(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】基礎点検口及び基礎点検口用の蓋体
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20221025BHJP
E02D 27/01 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
E04F19/08 101Z
E02D27/01 Z
(21)【出願番号】P 2021182947
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2017087889の分割
【原出願日】2017-04-27
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌樹
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-221812(JP,A)
【文献】特開平08-144497(JP,A)
【文献】特開2008-291424(JP,A)
【文献】特開2001-140460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0178545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の下方空間を区画する基礎に用いられる基礎点検口であって、
開口部を有する枠体と、前記開口部に嵌合可能な蓋体とを備えており、
前記枠体は、内周の左右側面の
それぞれに挿入部が設けられ、
前記蓋体は、左右に長尺な矩形板状であり、外周の左右側面のうち
の一方側の側面に前記挿入部に挿入可能な突起部が設けられ、かつ前記浴室の下方空間に対して外側となる面の他方側の側端部寄りにのみ2つの凹部が左右に並んで設けられ
、前記内周の左側面の前記挿入部に前記突起部を挿入させて前記開口部に嵌合した状態と、前記内周の右側面の前記挿入部に前記突起部を挿入させて前記開口部に嵌合した状態とを選択的に取ることが可能であることを特徴とする基礎点検口。
【請求項2】
浴室の下方空間を区画する基礎に用いられる基礎点検口用の蓋体であって、
前記蓋体は、左右に長尺な矩形板状であり、前記基礎点検口用の枠体が有する開口部に嵌合可能に構成され、外周の左右側面のうちの一方側の側面に、前記枠体の内周の左右側面のうちの一方側の側面に設けられた挿入部に挿入可能な突起部が設けられ、かつ前記浴室の下方空間に対して外側となる面の他方側の側端部寄りにのみ2つの凹部が左右に並んで設けられ
、
前記突起部は、上下方向に沿って延びており、前記突起部の前記上下方向に沿って延びる先端角部を前記上下方向の全長に亘って丸くする曲面を有していることを特徴とする基礎点検口用の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎点検口及び基礎点検口用の蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ユニットバスを用いた浴室の下方空間を気密・断熱構造として省エネ化を図ることが行われている。具体的には、コンクリート製の布基礎で囲まれた浴室の下方空間内への通気を遮断するとともに、布基礎の内壁に断熱材を張りめぐらせることにより、気密性及び断熱性を高めている。このとき、布基礎には床下を点検するための人通口又は点検口(基礎点検口)を設ける必要がある。
【0003】
本出願人は、このような基礎点検口に採用可能な、布基礎に固定される枠体と、断熱性を有する発泡樹脂製の蓋体と、蓋体を枠体に押止するためのロック機構とを有する基礎点検口について提案している(特許文献1参照)。この基礎点検口においては、ロックを解除して蓋体を手前に引くことで、枠体から蓋体が取り外せ、蓋体を枠体に嵌合して再びロックすれば元の状態に戻る。