(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】アニオン開環共重合によるポリアミド製造方法及びこれに製造されたポリアミド
(51)【国際特許分類】
C08G 69/20 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
C08G69/20
(21)【出願番号】P 2021529760
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2019014577
(87)【国際公開番号】W WO2020116791
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155435
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】キム ドゥギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジンソ
(72)【発明者】
【氏名】ド スンヒ
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155608(JP,A)
【文献】特表2002-540273(JP,A)
【文献】米国特許第04101531(US,A)
【文献】"Studies on Anionic Polymerization of Lactams. PartIII. Copolymerization of Pyrolidone and Caprolactam",Journal of Polymer Science: PartA-1,1967年,Vol.5,p.965-974
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00- 69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種のラクタム全体100重量部に対して、
アルカリ金属系開始剤である金属水素化物0.01~20重量部が投入され、前記アルカリ金属系開始剤は2種のラクタムの中で
アルカリ金属系開始剤である金属水素化物に対して反応性がより大きいラクタムに混合され
以後、上記2種のラクタムを混合して重合させるものであり、前記アルカリ金属系開始剤を前記2種ラクタムの中の反応性がより大きいラクタムに混合した後に発生する水素を除去することを特徴とするアニオン開環共重合(AROP)によるポリアミド製造方法。
【請求項2】
前記2種ラクタムはラクタム環を構成する炭素の数が3~12個であるか、又は前記3~12個の炭素にアルキル基が置換されたことを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属系開始剤は金属水素化物を含み、前記金属水素化物は水素化ナトリウム(sodium hydride)及び水素化カリウム(potassium hydride)から選択される少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項4】
前記ポリアミド製造方法は、活性化剤として、二酸化炭素(CO
2)、塩化ベンゾイル(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))からなる群から選択される1種以上を更に投入することを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項5】
前記活性化剤の量は0.002~1.0重量部であることを特徴とする、請求項
4に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項6】
分子量調節剤として、エチレン‐ビス‐ステアロアミド(EBS:ethylene-bis-stearamide)、アミン(amine)化合物、尿素(urea)化合物及びジ尿素(di-urea)化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を更に投入することを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項7】
前記分子量調節剤の量は0.01~10重量部であることを特徴とする、請求項
6に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項8】
前記
アニオン開環共重合で前記ラクタムは95%以上の転換率を持つことを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項9】
前記
アニオン開環共重合では、共重合温度は160~300℃
の範囲で行われることを特徴とする、請求項1に記載のアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法。
【請求項10】
請求項
1に記載のポリアミド製造方法で製造されたポリアミド。
【請求項11】
前記ポリアミドは1~4の分子量分布(PDI)を持つことを特徴とする、請求項
10に記載のポリアミド。
【請求項12】
前記ポリアミドは線形、分岐形、高分岐形(hyperbranched)及び樹枝状(denditric)の中から選択される少なくとも一つの構造であることを特徴とする、請求項
