(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】固定周波数DC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H02M3/155 P
(21)【出願番号】P 2019546396
(86)(22)【出願日】2018-02-26
(86)【国際出願番号】 US2018019744
(87)【国際公開番号】W WO2018157068
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-24
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ジウェイ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ミンユエ ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】フイ レ ニャット グエン
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-012921(JP,A)
【文献】特開2015-065801(JP,A)
【文献】特開2011-160554(JP,A)
【文献】特開2011-155778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0019697(US,A1)
【文献】特開2012-115132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
パルス幅変調(PWM)サイクルの間
にインダクタに対する電力の印加を制御するための第1のPWM信号を生成
し、前記PWMサイクルの間
に前記第1のPWM信号と
部分的に重なる第2のPWM信号を生成するように
構成されるPWM論理回路であって、前記第2のPWM信号が前記第1のPWM信号
より前
の立ち上がりエッジと前記第1のPWM信号と同じ立ち下がりエッジとを有する、前記PWM論理回路
と、
前記第2のPWM信号に応答してエラー制御信号を生成するように
構成されるループ回路要素
と、
エラー信号を比較することに応答してフィードバック制御信号を生成するように
構成されるコンパレータ
であって、前記第1のPWM信号の幅が前記フィードバック制御信号に応答して選択的に制御される、
前記コンパレータと、
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、
前記PWM論理回路が、固定周波数クロック信号に応答して各PWMサイクルを生成するように
更に構成される、回路。
【請求項3】
請求項2に記載の回路であって、
前記第2のPWM信号の幅が前記フィードバック制御信号に応答して選択的に制御される、回路。
【請求項4】
請求項1に記載の回路であって、
前記エラー制御信号の
1つが、前記インダクタの電圧応答をエミュレートするために鋸歯波形の平均電圧に応答して前記ループ回路要素によって生成されるスロープ補償信号であり、
前記スロープ補償信号が、RC(レジスタ-コンデンサ)時定数に応答して決定されるスロープを含み、
前記スロープ補償信号が、前記第2のPWM信号に応答してリセットされる、回路。
【請求項5】
請求項1に記載の回路であって、
前記ループ回路要素が、前記インダクタによってつくられる出力電圧をハイパスフィルタ
リングすることに応答してAC成分エラー信号を生成するように
構成される電圧ループ回路を含む、回路。
【請求項6】
請求項5に記載の回路であって、
前記ループ回路要素が、前記インダクタによってつくられる出力電圧を積分することに応答してDC成分エラー信号を生成するように
構成される電圧ループ回路を
更に含み、
前記DC成分エラー信号が、前記DC成分エラー信号を生成するための差動差分増幅器(DDA)のゲインを制御する、回路。
【請求項7】
請求項4に記載の回路であって、
前記ループ回路要素が、前記インダクタに結合するための入力電圧に応答してAC成分エラー信号を生成するように
構成されるランプループ回路を含む、回路。
【請求項8】
請求項7に記載の回路であって、
前記ランプループ回路のAC成分エラー信号が、前記第2のPWM信号に応答してエミュレーションコンデンサを充電及び放電することによって生成され、
前記エミュレーションコンデンサが、前記インダクタに結合するための前記入力電圧への前記インダクタのランプ応答をエミュレートするように
構成される、回路。
【請求項9】
請求項7に記載の回路であって、
前記ランプループ回路が、前記ランプループ回路のAC成分エラー信号をローパスフィルタ
リングすることに応答して生成されるスロープを周期的にサンプリングすることに応答して、DC成分エラー信号を生成するように
更に構成される、回路。
【請求項10】
請求項1に記載の回路であって、
前記ループ回路要素が、前記インダクタによってつくられる出力電圧をハイパスフィルタ
リングすることに応答してAC成分エラー信号を生成
し、前記インダクタによってつくられる出力電圧を積分することに応答してDC成分エラー信号を生成するように
構成される電圧ループ回路を含む、回路。
【請求項11】
請求項10に記載の回路であって、
前記ループ回路要素が、前記インダクタに結合するための入力電圧に応答してAC成分エラー信号を生成
し、ランプループ回路の前記AC成分エラー信号をローパスフィルタすることに応答して生成されるスロープを周期的にサンプリングすることに応答してDC成分エラー信号を生成するように
構成される、
前記ランプループ回路を
更に含む、回路。
【請求項12】
請求項11に記載の回路であって、
前記コンパレータが、前記電圧ループ回路のAC成分エラー信号
と前記電圧ループ回路のDC成分エラー信号
と前記ランプループ回路のAC成分エラー信号
と前記ランプループ回路のDC成分エラー信号
とに応答して前記フィードバック制御信号を生成するように
更に構成される、回路。
【請求項13】
請求項12に記載の回路であって、
前記第1のPWM信号に応答して前記インダクタに電力を結合するように
構成されるスイッチング回路
であって、前記インダクタの入力端子を前記インダクタに結合する前記入力電圧に結合する上側トランジスタと、前記インダクタの入力端子を接地電圧に結合する下側トランジスタとを含む、
前記スイッチング回路を更に含む、回路。
【請求項14】
請求項13に記載の回路であって、
前記コンパレータが、前記下側トランジスタのソース
とドレイン
との間でつくられる電圧に応答して前記フィードバック制御信号を生成するように
更に構成される、回路。
【請求項15】
システムであって、
基板と、
前記基板上に配され、PWMサイクルの間にインダクタに対する電力の印加を制御するための第1のPWM信号を生成し、前記PWMサイクルの間に前記第1のPWM信号と部分的に重なる第2のPWM信号を生成するように構成されるパルス幅変調(PWM)論理回路であって、前記第2のPWM信号が前記第1のPWM信号より前の立ち上がりエッジと前記第1のPWM信号と同じ立ち下がりエッジとを有する、前記PWM論理回路と、
