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特許7164631毛髪移植機に使用可能な針チャネルを含む針チャネルバンドル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】毛髪移植機に使用可能な針チャネルを含む針チャネルバンドル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3209 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61B17/3209
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020565983
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2019006203
(87)【国際公開番号】W WO2020009329
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0076789
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518419611
【氏名又は名称】オデ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】OHDAE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2 Nongong-ro 117-gil, Nongong-eup, Dalseong-gun,Daegu, 42984 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン スル
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ソン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0132892(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0001374(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0014683(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪移植機に使用可能な複数の針チャネルを備える針チャネルバンドルであって、
毛髪移植機内で長手方向に配置された回転体としての中央シャフトを含み
前記針チャネルは、毛髪移植機内の中央シャフトの外周面を取り囲むように配列され、この外周面に、上下方向に摺動自在に結合するように構成され、前記針チャネルは、
管状の内部空間を有するボディ部(1210)と、
前記ボディ部の下端部に結合された針(1220)と、
前記管状の内部空間及び前記針の内部に、摺動自在に配置される心軸(1230)と、
前記ボディ部に長手方向に形成され、前記中央シャフトの中心軸から放射状に外側の方向に向って開放されたスロット(1215)と、
前記心軸の上端に結合し、前記スロット内にて上下方向に摺動自在に配置されたレバー(1231)と、
前記心軸の周りに嵌められ、上端部は前記レバーに支持され、下端部は前記スロットの底面に支持されるばね(1241)と、
を含むことを特徴とする針チャネルバンドル
【請求項2】
前記ボディ部から前記放射状に外側の方向に突出して形成され、前記スロット(1215)を左右から取り囲むように形成された係止突出部(1211)と、
係止突出部の下端部に、一方の側にのみ傾斜角を有する鋸歯型のラチェットギア歯(1212)と、
をさらに含む、請求項1に記載の針チャネルバンドル
【請求項3】
前記ボディ部から前記放射状に外側の方向に突出して形成され、前記スロット(1215)を左右から取り囲むように形成された係止突出部(1211)と、
前記針チャネルが、前記ボディ部における放射状に外側を向いた表面にて、前記係止突出部の下方に形成された凹んだ構造の係止凹部(1219)をさらに含み、
前記針チャネルが毛髪移植機に装着された際、毛髪移植機に形成されて前記係止突出部の下方にて前記ボディ部の外周面に接しながら前記針チャネルバンドルを取り囲む昇降ギアホルダ(1400)の側面に結合した針チャネル係止部(1900)のラッチに、係止凹部(1219)が係止すれば、この針チャネルが前記昇降ギアホルダの上下動きに追従して共に動くように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の針チャネルバンドル
【請求項4】
前記針チャネルの係止凹部(1219)の下方の段差部(1219b)が直角に形成され、2個の側面のうち第1側面(1219b)及び上側(1219a)の段差部が面取り処理されて傾斜面として形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の針チャネルバンドル
【請求項5】
前記係止凹部(1219)の2個の側面のうち、第2側面(1219c)に接した前記針チャネルのボディ部の稜部(1219e)に角を丸める処理がなされていることを特徴とする、請求項4に記載の針チャネルバンドル
【請求項6】
前記針チャネルにおける、前記ボディ部から前記放射状に外側の方向に突出して形成され、前記スロット(1215)を左右から取り囲むように形成された係止突出部の表面から、前記放射状に外側の方向に突出した突部(1217)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の針チャネルバンドル。
【請求項7】
前記針チャネルが毛髪移植機に装着され、下方にプッシュされてから上昇する際、針チャネルの前記レバー(1231)は、毛髪移植機における心軸係止部(1700)のラッチ(1710)が、弾性部材(1730)によって前記中央シャフトの中心軸の側へと押されている状態にて、前記ラッチ(1710)に係止されることで、レバー(1231)及び心軸(1230)の上昇が一時的に停止され、
前記針チャネルがさらに上昇すれば、前記突部(1217)が心軸係止部(1700)のラッチ(1710)を放射状に外側の方向に向って押し出して心軸係止部(1700)の係止動作を解除することで、レバー(1231)と心軸(1230)が上昇するように構成されたことを特徴とする、請求項6に記載の針チャネルバンドル。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の複数の針チャネルバンドルであって
前記複数の針チャネルのそれぞれが、前記中央シャフトの外周面にて、この中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に配置され、それぞれが上下方向に摺動自在に中央シャフトに結合されたことを特徴とする針チャネルバンドル。
【請求項9】
請求項1及び3ないし7のいずれか一項に記載の複数の針チャネルバンドルであって、
前記複数の針チャネルのそれぞれが、前記中央シャフトの外周面にて、この中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に配置され、それぞれが上下方向に摺動自在に中央シャフトに結合され、
針チャネルバンドルを一チャネルだけ所定の角度回転させるチャネル回転手段として駆動モータ(2300)が備えられる針チャネルバンドル。
【請求項10】
請求項2ないし7のいずれか一項に記載の複数の針チャネルバンドルであって、
前記複数の針チャネルのそれぞれが、前記中央シャフトの外周面にて、この中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に配置され、それぞれが上下方向に摺動自在に中央シャフトに結合され、
前記針チャネルバンドルが毛髪移植機に装着される際、針チャネルバンドルが、中央シャフトの中心軸を中心に回転させるチャネル回転手段に取り囲まれるように配置され、
前記チャネル回転手段による一回の回転ごとに、1つの針チャネルずつ所定の位置に来るように、所定の角度ずつ回転がされるように構成され、
前記チャネル回転手段は、前記針チャネルのボディ部のうち、前記係止突出部の下方のボディ部の外周面に接しながら、前記針チャネルバンドルを取り囲む円筒状の昇降ギアホルダ(1400)、及び前記昇降ギアホルダの外周面に接しながら、前記針チャネルバンドルを取り囲む円筒状のラチェット支えホルダ(1300)を含み、
前記係止突出部の下端部に、一方の側にのみ傾斜角を有する鋸歯型のラチェットギア歯(1212)さらに含み、
