(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置
(51)【国際特許分類】
A61C 1/08 20060101AFI20221025BHJP
A61G 15/16 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61C1/08 S
A61G15/16
(21)【出願番号】P 2021181220
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2018106226の分割
【原出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則近 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】沼川 誠
(72)【発明者】
【氏名】種子島 聡一朗
(72)【発明者】
【氏名】村田 智哉
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-212211(JP,A)
【文献】特開2012-031625(JP,A)
【文献】特開2003-101253(JP,A)
【文献】特開2002-054623(JP,A)
【文献】特開2005-055424(JP,A)
【文献】特開平02-001254(JP,A)
【文献】特開2010-207257(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014103071(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/08
A61G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置であって、
開口部を有し前記医療用ハンドピースを収容する収容室が設けられた筐体と、
前記収容室の前記開口部に対して開閉可能であり、かつ前記筐体に対して着脱可能な開閉扉と、
前記筐体と前記開閉扉とを連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記筐体および前記開閉扉のいずれか一方に取り付けられた軸部と、前記筐体および前記開閉扉のいずれか他方に取り付けられ、かつ前記軸部を保持するとともに差し込みかつ引き出し可能な保持部とを有し、
前記保持部は、ボールとコイルバネとを有するボールプランジャと、差し込まれる前記軸部を収納する収納部を有し、
前記ボールが前記コイルバネにより前記軸部に向けて付勢されることで前記ボールの一部が前記収納部に飛び出すことにより前記収納部の隙間が小さくなり、
前記ボールプランジャの前記ボールは、前記開閉扉に取り付けられた前記軸部の軸方向と直交するように付勢されている、医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記筐体に取り付けられており、
前記保持部は、前記開閉扉に取り付けられている、請求項1に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記軸部の前記軸方向に沿って前記開閉扉の一方側および他方側に配置されている、請求項1または2に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項4】
前記開閉扉は、前記開閉扉が開かれた状態を前記軸方向から見たときに、前記開閉扉と前記筐体の底部との成す角度が180度未満となるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項5】
前記開閉扉は、透明および半透明の少なくともいずれかの部材から構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項6】
前記開閉扉は平板状に構成された平板部を含んでいる、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項7】
前記開閉扉は、前記平板部から内側に突出する液受け部を含み、
前記液受け部は、前記開閉扉の下部に配置されている、請求項6に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項8】
前記液受け部は、前記平板部に着脱可能に構成されている、請求項7に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記開口部と前記開閉扉との間の空間を封止するシール部材を含み、
前記シール部材は、前記開口部を取り囲むように配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【請求項10】
