(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】調理機器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A47J27/00 101C
A47J27/00 103H
(21)【出願番号】P 2021513303
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2019099178
(87)【国際公開番号】W WO2020113984
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】201811465469.7
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516256766
【氏名又は名称】珠海格力電器股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Gree Electric Appliances, Inc. of Zhuhai
【住所又は居所原語表記】West Jinji Road, Qianshan, Zhuhai, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張源智
(72)【発明者】
【氏名】陳偉
(72)【発明者】
【氏名】陳亮
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼志宏
(72)【発明者】
【氏名】晏冬
(72)【発明者】
【氏名】高▲ゆあん▼貴
(72)【発明者】
【氏名】盧正邦
(72)【発明者】
【氏名】陳崇得
(72)【発明者】
【氏名】寧貴勇
(72)【発明者】
【氏名】潘沢勇
(72)【発明者】
【氏名】康津
(72)【発明者】
【氏名】李磊
(72)【発明者】
【氏名】郷志祥
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206044344(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107811494(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0071407(KR,A)
【文献】特開平05-337044(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105455610(CN,A)
【文献】特開2018-068591(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105212680(CN,A)
【文献】登録実用新案第3220558(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持リング(14)と、
前記支持リング(14)に嵌合された内鍋(30)と、
伝動アセンブリ(50)および駆動部材(70)と、を含み、
前記伝動アセンブリ(50)は、前記駆動部材(70)と前記内鍋(30)との間に設けられ、且つ前記内鍋(30)を前記支持リング(14)に対して昇降するように
し、
前記伝動アセンブリ(50)は、第1伝動部材(52)および第2伝動部材(54)を含み、前記第1伝動部材(52)は、前記駆動部材(70)に接続され、前記第2伝動部材(54)は、前記第1伝動部材(52)と前記内鍋(30)との間に設けられ、前記第1伝動部材(52)は、前記駆動部材(70)の駆動で転動され、且つ前記第2伝動部材(54)を前記支持リング(14)に対して昇降するようにし、
前記第1伝動部材(52)および前記第2伝動部材(54)は、いずれも前記内鍋(30)の外部に外嵌され、前記第1伝動部材(52)が前記支持リング(14)の軸線周りに転動する場合、前記第2伝動部材(54)を前記支持リング(14)に対して回転および昇降するようにする、ことを特徴とする調理機器(100)。
【請求項2】
前記第1伝動部材(52)および前記第2伝動部材(54)は、前記内鍋(30)の軸方向に沿って分布され、且つ前記第1伝動部材(52)および第2伝動部材(54)は、それぞれ、互いに対向し及び貼り合わせる第1傾斜面(521)および第2傾斜面(541)を有し、
