IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 包頭稀土研究院の特許一覧 ▶ 瑞科稀土冶金及功能材料国家工程研究中心有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図1
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図2
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図3
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図4
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図5
  • 特許-モレキュラーシーブ及びその製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20221025BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221025BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20221025BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20221025BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J37/08 ZAB
B01J37/34
B01J35/10 301G
B01J29/76 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021073842
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022017176
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】2020106690294
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521181781
【氏名又は名称】包頭稀土研究院
(73)【特許権者】
【識別番号】521181792
【氏名又は名称】瑞科稀土冶金及功能材料国家工程研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王艶
(72)【発明者】
【氏名】李兆強
(72)【発明者】
【氏名】丁智勇
(72)【発明者】
【氏名】樊蓉蓉
(72)【発明者】
【氏名】張丞
(72)【発明者】
【氏名】王雨
(72)【発明者】
【氏名】郭欣
(72)【発明者】
【氏名】康娜
(72)【発明者】
【氏名】劉威
(72)【発明者】
【氏名】王栄
(72)【発明者】
【氏名】宋静
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210664(JP,A)
【文献】特開2018-083725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00,39/48,37/00
B01J 29/70,29/00,35/10,37/08,37/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基、ケイ素源、アルミニウム源および水から第1の混合物を形成し、第1回の水熱合成反応を行う工程(1)、
工程(1)の反応生成物をアンモニウム源および銅源と混合し、第2の混合物を形成し、第2回の水熱合成反応を行う工程(2)、
工程(2)の反応生成物を、希土類源と混合し、第3の混合物を形成し、第3回の水熱合成反応を行う工程(3)、および、
工程(3)の反応生成物を固液分離し、得られた固体物を焼成してモレキュラーシーブを得る工程(4)、
含み、
前記モレキュラーシーブは、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブであり、前記モレキュラーシーブの孔径は、対向する2つの孔壁の間隔を意味し、前記モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブ骨格と活性元素とからなり、前記モレキュラーシーブ骨格は、ケイ素とアルミニウム元素を含み、前記活性元素は、銅元素と希土類元素を含み、前記希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Sc、Yから選ばれた1種または複数種であり、
前記ケイ素とアルミニウム元素との質量比が(3~9):1であり、モレキュラーシーブにおける前記銅元素の含有量が1.5~3.2wt%であり、前記希土類元素の質量はモレキュラーシーブ骨格の50ppm~2wt%であり、
ケイ素の質量はシリカで換算され、アルミニウム元素の質量は酸化アルミニウムで換算され、銅元素の質量は酸化銅で換算され、希土類元素の質量は希土類酸化物で換算されることを特徴とする、モレキュラーシーブの製造方法。
【請求項2】
前記モレキュラーシーブの孔径が0.7nm未満であり、前記モレキュラーシーブの比表面積が500m /gを超え、前記モレキュラーシーブの細孔容積が0.2~1mL/gであり、前記モレキュラーシーブの酸含有量が0.8~1.5mmol/gであることを特徴とする、請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項3】