10に記載のポリアミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はモノマーと開始剤であるアルカリ金属系開始剤の反応性を考えたアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法に関するものである。アルカリ金属系開始剤である金属水素化物をそれと反応性がより大きいラクタムに投入して、アニオンが開始されたモノマーの生成速度を増加させて短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能なアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法及びこれによって製造されたポリアミドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂はアミド(-NHCO-)結合によって結合された直線形高分子として強靭で耐摩擦、耐摩耗、耐油、耐溶剤性等の物性が優秀で溶融成型が容易であって、衣服素材用、産業資材用繊維、エンジニアリングプラスチック等として広く利用されている。ポリアミドは分子構造に従って脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂肪族環ポリアミドに分類できるし、この中脂肪族ポリアミドの場合ナイロン(Nylon)、芳香族ポリアミドの場合アラミド(Aramid)と通称して呼んだりする。
【0003】
このようなポリアミドは多様な重合方法で製造されるし、ナイロン6のようにラクタムの開環重合によるもの、ナイロン6,6、ナイロン6,10及びナイロン4,6のようにジアミンと二塩基酸の重縮合によるもの、ナイロン11及びナイロン12のようにアミノカルボン酸の重縮合によるものに大きく分けることができる。他にカプロラクタムと6、10-ナイロン塩(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸(sebacate)塩)との混成縮合体等のいわゆる混成重合ナイロンが工業的に生産されているし、又、分子中に側鎖、水酸基等の作用基、芳香環とヘテロ環を含む各種のポリアミドが研究されている。
【0004】
ラクタム、例えばカプロラクタムはアニオン重合できる。この方法は一般的に触媒、及び又開始剤(活性剤とも言われる)を使用する(活性化されたアニオン重合)。今までよく使用される開始剤又は活性剤はジイソシアネート又はこれらの誘導体を含めた。
【0005】
例えば、US4,754,000号(Bayer AG)には、ビウレット基(biuret group)を含み、非芳香族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを活性剤に使用してポリアミドを製造するラクタムの活性化されたアニオン重合が記述されている。
【0006】
又、公開特許公報である韓国公開特許公報第2017-0073536号にはラクタムのアニオン重合を通じたポリアミドを製造する方法で活性化剤でカプロラクタムキャッピング(capped with caprolactam)されたポリイソシアネートを開示している。
【0007】
ただし、Polymer,Volume 38 Number 4 1997.p937~938でbisimide(isophthaloyl-bis-caprolactam)及びラクタム-臭化マグネシウム(lactam-magnesium bromide)を触媒とするカプロラクタムのアニオン重合に対した研究が開示されているし、又ラウロラクタムの混合に対して言及されているが、アルカリ金属系開始剤を反応性が良いラクタムと反応を前提にする点に対した開示はないところ、限界がある。
【0008】
最後にPolymer,47,2006.p140~147でPoly(ε-caprolactam)-co-(ω-laurolactam)に対した開示はされているが、これも又アルカリ金属系開始剤を反応性が良いラクタムと反応を前提にする点に対した言及がない。
【0009】
これによってアニオン開環重合(Anion Ring Open Polymerization)又はアニオン開環共重合(Anion Ring Open Copolymerization)に対した製造方法にあって、ラクタムをモノマーにして、多様な開始剤及び活性化剤等を含めて、アニオン開環重合反応速度を向上させながら同時にモノマーの転換率を高める多様な工程に対した要求が存在する。
(特許文献1)US6713596号
(特許文献2)KR2017-0073536号
(非特許文献2)Polymer,Volume 38 Number 4 1997.p937~938
(非特許文献3)Polymer,47,2006.p140~147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は前記のような従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0011】
本願発明の目的はアニオン開環共重合によるポリアミド製造にあって、2種のラクタム中アルカリ金属系開始剤である金属水素化物をそれと反応性がより大きいモノマーに投入することでアニオン開始されたモノマーの生成速度を増加させてランダム共重合体への転換率を向上させることにある。
【0012】
即ち、短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能なアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法及びこれによって製造されたポリアミド提供に目的がある。
【0013】
又、本願発明の目的は活性化剤に溶媒を使用しない環境親和工程方法で既存重合方法に比べて低温で短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能なアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法及びこれによって製造されたポリアミドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために本願発明はアニオン開環共重合反応(AROP)によるポリアミド製造方法を提供する。