前記基板上に配され、前記第2のPWM信号に応答してエラー制御信号を生成するように構成されるループ回路要素と、
前記基板上に配され、エラー信号を比較することに応答してフィードバック制御
信号を生成するように構成されるコンパレータであって、前記第1のPWM信号の幅と前記第2のPWM信号の幅とが前記フィードバック制御信号に応答して選択的に制御される、前記コンパレータと、
前記基板上に配され、前記第1のPWM信号がアサートされるときに前記インダクタの入力端子を前記インダクタに結合するための入力電圧に結合し、前記PWM信号がディアサートされるときに前記インダクタの入力端子を接地電圧に結合するように構成されるスイッチング回路要素と、
を含む、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記ループ回路要素が、前記第2のPWM信号に応答して前記エラー制御信号を生成するように
更に構成され、
前記ループ回路要素が、前記インダクタによってつくられる出力電圧をハイパスフィルタ
リングすることに応答してAC成分エラー信号を生成
し、前記インダクタによってつくられる出力電圧を積分することに応答してDC成分エラー信号を生成する
ように構成される電圧ループ回路を含み、
前記ループ回路要素が、前記インダクタに結合するための入力電圧に応答してAC成分エラー信号を生成
し、ランプループ回路のAC成分エラー信号をローパスフィルタ
リングすることに応答して生成されるスロープを周期的にサンプリングすることに応答してDC成分エラー信号を生成する
ように構成される
、前記ランプループ回路を
更に含む、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記コンパレータが、前記電圧ループ回路のAC成分エラー信号
と、前記電圧ループ回路のDC成分エラー信号
と、前記ランプループ回路のAC成分エラー信号
と、前記ランプループ回路のDC成分エラー信号
と、前記第1のPWM信号がディアサートされるとき
に前記スイッチング回路においてつくられる電圧
とに応答して、前記フィードバック制御信号を生成するように
更に構成される、システム。
【請求項18】
方法であって、
PWMサイクルの間
にインダクタに対する電力の印加を制御するための第1のPWM信号を生成すること
と、
前記PWMサイクルの間
に第1のPWM信号と
部分的に重なる第2のPWM信号を生成することであって、前記第2のPWM信号が前記第1のPWM信号
より前
の立ち上がりエッジと前記第1のPWM信号と同じ立ち下がりエッジとを有する、前記第2のPWM信号を生成すること
と、
前記インダクタに関連する
フィードバック信号に応答してエラー制御信号を生成すること
と、
エラー信号を比較することに応答してフィードバック制御信号を生成すること
であって、前記第1のPWM信号の幅
と前記第2のPWM信号の幅
とが前記フィードバック制御信号に応答して選択的に制御される、
前記フィードバック制御信号を生成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1のPWM信号がアサートされるとき
に前記インダクタの入力端子を前記インダクタに結合するための入力電圧に結合すること
と、
前記第1のPWM信号がディアサートされるとき
に前記インダクタの入力端子を接地電圧に結合すること
と、
を
更に含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記エラー制御信号の
1つ又は複数が、前記インダクタに関連する
フィードバック信号のハイパスフィルタリングに応答して生成され、
前記エラー制御信号の
1つ又は複数が、前記インダクタに関連する
フィードバック信号のローパスフィルタリングに応答して生成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子デバイスが、より多様な応用例においてますます用いられており、そうした電子デバイスにとって、ますます広範囲の状況にわたり一層効率的及び効果的に動作するために、スイッチングタイプの電力供給が必要とされる。いくつかの電力供給のための制御回路要素は、広い安定範囲を有するように最適化される。しかし、広範囲の状況にわたって安定性を維持するために最適化された制御回路要素は、DC(直流電流)負荷における高速過渡現象に応答する能力が一層遅くなり得る。これに対し、高速過渡現象に応答するために最適化された電力供給のための制御回路要素は、一層低い安定性を有し得、高速過渡現象に応答するとき、比較的大量のEMIを放出することがあり得る。
【発明の概要】
【0002】
或る電力コンバータシステムにおいて、インダクタに対する電力の印加を制御するためのPWMサイクルの間、回路要素が、第1及び第2のPWM信号を生成する。回路要素は、AC及びDC成分を有するエラー信号を生成し、エラー信号は、インダクタに印加される又はインダクタによってつくられる電力の表示に応答して生成される。回路要素は、エラー信号に応答してフィードバック制御信号を生成する。第1及び第2のPWM信号は、フィードバック制御信号に応答して制御される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示に従った直接増幅ランプトラッキング制御されたバックコンバータシステムの概略図である。
【0004】
【
図2】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの概略図である。
【0005】
【
図3】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための積分器の概略図である。
【0006】
【
図4】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための積分器の周波数応答のスペクトル図である。
【0007】
【
図5A】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのためのゲイン及びレベルシフタの機能図である。
【0008】
【
図5B】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための差動差分増幅器ベースのゲイン及びレベルシフタの概略図である。
【0009】
【
図5C】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための相互コンダクタンスベースのゲイン及びレベルシフタの概略図である。
【0010】
【
図6A】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための過渡フィードフォワード回路の機能図である。
【0011】
【
図6B】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための差動差分増幅器ベースの過渡フィードフォワード回路の概略図である。
【0012】
【
図6C】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための相互コンダクタンスベースの過渡フィードフォワード回路の概略図である。