前記モレキュラーシーブは、さらにアルカリ金属元素を含み、前記アルカリ金属元素の含有量が200ppm以下であり、アルカリ金属元素の質量はアルカリ金属酸化物で換算されることを特徴とする、請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項4】
前記テンプレート剤がN,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、銅-テトラエチレンペンタミン錯体、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラプロピルアンモニウムから選ばれた1種または複数種であり、
前記アルカリ金属無機塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれた1種または複数種であり、
前記ケイ素源は、珪酸エステル、シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカから選ばれた1種または複数種であり、前記アルミニウム源が、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミニウムゾル、メタアルミン酸ナトリウムから選ばれた1種または複数種であり、
前記アンモニウム源が、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムから選ばれた1種または複数種であり、前記銅源が、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸銅、プロピオン酸銅、酢酸銅、イソプロピル酸銅およびグルタミン酸キレート銅から選ばれた1種または複数種であり、
前記希土類が希土類酸化物、希土類硝酸塩または希土類酢酸塩から選ばれた1種または複数種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
イ素源:アルミニウム源:アルカリ金属無機塩基:テンプレート剤:水のモル比が1~20:1: 5.1~15.3:1~10:550~1000であり、
銅源とアルミニウム源とのモル比が(0.6~8):1であり、アンモニウム源とアルミニウム源とのモル比が(2.1~8):1であり、
希土類源の質量が工程(1)の反応生成物における固形物質量の50ppm~2wt%であり、
イ素源はシリカで換算され、アルミニウム源は酸化アルミニウムで換算され、アルカリ金属無機塩基はアルカリ金属酸化物で換算され、銅源は酸化銅で換算され、アンモニウム源はNH で換算され、希土類源は希土類酸化物で換算されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
第1回の水熱合成反応の温度が80~180℃であり、反応時間が1~5日であり、
第2回の水熱合成反応の温度が40~100℃であり、反応時間が4~48 hであり、
第3回の水熱合成反応の温度が40~80℃であり、反応時間が4~48 hであり、
固形物はマイクロ波焼成で焼成され、焼成温度が500~800℃であり、焼成時間が3~10hであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(1)において、まず、テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水を40~80℃の条件で混合し、そしてケイ素源及びアルミニウム源と混合して第1の混合物とすることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
固液分離は、
工程(3)の反応生成物をろ過、洗浄し、次にマイクロ波乾燥で乾燥を行う工程であって、マイクロ波乾燥の温度が60~110℃であり、マイクロ波乾燥の時間が3~8hである工程を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モレキュラーシーブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトモレキュラーシーブ材料は、高い安定性、規則的でかつ均一な細孔、および調整可能な酸性度と塩基性などの利点を有するから、吸着、分離及び触媒の分野で広く用いられている。窒素酸化物の除去のためのCuなどの遷移金属を担持したモレキュラーシーブを用いる選択的接触還元技術は急速に開発されている。希土類元素は、モレキュラーシーブ触媒の触媒活性をより向上させることができる。
【0003】
CN110102337Aには、複合銅系SCRモレキュラーシーブ触媒の製造方法が開示されている。N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウムを水と混合し、攪拌し、次いで硫酸アルミニウムを加え、攪拌し、塩基でpH値を調整し、次いでシリカゾルを加え、攪拌し、初期ゲル混合物を得る;初期ゲル混合物を一定温度で結晶化させ、冷却し、洗浄し、乾燥し、焼成してCHA型のモレキュラーシーブを得る;CHA型モレキュラーシーブを担体とし、段階的に硝酸マンガン、硝酸セリウム、硝酸パラジウム及び酢酸銅を段階的に含浸させ、その後乾燥させて複合銅系SCRモレキュラーシーブ触媒を得る。当該方法では、まず、CHA型モレキュラーシーブを水熱法で合成し、その後、改質元素を含浸法でモレキュラーシーブに担持させる。当該方法で得られるモレキュラーシーブは結晶トポグラフィーが立方体であり、低温、高温のいずれにおいても触媒性能は低い。