前記第1傾斜面(521)および前記第2傾斜面(541)は、いずれも前記支持リング(14)の周方向に沿って延び、且つ前記支持リング(14)の軸線に対して傾斜し、前記第1伝動部材(52)が転動する場合、前記第1傾斜面(521)と前記第2傾斜面(541)との連携により、前記第2伝動部材(54)を前記第1傾斜面(521)に沿って摺動するようにする、ことを特徴とする
請求項
1に記載の調理機器(100)。
【請求項3】
リミットアセンブリをさらに含み、前記リミットアセンブリは、第1リミット部材(61)と第2リミット部材(63)を含み、前記第1リミット部材(61)は、前記支持リング(14)に設けられ、前記第2リミット部材(63)は、前記第1伝動部材(52)および/または前記第2伝動部材(54)に設けられ且つ前記支持リング(14)に対して移動し、前記第1リミット部材(61)は、前記第2リミット部材(63)の移動経路で前記第2リミット部材(63)を阻む、ことを特徴とする
請求項
1に記載の調理機器(100)。
【請求項4】
前記第1リミット部材(61)は、前記支持リング(14)の周方向に沿って離間して設けられた第1正転リミット部材(612)および第1逆転リミット部材(614)を含み、前記第2リミット部材(63)は、前記第1正転リミット部材(612)と前記第1逆転リミット部材(614)との間に転動可能に設けられる、ことを特徴とする
請求項
3に記載の調理機器(100)。
【請求項5】
前記内鍋(30)は、径方向に突出するリム(32)を有し、前記伝動アセンブリ(50)の一端は、前記リム(32)の一部の下部を支持し、前記伝動アセンブリ(50)は、前記駆動部材(70)の駆動で、前記内鍋(30)を昇降するようにするとともに、前記リム(32)を前記支持リング(14)から離れるように、または前記支持リング(14)に当接するようにする、ことを特徴とする
請求項
1に記載の調理機器(100)。
【請求項6】
前記支持リング(14)は、互いに接続された上部リング体(13)と内側スリーブ(15)を有し、前記内側スリーブ(15)は、前記上部リング体(13)の内周縁に設けられ、且つ前記上部リング体(13)の内周縁との間に隙間があり、
前記内側スリーブ(15)は、前記上部リング体(13)の軸方向に沿って延び、前記内鍋(30)は、前記内側スリーブ(15)の内部に嵌合され、前記伝動アセンブリ(50)は、前記内側スリーブ(15)の外部に外嵌され、前記伝動アセンブリ(50)の一端は前記隙間を貫通して前記リム(32)の一部に当接される、ことを特徴とする
請求項
5に記載の調理機器(100)。
【請求項7】
前記内側スリーブ(15)の前記上部リング体(13)から離れた一端は、径方向に沿って下部フランジ(152)が突設され、前記第1伝動部材(52)は、前記内側スリーブ(15)の外部に外嵌され且つ前記下部フランジ(152)に支持される、ことを特徴とする
請求項
6に記載の調理機器(100)。
【請求項8】
ボールをさらに含み、前記ボールは、前記第1伝動部材(52)の内側壁と前記内側スリーブ(15)との間に設けられ、および/または
前記ボールは、前記下部フランジ(152)と前記第1伝動部材(52)の底壁との間に設けられる、ことを特徴とする
請求項
7に記載の調理機器(100)。
【請求項9】
前記駆動部材(70)の出力端と前記第1伝動部材(52)との間は、歯の噛み合いを介して伝動される、ことを特徴とする
請求項
1に記載の調理機器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年12月03日に出願された、出願番号が201811465469.7であり、発明名称が「調理機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容を全て参照により本願に組み込むものとする。
【0002】
本願は、キッチン家電の技術分野に関し、特に調理機器に関する。
【背景技術】
【0003】
炊飯器は、蒸し、茹で、シチュー、煮込み、煮つけなど、さまざまな調理を行うことができる、一般的な調理機器である。炊飯器は、食物を熟することができるだけでなく、保温もでき、清潔で衛生的に使用可能で、汚染がなく、時間も労力も節約できて、家事労働の現代化に不可欠な器具の1つである。
【0004】
炊飯器は、一般的に本体、内鍋および蓋を含み、内鍋は本体内に設けられ、蓋は本体に対して開閉可能に設置される。ご飯を炊くとき、蓋を開けて内鍋を本体から取り出し、その後、内鍋に米を入れて洗い流した後、内鍋を本体に戻す。しかしながら、従来の内鍋は本体の支持リングに当接され、内鍋を取り出すとき、内鍋が支持リングに当接されているため、指で内鍋を掴んで出し入れしにくく、内鍋の出し入れが滞って、スムーズではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、内鍋の出し入れが滞る問題に対して、内鍋の出し入れを容易にする調理機器を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
