(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】3次元織物又は編物と固定要素とを含むタイヤのためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B29D 30/38 20060101AFI20221025BHJP
B29D 30/46 20060101ALI20221025BHJP
B60C 9/04 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B29D30/38
B29D30/46
B60C9/04 C
(21)【出願番号】P 2020521879
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 FR2018052604
(87)【国際公開番号】W WO2019077282
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】コルニイユ リシャール
(72)【発明者】
【氏名】リモザン バスチアン
(72)【発明者】
【氏名】リゴ セバスチャン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-502571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0361791(US,A1)
【文献】国際公開第2017/103491(WO,A1)
【文献】特表2019-502587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0361790(US,A1)
【文献】国際公開第2017/103490(WO,A1)
【文献】特表2018-519208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194169(US,A1)
【文献】国際公開第2017/005713(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/38
B29D 30/46
B60C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(4)のためのサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)であって、
第1の構造体(10)、第2の構造体(12)、及び支持構造体(14)を含むアセンブリを提供する段階であって、
前記第1の構造体(10)が、フィラメント状要素によって形成され、かつ第1の軸線(11)を定める第1の方向に延びる長手縁部(10a、10b)を有し、
前記第2の構造体(12)が、フィラメント状要素によって形成され、かつ第2の軸線(13)を定める第2の方向に延びる長手縁部(12a、12b)を有し、
前記支持構造体(14)が、前記第1の構造体(10)及び前記第2の構造体(12)をつなぐ支持フィラメント状要素を含む、段階と、
前記第1の軸線(11)及び前記第2の軸線(13)が実質的に平行であるように前記第1の構造体(10)を前記第2の構造体(12)上に位置決めする段階(S1)と、
前記第1の構造体(10)を前記第2の構造体(12)に対して定位置に保持し、かつアセンブリ(1)を取得するために該第2の構造体(12)に対する該第1の構造体(10)のいずれの移動も防止するように、固定要素(18)を使用して該第1の構造体(10)を該第2の構造体(12)の上にしっかりと固定する段階(S4)と、
前記固定要素(18)を前記アセンブリ(1)の残りから分離し、かつ固定要素(18)のない少なくとも1つのサブアセンブリ(3)を取得するように、該固定要素(18)に沿って該アセンブリ(1)を切断する段階(S5)と、
を含むことを特徴とする方法(S)。
【請求項2】
前記固定する段階(S4)の前に、前記第1の軸線(11)及び前記第2の軸線(13)が重ね合わされる段階(S2)を更に含む、請求項1に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項3】
前記第1の構造体(10)及び前記第2の構造体(12)の各々が、それらのそれぞれの長手縁部(10a、10b、12a、12b)に対して横断方向に延びる横断縁部(10c、12c、10d、12d)を含み、