【0004】
CN110252392Aには、セリウムで変性されたCu-SAPO-34モレキュラーシーブ触媒の製造方法が開示されている。銅源及びテトラエチレンペンタミンを用いてCu-TEPAを合成し、リン源及びアルミニウム源を用いて第1ゲルを調製し、Cu-TEPAと第1ゲルと、ケイ素源と、テンプレート剤とを混合して第2ゲルを得、第2ゲルにセリウム源を滴下して第3ゲルを得、第3ゲルをオートクレーブ内に移して結晶化させ、結晶化した生成物を冷却、濾過、水洗、乾燥、焼成を経て部分的にセリウムで置換されたCu-SAPO-34触媒を得た。CN108905603Aには、CuCeSAPO-34モレキュラーシーブの製造方法が開示されている。水酸化テトラエチルアンモニウムを脱イオン水に加えて攪拌し、均一に攪拌した後、アルミニウムイソプロポキシドを完全に溶解するまで添加し、その後、オルトリン酸とオルトケイ酸エチルを加え、均一に混合した後、セリウム塩を加え、十分に攪拌した後、銅塩を加え、均一に攪拌してゾルを得る。ゾルをオートクレーブに入れて結晶化させ、結晶化反応が完了した後、室温で冷却し、母液から固体状の結晶化生成物を分離し、脱イオン水で固体の結晶化生成物を中性になるまで洗浄し、乾燥した後、空気中で焼成し、CuCeSAPO-34モレキュラーシーブを得た。上記方法はいずれも、一段階水熱法によるモレキュラーシーブの合成方法であり、得られたモレキュラーシーブの結晶構造が非フットボール形態であり、高温及び低温における触媒性能が比較的に弱いモレキュラーシーブを製造する方法である。
【発明の概要】
【0005】
このことから、本発明の1つの目のは、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブを提供することにある。また、当該モレキュラーシーブは、比較的に大きい比表面積を有する。さらに、本発明に係るモレキュラーシーブは175~550℃で良好な触媒活性を有し、かつ優れた耐水熱エージング性能を有する。
【0006】
本発明のもう1つの目のは、モレキュラーシーブの製造方法を提供することにある。当該方法で得られたモレキュラーシーブはフットボールのような微視的形態を有する。また、当該方法で得られたモレキュラーシーブは比較的に大きい比表面積を有する。さらに当該方法で得られたモレキュラーシーブは175~550℃で良好な触媒活性を有し、かつ優れた耐水熱エージング性能を有する。
【0007】
また、本発明は、モレキュラーシーブ骨格と活性元素とからなるフットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブであって、前記モレキュラーシーブ骨格は、ケイ元素とアルミニウム元素を含み、前記活性元素は、銅元素と希土類元素を含み、前記希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Sc、Yから選ばれた1種または複数種であり、
前記ケイ元素とアルミニウム元素との質量比は(3~9):1であり、モレキュラーシーブにおける前記銅元素の含有量は1.5~3.2wt%であり、前記希土類元素の質量はモレキュラーシーブ骨格の50ppm~2wt%であり、
そのうち、ケイ元素の質量はシリカで換算され、アルミニウム元素の質量は酸化アルミニウムで換算され、銅元素の質量は酸化銅で換算され、希土類元素の質量は希土類酸化物で換算されるモレキュラーシーブを提供する。
【0008】
本発明に係るモレキュラーシーブによれば、前記モレキュラーシーブは、孔径が0.7nm未満であり、前記モレキュラーシーブの比表面積が500m2/g超え、前記モレキュラーシーブの細孔容積が0.2~1mL/gであり、前記モレキュラーシーブの酸含有量が0.8~1.5mmol/gであることが好ましい。
【0009】
本発明に係るモレキュラーシーブによれば、前記モレキュラーシーブはさらにアルカリ金属元素を含み、前記アルカリ金属元素の含有量が200ppm以下であり、そのうち、アルカリ金属元素の質量がアルカリ金属酸化物で換算されることが好ましい。
【0010】
本発明に係るモレキュラーシーブによれば、前記モレキュラーシーブはCHA型モレキュラーシーブであることが好ましい。
【0011】
一方、本発明は、
テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基、ケイ源、アルミニウム源および水から第1の混合物を形成し、第1回の水熱合成反応を行う工程(1)、
工程(1)の反応生成物をアンモニウム源および銅源と混合し、第2の混合物を形成し、第2回の水熱合成反応を行う工程(2)、
工程(2)の反応生成物を、希土類源と混合し、第3の混合物を形成し、第3回の水熱合成反応を行う工程(3)、および、
工程(3)の反応生成物を固液分離し、得られた固体物を焼成してモレキュラーシーブを得る工程(4)、
を含む前記モレキュラーシーブの製造方法を提供する。
【0012】