【0015】
2種以上のラクタム全体100重量部に対して、金属水素化物0.01~20重量部を投入するが、前記金属水素化物は2種ラクタム中反応性がより大きいラクタムに混合されることを特徴とするアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法が提供される。
【0016】
前記2種ラクタムはラクタム環を構成する炭素の数が3~12個だったり、前記3~12個の炭素にアルキル基が置換されたことを特徴とするし、例えば、2種のラクタムはカプロラクタム及びラウロラクタムであることができる。
【0017】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記金属水素化物を前記2種ラクタム中反応性がより大きいラクタムに混合した以後に発生される水素を除去することを特徴とする。
【0018】
前記アルカリ金属系開始剤は金属水素化物を含めて、前記金属水素化物は水素化ナトリウム(sodium hydride)及び水素化カリウム(potassium hydride)から選択される少なくとも何れか一つ以上であることを含むことができる。
【0019】
本発明に従った一つの好ましい例で、活性化剤で二酸化炭素(CO2)、塩化ベンゾイル(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))からなる群から選択される1種以上を更に投入できる。又、前記活性化剤は0.002~1.0重量部を含むことができる。
【0020】
本発明に従った一つの好ましい例で、分子量調節剤はエチレン‐ビス‐ステアロアミド(EBS:ethylene-bis-stearamide)、アミン(amine)化合物、尿素(urea)化合物及びジ尿素(di-urea)化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を投入できる。この場合前記分子量調節剤は0.01~10重量部を含むことができる。
【0021】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転換率を持つことができる。
【0022】
共に前記重合反応はその反応時間が120分前後であることを特徴とするし、重合温度は160~300℃範囲で行われる。ただ、前記重合反応時間は特に制限されるのではないし、投入される化合物の重量又は反応器のサイズ及び種類に従って適切に調節できることは言うまでもない。
【0023】
一方、本発明は前記のポリアミド製造方法によって製造されたポリアミドを提供する。この場合、前記ポリアミドの重量平均分子量(Mw)は20,000~200,000以内の範囲を持つし、前記ポリアミドは1~4の分子量分布範囲を持つことができる。
【0024】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記ポリアミドは線形、分岐形、高分岐形(hyperbranched)及び樹枝状(denditric)の中から選択される少なくとも何れか一つの構造であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通りのように、本発明はアニオン開環共重合によるポリアミド製造にあって、2種のラクタム中、反応性が大きいラクタムモノマーにアルカリ金属系開始剤である金属水素化物を投入することでアニオン開始されたモノマーの生成速度を増加させてランダム共重合体への転換率を向上させることにある。
【0026】
共に、本発明は触媒に溶媒を使用しない環境親和工程方法で既存重合方法に比べて低温で短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1は本発明に従って製造された2種のラクタムであるカプロラクタム及びラウロラクタムと開始剤の組み合わせに従った重合反応速度を比べたグラフである。
図2は本発明に従って2種のラクタムであるカプロラクタム及びラウロラクタムと開始剤の組み合わせに従った高分子重合率を表したグラフである。
図3は本発明に従って製造されるポリアミドランダム共重合体のメカニズムを表したことである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
後述する本発明に対した説明は、本発明が実施できる特定実施例を例示として参照する。これら実施例は当業者が本発明を実施できるのに十分であるように詳細に説明する。本発明の多様な実施例は互いに違うが相互排除的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定形象、構造及び特性は実施例に関して本発明の技術的思想及び範囲を外れないながら他の実施例で具現できる。
【0029】
従って、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとすることではないし、本発明の範囲は、適切に説明されるなら、その請求項たちが主張することと均等な全ての範囲と共に添付された請求項によりだけ限定される。
【0030】
又、本明細書で特別な言及がいない限り、“置換”~“置換された”とは、本発明の作用基の中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又は-I)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換又は非置換されたアルキル基、置換又は非置換された脂環族有機基、置換又は非置換されたアリール基、置換又は非置換されたアルケニル基、置換又は非置換されたアルキニル基、置換又は非置換されたヘテロアリール基,及び置換又は非置換されたヘテロ環基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味するし、前記置換基たちは互いに繋がって環を形成することもできる。