調理機器であって、支持リングと、前記支持リングに嵌合された内鍋と、伝動アセンブリおよび駆動部材と、を含み、前記伝動アセンブリは、前記駆動部材と前記内鍋との間に設けられ、且つ前記内鍋を前記支持リングに対して昇降するようにする。
【0007】
上記の調理機器において、駆動部材は伝動アセンブリを駆動して動作するようにし、伝動アセンブリが動作するとき、内鍋を支持リングに対して昇降するようにする。このように、内鍋を取り出す必要がある場合、駆動部材と伝動アセンブリは、内鍋を上昇するように駆動し、そのため、内鍋は支持リングから分離されて、指で内鍋を手軽に掴むのに便利であり、滞ることなくスムーズに内鍋を出し入れることができ、内鍋の出し入れが便利になる。さらに、調理加工が必要である場合、内鍋を元に戻し、駆動部材および伝動アセンブリは、内鍋を下降するようにして、内鍋が支持リングに支持されると、蓋を閉めて、調理加工が開始できる。
【0008】
いくつかの実施例において、前記伝動アセンブリは、第1伝動部材および第2伝動部材を含み、前記第1伝動部材は、前記駆動部材に接続され、前記第2伝動部材は、前記第1伝動部材と前記内鍋との間に設けられ、前記第1伝動部材は、前記駆動部材の駆動で転動され、且つ前記第2伝動部材を前記支持リングに対して昇降するようにする。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1伝動部材および前記第2伝動部材は、いずれも前記内鍋の外部に外嵌され、前記第1伝動部材が前記支持リングの軸線周りに転動する場合、前記第2伝動部材を前記支持リングに対して回転および昇降するようにする。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1伝動部材および前記第2伝動部材は、前記内鍋の軸方向に沿って分布され、且つ前記第1伝動部材および和前記第2伝動部材は、それぞれ互いに対向し且つ貼り合わせる第1傾斜面および第2傾斜面を有し、
ここで、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は互いに接触しており、いずれも前記支持リングの周方向に対して延び、且つ前記支持リングの軸線に対して傾斜し、前記第1伝動部材が転動するとき、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との連携により、前記第2伝動部材を前記第1傾斜面に沿って摺動するようにする。
【0011】
いくつかの実施例において、リミットアセンブリをさらに含み、前記リミットアセンブリは、第1リミット部材および第2リミット部材を含み、前記第1リミット部材は、前記支持リングに設けられ、前記第2リミット部材は、前記第1伝動部材および/または前記第2伝動部材に設けられ且つ前記支持リングに対して移動し、前記第1リミット部材は、前記第2リミット部材の移動経路で前記第2リミット部材を阻む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1リミット部材は、前記支持リングの周方向に沿って離間して設けられた第1正転リミット部材および第1逆転リミット部材を含み、前記第2リミット部材は、前記第1正転リミット部材と前記第1逆転リミット部材との間に転動可能に設けられる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記内鍋は、径方向に突出するリムを有し、前記伝動アセンブリの一端は、前記リムの一部の下部を支持し、前記伝動アセンブリは、前記駆動部材の駆動で、前記内鍋を昇降するようにするとともに、前記リムを前記支持リングから離れるように、または前記支持リングに当接するようにする。
【0014】
いくつかの実施例において、前記支持リングは、互いに接続された上部リング体と内側スリーブを有し、前記内側スリーブは、前記上部リング体の内周縁に設けられ、且つ前記上部リング体の内周縁との間に隙間があり、
さらに、前記内側スリーブは、前記上部リング体の軸方向に沿って延び、前記内鍋は、前記内側スリーブの内部に嵌合され、前記伝動アセンブリは、前記内側スリーブの外部に外嵌され、前記伝動アセンブリの一端は、前記隙間を貫通して前記リムの一部に当接される。
【0015】
いくつかの実施例において、前記内側スリーブの前記上部リング体から離れた一端には、径方向に沿って下部フランジが突設され、前記第1伝動部材は、前記内側スリーブの外部に外嵌され且つ前記下部フランジに支持される。
【0016】
いくつかの実施例において、ボールをさらに含み、前記ボールが、前記第1伝動部材の内側壁と前記内側スリーブとの間に設けられ、および/または
前記ボールは、前記下部フランジと、前記第1伝動部材の底壁との間に設けられる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記駆動部材の出力端と前記第1伝動部材との間は、歯の噛み合いを介して伝動される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、図面を参照して本願実施例を説明することにより、本願の上記した及び他の目的、特徴、利点は、さらに明確になる。
【
図1】本願の一実施例における調理機器の例示的な分解図である。
【
図2】
図1に示された調理機器のある状態での例示的な構造図である。
【
図4】
図1に示された調理機器の別の状態での例示的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の理解を容易にするために、次に関連する図面を参照して本願をより全面的に説明する。本願の好ましい実施例が図面に示されている。しかしながら、本願は、さまざまな異なる形態で実現することができ、本明細書に記載されている実施例に限定されない。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本願の開示した内容をより徹底かつ全面的に理解するようにすることである。
【0020】
なお、ある要素が別の要素に「固定される」と記述される場合、それは別の要素に直接に配置されてもよく、中間要素が存在してもよい。ある要素が別の要素に「接続される」と見なされる場合、その要素は別の要素に直接に接続されてもよく、同時に中間要素が存在してもよい。
【0021】
別途に定義されていない限り、本文で使用されているすべての技術用語および科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般的に理解しているのと同じ意味を持つ。本願の明細書で使用されている用語は、具体的な実施例を説明することのみを目的とし、本願を限定することを意図するものではない。本文で使用される「および/または」という用語は、1つまたは複数のリストされた関連アイテムの任意の組み合わせ、およびあらゆる組み合わせを含む。
【0022】
図1に示されたように、本願の一実施例において、鍋本体10、内鍋30および蓋(未図示)を含む、調理機器100を提供する。内鍋30は、鍋本体10の内部に着脱可能に設けられ、蓋は、鍋本体10に対して開閉可能に設けられる。内鍋30を異なる位置に移動して食材を充填するために、使用する際に、蓋を開け、鍋本体10の内部から内鍋30を取り出すことができる。食材の充填が完了した後、内鍋30を鍋本体10の内部に再組み立てて調理をすることができる。
【0023】
鍋本体10は、ベース12と、ベース12に設けられた支持リング14とを含み、ベース12は、鍋本体10の各部材を取り付けるためのものであり、支持リング14は、内鍋30を支持するためのものである。
【0024】
図2~
図5に示されたように、調理機器100は、さらに、伝動アセンブリ50および駆動部材70を含み、伝動アセンブリ50は、駆動部材70と内鍋30との間に設けられ、且つ内鍋30を支持リング14に対して昇降するようにする。即ち、駆動部材70は、伝動アセンブリ50が動作するように駆動し、伝動アセンブリ50が動作するとき、内鍋30を支持リング14に対して昇降するようにする。このように、内鍋30を取り出す必要があるとき、内鍋30は、駆動部材70および伝動アセンブリ50の駆動により上昇し、内鍋30は、支持リング14から分離されるので、指で内鍋30を手軽に掴むのに便利であり、滞ることなく、内鍋30をスムーズに出し入れることができて、内鍋30の出し入れが便利になる。さらに、調理加工が必要である場合、内鍋30を元に戻し、駆動部材70および伝動アセンブリ50は、内鍋30を下降するようにして、支持リング14に支持されると、蓋を閉めて、調理加工が開始できる。
【0025】
伝動アセンブリ50は、第1伝動部材52および第2伝動部材54を含み、第1伝動部材52は、駆動部材70に接続され、第2伝動部材54は、第1伝動部材52と内鍋30との間に設けられ、第1伝動部材52は、駆動部材70の駆動で転動され、第2伝動部材54を支持リング14に対して昇降するようにすることで、内鍋30を支持リング14に対して昇降するようにする。即ち、第1伝動部材52と第2伝動部材54との連携により、第1伝動部材52の回転運動を、第2伝動部材54の昇降運動に変換して、内鍋30を昇降するようにする。
【0026】
さらに、第1伝動部材52および第2伝動部材54は、いずれも内鍋30の外部に外嵌され、第1伝動部材52は、支持リング14の軸線周りに転動する場合、第2伝動部材54を支持リング14に対して回転および昇降するようにする。第1伝動部材52および第2伝動部材54を内鍋30の外部に外嵌することにより、伝動アセンブリ50の装着スペースを節約し、ベース12の多くの内部スペースを占有する必要がない。また、第1伝動部材52の転動により、第2伝動部材54を回転および昇降するようにして、内鍋30を支持リング14に対して昇降するようにする。これにより、内鍋30は支持リング14から分離されて、内鍋30を容易に出し入れできる目的を達成する。好ましくは、第1伝動部材52および第2伝動部材54はリング状に構成される。
【0027】
具体的には、内鍋30は、径方向に突出するリム32を有し、伝動アセンブリ50の一端は、リム32の一部の下部を支持し、伝動アセンブリ50は駆動部材70の駆動で、内鍋30を昇降するようにして、リム32を支持リング14から離れるように、または支持リング14に当接するようにする。言い換えれば、この具体的な実施例において、内鍋30の既存のリム32構造を利用して、伝動アセンブリ50の一端に支持されることにより、伝動アセンブリ50はリム32に昇降の外力を加えて、ひいては、内鍋30の全体を昇降するようにする。また、伝動アセンブリ50は、リム32の一部のみに接触して支持し、リム32の全体の領域を占めることはない。
【0028】
伝動アセンブリ50の駆動で内鍋30が支持リング14から離れた後、リム32の一部のみが伝動アセンブリ50と当接し、リム32の残り部分は浮いている状態になるため、リム32の浮いている部分に手指を入れて手軽く内鍋30を出し入れでき、伝動アセンブリ50とリム32との当接は内鍋30のスムーズな出し入れに影響を与えない。他のいくつかの実施例において、伝動アセンブリ50は、リム32の領域を占有することなく、内鍋30の外壁に当接し、伝動アセンブリ50と内鍋30との当接位置については、ここで限定しない。
【0029】
さらに、支持リング14は、互いに接続された上部リング体13と内側スリーブ15を含み、内側スリーブ15は、上部リング体13の内周縁に設けられ、且つ上部リング体13の内周縁との間には隙間がある。内側スリーブ15は、上部リング体13の軸方向に沿って延び、内鍋30は、内側スリーブ15の内部に嵌合され、内鍋30は内側スリーブ15によって収納されて固定される。伝動アセンブリ50は、内側スリーブ15の外部に外嵌され、伝動アセンブリ50の一端は、隙間を貫通して内鍋30のリム32の一部に当接される。内側スリーブ15によって伝動アセンブリ50を取り付け、且つ伝動アセンブリ50を隙間を貫通して内鍋30に当接するようにして、伝動アセンブリ50による昇降運動を内鍋30に伝達する。
【0030】
具体的には、内側スリーブ15の上部リング体13から離れた一端には、径方向に沿って下部フランジ152が突設され、第1伝動部材52は、内側スリーブ15の外部に外嵌され且つ下部フランジ152に支持される。これにより、下部フランジ152によって、第1伝動部材52と、第1伝動部材52と連携する第2伝動部材54とを支持し、それにより、第1伝動部材52と第2伝動部材54を内側スリーブ15の外部に確実に取り付ける。伝動アセンブリ50を取り付ける場合、第1伝動部材52と第2伝動部材54は、上部リング体13と内側スリーブ15との間の隙間を順次に通過して、内側スリーブ15に外嵌され、第1伝動部材52の底部は内側スリーブ15の下部フランジ152に支持される。
【0031】
この具体的な実施例において、第1伝動部材52および第2伝動部材54は、内鍋30の軸方向に沿って分布され、且つ第1伝動部材52および第2伝動部材54は、それぞれ、互いに対向し且つ貼り合わせる第1傾斜面521および第2傾斜面541を有する。ここで、第1傾斜面521および第2傾斜面541は、いずれも支持リング14の周方向に沿って延び、且つ支持リング14の軸線に対して傾斜する。第1伝動部材52が転動する場合、第1傾斜面521と第2傾斜面541との連携により、第2伝動部材54を第1傾斜面521に沿って摺動するようにする。このように、第2伝動部材54が第1傾斜面521に沿って摺動すると、第1傾斜面14の周方向に延びた方向に沿って、支持リング14に対して回転することができ、さらに、第1傾斜面521が支持リング14の軸線に対して傾斜する方向に沿って、支持リング14に対して昇降することができる。
【0032】
言い換えれば、第1伝動部材52が転動する場合、第1傾斜面521を転動するようにすることができ、更に、第2傾斜面541を第1傾斜面521と相対的に摺動するように駆動して、第2伝動部材54を第1傾斜面521に沿って摺動するようにする。また、第2傾斜面541が第1傾斜面521に沿って摺動する場合、第2伝動部材54は、支持リング14に接近および支持リング14から離れる方向に昇降するとともに、支持リング14の周方向に沿っても転動する。これは、第1傾斜面521と第2傾斜面541との連携により、第2伝動部材54に回転運動および昇降運動を複合させることに相当する。
【0033】
具体的には、駆動部材70の駆動で、第1伝動部材52が正転する場合、第2傾斜面541は第1傾斜面521に沿って上昇して、第2伝動部材54および内鍋30を上昇させる。駆動部材70の駆動で、第1伝動部材52が逆転する場合、第2傾斜面541は、第1傾斜面521に沿って下降して、第2伝動部材54および内鍋30を下降させる。第1伝動部材52の正逆転により、内鍋30の上昇と下降を制御する。
【0034】
より具体的には、第1伝動部材52は、第2伝動部材54に対向して複数の第1傾斜面521を含み、第2伝動部材54は、第1伝動部材52に対向して複数の第2傾斜面541を含み、第2伝動部材54に対向する第1伝動部材52の面は鋸歯状であり、第1伝動部材52に対向する第2伝動部材54の面も、第1伝動部材52の鋸歯面に噛み合う鋸歯面である。このように、2つの鋸歯面の噛み合い伝動により、第1伝動部材52が下部フランジ152で転動すると、第2伝動部材54を回転及び昇降するようにする。
【0035】
好ましくは、第1伝動部材52と駆動部材70の出力端との間には、歯の噛み合いにより伝動し、駆動部材70の出力端が転動する場合、歯の噛み合いによって、第1伝動部材52を転動するようにし、歯の噛み合いによって、駆動部材70の回転運動を第1伝動部材52に伝達する。具体的には、駆動部材70の出力端には歯車72(
図4に示す)が設けられ、第1伝動部材52の外周には、上記の歯車72と噛み合う歯が設けられ、駆動部材70の出力端の歯車72は、第1伝動部材52の外周の歯と噛み合う。第1伝動部材52自体の外周の歯を利用して、駆動部材70の出力端と噛み合うことにより、構造が簡単になり、占有するスペースも小さくなる。具体的には、駆動部材70は支持リング14の上部リング体13の底壁に設けられ、駆動部材70の出力端は第1伝動部材52の外周まで延び、それにより、運動伝動を実現し、構造全体の設計もコンパクトで合理的になる。
【0036】
いくつかの実施例において、調理機器100は、ボール(未図示)をさらに含み、ボールは、第1伝動部材52の内側壁と内側スリーブ15との間に設けられて、第1伝動部材52が内側スリーブ15の外部で内側スリーブ15の軸方向に沿ってよりスムーズに転動できるようにする。あるいは、別のいくつかの実施例において、調理機器100は、ボールをさらに含み、ボールは、第1伝動部材52の底壁と内側スリーブ15の下部フランジ152との間に設けられて、第1伝動部材52が下部フランジ152に支持されている場合にボールに対して転動するようにすることにより、第1伝動部材52と下部フランジ152との間の摩擦力を低減し、第1伝動部材52の転動をよりスムーズにする。あるいは、別のいくつかの実施例において、調理機器100は、ボールをさらに含み、ボールは、第1伝動部材52の内側壁と内側スリーブ15との間に設けられ、それにより、第1伝動部材52が内側スリーブ15の外部で内側スリーブ15の軸方向に沿ってよりスムーズに転動できるようにする。そして、前記ボールは、第1伝動部材52の底壁と内側スリーブ15の下部フランジ152との間にも設けられ、それにより、第1伝動部材52が下部フランジ152に支持されている場合、ボールに対して転動するので、第1伝動部材52と下部フランジ152との間の摩擦力を低減し、第1伝動部材52の転動をよりスムーズにする。
【0037】