固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、前記開閉扉が閉じられた状態で前記開閉扉を前記筐体に固定するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置は、例えば特許第4514713号公報(特許文献1)に提案されている。この公報に記載された医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置では、筐体には医療用ハンドピースを収容する収容室が設けられている。収容室の開口部を覆うように開閉扉が配置されている。開閉扉は筐体の下端部にヒンジにより回転可能に支持されている。メンテナンス時に、医療用ハンドピースに油(潤滑油)が供給される。その後、医療用ハンドピースに空気が供給される。これにより、医療用ハンドピースに残留する油が排出される。医療用ハンドピースから排出された油は収容室および開閉扉に付着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載された医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置では、開閉扉が筐体に支持された状態で開閉扉に付着した油を清掃する必要がある。そのため、開閉扉に付着した油を清掃し難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開閉扉を筐体から容易に取り外すことができる医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置は、開口部を有し医療用ハンドピースを収容する収容室が設けられた筐体と、収容室の開口部に対して開閉可能であり、かつ筐体に対して着脱可能な開閉扉と、筐体と開閉扉とを連結する連結部とを備えている。連結部は、筐体および開閉扉のいずれか一方に取り付けられた軸部と、筐体および開閉扉のいずれか他方に取り付けられ、かつ軸部を保持するとともに差し込みかつ引き出し可能な保持部とを有している。保持部は、ボールとコイルバネとを有するボールプランジャと、差し込まれる軸部を収納する収納部を有している。ボールがコイルバネにより軸部に向けて付勢されることでボールの一部が収納部に飛び出すことにより収納部の隙間が小さくなる。ボールプランジャのボールは、開閉扉に取り付けられた軸部の軸方向と直交するように付勢されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置によれば、保持部は、開閉扉を軸部の軸方向と直交する方向に引き出すことにより軸部が取り外されるときに、軸部の径又は厚みよりも収納部の隙間が大きくなるように弾性変形するように構成されている。このため、開閉扉を筐体から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態における医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の開閉扉が開いた状態を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に示される医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置に医療用ハンドピースが装着された状態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図1に示される医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の構成を概略的に示す底面図である。
【
図6】
図5に示される連結部において軸部が取り外される様子を説明するための断面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態における医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の筐体から開閉扉が取り外される様子を説明するための斜視図である。
【
図8】本発明の一実施の形態における医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の開閉扉が最大角度で開かれた状態を説明するための側面図である。
【
図9】本発明の一実施の形態における医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の液受け部が本体部に対して着脱される様子を説明するための断面図である。
【
図10】本発明の一実施の形態における変形例1の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施の形態における変形例2の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態における変形例3の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下の図においては、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
まず、本発明の一実施の形態における医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置の構成について説明する。本実施の形態では、医療用ハンドピースの一例として歯科用ハンドピースについて説明する。
【0011】
図1~
図3を参照して、本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1は、筐体10と、開閉扉20と、マニホールド30と、チャックメンテナンス部40と、スイッチ60と、電源スイッチ70と、連結部CPと、固定部材FMとを備えている。