【0013】
【
図7】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのためのランプループ回路の機能図である。
【0014】
【
図8】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのためのスイッチング回路サンプルアンドホールド電流情報生成器の概略図である。
【0015】
【
図9】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのためのループコンパレータの概略図である。
【0016】
【
図10】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのためのパルス幅変調論理回路の概略図である。
【0017】
【
図11】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの定常状態動作における選択された波形の波形図である。
【0018】
【
図12】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの合成された波形の波形図である。
【0019】
【
図13】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの増加した負荷に応答した、合成された波形の波形図である。
【0020】
【
図14】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの減少した負荷に応答した、合成された波形の波形図である。
【0021】
【
図15】本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの増加した負荷と、その後に続く減少した負荷に対する波形応答の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示の実施形態は、過渡現象に対して敏速に応答する一方で、比較的安定した動作を提供し、EMI放出を最小化する。
【0023】
DC-DC電力コンバータは、誘導性構成要素に対する入力電力の印加を制御し(例えば、スイッチオン及びオフし)、そのため、入力電力の電流より大きい電流が出力され得る。誘導性構成要素に対する入力電力の印加は、固定又は可変であり得るスイッチング周波数に従って切り替えられる。固定周波数コンバータには、(スイッチング周波数が固定されたままである)真の固定周波数コンバータ、及び、(過渡負荷状況に応答するためにスイッチング周波数が変更され得る)疑似固定周波数コンバータが含まれる。
【0024】
DC-DC電力コンバータは、過渡負荷状況に応答するための補償回路を含み得る(例えば、ここで、応答は、印加された負荷が変化するとき、一定の出力電圧を維持するためのものである)。内部補償回路が、DC-DC電力コンバータのパッケージング内に完全に実装され得、一方、外部補償回路が外部構成要素を必要とする。
【0025】
内部補償を備える固定周波数電力コンバータは、ピーク電流モード制御技法に従って動作し得る。しかし、内部補償を備える固定周波数電力コンバータは、高速過渡現象負荷状況に応答するのが比較的遅いことがある。外部補償構成要素(これは、サイズ、コスト、及び電力の考慮に起因して省かれることがある)がない場合、補償回路の安定性の範囲が、内部ループ補償及びスロープ補償回路が高速過渡現象(例えば、敏速に変化する)負荷状況に応答し得る速度が制限され得る。さらに、内部補償固定周波数電力コンバータは、大きな負荷電流の測定に関連する難しさが原因で、小さな負荷電流印加に制限されることがある。
【0026】
疑似固定周波数コンバータは、フィードバックベースの位相ロックループ(PLL)回路のコンスタントオン時間(又はヒステリシス)制御に従って動作し得る。また、疑似固定周波数コンバータは、内部補償及び/又は外部補償に従って動作し得る。内部補償疑似固定周波数コンバータは、スイッチング周波数を変化させることによって高速過渡現象負荷状況に応答し得る。しかし、スイッチング周波数を変化させることは、通常、電磁干渉(EMI)の付加的な放出となり、これは、電気ノイズを増加させ得、信号対ノイズ比を悪化させ得る。広いループ帯域幅動作のために設計される補償回路において、スイッチング周波数を変化させることは、スイッチング周波数におけるジッタを誘発することがあり、これはEMIの放出の一因となる。
【0027】
ポータブルな応用例(例えば、ハンドヘルド又はオートモーティブ応用例)において、固定周波数電力コンバータのサイズ及び重さを低減するために、比較的高いスイッチング周波数が用いられる。しかし、固定周波数コンバータのスイッチング速度は、スイッチングノイズ及び構造上の制限によって制限され得る。例えば、高電流/低Rdson(ドレインソース間オン抵抗)感知のためのノイズブランキング時間、ループコンパレータ応答時間、及び(例えば、入力電力を切り替えるための)ドライバ伝播遅延に起因してレイテンシが生じる。そのようなレイテンシは、コンバータが動作し得る全体的な周波数を制限する傾向がある。全体的な周波数の制限は、固定周波数コンバータのスイッチング周波数を、例えば、約3MHzより低く制限し得る。
【0028】
対照的に、本願において説明される電力コンバータの固定周波数動作に対する直接増幅ランプトラッキング(directly amplified ramp tracking:DART)制御は、高速過渡現象負荷状況に応答するための真の固定周波数電力コンバータ動作を可能にする一方で、比較的高い負荷電流であっても内部補償制御に依拠する。説明されるDART制御方法に従って動作する固定周波数電力コンバータは、例えば、約3又は4MHzより大きい高スイッチング周波数で動作し得る。
【0029】
図1は、概して100とした、本開示に従った例示の直接増幅ランプトラッキング制御されたバックコンバータシステムの概略図である。
図1において、DARTコンバータ110は、バックコンバータシステム100の動作を制御するための内部補償コントローラである。
【0030】
動作において、DARTコンバータ110は、入力信号VINから入力電力を受け取る。DARTコンバータ110は、入力信号VINに応答して、及び、フィードバック電圧信号VFBに応答して、切り替えられた出力電力信号VSWを生成する。切り替えられた出力電力信号VSWは、生成される出力電圧Voutをレギュレートするために配される。切り替えられた出力電力信号VSWは、コイルLOの第1の端子に結合される。コイルLOは、例えば、切り替えられた出力電力信号VSWの電圧を、コイルLOの第2の端子における第2の電圧に変換するためのインダクタである。
【0031】
コイルL
Oの第2の端子における第2の電圧出力は、出力電圧V
outを生成するために、コンデンサC
outによってローパスフィルタされる。負荷R
loadは、レギュレートされた出力電圧V
outで電流I
Oを受け取る。しかし、負荷R
loadは、(例えば、高速過渡現象負荷状況を生成するときに)動的に変動し、これが、V
outの電圧を変化させる。一連のR
s1及びR
s2によって形成される分圧器は、V