つまり、何度でも簡単に基礎点検口の開閉が可能となり、浴室区画の点検を容易に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の基礎点検口における蓋体は、その外側面に、中央から左右両側にそれぞれ離れた領域に2つずつ縦長の凹部が形成され、蓋体を両手で把持可能に構成されており、蓋体を両手で把持した状態で枠体の開口部に押し込んだり、開口部から手前に引き寄せることで、蓋体の開閉作業が可能となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、蓋体を片手で操作して、枠体から蓋体を簡単に取り付け取り外しすることが可能な基礎点検口及び基礎点検口用の蓋体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基礎点検口は、浴室の下方空間を区画する基礎に用いられる基礎点検口であって、開口部を有する枠体と、前記開口部に嵌合可能な蓋体とを備えており、前記枠体は、内周の左右側面のそれぞれに挿入部が設けられ、前記蓋体は、左右に長尺な矩形板状であり、外周の左右側面のうちの一方側の側面に前記挿入部に挿入可能な突起部が設けられ、かつ前記浴室の下方空間に対して外側となる面の他方側の側端部寄りにのみ2つの凹部が左右に並んで設けられ、前記内周の左側面の前記挿入部に前記突起部を挿入させて前記開口部に嵌合した状態と、前記内周の右側面の前記挿入部に前記突起部を挿入させて前記開口部に嵌合した状態とを選択的に取ることが可能である。
【0008】
本発明の基礎点検口用の蓋体は、浴室の下方空間を区画する基礎に用いられる基礎点検口用の蓋体であって、前記蓋体は、左右に長尺な矩形板状であり、前記基礎点検口用の枠体が有する開口部に嵌合可能に構成され、外周の左右側面のうちの一方側の側面に、前記枠体の内周の左右側面のうちの一方側の側面に設けられた挿入部に挿入可能な突起部が設けられ、かつ前記浴室の下方空間に対して外側となる面の他方側の側端部寄りにのみ2つの凹部が左右に並んで設けられ、前記突起部は、上下方向に沿って延びており、前記突起部の前記上下方向に沿って延びる先端角部を前記上下方向の全長に亘って丸くする曲面を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基礎点検口及び基礎点検口用の蓋体によると、蓋体を片手で操作して、枠体から蓋体を簡単に取り付け取り外しすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る基礎点検口が取り付けられた建物構造の部分斜視図である。
【
図2】
図1に示す基礎点検口を示しており、(a)は斜め前方から見たときの斜視図であり、(b)は斜め後方から見たときの斜視図である。
【
図3】
図2(a)のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】(a)は
図4中二点鎖線で囲まれたG1部分において、被係止部材を取り外したときの状態を示す拡大斜視図であり、(b)は
図2(b)中二点鎖線で囲まれたG2部分において、第2部材を取り外したときの状態を示す拡大斜視図である。
【
図6】
図4に示す被係止部材の第1部材の斜視図である。
【
図7】
図2(b)に示す被係止部材の第2部材の斜視図である。
【
図8】
図2(a)に示す蓋体を示しており、(a)は斜め前方から見たときの斜視図であり、(b)は斜め後方から見たときの斜視図である。
【
図9】(a)は
図8(a)中二点鎖線で囲まれたG3部分において、係止部材を取り外したときの状態を示す拡大斜視図であり、(b)は
図8(b)中二点鎖線で囲まれたG4部分において、係止部材を取り外したときの状態を示す拡大斜視図である。
【
図10】
図8に示す係止部材を示しており、(a)は斜め前方から見たときの斜視図であり、(b)は上方から見たときの平面図であり、(c)は右方から見たときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る基礎点検口10が取り付けられた建物構造100について、
図1を参照しつつ以下に説明する。
【0012】
本実施形態における建物構造100は、
図1に示すように、長手方向Aに長尺な基礎1(例えば、布基礎)と、基礎1に設置された基礎点検口10と、基礎1上に配置された土台3と、土台3と基礎1との間に配置された基礎パッキン4とを含んでなる。なお、