本発明に係る製造方法によれば、前記テンプレート剤はN,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、銅-テトラエチレンペンタミン錯体、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラプロピルアンモニウムから選ばれた1種または複数種であり、前記アルカリ金属無機塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれた1種または複数種であり、前記ケイ源は、珪酸エステル、シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカから選ばれた1種または複数種であり、前記アルミニウム源は、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミニウムゾル、メタアルミン酸ナトリウムから選ばれた1種または複数種であり、前記アンモニウム源は硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムから選ばれた1種または複数種であり、前記銅源は、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸銅、プロピオン酸銅、酢酸銅、イソプロピル酸銅およびグルタミン酸キレート銅から選ばれた1種または複数種であり、前記希土類源は、希土類酸化物、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩から選ばれた1種または複数種であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る製造方法によれば、好ましくは、
ケイ源:アルミニウム源:アルカリ金属無機塩基:テンプレート剤:水のモル比が1~20:1: 5.1~15.3:1~10:550~1000であり、
銅源とアルミニウム源とのモル比が(0.6~8):1であり、アンモニウム源とアルミニウム源とのモル比が(2.1~8):1であり、
希土類源の質量が工程(1)の反応生成物における固形物質量の50ppm~2wt%であり、
そのうち、ケイ源はシリカで換算され、アルミニウム源が酸化アルミニウムで換算され、アルカリ金属無機塩基がアルカリ金属酸化物で換算され、銅源が酸化銅で換算され、アンモニウム源がNH4+で換算し、希土類源が希土類酸化物で換算される。
【0014】
本発明に係る製造方法によれば、好ましくは、
第1回の水熱合成反応 の温度が80~180℃,反応時間が1~5日であり、
第2回の水熱合成反応の温度が40~100℃,反応時間が4~48 hであり、
第3回の水熱合成反応の温度が40~80℃,反応時間が4~48 hであり、
固形物をマイクロ波焼成で焼成を行い、焼成温度が500~800℃であり、焼成時間が3~10hである。
【0015】
本発明に係る製造方法によれば、好ましくは、工程(1)において、まず、テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水を40~80℃の条件で混合し、そしてケイ源、アルミニウム源と混合して第1の混合物を形成する。
【0016】
本発明に係る製造方法によれば、好ましくは、固液分離は、
工程(3)に得られた反応生成物をろ過し、洗浄し、次にマイクロ波乾燥で乾燥を行い,マイクロ波乾燥の温度が60~110℃であり、マイクロ波乾燥の時間が3~8hである工程を含む。
【0017】
本発明は、多段階水熱合成法でフットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブを製造する。当該モレキュラーシーブは、超微細孔構造を有し、比較的に大きい比表面積および細孔容積を有する。さらに当該モレキュラーシーブは175~550℃で良好な触媒活性を有し、かつ優れた耐水熱エージング性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明実施例1で製造されたモレキュラーシーブの走査電子顕微鏡写真である。
図2図2は本発明実施例2で製造されたモレキュラーシーブの走査電子顕微鏡写真である。
図3図3は本発明の比較例1で製造された銅含有ゼオライトモレキュラーシーブの走査電子顕微鏡写真である。
図4図4は本発明実施例1で製造されたモレキュラーシーブのXRD図である。
図5図5は本発明実施例2で製造されたモレキュラーシーブのXRD図である。
図6図6は本発明の比較例1で製造された銅含有ゼオライトモレキュラーシーブのXRD図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0020】
「比表面積」は、単位質量あたりの物料が有する総面積を意味する。
【0021】
「孔径」は、対向する2つの孔壁の間隔を意味する。
【0022】
「酸含有量」は、触媒の単位質量当たりの酸性サイトのミリモル数を意味する。
【0023】
<モレキュラーシーブ>
本発明に係るモレキュラーシーブは、フットボールのような微視的形態を有し,モレキュラーシーブ骨格と活性元素からなり、前記モレキュラーシーブ骨格がケイ元素とアルミニウム元素を含み、前記活性元素は銅元素と希土類元素を含む。ケイ元素とアルミニウム元素は原子として存在し、銅元素と希土類元素はイオンとして存在する。本発明の1つの実施態様によれば、本発明に係るモレキュラーシーブ結晶は、フットボールのような微視的形態を有する。本発明に係るモレキュラーシーブはCHA型モレキュラーシーブであってもよい。
【0024】
本発明において、希土類元素はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Sc、Yから選ばれた1種または複数種であってもよい。希土類元素はCe、Yから選ばれた1種であることが好ましい。より好ましくは希土類元素がCeである。
