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特許7164612射出成形機用の型締ユニット並びに力伝達要素をロックするための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】射出成形機用の型締ユニット並びに力伝達要素をロックするための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20221025BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20221025BHJP
   B29C 33/22 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B29C45/64
B22D17/26 A
B29C33/22
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020535163
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2018086444
(87)【国際公開番号】W WO2019129670
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】102017223822.4
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510332006
【氏名又は名称】アールブルク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥフナー、エバーハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチャー、ライナー
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-507499(JP,A)
【文献】米国特許第3449795(US,A)
【文献】特表2002-544006(JP,A)
【文献】特開2010-052141(JP,A)
【文献】特開2016-107306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252955(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
B29C 33/22
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックや他の可塑化可能材料を加工するための射出成形機用の型締ユニットであって、
- 定置の型支持体(10)と、
- 自らと定置の型支持体(10)の間に射出成形型(M)を受容するための型締付空間(R)を構成し且つ射出成形型(M)を開閉するために閉鎖方向(s-s)に沿って可動である、定置の型支持体(10)に対して相対的に可動の型支持体(11、11’)と、
- 可動の型支持体(11、11’)を、これらの型支持体(10、11;11’)の間に受容された射出成形型(M)の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置(13、13’)と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体(1111’10)と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体(1111’10)から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体(101111’)に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分(14a)を有する少なくとも1つの力伝達要素と、
- 射出成形型(M)の部材の型閉状態で閉鎖力を加えるために操作可能部分(14a)と形状結合式の作用接続状態に移行可能である、他方の型支持体(101111’)に割り当てられた少なくとも1つのロック装置(15)とを有
ロック装置(15)は、浮動式に支承された少なくとも1つの締付把持器(16、116)を有し、該締付把持器(16、116)は、型閉状態で力伝達要素と型支持体のうちの他方の型支持体(10;11、11’)とをロックするために、操作可能部分(14a)と形状結合式の作用接続状態に移行可能であり、同時に、閉鎖力を加えるためのピストンシリンダユニット(17)の少なくとも1つのピストン(18、118)と結合されている構成であり、
ロック装置(15)は、締付把持器(16、116)内に配設された少なくとも1つのロック解除要素(55)と、締付把持器(16、116)を開くためにロック解除要素(55、155)を付勢可能なシリンダ空間(48、148)とを有し、ロック解除要素(55、155)がバー部材(14)に前面側で当接しているときに、該シリンダ空間(48、148)から、射出成形型(M)の高圧開放をもたらすことができること
を特徴とする型締ユニット。
【請求項2】
締付把持器(16、116)とピストン(18、118)は、これらを含んだ構成グループの部材であること
を特徴とする、請求項1に記載の型締ユニット。
【請求項3】
締付把持器(16、116)は、強制的に案内されて力伝達要素とロック可能であり、ロックされた状態で、ピストン(18、118)により、閉鎖力を生成するための高圧が生成可能であること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の型締ユニット。
【請求項4】
閉鎖力を加えるためのピストン(18、118)は、弾性要素(ばね24、61)の力に抗して操作可能であること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項5】
ック解除要素(55)は、状結合式の作用接続部に隣接する端部において、締付把持器(16)との当接により該締付把持器(16)の半径方向の弾性変形をもたらす押付片(39)を有すること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項6】
ロック解除要素(55、155)は、支承部として構成されたスライドスリーブ(35)内で、又は支承部として構成された成形部(125a)内で、シリンダカバー(25、125)に対して相対的に可動に内されていること
を特徴とする、請求項5に記載の型締ユニット。
【請求項7】
ピストン(18)のためのシリンダ(19)を介して型支持体に軸方向に可動に支承された締付把持器(16)は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、該締付把持器(16)により操作可能な力伝達要素の操作可能部分(14a)を挿入するための受容開口部を有する図3、4)か、又は、半径方向に変形されずに開かれた状態で、該締付把持器(16)により操作可能な力伝達要素の操作可能部分(14a)を挿入するための受容開口部を有すること(図6a、6b)
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項8】
半径方向に弾性変形されて開かれた状態で受容開口部を有する締付把持器(16)は、アクティブに閉じて半径方向に変形されていない状態で、噛合部(16a)を用いて操作可能部分(14a)の噛合部に係合すること、又は、半径方向に変形されずに開かれた状態で受容開口部を有する締付把持器(16)は、パッシブに閉じて半径方向に弾性変形された状態で、噛合部(16a)を用いて操作可能部分(14a)の噛合部に係合すること
を特徴とする、請求項7に記載の型締ユニット。
【請求項9】
ロック解除要素として構成されたロック解除ロッド(55)に半径方向で固定されたスライドスリーブ(20)が設けられており、該スライドスリーブ(20)は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で受容開口部を有する締付把持器(16)が半径方向に変形されていない状態で、半径方向の開きから該締付把持器(16)を確保するために該締付把持器(16)の当接領域(33)と当接すること
を特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項10】
パッシブに閉じる締付把持器(16)は、前面側で該締付把持器(16)に係合する更なるピストン(18’)を用い、半径方向に弾性変形された状態で位置固定可能であること
を特徴とする、請求項に記載の型締ユニット。
【請求項11】
ロック解除ロッド(55)で前面側には、及び/又は力伝達要素としてのバー部材(14)を受容可能な型支持体の穴部(10a)には、潤滑剤供給機構が設けられており、該潤滑剤供給機構は、潤滑剤提供部(50)、リザーバ(51)、潤滑剤放出部(52)、潤滑剤供給ライン(54)、潤滑プレート(55a)を含んだ要素の少なくとも1つを有すること
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項12】
締付把持器(116)は、複数部材式で構成されており、閉鎖方向(s-s)に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を有し、これらの締付要素は、支承要素(115)で支承され、ロック解除要素(155)と結合された操作要素(160)(図10~14)を用い、又はスライドスリーブ(170)を用い(図15~18)、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行可能であること
を特徴とする、請求項1~6、11のいずれか一項に記載の型締ユニット。
【請求項13】
プラスチックや他の可塑化可能材料を加工するための射出成形機の型支持体に力伝達要素をロックするための方法であって、
該射出成形機は、
- 定置の型支持体(10)と、
- 自らと定置の型支持体(10)の間に射出成形型(M)を受容するための型締付空間(R)を構成し且つ射出成形型(M)を開閉するために閉鎖方向(s-s)に沿って可動である、定置の型支持体(10)に対して相対的に可動の型支持体(11、11’)と、
- 可動の型支持体(11、11’)を、これらの型支持体(10、11;11’)の間に受容された射出成形型(M)の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置(13、13’)と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体(1111’10)と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体(1111’10)から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体(101111’)に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分(14a)を有する少なくとも1つの力伝達要素とを有し、
操作可能部分(14a)は、射出成形型(M)の部材の型閉状態で、他方の型支持体(101111’)において形状結合式で少なくとも1つのロック装置(15)を用いてロックされ、そのようにロックされた状態で、力伝達要素を介して作用する閉鎖力が加えら