図1に示す建物構造100は、ユニットバスを用いた浴室の下方空間を画定する基礎構造の一部分を示しており、基礎1の立ち上がり部1bの幅方向B(長手方向Aと直交する方向)に沿って立ち上がり部1bよりも図中左側が内側で右側が外側となっている。これより、以下の説明において、幅方向Bの一方を外側、他方を内側と称することがある。また、以下の基礎点検口10の説明において、便宜上、基礎1に取り付けられた基礎点検口10を外側から見たときの、幅方向Bの一方である外側が前方、他方を後方として説明する。つまり、幅方向Bを前後方向Bと称し、前後方向Bと直交する長手方向Aを左右方向Aと称する。また、基礎点検口10の左右は、基礎点検口10を前方から見たときの左右である。
【0013】
基礎1は、フーチング1aとフーチング1aから上方に立設された立ち上がり部1bとで構成されている。土台3及び基礎パッキン4は、基礎1に植設されたアンカーボルト、角座金及びナット(ともに図示せず)によって立ち上がり部1b上に固定されている。立ち上がり部1bの内側面1c全体には、断熱材6が設けられている。なお、断熱材6は、立ち上がり部1bの外側面1dに設けられていてもよい。
【0014】
続いて、基礎点検口10について、
図2~
図10を参照しつつ以下に説明する。基礎点検口10は、
図2に示すように、枠体11と、蓋体21とを有する。枠体11は、
図3及び
図4に示すように、枠部12と、枠部12の内周縁部に設けられた合成樹脂からなる2つの被係止部材13とを有している。枠部12は、四角筒状の筒体12aと、筒体12aの前方に設けられたフランジ12bとを有しており、発泡合成樹脂製(例えば、EPS:ビーズ法ポリスチレンフォーム)である。なお、枠部12は、他の合成樹脂から構成されていてもよい。
【0015】
筒体12aは、開口部12a1を画定しており、その後端部には、開口部12a1の後方を塞ぐように、打ち抜き板12cが肉薄部12dを介して一体的に形成されている。この打ち抜き板12cは、基礎形成後には、肉薄部12dにおいてユーザにより切り離す(打ち抜く)ことができる。打ち抜き板12cが形成されていることで、枠体11の形状が維持されるため、基礎形成時に流し込まれるコンクリートによって枠体11の特に後方部分にひずみが生じることを防止することができる。さらに、打ち抜き板12cは、開口部12a1の後方部分を塞いでいるため、基礎形成時のコンクリートが枠体11内に流れ込むのを防止することができる。また、打ち抜き板12cは、肉薄部12dを介して枠体11と繋がっているため、基礎完成後に容易に打ち抜くことができる。
【0016】
図2(b)及び
図3に示すように、枠部12の左右側面の下部には、仮止釘用リブ11bがそれぞれ設けられている。これら仮止釘用リブ11bを介して基礎形成下地面に釘を打ち込むことにより、基礎点検口1を布基礎形成下地面に固定(仮止め)することができる。
【0017】
フランジ12bは、
図4に示すように、開口部12a1よりも一回り大きな開口部12b1を画定している。筒体12aの開口部12a1とフランジ12bの開口部12b1とが接続面12abで接続され、枠体11の開口部11aを構成している。
【0018】
フランジ12bの鉛直方向Cに沿って平行な左右の垂直部12baのそれぞれには、
図5に示すように、被係止部材13を固定するための2つの貫通孔12b2が形成されている。これら貫通孔12b2は、前後方向Bに貫通しており、
図5(a)に示すように前方開口部分は四角形状を有し、
図5(b)に示すように後方開口部分は円形状を有している。また、各垂直部12baには、2つの溝部12b3と2つの凹部12b4とが形成されている。2つの溝部12b3は、
図5(a)に示すように、フランジ12bの内周面において、鉛直方向Cに互いに離隔して配置され、前後方向Bの中央部分から前方に向かって延在して形成されている。2つの凹部12b4は、前方及び開口部12b1側(すなわち、内側)に向かって開口しており、2つの貫通孔12b2及び2つの溝部12b3を鉛直方向Cに挟む位置に配置されている。また、左右の垂直部12baに形成された2つの貫通孔12b2、2つの溝部12b3及び2つの凹部12b4は、枠部12の左右方向Aの中心を通る鉛直方向Cの中心線に対して線対称に配置されている。
【0019】
被係止部材(被係止部)13は、
図6に示す第1部材13aと、