方法が、前記固定する段階(S4)の前に、前記第1の構造体(10)の前記横断縁部(10c、10d)及び前記第2の構造体(12)の該横断縁部(12c、12d)が重ね合わされる段階(S3)を更に含む、請求項1又は2に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項4】
前記第1の構造体(10)は、2つの対向する横断縁部(10c、10d)を有し、該横断縁部は、該第1の構造体の前記長手縁部(10a、10b)に対して横断方向に延び、該第1の構造体(10)の長さ(L)が、該第1の構造体(10)が扁平に置かれた時にその横断縁部(10c、10d)間の短い方の距離に等しく、該第1の構造体(10)は、その長さ(L)の全て又は一部にわたって前記第2の構造体(12)の上に固定される(S4)、請求項1から3のうちの1項に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項5】
前記第1の構造体(10)は、その長さ(L)の全て又は一部にわたって前記第1の軸線(11)と平行な方向に前記第2の構造体(12)の上に固定される(S4)、請求項4に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項6】
前記第1の構造体(10)は、その長さ(L)の少なくとも50%にわたって前記第2の構造体(12)の上に固定される(S4)、請求項5に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項7】
前記第1の構造体(10)は、前記固定要素(18)が、互いの延長に延びる少なくとも2つの隣接セグメントを含むように、前記第2の構造体(12)の上に非連続的に固定される(S4)、請求項6に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項8】
前記第1の構造体(10)は、接着、溶接、縫い合わせのうちの少なくとも1つを使用して前記第2の構造体(12)の上に固定される(S4)、請求項1から7のうちの1項に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項9】
前記第1の構造体(10)は、少なくとも2つの異なる固定要素(18)を使用して前記第2の構造体(12)にしっかりと固定される(S4)、請求項1から8のうちの1項に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【請求項10】
前記切断する段階(S5)は、
前記固定要素(18)を第1の切断線に沿って切断し、固定要素(18)なしに前記サブアセンブリ(3)を取得するサブステップと、
前記固定要素(18)を第2の切断線に沿って切断し、それを前記アセンブリ(1)の残りから分離して第2のサブアセンブリ(3)を形成するサブステップと、
を含む、
請求項1から9のうちの1項に記載のサブアセンブリ(3)を製造する方法(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、車両、典型的に自家用乗用車、二輪車、重量物トラック、農業又は土木車両、又は飛行機のための又はより一般的にあらゆる回転デバイスのためのタイヤの分野に関する。より具体的には、本発明は、そのようなタイヤの扁平化に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ4は、リム上に装着され、膨張ガスによって加圧され、かつ負荷の作用の下で地面上で扁平化されるように意図されるトロイダル(円環)構造体である。
【0003】
タイヤ4の例を示す
図1に見ることができるように、タイヤ4は、走行面(すなわち、地面との接触に入るように意図される面)、走行平面(すなわち、回転軸Y-Y’に垂直であり、走行面と交差する平面)、円周軸線X-X’(走行面に対して正接である走行平面の軸線に対応する)、及び半径方向軸線Z-Z’(タイヤ4の回転軸Y-Y’に対して横断方向の軸線に対応し、回転軸Y-Y’と交差する)を有する。
【0004】
それ自体公知であるように、タイヤ4は、回転軸Y-Y’からその走行面までカーカス、カーカス3の半径方向外側に配置されたクラウン、及びトレッド7を含む。
【0005】