outの電圧の変化の表示を提供するため信号V
FBを(中央ノードにおいて)生成する。DARTコンバータ110内の(例えば、
図2を参照して後述する)回路要素を制御するため、V
outの電圧の変化の表示のスルーレートを増加させるために、任意選択のフィードフォワードコンデンサC
FFがR
s1と並列に結合され得る。
【0032】
従って、DARTコンバータ110は、外部補償構成要素を備えて又は外部補償構成要素を備えずに動作し得、一つ(例えば、一つのみ)の(例えば、外部に生成されるフィードバック電圧VFBを結合するために用いられ、パッケージングコストを低減し得る)電圧レギュレーション制御ループ入力ピンを用いてVoutの電圧をレギュレートし得る。必要とされる外部構成要素の数を低減することで、システムのコスト及び全体的なサイズが低減され得る。また、必要とされる外部構成要素の低減は、パッケージングされたDARTコンバータ110の最終用途設計を簡略化し得る。
【0033】
図2は、概して200とした、本開示に従った例示の直接増幅ランプトラッキングコンバータの概略図である。
図2において、(DARTコンバータ110に類似する)例示のDARTコンバータ200が、概して、電圧ループ210回路、ループコンパレータ220、ランプループ230回路、PWM論理240回路、固定周波数オシレータ250、ドライバ260、スイッチング回路270、サンプル/ホールド280回路、及びDC電流フィードバック表示生成器290を含むものとして説明される。DARTコンバータ200の構成要素は、(例えば、200と同じ広がりを持つ)単一基板上に形成され得る。代替として、コンバータ200は、DARTコントローラ集積回路(IC)及び外部スイッチング回路270(すなわち、外部スイッチングトランジスタ)と共に実装され得、DARTコントローラICは、スイッチング回路を駆動するためのドライバ出力端子を含む。
【0034】
電圧ループ210回路及びランプループ230回路は、各々、(例えば、ループコンパレータ220の出力において提供される)フィードバック制御信号を内部に生成するため、制御信号のAC(交流電流)びDC(直流電流)成分を個別に最適化するために配される。制御信号は、(例えば、出力信号VSWを介して)外部インダクタのスイッチングを制御するために結合される。
【0035】
例示の電圧ループ210回路は、ループコンパレータ220のフィードバック制御信号を生成するためのDC成分制御信号及びAC成分制御信号を生成するために、外部に生成されるVFB信号に応答する。電圧ループ210回路は、一層高いゲイン及び非常に遅いスルーレート制御信号(例えば、後述するVREF-INT及びVctrl信号)を生成するために最適化されるDC部を含む。また、電圧ループ210回路は、高スルーレート及び比較的制限されたゲイン制御信号(例えば、後述する電圧フィードフォワードVTFF信号)を生成するためのAC部を含む。
【0036】
電圧ループ210回路は、過渡フィードフォワード212回路、ゲイン及びレベルシフタ214、並びに積分器216を含む。一般に、電圧ループ210回路は、ループコンバータ220への入力のための制御信号(例えば、VTFF、VCOM、及びVctrl)を生成するため、フィードバック電圧信号VFBを電圧基準信号VREFと比較する。
【0037】
過渡フィードフォワード212回路は、信号V
FB及びV
REFに応答して信号V
TFF及びV
COMを生成する。過渡フィードフォワード212回路は、V
FB信号及びV
REF信号間の高周波数差を示すための第1のエラー信号を生成するためV
FBをV
REFと比較する。第1のエラー信号は、500パーセント近辺から1000パーセント近辺の固定ゲインで増幅される。第1の増幅されたエラー信号は、V
TFF信号を生成するためにハイパスフィルタされる。過渡フィードフォワードブロックは、即時の処理のために高周波数情報をループコンパレータ200に敏速に提供することによって、高速過渡現象負荷状況に対するDARTコンバータ200の応答を改善する。過渡フィードフォワード212回路は、後述で
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照してさらに説明される。
【0038】
信号VCOMはDC電圧基準信号であり、DC電圧基準信号は、高アナログ電力レールと低アナログ電力レールとの間に電圧を生成するために分圧器によって生成され得る。生成された電圧が、高アナログ電力レールと低アナログ電力レールとの間の中間(例えば、それらの平均)にあるとき、信号VCOMと比較して生成された信号のダイナミックレンジが最適化される。
【0039】
積分器216は、VFBとVREFとの差を積分し、信号VREF-INTを生成する。積分器216は、システム(例えば、システム100)におけるDC出力電圧エラーを(事実上なくすとは言わないまでも)低減するため、長い時定数に従って動作する。例えば、VFB信号における降下が、入力レジスタ(例えば、5Mオーム)及びフィードバックコンデンサ(例えば、20pF)に応答して決定される時定数に従って、信号VREF-INTを立ち上がらせる。
【0040】
ゲイン及びレベルシフタ214は、VFB及びVREF-INT信号に応答してVcrtl信号を生成する。ゲイン及びレベルシフタ214は、(例えば、VFB電圧の減少に応答して増加する)第2のエラー信号を生成するために、VFB及びVREF-INT信号間の差を感知する。第2のエラー信号は、500パーセント近辺から1000パーセント近辺の固定ゲインで増幅される。第2の増幅されたエラー信号は、出力のためのVcrtl信号を生成するために、固定共通電圧に基づいて正規化(例えば、レベルシフト)される。
【0041】
ゲイン及びレベルシフタ214は、下記で
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照してさらに説明される。
【0042】
ランプループ230回路は、フィードバック制御信号を生成するため、DC成分制御信号及びAC成分制御信号を生成するために、入力電圧VIN信号に応答する。ランプループ230回路は、ループフィードバックの安定性を増大させるため、及び、スイッチングジッタを最小化するため、(ランプループ230の)第1のエラー信号を生成するためのAC成分部分を含む。また、ランプループ230回路は、スロープ補償のための第2のエラー信号を生成するために最適化されるDC成分部分を含む。第2のエラー信号は低DCオフセットを含み、低DCオフセットは、第2のエラー信号の積分の速度要件を低くする。
【0043】
ランプループ230回路は、ランプ生成器232及びスロープ補償234回路を含む。ランプループ230回路は、V
IN及びPWM
INTに応答してランプ電圧信号V
RAMPを生成する(信号V
RAMP及びPWM
INTは、例えば、
図11~
図15を参照して後述する)。スロープ補償機能性は、PWM
INTのデューティサイクルが50パーセントより大きいときにも提供され得る。
【0044】
ランプ生成器232は、電圧V
INに基づいてV
SLOPEのランプスロープを変化させる(例えば、信号V
SLOPEは、
図11を参照して後述される)。電圧V
INは、切り替えられたインダクタに印加される電力の表示である。信号PWM