図7に示す第2部材13bとが組み合わされることで構成されている。第1部材13aは、
図4に示すように、前方からフランジ12bに取り付けられるものである。第1部材13aは、
図6に示すように、鉛直方向Cに長尺な板状部材13a1を有している。板状部材13a1の後面13a2には、後方に突出する2つの突出片13a3から構成された2組の接続部13a4と、後方に突出するガイド片14~16とが形成されている。接続部13a4を構成する突出片13a3の先端には、内側に向かって突出した引っ掛け部13a5がそれぞれ形成されている。そして、接続部13a4がフランジ12bの貫通孔12b2に挿入され、第1部材13aの引っ掛け部13a5が後述の第2部材13bの引っ掛け部13b6に引っ掛けられることで、被係止部材13がフランジ12bの左右の垂直部12baのそれぞれを厚み方向に平行な前後方向Bに挟んで取り付けられる。
【0020】
ガイド片14は、板状部材13a1の鉛直方向Cの中央部分に配置されている。また、ガイド片14は、鉛直方向Cに延在する鉛直部14aと、当該鉛直部14aの上端及び下端に接続され左右方向Aに延在する2つの水平部14bとを有している。ガイド片14の鉛直部14aには、2つの切り欠き14cが形成されている。これら切り欠き14cは、溝部12b3と同様な幅を有しており、被係止部材13がフランジ12bに取り付けられたときに、溝部12b3に対向する。こうして、後述の係止突起46が挿入される溝部11cが溝部12b3と切り欠き14cとで画定される。溝部11cは、枠体11の左右に2つずつ、合計4つ構成されている。
【0021】
ガイド片15は、板状部材13a1の上端及び下端に配置されている。ガイド片16は、ガイド片15とガイド片14の水平部14bとの間であって、板状部材13a1の一端部(
図6中右端部)に配置されている。ガイド片16は、鉛直方向Cにおいて、凹部12b4の長さとほぼ同じ長さを有しており、蓋部22に形成される2つの突起27よりも若干長く形成されている。ガイド片14の水平部14b、ガイド片15,16及び凹部12b4によって、突起27の挿入部11dを画定している。挿入部11dは、枠体11の左右に2つずつ、合計4つ構成されている。
【0022】
第2部材13bは、
図2(b)に示すように、後方からフランジ12bに取り付けられるものである。第2部材13bは、
図7に示すように、鉛直方向Cに長尺な板状部材13b1を有している。板状部材13b1の前面13b2には、前方に突出する略円柱状の突出部13b3と突出部13b3の先端面から前方に突出する2つの突出片13b4とで構成された2組の接続部13b5が形成されている。2組の接続部13b5は、鉛直方向Cに互いに離隔して配置されている。接続部13b5を構成する突出片13b4の先端には、外側に向かって突出した引っ掛け部13b6がそれぞれ形成されている。そして、接続部13b5がフランジ12bの貫通孔12b2に挿入され、第2部材13bの引っ掛け部13b6が第1部材13aの引っ掛け部13a5に引っ掛けられることで、被係止部材13がフランジ12bの左右の垂直部12baのそれぞれを厚み方向に平行な前後方向Bに挟んで取り付けられる。つまり、枠体11は、左右方向Aの中心を通る鉛直方向Cの中心線に対して線対称に形成されている。
【0023】
蓋体21は、
図3、
図8~
図10に示すように、蓋部22と、被係止部材13と係止可能な合成樹脂からなる係止部材23とを有している。蓋部22は、
図8に示すように、前方から見て、左右方向Aに長尺な長方形平面形状を有する板状部材から構成されている。本実施形態における蓋部22は、発泡合成樹脂製(例えば、EPS:ビーズ法ポリスチレンフォーム)であり、断熱性を有している。なお、蓋部22は、断熱性を有しておれば、他の合成樹脂から構成されていてもよい。蓋部22の前面22aには、2つの凹部22a1,22a2が形成されている。凹部22a2は、蓋部22の左右方向Aの中央からやや左側よりに配置されており、鉛直方向Cに長尺な長穴形状となっている。
【0024】
凹部22a1は、
図8に示すように、蓋部22の左側端部に配置されている。また、凹部22a1は、蓋部22の前面22aから左側面22cを経由して後面22bにかけて形成されており、係止部材23を取り付けるための部分である。凹部22a1の前面22a側の部分には、