調理機器100は、リミットアセンブリをさらに含み、リミットアセンブリは、第1リミット部材61および第2リミット部材63を含み、第1リミット部材61は、支持リング14に設けられ、第2リミット部材63は、第1伝動部材52および/または第2伝動部材54に設けられて支持リング14に対して移動し、第1リミット部材61は第2リミット部材63の転動経路で第2リミット部材63を阻み、第1リミット部材61と第2リミット部材63との連携により、第1伝動部材52および第2伝動部材54の運動幅を制限し、内ポットの過度な昇降を防止する。具体的には、第1伝動部材52および第2伝動部材54が運動する場合、第2リミット部材63も同期に移動し、第1伝動部材52および第2伝動部材54が限界位置まで運動した時、第1リミット部材61を第2リミット部材63に当接するようにし、第1伝動部材52および第2伝動部材54のそれ以上の運動を阻む。好ましくは、第2リミット部材63は、第2伝動部材54に設けられて、第2伝動部材54と同期に回転および昇降する。
【0038】
さらに、第1リミット部材61は、支持リング14の周方向に沿って離間して設けられた第1正転リミット部材612および第1逆転リミット部材614を含み、第2リミット部材63は、第1正転リミット部材612と第1逆転リミット部材614との間に転動可能に設けられる。第1伝動部材52が正転する場合、第2リミット部材63を第1正転リミット部材612に接近する方向に転動するようにし、第2リミット部材63が第1正転リミット部材612に当接される場合、第1伝動部材52および第2伝動部材54は転動を停止する。第1伝動部材52が逆転する場合、第2リミット部材63を第1逆転リミット部材614に接近する方向に転動するようにし、第2リミット部材63が第1逆転リミット部材614に当接される場合、第1伝動部材52および第2伝動部材54は転動を停止する。このように、第1正転リミット部材612によって、第1伝動部材52の正転する転動幅を制限し、第1逆転リミット部材614によって、第1伝動部材52の逆転する転動幅を制限し、それにより、第2伝動部材54による内鍋30の昇降幅を制限する。理解できることは、別のいくつかの実施例において、第1正向リミット部材、第1反向リミット部材のうちの1つのみが設けられてもよく、ここで、限定しない。
【0039】
具体的には、第1リミット部材61は複数であり、複数の第1リミット部材61は上部リング体13の内周縁に沿って離間して分布され、第1リミット部材61は上部リング体13と下部フランジ152との間に接続され、内側スリーブ15との間に隙間を有し、内側スリーブ15と上部リング体13との間の隙間を介して、第1伝動部材52および第2伝動部材54は、第1リミット部材61と内側スリーブ15との間の隙間に入り、第1リミット部材61と内側スリーブ15との間に取り付けられる。このように、第1リミット部材61は、第2リミット部材63と連携して運動を制限するために使用されるだけでなく、さらに、第1伝動部材52および第2伝動部材54が支持リング14に確実に取り付けられるように、上部リング体13と内側スリーブ15とを接続するためにも使用される。より具体的には、複数の第1リミット部材61のうち、隣接する2つの第1リミット部材61は、それぞれ第1正転リミット部材612および第1逆転リミット部材614であり、第1伝動部材52および第2伝動部材54の転動幅は、第1正転リミット部材612と第1逆転リミット部材614との間の距離によって決定される。
【0040】
上記の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明の簡潔さのために、上記の実施例の各技術的特徴の可能な組み合わせのすべてについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせは、矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載の範囲に含まれる。
【0041】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示したことに過ぎず、その説明が具体的で詳細であるが、これにより発明の範囲を限定すると理解してはいけない。当業者にとって、本願の思想から逸脱しない限り、いくつかの変形や改良を実施することができ、これらはすべて本願の保護範囲に含まれる。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。