力伝達要素は、型支持体のうちの他方の型支持体(10;11、11’)において少なくとも1つの締付把持器(16、116)を用いて浮動式に支承され、該締付把持器(16、116)は、ロック装置(15)内で同時に、閉鎖力を加えるピストンシリンダユニット(17)のピストン(18、118)と結合される構成であり、
少なくとも1つのロック解除要素(55、155)が、締付把持器(16、116)を開くためにシリンダ空間(48、148)から付勢され、そして力伝達要素として構成されたバー部材(14)にロック解除要素(55)が前面側で当接しているときに、射出成形型(M)は、該シリンダ空間(48、148)から高圧により開放されること、
を特徴とする方法。
【請求項14】
締付把持器(16、116)は、強制的に案内されて力伝達要素とロックされ、ロックされた状態で、ピストン(18、118)により、閉鎖力を生成するための高圧が生成されること
を特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
締付把持器(16)は、該締付把持器(16)に対して中央に配設された少なくとも1つのロック解除要素(55)に配設されている押付片(39)を用い、半径方向に弾性変形されること
を特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
ピストン(18)は、締付把持器(16)を介し、少なくとも1つのスライドスリーブ(35)を用い、該締付把持器(16)内で中央に配設されてロック解除要素として構成されたロック解除ロッド(55)に沿って動かされること
を特徴とする、請求項1315のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ロック解除要素(55、155)は、支承部として構成されたスライドスリーブ(35)内で、又は支承部として構成された成形部(125a)内で、ピストン(18、118)のためのシリンダ(19、119)のシリンダカバー(25、125)に対して相対的に可動に案内されること
を特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
型支持体で軸方向に可動に支承された締付把持器(16)は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、該締付把持器(16)により操作可能な操作可能部分(14a)が挿入される受容開口部を有し、
それに続き、該締付把持器(16)の半径方向の変形が無くなり、それにより該締付把持器(16)は、アクティブに閉じて、解除可能に力伝達要素と形状結合式で接続されること(図3、4)、又は代替的に、
型支持体で軸方向に可動に支承された締付把持器(16)は、半径方向に変形されずに開かれた状態で、該締付把持器(16)により操作可能な操作可能部分(14a)が挿入される受容開口部を有し、
それに続き、該締付把持器(16)は、半径方向で内側に向かって弾性変形され、それにより該締付把持器(16)は、パッシブに閉じて、解除可能に力伝達要素と形状結合式で接続されること(図6a、6b)
を特徴とする、請求項1317のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
締付把持器(116)は、複数部材式で構成されており、閉鎖方向(s-s)に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を有し、これらの締付要素は、支承要素(115)で支承され、ロック解除要素(155)と結合された操作要素(160)(図10~14)を用い、又はスライドスリーブ(170)を用い(図15~18)、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行されること
を特徴とする、請求項1318のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連の出願)
本出願は、2017年12月27日付けのドイツ特許出願第 10 2017 223 822.4 号に関連し、その優先権を主張する出願であり、その開示内容は、ここに明文をもって、その全ても本出願の対象とされるものとする。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に記載した、プラスチック、粉末材料、又はセラミック材料のような可塑化可能材料を処理するための射出成形機用の型締ユニット(型開閉ユニット)、並びに請求項17の上位概念に記載した、射出成形機において力伝達要素をロックするための方法に関する。
【0003】
本出願の枠内では、以下の概念が、次のように使われる:
― 「アクティブに閉じている」(aktiv schliessend)システムとは、締付把持器(コレットチャック)において、次のシステムとして理解され、即ちこのシステムは、変形されていない状態では、締付把持器が該締付把持器により把持すべき要素と共に、つまり本特許出願の枠内では力伝達要素ないしバー部材(タイバー)と共にロックされた位置にあるというポジションにある。従ってアクティブに閉じているシステムを開くためには、締付把持器が、伝達要素との係合状態外となるために、半径方向で、通常は外側に向かい、弾性変形されなくてはならない。
― その逆で「アクティブに開いている」システムとは、次のシステムとして理解され、即ちこのシステムは、静止状態、つまり変形されていない状態では、締付把持器と力伝達要素を互いにロックすることはない。この種のシステムは、締付把持器の半径方向の弾性変形により、通常は半径方向で内側に向かい、力伝達要素と締付把持器が互いに作用係合状態にあるポジションに移行される。
― 「浮動式の支承部」とは、次の支承部として理解され、即ちこの支承部では、支承された複数の要素が、基本的に少なくとも1つの方向で、つまり少なくとも1つの自由度をもって、例えば複数の弾性要素により可動に支持されている。この種の支承部は、1つの要素が液圧空間又はシリンダ空間を介してユニットの残りの部分と接続状態にあることによっても達成できる。
― 射出成形型の「型閉状態(Formschluss)」とは、次の状態として理解され、即ちこの状態では、射出成形機の型支持体に固定された射出成形型の部材が互いに接して位置している。この状態は、通常、可塑化された材料(溶融化された成形材料)が射出成形型の型空洞空間内に射出される場合に当てはまる。従って型閉状態への移動運動と型閉状態外への移動運動は、射出成形型の閉開に対応する運動である。
―「型高さ」とは、型の高さとして理解され、この高さは、閉鎖方向(型締方向)で測定され、閉じられた射出成形型において可動の型支持体と定置の型支持体の間の間隔に対応する。
―「型高さ調節装置」とは、次の機構として理解され、即ちこの機構は、閉じられた射出成形型において可動の型支持体と定置の型支持体の最適な位置を達成するために必要である。この位置から出発し、閉鎖運動(型締運動)と、閉鎖力(型締力)の上昇が行われ、それにより射出成形型を閉鎖するときに最大の閉鎖力を加えることができる。この種の型高さ調節装置は、例えば同じ機械において異なる型高さを有する複数の射出成形型が使用される場合に、閉鎖行程(型締行程)が最適化される場合にも必要とされる。
【背景技術】
【0004】
(従来技術)
独立請求項の上記概念の基礎となる下記特許文献1から型締装置が公知であり、この型締装置では、定置の型支持体と可動の型支持体がバー部材を介して互いに連結されている。これらの型支持体は、これらの型支持体の間において、射出成形型を受容するための型締付空間を構成している。可動の型支持体の側には、バー部材の操作部分と必要に応じて係合状態にある閉鎖シリンダのピストンが設けられている。この際、バー部材と可動の型支持体をロックするためには、ハーフナットが、操作可能部分と作用係合するように制御され、それにより引き続いて別のユニットにより閉鎖力を加えることができる。(下記特許文献2も参照)
【0005】
ハスキー・インジェクション・モールディング・システム社から、バヨネット閉鎖部を備えたこの種のロック装置が知られている。そのためにバー部材は、閉鎖ピストンが係合できる領域、並びにガイドバー部材上で半径方向に可動の閉鎖ピストンが摺動できる領域を有する。閉鎖ピストンの回転により形状結合式の係合がもたらされ、それによりこのピストンには、同時に閉鎖力の少なくとも一部を同様に加えることができる。
【0006】
下記特許文献3から、押圧機構を備えた成形機の閉鎖ユニットを稼働するための方法が公知であり、その押圧機構は、バー部材を介し、閉鎖力を用いた可動の型締付固定プレートの付勢をもたらすことができる。バー部材と可動の型締付固定プレートをロックするためにロック機構が設けられている。それにより確かに型締付固定プレートは可動に支承されているが、型締付固定プレートと結合されていないロック機構は、可動に支承されているわけではない。またロック機構は、ピストンに類似の装置を用いて開閉されるが、浮動的に支承されているわけではない。
【0007】
下記特許文献4から、型締ユニットが公知であり、この型締ユニットでは、型締ユニットの運動領域において、この領域内に型支持体が移行する場合には支持プレートの連結解除が行われる部分が設けられており、それにより型高さ調節をもたらすために、支持プレート自体を駆動部により位置調節することができる。しかしながらこの種の解決策の前提条件は、スリープレート式機械の使用ないし構造であり、即ち支持要素、可動の型支持体、定置の型支持体を有する構造である。
【0008】
下記特許文献5から、液圧プレス機構が公知であり、そこでは、閉鎖行程駆動部に接続されたプレスタペットが、プレス工具の閉鎖位置において、少なくとも1つの連結器を介して液圧式のプレス行程駆動部と接続されている。その連結器は、連結ロッドと、連結ロッドを受容する閉鎖ヘッドとから成り、この閉鎖ヘッドは、連結ロッドと形状結合式でロック可能である。形状結合式の連結を無くすことなく、プレス工具のそれぞれの閉鎖位置に対するプレス行程の無段式の適合を保証するために、閉鎖ヘッドは、連結ロッドの方向で、ねじ込み位置調節可能に支持されている。
【0009】
下記特許文献6は、射出成形機の型締ユニットにおいて、力伝達要素を示しており、この力伝達要素は、可動の型支持体と一緒に可動の複数のバー部材により構成されており、これらのバー部材は、射出成形型が開放されたときに型締付空間を自由にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】US 9,469,063 B2
【文献】DE 10 2016 006 956 A1
【文献】DE 10 2014 012 096 A1
【文献】EP 1 068 060 B1
【文献】DE 40 32 106 A1
【文献】DE 44 03 079 C1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の従来技術は、一方では型支持体のうちの1つの型支持体とバー部材とをロックするために、他方では閉鎖力を加えるために、基本的に別個のユニットが必要であるということで、共通している。
【0012】
この従来技術から出発し、本発明の基礎を成す課題は、型支持体をバー部材とロックするためのロック機構が、閉鎖力を加えるためのユニットと共に共通のユニットに統合されている、射出成形機において力伝達要素をロックするための型締ユニット並びに方法を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、請求項1の特徴を有する型締ユニット、並びに請求項13の特徴を有する力伝達要素をロックするための方法により解決される。有利な更なる構成は、従属特許請求項の対象である。特許請求項において個々に記載された特徴は、技術的に有意義なかたちで互いに組み合わせ可能であり、また本明細書で説明される内容により及び図面からの詳細により補足することができ、それにより本発明の更なる実施バリエーションが明示される。