【0031】
本発明で、前記“置換”は特別な言及がいない限り、水素原子がハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基等の置換基で置換されたことを意味する。
【0032】
又、前記“炭化水素基”は特別な言及がいない限り、線形、分岐形(branched)又は環形の飽和又は不飽和炭化水素基を意味するし、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等は線形、分岐形又は環形であることがある。
【0033】
又、本明細書で特別な言及がいない限り、“アルキル基”とはC1~C30アルキル基を意味するし、“アリール基”とはC6~C30アリール基を意味する。本明細書で、“ヘテロ環基”とはO、S、N、P、Si及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヘテロ原子を一つの環内に1個~3個含有する基を言うし、例えば、ピリジン、チオフェン、ピラジン等を意味するがこれに制限されない。
【0034】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例たちに関して詳細に説明することにする。
【0035】
上述した通りのように、従来のポリアミドの重合方法中加水分解重合(Hydrolytic Polymerization)、触媒開環重合(Catalytic Ring Opening Polymerization)及びアニオン開環重合(Anionic Ring Opening Polymerization)で発生される問題点による工程過程の非効率性及び高温重合での副反応に従った粘度増加を制限するのに限界があった。
【0036】
これに本発明では本発明はアニオン開環共重合によるポリアミド製造にあって、重合反応速度を増加しながら、ラクタムの転換率を高める方法が提供される。詳しくは反応のモノマーであるラクタム2種にあって、好ましくは2種のラクタムで反応性が大きいラクタムモノマーにアルカリ金属系開始剤である金属水素化物を投入することでアニオン開始されたモノマーの生成速度を増加させて、ランダム共重合体への転換率を向上を提供する。
【0037】
又、触媒に溶媒を使用せずに二酸化炭素(CO2)を使用することで、環境親和工程で既存重合方法に比べて低温で短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能であるようにして、前述した問題点に対した解決案を模索した。
【0038】
具体的に、以下では本発明に従ったモノマー反応性及び開始剤の反応性を考えたアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法及びこれに製造されたポリアミドを具体的に説明する。
【0039】
本発明によると、アニオン開環共重合反応(AROP)によるポリアミド製造方法を提供する。
【0040】
詳しくは2種以上のラクタム全体100重量部に対して、金属水素化物0.01~20重量部を投入するが、前記金属水素化物は2種ラクタム中反応性がより大きいラクタムに混合されることを特徴とするアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法が提供される。
【0041】
又、前記2種ラクタムはラクタム環を構成する炭素の数が3~12個だったり、前記3~12個の炭素にアルキル基が置換されたことを特徴とするアニオン開環共重合によるポリアミド製造方法を提供する。
【0042】
ラクタムは例えば、ピペリドン(piperidone)、ピロリドン(pyrrolidone)、エナントラクタム(enantolactam)及びカプロラクタムを含むことができるし、場合によって、プロピオラクタム(propiolactam)、2-ピロリドン(2-pyrrolidone)、バレロラクタム(valerolactam)、ヘプタラクタム(heptanolactam)、オクタラクタム(octanolactam)、ノナノラクタム(nonanolactam)、デカノラクタム(decanolactam)、ウンデカンラクタム(undecanolactam)及びドデカノラクタム(dodecanolactam)を含むことができる。ただ、これは一実施例に該当するし、これに限定されるのではない。
【0043】
本発明に従った前記2種のラクタムにカプロラクタム及びラウロラクタムをポリアミドを製造するためのモノマーに好ましく使用できる、ただこれに限定されるのではないし、前記ラクタムたちは共重合体ポリアミド、好ましくはポリアミド612製造に使用される。
【0044】
カプロラクタムの場合は6個の炭素でなっていて、ラウロラクタムの場合12個の炭素でなっている。従って、前記ラクタムたちはアルカリ系金属製開始剤である金属水素化物と反応性で差があるし、カプロラクタムの場合がアルカリ系金属製開始剤と反応性が更に良い。従ってアルカリ系金属製開始剤、好ましくは金属水素化物、更に好ましくはNaHをカプロラクタムに投入して、共重合全体の反応速度を高めて、ラクタムは95%以上の転換率高めることができる効果がある。即ち、アニオンのランダム共重合体製造にあって、反応性が大きいモノマーであるカプロラクタムにNaHを投入して、アニオン開始されたモノマーの生成速度を増加させてランダム共重合体の転換率を向上させることができる。