図9(a)に示すように、穴部24と、溝部25とが形成されている。穴部24は、左右方向Aにやや長尺な長穴形状となっている。溝部25は、鉛直方向Cに長尺に延在している。凹部22a1の後面22b側の部分には、
図9(b)に示すように、鉛直方向Cに長尺に延在する溝部26が形成されている。
【0025】
蓋部22の右側面22dには、
図8(a)に示すように、右側に突出する2つの突起27が形成されている。これら突起27は、鉛直方向Cに互いに離隔して配置されている。各突起27は、蓋体21を枠体11の開口部11aに嵌合したときに、上述したガイド片14の水平部14b、ガイド片15,16及び凹部12b4によって画定された挿入部11dのそれぞれにちょうど挿入可能な大きさに形成されている。
【0026】
蓋部22の後面22bには、
図8(b)に示すように、3つの突起22b1が形成されている。これら突起22b1は、左右方向Aに長尺に形成されており、鉛直方向Cに互いに離隔して配置されている。また、蓋部22の後方部分には、段差部30が周縁部全体に形成されている。この段差部30によって形成された垂直な段差面31は、蓋体21が枠体11に取り付けられたときに、枠体11の開口部11aの接続面12abと当接する面である。つまり、蓋体21が枠体11に取り付けられることで、段差面31と接続面12abとが当接し、枠体11の開口部11aが蓋体21によって封止される。
【0027】
係止部材23は、
図10に示すように、蓋部22の端部を挟持する挟持部41と、挟持部41に一体的に形成された操作部42とを有する。挟持部41は、前方部51と、側方部52と、後方部53とを有しており、これら各部51~53が連続して略コの字形状を構成する板状部材からなる。前方部51は、
図10(c)に示すように、前方から見て、鉛直方向Cに長尺な長方形平面形状を有している。前方部51の右端部には、
図10(b)及び
図10(c)に示すように、後方に突出する突起51aが形成されている。突起51aは、溝部25にちょうど嵌合可能な形状に形成されている。
【0028】
側方部52は、
図10(b)に示すように、蓋部22の段差部30の形状に沿って屈曲しており、その前方が前方部51と一体的に接続されている。後方部53は、後方から見て、鉛直方向Cに長尺な長方形形状を有しており、側方部52の後端と一体的に接続されている。後方部53の先端(右端部)には、前方に突出する突起53aが形成されている。突起53aは、溝部26にちょうど嵌合可能な形状に形成されている。
【0029】
操作部42は、前方から見て略半円形状の第1部分43と、側方部52を鉛直方向Cに挟む位置に配置され第1部分43と側方部52の後方部分とを接続する一対の第2部分44とを有している。第1部分43は、前後方向Bに貫通する円孔43aが形成された板状部材からなる。第2部分44は、第1部分43の左側端部から左方に延在してから後方に折れ曲がって段差部30の形状に沿って屈曲する板状部材からなる。また、一対の第2部分44には、係止突起46が形成されている。係止突起46は、後方に向かうに連れて第2部分44から離れるように傾斜する前方傾斜部46aと、前方に向かうに連れて第2部分44から離れるに傾斜する後方傾斜部46bとを有している。
【0030】
このような係止部材23は、突起51aが溝部25に、突起53aが溝部26に嵌合するようにして凹部22a1に取り付けられる。これにより、係止部材23は、
図8に示すように、挟持部41によって、蓋部22の左側端部を前後方向Bに挟持するようにして取り付けられる。操作部42は、