カーカスは、カーカス補強要素を含むカーカス層を含む回転構造体である。カーカス補強要素は、所与の方向に互いに実質的に平行であり、かつタイヤ4の円周軸線と65°よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは80°よりも大きいか又はそれに等しく、ここではより優先的に90°に実質的に等しい角度を形成する。カーカス補強要素は、取りわけ、例えば互いに290回転、巻かれた2つの144テックスポリエステル糸を含む織物フィラメント状補強要素を含むことができる。
【0006】
クラウン6は、カーカスの半径方向外側に配置された回転構造体であり、かつ2つの作動層及び1つのフープ層を含む。
【0007】
各作動層は、作動補強要素を含む。作動補強要素は、方向が互いに実質的に平行であり、かつタイヤ4の円周軸線との15°~40°の範囲、好ましくは20°~30°の範囲、ここでは26°に等しい角度を形成する。作動補強要素は、1つの作動層から別のものまで交差している。それらは、取り分け、金属フィラメント状補強要素、例えば、2×0.30mm構造のケーブルを含むことができる。
【0008】
フープ層は、作動層の半径方向外側に配置され、かつタイヤ4の周方向との最大で10°に等しく、好ましくは5°~10°の範囲、ここでは5°に等しい角度を形成する互いに実質的に平行なフープフィラメント状補強要素を含む。フープ補強要素は、例えば、互いに315回転、巻かれた2つの167テックスアラミド糸を含む織物フィラメント状補強要素を含むことができる。
【0009】
トレッド7は、クラウンの半径方向外側に配置され、かつ地面との接触に入るように意図している。従って、走行面は、トレッドの半径方向外側面の全て又は一部に対応する。
【0010】
カーカス層、作動層、及びフープ層は、1又は2以上のポリマー組成物、例えば、対応する補強要素が埋め込まれる少なくとも1つのエラストマー、好ましくはジエン系、例えば天然ゴムを含むエラストマー組成物に生成される。
【0011】
トレッド7は、ポリマー組成物、例えば、少なくとも1つのエラストマー、好ましくはジエン系、例えば天然ゴムを含むエラストマー組成物に生成される。
【0012】
タイヤ4の扁平化を改善するために、カーカスの全て又は一部は、第1のフィラメント状要素によって形成された第1の構造体と、第2のフィラメント状要素によって形成された第2の構造体と、第1の構造体及び第2の構造体をリンクする支持フィラメント状要素を含む支持構造体とを含むアセンブリで置換されることが提案されている。第1の構造体及び第2の構造体は、例えばカレンダー仕上げにより、エラストマー組成物、典型的にゴムで被覆する又はそれで含浸することができる。
【0013】
このアセンブリは、例えば、3次元織物又は3次元編物によって形成することができる。取り分け、アセンブリ及びそれらの製造方法の例を説明する本出願人名義の国際公開第2017/103491号及び国際公開第2017/103490号を参照することができる。
【0014】
そのようなアセンブリは、タイヤ4が負荷を受ける時にトレッドの扁平化を有意に改善することを可能にする。
【0015】
しかし、本出願人は、アセンブリの上部構造体及び底部構造体がタイヤ4内で完全に位置合わせされた時にトレッドの扁平化が更に改善されることを見出した。ここで、アセンブリのハンドリングにおいて、構造体の一方が他方に対して摺動し、従って支持構造体がその時に緊張しておらず、そのためにそれらの相対移動を従って防止することができなかったということは一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】国際公開第2017/103491号
【文献】国際公開第2017/103490号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の1つの目的は、アセンブリ及びタイヤの製造を全く減速することなく簡単、効率的、及び廉価な方法でアセンブリの第1の構造体及び第2の構造体の位置合わせの困難を克服することを可能にし、かつトレッドの扁平化を有意に改善するタイヤが取得されることを保証することを可能にする新しいアセンブリ、関連の生成方法及びタイヤ、及びそのようなタイヤを製造する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのために、本発明は、以下の段階を含むタイヤのためのサブアセンブリを製造する方法を提案する。
-第1の構造体、第2の構造体、及び支持構造体を含むアセンブリを与える段階、