前記昇降ギアホルダの上部面に、前記ラチェットギア歯の数と同一に、連続的に、くさび型突出部(1410)が形成され、
前記ラチェット支えホルダの上部面には、ラチェットギア歯と噛み合うよう傾斜角を有する鋸歯型のラチェットギア凹部(1310)が形成され、
前記くさび型突出部(1410)のそれぞれの最上端部が、前記ラチェットギア凹部(1310)における最上端の端部同士の間に位置するように配置されたことを特徴とする針チャネルバンドル。
【請求項11】
針チャネルバンドルを回転させるための施術者からの外力、及び、昇降ギアホルダ(1400)を上昇させるための施術者からの外力が作用しないとき、針チャネルバンドルのラチェットギア歯が、前記ラチェット支えホルダのラチェットギア凹部にそれぞれ配置されて支持され、前記昇降ギアホルダは、前記ラチェット支えホルダよりも下方に位置し、
前記くさび型突出部が前記ラチェットギア凹部よりも高くなるまで昇降ギアホルダが上昇すれば、前記ラチェットギア歯が、前記くさび型突出部の傾斜面に沿って摺動下降することで、前記針チャネルバンドルが所定の角度回転し、
前記くさび型突出部が前記ラチェットギア凹部よりも低くなるまで昇降ギアホルダが下降すれば、前記ラチェットギア歯が、前記ラチェットギア凹部の傾斜面に沿って摺動下降することで、前記針チャネルバンドルが所定の角度回転することにより、
昇降ギアホルダの上昇及び下降の動作によって、前記針チャネルバンドルが一チャネルだけ回転するように構成されたことを特徴とする、請求項10に記載の針チャネルバンドル。
【請求項12】
針チャネルの前記スロットの上部に取り付けられた上部蓋(1250)をさらに含み、
針チャネルバンドルは、一方向にのみ回転可能であり、この回転可能な方向とは逆の方向へと向かって高くなっていくように、前記上部蓋の上部表面が、所定の傾斜角だけ傾いている傾斜面として形成されたことを特徴とする、請求項8に記載の針チャネルバンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪移植機に関し、より詳しくは、毛髪移植用の針(移植針)を束状に複数装着した束状の毛髪移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植機(植毛機)は、頭皮の発毛領域から毛髪を採取し、これを脱毛された他の不毛領域の頭皮(不毛患者)に植えて移植する、毛髪施術法に用いられる医療装備である。
【0003】
従来における毛髪移植機は、針(移植針)と針の内部に摺動自在に挿入された心軸から構成され、数多い毛髪を移植するために、一単位の、針(針管)と心軸とを含んで構成された針チャネルを、複数装着した束状の毛髪移植装置が開発された。
【0004】
しかし、このような束状の毛髪移植装置は、針チャネルを動作させるために数個の駆動モータと複雑な構造を有する。すなわち、毛髪移植のために針チャネルを回転させて1つの針チャネルを頭皮に押込み、針内部の心軸を復帰させるといった動作をそれぞれ独立に行うために、少なくとも3つのモータを備えなければならず、これを実現するための装置構造が複雑になるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、複数の針チャネルを回転体の外周面に取り付けることによって、従来に比べてより多くの針チャネルを装着した針チャネルバンドルを備えた毛髪移植機を提供することにある。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、心軸の復帰動作を別途の駆動装置ではなく、機械的な構造で解決することにより、従来に比べて部品コスト及び装置の複雑性を減らし得る毛髪移植機を提供することにある。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、針チャネルの回転及び針チャネルの吐出と復帰動作を駆動モータなしで機械的な装置のみで行うことのできる毛髪移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、毛髪移植機に使用可能な針チャネルであって、前記針チャネルは、毛髪移植機内の中央シャフトの外周面に、上下方向に摺動自在に結合するように構成され、前記針チャネルは、管状の内部空間を有するボディ部と、前記ボディ部の下端部に結合された針(針管)と、前記管状の内部空間及び針の内部に摺動自在に配置される心軸と、前記ボディ部に長手方向に形成され、中央シャフトの中心軸から放射状の外側方向に向って開放されたスロットと、心軸の上端に結合し、前記スロット内にて上下方向に摺動自在に配置されたレバーと、前記心軸の周りに嵌められ、上端部は前記レバーに支持され、下端部は前記スロットの底面に支持されるばねとを含むことを特徴とする針チャネルを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、毛髪移植機に使用可能な複数の針チャネルを備える針チャネルバンドルであって、毛髪移植機内で長手方向に配置された中央シャフトと、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の複数の針チャネルとを含み、前記複数の針チャネルのそれぞれが前記中央シャフトの外周面に、この中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に配置され、それぞれが上下方向に摺動自在に中央シャフトに結合されていることを特徴とする針チャネルバンドルを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、複数の針チャネルを、回転体の外周面に放射状に取り付けて針チャネルバンドルを形成することで、従来に比べてより多くの針チャネルを装着できるという技術的な効果を有する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、機械的構造でもって心軸を復元できるように構成され、心軸復帰のための別途の駆動手段を必要としないため、装置構造の複雑性を減らし、部品のコストも節減できるという効果を有する。
【0012】
また、本発明の一実施形態によれば、針チャネルの回転及び針チャネルの吐出と復帰動作を、駆動モータなしで機械的な装置のみで行うことのできる毛髪移植機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る毛髪移植機の斜視図である。
図2】一実施形態に係る毛髪移植機の断面図である。
図3】一実施形態に係る毛髪移植機の分解斜視図である。
図4】一実施形態に係る針チャネルバンドルを説明するための図である。
図5】一実施形態に係る針チャネルの斜視図及び断面図である。
図6】一実施形態に係る針チャネルの分解斜視図である。
図7】一実施形態に係る針と心軸の下部構造を説明するための図である。
図8】一実施形態により中央シャフトの周辺に複数の針チャネルが結合される構造を説明するための図である。
図9】針チャネルの上部に結合される上部蓋を説明する図である。
図10】一実施形態に係る心軸係止部を説明するための図である。
図11】一実施形態に係る心軸の係止及び係止解除動作を説明するための図である。
図12】一実施形態に係る毛髪移植機の一部の構成要素を説明するための分解斜視図である。
図13】一実施形態に係る針チャネル係止部を説明する図である。
図14】一実施形態に係る針チャネル係止部を説明する図である。
図15】一実施形態に係る針チャネルを回転させる動作を説明する図である。
図16】一実施形態に係る手動操作用取っ手を説明する図である。
図17】一実施形態に係る手動操作用取っ手が装着された毛髪移植機の一部の一側断面図である。
図18】一実施形態に係る手動操作用取っ手が装着された毛髪移植機の一部の他側断面図である。
図19】本発明の第2実施形態に係る毛髪移植機の斜視図である。
図20】一実施形態に係る毛髪移植機の断面図である。
図21】一実施形態に係る毛髪移植機の分解斜視図である。
図22】一実施形態に係る針チャネルバンドルを説明するための図である。
図23】一実施形態に係る針チャネルの斜視図及び断面図である。
図24】一実施形態に係る針チャネルの分解斜視図である。
図25】一実施形態に係る毛髪移植機の一部の構成要素の分解斜視図である。
図26】一実施形態に係るボールプランジャー支持部を説明するための図である。
図27】一実施形態に係る心軸係止部の断面図である。
図28】一実施形態に係る心軸係止部の分解斜視図である。
図29】代案的な実施形態に係るプッシュバー及び針チャネルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に関する以下の好適な実施形態によって容易に理解されるのであろう。しかし、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されることなく、別の形態に具体化されてもよい。以下で説明される実施形態は、当業者に本発明の思想を十分に伝達可能にするために提供される例示的な実施形態である。
【0015】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の「上」(又は「下」、「右側」又は、「左側」)にあると言及される場合、それは他の構成要素の上(又は下、右側、又は左側)に直接位置することであるか、又はその間に第3の構成要素が介在し得ることも意味する。また、図面で構成要素の長さ又は厚さは、技術的な内容の効果的な説明のために誇張されたものであってもよい。
【0016】
また、本明細書において、構成要素の間の位置関係を説明するために用いられる「上部」、「下部」、「左側」、「右側」、「前面」、「後面」などの表現は、絶対的な基準としての方向や位置を意味するものではなく、各図面を参照して本発明を説明するとき該当の図面を基準にして説明の便宜のために用いられる相対的な表現である。
【0017】
本明細書において、第1、第2などの用語が構成要素を記述するために使用された場合、その構成要素がこのような用語によって限定されることはない。この用語は、単に、いずれかの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されたものに過ぎない。ここで説明かつ例示される実施形態は、その相補的な実施形態も含む。
【0018】
本明細書において、単数型は特に言及されない限り複数型を含む。明細書で用いられる「含む(comprise)及び/又は(comprising)」は、言及された構成要素は1つ以上の異なる構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。以下、特定の実施形態を記述することにおいて、様々の特的な内容は、発明をさらに具体的に説明して理解を助けるために作成されたものである。しかし、本発明を理解できる程の本分野での知識を有する者であれば、様々な特定的な内容がなくても使用できることを認知し得る。一部の例として、発明の記述において、周知の発明と大きく関連のない部分は、本発明の説明において混沌を防ぐために記述しないことを予め言及しておく。
【0020】
<第1実施形態の毛髪移植機>
図1は、第1実施形態に係る毛髪移植機の斜視図であり、図2は、毛髪移植機の断面図である。そして、図3は、分解斜視図である。
【0021】
図面を参照すると、第1実施形態に係る毛髪移植機は、ケース10及びケース10の下部及び上部にそれぞれ結合された下部キャップ20及び上部キャップ30から構成される。
【0022】
ケース10の内部には、針チャネル1200がバンドル状に複数結合された針チャネルバンドルが回転自在に配置されている。針チャネルバンドルは、中央シャフト1100、及び、その外周面に放射状に等間隔に配列された複数の針チャネル1200から構成される。
【0023】
針チャネルバンドルの外周縁には、針チャネルバンドルを、一チャネル分だけ、所定の角度回転させるチャネル回転手段が配置されている。図示する実施形態において、チャネル回転手段は、針チャネルバンドルの外周面を取り囲む円筒状の昇降ギアホルダ1400、及び、昇降ギアホルダ1400の外周面を取り囲む円筒状のラチェット(ratchet)支えホルダ1300を含んでもよい。
【0024】
ラチェット支えホルダ1300は、ケース10の内部に取り付けて固定されている。昇降ギアホルダ1400は上下方向に摺動しうる。一実施形態において、昇降ギアホルダ1400が上昇及び下降する動作を1回行うたびに、針チャネルバンドルを所定の角度ずつ回転させ得る。例えば、昇降ギアホルダ1400の1回の上昇/下降の動作によって、針チャネルバンドルを1つの針チャネル分の間隔(インターバル)だけ回転させ得る。チャネル回転手段の具体的な構成及び動作について、図12図15を参照して後述することにする。
【0025】
ケース10の側面には心軸係止部1700が配置される。心軸係止部1700は、針チャネル1200の内部に摺動自在に配置された心軸(図5に示す1230)を係止して心軸が一時的に動かないようにする機能を果たす。
【0026】
ケース10の下端部には、下部キャップ20が脱着自在に結合され、ケース10の下端部をカバーする。下部キャップ20の下部面には、1つの針チャネル1200が通過できるノズル21が形成され、1つの針チャネル1200がノズル21を通じて所定の長さだけ下方に突出しうる。
【0027】
毛髪移植機は、針チャネルバンドルの1つの針チャネルを下方にプッシュするプッシュバー1530を含む。プッシュバー1530は、ケース10内で、針チャネルバンドルの上部と、上部キャップ30との間に配置される。プッシュバー1530が針チャネル1200を下方にプッシュすれば、プッシュされた針チャネル1200は、ノズル21を通じて所定の長さだけ突出される。
【0028】
図4は、一実施形態に係る針チャネルバンドルを説明するための図である。図面を参照すると、針チャネルバンドル(B)は、中央シャフト1100、及び、中央シャフト1100の外周面に、上下方向に摺動自在にそれぞれ結合された複数の針チャネル1200から構成される。
【0029】
中央シャフト1100の外周面に、この中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に、複数の摺動レール1110が形成されている。一実施形態において、摺動レール1110は、上下の長手方向に長く陰刻されている。
【0030】
中央シャフト1100の上端部には、針チャネル1200が、これ以上、上側に動かないように中央シャフト1100の直径よりも大きいヘッド部材1510が、ボルトにより固定される。ヘッド部材1510は、中央シャフト1100と一体に形成されてもよく、別々に製造された後に結合されてもよい。
【0031】
ヘッド部材1510と上部キャップ30との間には、ばね1520が介在され、ばね1520は、針チャネルバンドル(B)を下方に向かって弾性的に支持し得る。
【0032】
図5及び図6は、一実施形態に係る針チャネル1200を示す図であって、図5の(a)は針チャネル1200の斜視図、(b)は断面図であり、図6は、分解斜視図である。
【0033】
図面を参照すると、針チャネル1200は、管状の内部空間を有するボディ部1210、このボディ部1210の下部に結合された針1220、及び前記管状の内部空間に摺動自在に配置される心軸1230から構成される。
【0034】
ボディ部1210の管状の内部空間は、直径が相対的に大きい上部の第1直径部1210a、及び、直径が相対的に小さい下部の第2直径部1210bからなる。下部の第2直径部1210bは、心軸1230が通過できるほどの直径を有し、上部の第1直径部1210aは、心軸1230の周縁に嵌められるばね1241を収容できるほどの直径を有する。毛根移植用針1220は、ボディ部1210の第2直径部1210bの開放された下端部を通じて、ボディ部1210に挿入結合されている。
【0035】
図7は、一実施形態に係る針1220の下端部の構造を示す。図7(a)は、針チャネルバンドル(B)についての放射状の外側から中心軸に向かって観測したときの形状であり、(b)は側面から観測した断面図である。
【0036】
図面から確認されるように、針1220の下端部の側面には、毛嚢を容易に嵌め込めるように外側へと開放されたスロットホール1221が形成されている。針1220の内部空間に心軸1230が挿入配置されるのであるが、心軸1230の下端部は、スロットホール1221の最上端よりも下方にあり、かつ、針1220の最下端部の下方には突出しないように配置される。このスロットホール1221は、針チャネルバンドル(B)における放射状の外側に向いている側に形成されており、したがって、施術者の毛嚢装着作業に便宜を提供し得る。
【0037】
ボディ部1210は、一側面に沿って上下の長手方向に形成された側面突出部1213を含む。側面突出部1213は、中央シャフト1100に向かう方向、すなわち、放射状の内側方向に突出し、側面突出部1213の突出部の形状は、中央シャフト1100の摺動レール1110の凹溝部の形状と噛み合うように構成される。したがって、ボディ部1210の側面突出部1213が中央シャフト1100の摺動レール1110に嵌め込まれて噛み合わされることにより、針チャネル1200が摺動レール1110に沿って上下方向に摺動し得る。
【0038】
これに関して、図8は、針チャネルバンドル(B)のほぼ中間の高さの断面を概略的に示す。中央シャフト1100の外周面に沿って摺動レール1110が形成されており、針チャネル1200の側面突出部1213がこの摺動レール1110にそれぞれ1つずつ嵌め込まれることにより、中央シャフト1100の外周面の全周にわたって、針チャネル1200が、放射状に、均等に区画配置されるようにして中央シャフト1100に結合される。
【0039】
このように本発明の実施形態によれば、針チャネル1200を中央シャフト1100の内側ではなく外周面に取り付けることから、従来に比べて多くの針チャネルを取り付けることができる。すなわち、従来の毛髪移植機は、中央シャフトが弾倉の形に構成されて、中央シャフトの内側の空間に針チャネルを入れたのであるが、本発明の実施形態によれば、中央シャフトの外周面に沿って針チャネルを取り付けることから、ケース10の直径が同一である場合、同じ空間に、従来に比べて、より多くの針チャネルを結合することができる。
【0040】
再び図5及び図6を参照すれば、針チャネル1200は、ボディ部1210の側面突出部1213とは反対の方向、すなわち、針チャネルバンドル(B)の放射状の外側方向に、ボディ部1210から延長形成された係止突出部1211を含む。係止突出部1211は、上下方向に延びるように形成されたスロット1215、係止突出部1211の表面から放射状の外側方向へとさらに突出するように延長形成された突起部1217、及び、係止突出部1211の下端部に形成され一方にのみ傾斜角を有する鋸歯型のラチェットギア歯1212を含む。
【0041】
スロット1215は、係止突出部1211における放射方向外側の表面に、上下方向に延びるように形成され、ボディ部1210の管状の内部空間と連通する。管状の内部空間には心軸1230が配置され、心軸1230の上端部に、レバー1231が結合されている。レバー1231は、スロット1215によってガイドされて上下方向に摺動できる。心軸1230の周りに、ばね1241が嵌められている。ばね1241の上端部はレバー1231の下部面に支持され、ばね1241の下端部は、ボディ部1210内の第1直径部1210aと第2直径部1210bとの間の段差部に支持される。
【0042】
スロット1215の上端部は開放されており、この開放された上端部に、上部蓋1250が嵌められて結合されてもよい。上部蓋1250は、レバー1231が上方にこれ以上上昇しないようにするストッパの役割を果たす。図9に示すように、上部蓋1250の上面は、針チャネルバンドル(B)が円滑に回転できるように、一方へと傾斜している表面を有する。すなわち、上部蓋1250の上部表面に接しているプッシュバー1530によって針チャネルバンドル(B)の回転が妨害されないよう、上部蓋1250の表面1251が針チャネルバンドルの回転方向に所定の傾斜角1253だけ傾いた傾斜面として形成される。
【0043】
針チャネル1200のボディ部1210は、係止凹部1219をさらに含む。係止凹部1219は、ボディ部1210における放射方向外側に向いている表面にて、係止突出部1211の下方に形成される。係止凹部1219は、針チャネル係止部1900のラッチ1910を収容し得る。係止凹部1219の具体的な形状及び機能については、図13及び図14を参照して後述することにする。
【0044】
一方、図2及び図3に示すように、毛髪移植機は、針チャネルバンドルの1つの針チャネル1200を下方にプッシュするプッシュバー1530を含む。プッシュバー1530は、ばね1540などの弾性部材によって、上部キャップ30に弾性的に結合され、針チャネルバンドル(B)の1つの針チャネル1200を、上方から下方に押すよう配置され。プッシュバー1530とノズル21は、同じ垂直線上に整列して配置されており、したがって、プッシュバー1530が針チャネル1200を下方にプッシュすれば、プッシュされた針チャネル1200がノズル21を通して所定の長さだけ突出される。
【0045】
図10は、一実施形態に係る心軸係止部1700を示す。心軸係止部1700は、前記プッシュバー1530によって下方にプッシュされる針チャネルにおける、前記放射状の外側の面に配置される。図示する一実施形態において、心軸係止部1700は、ケース10の一側面に設けられる。心軸係止部1700は、針チャネル1200がプッシュバー1530によって下方にプッシュされた後、再び上昇する間に、針チャネル1200内の心軸1230の動きを一時的に停止させる機能を果たす。
【0046】
図面を参照すると、心軸係止部1700は、ラッチ1710、ラッチ1710を収容するラッチ収容部1720、及びラッチ1710とラッチ収容部1720との間に介在した弾性部材1730から構成される。
【0047】
ラッチ1710は、レバー1231の上下の動きを干渉する距離内に配置され、針チャネルバンドル(B)の放射状の外側の方向に弾性的に後退できるように構成される。
【0048】
ラッチ収容部1720は、例えば、左右両側面の延長領域1723のボルト孔を介してケース10の一側面にボルト結合して固定されてもよい。ここで、ラッチ収容部1720のボルト孔を長方形の形態にしてラッチ1710の位置を調整可能にしてもよい。ラッチの位置は、毛嚢の挿入作業時にノズル21の外側に突出される心軸1230の長さを決定し、植毛される毛嚢の深さに影響を及ぼす。ラッチ収容部1720は、内部にラッチ1710が入ることができる空間を有しており、この空間に、ばねといった弾性部材1730が介在される。そのため、ラッチ1710は、レバー1231の上下の動きを干渉する距離内に配置され、針チャネルバンドル(B)の放射状の外側の方向に、弾性的に後退できるように構成される。
【0049】
ラッチ1710に力が加えられないとき、ラッチ1710は、ラッチ収容部1720から(針チャネルバンドル(B)の放射状の内側方向に)突き出ており、レバー1231が上下に摺動運動するときに、レバー1231と接することになる。ここで、図10の(a)に示すように、レバー1231と接するラッチ1710の接触面の上側は、上方に傾斜され、下方のレバー接触面1711は、ほぼ水平に形成されている。したがって、レバー1231がラッチ1710の上方から下方に下降するときは、レバー1231がラッチ1710をラッチ収容部1720の側に押しながら下降できるのであるが、レバー1231がラッチ1710の下方から上方に上昇するときは、レバー1231の上面がラッチ1710のレバー接触面1711に接して係止されるため、レバー1231がこれ以上、上昇できなくなる。
【0050】
一方、針チャネル1200のスロット1215の側面には、針チャネルバンドル(B)の放射状の外側方向に突出した突起部1217が形成されている。この突起部1217は、前記放射状の外側の方向に、レバー1231と同一であるか、レバー1231よりも少し外側にまで突出されている。また、ラッチ1710は、レバー1231のみならず、突起部1217の上下の動きとも干渉するように、ラッチ1710の左右の幅が設定されており、図11に示すように、突起部1217と接触するラッチ1710の接触面の上側は、上方に傾斜し、下方の突起部接触面1713も下方に傾斜するように形成される。したがって、針チャネル1200が、ラッチ1710の下方から上方に上昇したり、上方から下方に下降するいずれの場合であっても、突起部1217がラッチ1710をラッチ収容部1720側に押しながら上昇/下降することができる。
【0051】
上述した構成を有する心軸係止部1700による心軸1230の係止及び係止解除動作について、図11を参照して説明する。
【0052】
図11(a)は、針チャネルバンドル(B)に取り付けられた針チャネル1200が下方に下降する前の状態を示す。この状態において、針チャネル1200のレバー1231と突起部1217は、全て、心軸係止部1700のラッチ1710よりも上側に位置している。
【0053】
プッシュバー1530が針チャネル1200を下方にプッシュすれば、針チャネル1200が下方に下降する。針チャネル1200が下降するとき、突起部1217とレバー1231が、ラッチ1710の傾斜した表面と接しているため、ラッチ1710をラッチ収容部1720側に押しながら、針チャネル1200とレバー1231が下降し得る。
【0054】
その後、図11(b)に示すように、レバー1231がラッチ1710よりも下方に下降すれば、レバー1231の上部面がラッチ1710のレバー接触面1711に接しながらレバー1231がラッチ1710に係止することになる。
【0055】
したがって、図11(c)に示すように、針チャネル1200が上昇するとき、レバー1231が、ラッチ1710に掛け止めされているため、レバー1231及びこれに一体に結合された心軸1230が上昇できない。
【0056】
その後、針チャネル1200がさらに上昇すれば、図11(d)に示すように、突起部1217が、ラッチ1710と接することで、ラッチ1710をラッチ収容部1720側に押す。したがって、ラッチ1710がラッチ収容部1720側に後退することによって、レバー1231に対するラッチの係止が解除され、レバー1231と心軸1230は、ばね1241の弾性力によって上昇し、図11(a)に示すような状態に戻る。
【0057】
このような本発明の一実施形態によれば、心軸1230の復帰を、新規の機械的な構造により解決した。従来には、心軸1230の復帰のために駆動モータといった別個の駆動手段が必要とされたが、本発明によれば、心軸1230の復帰のための駆動モータが求められないため、従来に比べて部品コスト及び装置の複雑性を大幅に減らすといった技術的な効果を達成することができる。
【0058】
以下、針チャネルバンドルを回転させるチャネル回転手段について説明する。図2図3、及び図12を参照すると、一実施形態に係る毛髪移植機は、針チャネルバンドルの外周面を取り囲む円筒状の昇降ギアホルダ1400、及びこの昇降ギアホルダ1400の外周面を取り囲む円筒状のラチェット支えホルダ1300を含む。
【0059】
昇降ギアホルダ1400は、ほぼ円筒状の部材であり、針チャネルバンドル(B)の外周面を取り囲むように配置される。円筒状の昇降ギアホルダ1400の上端部の表面は、針チャネル1200の係止突出部1211の下端部の表面、すなわち、ラチェットギア歯1212の下部表面と接触できるように形成される。すなわち、昇降ギアホルダ1400の上部面には、とがった形態のくさび型突出部1410が連続的に形成され、くさび型突出部1410は、針チャネルバンドル(B)のラチェットギア歯1212と噛み合うようにラチェットギア歯1212の数と同じ数に形成されている。
【0060】
ラチェット支えホルダ1300は、ほぼ円筒状の部材であり、昇降ギアホルダ1400の外周面に接しながら針チャネルバンドルを取り囲むように配置される。ラチェット支えホルダ1300の上端部の表面も、針チャネル1200の係止突出部1211のラチェッギア歯1212の下部表面と接触できるように構成される。すなわち、ラチェット支えホルダ1300の上部面には、ラチェットギア歯1212と噛み合うよう一方向への傾斜角を有する鋸歯型のラチェットギア凹部1310が形成されている。
【0061】
ラチェット支えホルダ1300は、ケース10の内部に取り付けられて固定されている。一方、昇降ギアホルダ1400は、上下方向に摺動移動しうる。一実施形態において、昇降ギアホルダ1400の外周面に少なくとも1つの連結突片1430が形成され、この連結突片1430は、例えば、手動操作用取っ手1800と結合している。
【0062】
手動操作用取っ手1800は、ケース10の外周面を少なくとも部分的に取り囲む形状を有し、ケース10の外周面に沿って上下方向に摺動移動できるよう配置される。すなわち、ケース10と、このケース10の内側に取り付けたラチェット支えホルダ1300に対して、昇降ギアホルダ1400と、連結突片1430を介して、これに結合された手動操作用取っ手1800とが、一体に上下方向に摺動移動し得る。ここで、連結突片1430の上下移動時に、ケース10とラチェット支えホルダ1300が干渉しないように、ケース10及びラチェット支えホルダ1300のそれぞれに、連結突片1430が貫通するスロット12,1330が、上下方向に延びるように形成されている。
【0063】
一方、昇降ギアホルダ1400の側面には、針チャネル係止部1900が取り付けられる。針チャネル係止部1900は、プッシュバー1530によってプッシュされて下降した1つの針チャネル1200を係止することで、この針チャネル1200が昇降ギアホルダ1400の上下の動きに追従して共に動くようにする装置である。
【0064】
図12図14を参照すれば、針チャネル係止部1900は、ラッチ1910、ラッチ1910を収容するラッチ収容部1920、及び、ラッチ1910とラッチ収容部1920との間に介在された弾性部材1930から構成される。
【0065】
昇降ギアホルダ1400の一側面に針チャネル係止部1900を取り付けるための連結突片1420が形成されている。昇降ギアホルダ1400の上下移動時に、ケース10とラチェット支えホルダ1300が連結突片1420に干渉しないように、ケース10とラチェット支えホルダ1300のそれぞれに連結突片1420が貫通するスロット11,1320が上下方向に延びるように形成されている。
【0066】
ラッチ収容部1920は、例えば、ボルト締結などの結合方式により、この連結突片1420に結合されて固定されうる。ラッチ収容部1920は、内部にラッチ1910が入ることができる空間を有し、この空間に、ばねといった弾性部材1930が介在されている。
【0067】
ラッチ1910は、六面体の形状の部材として針チャネル1200の係止凹部1219と噛み合っている。針チャネル係止部1900を左側及び上側からそれぞれ観測した図13(a)及び図14に示すように、針チャネル1200の係止凹部1219の右側の段差部1219c及び下方の段差部1219bは、直角に形成されており、左側の段差部1219d及び上側の段差部1219aは面取り処理されて緩慢な傾斜面になっている。また、係止凹部1219の各段差部に対応して、接触するラッチ1910の突出した端部の4つの隅部のそれぞれにも直角形成されたり、面取り処理されて傾斜面に形成されている。すなわち、ラッチ1910の4つの突出した端部の稜部のうち、針チャネルバンドルBの回転方向側の稜部(図示する実施形態の場合は右側隅部)及び下方の稜部は直角に形成され、針チャネルバンドルBの回転方向側の稜部(図示する実施形態の場合は左側稜部)及び上側の稜部は面取り処理されて傾斜面になっている。ここで、代案的な実施形態において、係止凹部1219の右側の段差部1219c及びこれに対応するラッチ1910の右側の稜部は直角に形成されてもよく、傾斜面に形成されてもよい。
【0068】
ラッチ1910が係止凹部1219に挿入されている係止状態において、針チャネル1200は、昇降ギアホルダ1400の上下の動きに追従して共に動く。しかし、この係止状態で、針チャネルバンドルが図14に示すように、反時計回りに回転すれば、ラッチ1910がラッチ収容部1920側に後退することで係止解除され、針チャネルバンドルが一チャネル分だけ回転したとき、ラッチ1910が更なる(図14において時計回りに隣接した)針チャネル1200を係止するようになる。
【0069】
一方、このとき、図14に示すように、各針チャネル1200のボディ部1210のうち、係止凹部1219の2つの側面のうちの右側1219cに接しているボディ部1210の稜部1219eが面取り処理されたり、あるいはラウンド(角を丸める)処理がなされて形成されうる。したがって、針チャネルバンドルが一チャネル分ずつ回転するとき、ラッチ1910が針チャネルのボディ部1210の稜隅部に干渉されたり妨害されることなく、円滑に回転することができる。
【0070】
したがって、本発明に係る針チャネル係止部1900によれば、針チャネルバンドルが毎回1チャネルずつ回転するたびに、1つの針チャネルに対する係止及び係止解除動作を自動で行い、また、ラッチ1910に掛け止めされた針チャネルを昇降ギアホルダ1400の上下の動きに追従して共に動かすことができ、また、ユーザが頭皮に針を挿入するために取っ手を用いて下方に押すとき、針がノズルの中に後退することを防止できる。
【0071】
図15を参照して、チャネル回転手段による針チャネルの回転動作について説明する。図15には、説明の便宜のために、ラチェット支えホルダ1300と昇降ギアホルダ1400の一部、及び、互いに隣接する2つの針チャネル1200のラチェッギア歯1212の部分だけを図式的に示した。
【0072】
図15(a)において、昇降ギアホルダ1400にユーザによる外力が作用しないとき、昇降ギアホルダ1400は、ばね1830によってラチェット支えホルダ1300よりも下方に位置し、針チャネルバンのラチェットギア歯1212は、ばね1520によってラチェット支えホルダ1300のラチェッギア溝1310にそれぞれ配置されて支持されている。ただし、ここで、プッシュバー1530により下方にプッシュされた1つの針チャネル1200は、針チャネル係止部1900に係止されて下方に下降した状態であるが、図15には、その図示を省略した。
【0073】
一方、昇降ギアホルダ1400のくさび型突出部1410のそれぞれの最上端部1410bは、ラチェットギア凹部1310の最上端の端部1310cと、端部1310cとの間に位置している。
【0074】
ユーザが手動操作用取っ手1800を握って上方に上げれば、昇降ギアホルダ1400も取っ手1800と共に上昇する。昇降ギアホルダ1400が次第に上昇するにつれて、図15(b)及び図15(c)に示すように、昇降ギアホルダ1400のくさび型突出部1410の傾斜面1410aが、針チャネル1200のラチェットギア歯1212と接しながら針チャネルバンドルを全体的に上方に上昇させる。ここで、針チャネルバンドルは、ばね1520の弾性力によって、くさび型突出部1410の傾斜面1410aに沿って摺動下降しながら回転しようとするが、ラチェットギア歯1212が、くさび型突出部1410の傾斜面1410aと、ラチェットギア凹部1310の垂直面1310bとに接して支持されていることから、針チャネルバンドルが回転されず、昇降ギアホルダ1400によって上昇される。
【0075】
しかし、くさび型突出部1410が、ラチェットギア凹部1310よりも高くなるまでに昇降ギアホルダ1400が上昇すれば(図15(c))、ラチェットギア凹部1310の垂直面1310bによる支持がなくなるため、ラチェットギア歯1212がくさび型突出部1410の傾斜面1410aに沿って摺動下降することで、針チャネルバンドルが所定の角度回転する(図15(d))。
【0076】
その後、ユーザが、取っ手1800を上方に引き上げていた力を取り除くと、取っ手1800が、ばね1830によって下方に下降し、昇降ギアホルダ1400も共に下降することで、針チャネル1200のラチェットギア歯1212がラチェットギア凹部1310の傾斜面1310aに接する(図15(e))。昇降ギアホルダ1400のくさび型突出部1410が、ラチェット支えホルダ1300のラチェッギア凹部1310の下方に下降すれば、ラチェットギア歯1212は、ラチェットギア凹部1310の傾斜面1310aに沿って摺動下降し、針チャネルバンドルが、再び所定の角度回転することになる(図15(f))。したがって、図15(a)及び図15(f)を比較すれば、針チャネルバンドルが一チャネルだけ回転したことが分かる。
【0077】
このように本発明の一実施形態に係るチャネル回転手段によると、昇降ギアホルダ1400を一回ずつ上昇及び下降させるたびに、針チャネルバンドルを一チャネルずつ回転させることができ、毎回、異なる針チャネルの針1220を、ノズル21に吐出させることができるため、ユーザが、手動操作用取っ手1800を一回ずつ上昇/下降するたびに、針1220を1つずつ変えながら、連続的な毛髪移植作業を行うことができる。
【0078】
図16図18を参照して、昇降ギアホルダ1400を上下方向に動くための手動操作用取っ手1800について説明する。図16は、手動操作用取っ手1800と下部キャップ20の結合構造を示す斜視図であり、図17及び図18は、それぞれ手動操作用の取っ手が装着された毛髪移植機の一部を互いに異なる方向から観測した断面図である。
【0079】
図面を参照すると、手動操作用取っ手1800は、ケース10の外周面を少なくとも部分的に取り囲む形状を有する。取っ手1800の側面には、指が滑らないように一定の深さだけ陰刻処理された、取っ手凹部1810が形成されてもよい。
【0080】
取っ手1800は、ばね1830を上下方向に収容するばね収容部1820を一側面に含む。ばね1830は、ばね1830を少なくとも部分的に取り囲むばね下部結合部材1840内に挿入された状態で、ばね収容部1820に収容されてもよい。ばね1830の上端部は、ばね収容部1820の上部に固定され、下端部は、ばね下部結合部材1840に固定される。そして、ばね下部結合部材1840は、下部キャップ20又はケース10に結合されている。
【0081】
このような構成により、ユーザが手動操作用取っ手1800を握って上昇させれば、ばね1830が延長されて弾性力が作用するため、外力のないとき、ばね1830によって手動操作用取っ手1800が下降して元の位置に復元することができる。
【0082】
<第2実施形態の毛髪移植機>
以下、図19図28を参照して第2実施形態に係る毛髪移植機を説明する。
【0083】
図19は、本発明の第2実施形態に係る毛髪移植機の斜視図であり、図20は、毛髪移植機の断面図である。そして、図21は分解斜視図である。
【0084】
図19図21を参照すると、第2実施形態に係る毛髪移植機は、下部モジュールM1と、上部モジュールM2とからなる。下部モジュールM1は、下部ケース40と、その下方に結合された下部キャップ50でもってケーシングされ、上部モジュールM2は、上部ケース60、その上部に結合された上部キャップ70、及び、その下部に結合されたブラケット2600でもってケーシングされる。
【0085】
植毛の作業時に、使用済みの下部モジュールM1を新しい下部モジュールM1に交換できるように、下部モジュールM1と上部モジュールM2とが分離自在に結合されることが好ましい。図示する一実施形態において、上部モジュールM2のブラケット2600にレバーの形態のモジュール結合部2650が設けられ、ユーザがレバーを押してモジュールM1、M2を分離し得る。
【0086】
下部モジュールM1の下部ケース40の内部には、毛根(毛嚢)の移植に用いられる針チャネル2200がバンドル状に複数結合された、針チャネルバンドル(B)が回転自在に配置される。針チャネルバンドル(B)は、円筒状の中央シャフト2100及びその外周面に、放射状に等間隔に配列された、複数の針チャネル2200から構成される。
【0087】
針チャネルバンドルの上部には、針チャネルバンドルを一チャネルだけ所定の角度回転させるチャネル回転手段が配置される。図示する実施形態において、チャネル回転手段は、針チャネルバンドルの中央シャフト2100を回転させる第1駆動モータ2300を含んでもよい。第1駆動モータ2300の駆動軸が、多角形位置決定ピン2320によって、中央シャフト2100の中心軸に取り付けられ、したがって、第1駆動モータ2300の駆動により針チャネルバンドル(B)が回転し得る。
【0088】
第1駆動モータ2300は、例えば、ステップモータなどで具現され、針チャネルバンドル(B)を所定の角度ずつ回転させることができる。一実施形態において、針チャネルバンドル(B)は、第1駆動モータ2300によって、1回に、1つの針チャネル2200の間隔に該当する角度だけ回転し得る。例えば、図示する実施形態において、中央シャフト2100の外周面に18個の針チャネル2200が取り付けられ、この場合、第1駆動モータ2300は、一回の駆動によって、針チャネルバンドル(B)を20度ずつ回転させるように構成される。
【0089】
一実施形態において、針チャネルバンドル(B)が一回に所定の角度だけ回転できるように、針チャネルバンドル(B)の上部面に、ボールプランジャー(ball plunger)(図25に示す2450)が接して配置されてもよい。ボールプランジャー2450は、針チャネルバンドル(B)の上部に配置されたボールプランジャー支持部2400に結合して支持される。ボールプランジャー2450の具体的な構成について、図25及び図26を参照して後述することにする。
【0090】
下部ケース40の側面には心軸係止部2700が配置される。心軸係止部2700は、針チャネル2200の内部に摺動自在に配置された、心軸(図23に示す2230)を係止して、心軸が一時的に動かないようにする機能を有する。心軸係止部2700の具体的な構成について、図27及び図28を参照して後述することにする。
【0091】
下部ケース40の下端部には、下部キャップ50が、脱着自在に結合されて、下部ケース40の下端部をカバーする。下部キャップ50の下部面には、1つの針チャネル2200が通過できるノズル51が形成され、1つの針チャネル2200が、ノズル51を通して所定の長さだけ、下方に突出しうる。
【0092】
上部モジュールM2は、上部ケース60と、この上部ケース60の上端部と下端部にそれぞれ取り付けられた、上部キャップ70とブラケット2600とによってケーシングされる。
【0093】
上部モジュールM2は、1つの針チャネルを下方にプッシュし、この針チャネルがノズル51を通して突出するようにするプッシュ駆動部2500を有する。一実施形態において、プッシュ駆動部2500は、第2駆動モータ2510、ギアボックス2520、リードスクリュー2530、摺動ブロック2540、及びプッシュバー2550から構成される。
【0094】
第2駆動モータ2510は、双方向に回転する駆動軸を有する任意のモータで実現される。第2駆動モータ2510の駆動軸がギアボックス2520に結合され、ギアボックス2520の出力端の回転軸がカップリング2525を介してリードスクリュー2530に結合される。リードスクリュー2530の外周面には、ねじ山が形成されている。摺動ブロック2540は、リードスクリュー2530に結合するが、リードスクリュー2530の回転によって上下に動くように結合される。プッシュバー2550は、棒状の部材であって、プッシュバー2550の上端部が摺動ブロック2540に結合して固定されることで、下方に伸びるように配置される。
【0095】
図面から確認されるように、プッシュバー2550とノズル51は同じ垂直線上に整列している。そのため、第2駆動モータ2510の駆動により、プッシュバー2550が下降し、この垂直線上に位置している1つの針チャネル2200を、プッシュバー2550が下方にプッシュし、プッシュされた針チャネル2200は、ノズル51を通して所定の長さだけ突出される。
【0096】
一方、一実施形態に係る毛髪移植機は、ケース40,60内に2つの駆動モータ2300,2510のみを備えればよいため、3つのモータを使用した従来の毛髪移植機に比べてケース内の余裕空間が増加する。したがって、従来に比べて高い性能のモータを第2駆動モータ2510として使用できるため、リードスクリュー2530のねじ山の間の距離(ピッチ)が従来に比べて、より増加させうる。例えば、従来のリードスクリューのねじ山のピッチがほぼ1mmであることに比べ、本発明の一実施形態によれば、リードスクリュー2530のねじ山のピッチ距離は24mmに設計しうる。
【0097】
このように、リードスクリュー2530のピッチ距離のみを比較すれば、従来に比べて24倍さらに長いため、カップリング2525やギアボックス2520などの設計の差を考慮しても、リードスクリュー2530が1回転する際に進む摺動ブロック2540の進行距離が、従来に比べて、ほぼ10倍ほど大きい。したがって、プッシュバー2550も従来に比べて10倍ほど早い摺動速度を有することから、結果的に、毛髪移植の全体的な施術時間を短縮し、施術に必要な施術者の力を減らす技術的な効果を有する。すなわち、実際の施術過程で1つ1つの針チャネル2200が頭皮に挿入されるたびに毛髪移植機が揺れないように施術者が力を入れて固定させなければならないが、例えば、従来の毛髪移植機を使用する場合、1つの針チャネルを頭皮に挿入して取り外す動作に1秒かかったとすれば、本発明の毛髪移植機を使用すれば0.1秒でこの動作が完了するため、全体の施術時間が短縮されるだけではなく、施術者が力を入れる時間もそれだけ減少することから、作業の疲労度を減らし得る。
【0098】
一方、プッシュ駆動部2500に電源を印加して動作を制御するための電源線及び制御線が、外部から上部モジュールM2に接続されうるのであり、そのための配線連結部65が上部モジュールM2に形成され得る。また、図示していないが、針チャネルバンドル(B)の回転駆動のための電源線及び/又は制御線が、外部から下部モジュールM1に接続されうるのであり、そのための配線連結部(図示せず)が下部モジュールM1に形成され得る。また、上部キャップ70のバランスアーム連結部75に、ブレーキ装置のあるバランスアームを接続することで、反発力の制御及び重さの補償を補助して使用できる。
【0099】
図22は、一実施形態に係る針チャネルバンドル(B)を説明するための図である。図面を参照すると、針チャネルバンドル(B)は、中央シャフト2100、及び、この中央シャフト2100の外周面に、上下方向に摺動自在にそれぞれ結合された複数の針チャネル2200から構成される。
【0100】
中央シャフト2100の外周面には、中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、等間隔に、複数の摺動レール2110が形成されている。一実施形態において、摺動レール2110は、上下の長手方向に長く延びるように陰刻されている。
【0101】
中央シャフト2100の上端部には、中央シャフト2100の直径よりも大きい直径のフランジ2120が形成される。フランジ2120は、中央シャフト2100と一体に形成されてもよく、別個に製造された後、フランジ2120が中央シャフト2100の上端部に取り付けられてもよい。このように直径の大きいフランジ2120が、中央シャフト2100の上端部に位置しているため、針チャネル2200が、上方にこれ以上上昇できず、したがって、フランジ2120は、針チャネル2200の上方向の摺動運動範囲を制限する、ストッパとしての役割を果たすことができる。
【0102】
図23及び図24は、一実施形態に係る針チャネル2200を示す図であり、図23(a)は針チャネル2200の斜視図であり、(b)は断面図であり、図24は、針チャネル2200の分解斜視図である。
【0103】
図面を参照すると、針チャネル2200は、管状の内部空間を有するボディ部2210、このボディ部2210の下部に結合された針2220、及び、前記管状の内部空間に摺動自在に配置される心軸2230から構成される。
【0104】
ボディ部2210は、断面積が互いに異なる、上部ボディ2211と下部ボディ2212から構成される。図示する実施形態において、下部ボディ2212が上部ボディ2211よりも小さい断面積を有し、したがって、上部ボディ2211と下部ボディ2212との連結部位に段差が形成される。
【0105】
上部ボディ2211と下部ボディ2212は、それぞれ別途に製造されて結合されてもよく、上部ボディ2211と下部ボディ2212が一体に製造されてもよい。下部ボディ2212は内部に管状の空間があり、この空間の下端部が開放されている。下部ボディ2212の、この開放された下端部を通じて、毛根移植用針2220が挿入結合され、この内部空間に、心軸2230が摺動自在に配置される。
【0106】
上部ボディ2211は、一側面に沿って上下の長手方向に形成された側面突出部2213を含む。側面突出部2213は、中央シャフト2100に向かう方向、すなわち、放射状の内側方向に突出され、側面突出部2213の突出部の形状は、中央シャフト2100の摺動レール2110における凹溝部の形状と噛み合うように構成される。したがって、上部ボディ2211の側面突出部2213が中央シャフト2100の摺動レール2110に嵌め込まれて噛み合うことにより、針チャネル2200が、摺動レール2110に沿って上下方向に摺動し得る。
【0107】
このように、中央シャフト2100の外周面の全周にわたって、針チャネル2200が、放射状に、均等に区画配置されるようにして、中央シャフト2100に結合される構成は、図8などを参照して説明した第1実施形態と同一又は類似していることが理解され得る。
【0108】
針チャネル2200は、ボディ部2210に嵌め合わされる第1ばね2241を含む。図示する実施形態において、第1ばね2241は、下部ボディ2212の周りに嵌め合わされ、そのため、第1ばね2241の上端部は、針チャネルの上部ボディ2211と下部ボディ2212との間の段差部に支持される。
【0109】
図22に示すように、針チャネルバンドル(B)は、この針チャネルバンドル(B)に結合された複数の針チャネル2200におけるそれぞれの下部ボディが1つずつ貫通できる複数の貫通口2131を備えた針チャネル支持板2130を含む。
【0110】
針チャネル支持板2130は、所定の厚さの円板状であり、各貫通口2131に針チャネル2200の下部ボディ2212を通過させることで、下部ボディ2212に嵌め合わされる。各貫通口2131の直径は、下部ボディ2212の直径よりも大きく、第1ばね2241の直径よりも小さい。したがって、第1ばね2241の下端部は、針チャネル支持板2130の上部面によって支持され得る。
【0111】
針チャネル支持板2130は、下部ケース40内の側壁に固定されて取り付けられたリング状の支持部材(図21に示す42)の上部に回転自在に支持され、中央シャフト2100と結合又は分離されうる。したがって、針チャネル支持板2130が第1ばね2241を介して弾性的に針チャネルバンドル(B)を支持でき、第1駆動モータ2300によって、針チャネルバンドル(B)と針チャネル支持板2130が一体に回転し得る。
【0112】
一方、図示する実施形態において、ボディ部2210が直径の異なる上部ボディ2211と下部ボディ2212から構成されているが、代案的な実施形態において、下部ボディ2212が省略されてもよい。この代案的な実施形態において、針2220が上部ボディ2211に結合して、針2220の周りに第1ばね2241が嵌め合わされる。この場合、第1ばね2241の上端部は上部ボディ2211の下端部に支持され、下端部は針チャネル支持板2130の上部面によって支持され得る。
【0113】
第2駆動モータ2510によって、プッシュバー2550が1つの針チャネル2200を下方にプッシュすれば、針チャネル2200が下方にプッシュされることで第1ばね2241が加圧されるのであり、プッシュバー2550が上方に上昇すれば、この加圧された第1ばね2241の弾性力によって針チャネル2200が上方に上昇する。
【0114】
図23及び図24に示すように、針チャネル2200の上部ボディ2211における放射状の外側の方向を向いた側面には、上下長手方向のスロット2215が形成される。すなわち、上部ボディ2211における側面突出部2213とスロット2215は、互いに向かい合う側面に形成されている。スロット2215の上部は、上部ボディ2211の上端部に結合される、上部蓋2214により塞がれており、スロット2215の下部は、下部ボディ2212の管状の内部空間と連通している。
【0115】
スロット2215の内側には、スロット2215に沿って上下方向に摺動自在なレバー2231が配置され、レバー2231の一側面はスロット2215よりも外側に(すなわち、放射状の外側の方向に)突出されている。心軸2230の上端部がレバー2231に結合され、したがって、レバー2231と心軸2230が、一体に、上下方向に摺動移動し得る。
【0116】
スロット2215の領域内で心軸2230の周りに第2ばね2243が嵌め合わされている。第2ばね2243の上端部はレバー2231の下部面によって支持され、第2ばね2243の下端部はスロット2215の底面によって支持される。したがって、レバー2231に力が加えられてレバー2231と心軸2230が下降すれば、第2ばね2243が加圧され、レバー2231に加えられる力がなくなると、第2ばね2243の弾性力によって心軸2230が上昇される。
【0117】
図25は、毛髪移植機の一部の構成要素の分解斜視図であり、図25を参照すれば、ブラケット2600は、内部空間のある、概略シリンダーの形状を有するが、ブラケット2600の上部は、上部ケース60の下端部に結合固定されて上部モジュールM2の一部をなしている。
【0118】
ブラケット2600の上部面にはプッシュバー2550が貫通できる貫通口2610が形成され、ブラケット2600の一側面には、プッシュバー2550をガイドするようにガイド溝2620が形成されている。
【0119】
ブラケット2600の両側面には、下部モジュールM1との結合のためのモジュール結合部2650が1つずつ設けられている。下部モジュールM1と上部モジュールM2とを結合するために、公知の任意の締結方式が使用されうるのであり、図示する実施形態の場合、モジュール結合部2650は、ヒンジ結合部2651、ヒンジ結合部2651から上下にそれぞれ延長した、上部レバー2652と下部レバー2653、及び、下部レバー2653の下端部から延長形成されて、内側に曲がった係合突起2654から構成される。
【0120】
ヒンジ結合部2651は、ブラケット2600の側面のヒンジベース2630にボルト2635などの締結手段によってヒンジ結合され、上部レバー2652及び/又は下部レバー2653が弾性部材2640によってブラケット2600に連結されている。係合突起2654は、例えば、下部ケース40の係合穴(図21に示す43)に挟まれてもよい。したがって、外部から力が加えられないとき、係合突起2654が係合穴43に嵌め込まれて下部モジュールM1と上部モジュールM2とが結合され、ユーザは上部レバー2652を押して力を加圧すれば、係合突起2654が係合穴43から外されることで、下部モジュールM1と上部モジュールM2とが分離される。
【0121】
一方、ブラケット2600の下部には、ボールプランジャー支持部2400が結合されてもよい。ボールプランジャー支持部2400は、所定の厚さを有するリング状であってもよく、中間の貫通領域を介して第1駆動モータ2300が貫通して配置されてもよい。プッシュバー2550の動きを妨害しないため、ボールプランジャー支持部2400の一側面が削られており、プッシュバー2550をガイドするガイド部2410及びガイドローラ2420が備えられる。
【0122】
図25及び図26を参照すると、ボールプランジャー支持部2400は、下方に向かって突出したボール2451を備える少なくとも1つのボールプランジャー2450を含む。ボールプランジャー2450は、下方に向かって一部が露出されたボール2451、及びこのボールを弾性的に支持してボールプランジャー2450の内部空間に位置する弾性部材2452から構成される。図面には2つのボールプランジャー2450を示しているが、ボールプランジャー2450の個数や設置位置は制限されることはない。
【0123】
一方、一実施形態において、中央シャフト2100の上部表面、すなわち、フランジ2120の上部表面が凹凸形状2121を有する。すなわち、フランジ2120の上部表面に凹溝部と突出部が交互に形成され、針チャネル2200の垂直上方向の位置ごとに凹溝部が形成されている。
【0124】
ボールプランジャー2450のボール2451がフランジ2120の凹凸形状と接してボール2451が弾性的に前記凹凸表面を加圧するよう、ボールプランジャー支持部2400が配置される。したがって、弾性部材2452の弾性力によって、ボール2451がフランジ2120の凹溝部に載置しようとする側に作用するため、針チャネルバンドル(B)が所定の角度ずつ一定に回転することを保証できる。
【0125】
心軸係止部2700は、図19ないし図21に示すように、下部ケース40の一側面に設けられている。心軸係止部2700は、針チャネル2200がプッシュバー2550によって下方にプッシュされた後、再び上昇する間に、針チャネル2200内の心軸2230の上昇動作を一時的に停止させる機能を果たす。
【0126】
図27及び図28を参照すると、一実施形態に係る心軸係止部2700は、ラッチ2710、ラッチ2710を収容するラッチ収容部2720、及び、ラッチ2710とラッチ収容部2720との間に介在された弾性部材2730から構成される。
【0127】
ラッチ収容部2720は、例えば、左右両側面の延長領域2721のボルト孔を介して下部ケース40の一側面にボルト結合して固定される。ラッチ収容部2720は、内部にラッチ2710が入る空間を有し、この空間に、ばねといった弾性部材2730が介在されている。そのため、ラッチ2710は、レバー2231の上下の動きを干渉する距離内に配置され、針チャネルバンドル(B)の放射状の外側方向に、弾性的に後退できるよう構成される。
【0128】
このような第2実施形態に係る心軸係止部2700は、図10を参照して説明した第1実施形態の心軸係止部1700と同一又は類似の構成を有し、また、図11を参照して説明したものと同一又は類似の方式によって、心軸2230の係止及び係止解除動作を行うため、その具体的な説明は省略することにする。
【0129】
図29は、代案的な実施形態に係るプッシュバー及び針チャネルを示す。
【0130】
代案的な実施形態において、針チャネル2200の上端部に第1係止部2250が形成されている。第1係止部2250は、ボディ部2210と一体に形成されてもよく、上部蓋2214と一体に形成されてもよい。また、プッシュバー2550の下端部には、第1係止部2250に噛み合って係止する第2係止部2551が形成されている。
【0131】
第1係止部2250と第2係止部2551は、上下方向にのみ係止できるよう構成される。例えば、図示するように、第1係止部2250と第2係止部2551のそれぞれに上下方向に凹凸構造が形成され、第1係止部及び第2係止部2250,2551の凹凸構造が互いに噛み合うことにより、2つの係止部が掛け止めされることになる。したがって、針チャネルバンドルは、プッシュバー2550の第2係止部2251に干渉されずに回転することができる。
【0132】
前記構成によれば、針チャネルバンドルの回転によって1つの針チャネル2200がプッシュバー2550と同じ垂直線上に位置すれば、針チャネル2200の第1係止部2250とプッシュバー2550の第2係止部2551が互いに係止し、針チャネル2200がプッシュバー2550と一体に上下方向に動くことができる。したがって、この代案的な実施形態によれば、針チャネル2200の昇降動作がプッシュバー2550によって行われるため、針チャネル2200の上昇のためのばね(図24に示す2241)を必要としないことから、装置構造をさらに単純化することができる。
【0133】
上述したように、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、上述した明細書の記載から様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて決定されることなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図12
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図15(c)】
図15(d)】
図15(e)】
図15(f)】
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23(a)】
図23(b)】
図24
図25
図26
図27
図28
図29