図10に示すように、側方部52との接続箇所以外は挟持部41からスリット45を介して離隔している。これにより、蓋部22に取り付けられた係止部材23の操作部42の第1部分43は、第2部分44の弾性変形によって左右方向Aに移動可能となる。このため、ユーザが第1部分43の円孔43a及び凹部22a2に指を入れて、第1部分43を凹部22a2に近づく方向に移動させると、第2部分44が弾性変形して第1部分43が凹部22a2に近付く。つまり、第1部分43が右方に移動する。このとき、第2部分44の前方部分も右方に移動するため、溝部11c内に挿入され被係止部材13と係止する係止突起46が溝部11cから脱して、その係止が解除される。こうして、係止突起46と被係止部材13との係止が解除されているときに、蓋体21を枠体11から前方に取り外すことが可能となる。一方、枠体11の開口部11aに蓋体21を取り付ける際は、2つの突起27を左右いずれか一方にある2つの挿入部11dに挿入する。そして、蓋体21を開口部11a内に押し込むと、係止突起46の後方傾斜部46bと他方にある被係止部材13とが係合して操作部42が左右方向Aに移動し、係止突起46が溝部11c内に挿入され被係止部材13と係止される。こうして、蓋体21が枠体11にロックされた状態で取り付けられる。
【0031】
このような係止部材23が蓋体21に設けられていることで、蓋部22を開口部11aに嵌合させるだけで、蓋体21を枠体11に容易に係止、すなわちロックすることが可能となる。また、係止部材23が、複数の別部材の組み合わせで構成されているものよりも製造コストが小さくなる。
【0032】
なお、本実施形態における枠体11は、左右方向Aの中心を通る鉛直方向Cに平行な中心線に対して線対称に形成されている。このため、蓋体21は、係止部材23が左右のどちらにあるように配置されても、枠体11に取り付けることができる。
【0033】
以上に述べたように、本実施形態の基礎点検口10によると、係止部材23が前後方向Bから挟持するようにして蓋部22に取り付けられているので、蓋部22が比較的脆い材料(発泡樹脂)から構成されていても、係止部材23が蓋部22から脱落するのを軽減することが可能となる。
【0034】
また、被係止部材13が枠部12を前後方向Bから挟持するようにして取り付けられている。これにより、枠部12が比較的脆い材料(発泡樹脂)から構成されていても、被係止部材13が枠部12から脱落するのを軽減することが可能となる。
【0035】
また、挟持部41の前方部51に突起51aが形成され、後方部53に突起53aが形成されていることで、挟持部41が蓋部22に対して左右方向Aへの移動が規制される。これにより、操作部42が左右方向Aに移動する際に、挟持部41が左右方向Aに移動しにくくなる。このため、蓋体21を枠体11に効果的にロックすることが可能となる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、係止部材23が蓋部22の左右方向Aの一方に配置されているが、鉛直方向Cの一方に配置されていてもよい。この場合、被係止部(被係止部材)も、係止部材に対応するように、枠部12の鉛直方向Cの一方に配置されておればよい。これにおいても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、上述の実施形態における被係止部材13は、枠部12を前後方向Bから挟持するようにして取り付けられているが、枠部12と一体的に形成されていてもよい。この場合、係止部材23の係止突起46と係止可能な溝又は凹部(被係止部)が枠部の内周縁部に設けられておればよい。
【0038】
また、係止部材23に形成された突起51a及び突起53aは、いずれか一方だけが形成されていてもよいし、両方とも形成されていなくてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態においては、第1部分43(操作部42)を右方に移動することで係止が解除されるようにしているが、係止部材を、単に前方部、後方部、及び、前記前方部と前記後方部とを繋ぐ側方部からなる略コ字状とし、この係止部材を蓋部の外周端部を挟持するように取り付け、枠体に蓋体を嵌め込み係止部材を被係止部材に係止した状態で、前方部を弾性変形により前方乃至右方に移動(変形)させることで、被係止部に対する係止部材の係止を解除できるように、係止部材が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 基礎点検口
11 枠体
11a 開口部
12 枠部
13 被係止部材(被係止部)
21 蓋体
22 蓋部
23 係止部材
41 挟持部
42 操作部
46 係止突起(突起)
51 前方部
51a 突起
52 側方部
53 後方部
53a 突起