-第1の構造体は、フィラメント状要素によって形成され、かつ第1の軸線を定める第1の方向に延びる長手縁部を有し、
-第2の構造体は、フィラメント状要素によって形成され、かつ第2の軸線を定める第2の方向に延びる長手縁部を有し、
-支持構造体は、第1の構造体及び第2の構造体をつなぐ支持フィラメント状要素を含み、
-第1の軸線及び第2の軸線が実質的に平行であるように第1の構造体を第2の構造体上に位置決めする段階、
-第1の構造体を第2の構造体に対して定位置に保持し、かつアセンブリを取得するために第2の構造体に対する第1の構造体のいずれの移動も防止するために、固定要素を使用して第1の構造体を第2の構造体の上にしっかりと固定する段階、及び
-固定要素をアセンブリの残りから分離し、かつ固定要素なしに少なくとも1つのサブアセンブリを取得するために、アセンブリを固定要素に沿って切断する段階。
【0019】
個々に又は組合せで考える上述の製造方法の一部の好ましいが非限定的な特徴は、以下の通りである。
-本方法は、固定する段階の前に、第1の軸線及び第2の軸線が重ねられる段階を更に含み、
-第1の構造体及び第2の構造体の各々は、それらのそれぞれの長手縁部に対して横断方向に延びる横断縁部を含み、本方法は、固定する段階の前に、第1の構造体の横断縁部及び第2の構造体の横断縁部が重ねられる段階を更に含み、
-第1の構造体は、2つの対向する横断縁部を有し、横断縁部は、第1の構造体の長手縁部に対して横断方向に延び、第1の構造体の長さは、第1の構造体が扁平である時にその横断縁部間の短い方の距離に等しく、第1の構造体は、その長さの全て又は一部にわたって第2の構造体の上に固定され、
-第1の構造体は、その長さの全て又は一部にわたって第1の軸線に平行な方向に第2の構造体の上に固定され、
-第1の構造体は、その長さの少なくとも50%にわたって第2の構造体の上に固定され、
-第1の構造体は、固定要素が互いの延長に延びる少なくとも2つの隣接セグメントを含むように第2の構造体の上に非連続的に固定され、
-第1の構造体は、スポット又は直線セグメントに沿って第2の構造体の上に固定され、
-第1の構造体は、以下の技術:接着、溶接、縫い合わせのうちの少なくとも1つを使用して第2の構造体の上に固定され、
-第1の構造体は、少なくとも2つの異なる固定要素を使用して第2の構造体にしっかりと固定され、
-第1の構造体は、互いに実質的に平行に延びる少なくとも2つの固定要素に沿って第2の構造体の上に固定され、
-切断する段階は、以下のサブステップ:第1の切断線に沿ってアセンブリを切断する段階、固定要素なしにサブアセンブリを取得するように固定要素を第1の切断線に沿って切断する段階、及び固定要素を第2の切断線に沿って切断し、それをアセンブリの残りから分離して第2のサブアセンブリを形成する段階を含み、
-アセンブリを第1の切断線に沿ってかつ第2の切断線に沿って切断するサブステップは、同時に実行される。
【0020】
第2の態様により、本発明はまた、回転軸を有し、かつ
-上述のような製造方法に従って取得されたサブアセンブリと
-第1の構造体の内面によってかつ第2の構造体の内面によって半径方向に境界が定められた環状空間と、
を含むタイヤを提案する。
【0021】
他の特徴、目的、及び利点は、以下の詳細説明を読み、かつ非限定的な例として与える添付図面を見る時により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】印加された負荷及び圧力の欠如状態で表された本発明の実施形態によるタイヤの生成の例の斜視部分断面図である。
【
図2】アセンブリの支持構造体が省略された本発明の実施形態によるアセンブリの生成の例の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態によるタイヤを製造する方法の段階を示す流れ図である。
【
図4a】本発明による製造方法に使用することができる固定要素に沿った断面図である。
【
図4b】本発明による製造方法に使用することができるアセンブリの生成の第1の例の斜視図である。
【
図5a】本発明による製造方法に使用することができる固定要素に沿った断面図である。
【
図5b】本発明による製造方法に使用することができるアセンブリの第2の例示的実施形態の斜視図である。
【
図6a】本発明による製造方法に使用することができる固定要素に沿った断面図である。
【