図3では、説明の便宜のため、医療用ハンドピースHPが図示されている。医療用ハンドピースHPは、メンテナンス処理の対象となる。医療用ハンドピースHPは、ドライブエア、給水、スプレーエア、排気の各流路を有している。また、
図3では医療用ハンドピースHPとして、第1ハンドピースHP1~第4ハンドピースHP4が図示されている。
【0012】
筐体10は、前面部11と、側面部12と、天井部13と、底部14とを有している。筐体10には、医療用ハンドピースHPを収容する収容室ISが設けられている。収容室ISは、収容室IS内と収容室IS外とを連通する開口部OPを有している。開口部OPから収容室ISの内部が露出している。
【0013】
本実施の形態では、筐体10は、シール部材SMを含んでいる。シール部材SMは、開口部OPと開閉扉20との間の空間を封止するように構成されている。具体的には、シール部材SMは、開閉扉20が閉じられた状態で、開口部OPと開閉扉20との間の空間を封止するように構成されている。シール部材SMは、開口部OPを取り囲むように配置されている。
【0014】
開閉扉20は、収容室ISの開口部OPに対して開閉可能に構成されている。開閉扉20は、筐体10に対して着脱可能に構成されている。開閉扉20は、収容室ISを覆うように構成されている。開閉扉20は、筐体10の前面部11に配置されている。開閉扉20は、開閉扉20の下端部において筐体10の底部14に開閉可能に支持されている。開閉扉20は、
図2および
図3中矢印A1方向に開閉するように構成されている。
【0015】
本実施の形態では、開閉扉20は、透明および半透明の少なくともいずれかの部材から構成されている。また、開閉扉20は、平板部21と、液受け部22とを含んでいる。平板部21は平板状に構成されている。液受け部22は、平板部21から内側に突出するように設けられている。液受け部22は、開閉扉20の下部に配置されている。
【0016】
固定部材FMは、開閉扉20が閉じられた状態で開閉扉20を筐体10に固定するように構成されている。固定部材FMは、第1マグネットFM1と、第2マグネットFM2とを有している。第1マグネットFM1は筐体10に取り付けられている。第2マグネットFM2は開閉扉20に取り付けられている。第1マグネットFM1と第2マグネットFM2とが当接することにより開閉扉20が閉じられた状態で開閉扉20が筐体10に固定される。本実施の形態では、固定部材FMは2つ設けられている。つまり、第1マグネットFM1および第2マグネットFMはそれぞれ2つずつ設けられている。
【0017】
マニホールド30は、筐体10の収容室IS内において医療用ハンドピースHPに接続されるように構成されている。マニホールド30は、接続部31と、接続部31に接続されるアダプタ50とを有している。本実施の形態では、マニホールド30は複数の接続部31および複数のアダプタ50を有している。複数の接続部31の各々に複数のアダプタ50の各々が接続されている。接続部31およびアダプタ50は、収容室IS内に配置されている。接続部31は収容室ISの天面から収容室IS内に突き出している。アダプタ50は接続部31に着脱自在に装着される。アダプタ50内にはメンテナンス流体である油および空気を流す流路が設けられている。アダプタ50は医療用ハンドピースHPの型式に対応した構成を有している。
【0018】
また、マニホールド30は、電磁弁を有している。マニホールド30は、電磁弁を開閉することで油供給容器から第1ハンドピースHP1~第4ハンドピースHP4に油を供給するように構成されている。マニホールド30は、第1ハンドピースHP1~第4ハンドピースHP4の各々に油が供給された状態で、電磁弁を開閉することで圧縮空気供給源から第1ハンドピースHP1~第4ハンドピースHP4の各々に空気を供給することにより第2ハンドピースHP2~第4ハンドピースHP4に供給された油が排出されるように構成されている。
【0019】
医療用ハンドピースHPはアダプタ50によってマニホールド30に接続される。医療用ハンドピースHPは先端側のヘッド部に回転体収容空間を有している。回転体収容空間は回転体(ロータおよびタービン)と、この回転体を支持する軸受部とを収容している。回転体はチャック構成部を有している。チャック構成部の一端の開口から回転切削工具が着脱自在に挿入される。
【0020】
チャックメンテナンス部40は、医療用ハンドピースHPのチャック構成部にメンテナンス流体を供給するように構成されている。チャックメンテナンス部40は収容室ISの後面に設けられている。また、収容室ISの後面には収容室ISからオイルミストを排出するための開口HLが設けられている。
【0021】
スイッチ60は医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1を操作するように構成されている。電源スイッチ70は、医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1への電源からの電気の供給をONまたはOFFするように構成されている。
【0022】
図2~
図4を参照して、連結部CPは筐体10と開閉扉20とを連結するように構成されている。連結部CPは、軸部CP1と、保持部CP2とを含んでいる。軸部CP1は、筐体10および開閉扉20のいずれか一方に取り付けられている。本実施の形態では、軸部CP1は、筐体10に取り付けられている。具体的には、軸部CP1は軸受部BRにより筐体10に取り付けられている。軸受部BRは軸部CP1を回転可能に支持している。保持部CP2は、筐体10および開閉扉20のいずれか他方に取り付けられている。本実施の形態では、保持部CP2は、開閉扉20に取り付けられている。保持部CP2は軸部CP1を保持するように構成されている。
【0023】
本実施の形態では、連結部CPは、軸部CP1の軸方向に沿って開閉扉20の一方側および他方側に配置されている。つまり、連結部CPは、軸部CP1の軸方向に沿って開閉扉20の両端部に配置されている。
【0024】
図5を参照して、保持部CP2は、軸部CP1の受け入れ口ROと、収納部TPとを含んでいる。受け入れ口ROは、軸部CP1を受け入れるように構成されている。軸部CP1は、円柱の外面円周の上下を軸方向に沿って面取りした断面が小判状となっている。受け入れ口ROは軸部CP1の径方向に開口するように構成されている。受け入れ口ROの幅は、軸部CP1の上記面取りをした上下面間の幅DMよりも大きい。受け入れ口ROの幅は、収納部TPの幅をわずかに上回る大きさを有している。収納部TPは、受け入れ口ROに連通している。収納部TPは、受け入れ口ROに連通する部分以外で、軸部CP1の周方向に軸部CP1の外周面を取り囲むように構成されている。収納部TPは、軸部CP1の径方向に軸部CP1を挟むように構成されている。収納部TPは軸部CP1を収納するように構成されている。収納部TPは、軸部CP1を収容する空間を有している。
【0025】
図5および
図6を参照して、保持部CP2は、軸部CP1を保持した状態では、軸部CP1の少なくとも一部と受け入れ口ROとの間において軸部CP1の厚みDMよりも収納部TPの隙間GAが小さくなるように構成されている。保持部CP2は、開閉扉20を軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出すことにより軸部CP1が取り外されるときに、軸部CP1の厚みDMよりも隙間GAが大きくなるように前記保持部CP2がボールプランジャBLで弾性変形するように構成されている。尚、ここで、軸部CP1の厚みとは、前記保持部CP2に保持される軸部CP1の面取りをした上下面間の前記幅DMを言う。
【0026】
図5に示されるように、開閉扉20が閉じられた状態では、受け入れ口ROは下方に向けて配置されている。
図6に示されるように、開閉扉20が開かれた状態では、受け入れ口ROは、後方(
図1に示される前面部11と反対側)に向けて配置されている。
【0027】
本実施の形態では、軸部CP1には、軸部CP1の径方向に軸部CP1を貫通する貫通孔HAが設けられている。貫通孔HAは、収納部TPが軸部CP1を挟む方向に沿って延びている。保持部CP2は、ボールプランジャBLを含んでいる。ボールプランジャBLは、ボールBAと、コイルバネSGとを有している。ボールBAは、軸部CP1の貫通孔HAに嵌まるように構成されている。ボールBAと開閉扉20とにコイルバネSGは挟まれている。ボールプランジャBLは、ボールBAが軸部CP1に向けて付勢するように構成されている。また、軸部CP1の貫通孔HAの内径は、ボールBAの外径よりも小さく形成されている。また、ボールプランジャBLが収納部TPに接する開口部の径は、ボールBAの径よりも小さく形成されているので、ボールBAが収納部TPに完全に飛び出すことはなく、ボールBAはコイルバネSGにより軸部CP1に向けて付勢されるので、ボールBAの外周の一部が収納部TPに飛び出す構成とされている。
【0028】
図5に示されるように、開閉扉20が閉められ保持部CP2は、軸部CP1を保持した状態では、ボールBAが貫通孔HAに嵌まった状態で、コイルバネSGの付勢力によりボールBAが貫通孔HAに保持されることにより、軸部CP1は保持部CP2に保持される。
【0029】
図6に示されるように、開閉扉20を開けた状態で開閉扉20を軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出すことにより軸部CP1が受け入れ口RO側に移動すると、軸部CP1がボールBAを開閉扉20に向けて押すことにより、ボールBAを介してコイルバネSGが収縮する。これにより、ボールBAが開閉扉20に向けて移動することで、ボールBAが貫通孔HAから外れる。この状態で、軸部CP1が保持部CP2の収納部TPから受け入れ口ROを通って抜き取れられることにより、軸部CP1が保持部CP2から取り外される。
【0030】
図7を参照して、
図7中矢印で示されるように、開閉扉20に保持された保持部CP2が筐体10に保持された軸部CP1から取り外されることにより、開閉扉20が筐体10から取り外される。また、開閉扉20を筐体10に取り付ける時には、
図7中矢印で示されるように、開閉扉20に保持された保持部CP2を筐体10に保持された軸部CP1に押し入れることにより、ボールプランジャBLのボールBAが軸部CP1の貫通孔HAに嵌まることで、軸部CP1が保持部CP2に保持される。
【0031】