【0045】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記金属水素化物を前記2種ラクタム中反応性がより大きいラクタムに混合した以後に発生される水素を除去することを特徴とする。本発明によると金属水素化物であるNaH重量比が0.01~20重量部が含むし、金属水素化物が過量投入する場合、水素気体も多量発生することになるが、この時反応器内部圧力が上がることになる。、従って、可燃性の水素ガスは反応の安定性のために除去が必要であるので、水素を除去する過程を含むことができる。
【0046】
本発明に従った前記アルカリ金属系開始剤はポリアミドを製造するための開始剤でありながら、触媒とも使用され、カプロラクタムのアニオン形成を許容する化合物として、金属水素化物(metal hydride)、金属水酸化物(metal hydroxide)及び金属アルコキシ化物(metal alkoxide)からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことができる。
【0047】
具体的な例で、前記金属水素化物は水素化ナトリウム(sodium hydride)及び水素化カリウム(potassium hydride)を含むことができるし、前記金属水酸化物は水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)及び水酸化カリウム(potassium hydroxide)をふくむことができるし、前記金属アルコキシ化物はカリウムtert-ブトキシド(potassium tert-butoxide)及びアルミニウムイソプロポキシド(aluminum isopropoxide)を含むことができるが、これに限定されるのではない。
【0048】
例えばカプロラクタムナトリウム又はカプロラクタムカリウム、アルカリ土類金属カプロラクタメート、例えばマグネシウムブロマイドカプロラクタメート(magnesium bromide caprolactamate)、マグネシウムクロライドカプロラクタメート、又はマグネシウムビスカプロラクタメート、アルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウム、アルカリ金属塩基、例ナトリウム塩基、例えば水素化ナトリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド(natrium methanolate)、ナトリウムエトキシド(natrium ethanolate)、ナトリウムプロパノラート(natrium propanolate)、又はナトリウムブチラート(natrium buthanolate)、又は例えばカリウム塩基、例えば水素化カリウム、カリウム、水酸化カリウム、カリウムメトキシド(kalium methanolate)、カリウムエトキシド(kalium ethanolate)、カリウムプロパノラート(kalium propanolate)、カリウムブチラート(kalium buthanolate)、又はこれらの混合物からなる群、好ましくはカプロラクタムナトリウム、カプロラクタムカリウム、マグネシウムブロマイドカプロラクタメート、マグネシウムクロライドカプロラクタメート、マグネシウムビスカプロラクタメート、水素化ナトリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムプロパノラート、ナトリウムブチラート、水素化カリウム、カリウム、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロパノラート、カリウムブチラート、又はこれらの混合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる。又、水素化ナトリウム、ナトリウム、及びカプロラクタムナトリウムからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0049】
このようなアルカリ金属系開始剤である金属触媒は固体の形態又は溶液で使用できるし、固体の形態で使用することが好ましい。触媒は好ましくは触媒が溶解できるカプロラクタム溶融物に添加される。これら触媒は特に迅速な反応をもたらすし、これによって本発明に従ったポリアミド、好ましくはポリアミド612のための製造工程の効率を増加させることができる。
【0050】
ここで、本発明によると、前記アルカリ金属系開始剤は2種以上のラクタム全体100重量部に対して、0.01~20重量部で含むことができる。好ましくは0.03~10重量部で含むことができるし、更に好ましくは0.05~5.0重量部で含むことができる。
【0051】
この時、前記アルカリ金属系開始剤が0.01重量部未満に添加される場合には未重合又は反応速度低下問題がありえるし、前記アルカリ金属系開始剤が20重量部を超過する場合には急激な反応で反応速度制御ができなくてゲル化が進行されたり変色されることがあるので、前記範囲が好ましい。
【0052】
次に本発明に従った前記活性化剤として好ましくは二酸化炭素(CO2)でありえるが、これに限定されるのではないし、例えば、塩化ベンゾイル(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0053】
ここで、本発明によると、前記二酸化炭素は前記ラクタム全体100重量部に対して、0.002~1.0重量部で含むことができる。好ましくは0.005~0.5重量部で含むことができるし、更に好ましくは0.01~0.25重量部で含むことができる。
【0054】