即ち本発明の第1の視点により、
プラスチックや他の可塑化可能材料を加工するための射出成形機用の型締ユニットであって、
- 定置の型支持体と、
- 自らと定置の型支持体の間に射出成形型を受容するための型締付空間を構成し且つ射出成形型を開閉するために閉鎖方向に沿って可動である、定置の型支持体に対して相対的に可動の型支持体と、
- 可動の型支持体を、これらの型支持体の間に受容された射出成形型の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分を有する少なくとも1つの力伝達要素と、
- 射出成形型の部材の型閉状態で閉鎖力を加えるために操作可能部分と形状結合式の作用接続状態に移行可能である、他方の型支持体に割り当てられた少なくとも1つのロック装置とを有し、
ロック装置は、浮動式に支承された少なくとも1つの締付把持器を有し、該締付把持器は、型閉状態で力伝達要素と型支持体のうちの他方の型支持体とをロックするために、操作可能部分と形状結合式の作用接続状態に移行可能であり、同時に、閉鎖力を加えるためのピストンシリンダユニットの少なくとも1つのピストンと結合されている構成であり、
ロック装置は、締付把持器内に配設された少なくとも1つのロック解除要素と、締付把持器を開くためにロック解除要素を付勢可能なシリンダ空間とを有し、ロック解除要素がバー部材に前面側で当接しているときに、該シリンダ空間から、射出成形型の高圧開放をもたらすことができること、
を特徴とする型締ユニットが提供される。
更に本発明の第2の視点により、
プラスチックや他の可塑化可能材料を加工するための射出成形機の型支持体に力伝達要素をロックするための方法であって、
該射出成形機は、
- 定置の型支持体と、
- 自らと定置の型支持体の間に射出成形型を受容するための型締付空間を構成し且つ射出成形型を開閉するために閉鎖方向に沿って可動である、定置の型支持体に対して相対的に可動の型支持体と、
- 可動の型支持体を、これらの型支持体の間に受容された射出成形型の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分を有する少なくとも1つの力伝達要素とを有し、
操作可能部分は、射出成形型の部材の型閉状態で、他方の型支持体において形状結合式で少なくとも1つのロック装置を用いてロックされ、そのようにロックされた状態で、力伝達要素を介して作用する閉鎖力が加えられ、
力伝達要素は、型支持体のうちの他方の型支持体において少なくとも1つの締付把持器を用いて浮動式に支承され、該締付把持器は、ロック装置内で同時に、閉鎖力を加えるピストンシリンダユニットのピストンと結合される構成であり、
少なくとも1つのロック解除要素が、締付把持器を開くためにシリンダ空間から付勢され、そして力伝達要素として構成されたバー部材にロック解除要素が前面側で当接しているときに、射出成形型は、該シリンダ空間から高圧により開放されること、
を特徴とする方法が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
プラスチックや他の可塑化可能材料を加工するための射出成形機用の型締ユニットであって、
- 定置の型支持体と、
- 自らと定置の型支持体の間に射出成形型を受容するための型締付空間を構成し且つ射出成形型を開閉するために閉鎖方向に沿って可動である、定置の型支持体に対して相対的に可動の型支持体と、
- 可動の型支持体を、これらの型支持体の間に受容された射出成形型の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分を有する少なくとも1つの力伝達要素と、
- 射出成形型の部材の型閉状態で閉鎖力を加えるために操作可能部分と形状結合式の作用接続状態に移行可能である、他方の型支持体に割り当てられた少なくとも1つのロック装置と
を有する構成であり、
ロック装置は、浮動式に支承された少なくとも1つの締付把持器を有し、該締付把持器は、型閉状態で力伝達要素と型支持体のうちの他方の型支持体とをロックするために、操作可能部分と形状結合式の作用接続状態に移行可能であり、同時に、閉鎖力を加えるためのピストンシリンダユニットの少なくとも1つのピストンと結合されていること。
(形態2)
締付把持器とピストンは、これらを含んだ構成グループの部材であること、が好ましい。
(形態3)
締付把持器は、強制的に案内されて力伝達要素とロック可能であり、ロックされた状態で、ピストンにより、閉鎖力を生成するための高圧が生成可能であること、が好ましい。
(形態4)
閉鎖力を加えるためのピストンは、弾性要素の力に抗して操作可能であること、が好ましい。
(形態5)
ロック装置は、締付把持器内に配設された少なくとも1つのロック解除要素を有し、該ロック解除要素は、ロック時には、形状結合式の作用接続部に隣接する端部において、締付把持器との当接により該締付把持器の半径方向の弾性変形をもたらす押付片を有すること、が好ましい。
(形態6)
ロック解除要素は、支承部として構成されたスライドスリーブ内で、又は支承部として構成された成形部内で、シリンダカバーに対して相対的に可動に該シリンダカバーを介して案内されていること、が好ましい。
(形態7)
ピストンのためのシリンダを介して型支持体に軸方向に可動に支承された締付把持器は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、該締付把持器により操作可能な力伝達要素の操作可能部分を挿入するための受容開口部を有すること、が好ましい。
(形態8)
締付把持器は、アクティブに閉じて半径方向に変形されていない状態で、噛合部を用いて操作可能部分の噛合部に係合すること、が好ましい。
(形態9)
ロック解除要素として構成されたロック解除ロッドに半径方向で固定されたスライドスリーブが設けられており、該スライドスリーブは、締付把持器が半径方向に変形されていない状態で、半径方向の開きから該締付把持器を確保するために該締付把持器の当接領域と当接すること、が好ましい。
(形態10)
ロック装置は、締付把持器を開くためにロック解除要素を付勢可能なシリンダ空間を有し、バー部材にロック解除要素が前面側で当接しているときに、該シリンダ空間から、射出成形型の高圧開放をもたらすことができること、が好ましい。
(形態11)
ピストンのためのシリンダを介して型支持体に軸方向に可動に支承された締付把持器は、半径方向に変形されずに開かれた状態で、該締付把持器により操作可能な力伝達要素の操作可能部分を挿入するための受容開口部を有すること、が好ましい。
(形態12)
締付把持器は、パッシブに閉じて半径方向に弾性変形された状態で、噛合部を用いて操作可能部分の噛合部に係合すること、が好ましい。
(形態13)
締付把持器は、前面側で該締付把持器に係合する更なるピストンを用い、半径方向に弾性変形された状態で位置固定可能であること、が好ましい。
(形態14)
ロック解除ロッドで前面側には、及び/又は力伝達要素としてのバー部材を受容可能な型支持体の穴部には、潤滑剤供給機構が設けられており、該潤滑剤供給機構は、潤滑剤提供部、リザーバ、潤滑剤放出部、潤滑剤供給ライン、潤滑プレートを含んだ要素の少なくとも1つを有すること、が好ましい。
(形態15)
締付把持器は、複数部材式で構成されており、閉鎖方向に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を有し、これらの締付要素は、支承要素で支承され、ロック解除要素と結合された操作要素を用い、又はスライドスリーブを用い、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行可能であること、が好ましい。
(形態16)
少なくとも1つの力伝達要素は、可動の型支持体と一緒に可動の複数のバー部材により構成されており、これらのバー部材は、射出成形型が開放されたときに型締付空間を自由にすること、が好ましい。
(形態17)
プラスチックや他の可塑化可能材料を処理するための射出成形機の型支持体に力伝達要素をロックするための方法であって、
該射出成形機は、
- 定置の型支持体と、
- 自らと定置の型支持体の間に射出成形型を受容するための型締付空間を構成し且つ射出成形型を開閉するために閉鎖方向に沿って可動である、定置の型支持体に対して相対的に可動の型支持体と、
- 可動の型支持体を、これらの型支持体の間に受容された射出成形型の部材の型閉状態ないし型閉状態外に移行させるための型移動装置と、
- 型支持体のうちの一方の型支持体と結合され且つ型支持体のうちの該一方の型支持体から離間した端部において型支持体のうちの他方の型支持体に割り当てられて作用係合のために操作可能な操作可能部分を有する少なくとも1つの力伝達要素とを有し、
操作可能部分は、射出成形型の部材の型閉状態で、他方の型支持体において形状結合式で少なくとも1つのロック装置を用いてロックされ、そのようにロックされた状態で、力伝達要素を介して作用する閉鎖力が加えられる構成であり、
力伝達要素は、型支持体のうちの他方の型支持体において少なくとも1つの締付把持器を用いて浮動式に支承され、該締付把持器は、ロック装置内で同時に、閉鎖力を加えるピストンシリンダユニットのピストンと結合されること。
(形態18)
締付把持器は、強制的に案内されて力伝達要素とロックされ、ロックされた状態で、ピストンにより、閉鎖力を生成するための高圧が生成されること、が好ましい。
(形態19)
締付把持器は、該締付把持器に対して中央に配設された少なくとも1つのロック解除要素に配設されている押付片を用い、半径方向に弾性変形されること、が好ましい。
(形態20)
ピストンは、締付把持器を介し、少なくとも1つのスライドスリーブを用い、該締付把持器内で中央に配設されてロック解除要素として構成されたロック解除ロッドに沿って動かされること、が好ましい。
(形態21)
ロック解除要素は、支承部として構成されたスライドスリーブ内で、又は支承部として構成された成形部内で、ピストンのためのシリンダのシリンダカバーに対して相対的に可動に案内されること、が好ましい。
(形態22)
型支持体で軸方向に可動に支承された締付把持器は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、該締付把持器により操作可能な操作可能部分が挿入される受容開口部を有し、
それに続き、該締付把持器の半径方向の変形が無くなり、それにより該締付把持器は、アクティブに閉じて、解除可能に力伝達要素と形状結合式で接続されること、が好ましい。
(形態23)
型支持体で軸方向に可動に支承された締付把持器は、半径方向に変形されずに開かれた状態で、該締付把持器により操作可能な操作可能部分(14a)が挿入される受容開口部を有し、
それに続き、該締付把持器は、半径方向で内側に向かって弾性変形され、それにより該締付把持器は、パッシブに閉じて、解除可能に力伝達要素と形状結合式で接続されること、が好ましい。
(形態24)
締付把持器は、複数部材式で構成されており、閉鎖方向に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を有し、これらの締付要素は、支承要素で支承され、ロック解除要素と結合された操作要素を用い、又はスライドスリーブを用い、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行されること、が好ましい。
(形態25)
少なくとも1つのロック解除要素は、締付把持器を開くためにシリンダ空間から付勢され、そして力伝達要素として構成されたバー部材にロック解除要素が前面側で当接しているときに、射出成形型は、該シリンダ空間から高圧により開放されること、が好ましい。
【0015】
型締ユニットは、定置の型支持体と、それに対して相対的に可動の型支持体とを有し、これらの型支持体は、これらの間において、射出成形型を受容するための型締付空間を構成する。可動の型支持体は、射出成形型を開閉するために閉鎖方向に沿って可動である。型移動装置を用いることにより、可動の型支持体は、射出成形型の型閉状態ないし型閉状態外に移行されることが可能である。これらの型支持体は、少なくとも1つの力伝達要素を介して互いに連結されており、この際、力伝達要素は、型支持体のうちの一方の型支持体と結合されている。力伝達要素は、他方の型支持体に割り当てられた領域において、作用係合(連動のための係合)のために操作可能な操作可能部分を有する。この他方の型支持体には、ロック装置が設けられており、該ロック装置は、閉鎖力を加えるために、力伝達要素の操作可能部分と形状結合式の作用接続状態(互いの形状を介した結合による連動状態)に移行可能である。ロック装置は、浮動式の締付把持器を有し、該締付把持器は、型閉状態で力伝達要素と型支持体をロックするために、操作可能部分と形状結合式の作用接続状態に移行可能である。同時に締付把持器は、閉鎖力を加えるためのピストンシリンダユニットのピストンと結合されている。それによりコンパクトな構成ユニットを構成することができ、該構成ユニットは、省スペースで型支持体のうちの1つの型支持体に取り付けることができる。
【0016】
更に、好ましくはバー部材(タイバー)として構成された力伝達要素の完全な取り外し可能性により、射出成形品の射出成形時に射出成形型が収容される型締付空間を、完全にバー部材から自由にするための構造上の前提が創作され、このことは、射出成形型のより良いアクセス性をもたらしてくれる。それでもこのようにして、一定の力の印加と、従って射出成形品の一定の良好な品質も、保証することができる。
【0017】
この際、この種の解決策の使用は、スリープレート式機械でもツープレート式機械でも可能であり、そこでは、閉鎖力を加えるためのユニットが直接的に型支持体のうちの1つの型支持体において作用し、それにより支持要素を省くことができる。
【0018】
好ましくは、締付把持器とピストンは、これらを含んだ構成グループ(閉じた構成グループないしアセンブリ)の部材であり、それ故、該構成グループは、機械の構成グループとして提供されることも可能である。このことは、射出成形機製造者の工場での射出成形機の製造においてのみならず、射出成形機が世界中の遠隔地でも迅速に且つ信頼性をもって整備されなくてはならない場合にも、有利であり、それは、この種の構成グループは、その際には現地で良好に予め保管されるか、又は迅速にそこに配送されることが可能なためである。そして使用場所では、構成グループをそれまでの構成グループと交換することが行われるだけである。
【0019】
有利な一実施形態において、締付把持器は、強制的(自動的)に案内されて力伝達要素とロック可能であり、この際には、ロックされた状態で、ピストンシリンダユニットのピストンを用い、閉鎖力を生成するための高圧が生成可能である。それにより締付把持器を用いた型支持体と力伝達要素の間のロックも、閉鎖力の印加も、同じ構成グループで行われる。
【0020】
閉鎖力を加えるためのピストンが弾性要素の力に抗して操作可能であると、有利であり、それは、この場合には一方では、閉鎖力の減衰が可能なためである。このようにしてバー部材が締付把持器内に進入するときの過負荷保護が達成され、このことは、例えば、型高さが不適切に設定された結果による場合であり得る。それにより同時に射出成形機全体が負荷解除される。また他方では、片側で付勢可能なピストンにより、信頼性をもって一定の力が加えられることを保証することができる。しかしこの実施形態は、両側で付勢可能なピストンも基本的に使用可能であることを除外するものではない。
【0021】
一実施形態では、締付把持器内にロック解除要素が配設されており、該ロック解除要素は、例えばロック解除ロッドとして構成されていることも可能である。このロック解除要素は、前面側で、即ち力伝達要素と締付把持器の間の形状結合式(形状によるありつぎ式結合)の作用接続部に隣接する端部において、押付片を有し、該押付片は、締付把持器との当接により締付把持器の半径方向の弾性変形をもたらす。従って簡単な方式で締付把持器を操作し、それにより力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外にもたらすことができる。
【0022】
有利には、閉鎖力を加えるためのピストンは、締付把持器を介し、対応の支承部を用い、締付把持器内で中央に配設された少なくとも1つのロック解除要素で支承されている。それにより締付把持器と、浮動式の支承部(schwimmende Lagerung)としてのピストンとの間の結合が、簡単な方式により軸方向において、即ち射出成形機の閉鎖方向において簡単な手段で保証されている。特に好ましい一実施形態では、同様に軸方向に可動のロック解除要素が、スライドスリーブ内で、又はシリンダカバーの成形部内で、シリンダカバーに対して相対的に可動に案内されている。それによりロック解除要素の軸方向の案内、従ってロック装置内に受容されており締付把持器とピストンから成るユニット全体の軸方向の案内が保証される。
【0023】
後続段落で説明する図3から図5bの実施形態では、有利な実施形態として、アクティブに閉じている締付把持器が図示され、つまりこの締付把持器は、基本的に変形されていない状態で、力伝達要素と締付把持器の間の作用係合を保証すべきであるように構成される。この際、ピストンのためのシリンダを介して型支持体で軸方向に可動に支承された締付把持器は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、締付把持器により操作可能な力伝達要素の操作可能部分を挿入するための受容開口部を形成する。この種の解決策により、互いに作用係合状態にある要素が対応のポジションに位置する場合には、基本的に力伝達要素と締付把持器の間の作用係合が自ずと生じるということが保証されている。それにより好ましくは、締付把持器がアクティブに閉じており、半径方向に変形していない状態で、噛合部を用いて操作可能部分の噛合部に係合し、そして対応の力消費により、即ち締付把持器の変形により、この状態を再び開くことができるということが得られる。
【0024】
好ましくは、追加的な固定要素として、ロック解除要素として構成されたロック解除ロッドに半径方向で固定されたスライドスリーブが設けられており、該スライドスリーブは、締付把持器が半径方向に変形されていない状態で、半径方向の開きから締付把持器を確保するために締付把持器の当接領域と当接することになる。従って締付把持器がそれ自体でアクティブに閉じており作用係合に達することが保証されているだけではなく、締付把持器がそこで意図しない開きからも守られているということが保証されている。このことは、伝達すべき力が大きいことに鑑み、追加的な安全上の構成である。
【0025】
好ましくは、締付把持器を開くためのロック解除要素は、同時にロック解除要素がシリンダ空間から出ていくだけではなく開放(射出成形型の開放)をもたらすことができるように配設されている。つまり締付把持器が開かれているときにロック要素が前面側で力伝達要素ないしバー部材に当接するようにロック要素が同時に配設されていると、締付把持器の開きを行っている同じシリンダ空間から、特に射出成形型が固着している場合には、大きい力での開放、即ち射出成形型の高圧開放を達成することができる。従ってロック解除要素が複数の機能を満たすことにより、ロック装置全体のコンパクトな構造を達成することができる。
【0026】
代替的な一実施形態において、型締ユニットは、好ましくは、締付把持器の開かれた状態が変形されていない状態であるように構成されることも可能である。この際、締付把持器は「アクティブに閉じている」選択肢と同様に、ピストンのためのシリンダを介して型支持体で軸方向に支承されることが可能であるが、この場合、締付把持器は、変形されていない状態で、力伝達要素の操作可能部分を挿入受容するための受容開口部を有する。この際、好ましくは、締付把持器は、力伝達要素と締付把持器の間の作用接続を確立するために、半径方向に弾性変形され、それによりこの場合は「パッシブに閉じている」実施形態に関する。
【0027】
好ましくは、この種の「パッシブに閉じている」構成では、締付把持器をその閉じられたポジションに位置固定するために、端面(前面)側で締付把持器に係合する更なるピストンが設けられる。
【0028】
省スペースであるが信頼性をもって機能する潤滑剤供給機構を達成するために、好ましくは、潤滑剤供給機構が、ロック解除ロッドに設けられ、及び/又は力伝達要素を受容可能な型支持体の穴部に設けられており、この潤滑剤供給機構は、この種の供給に必要である対応の要素を有する。この際、いずれにせよ存在する自由空間が、潤滑剤を提供するために利用され、潤滑剤の提供は、正に潤滑剤が必要とされる場所において行われ、つまり型支持体内に力伝達要素を挿入する領域、並びにロック解除要素と締付把持器の間の当接の領域と相対運動の領域である。
【0029】
好ましくは、更なる一実施形態により、締付把持器は、複数部材式でも構成され、閉鎖方向に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を有することができる。これらの締付要素は、支承要素で支承され、ロック解除要素と結合された操作要素を用い、又はスライドスリーブを用い、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行可能である。またここでも、好ましくは、締付要素の強制的に案内される運動が行われる。この構成における利点は、締付把持器の弾性変形が必要ではないことにあるが、それに対して締付要素の対応の案内部と支承部が保証されなくてはならない。
【0030】
力伝達要素は、好ましくは、可動の型支持体と一緒に結合された複数のバー部材(タイバー)により構成されており、それにより中央での力の導入が可能である。更にそれにより型締付空間に対する自由なアクセスが保証されており、それは、締付把持器のロック解除後に、バー部材は、可動の型支持体と一緒に可動なためである。或いは型締付空間を取り囲むように案内されている複数の力伝達要素を用いることもできる。
【0031】
また本発明のために設定された課題は、射出成形機の型支持体に力伝達要素をロックするための方法によっても解決される。この方法のために射出成形機は、定置の型支持体、可動の型支持体、型移動装置、並びに少なくとも1つの力伝達要素を含んだ構造上の要素を有し、この際、力伝達要素の操作可能部分は、射出成形型の部材の型閉(ないし型締)状態で、他方の型支持体において形状結合式で少なくとも1つのロック装置を用いてロックされ、そのようにロックされた状態で、力伝達要素を介して作用する閉鎖力が加えられる。力伝達要素が、型支持体のうちの他方の型支持体において少なくとも1つの締付把持器を用いて浮動式で支承され、該締付把持器がロック装置内で同時に、閉鎖力を加えるためのピストンと結合されていることにより、コンパクトな構造上の解決策が創作されるだけではなく、同時に、とりわけロックされた状態で必要な閉鎖力を加えるための信頼性のある解決策が保証される。浮動式の支承部は、構成部材が過度には負荷されないことに寄与し、それは、閉鎖方向の両方(型の開閉方向)において常に対応の空間が設けられており、この空間を介して力と慣性モーメントを受け止めることができるためである。それによりバー部材の進入時には、例えば位置決め誤差に起因するバー部材と締付把持器の間のハードな接触当接が最小化され、それにより構成部材が摩耗や故障から保護される。
【0032】
好ましくは、締付把持器は、強制的に案内されて力伝達要素とロックされるだけではなく、同時にピストンに用い、ロックされた状態で、閉鎖力を生成するための高圧が生成される。それにより同じ構造上のユニットにおいて、ロックも力生成も行うことができ、このことは、ロックと圧力生成の間のスムーズな移行に寄与し、従ってサイクル時間の減少にも寄与することができる。
【0033】
好ましい一実施形態では、締付把持器の弾性変形は、好ましくは締付把持器に対して中央に配設されたロック解除要素において端面(前面)側で配設されている押付片を用いて行われる。一方では構造に基づいて設けられた自由空間内で、他方ではロック解除要素がロック解除に必要とする空間内で、押付片が中央に配設されていることにより、信頼性をもって同じ要素でロック解除も弾性変形も行うことができる。
【0034】
好ましくは、ピストンが締付把持器を介して少なくとも1つの支承部を用い、締付把持器内で中央に配設されたロック解除ロッドに対して動かされるように、ロック装置の構成部材が稼働されると、同時に複数の役割を満たすことのできるコンパクトなユニット、即ち圧力印加のためのピストンの支承、並びにロック装置のロックとロック解除を満たすことのできるコンパクトなユニットが得られる。
【0035】
閉鎖力を加えるときにも、そのために必要な構成部材を動かすときにも、信頼性のある案内とそれと共に信頼性のある精度を達成するために、ロック解除要素は、支承部として構成されたスライドスリーブ内で、又は支承部として構成された成形部内で、ピストンのためのシリンダのシリンダカバーに対して相対的に動くことができる 。それにより射出成形過程の枠内でとりわけ射出成形型を閉鎖するときに必要な様々なステップを実行するために、1つのユニット内に一緒に構造化された複数の要素の協働が得られる。このことは、簡単で且つ有利な方式で保証されることができ、同時に製造すべき射出成形品の所望の高い品質に寄与する。
【0036】
アクティブに閉じている締付把持器の好ましい一実施形態において、締付把持器は、半径方向に弾性変形されて開かれた状態で、力伝達要素の操作可能部分のための受容開口部を有し、力伝達要素の操作可能部分は、その受容開口部に挿入される。それに続き、半径方向の変形が(噛合部の噛み合いにより)無くなると、締付把持器と力伝達要素の間の所望の形状結合式のロックが生じる。それにより僅かな方法ステップにより、閉鎖力が加えられる前にロックを達成することができる。
【0037】
パッシブに閉じている締付把持器の代替的な好ましい一実施形態において、受容開口部は、締付把持器において、半径方向に変形されず開かれた状態で設けられ、それによりこの状態でバー部材を受容開口部に挿入することができる。それに続き、締付把持器は、半径方向で内側に向かって弾性変形され、それにより(噛合部の噛み合いにより)力伝達要素との作用接続が保証される。それにより代替的な方式で同様に力伝達要素と締付把持器の間の迅速で且つ効果的なロックを達成することができる。
【0038】
更なる一実施形態により、代替的に好ましくは、締付把持器は、閉鎖方向に対して横方向に回動可能に支承された複数の締付要素を用いて複数部材式で構成されていることも可能である。これらの締付要素は、支承要素で支承されており、締付要素に対するロック解除要素の相対運動により、締付要素と接続されるロック解除要素により、又は場合により独立して可動のスライドスリーブにより、力伝達要素との作用係合状態ないし作用係合状態外に移行されることが可能である。締付要素は、好ましくは、信頼性のある力の流れと、力伝達要素と締付要素の間の信頼性のある結合を保証するために、強制的(自動的)に案内されている。
【0039】
好ましくは、ロック解除要素が締付把持器を開くために付勢されるだけではなく、更なる力印加により、開放(射出成形型の開放)をもたらすシリンダ空間から圧力を力伝達要素に加えることもできるように配設されていると、同じ要素を用いて補足的に射出成形型の高圧開放を実行することができる。
【0040】
高圧段階中ないしロック状態において締付把持器の意図しない開きに対して追加的な安全機能を保証するために、締付把持器は、好ましくは、ロック装置を取り囲むようなスライドスリーブを有し、該スライドスリーブは、所定のポジションにおいて締付把持器と当接状態に移行可能であり、それにより意図しない開き、又は誤作動の結果として起こり得る開きを、信頼性をもって防止することができる。
【0041】
以下、添付の図面に図示した複数の実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1実施例におけるツープレート式機械の一型締ユニットの3次元図を示す図である。
図2】可動の型支持体における型高さ調節機構に着目した、図1の型締ユニットの3次元図を示す図である。
図3】開かれた状態にあるロック装置を図8のIII―III線に沿った断面図として示す図である。
図4】閉じられた状態にあるロック装置を図8のIV―IV線に沿った断面図として示す図である。
図5a図4によるロック装置を図8のVa―Va線に沿った断面図として示す図である。
図5b図5aの領域Zの拡大部分を示す図である。
図6a】開かれた状態にある代替的な第2実施例におけるロック装置を断面図として示す図である。
図6b】閉じられた状態にある代替的な第2実施例におけるロック装置を断面図として示す図である。
図7】閉鎖力の代替的な印加機構を備えた第3実施例におけるロック装置を断面図として示す図である。
図8】ロック装置の拡大部分を示す図であり、側面図と、締付固定プレートの方向から定置の型支持体を見た図である。
図9a】スリープレート式機械の型締ユニットの代替的な一実施形態を3次元図として示す図である。
図9b】スリープレート式機械の型締ユニットの代替的な一実施形態を3次元図として示す図である。
図10】締付要素の関節式の支承機構を備えた第4実施例におけるロック装置を断面図として示す図である。
図11】締付要素が開かれているロック装置を図10のXI―XI線に沿った断面図として示す図である。
図12】締付要素が開かれているロック装置を図10に従う図として示す図である。
図13】締付要素が閉じられているロック装置を図11のXIII―XIII線に沿った断面図として示す図である。
図14】締付要素が開かれているロック装置を図11のXIII―XIII線に沿った断面図として示す図である。
図15】回動可能な締付要素が閉じられており且つシリンダ操作されているスライドスリーブを備えた第5実施例におけるロック装置を断面図として示す図である。
図16図15によるロック装置を図15のXVI―XVI線に沿った断面図として示す図である。
図17】締付要素が開かれたときの図15によるロック装置を断面図として示す図である。
図18図15によるロック装置を図17のXVIII―XVIII線に沿った断面図として示す図である。
【実施例
【0043】
(好ましい実施例の詳細な説明)
さて、本発明が添付の図面と関連して例示として詳細に説明される。この際、以下の実施例は、発明のコンセプトを特定の装置に限定すべきではない単なる例示に関するものである。本発明を詳細に説明する前に、本発明が装置のそれぞれの構成部材並びにそれぞれの方法ステップに限定されるものではないことを指摘しておくが、それは、それらの構成部材並びに方法を変更することができるためである。またここで使われている概念ないし用語は、特殊な実施形態を説明するためだけに定められており、限定として使われるものではない。それに加え、本明細書又は本請求項で単数形又は不定冠詞が使われる場合には、それらの要素は複数形であってもよいものとするが、全脈絡において明らかに単数形又は不定冠詞でなくてはならない場合は別である(尚、これに対応し、和文訳文において単数は、複数をも代表するものとする。)
【0044】
添付の図面は、プラスチックや他の可塑化可能材料を処理するための射出成形機用の型締ユニット(型開閉ユニット)を示している。図1は、ツープレート式機械におけるこの種の型締ユニットの概要図を示しており、このツープレート式機械において、定置の型支持体(固定側型支持体)10には、ロック装置15と、閉鎖力(型締力)を加えるためのピストンシリンダユニット17が配設されている。機械スタンド21上には、可動の型支持体(可動側型支持体)11が、閉鎖方向(型締方向)s―sで可動に配設されており、この際、この運動は、例えば、ラックアンドピニオン式駆動部、液圧式駆動部、又は他の適切な方式のような、機械スタンド21内に配設され、模式的にのみ示唆された型移動装置13を介して行うことができる。可動の型支持体11は、テーブルキャリッジ11aを介して機械スタンド21上に支持されており、この際、可動の型支持体11の支承部が垂直方向でほぼ中央にあることに基づき、トルクに関して最適化された力の導入が行われる。定置の型支持体10と可動の型支持体11は、これらの間において、射出成形型Mを受容するための型締付空間Rを構成し、射出成形型Mは、型移動装置13により閉鎖方向s―sに沿って開閉可能である。従って型移動装置13は、可動の型支持体11を移行させ、それらの型支持体の間に受容された射出成形型Mの部材を型閉状態ないし型閉状態外とするために用いられる。
【0045】
少なくとも1つの力伝達要素、本実施例では複数のバー部材(タイバー)14が、型支持体11、10のうちの1つの型支持体、本実施例では可動の型支持体11と結合されている。力伝達要素は、型支持体のうちの当該1つの型支持体から離間した端部において、他方の型支持体10、11、ここでは定置の型支持体10との作用係合のために設けられ且つそのために操作可能な操作可能部分14aを有する。他方の型支持体、即ち本実施例では、定置の型支持体10には、ロック装置15が設けられており、ロック装置15は、射出成形型Mの部材の型閉状態において、閉鎖力を加えるために、少なくとも1つの力伝達要素の操作可能部分14aと形状結合式の作用接続状態に移行可能である。
【0046】
型締ユニットは、射出成形機の一部だけを示すが、それは、通常、可塑化すべき材料を可塑化し、射出成形型の型空洞空間内に注入する非図示の射出成形ユニットが追加的に設けられているためである。しかし型締ユニットの部材と射出成形ユニットの部材から成る射出成形機の対応の構造は、当業者には既知であり、それ故、本出願ではこのことについて詳細には説明しないものとする。
【0047】
図3によると、ロック装置15は、浮動式の締付把持器(コレットチャック)16を有し、締付把持器16は、型閉状態で、力伝達要素(バー部材14)と、型支持体のうちの他方の型支持体(定置の型支持体10)とをロックするために、操作可能部分14aと形状結合式の作用接続状態に移行可能である。この際、締付把持器16は、ピストンシリンダユニット17のピストン18と結合されているか、又は同時に閉鎖力を加えるためのピストンシリンダユニット17のピストンの一部を構成する。対応する構造については、後続段落で更に詳細に説明する。
【0048】
図1図2によると、少なくとも1つの力伝達要素は、可動の型支持体11と一緒に可動の複数のバー部材14により構成され、これらのバー部材14は、射出成形型Mが開放されたときに型締付空間Rを自由に(解放)する。型閉状態をもたらすために、バー部材14は、それらの操作可能部分(結合要素部分)14aが、定置の型支持体10の受容穴部10aに入り込み、それによりそこで、更に説明すべき方式で、型支持体と力伝達要素の間の形状結合式の接続を確立することができる。この際、バー部材14は、受容穴部10a内で支承スリーブ53(図3を参照)において予め心合わせされ、この際、これらの支承スリーブ53には、調和のとれた挿入面取部(挿入ガイド部)が設けられている。
【0049】
更に図2は、可動の型支持体11において型締付空間Rとは反対側にある型高さ調節装置42を示しており、型高さ調節装置42は、閉鎖行程を最適化するため及び/又は型閉状態で型支持体の最適位置を保証するために必要である。またバー部材14が、この領域において、ナット40と作用接続(係合)状態にあるねじ部分14bを有することが見てとれる。これらのナット40は、モータ41と、対応のギヤユニットとを介して調節され、この際、それにより閉鎖方向s―sにおける力伝達要素と可動の型支持体11との間の相対運動がもたらされる。
【0050】
以下、図3図4に基づき、ロック装置の構造を詳細に説明する。図3は、ロック装置15を図8のIII―III線に沿った断面図として示しており、この際、図3図4では、締付把持器16も、その全長において切断されて断面として示されている。構成部材の支承は、外側から内側(中央)に向かって行われ、即ちピストン18は、シリンダ19で支持されている。締付把持器16は、例えばねじ込み固定式でピストン18と結合されており、スライドスリーブ35は、締付把持器16と、図3図4ではその左側端部で結合されている。ロック解除ロッド55として構成されたロック解除要素は、後方領域において図3図4では左側の中央で、スライドスリーブ35内で案内され、そして前方において図3図4では右側で、ロック解除ロッド55の前側端部に配設された押付片39が締付把持器16の円錐部16aに当接することを介してロック解除ロッド55の心合わせが行われる。(図1から図6bの実施例において、ロック解除要素は、ロック解除ロッド55と呼ばれ、支承部は、スライドスリーブ35と呼ばれる。)しかしまた締付把持器16は、ピストンシリンダユニット17のピストン18とも結合状態にあり、ピストン18は、閉鎖力を加えるよう規定されている。ピストン18は、高圧シリンダ管として構成されているシリンダ19内に支承されている。シリンダ19は、シリンダカバー25により図3では左側で閉じられている。ピストン18は、ピストンシリンダユニット17内でシリンダ空間29内に流体を加えることにより、ばね24のような弾性手段の力に抗して図3では左側に向かって動くことができる。この運動により、締付把持器16と、ロック解除ロッド55上のスライドスリーブ35も左側に向かって動かされる。つまり締付把持器16は、案内要素としてのスライドスリーブ35を介してピストン18で支持され、従ってシリンダ19で支持されている。またロック解除ロッド55は、スライドスリーブ35内で案内され、水平方向に摺動することができる。それによりロック解除ロッド55自体は、締付把持器16内で配向(整列)され、締付把持器16がそれにより支承されることはない。
【0051】
図3による位置において、ロック装置15(締付把持器16)は、変形された位置にあり、即ちロック装置15(締付把持器16)は、押付片39によりパッシブに開かれている。押付片39が締付把持器16を開いて保持する図3の位置から出発し、圧力がシリンダ空間34内への流体の供給により加えられ、それによりロック解除ロッド55は、押付片39と共に、図3の位置から出発し、図4によるポジションへと左側に向かって動き、即ちシリンダカバー25の方向に動き、場合によりシリンダカバー25に当接することになる。それにより押付片39は、エッジ部16dに沿って円錐部16aの領域から離れ、それにより自由空間31が得られる。この際、押付片39を有するロック解除ロッド55は、環状空間32内を動く。この運動は、締付把持器16が弾性的に逆変形することをもたらし、即ちアクティブに閉じている位置に達することをもたらし、この際、締付把持器16の噛合部16bは、半径方向で内側に向かい、従って力伝達要素ないしバー部材14の操作可能部分14aの噛合部との係合状態に達する。従って押付片39の押し戻しに基づく締付把持器16の負荷解除により、締付把持器16は、閉じられた出発位置に戻るように動く。それにより定置の型支持体10に固定されたロック装置15とバー部材14との間のロックが達成される。噛合部の幾何学形状の最適化された加工を介し、係合状態にある要素(バー部材、締付把持器)について出発状態で生じる予緊張力に作用を及ぼすことができる。従って圧力が付勢されていることでロック装置15がアクティブに閉じているないしロックしている位置となり、それは、外力の作用を伴うことなく締付把持器16が力伝達要素と作用接続状態にあるためである。
【0052】
従って図3図4は、締付把持器16の要素が、曲げビームとして、噛合部が常に自動的に閉じていたい(アクティブに閉じている、パッシブに開いているという原理)というように構成されたユニットを示している。この際、押付片39は、(噛合部の)開き運動を作動させるために必要とされる。
【0053】
この際、閉鎖力(型締力)を加えるためには、圧力媒体がシリンダ空間29に提供され、この際、ピストン18は、ばね24の力に抗し、図4では左側に向かって動き、それによりバー部材14を引っ張り、そのようにして閉鎖力を場合により高圧下で加えることになる。基本的にピストン18は、図面に図示されていない一実施形態では、両側において流体で付勢可能に構成されていることが可能であろう。この場合、ばね24は、省略されるであろう。
【0054】
定置の型支持体10におけるロック装置15の固定は、固定手段36を介して行われ、この際、シリンダカバー25は、固定手段36を介してシリンダ19に押し付けられ、両方とも一緒に定置の型支持体10と結合される。ロックユニット(ロック装置15)の操作時に発生する運動と力は、変位センサ23、閉鎖力センサ26、流体用の圧力センサ27、並びにひずみゲージ28を介して検知される。
【0055】
ばね24に抗し且つシリンダ空間29を介した支承に基づき、ピストン18と、従ってピストン18に固定された締付把持器16も、ロック装置15において浮動式(schwimmend)で支承されている。
【0056】
図3図4は、ロック装置15においてスライドスリーブ20が備えられていることを示しており、この際、本実施例においてスライドスリーブ20は、図5aによる固定手段を用いてロック解除ロッド55に固定されている。このスライドスリーブ20は、図3によるポジション、即ち締付把持器16が開いているときには、締付把持器16の半径方向の弾性変形を可能にする領域内にある。しかしロック解除ロッド55が図3から出発して左側に向かって図4によるポジションに動かされると、従ってそれに対して相対的に締付把持器16が右側に向かって動かされると、締付把持器16の当接領域33が、図4のようにスライドスリーブ20の下側に達することになり、それによりスライドスリーブ20は、締付把持器16が意図しない半径方向の運動をすること、従って定置の型支持体10と力伝達要素との間のロックを意図しないで開放することを防止し、即ちこの種の開放から守っている。
【0057】
ロック装置15のこのロックされた状態で、力の流れは、定置の型支持体10に固定されたシリンダ19とピストン18との間に配設されているシリンダ空間29から出発し、ピストン18を介し、シリンダカバー25でスライドスリーブ35を介して案内されている締付把持器16へ、互いに係合する噛合部を介してバー部材14上へと行われ、このバー部材14は、定置の型支持体10内の支承スリーブ53において軸方向に可動に支承されている。締付把持器16は、理想的な力の流れを達成するために、バイオニック(bionisch)に寸法決定されている。
【0058】
ロック装置15を開くためには、図4ではロック解除ロッド55の左側に配設されているシリンダ空間48に対して圧力が付勢(印加)される。それによりロック解除ロッド55は、図4では右側に向かい、図3によるポジションへと動き、それにより押付片39は、再び締付把持器16のエッジ部16dに当接することになり、それにより締付把持器16の噛合部16bを半径方向で外側に向かって押し出し、従って力伝達要素ないしバー部材14の操作可能部分14aの噛合部を非係合状態とする。この際、エッジ部16dは、次のように構成される、即ち押付片39が徐々に曲線部に沿って先ずは締付円錐部16aにゆるく当接し、それから軽い力で、噛合部からの半径方向で外側に向かう運動を調和的に開始し、最後にバー部材14の繰出ないし進入のために十分な間隔を提供するように、構成されている。
【0059】
図3は、この位置においてロック解除ロッド55が端面(前面)側で力伝達要素ないしバー部材14の前面部から僅かな間隔をおいて位置していることを示している。つまり型締付空間R内に受容された射出成形型Mがこの位置において型移動装置13によるだけではまだ開放しないのであれば、シリンダ空間48内の圧力を増加することにより、射出成形型Mの開放過程を高圧開放の意味で追加的に支援することができ、この際には、ロック解除ロッド55の前面部は、バー部材14の端面部を押し付ける。
【0060】
図5aは、ロック装置15を図8のVa―Va線に沿った断面図として示している。図8の断面図は、ロック解除ロッド55の前側部分において潤滑剤プレート55aが切断されて示され、また断面が締付把持器16の個々のセグメントの間のスリット16cを通るように図示されている。また図8では、この領域にこれらの潤滑剤プレート55aの4つが設けられ、これらが断面においてそれぞれ90°の中心角を覆い、これらの間に潤滑スリット37a(図5a)を有することが見てとれる。図5aの中央では、スライドスリーブ20が固定手段を介して押付片39のロック解除ロッド55に固定されていることが見てとれる。ロック解除ロッド55の内部には、潤滑剤供給ライン54が走行し、潤滑剤供給ライン54を介し、先ずは潤滑機構38を介し、押付片39と締付把持器16の締付円錐部16aとの間の当接領域に潤滑剤が供給される。しかし潤滑剤は、ロック解除ロッド55内で更なる潤滑路37に分岐することもでき、これらの潤滑路37は、締付時に互いに係合する締付把持器の噛合部16bとバー部材14の操作可能部分14aの噛合部との潤滑のために規定されている。またこれらの噛合部14a、16bは、ねじ形式で構成されていることも可能であり、形状結合式の締付係合のために用いられる。また噛合部は、それに代わり又はそれに加え、図5aの領域Zについて図5b(「Detail Z」は「詳細Z」を意味する)に拡大して図示された潤滑機構により潤滑されることも可能である。型移動装置13、13’を用いた可動の型支持体11の運動により、バー部材14は、それらの操作可能部分14aを用い、定置の型支持体10内で支承された支承スリーブ53を通り、そこから穴部45内に達し、また締付把持器16は、型支持体10のその反対側から穴部45内に入り込む。支承スリーブ53と穴部45の間の移行領域では、図5bによると潤滑剤提供部50を介して潤滑剤がリザーバ51に提供され、バー部材14が締付把持器16に提供されるか又は締付把持器16から離されるときに、リザーバ51から環状隙間を介してバー部材14の操作可能部分14aへの潤滑剤放出が行われる。それによりこの領域の信頼性のある潤滑を実行することができる。
【0061】
図6aと図6bは、ロック装置15の代替的な第2実施例を示しており、このロック装置15において、締付把持器16は、アクティブに開いているように、そしてパッシブに閉じているように構成されている。この際、この実施例では、図3から図5bの第1実施例と同じ部材には同じ符号が使われている。それ故、図面の左側は、第1実施例と同じである。ここでもピストン18は、高圧ピストンとしてシリンダ空間29から付勢可能である。ピストン18は、シリンダ19内で軸方向に可動に支承されており、運動ユニットとして締付把持器16及びスライドスリーブ35と結合されており、それにより締付把持器16は、浮動式で支承されている。
【0062】
しかし差異は、図6aと図6bの右側にある。図6aでは、押付片39は、変形されずに開いている締付把持器16と当接している(アクティブに開いている)。この位置において、操作可能部分14aは、締付把持器16内に挿入されることが可能である。しかし今、流体がシリンダ空間34に供給されると、ロック解除ロッド55は、押付片39と共に、図6bのように締付把持器16とピストン18に対して相対的に左側に向かって動く。同時に図6bでは右側で、締付把持器16を受容している定置の型支持体10の穴部45の底部において、更なるピストン18’が、シリンダ空間30から押し出され、次のように締付把持器16と当接するように制御される、即ち円錐部18a’が締付把持器16の締付円錐部16a’に当接することになり且つそれにより締付把持器16が半径方向で弾性的に内側に向かって変形するように制御され、従ってバー部材14の操作可能部分14aに対する締付把持器16の噛合部16bの係合が行われ、所望のロックが実行される(パッシブに閉じている)。この際、更なるピストン18’は、締付把持器16を追加的に開きから守り、つまり半径方向で外側に向けられた締付把持器16の運動からパッシブに守り、つまり締付把持器16は、そのために変形される。このロック装置15を開くときには、シリンダ空間30が負荷解除される。そしてロックされた位置において弾性的に半径方向で内側に向かって変形された締付把持器16は、その開かれた出発位置に戻ることができる。この運動は、押付片39により支援されることが可能であるが、基本的にこの実施形態によるロック装置15のロック解除のためには、押付片39は、必ずしも必要というわけではない。
【0063】
図1から図6bの実施例は、射出成形品の製造のための射出サイクル中にバー部材を「自由に」移動させることができるという利点を有する。このことは、型締付空間Rに対し、必要に応じて無制限のアクセスを可能にする。
【0064】
図7は、第3実施例において、閉鎖力が他の方式で加えられる装置を示している。バー部材14は、図7では左側から、その操作可能部分14aと共に受容穴部を通って定置の型支持体10内に挿入され、穴部45を通って締付把持器16に至るまで案内される。この時点において、ピストン18は、シリンダ空間34から図7では左側に向かって押され、それにより締付把持器16は、半径方向で外側に向かって弾性変形することができる。この際、締付把持器16は、図7では右側に図示された押付片56を介し、半径方向で弾性的に拡開される。シリンダ空間34内の圧力が低下され、及び/又は押付片56が右側に向かって移動されると、ばね24がピストン18を図7では右側に向かって押し付け、それによりピストン18の円錐部18aが締付把持器16の円錐部16aと当接することになり、締付把持部16を半径方向で弾性的に内側に向かって押し付け、それにより締付把持器16の噛合部とバー部材14の操作可能部分14aの噛合部とが形状結合式でロックするように互いに係合する。このロックされた位置において、シリンダ室29から閉鎖力を加えることができる。閉鎖力を加えるときの力の流れは、この実施例において、ライン57により、定置の型支持体10からピストン18を介して締付把持器16へ、そして噛合部を介してバー部材14へと行われる。
【0065】
シリンダ空間34に圧力が付勢(印加)されると、ピストン18は、左側に向かって押される。ばね24を介し、ピストン18は、ゼロ位置に押し動かされる。このポジションにおいて、締付把持器16とピストン18の円錐部領域には、所定の隙間が生じる。締付把持器16は、押付片56を介して広げられ、締付把持器16は、これによりバー部材14(力伝達要素)が進入するための自由空間を自由にする。
【0066】
押付片56を後退させると、締付把持器16が閉じ、操作可能部分14aと噛合部16bの間のロックが行われる。シリンダ空間29を付勢して力を増加させると、ピストン18は、前(図中右)に移動し、円錐部18aと円錐部16aを介して締付把持器16を右側に向かって押し動かし、高圧を生成する。このバリエーションの利点は、ライン57により力の流れが締付把持器全体を介して伝わるのではなく、直接的にピストン18の円錐部18aから締付把持器16の円錐部16aに伝わり、そこから噛合部を介してバー部材に伝わる(締付把持器の構成部材のための負荷がより低い)ということにある。
【0067】
図10から図14は、ロック装置15の更なる第4実施例を示しており、このロック装置15では、締付把持器116が複数部材式で構成され、関節式で支承された複数の締付要素を有する。基本的にこの第4実施例でも、次の第5実施例でも、参照符号は、最初の3つの実施例と同様に使われるが、これらの実施例では100がプラスされている。
【0068】
構造に関して図10図12は、型支持体10、即ち定置の型支持体10を示しており、この定置の型支持体10には、バー部材14の形式の力伝達要素が支承スリーブ53を通り、取り外し可能に受容されている。バー部材14は、図10では中央にあるその端部において、噛合部の形式の操作可能部分14aを有する。定置の型支持体10には、ロック装置15が固定されており、ロック装置15は、定置の型支持体10の穴部に入り込む支承部材172を含み、この支承部材172には、ロック装置15のシリンダ119とシリンダカバー125が固定手段136を介して固定されている。支承部材172は、ピストン118が受容されているシリンダを同時に構成している。支承部材172自体も、同様に固定要素を介して定置の型支持体10に固定されており、即ちそれらを含んだ構成グループ(閉じた構成グループないしアセンブリ)であるロック装置15は、これらの固定手段を介して定置の型支持体10に固定されることが可能であり、このことは、特に射出成形機の製造と整備を容易にする。
【0069】
シリンダカバー125は、成形部125aを有し、成形部125a内には、最初の両方の実施例のロック解除ロッド55と比肩可能なロック解除要素155が受容されている。図10図12の間の比較は、ロック解除要素155が、シリンダ空間134内に圧力を加えることにより、図10では左側に向かって動き、そしてシリンダ空間148内に圧力を加えることにより、図12では右側に向かって動くことができるということを明らかにしている。
【0070】
図13による固定手段を介してロック解除要素155には、操作要素160が結合されており、操作要素160は、図14によると半径方向で外側に向かってシリンダ119のシリンダ壁部に至るまで案内されている。この操作要素160は、ロック解除要素155の操作時には、力伝達要素の軸方向に動かされ、この際、図10のポジションから図12のポジションへと右側に向かうロック解除要素155の運動時には、操作要素160も右側に向かって動かされる。この操作は、締付把持器ないし締付要素116に対して相対的に行われ、またこれらの締付要素116は、閉鎖方向に対して横方向に配設された継手部116eを介して支承要素115で支承されている。また支承要素115は、シリンダカバー125の方向では、ばね24の形式の弾性要素により支持され、それ以外の半径方向では、成形部125aで支持されている。ばね24の力に抗し、この支承要素115は、シリンダカバー125の成形部125aの外面部で可動に案内されている。
【0071】
図10は、閉じられた状態にある締付要素116を示しており、即ち噛合部116bは、バー部材14の操作可能部分14aに係合している。この位置は、ロック解除要素155が、シリンダ空間134に圧力を加えることにより図10では左側に向かって当接するに至るまで移動され、それによりロック解除要素155と結合された操作要素160も図10では左側に向かって動いたことにより達成される。このことは、締付円錐部116aから出発し、操作要素160が、締付要素116の外面部に当接することになり、締付要素116を図10による位置に移行させることをもたらす。このロックされた位置においてシリンダ空間129内の圧力がピストン118に加えられると、ピストン118は、弾性要素161の力に抗して動き、それにより、ピストン118が締付要素116に当接すると直ちに閉鎖力の印加がもたらされる。締付要素116を力伝達要素との非作用係合状態にもたらすためには、シリンダ空間148内に圧力が加えられる。このことは、ロック解除要素155が図12では右側に向かって動くことをもたらし、この際、操作要素160も右側に向かって動き、それにより締付要素116の運動のための自由空間を作り出す。同時にロック解除要素155の端面(前面)側の領域は、同様に締付要素116の半径方向で内側の端部に当接することになり、それにより締付要素116を力伝達要素の操作可能部分14aとの非係合状態に押し出す。弾性要素161を用いることによりピストン118は、シリンダ空間129内の圧力低下後に出発位置へと押し戻される。
【0072】
好ましくは、締付把持器116の強制的(自動的)に制御される開閉運動は、ロック解除要素155のストローク(行程)を介して行われる。更に必要に応じ、この実施例においても、バー部材14に作用するロック解除要素155を用い、高圧開放(射出成形型の高圧開放)を行うこともできる。
【0073】
図11は、図10のXI―XI線に沿った、閉じられた状態にある装置の対応の断面図を示している。ここでは、複数の締付要素も操作要素も、本実施例ではそれぞれ90度の角度で支持されて設けられ、それらは、中央に位置するロック解除要素155に対して放射状に配設されていることが見てとれる。操作要素160とその支持部は、ロック解除要素155と結合され、例えばねじ込み固定されている。これらの要素の案内は、ロック解除要素155を介して行われる。図13図14は、ロック解除要素155における操作要素160の固定部を示しており、この際、この断面図において締付要素116は、切断されずに示されている。
【0074】
力の流れは、直接的にピストン118から噛合部116bを介して操作可能部分14aへ、従って力伝達要素へと伝わる。このことは、純粋な押圧力伝達により締付要素116に対する最適化された応力負荷を用いた簡単な力の導入をもたらしている。
【0075】