INTがハイであるとき、信号V
RAMPは、(立ち上がりエッジの間)ピーク振幅まで立ち上がる。信号PWM
INTがローであるとき、信号V
RAMPは、(立ち下がりエッジの間)立ち下がる。
【0045】
スロープ補償234回路はV
SLOPE及びV
S/H信号を生成する。V
SLOPE信号は、80mV/μ秒近辺の立ち上がりスロープ及びほぼ垂直の立ち下がりスロープを有する鋸歯波形である。V
S/H信号は、PWM論理240回路によって生成されるDISCHARGE及びS/H信号に応答して生成される。
図7を参照して後述されるように、V
RAMPは、V
SLOPEを生成するためにローパスフィルタされ、V
SLOPEは、V
S/H信号を生成するためのS/H信号に応答して各PWMサイクルにサンプリングされる。
【0046】
ランプループ230回路(及び、ランプ生成器232及びスロープ補償234回路)は、下記の
図7を参照してさらに説明される。
【0047】
ループコンパレータ220は、各入力信号(例えば、各エラー信号)を結合し、PWMサイクルが終了されるべきときを示すためのフィードバック制御信号を生成する。PWMサイクルを終了させるための表示は、ループコンパレータ220に対する正入力の合計が、ループコンパレータ220に対する負入力の合計より高いとき、アサートされる。ループコンパレータ220の動作は、
図9に関して後述される。
【0048】
PWM論理240回路は、PWMサイクルが終了されるべきときを示すためのフィードバック制御信号に応答する。PWM論理240回路は、PWM
INT信号(ランプ生成器232を制御するための「内部」PWM信号)を生成し、PWM
EXT信号(ドライバ260を制御するための「外部」PWM信号)を生成する。PWM
INT信号及びPWM
EXT信号は、(固定周波数オシレータ250によって生成される)システムクロックと、ループコンパレータ220によって出力されるPWMサイクルを終了させるための表示(例えば、フィードバック制御信号)とに応答して生成される。PWM論理240回路は、下記の
図10を参照してさらに説明される。
【0049】
(例えば、固定周波数)オシレータ250は、(例えば、固定周波数)クロック信号を生成するために配される。PWM論理240回路によって生成された制御信号は、クロック信号に対して同期される。オシレータ250の周波数を変化させることによって電気ノイズ(例えば、EMI)が生成されるが、(例えば、クロック信号の周波数が変更され得るように)オシレータの動作周波数が変更され得る実装が考えられる。種々の例において、一層高いEMIレベルが結果として生じ得るが、DARTコンバータが、外部及び/又は疑似固定周波数オシレータに応答して用いられ得る。
【0050】
スイッチング回路270は、外部コイル(例えば、ノードV
SWに結合される、
図1のコイルL
O)を励磁するためにハイサイドトランジスタを介して電流をソース(例えば、印加)するため、及び、外部コイルの電源を断つためにローサイドトランジスタを介して電流をソースするために、PWM
EXT信号に応答する。動作の連続モードにおいて、コイルの電流は、PWMスイッチングサイクルのいかなるポイントでもゼロレベルに達しない。スイッチング回路270は、下記の
図8を参照してさらに説明される。
【0051】
スイッチング回路270のローサイドトランジスタを介してソースされる電流は、電流負荷(例えば、
図1の電流I
O)の表示を提供するために測定され得る。サンプル/ホールド280回路は、ノイズブランキング時間の間、下側トランジスタでつくられる電圧をサンプリングするように配される。サンプリングされた電圧は、下側トランジスタのR
dson(ドレインソース間オン抵抗)に従って、下側トランジスタのドレイン‐ソースでつくられる電圧である。サンプル/ホールド回路は、各PWMスイッチングサイクルの間、サンプリングされた電圧を一定に保つように配される。DC電流フィードバック表示生成器290は、信号DCI(直流電流表示)を生成するように配される。信号DCIは、(
図9を参照して後述されるように)PWMサイクルを終了させるための表示を生成するため、ループコンパレータ220によって用いられ得る。
【0052】
図3は、概して300とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための例示の積分器の概略図である。
図3において、(積分器216に類似する)例示の積分器300が、概して、差動差分増幅器310(AMP
ERROR)を含むものとして説明される。差動差分増幅器310は、第1のg
m(相互コンダクタンス)増幅器312及び第2のg
m増幅器314を含む。第1のg
m増幅器312及び第2のg
m増幅器314の出力は、合計され、ユニティゲインバッファ316(X1)によってバッファされる。バッファ316の出力は、差動差分増幅器312の出力信号V
REF-INTである。
【0053】
差動差分増幅器310は、積分器として配される4入力エラー増幅器として配される。第1のgm増幅器312は、非反転入力V1及び反転入力V2を含む。第1のgm増幅器312は、レジスタRint(積分器レジスタ)及びコンデンサCint(積分器コンデンサ)、並びに差動差分増幅器310の出力に応答して、フィードバック電圧VFB及び基準電圧VREFの差を積分する。
【0054】
第2のgm増幅器314は、非反転入力V3及び反転入力V4を含む。第2のgm増幅器314は、(バッファ320を介してノードV3に結合される)基準電圧VREFに応答して、及び、レジスタRk1、Rk2、及びRDCMを含むフィードバックレジスタネットワークに応答して、積分のゲインを制御する。バッファ320は、Rk1及びRk2の負荷からVREF信号を隔離する。レジスタRDCMは、選択信号DCMに応答して、レジスタRk2と並列に選択的に結合される。選択信号DCMは、積分結果VREF-INTのゲインを低減させるためにフィードバック抵抗Rk2を低減させるため、不連続モード動作の間アサートされる。積分器300のゲインの低減は、例えば、電力段がトライステート状態にされるときに生じる長期間の事象において、積分器300の飽和防止を助ける。
【0055】
DCM関数が必要とされない種々の例において、レジスタRk2が一定であり、積分器300が固定ゲインを有するように、DCM選択信号端子は取り除かれ得る。
【0056】
差動差分増幅器310は、
V1-V2=V4-V3 (1)
となるようなV1、V2、V3、及びV4入力を含み、V4について求めると、
V4=2VREF-V2 (2)
となる。
【0057】
V
2及びV
4について求めると、それぞれ、
となる。
【0058】
従って、積分器300のAC応答(例えば、変換関数)は、
であり、ここで、
であり、sはラプラス演算子である。
【0059】
図4は、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための積分器の周波数応答の例示のスペクトル図である。
図4は、概して400としたスペクトル図を示す。プロット402は、周波数(例えば、1GHzまでDC)にわたるゲイン(例えば、dB単位)を示す。低周波数(例えば、10Hz近辺)のゲインは、15の値kに対して23dB近辺から、50の値kに対して34dB近辺まで変動し、ここで、kは、積分器300の出力レジスタR