この時、前記二酸化炭素が0.002重量部未満に添加される場合には未重合又は反応速度低下問題がありえるし、前記二酸化炭素が1.0重量部を超過する場合にはゲル化問題がありえるので前記の範囲が好ましい。
【0055】
ここで、前記重合反応時間は特に制限されるのではないし、投入される化合物の重量又は反応器のサイズ及び種類に従って適切に調節できることは言うまでもない。
【0056】
最後に、本発明に従った前記分子量調節剤は好ましくはエチレン‐ビス‐ステアロアミド(EBS:ethylene-bis-stearamide)ありえるが、これに限定されるのではないし、アミン(amine)化合物、尿素(urea)化合物及びジ尿素(di-urea)化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことができる。
【0057】
ここで、本発明によると、前記分子量調節剤は前記ラクタム全体100重量部に対して、0.01~10重量部で含むことができる。好ましくは0.05~7.0重量部で含むことができるし、更に好ましくは0.1~3.0重量部で含むことができる。
【0058】
この時、前記分子量調節剤が0.01重量部未満に添加される場合には高分子量高分子又はゲル化問題がありえるし、前記分子量調節剤が10重量部を超過する場合には急激な反応で反応速度が制御できなくてゲル化が進行されたり変色されることがある。
【0059】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記重合反応はその反応時間が120分前後であることを特徴とする。
【0060】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転換率を持つことができる。
【0061】
共に、前記重合反応は転換率が95%以上になるのに掛る反応時間は120分前後であることを特徴とする。
【0062】
従って、本発明の技術的特徴であるアルカリ系金属製開始剤、好ましくは金属水素化物、更に好ましくはNaHをカプロラクタムに投入して、共重合全体の反応速度を高めながら同時にラクタムは95%以上の転換率高めることができる効果がある。又これを図面1及び図面2にグラフで説明する。
【0063】
本発明に従った重合温度は160~300℃範囲で行われる。好ましくは180~250℃で行われるし、この場合モノマーと開始剤が重合反応にあって、反応の速度及び収得率にあって効果的である。
【0064】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例(example)を提示する。ただ、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのだけであり、本発明が下記の実験例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0065】
<実施例1>
金属系開始剤をカプロラクタムに投入して重合試料の製造
アニオン重合に影響を与える微量の水分を除去するために反応器A及びBに真空をかけて70℃に維持させる。単量体であるカプロラクタム及びラウロラクタムそしてアルカリ金属系開始剤である金属水素化物であるNaHのモル当量をそれぞれx:100-x:0.15になるように秤量する。前もって秤量したカプロラクタム及びNAHを反応器Aに込めてオイルバス(oil bath)の温度を160℃以上に合わせて、窒素雰囲気下でラウロラクタムを溶融させる。前記反応器Aの生成物とBのモノマーを一箇所に移送会うようにした後反応温度である200℃以上に設定して分子量調節剤0.1~1当量及び活性化剤二酸化炭素(CO2)0.01~0.2当量を注入した。重合が完了されると水を入れて反応を終結させた後水とアルコールで何回洗浄した後100℃の真空オーブンで12時間以上乾燥させ、試料を回収した。
【0066】
<比較例1>
アルカリ金属系開始剤である金属水素化物NaHをラウロラクタムに入れた点を除いて実施例1と同一な方法でポリアミド共重合体を製造した。
【0067】
<比較例2>
アルカリ金属系開始剤である金属水素化物NaHをカプロラクタム及びラウロラクタムに同時に入れた点(one pot system)を除いて実施例1と同一な方法でポリアミド共重合体を製造した。
【0068】
<実験例>
前記実施例と比較例1及び2の分子量及び分子量分布度(PDI:polydispersity index)を確認してその結果を表した。又モノマー転換率(%)を表するし、反応速度を測定して表した。分子量を測定する装備はTOSOH社のHLC-8320 modelとして、eluentにTFE(2,2,2,-Trifluoroethanol)、columnはSuper AWM-Hを使用して測定した。
【0069】
【0070】
実施例1の場合比較例1及び比較例2に比べて、モノマー転換率が高いし、反応時間(min)又顕著に早くなることを確認できる。又分子量の分布も一定であることを確認できる。
【0071】
従って本発明を通じて、アニオン開環共重合によるポリアミド製造にあって、モノマーに使用される2種のラクタム中で、反応性が大きいラクタムモノマーにアルカリ金属系開始剤である金属水素化物を投入することでアニオン開始されたモノマーの生成速度を増加させてランダム共重合体への転換率を向上させることを確認できる。
【0072】
共に、本発明は触媒に溶媒を使用しない環境親和工程方法で既存重合方法に比べて低温で短い重合反応時間内で高い転換率を持って均一な分子量の高分子重合が可能な効果を確認できる。
【0073】
以上本発明の実施例に従った図面を参照して説明したが、本発明が属した分野で通常の知識を持つ者であれば前記内容を基に本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことができる。