、これにより、コア上のウェブの巻取りを決定する。このプロセスは所定数のシートがコアに巻かれたときに終了し、このようにして形成されたロールの下側に位置するロールに最後のシートのフラップを接着剤で接着する(いわゆる「フラップ接着」作業)。
【0005】
コアに巻き付けられたシートが所定数に到達すると、完成されているログの最後のシートは、例えば、対応する予備切断ラインに向けられた圧縮空気のジェットによって、次のログの最初のシートから分離される。この時点で、ログは巻き返し機から取り出される。
【0006】
特許文献1は、上述の手順に従った巻き返し機の動作を開示する。このようにして製造されたログは、次いで、緩衝貯蔵ユニットに運ばれる。当該緩衝貯蔵ユニットは所望の長さのロールを得るためにログの横方向切断が行われる1つ以上の切断機にログを供給する。
【0007】
上述した操作は、紙又はボール紙の塵、トリミング及びスクラップの形成を決定する。実際には、プロセス残留物が形成され、そのプロセス残留物は機械の正しい機能を損なう可能性があり、排除する必要がある。さらに、いくつかのタイプの用紙は、巻き返し機に巻き取られる以前に他の処理工程にかけられていなくても、無視できない量の塵埃を運ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】EP1700805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
紙加工プラントにおける紙ウェブの加工によって生成された残留物の効率的な処理を可能にすることを主な目的とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の利点の1つは紙加工プラントの機械における前述の処理残留物の排除、又は少なくとも劇的な減少であり、別の利点は前記残留物によって引き起こされる機械の故障及び/又は停止の可能性の減少によってシステムの効率が向上することであり、別の利点は残留物の形成及び蓄積によって影響を受ける領域の外側に有利に配置することができるモータの改善された動作条件に関連し、これはモータのより長い寿命及びより効率的なサイズ決定を決定し、さらなる利点は機械の近くの作業環境に存在するダストの排除、又は少なくともかなりの減少によって、オペレータのための改善された作業条件に関連し、別の利点は機械から出る製品と任意の残留物との混合の可能性の減少によって、プラントによって生成される製品の定性的改善において識別することができ、別の利点は機械から出る製品と任意の残留物との混合の可能性の減少によって、プラントによって生成される製品の定性的改善において確認することができ、別の利点は既存のマシン又はシステムに対する比較的小さい変更によっても革新的な特徴を提供する本解決策の構造的単純性に関する。
【0011】
本発明のこれらの利点及びさらなる利点は、例として述べられる以下の説明及び添付の図面からより明らかになるのであるが、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるプラントの巻き返し機の実施形態の一部を取り除いた概略側面図である。
図2】本発明に従って製造された吸引チャンバをより良く強調するために、図1の機械を簡略化した図である。
図3】本発明に従って製造された吸引チャンバをより良く強調するために、図1の機械を簡略化した別の図である
図4】本発明によるプラントに設けられた接続部を概略的に示す図であり、プラントの機械を収容する空間が内部にある工業倉庫を概略的に示し、この図面の矢印は、紙ウェブを加工することによって生成された残留物の動き及び/又は収集を決定するために使用される空気流を示す。
図5】プラントの一部を形成する巻き返し機のいくつかの部分間の連結に関するダイヤグラムである。
図6】本発明に従って製造された機械の下部の実施形態の部分概略側面図である。
図7図1図3に示される実施形態の詳細部分の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載する図示例では、紙加工プラント(100)に設置された巻き返し機(1)に言及する。当該プラント(100)は、一般に、巻き返し機の他に、例えば、1以上の巻き出し機及び巻き返し機の上流に設置されたエンボッサ、巻き返し機の下流に設置された切断機等の更なる機械から構成されており、これらの機械の機能及び構造は既知である。
【0014】
巻き返し機の構成及び全体的な動作は、既知であるので、簡略化して説明する。巻き返し機(1)は、1つ以上の重ね合わされたプライから構成される紙ウェブ(W)を供給するための入口(10)を有する。例えば、当該ウェブ(W)は、巻き返し機(1)の上流に位置するエンボッサから到来する。