図15から図18の第5実施例は、基本的に第4実施例と比肩可能な構造を示しており、従ってここでもできるだけ同じ参照符号が使われる。図15によるロック装置の閉じられたポジション又は図17による開かれたポジションを見ると、この実施形態では、例えば図10と異なり、操作要素160が使用されないことが見てとれる。型支持体10内のバー部材14の配設構成、並びに支承部材172、シリンダ119、シリンダカバー125、ロック解除要素155の配設構成は、確かに同じであり、締付要素116も基本的にそれらの継手部116eを介して比肩可能に配設されているが、補足的にスライドスリーブ170が設けられており、スライドスリーブ170は、シリンダ空間171から付勢可能であり、それにより図17の左側のポジションから図15の右側のポジションに移行可能である。ばね161は、締付要素116が自由に開けるために、ピストン118を終端位置に押し付ける。図15によるロック装置15の閉じられてロックされたポジションにおいて、ロック解除要素155は、シリンダ空間134内の圧力により左側に向かって移動している。それにより先ずはロック解除要素155の前方に自由空間が構成され、この自由空間内に、締付要素116の半径方向で内側に位置する面部が入り込むことができる。また同時に、その他の機構に依存せず、シリンダ空間171内の圧力により、スライドスリーブ170は、図15では右側に向かって動かされ、それにより締付要素116の外面部に当接することになり、それにより締付要素116は、スライドスリーブ170により、ロックされたポジションで位置固定される。従って操作可能部分14aの噛合部への噛合部116bの係合が保証される。このポジションにおいて、閉鎖力を生成するために、再びシリンダ空間129から圧力をピストン118に加えることができる。この際、締付要素116が(関節)継手部116eを介して支承されている支承要素115は、ばね24の力に抗してのみ、軸方向に、即ち力伝達要素の方向に可動に支承されている。図15では右側に向かい、シリンダ119における堅固な当接部がある。ばね24は、支承要素115を(締付要素116と共に)液圧的に無負荷状態で右側に向かってシリンダ119における当接部に押し付ける。それにより力伝達要素(バー部材14)と締付要素116の間には、常に理論的に最適の継目ポジションが達成される。力伝達要素が締付要素116内へ「オーバーラン」で進入すると(例えば型高さが間違って設定されたことによる)、ばね24は、衝突負荷を減衰し、従って構成部材を保護する。
【0076】
図15によるロック装置15をロック解除するためには、図17によりシリンダ空間148内に圧力が加えられ、それによりロック解除要素155が図17では右側に向かって動かされる。この際、前面側では場合によりバー部材14と当接することになり、それにより、既に他の実施例で説明したように、シリンダ空間148内の更なる圧力により高圧開放が可能となる。同時にロック解除要素155は、図17による位置では、既に締付要素116の半径方向で内側に位置する端部を半径方向で外側に向かって押しのけて(拡開して)おり、それによりバー部材14から離間した締付要素116のポジションが得られている。しかしながらこのことは、同時にシリンダ操作されるスライドスリーブ170が同様にシリンダ空間173内の圧力により図17では左側に向かって移動した場合にだけ可能であり、それによりスライドスリーブ170は、今や対応の自由空間内で締付要素116の(段差小径の)外面部に位置するようになる。
【0077】
当該構造は、基本的にこれらの実施例において、締付把持器16のロック後に更なる力の流れが実質的に締付円錐部16a、18a’とそれに対応する対向円錐部を介してのみ行われるということをもたらし、それにより締付把持器16自体は、閉鎖力を加えるときの力の流れからほとんど解除されている。その力の流れは、図3から図6の実施例では、締付把持器を介して伝わり、この際、構成部材に高い応力負荷をもたらし、このことは、それぞれの要素のより複雑な設計を要求することになる。それに対し、図10から図18の実施例では、力の流れは、純粋な押圧力負荷として締付把持器に取り入れられ、このことは、それぞれの要素の負荷がより少ないことに寄与する。この際、力の流れは、ピストン118から垂直方向の当接面を介して締付要素116に進み、そこから噛合部を介して力伝達要素に進んでいく。
【0078】
先の実施例がツープレート式機械の型締ユニットを示しているのに対し、図9aと図9bでは、スリープレート式機械の実施例が図示されている。先の実施例と異なり、スリープレート式機械では、型移動装置13’、13”が支持される支持要素22が設けられる。この際、図9aの型移動装置13’は、トグルレバー機構に関し、図9bの型移動装置13”は、液圧駆動ユニットに関する。閉鎖力は、好ましくは、単独で又は補足として、ロック装置15内のピストンシリンダユニットにより加えられる。
【0079】
方法として、全ての実施例において、締付把持器は、浮動式で支承される。力伝達要素の操作可能部分14aは、射出成形型Mの部材の型閉状態で、型支持体10、11、11’の1つの型支持体においてロック装置15を用いて形状結合式でロックされる。そしてそのようにロックされた状態で、力伝達要素を介して閉鎖力が伝達される。力伝達要素は、少なくとも1つの締付把持器を用いて浮動式で支承されており、この際、多くの場合、複数の力伝達要素がそれぞれの型支持体に設けられており、それにより対応する数の締付把持器16、116が設けられている。浮動式で支承された締付把持器16、116は、閉鎖力を加えるために、ロック装置15内で同時にピストンシリンダユニット17のピストン18、118と結合されている。それにより同じ構成グループから、ロックも締付力の印加も行うことができ、従って力が強い場合にも信頼性があり且つ迅速な閉鎖力の生成が可能である。
【0080】
締付把持器16、116は、強制的に案内されて力伝達要素とロックされ、この際、ロックされた状態で、ピストン18、118を用い、閉鎖力を生成するための高圧が生成される。強制的な案内のために締付把持器16は、最初の両方の実施例では、押付片39を用いて操作可能である。この押付片は、締付把持器に対して中央に配設されたロック解除ロッド55の形式のロック解除要素に配設され、操作時には締付把持器16の半径方向の弾性変形をもたらす。
【0081】
閉鎖力を生成するためのピストン18は、締付把持器16を介し、スライドスリーブにより構成された少なくとも1つの支承部35を用い、締付把持器16内で中央に配設され且つロック解除要素として構成されたロック解除ロッドに沿って運動可能である。それにより一方では、ピストン18の案内もロック解除ロッド55の案内も保証される。しかしまたロック解除要素55、155も、実質的にシリンダカバー25、125で間接的又は直接的に支持されることにより、可動に案内される。コンポーネントの支承は、外側から内側に向かって行われる。ロック解除要素は、スライドスリーブ35において案内され、スライドスリーブ35は、締付把持器16とピストン18を介してシリンダ19で支持される。
【0082】
最初の両方の実施例では、そのためにスライドスリーブ35が設けられており、ロック解除要素55は、スライドスリーブ35に沿って動く。図10から図18による最後の両方の実施例では、シリンダカバー125が成形部125aを有し、ロック解除要素155は、成形部125aに沿ってシリンダカバー125に対して相対的に可動に案内される。
【0083】
基本的に、ロック装置15は、アクティブに閉じているように又はアクティブに開いているように構成されることが可能である。図3図4の実施例において、締付把持器16は、アクティブに閉じており、つまり変形されていない状態で、力伝達要素の操作可能部分14aが適切に位置決めされているときには、締付把持器16の噛合部16bとバー部材14の噛合部との間に作用係合が行われる。そして半径方向に弾性変形された、従ってパッシブに開かれた状態で、締付把持器16は、力伝達要素の操作可能部分14aが挿入される受容開口部を有する。この挿入後に締付把持器16の半径方向の変形は無くなり、それにより締付把持器16は、アクティブに閉じていて取り外し(解除)可能であるが、同時にまた力伝達要素と形状結合式で接続される。或いは締付把持器16は、図6aと図6bの第2実施例において、締付把持器16が、開かれた状態で半径方向に変形されていないように構成されていることも可能である。そしてバー部材14は、その際に存在する受容開口部に挿入されることが可能である。それに続き、締付把持器16は、半径方向で内側に向かって弾性変形し、それにより締付把持器16は、パッシブに閉じていて取り外し可能であるが、同時にまた力伝達要素と形状結合式で接続される。
【0084】
第4実施例と第5実施例による解決策では、締付把持器116の半径方向の変形(弾性変形)はもたらされない。締付把持器116は、この際、複数部材式で構成されており、閉鎖方向に対して横方向に回動可能に支承(枢支)された複数の締付要素を有する。これらの締付要素は、支承要素115で支承されており、ロック解除要素155と結合された操作要素160(図10から図14)を用い、又は締付把持器に依存せずに操作可能なスライドスリーブ170(図15から図18)を用い、力伝達要素との作用係合状態ないし非作用係合状態になるように制御される。
【0085】
好ましくは、上記の実施例におけるロック解除要素55、155は、二重機能を有する。一方では、ロック解除要素は、締付把持器16、116を開くためにシリンダ空間48、148から付勢(圧力印加)される。他方では、ロック解除要素は、締付把持器が開かれた状態で、前面側で、力伝達要素として構成されたバー部材14にロック解除要素155が当接することになるように配設されている。このポジションにおいて、シリンダ空間48、148内の圧力を更に増加することにより、射出成形型Mを場合により高圧で開放することができる。
【0086】
自明のことであるが、本説明には、極めて様々な修正形態や変更例や適合形態があるが、これらは、添付の請求項に対する均等の範囲内で可能とされるものである。
【符号の説明】
【0087】
10 定置の支持体
10a 受容穴部
11、11’ 可動の型支持体
11a テーブルキャリッジ
12 支持要素
13、13’、13” 型移動装置
14 バー部材
14a 操作可能部分
14b ねじ部分
15 ロック装置
16 締付把持器
16a、16a’ 締付円錐部
16b 噛合部
16c スリット
16d エッジ部
17 ピストンシリンダユニット
18、118 ピストン
18’ 更なるピストン
18a、18a’ 円錐部
19、119 シリンダ
20、170 スライドスリーブ
21 機械スタンド
22 支持要素
23 変位測定器
24、161 ばね/弾性要素
25、125 シリンダカバー
26 閉鎖力センサ
27 圧力測定器 流体
28 ひずみゲージ
29、30、34 シリンダ空間
48 シリンダ空間
31 自由空間
32 環状空間
33 当接領域
35 スライドスリーブ
36、136、162 固定手段
37、37’ 潤滑路
37a 潤滑スリット
38 潤滑機構 押付片
39 押付片
40 ナット
41 モータ
42 型高さ調節装置
45 穴部
50 潤滑剤提供部
51 リザーバ
52 潤滑剤放出部
53 支承スリーブ
54 潤滑剤供給ライン
55 ロック解除要素/ロック解除ロッド
55a 潤滑剤プレート
56 押付片
57 力の流れ
115 支承要素
116 締付把持器/締付要素
116a 締付円錐部
116b 噛合部
116e 継手部
125a 成形部
129、134
148、171 シリンダ空間
155 ロック解除要素/ロック解除ロッド
160 操作要素
172 支承部材
173 シリンダ空間
M 射出成形型
R 型締付空間
s―s 閉鎖方向
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18