k2対入力レジスタR
k1の比である。
【0060】
積分器300のDCゲインはkの関数であり、kは、レジスタRk1及びRk2の値に従って決定される。kの値は、過度なゲインを伴わずに、システム損失をオフセットするための充分な(しかし過度でない)量のゲインを提供するように選択される(そうでない場合、メインのファスト制御ループとの干渉を増大させる恐れがある)。積分器変換関数の「ゼロ」が、DARTコントローラのフィードバックループの安定性の向上を助ける。
【0061】
或るヒステリシス制御の(例えば、PLL疑似固定周波数コンバータにおける)例において、積分器300の「極」の位置は、フィードバックコントローラのファストループと干渉しないように、充分に低く選択される。積分器300の極位置は、ミラー効果(例えば、出力に対する寄生静電容量入力)と関連する比較的小さな入力コンデンサC
intに従って最小化される。極位置は、
として表され得る。
【0062】
図5Aは、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための例示のゲイン及びレベルシフタの機能図である。
図5Aは、概して500とした、V
ctrl信号生成器を示す。V
ctrl信号生成器500は、ゲイン及びレベルシフタ214に類似する。V
ctrl信号生成器500は、信号V
REF-INTと信号V
FBとの間の差(これは、例えば、エラー信号である)を決定するための減算器(SUB)502を含む。ゲインバッファ504は、信号V
COMの加算のため、減算器502の出力を正規化するように配される。信号V
COMは、アナログ高電力レール(例えば、AVDD)とアナログ低電力レール(例えば、アナログ接地)との平均(例えば、「共通」)である一定の信号である。加算器506は、信号V
COMをゲインバッファ504の正規化された出力に加算することに応答して、V
ctrl信号を生成するように配される。
【0063】
種々の例において、V
ctrl信号生成器500は、差動差分増幅器(例えば、
図5BのDDA510を参照)又はg
m増幅器(例えば、相互コンダクタンス、例えば、
図5Cのg
m増幅器510)であり得る。一般に、DDAは、低出力インピーダンス及び正確なゲイン制御を含むが、一層高いコストを要し、一層高いバイアス電流を消費する。対照的に、g
m増幅器は、必要とする実装コストが一層低く、一層高い帯域幅を含むが、一層高い出力インピーダンスも含む。
【0064】
Vctrl信号生成器500は、DARTコンバータ110を制御するためのVctrl信号を生成し、DARTコンバータ110は、バックコンバータシステム100を制御する。バックコンバータシステム100が、(例えば、更に、Vctrl信号の出力に負荷をかける)付加的な(例えば、内部)制御回路を含まないとき、Vctrl信号生成器は、低出力インピーダンスを必ずしも必要としない。そのような場合、一層低いコスト及び一層低い電力消費の理由で、gm増幅器の例が選択され得る。バックコンバータシステム100が付加的な制御回路を含まないとき、一層低いコスト及び一層低い電力消費の理由で、DDAの例が選択され得る。
【0065】
図5Bは、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示の差動差分増幅器ベースのゲイン及びレベルシフタの概略図である。
図5Bは、概して510とした差動差分増幅器回路を示す。差動差分増幅器回路510は、V
ctrl信号生成器500のDDA実装の例である。差動差分増幅器回路510はDDA512を含み、DDA512は、g
m増幅器514及び516、コンデンサC
T、レジスタR
T、並びにバッファ518を含む。
【0066】
バッファ518は、EMIベースノイズの注入を克服するための信号Vctrlを充分に駆動するための低インピーダンス出力バッファである。信号Vctrlは、第1のレジスタRN1及び第2のレジスタRN2を含むゲイン制御レジスタネットワークに結合される。レジスタベースのフィードバックは、正確なゲイン制御を保証することを助ける。コンデンサCT及びレジスタRTは、フィードバックループアーキテクチャの安全性を保証することを助けるための補償を提供する。
【0067】
gm増幅器514及び516は、大きな静止電流を引き出し得、比較的コストがかかる。gm増幅器514は、VREF-INTに結合される非反転入力、及び、VFBに結合される反転入力を含む。gm増幅器516は、VCOMに結合される非反転入力、及び、Vfbnに結合される反転入力を含む。
【0068】
信号Vfbn(抵抗性ネットワーク「n」フィードバック電圧)は、抵抗性ネットワーク、信号VCOM、及び信号Vctrlに応答して、第1のレジスタRN1と第2のレジスタRN2との共通ノードにおいて生成される。gm増幅器514及び516の出力は、両方の出力のためRN1及びRN2によって形成されるフィードバックループが互いに等しいように共通に結合される。従って、
Vfbn-VC0M=VREF_INT-VFB (8)
である。
【0069】
【0070】
図5Cは、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示の相互コンダクタンスベースのゲイン及びレベルシフタの概略図である。
図5Cは、概して520としたg
m増幅器回路を示し、g
m増幅器回路は、g
m増幅器522及びレジスタR
gainを含む。g
m増幅器520は、V
ctrl信号生成器500のg
m増幅器実装の例である。
【0071】
差動差分増幅器回路510と比較して、gm増幅器520は、一層低いコストで一層低い静止電力消費を有して実装され得る。gm増幅器回路520のゲインは、gm増幅器522及びレジスタRgainによって決定される。相互コンダクタンス出力は、(例えば、固定)レジスタRgainにつくられる電圧であり、相互コンダクタンス出力は1/Rgainに比例する。従って、出力信号Vctrlに対する総ゲインは、レジスタRgainによって良好に制御され、
Vctrl=Gm・Rgain・(VREF_INT-VFB)+VCOM (10)
として表され得る。
【0072】
gm増幅器回路520出力インピーダンスは、レジスタRgainと並列のgm増幅器522の出力インピーダンスである。従って、付加的な回路の入力によってロードされるときに信号Vctrlの付加的な伝送路負荷をサポートするために、追加の出力バッファが用いられ得る。
【0073】
図6Aは、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示の過渡フィードフォワード回路の機能図である。
図6Aは、概して600としたV
TFF(過渡フィードフォワード電圧)信号生成器を示す。V
TFF信号生成器600は、過渡フィードフォワード212回路に類似する。V
TFF信号生成器600は、信号V
FBと信号V
REFとの間の(例えば、aである)差を決定するための減算器(SUB)602を含む。
【0074】
ゲインバッファ604は、コンデンサCHPF及びレジスタRHPFによって行われるハイパスフィルタのため、減算器602の出力を緩衝するために配される。ゲインバッファ604出力は、コンデンサCHPFの第1の端子に結合され、コンデンサCHPFの第2の端子は、レジスタRHPFの第1の端子に結合される。レジスタRHPFの第2の端子は信号VCOMに結合される。信号VTFFは、コンデンサCHPFとレジスタRHPFとの間の共通ノードにおいてつくられる。
【0075】
【0076】
図6Bは、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示の差動差分増幅器ベースの過渡フィードフォワード回路の概略図である。
図6Bは、概して610とした差動差分増幅器回路を示す。差動差分増幅器回路610は、V
TFF信号生成器600のDDA実装の例である。差動差分増幅器回路610はDDA612を含み、DDA612は、g
m増幅器614及び616、コンデンサC
T、レジスタR
T、並びにバッファ618を含む。
【0077】
バッファ618は、EMIベースノイズの注入を克服するため、信号VTFFを充分に駆動するための低インピーダンス出力バッファである。バッファ618は、コンデンサCHPF及びレジスタRHPFによって行われるハイパスフィルタのため、gm増幅器614及び616(及び補償ネットワークコンデンサCT及びレジスタRT)の出力を緩衝するために配される。バッファ618出力は、コンデンサCHPFの第1の端子に結合され、コンデンサCHPFは、レジスタRHPFの第1の端子に結合される第2の端子を含む。レジスタRHPFの第2の端子は信号VCOMに結合される。信号VTFFは、コンデンサCHPFとレジスタRHPFとの間の共通ノードにおいてつくられる。
【0078】
gm増幅器614及び616は、大きな静止電流を引き出し得、比較的コストがかかる。gm増幅器614は、VFBに結合される非反転入力、及び、VREFに結合される反転入力を含む。gm増幅器616は、VCOMに結合される非反転入力、及び、レジスタRn2とRn1との間の共通ノード(Vfbn)に結合される反転入力を含む。
【0079】
信号Vfbn(フィードバック電圧「n」)は、抵抗性ネットワーク、信号VCOM、及び信号Vfbnに応答して、第1のレジスタRn1及び第2のレジスタRn2の共通ノードにおいて生成される。gm増幅器614及び616の出力は、両方の出力のためRn1及びRn2によって形成されるフィードバックループが同じノードによって駆動されるように共通に結合される。従って、差動差分増幅器回路610のゲインは、
Rn1=(GAIN-1)×Rn2 (12)
として表され得る。
【0080】
図6Cは、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示の相互コンダクタンスベースの過渡フィードフォワード回路の概略図である。
図6Cは、概して620としたg
m増幅器回路を示し、g
m増幅器回路は、g
m増幅器622、レジスタR
gain、コンデンサC
HPF、及びレジスタR
HPFを含む。g
m増幅器620は、V
TFF信号生成器600のg
m増幅器実装の例である。
【0081】
差動差分増幅器回路610と比較して、gm増幅器620は、一層低いコストで一層低い静止電力消費を有して実装され得る。gm増幅器回路620の変換関数は、gm増幅器622及びレジスタRgainのゲイン並びに(コンデンサCHPF及びレジスタRHPFによって形成される)ハイパスフィルタによって決定される。従って、gm増幅器回路620の出力は、式11に従って表され得る。
【0082】
差動差分増幅器回路610及び/又はgm増幅器回路620過渡フィードフォワード過渡ブロックは、VFBとVREFとの間の過渡電圧変化を増幅(例えば、隔離及び拡大)するためのものである。増幅された過渡信号は、信号VTFFを生成するために、(例えば、CHPF及びRHPFによって)ハイパスフィルタされる。信号VTFFは、ループコンパレータ出力信号の生成のためループコンパレータ220によって信号VCOMと比較される(ループコンパレータ220は、PWM論理240回路、ランプループ230回路、及びループコンパレータ220それ自体を含むフィードバック制御ループの一部を形成する)。
【0083】
また、或る同ゲインステージのDDAの例において、ゲインバッファ504の出力は、差動差分増幅器回路610のコンデンサCHPF及びレジスタRHPFによって形成されるハイパスフィルタを駆動するために用いられ得る。しかし、ハイパスフィルタの負荷効果が、信号Vctrlに影響を及ぼし得る。
【0084】
或る同ゲインステージのgm増幅器例において、追加の分岐(例えば、電流ミラー)が、増幅器例620のコンデンサCHPF及びレジスタRHPFによって形成されるハイパスフィルタに結合するための出力電流をソースし得る。追加の分岐のコストは比較的非常に低い。
【0085】
図7は、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示のランプループ回路の機能図である。
図7は、概して700としたランプループ回路を示す。ランプループ回路700(これは、ランプループ230回路に類似する)は、ランプ生成器710及びスロープ補償器720回路を含む。
【0086】
ランプ生成器710は、レベルシフタ712及び714と、レジスタRRAMP及びRBIAS、並びにプログラム可能なコンデンサCRAMPを含むRCネットワークと含む。ランプ生成器710は、タイミング信号PWMINTを受け取るように配される。タイミング信号PWMINTは、外部PWM信号PWMEXTの立ち上がりエッジの前に、80ns近辺で生じる立ち上がりエッジによって特徴付けられる内部PWM信号である(外部PWM信号PWMEXTは、スイッチング回路270に対する選択的なトグルのため、ドライバ260を制御するためのものである)。従って、第1のPWM信号(例えば、PWMEXT)及び第2のPWM信号(例えば、PWMINT)が、(例えば、第1のPWM信号の少なくとも一部が、第2のPWM信号の一部と同時にアサートされるように)重複し得る。
【0087】
PWMINT信号の高部分は、レベルシフタ712によって最大VDDまでレベルシフトされ、レベルシフタ714によって最大VINまでシフトアップされる。レベルシフトされたPWMINT信号は、RCネットワークを駆動するように結合される。VRAMP信号は、CRAMPの陽極板(例えば、端子)上に生成される。VRAMPのスルーレート(及びVSLOPE信号のスルーレート)は、RAMP-ADJ(ランプ調節)信号の値に基づいてCRAMPの静電容量を変化させることによって調節(例えば、微調整)され得る。RAMP-ADJ信号の値は、過渡応答性能を最適化するために、ピンストラッピング(pin-strapping)又はPMBus(電力管理バス)コマンドを介して調節され得る。
【0088】
スロープ補償器720回路は、平均ローパスフィルタ(LPF)722と、バッファ724と、レジスタR
SLOPE及びプログラム可能なコンデンサC
SLOPEを含むRCネットワークと、スロープコンデンサC
SLOPEを放電するためのスイッチ726と、平均LPF728とを含む。スロープ補償器720回路は、鋸歯波形V