図6b】本発明による製造方法に使用することができるアセンブリの第3の例示的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
アセンブリ1
アセンブリ1は、
-フィラメント状要素によって形成された第1の構造体10、
-フィラメント状要素によって形成された第2の構造体12、及び
-第1の構造体10及び第2の構造体12をつなぐ支持フィラメント状要素を含む支持構造体14、
を含む。
【0024】
使用することができるこれらの3つの構造10、12、14を含むアセンブリ1の例は、例えば、上述の国際公開第2017/103490号及び国際公開第2017/103491号に詳細に説明されている。
【0025】
より具体的には、第1の構造体10は、全体的に台形(例えば、平行六面体又は矩形)であり、第1の軸線11を定める第1の方向に延びる第1の長手縁部10a、第1の長手縁部10aの反対側の第2の長手縁部10b、及び第1及び第2の長手縁部10a、10bに対して横断方向に延びる2つの対向する横断縁部10c、10dを有する。
【0026】
同様に、第2の構造体12は、全体的に台形(例えば、平行六面体又は矩形)であり、第2の軸線13を定める第2の方向に延びる第1の長手縁部12a、第1の長手縁部12aの反対側の第2の長手縁部12b、及び第1及び第2の長手縁部10a、10bに対して横断方向に延びる2つの対向する横断縁部10c、10dを有する。
【0027】
一実施形態では、第1の構造体10及び第2の構造体12は、ワープフィラメント(第1及び第2の構造体10、12のフィラメント状要素)及びウェフトフィラメントの織り合わせによって形成された織物を含むことができる。従って、アセンブリ1は、3次元織物である。
【0028】
変形例として、第1の構造体及び第2の構造体10、12は、編物を含むことができ、その場合に、アセンブリ1は、3次元編物である。
【0029】
製造変形例が何であれ、第1及び/又は第2の構造体10、12の織物の織り方は、キャンバス、サージ、編物、又はサテンとすることができる。タイヤ4のためのアセンブリ1の場合に、キャンバスタイプの織り方は、良好な機械的動作レベルを達成することを可能にする。
【0030】
更に別の変形例により、第1の構造体及び第2の構造体10、12からの一方は、織物を含み、第1の構造体及び第2の構造体10、12からの他方は、次に、編物を含むことができる。
【0031】
典型的に、アセンブリ1は、3次元織物又は例えばPILE FABRICS GmbH社によって販売された二重壁織地PF-Farbrtdoller-GR3-7103_01、HEATHCOAT FABRICS Limited社によって販売された編物N-02570-A01のような単壁又は二重壁キャンバス織りタイプの編まれた編物を含むことができる。
【0032】
アセンブリ1は、第1の構造体10を第2の構造体12の上にしっかりと固定する固定要素18を更に含み、それによって第1の軸線11及び第2の軸線13が平行であるようにそれらのそれぞれの移動を防止する。勿論、この構成で第1の構造体及び第2の構造体10、12は互いに固定されることは理解されるであろう。
【0033】
好ましくは、第1の軸線11及び第2の軸線13は、更に重ね合わされ、及び/又は第1の構造体及び第2の構造体12の第1及び第2の横断縁部10a、12a、10b、12bは、それぞれ重ね合わされる。重ね合わされるとは、第1の軸線11及び第2の軸線13(それぞれ、第1及び第2の横断縁部10a、12a、10b、12b)は、第1の軸線11(それぞれ、第1の横断縁部10a又は第2の横断縁部10b)を通る平面に対応し、第1の構造体10が平坦面上に平坦に配置された時に第1の構造体10の面に直角である決定された平面に属することを意味することがここで理解されるであろう。
【0034】
第1の軸線11及び第2の軸線13の位置合わせ公差及び縁部(長手方向10a、12a、10b、12b及び/又は横断方向10c、12c、10d、12d)の重畳公差は、2ミリメートル未満又はそれに等しく、好ましくは1ミリメートル未満又はそれに等しい。
【0035】
一実施形態では、一方で第1の軸線11及び第2の軸線13と他方で第1の構造体10及び第2の構造体12の横断縁部10c、10d、12c、12dとの両方は、第1の構造体及び第2の構造体10、12が完全に重ね合わされ、かつ位置合わせされる(2ミリメートル未満又はそれに等しく、好ましくは1ミリメートル未満又はそれに等しい公差で)ように重ね合わされる。この更に別の位置合わせは、アセンブリ1のハンドリングの全体を通して少なくともそれがその確実な固定を可能にする固定要素18に起因してタイヤ4構築ドラム5上にあるまで保証される。
【0036】
固定要素18は、以下の要素、すなわち、接着剤18(例えば、
図6a及び
図6bに示すように)、溶接線18(例えば、
図5a及び
図6bに示すように)、及び/又は縫い糸18(例えば、
図4a及び
図4bに示すように)のうちの少なくとも1つを含むことができる。1つのかつ同じアセンブリ1内のこれらの要素の組合せも勿論想定することができる。
【0037】
好ましくは、接着剤18は、産業視点から非侵襲性接着剤を含む。例えば、接着剤18は、例えば、loctite3421 A&Bのような接着剤を含むことができる。接着剤のタイプに応じて、接着剤の重合段階を想定することができる。接着剤18は、次に、
図6a及び
図6bに示すようにスポットで又は直線的に付加することができる(図では見えない)。
【0038】
例えば、溶接線18は、超音波溶接により、加熱ブレードにより、レーザにより、又は高周波によって生成することができる。
図5a及び
図5bにおいて、溶接線18は、連続線である。しかし、それは限定ではなく、溶接線18は、以下に見ることができるように不連続とすることができる。
【0039】
縫い合わせは、接着温度に耐えることができる糸18を使用して行うことができる。従って、好ましくは、縫い糸は、200℃よりも高い融点を有する。典型的には、一部のポリアミド及びポリエステルを使用することができる。縫い糸18は、次に、第1の構造体10のフィラメント状要素及び第2の構造体12のフィラメント状要素とそれらをしっかりと固定して維持するように織り合わされる。織り合わせの例は、例えば、
図4a及び
図4bに示されている。この例では、織り合わせは、規則的なピッチに従って行われるが、不規則又は周期的なピッチも想定することができる。
【0040】
一実施形態では、固定要素18は、第1の軸線11及び第2の軸線13に平行な軸線に沿って延びる。以下に見ることができるように、固定要素18のそのような構成は、次に、タイヤ4を生成するためにサブアセンブリ3 1の生成中のアセンブリ1の落下を制限することを可能にする。
【0041】
全ての場合に、固定要素18は、確実なものとすることができ、すなわち、それは、アセンブリ1の生成において通常のハンドリングを受けた時に、そのハンドリング、リム上へのその配置において破断しない。更に、固定要素18は、好ましくは、第1の構造体及び第2の構造体10、12に対して固定され、非弾性である(すなわち、長さは、通常の使用状態では一定である)。
【0042】
固定要素18は、第1及び第2の構造体10、12の横断縁部間で連続的又は非連続的に延びることができる。
【0043】
連続的とは、固定要素18が、第1の構造体10が扁平である時に(第1の構造体10の横断縁部10c、10d間の最小距離に対応する)第1の構造体10の全ての長さLにわたって(あるいは、より簡単には、第1の構造体10が平行六面体又は矩形である時に長手縁部10a、10bの長さLまで)延びることを意味することがここで理解されるであろう。
【0044】
不連続とは、固定要素18が、第1の構造体10の長さLの一部だけにわたって、好ましくは長さLの少なくとも50%にわたって延びることを意味することがここで理解されるであろう。この場合に、例えば
図2に示すように、固定要素18は、好ましくは、距離19bによって分離された少なくとも2つの隣接セグメント19aを含む。アセンブリ1がハンドリングされている時でさえも、第1の構造体10及び第2の構造体は、アセンブリ1の全ての点で完全に位置合わせされて重ね合わされたままであることを保証するために、距離19bは、特に、最大で1メートルに等しいとすることができる。一実施形態では、距離19bは、1メートル未満、好ましくは75cm未満である。セグメント19aは、スポットセグメントとすることができ、すなわち、大きい方の寸法は、数ミリメートルの程度又は直線的であり、すなわち、大きい方の寸法は、数センチメートル又は更に数メートルに等しい。少なくとも第1の構造体10の長さLの50%を覆うために、固定要素18のセグメント19aの数は、寸法が減少する時に増加することは理解されるであろう。
【0045】