図8を参照して、本実施の形態では、開閉扉20は、開閉扉20が開かれた状態を軸部CP1の軸方向から見たときに、開閉扉20と筐体10の底部との成す角度θが180度未満となるように構成されている。開閉扉20は、医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1が載置面GRに置かれた状態で、開閉扉20が開かれたときに、筐体10に向けて高さが低くなるように傾斜している。
【0032】
図9を参照して、本実施の形態では、液受け部22は、平板部21に着脱可能に構成されている。なお、
図9では説明の便宜のため、平板部21に取り付けられた液受け部22が実線で示されており、平板部21から取り外された液受け部22が破線で示されている。また、
図9中両矢印は、平板部21に液受け部22が着脱される様子を示している。
【0033】
本実施の形態では、開閉扉20は取付け部材23を有している。取付け部材23は平板部21に取り付けられている。取付け部材23の先端に先細り部23aが設けられている。先細り部23aは先端に向けて先細るように構成されている。液受け部22は、凹部22aを有している。凹部22aは、先細り部23aに向けて開口している。液受け部22は、先細り部23aが凹部22aに嵌合することで平板部21に取り付けられるように構成されている。また、液受け部22は、先細り部23aと凹部22aとの嵌合が解除されることで平板部21から取り外されるように構成されている。
【0034】
図10を参照して、本実施の形態における変形例1の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置1の開閉扉20と筐体10との連結部CPの構成について説明する。本実施の形態の変形例1では、軸部CP1は、開閉扉20に取り付けられている。開閉扉20は、突出部24を有している。突出部24は開閉扉20の平板部21から内側の筐体10側に突出している。軸部CP1は突出部24に取り付けられている。保持部CP2は、筐体10に取り付けられている。具体的には、保持部CP2は筐体10の底部14に取り付けられている。
【0035】
保持部CP2は軸部CP1を回転可能に支持している。保持部CP2は軸受として機能するように構成されている。軸部CP1は円柱状に構成されている。保持部CP2の収納部TPは軸部CP1の外周面に沿うように構成されている。受け入れ口ROは前方に向けて開口している。
【0036】
保持部CP2は、ボールプランジャBLを含んでいる。ボールプランジャBLは、収納部TPに軸部CP1が収容された状態では、ボールBAが軸部CP1よりも受け入れ口RO側に位置するように、コイルバネSGはボールBAを上方に向けて付勢するように構成されている。
【0037】
図10に示されるように、軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、ボールBAは、軸部CP1と受け入れ口ROとの間に配置されている。
図10中矢印で示されるように、開閉扉20が軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出されることにより軸部CP1が受け入れ口RO側に移動すると、軸部CP1がボールBAを下方に向けて押すことにより、ボールBAを介してコイルバネSGは収縮する。これにより、ボールBAが下方に向けて移動することで、軸部CP1がボールBAよりも受け入れ口RO側に移動することが可能となる。この状態で、軸部CP1が保持部CP2の収納部TPから受け入れ口ROを通って抜き取られることにより、軸部CP1が保持部CP2から取り外される。
【0038】
図10中矢印で示されるように、軸部CP1が保持部CP2から取り外されることにより、開閉扉20が筐体10から取り外される。また、開閉扉20を筐体10から取り外されるときと反対方向に押し出すことにより、ボールプランジャBLのボールBAが上下動して軸部CP1よりも受け入れ口RO側に位置することで、軸部CP1が保持部CP2に保持される。これにより、開閉扉20が筐体10に取り付けられる。
【0039】
図11を参照して、本実施の形態における変形例2の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置1の開閉扉20と筐体10との連結部CPの構成について説明する。本実施の形態の変形例2では、軸部CP1は、筐体10に取り付けられている。筐体10は、突起部15を有している。突起部15は、底部14から上方に突出している。軸部CP1は突起部15に取り付けられている。保持部CP2は、開閉扉20に取り付けられている。
【0040】
保持部CP2は軸部CP1を回転可能に支持している。保持部CP2は軸受として機能するように構成されている。軸部CP1は円柱状に構成されている。保持部CP2の収納部TPは軸部CP1の外周面に沿うように構成されている。軸部CP1が保持部CP2に保持された状態で受け入れ口ROは下方に向けて開口している。
【0041】
保持部CP2は板バネLSを含んでいる。板バネLSにより受け入れ口ROと収納部TPとが構成されている。軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと開閉扉20との間の隙間は軸部CP1の径よりも小さい。保持部CP2は、軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと軸部CP1との間において軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAが小さくなるように構成されている。