【0015】
当該機械(1)の内部の紙ウェブがたどる経路に沿って、予備切断装置(11)が設けられ、当該予備切断装置(11)はウエブ(W)の不連続横断切断を行うようになっており、これにより、分離可能なペーパーシートを画定する予備切断線が形成され、完成品の使用が容易になる。図面において、符号(15)は、巻き返し機(1)内部の紙ウェブ(W)がたどる経路を既知の方法で定めるウェブ案内ローラを示す。
【0016】
巻き返し機(1)は紙管状コア(2)のための別の入口(12)を有し、当該コアの表面上に、既知の方法、したがって記載されていない方法で、所定量の接着剤が塗布され、巻き返し機内に徐々に導入されるコア上の紙ウェブの接着を可能にする。
【0017】
参照番号(16)及び(17)は機械(1)にコアを接着し、挿入するためのユニットを示し、更に、参照番号(122)及び(120)は、それぞれ、コア(2)を挿入するために使用され、コア(2)が巻き返し機(1)内部で移動する間にコア(2)を支持するために公知の方法で配置されたコンベアベルト(122)及びガイド(120)を示す。
【0018】
ログの形成は巻き取りローラ(13a、13b、13c)を使用することにより巻き取りステーション(13)で行われ、巻き取りローラはそれぞれのコアをその縦軸の周りに回転させ、コア上の用紙の巻き取りを決定する。所定枚数のシートがコアに巻き付けられると、上記処理は終了する。次の操作は、このようにして形成されたロールの下側に位置するロールに最後のシートのフラップを接着剤で接着することからなる(いわゆる「フラップ接着」操作)。
【0019】
コアに巻き付けられたシートが所定数に到達すると、完成されているログの最後のシートは、例えば、対応する予備切断ラインに向けられた圧縮空気のジェットによって、次のログの最初のシートから分離される。この時点で、ログ(3)は、完成したログが、排出面(140)が設けられた出口(14)を通って排出される排出ステーションを通って巻き返し機から取り出される。
【0020】
本発明によれば、巻き返し機(1)には、巻き返し機(1)の一部を形成する機器及び装置を取り囲む複数の壁(P)が設けられ、本明細書の以下の説明では吸引チャンバとも呼ばれる格納チャンバ(C)を形成する。
【0021】
前記チャンバ(C)は、図1図3及び図4において、そのより良い識別のために破線で示されている。図示した例に示すように、本巻き返し機の設備及び装置は、案内ローラ(15)、予備切断装置(11)及び巻取りローラ(13a、13b、13c)を含む。
【0022】
実際上は、巻き返し機(1)は従来の巻き返し機として作られるが、通常は開いているか、又は通気性である領域は壁(P)によって閉じられ、ログの製造及び完成したログの搬出に使用される材料の投入のための開口部(10、12、14)の存在に起因する、文字通りの意味で「減圧下」ではない吸引チャンバ(C)の構成を決定するが、それにもかかわらず、以下にさらに記載されるように、吸引作用を最適化することを可能にする。
【0023】
換言すれば、空気流の適切な制御により、紙ウェブ(W)の運動及び加工に関連する残留物の制御されない散布が防止され、前記残留物はチャンバ(C)内に保持され、そして有利には、以下に記載される吸入チャネル(A)を通して排除される。後者は、チャンバ(C)内の上部から底部に向かう空気流の生成を決定する。
【0024】
図1図2図3は壁(P)によって示される輪郭を示しており、壁(P)は、それぞれが所与の均一な傾斜を有し、巻き返し機(1)の下側基部に向けられた傾斜面を形成するように、吸引チャンバの底部に向かって傾斜している。実際上は、個々の壁(P)はそれらが下向きの残留物を保持しないように、それぞれ均一な傾斜を有する。壁(P)は、吸引チャネル(A)が設けられる吸引チャンバの底部に狭い溝を形成するように、実質的に相互に接近して傾斜している。
【0025】
図3において、チャンバ(C)の幅の減少は、寸法(D1)、(D2)及び(D3)によって表され、上から下に減少する。前記寸法(D1、D2、D3)は、ログを製造するために使用される材料の投入方向(DM)に関係する。
【0026】
上から下へのチャンバ(C)のこれらの減少する寸法は、下向きの空気流の速度における対応する増加を決定する。このことは、下向きの空気速度がウェブ(W)の存在するチャンバ(C)の上部では低くなり、一方、下向きに向けられた空気が除去されるべき残留物とのみ相互作用するチャンバ(C)の下部領域では高くなるので、有利である。下方への空気流の最高速度と最低速度の2つのゾーンの間には、空気が形成中のログと相互作用する中間速度ゾーンがあり、このゾーンはウエブ(W)よりも起こり得る損傷を少なくする。
【0027】
吸引チャンバ(C)の下部には、巻き返し機(1)に対して実質的にその下部全体に沿って横方向に延びる吸引チャネル(A)が存在する。実際には、巻き返し機(1)の下部基部には吸引手段(MA)に接続された吸引チャネル(A)が設けられており、当該吸引手段(MA)は図5では概略的なブロックで示されており、例えば、ファン、吸引器等のような適当な空気作動手段によって構成することができる。前記チャンバ(C)の下部矢印(V1)は、吸引チャネルによって引き起こされる空気流の方向を概略的に表す。
【0028】
換言すれば、機械(1)の全幅に沿って、チャネル(A)の吸引口(BA)が延びており、この吸引口(BA)はその作用を下方に及ぼし、空気及びその中に含まれる残留物を吸引し、そしてその吸引口は上方に開口している。実際には吸引チャネル(A)の吸引口(BA)が吸引チャンバ(C)と連通する吸引チャネル(A)の開口部であり、前記開口部はチャネル(A)の上部に沿って延在する。
【0029】
吸引チャネル(A)が巻き返し機(1)の下部基部、すなわち吸引チャンバ(C)の下部に設けられているという事実は吸引を改善する。何故なら、除去されるべき残留物に対する重力の作用がやはり下向きの吸引の作用に加えられるからである。巻き返し機の巾に応じた吸引チャネル(A)の延長は、吸引作用の最適化に更に寄与する。
【0030】
吸引チャネル(A)は、チャンバ(C)から吸引された空気を濾過するために空気濾過装置(F)に接続することができる。
【0031】
図5において、吸引チャネル(A)は、ダクト(19)を介して空気濾過装置(F)に接続されている。前記チャンバ(C)によって吸引された空気はついで巻き返し機(1)を取り巻く環境に放出される前に濾過されるか、又は図に示すように、チャンバ(C)に部分的に戻される前に濾過される。
【0032】
有利には、フィルタ(F)がダクト(20)を介して、チャンバ(C)の上部領域に配置された入口(18)に接続される。このようにして、チャネル(A)によって底部から引き込まれ、フィルタ(F)によって濾過された空気の一部は入口(18)を通って吸引チャンバ(C)に導入される。したがって、頂部から到来して下方に移動する流れ(V2)と、残留物を下方に運ぶ流れ(V1)との組み合わされた作用が得られる。
【0033】
図6は、吸引チャネル(A)に関する本発明の別の可能な実施形態を示す。図6は吸引チャンバ(C)の下部を概略的に示し、吸引チャンバ(C)はこの例では下部接続チャネル(29)を有し、この下部接続チャネル(29)は吸引チャンバ(C)をチャネル(A)に接続しており、そしてチャネル(A)は吸引チャンバ(C)からの残留物の出口方向に対して横方向に配置されている。
【0034】
例えば、接続チャネル(29)は湾曲した形状を有し、そしてチャンバ(C)に接続されたその近位部分と吸引チャネル(A)に接続されたその遠位部分との間に約90°の角度が存在する。チャネル(29)の下部は、上部を開口した下側容器(33)と連通している。
【0035】
吸引チャネル(A)に向かう外部空気流(V3)の導入を容易にするために、チャネル(29)に開口部(図示せず)を設けることができる。前述の開口部の大きさは、図6に符号“32”で概略的に示されたゲート弁によって調整することができる。実際には、図6に示す例を参照すると、残留物排出チャネル(29)はチャンバ(C)に接続された長い方のアームとチャネル(A)で終わる短い方のアームとを有する「L」形状を形成し、流れ(V3)はチャネル(A)内のより小さな質量及び寸法の残留物の進入に有利に働くことができ、より大きな質量又は寸法を有する残留物が下方に流れ続けることを可能にする。
【0036】
図6に示される構成を参照すると、残留物(30)、(31)は、(V1)で示される流れに従って下方に押され及び/又は吸引されてチャネル(29)に到達する。一旦チャネル(29)内に入ると、図示例において(31)で示される最も重い残留物は容器(33)内に下向きに向けられる。何故なら、重い残留物に対しては重力(及び推力V1の可能な寄与)が流れ(V3)に関して一般的であり、一方、より軽い残留物及び/又はより小さい残留物(30)は吸引チャネル(A)に向けられるからである。最も重い残留物(31)は、例えば、多分紙材料のより大きな残留物又は接着剤の断片である。最も軽い/最小の残留物(30)は、紙粉、他の材料の粉末などであり得る。
【0037】
言い換えれば、本発明によれば、残留物を分離するための手段を設けることができ、図6の例では、当該手段はチャネル(29)、容器(33)、及び任意的にチャネル(29)上に形成された開口部を含む。
【0038】
図6の構成では、チャネル(A)は吸引チャンバ(C)に対して横方向にオフセットした位置にあり、その結果、吸引口(BA)は横方向である。この構成では、本プラントは、前述のように、チャネル(A)の吸引口(BA)に向かって追加の空気流(V3)を送る手段を備えることができる。この追加の空気流(V3)は、吸引チャンバ(C)を通過しない。前記追加の空気流(V3)の使用は、チャネル(A)の吸引口(BA)と残留物排出チャネル(29)との間の距離が所定の値、例えば10mmより大きい値より大きい場合に有利であると考えられる。
【0039】
チャンバ(C)の壁には、図1に概略的に示されている相対的な作動手段(28)を備えた取り出し可能又は開放可能なドア(27)を設けることができる。ドア(27)は、例えば、ヒンジドア又はスライドドアによって構成することができ、そして相対的な作動手段(28)は、例えば、ハンドホイール、ラック、又は他の適切な装置を備えることができる。前記ドアの存在は、例えば、メンテナンス作業、清掃作業、材料詰まりの排除、及び同様の作業を行う必要がある場合に、機械内部へのアクセスを可能にする。
【0040】
図4により良く示されているように、ログ巻取りステーション(13)に設けられた巻取りローラを作動させる電気モータ(M)、並びに巻き返し機(1)の他のモータは、プロセス残留物によって影響されない領域において、吸込みチャンバ(C)の外部に配置することができる。このようにして、前記モータ(M)はより清浄なゾーンにあり、紙処理の残留物によって影響されない。それどころか、従来のシステムでは、モータ及び関連する冷却フィン又はファンを覆う残留物が存在するために、正しい動作温度を維持することが困難である可能性を考慮して、モータのサイズを決めなければならない。
【0041】
図4は、本発明によるプラント(100)の可能な実施形態を示す。当該システム(100)は、外壁(PE)を備えたキャビン(110)の内側に配置され、外壁(PE)はキャビンを分離し、プラントを収容する工業建物(111)の残りの部分から分離する。このようにして、紙加工プラント(100)全体の封じ込めチャンバが形成される。紙加工プラント(100)は、複数の機械(1、101、102)から構成されている。
【0042】
図4では、機械(1)は巻き返し機であり、他の機械(101)及び(102)は概略ブロックで表されている。機械(101)及び(102)は、例えば、エンボッサ、印刷ユニット、巻き出しユニット等であってもよい。より一般的には、プラントに配設される機械は、1つ以上の巻き出し操作、圧延操作、エンボス加工操作、丁合操作、印刷操作、又は切断操作からなるウェブ紙材料(W)の物理的変換を実行するように構成された機械である。
【0043】
エンボス加工は、単一ユニットで紙材料のサイジング処理と組み合わせることができる。印刷は、材料(W)をエンボス加工する機械であるエンボス加工機の上流に配置された印刷ユニットによって行うことができる。ログは、巻き返し機によって製造されたログを切断する切断機を使用して切断することができる。
【0044】
前記キャビン(110)の内部では、巻き返し機(1)が前述のように吸引チャンバ(C)を形成するように壁(P)によって画定され、他の機械(101、102)には簡略化のために図示されていない同様の封じ込めチャンバを設けることができる。実際には、プラント(100)を形成する1つ以上の紙加工機が実質的に閉鎖されたチャンバ(すなわち、処理される材料の入口及び出口に使用される開口部に対応してのみ開放される)を備えることができ、このチャンバ内で、残留物が有利に収集及び/又は除去され得る特定の点又は領域に残留物を運ぶために、外部環境に対して吸引作用が生成される。
【0045】
残留物の封じ込め及び回収は、図中の矢印によって概略的に表される空気流の特定の配置によって、増加させかつ最適化することができる。矢印(F1)は建物(111)-機械(1)の方向における空気流を示し、矢印(F2)はキャビン(110)-機械(1)の方向における空気流を示し、一方、矢印(F3)は、建物(111)-キャビン(110)の方向における空気流を示す。実際には、吸引手段及び吸引チャンバを画定する壁が残留物を所望の方向に沿って移動させることができるか、又はそれらを上述のチャネル吸引(A)として収集及び/又は引き出し点に向けることができる圧力差を決定する。また、キャビン(110)の構造及び機械(101、102)を収容する空間の構造において、壁(P)は、モータ(M)をそれぞれの吸引チャンバの外側に維持するように配置することができる。
【0046】
機械(101、102)は図4の例のように、単一のキャビン(110)内に機械(1)と一緒に収容することができ、又はプラントを形成する各機械にキャビンを設けることができる。
【0047】
本発明の別の態様は、残留物の下方移動を決定する流れの有利な分配に関し、特に格納チャンバ(C)内のウェブ(W)によって画定される2つのゾーンへの流れのバランスのとれた分割に関する。
【0048】
図1において、処理される紙材料のウェブ(W)は、チャンバ(C)全体を2つのハーフチャンバ(C1)及び(C2)に分割し、したがって、それらは図1の左側に配置されそして図2の右側に配置される。これに対応して、吸引チャネル(A)がハーフチャンバ(C1)及び(C2)の両方と連通しているという事実に起因して、下方に向けられた空気の垂直流は、図2に示すように、第1又は左の空気流(VS)と第2又は右の空気流とに分割することができる。
【0049】
前記流れ(VS)及び(VD)は、それぞれ、ログ(3)を形成するためのステーションに対して図面の左側及び右側を通過する。ウェブ(W)が到来する方向(WP)に関してステーション(13)の上流では、第1の空気流(VS)はコア(2)の入口領域(12)を通過し、それに対応して、第2の流れ(VD)はステーション(13)の下流に位置するログ(3)の取り出し領域(14)を通過する。
【0050】
上述したように、前記領域に配置された巻き返し機(1)の構成要素は、下降流(VS)と(VD)とを区別しないような大きさ及び形状にすることができる。それらの可能な実施形態の1つが、図7に概略平面図で示されている。
【0051】
図7において、ブロック(13)は、上流ゾーン(入口ゾーン12)を下流ゾーン(出口領域14)から分割するログ(3)を形成するためのステーションを表す。図7の上部にある上流ゾーンはチャンバ(C1)の下部に対応し、このチャンバ(C1)は図では壁(P)によって上部で、ステーション(13)によって底部で画定されている。図7の下部に位置する下流ゾーンはチャンバ(C2)の下部に対応し、このチャンバ(C2)はステーション(13)によって上部で、壁(P)によって底部で画定されている。
【0052】
巻取りステーション(13)の上流の領域(図7の上部)では、チャンバ(C1)の下部は複数のガイド(120)と交差しており、これらのガイドはベルト(122)の上方に位置するために平面図で見ることができる。ガイド(120)及びベルト(122)は巻取りステーション(13)に向けられたコア(2)を支持するために、それ自体公知の方法で互いに離間され、そして自由空間(121)が形成される。その下向き経路内の流れ(VS)は、ログ形成ステーション(13)の上流のコアの入口部分(12)の空間(121)を通過する。
【0053】
ステーション(13)の下流に位置する領域(図7の底部)では、チャンバ(C2)の下部はログ(3)を取り出すために使用されるシュート(140)によって下方に画定される。有利には、シュート(140)には空気流(VD)の通過のための複数の孔(141)が設けられ、孔(141)の全面は入口部分(12)の前記自由空間(121)の面積の合計に実質的に対応する。このようにして、コアの入口部分及びチャンバ(C)内のログの排出セクションをそれぞれ流れる2つの流れ(VS)及び(VD)の通過は実質的に同じ程度に妨げられ、したがって、2つの流れ(VS)と(VD)との間には水平方向の感知可能な速度勾配は存在しない。
【0054】
言い換えれば、本発明のプラントオブジェクトは、ハーフチャンバ(C1)及び(C2)内の垂直空気流(VS、VD)を制御するための手段を備えており、この制御手段は、ハーフチャンバ(C1)及び(C2)内の等しい流体の流れを決定することができ、したがってテープ(W)の2つの側面上の同一の流体の相互作用を決定することができる。有利には、水平方向におけるゼロ勾配は処理されるウェブの処理に悪影響を及ぼすことなく、最適な残留物吸引を可能にする。
【0055】
ハーフチャンバ(C1)及び(C2)内の空気流を制御するための手段は、それらがハーフチャンバ(C1)及び(C2)内の同じ流体の空気の垂直流(VS、VD)を決定することができるという条件で、上記で開示されたものとは異なるように作ることもできる。
【0056】
本発明によれば、垂直空気流(VS、VD)の制御は、ログ形成ステーション(13)の上流のコアの入口部分と同じ形成ステーション(13)の下流のログを取り出す部分とにそれぞれ設けられた開口部(121、141)を介して達成可能であり、これらの開口部(121、141)はハーフチャンバ(C1、C2)内のステーション(13)の上流と下流の空気の同じ垂直流量(VS、VD)を決定するように寸法決めされており、その結果、チャンバ(C)内のウエブ(W)の2つの側に空気によってかけられる圧力が実質的に同じになる。前述のように、孔(141)の総面積は、吸引チャンバ(C)内の開口部(121)の総面積に実質的に対応する。
【0057】
本発明は開示され図示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7