固定要素18の幅y3(第1の構造体10の平面内のかつ第1の構造体10の長手縁部10a、10bに直角な方向に延びる寸法)は、第1の構造体10の長さLにわたって連続的である又は可変とすることができる。しかし、連続幅y3は、工業的に生成するのがより容易である。
【0046】
固定要素18は、第1の構造体10の長手縁部10a、10bの一方に沿ってかつ隣接して、又は変形例として長手縁部10a、10bから距離を置いて延びることができる。
【0047】
更に、サブアセンブリ3 1に望ましい幅y2に応じて、アセンブリ1は、1又は2以上の固定要素18を含むことができる。
【0048】
固定要素18の幅y3及び第1の構造体10の幅y1は、当業者によって簡単に決定することができ、取り分け、以下に依存する。
-アセンブリ1において生成されるサブアセンブリ3の幅y2に依存する。典型的には、幅y2が第1の構造体10の横断縁部10c、10dの幅y1の半分よりも大きいサブアセンブリ3をオペレータが取得したい時に、固定要素18の幅y3は、第1の構造体10の幅y1とサブアセンブリ3の幅y2との差に最大で等しいとすることができることになる(取得されるサブアセンブリ3 1のデバリングS6の可能性を保証するためにマージンを設けるように想定することが可能であることを念頭に置かれたい)。同様に、オペレータがn個のサブアセンブリ3を取得したい時に、アセンブリの幅y1は、合計n*y2+(n-1)*y3に少なくとも等しいように選択され、y2は、サブアセンブリ3に望ましい幅であり、y3は、固定要素18に必要な幅であることを想起されたい。実際に、ドロップを低減するために、第1の構造体10の幅y1は、合計n*y2+(n-1)*y3に実質的に等しいように選択される。
-使用される固定要素18のタイプに依存する。
-固定要素18の連続又は不連続的な性質及び適用可能な場合は固定要素18の2つのセグメント19a間の距離19bに依存する。
【0049】
任意的に、第1の構造体10及び第2の構造体12の外面(すなわち、第1の構造体及び第2の構造体10、12の間に形成された空間2の反対側の面)は、エラストマー組成物で含浸させることができる。
【0050】
アセンブリ1を生成する方法S0
そのようなアセンブリ1を生成する段階S0の例をここで以下に説明する。
【0051】
第1の段階S1中に、第1の構造体10、第2の構造体12、及び支持構造体14を含むセットを供給する。このセットは、一般的に、それ自体公知のように予め生成され、及び/又は例えばPILE FABRICS GmbH社又はGIRMES INTERNATIONAL GmbH社からロール形態で供給することができる。
【0052】
セットがロールの形態で供給される場合に、セットは、第1の構造体及び第2の構造体10、12からの1つが支持面上に位置付けられるように巻き出されて平坦に配置される。この位置では、第1の構造体10及び第2の構造体12は、従って、支持面上に積み重ねられ、支持構造体14のフィラメント状要素は、第1及び第2の構造体12のフィラメント状要素と既に織り合わせされている。
【0053】
第2の段階S2中に、第1の構造体10及び第2の構造体12の位置は、第1の軸線11及び第2の軸線13が平行であり、かつ必要に応じて重ね合わされるように調節される。任意的に、第3の段階S3中に、それらの位置はまた、第1の横断縁部10c、12c及び/又は第2の横断縁部10d、12dが重ね合わされるように調節される。
【0054】
好ましくは、第1の構造体及び第2の構造体10,12の位置は、第1の軸線11及び第2の軸線13が平行であって重ね合わされるように、かつ第1の横断縁部10c、10d及び第2の横断縁部12c、12dが重ね合わされるように調節される。勿論、段階S1、S2、及びS3は、同時に又は連続して実行することができ、その場合に、これらの段階S1、S2、及びS3は、本発明の範囲から決して逸脱することなく異なる順序で実行することができることは理解されるであろう。
【0055】
これらの段階S1、S2及び/又はS3では、第1の構造体及び第2の構造体10、12は、全ての長さLにわたって扁平とすることができ、又は変形例としてセットは、部分的にのみ巻き出すことができ、セットの残りは、本方法S0の第3の段階中に必要に応じて巻き出される。
【0056】
第4の段階S4中に、第1の構造体及び第2の構造体10、12は、それぞれの移動を防止するように少なくとも1つの固定要素18によってしっかりと固定される。
【0057】
第1の構造体及び第2の構造体10、12は、それぞれの移動を防止するために単一固定要素18によってしっかりと固定することができる。変形例として、第1の構造体及び第2の構造体10,12は、いくつかの異なる固定要素18によってしっかりと固定することができる。この場合に、異なる固定要素18は、好ましくは、アセンブリ1から製造される可能性が高いサブアセンブリ3の数を最適化するために互いに平行に延びる。
【0058】
固定する段階S4は、接着によって(その場合に、固定要素18は、接着剤18を含む)(例えば、
図6a及び
図6bを参照されたい)、超音波溶接によって(その場合に、固定要素18は、溶接線18を含む)(例えば、
図5a及び
図5bを参照されたい)、及び/又は縫い合わせによって(その場合に、固定要素18は縫い糸18を含む)(例えば、
図4a及び
図4bを参照されたい)行うことができる。
【0059】
変形例として、段階S1~S4は、第1の構造体及び第2の構造体10,12が完全に位置合わせされることを保証し、かつ位置合わせ困難を生じる可能性が高い巻き取り及び巻き出し作動を回避するために、セットの生成に使用される織機において織工によって直接に実行することができる。
【0060】
任意的に、第1の構造体10及び第2の構造体12の外面は、例えばカレンダー仕上げにより、エラストマー組成物、典型的にはゴムで含浸させることができる。この含浸は、固定要素18により、第1の構造体及び第2の構造体12の確実な固定段階S4の後に行うことができる。
【0061】
適切である場合に、アセンブリ1は、次に、その使用の前のその保管のためにシリンダの周りでハンドリングされ、取り分け、巻き取ることができる。このハンドリングは、取り分け、第2の構造体12との第1の構造体10の確実な固定段階によって容易にされ、これは、構造体10、12の一方の他方12、10に対するいずれの滑りも防止する。
【0062】
タイヤ4を製造する方法
このようにして取得されたアセンブリ1は、取り分け、タイヤ4の製造に使用することができる。
【0063】
そのために、第5の段階S5中に、固定要素18は、例えば切断により、第1の構造体及び第2の構造体12から分離される。
【0064】
固定要素18の切断段階は、第1の構造体10の全ての長さLにわたって固定要素18のいずれかの側でアセンブリ1を例えば同時に又は連続的に切断することにより、単一段階又はいくつかの段階で実行することができる。
【0065】
切断段階S5の後に、次に、第1の構造体10の長手縁部10a、10bの一方から固定要素18まで延びる第1の構造体10、第2の構造体12、及び支持構造体14の一部を含む少なくとも1つのサブアセンブリ3 1が取得される。
【0066】
アセンブリ1がいくつかの固定要素18を含む時に、これらの固定要素18は、いくつかのサブアセンブリ3を形成するように同時に又は連続的にアセンブリ1の残りから分離S5することができる。
【0067】
任意的な第6の段階S6中に、1又は複数のサブアセンブリ3は、デバリングすることができる。
【0068】
第7の段階S7中に、このようにして取得されたサブアセンブリ3のうちの1つは、次に、タイヤ4を生成するために構築ドラム5上に置くことができる。
【0069】
固定要素18を使用する第1及び第2の構造体10、12の確実な固定段階は、たとえ除去が配置の前に行われたとしても第2の構造体12に対する第1の構造体10の正しい位置決めをそれらが構築ドラム5上に置かれるまで保証することを可能にし、第2の構造体12に対する第1の構造体10(あるいは、その逆)の滑りのリスクは、主としてアセンブリ1のハンドリング及び保管に起因することに特に注意されたい。
【0070】
第8の段階(
図1を参照されたい)中に、第1の構造体10の内面及び第2の構造体12の内面によって半径方向に境界が定められた環状空間2が形成される。環状空間2は、例えば、膨張によって形成することができる。第9の段階中に、タイヤ4は、次に、クラウン及びトレッドを追加し、続いてそれらを固定することによって形成される。クラウン6及びトレッド7は、従来通りとすることができる。
【0071】
そのようなアセンブリ1を用いてタイヤ4を製造するための手段に関するより多くの詳細に関して、取り分け、上述の国際公開第2017/103490号及び国際公開第2017/103491号を参照することができるであろう。
【符号の説明】
【0072】
1 アセンブリ
10 第1の構造体
12 第2の構造体
18 固定要素
19a 隣接セグメント