【0025】
本発明に係るモレキュラーシーブにおいて、ケイ元素とアルミニウム元素との質量比は (3~9):1である。好ましくはケイ元素とアルミニウム元素との質量比が(5~9):1である。より好ましくはケイ元素とアルミニウム元素との質量比が (8~9):1である。ケイ元素の質量はシリカで換算し、アルミニウム元素の質量は酸化アルミニウムで換算される。これにより、モレキュラーシーブの表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0026】
本発明において、モレキュラーシーブにおける銅元素の含有量は1.5~3.2wt%であり、好ましくは1.5~2.5wt%であり、より好ましくは2.2~2.5wt%である。銅元素の質量は酸化銅で換算される。これにより、モレキュラーシーブの表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0027】
本発明における希土類元素質量は、モレキュラーシーブ骨格の50ppm~2wt%であり、好ましくは50ppm~500ppmであり、より好ましくは100ppm~250ppmである。希土類元素の質量は希土類酸化物で換算される。これにより、モレキュラーシーブの表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0028】
本発明に係るモレキュラーシーブは、さらに少量のNa、Kなどのアルカリ金属元素を含んでもよい。アルカリ金属元素の含有量は200ppm以下であってもよい。好ましくは、アルカリ金属元素の含有量が150ppm以下である。より好ましくは、アルカリ金属元素の含有量が100ppm以下である。アルカリ金属元素の質量はアルカリ金属酸化物で換算される。
【0029】
本発明に係るモレキュラーシーブは超微細孔の構成を有し、その孔径が0.7nm未満である。好ましくはモレキュラーシーブの孔径が0.65nm未満である。より好ましくはモレキュラーシーブの孔径が0.6~0.65nmである。
【0030】
本発明に係るモレキュラーシーブは比表面積が500m2/gを超える。好ましくは、モレキュラーシーブの比表面積が600m2/gを超える。より好ましくは、モレキュラーシーブの比表面積が700m2/gを超える。
【0031】
本発明に係るモレキュラーシーブは細孔容積が0.2~1mL/gであり、好ましくは0.5~1mL/gであり、より好ましくは0.7~1mL/gである。
【0032】
本発明に係るモレキュラーシーブは酸含有量が0.8~1.5mmol/gであり、好ましくは1~1.5mmol/gであり、より好ましくは1.2~1.5mmol/gである。
【0033】
本発明に係るモレキュラーシーブ触媒は、比較的に広いウィンドウ温度を有する。175~550℃の範囲で窒素酸化物の転化率は89%以上、好ましくは窒素酸化物の転換率が90%以上、より好ましくは窒素酸化物の転換率が92.5%以上に達成する。
【0034】
<モレキュラーシーブの製造方法>
本発明に係るモレキュラーシーブの製造方法は(1)第1回の水熱合成反応工程、(2)第2回の水熱合成反応工程、(3)第3回の水熱合成反応工程、および(4)焼成工程を含む。得られたモレキュラーシーブの組成及び性質は前記の通りである。以下、詳細に説明する。
【0035】
第1回の水熱合成反応工程
テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基、ケイ源、アルミニウム源および水から第1の混合物を形成し、第1回の水熱合成反応を行う 。
【0036】
本発明におけるアルミニウム源は擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミニウムゾル、メタアルミン酸ナトリウムから選ばれた1種または複数種であってもよい。好ましくはアルミニウム源がアルミニウムゾル、メタアルミン酸ナトリウムから選ばれた1種または複数種である。より好ましくは、アルミニウム源がメタアルミン酸ナトリウムである。アルミニウムゾルの固形分は5~15wt%であってもよく、pHが3~5であってもよく、粘度が35~50mPa・sであってもよく、粒子径が5~15nmであってもよい。
【0037】
本発明におけるテンプレート剤は、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、銅-テトラエチレンペンタミン錯体、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラプロピルアンモニウムから選ばれた1種または複数種であってもよい。好ましくはテンプレート剤がN,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、銅-テトラエチレンペンタミン錯体から選ばれた1種または複数種である。より好ましくはテンプレート剤がN,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウムである。テンプレート剤とアルミニウム源とのモル比は1.0~10 : 1であってもよく、好ましくは1.3~8:1であり、より好ましくは1.3~6:1である。アルミニウム源は、酸化アルミニウムで換算される。これにより、モレキュラーシーブの比表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0038】
本発明におけるケイ源は珪酸エステル、シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカから選ばれた1種または複数種であってもよい。好ましくは、ケイ源がシリカゾル、コロイダルシリカから選ばれた1種または複数種である。より好ましくは、ケイ源がシリカゾルである。シリカゾルは固形分が15~25wt%であってもよく、pHが3~6であってもよく、密度が1~2g/cm3であってもよく、粒子径が8~15nmであってもよい。ケイ源とアルミニウム源とのモル比は1~20: 1であってもよく、好ましくは10~20: 1であり、より好ましくは12~18: 1である。ケイ源はシリカで換算し、アルミニウム源は酸化アルミニウムで換算される。これにより、モレキュラーシーブの比表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0039】
本発明におけるアルカリ金属無機塩基はアルカリ金属水酸化物であってもよい。アルカリ金属水酸化物の実例として水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを上げられるがこれらに限定されていない。好ましくは、アルカリ金属無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれた1種または複数種である。より好ましくは、アルカリ金属無機塩基が水酸化ナトリウムである。アルカリ金属無機塩基とアルミニウム源とのモル比は5.1~15.3:1であってもよく、好ましくは6~12:1であり、より好ましくは7~10:1である。アルカリ金属無機塩基はアルカリ金属酸化物で換算し、アルミニウム源は酸化アルミニウムで換算される。これにより、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブを形成できる。好ましくは、結晶トポグラフィーがフットボール形状であるモレキュラーシーブを形成する。
【0040】
本発明において、水とアルミニウム源とのモル比は550~1000:1であってもよく、好ましくは700~900:1であり、より好ましくは800~900:1である。
【0041】
本発明において、第1回の水熱合成反応の温度は80~180℃であってもく、好ましくは100~150℃であり、より好ましくは100~120℃である。第1回の水熱合成反応の反応時間は1~5日であり、好ましくは1~4日であり、より好ましくは1~2日である。これにより、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブが得られ、かつ、モレキュラーシーブの表面積と触媒活性を向上させることができる。
【0042】
本発明の1つの実施態様によれば、まず、テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水を混合し、そしてケイ源、アルミニウム源と混合して第1の混合物を形成する。テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水は、40~80℃で混合しでもよい。好ましくは、テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水を50~70℃で混合する。好ましくは、テンプレート剤、アルカリ金属無機塩基および水を還流加熱で混合する。
【0043】
第2回の水熱合成反応工程
工程(1)の反応生成物をアンモニウム源、銅源と混合し、第2の混合物を形成し、第2回の水熱合成反応を行う。
【0044】
本発明において、アンモニウム源は硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムから選ばれた1種または複数種であってもよい。好ましくは、アンモニウム源が硝酸アンモニウムである。アンモニウム源とアルミニウム源とのモル比は (2.1~8):1であってもよく、好ましくは(4~8):1であり、より好ましくは(4~7):1である。アンモニウム源はNH4 +で換算し、アルミニウム源は酸化アルミニウムで換算される。これにより、モレキュラーシーブの表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0045】
本発明において、銅源は硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、グルコン酸銅、プロピオン酸銅、酢酸銅、イソプロピル酸銅及びグルタミン酸キレート銅から選ばれた1種または複数種である。好ましくは、銅源がグルタミン酸キレート銅、酢酸銅から選ばれた1種または複数種である。より好ましくは、銅源がグルタミン酸キレート銅である。銅源とアルミニウム源とのモル比は (0.6~8):1であってもよく、好ましくは (4~8):1であり、より好ましくは (4~7):1である。銅源は酸化銅で換算し、アルミニウム源は酸化アルミニウムで換算される。これにより、モレキュラーシーブの表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0046】
本発明において、第2回の水熱合成反応の温度は40~100℃であってもよく、好ましくは50~90℃であり、より好ましくは70~90℃である。第2回の水熱重合反応の時間は4~48 hであってもよく、好ましくは4~20 hであり、より好ましくは8~15 hである。これにより、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブが得られ、かつ、モレキュラーシーブの比表面積と触媒活性を向上させることができる。
【0047】
本発明の1つの実施態様によれば、工程(1)の反応生成物を20~35℃まで冷却し、そしてアンモニウム源と3~15h攪拌しながら混合して混合物Aを得、そして混合物Aと銅源とを1~5h攪拌しながら混合して第2の混合物を形成する。好ましくは、工程(1)の反応生成物を25~30℃まで冷却し、そしてアンモニウム源と5~10h攪拌しながら混合して混合物Aを得、そして混合物Aと銅源とを2~4h攪拌しながら混合して第2の混合物を形成する。
【0048】
第3回の水熱合成反応工程
工程(2)の反応生成物と希土類源とを混合し、第3の混合物を形成し、第3回の水熱合成反応を行う。
【0049】
本発明において、希土類源は希土類酸化物、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩から選ばれた1種または複数種であってもよい。希土類元素はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Sc、Yから選ばれた1種または複数種であってもよい。好ましくは、希土類元素がCe、Yから選ばれた1種である。より好ましくは、希土類元素がCeである。これにより、フットボールのような微視的形態を有するモレキュラーシーブが得られ、かつ、モレキュラーシーブの比表面積と触媒活性を向上させることができる。
【0050】
本発明において、希土類源の質量は工程(1)の反応生成物の固体質量の50ppm~2wt%であり、好ましくは50ppm~500ppmであり、より好ましくは100ppm~250ppmである。これにより、モレキュラーシーブの比表面積および触媒活性を向上させることができる。
【0051】
第3回の水熱合成反応の温度は40~80℃であり、好ましくは50~70℃であり、より好ましくは55~65℃である。第3回の水熱合成反応の時間は4~48 hであってもよく、好ましくは8~20 hであり、より好ましくは8~15 hである。これにより、モレキュラーシーブの比表面積および触媒活性を向上させることができる。
焼成工程
工程(3)の反応生成物を固液分離し、得られた固形物を焼成してモレキュラーシーブを得る。
【0052】
本発明において、焼成はマイクロ波焼成で行ってもよい。焼成温度は500~800℃であってもよく、好ましくは500~700℃であり、より好ましくは500~600℃である。焼成時間は3~10hであり、好ましくは3~8hであり、より好ましくは3~6hである。
【0053】
本発明の1つの実施態様によれば、工程(3)の反応生成物をろ過し、洗浄し、マイクロ波乾燥で乾燥を行い、固形物を得、マイクロ波乾燥の温度は60~110℃であり、マイクロ波乾燥の時間は3~8hである。好ましくは、工程(3)の反応生成物をろ過、洗浄し、マイクロ波乾燥で乾燥を行い、固形物を得、マイクロ波乾燥の温度は70~90℃であり、マイクロ波乾燥の時間は4~6hである。
【0054】
実施例1
(1)N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム(TMAda-OH)水溶液(濃度25wt%)28.4g、水酸化ナトリウム4.8gおよび水85gを60℃で加熱しながら還流し、均一に混合し、そしてシリカゾル(固形分20wt%、pH 3.2、密度1.2g/cm3、粒子径11nm)32.9g、メタアルミン酸ナトリウム1.17gと2h攪拌しながら混合して第1の混合物を形成し、第1の混合物に対して第1回の水熱合成反応を行い、反応温度は110℃であり、反応時間は2日であった。
【0055】
(2)工程(1)の反応生成物を30℃まで冷却し、そして硝酸アンモニウム3.43gと8h攪拌ながら混合し、そしてグルタミン酸キレート銅8.9gを加えて3h攪拌しながら混合し、第2の混合物を形成し、第2の混合物に対して第2回の水熱合成反応を行い、反応温度は80℃であり、反応時間は10hであった。
【0056】
(3)工程(2)で得られた反応生成物をセリア0.002gと6h攪拌ながら混合し、第3の混合物を形成し、第3の混合物に対して第3回の水熱合成反応を行い、反応温度は60℃であり、反応時間は12hであった。
【0057】
(4)工程(3)で得られた反応生成物を室温まで冷却し、ろ過し、洗浄した後、得られた固形物をマイクロ波乾燥で80℃で5h乾燥し、乾燥後の固形物をマイクロ波焼成で550℃で4h焼成し、CHA型モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを得た。
【0058】
実施例2
(1)N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム(TMAda-OH)水溶液(濃度25wt%)34.4g、水酸化カリウム6.72gおよび水85gを50℃で加熱しながら還流し、均一的に混合し、そしてシリカゾル(固形分20wt%、pH5.6、密度1.5g/cm3、粒子径11nm)28.5gおよびアルミニウムゾル(固形分10wt%、pH 4、粘度43mPa・s、粒子径10nm)7.28gを3h攪拌ながら混合し、第1の混合物を形成し、第1の混合物に対して第1回の水熱合成反応を行い、反応温度は130℃であり、反応時間は3日であった。
【0059】
(2)工程(1)の反応生成物を25℃まで冷却し、そして硝酸アンモニウム4.57gと8h攪拌しながら混合し、そして酢酸銅8.6gを加えて3h攪拌しながら混合し、第2の混合物を形成し、第2の混合物に対して第2回の水熱合成反応を行い、反応温度は70℃であり、反応時間は13hであった。
【0060】
(3)工程(2)で得られた反応生成物を、酸化イットリウム 0.004gと6h攪拌しながら混合し、第3の混合物を形成し、第3の混合物に対して第3回の水熱合成反応を行い、反応温度が60℃であり、反応時間が12hであった。
【0061】
(4)工程(3)で得られた反応生成物を室温まで冷却し、ろ過し、洗浄した後、得られた固形物をマイクロ波乾燥の方式で80℃下で5h乾燥し、乾燥後の固形物をマイクロ波焼成で550℃で4h焼成し、CHA型モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを得た。
【0062】
比較例1
N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム(TMAda-OH)水溶液(濃度25wt%)28.4g、水酸化ナトリウム4.8g、水85g、シリカゾル(固形分20wt%、pH3.2、密度1.2g/cm3、粒子径11nm)32.9g、メタアルミン酸ナトリウム1.17gを2h攪拌しながら混合し、混合物を形成し、混合物に対して水熱合成反応を行い、反応温度が110℃であり、反応時間が2日であった。反応生成物を室温まで冷却し、ろ過し、そして固体生成物を脱イオン水で3回洗浄した後、80℃で5h乾燥し、そして550℃で4h焼成し、第1生成物を得た。
【0063】
硝酸アンモニウム3.43gを水100mLに溶けた後、第1生成物に加え、室温で6h反応した後、ろ過し、得られた固体生成物を脱イオン水で3回洗浄した後、80℃で乾燥し、そして550℃で3h焼成し、第2生成物を得た。
【0064】
硝酸銅8.0gを水100mLに溶けた後、第2生成物に加え、室温で8h攪拌しながら反応した後、ろ過し、得られた固体生成物を脱イオン水で3回洗浄した後、80℃で5h乾燥し、そして550℃で4h焼成し、銅含有ゼオライトモレキュラーシーブを得た。
【0065】
比較例2
塩化アンモニウム30gを水200gに溶解し、カリウムイオンを含有するCHA型ゼオライトBを加え、室温で8時間攪拌した後、ろ過し、得られた固体生成物を脱イオン水で洗浄し、そして100℃で24時間乾燥し、カリウムイオン除去ゼオライトBを得た。カリウムイオン除去ゼオライトBを飽和酢酸銅水溶液200gに加え、室温で8h攪拌した後、ろ過し、得られた固体生成物を脱イオン水で洗浄し、そして100℃で24h乾燥し、乾燥された生成物を500℃で2h焼成し、銅含有ゼオライトモレキュラーシーブを得た。
【0066】
試験例
比表面積、孔径および細孔容積:マイク2020HD88比表面積計を用いて触媒比表面積を測定し、測定時の脱気温度は105℃、脱気時間は2時間であった。3回繰り返し、平均値を取った。得られた結果を表1に示した。
【0067】
各元素の含有量の測定:アジレント5110プラズマ機器( ICP )を用いて元素の含有量を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0068】
酸含有量測定:触媒のアンモニア吸脱着性能をアメリカのグアンタクロムASAP292011化学吸着計で測定したアンモニア脱着ピーク面積から酸含有量を算出し、酸含有量に基づいて触媒のアンモニア貯蔵性能を量ることができる。得られた結果を表1に示した。
【0069】
トポグラフィー試験:ドイツのツァイス Sigma500電界放射走査電子顕微鏡を用いて、触媒のミクロトポグラフィーを測定した。試料表面の導電性を高めるために、試験する前に試料表面に薄い白金層をコーティングした。得られた結果を図1~3に示した。
【0070】
XRD測定: PANalytical X線粉末回折分析装置で測定し、λ = 1.5406 ÅのCu Kα標的を放射源とし、測定した2θ範囲は5~60°であり、ステップは0.02 °であった。得られた結果を図4~6に示した。
【0071】
脱硝性能の測定方法:反応気体の組成(体積比)は、NO 500 ppm、NH3 500 ppm、O2 12%、H2O 10% 、CO2 8%、CO 800 ppm、C3H6 80 ppm (C3)であり、N2をバランスガスとし、空間速度(GHSV)は220000 h-1であり、NH3/NO体積比は1であった。ガス検出システムは、フーリエ赤外分析計であった。触媒水熱エージング条件は850℃で10hエージングすることであり、水量はガス総体積の10vol%であった。調製直後の触媒の触媒性能を表2に示し、エージングされた触媒の触媒性能を表3に示した。
【0072】
【0073】
【0074】
表からわかるように、本発明におけるモレキュラーシーブは低温域(200℃以下)および高温域(500℃以上)のいずれにおいても優れた脱硝性能を有し、しかも850℃/10hの水熱エージング後の脱硝性能の低下幅が小さい。
【0075】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者が思いつく任意の変形、改良、置換等を本発明の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6