【0042】
図11に示されるように、軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと軸部CP1との間において軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAが小さくなる。開閉扉20が開かれた状態では、保持部CP2の受け入れ口ROは
図11中矢印と反対側に開口している。開閉扉が開かれた状態で、
図11中矢印で示されるように、開閉扉20が軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出されることにより軸部CP1が受け入れ口RO側に移動すると、保持部CP2は、板バネLSの弾性に抗して収納部TPの隙間GAが広がるように変形する。これにより、軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAを大きくすることが可能となる。この状態で、軸部CP1が保持部CP2の収納部TPから受け入れ口ROを通って抜き取られることにより、軸部CP1が保持部CP2から取り外される。
【0043】
開閉扉20が開かれた状態で、
図11中矢印で示されるように、軸部CP1が保持部CP2から取り外されることにより、開閉扉20が筐体10から取り外される。また、開閉扉20を筐体10から取り外されるときと反対方向に押し出すことにより、収納部TPの隙間GAが軸部CP1の径DMよりも大きくなってから小さくなるように板バネLSが変形することで、軸部CP1が保持部CP2に保持される。これにより、開閉扉20が筐体10に取り付けられる。
【0044】
図12を参照して、本実施の形態における変形例3の医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置1の開閉扉20と筐体10との連結部CPの構成について説明する。本実施の形態の変形例3では、軸部CP1は、開閉扉20に取り付けられている。開閉扉20は、突出部24を有している。突出部24は開閉扉20の平板部21から内側に突出している。軸部CP1は突出部24に取り付けられている。保持部CP2は、筐体10に取り付けられている。具体的には、保持部CP2は筐体10の底部14に取り付けられている。
【0045】
保持部CP2は軸部CP1を回転可能に支持している。保持部CP2は軸受として機能するように構成されている。軸部CP1は円柱状に構成されている。保持部CP2の収納部TPは軸部CP1の外周面に沿うように構成されている。受け入れ口ROは前方に向けて開口している。
【0046】
保持部CP2は板バネLSを含んでいる。板バネLSにより受け入れ口ROと収納部TPとが構成されている。軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと開閉扉20との間の隙間は軸部CP1の径よりも小さい。保持部CP2は、軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと軸部CP1との間において軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAが小さくなるように構成されている。
【0047】
図12に示されるように、軸部CP1が保持部CP2に保持された状態では、受け入れ口ROと軸部CP1との間において軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAが小さくなる。
図12中矢印で示されるように、開閉扉20が軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出されることにより軸部CP1が受け入れ口RO側に移動すると、保持部CP2は、板バネLSの弾性に抗して収納部TPの隙間GAが広がるように変形する。これにより、軸部CP1の径DMよりも収納部TPの隙間GAを大きくすることが可能となる。この状態で、軸部CP1が保持部CP2の収納部TPから受け入れ口ROを通って抜き取られることにより、軸部CP1が保持部CP2から取り外される。
【0048】
図12中矢印で示されるように、軸部CP1が保持部CP2から取り外されることにより、開閉扉20が筐体10から取り外される。また、開閉扉20を筐体10から取り外されるときと反対方向に押し出すことにより、収納部TPの隙間GAが軸部CP1の径DMよりも大きくなってから小さくなるように板バネLSが変形することで、軸部CP1が保持部CP2に保持される。これにより、開閉扉20が筐体10に取り付けられる。
【0049】
次に、本実施の形態における作用効果について説明する。
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、開閉扉20を筐体10に取り付ける際には、筐体10に備えられた軸部CP1に対して、開閉扉20の保持部CP2の受け入れ口ROを開口方向から押し込むことで、ボールプランジャBLのボールBAがコイルバネSGの付勢力に抗して押し込まれて内側に移動して、収納部TPまで開閉扉20を押し入れることで取り付けられる。保持部CP2は、軸部CP1を保持した状態では、ボールBAが貫通孔HAに嵌まった状態で、コイルバネSGの付勢力によりボールBAが貫通孔HAに保持されることにより、軸部CP1は保持部CP2に保持される。開閉扉20は、開閉扉20の収納部TPに収納された軸部CP1を受け入れ口ROの開口方向に引き出すことで、ボールBAがコイルバネSGの付勢力に抗して貫通孔HAとの係合を解除する方向に移動することで、容易に筐体10から取り外すことが出来る。
【0050】
即ち保持部CP2は、開閉扉20を軸部CP1の軸方向と直交する方向に引き出すことにより軸部CP1が取り外されるときに、軸部CP1の厚みDMよりも隙間GAが大きくなるように弾性変形するように構成されている。このため、開閉扉20を筐体10から容易に取り外すことができる。また、開閉扉20を軸部CP1の軸方向と直交する方向に押し出すことにより軸部CP1が取り付けられるときに、軸部CP1の厚みDMよりも収納部TPの隙間GAが大きくなるように前記保持部が弾性変形することで、開閉扉20を筐体10に容易に取り付けることができる。
【0051】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、保持部は、板バネおよびボールプランジャの少なくともいずれかを含んでいる。このため、板バネLSおよびボールプランジャBLの少なくともいずれかにより、開閉扉20を筐体10から容易に取り外すことができる。
【0052】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、軸部CP1は、筐体10に取り付けられており、保持部CP2は、開閉扉20に取り付けられている。このため、軸部CP1を筐体10側に設け保持部CP2を開閉扉20側に設けることができる。
【0053】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、連結部CPは、軸部CP1の軸方向に沿って開閉扉20の一方側および他方側に配置されている。開閉扉20の一方側および他方側の両方で開閉扉20が支持されるため、開閉扉20を安定して支持することができる。
【0054】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、開閉扉20は、開閉扉20が開かれた状態を軸方向から見たときに、開閉扉20と筐体10の底部14との成す角度が180度未満となるように構成されている。これにより、開閉扉20を取り外し易くすることができる。
【0055】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、開閉扉20は、透明および半透明の少なくともいずれかの部材から構成されている。このため、外部から開閉扉20を通して開閉扉20の内側の汚れを確認することができる。
【0056】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、開閉扉20は平板状に構成された平板部21を含んでいる。このため、開閉扉20を水洗いすることが容易となる。また、水洗い後の拭き取りが容易となる。
【0057】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、液受け部22は、開閉扉20の下部に配置されている。このため、液受け部22により開閉扉20の内側を伝って垂れる油を受けることができる。
【0058】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、液受け部は、平板部に着脱可能に構成されている。このため、平板部21から液受け部22を取り外すことにより平板部21および液受け部22を清掃し易くすることができる。
【0059】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、シール部材は、開口部OPを取り囲むように配置されている。このため、開閉扉20と開口部OPとの間の隙間から油または空気が漏れることを抑制することができる。また、収容室ISに収容された医療用ハンドピースHPに空気が供給されたときのエアー流音が漏れることを抑制することができる。これにより、静音性を向上させることができる。
【0060】
本実施の形態における医療用ハンドピースHPの給油メンテナンス装置1によれば、固定部材FMは、開閉扉20が閉じられた状態で開閉扉20を筐体10に固定するように構成されている。このため、固定部材FMにより開閉扉20が閉じられた状態で開閉扉20を筐体10に固定することができる。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 医療用ハンドピースの給油メンテナンス装置、10 筐体、20 開閉扉、21 平板部、22 液受け部、30 マニホールド、31 接続部、40 チャックメンテナンス部、50 アダプタ、60 スイッチ、70 電源スイッチ、BL ボールプランジャ、BP オイル回収管、CP 連結部、CP1 軸部、CP2 保持部、FM 固定部材、HP 医療用ハンドピース、HP1 第1ハンドピース、HP2 第2ハンドピース、HP3 第3ハンドピース、HP4 第4ハンドピース、IS 収容室、LS 板バネ、OP 開口部、RO 受け入れ口、SM シール部材、TP 収納部。