SLOPEを生成する(信号V
SLOPEは、例えば、
図11を参照して後述される)。V
RAMP信号の立ち下がりエッジは、V
SLOPEの立ち上がりエッジのスロープと類似する及び/又は等しい(但し、極性が反対の)スロープを有する。
【0089】
平均LPF722及びバッファ724は、VRAMP信号に応答して、(例えば、実際のVout電圧に比例する)平均DC電圧を生成する。平均DC電圧は、スロープ補償器720の(RSLOPE及びCSLOPEを含む)RCネットワークを駆動するためのものであり、ここで、スロープ補償電圧VSLOPEは、RSLOPE及びCSLOPEの共通ノードにおいて生成される。スロープ補償電圧VSLOPEのスロープは、RCネットワークのRC(レジスタ-コンデンサ)時定数に応答して決定される。信号VSLOPEは、ループコンパレータ出力信号の生成のため、ループコンパレータ220の入力に結合される。
【0090】
DISCHARGE信号は、ゼロから1(論理状態)までのクロック信号変化に応答して、PWM論理回路240によって生成される短パルスである。DISCHARGE信号は、スロープコンデンサCSLOPEを放電するためにスイッチ726を閉じる(これが、VSLOPE信号の立ち上がりを終了させ、VSLOPE信号を、生成された平均DC電圧まで立ち下がらせる)。DISCHARGE信号パルスが終了した(イナクティブ状態に遷移した)後、スロープコンデンサCSLOPEが平均DC電圧に基づいて再び充電し始めるように、スイッチ726が開かれる(これが、VSLOPE信号を再び立ち上がらせ、そのため鋸歯波形が生成される)。
【0091】
S/H信号は、ゼロから1までのPWMINT信号変化に応答してPWM論理回路240によって生成される短パルスである。S/H信号は、PWMINTがイナクティブ状態に遷移するとき、スロープ補償信号VSLOPEの(例えば、瞬時の)値に応答して、ホールドDC電圧を生成するために、平均LPF728をトリガする。VSLOPEのホールドDC電圧は、VSLOPE信号のDCオフセットの効果を低下させるために、ループコンパレータ220の入力に結合される。
【0092】
PWM
INTのデューティサイクルが50%より高いとき、(例えば、フィードバック駆動される)コンバータ200が安定することを保証するのを助けるために、スロープ補償は、ループコンパレータ出力信号の生成のためループコンパレータ220に入力される。信号V
RAMPの平均は、
として表され得、ここで、R
BIAS及びR
RAMPは、ランプ生成器710のRCネットワークのレジスタである。
【0093】
R
RAMP及びR
BIASを介する放電電流は、
として表され得る。
【0094】
【0095】
PWM
INTのデューティサイクルが50%より高いとき、ループ安定性を保証するのを助けるため、立ち上がりスロープmは、
として表され得る。
【0096】
スロープ補償が(例えば、システム100の配置の前に)本質的に最適化され得るように、Vout、RRAMP、及びCRAMPは予め決定された値とし得る。DARTコンバータの本質的に最適化されたスロープ補償は、幾つかのピーク電流モード制御方法より効率的であり得る。
【0097】
ピーク電流モード制御のため、スロープ補償は、配置の後、特定のインダクタの選択に起因して生じ得る最悪の状況を基準にして固定され得る。その結果、スロープ補償のための比較的大きなマージンが提供され、そのため、負荷過渡現象に対するシステム応答が、最適の応答時間から劣化する。
【0098】
対照的に、VRAMPの立ち下がりスロープのスルーレートは予め決定され得る。従って、直接増幅ランプトラッキング制御されたコンバータスロープ補償設計は、比較的広い設計マージンを提供することなく最適化され得る。比較的広い設計マージンがあると、システム過渡応答に影響を及ぼし得る。
【0099】
図8は、本開示に従った、直接増幅ランプトラッキングのための例示のスイッチング回路サンプルアンドホールド信号生成器の概略図である。
図8において、例示のスイッチング回路サンプルアンドホールド信号生成器800が、概して、スイッチング回路810(これはスイッチング回路270に類似する)、サンプル/ホールド812回路(これは、サンプル/ホールド280回路に類似する)、及びDC電流フィードバック表示生成器814(これは、DC電流フィードバック表示生成器290回路に類似する)を含むものとして説明される。
【0100】
二極周波数でのQ値(例えば、品質係数)を減少させるために(ここで、1又はそれ以下のQ値はループ安定性を増加させる)、小さなDC電流フィードバックが、ループコンパレータ220によって駆動されるフィードバックループに付加される。電流情報は、バックコンバータの電力段から(例えば、スイッチング回路810のローサイドFETでつくられる電圧から)感知される。ローサイドFETでつくられる電圧は、(例えば、ローサイドFETがオンであるとき、外部インダクタを介して流れる)電流に比例する。
【0101】
ローサイドFETでつくられるこの電圧は、ノイズブランキング時間の後、サンプル/ホールド812回路によってサンプリング及びホールドされる。DC電流フィードバック表示生成器814は、サンプリング及びホールドされた(S/H)電圧からの電流情報を、スイッチング回路810の下側FETを介して引き出された電流に比例する電流に変換するためのトランスインピーダンス増幅器である。DC電流(DCI)フィードバック表示生成器814の出力(例えば、信号DCI)は、フィードバック電流としてループコンパレータ220に結合される。
【0102】
VRAMPがインダクタ電流変化のAC部をエミュレートするので、複素インピーダンスが存在する。例えば、二極ピークが、DARTのボードプロット分析に従って、LCベースの変換関数に基づいて存在する。複素インピーダンスは、振幅及び位相の両方においてフィードバック信号の周波数依存となる。従って、位相角は二極近辺で減少する。トランスインピーダンス帯域幅が二極周波数近辺にあるとき、位相マージンは減少されることがある。適切な位相マージンを維持するために、比較的少量のDC電流情報が、信号DCIを介して入力として、ループコンパレータ220に付加される。信号DCIは、Vctrlレベルを調節するために、ループコンパレータ220によって処理される。従って、DCI信号フィードバックを付加することが、二極周波数での位相マージンを改善し、(例えば、DART回路要素が、配置されたDART回路のユーザによって選ばれるインダクタンスを有するインダクタに結合されるとき)DARTによって一層広い安定範囲を達成し得る。
【0103】
図9は、概して900とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための例示のループコンパレータの概略図である。
図9において、例示のループコンパレータ900(これは、ループコンパレータ220に類似し得る)が、概して、DCIフィードバック910回路、減算器(SUB)920、922及び924、加算器930、並びに出力バッファ940を含むものとして説明される。
【0104】
ループコンパレータ900は、入力信号VTFF(過渡フィードフォワード電圧)、VCOM(共通基準電圧)、VRAMP、Vctrl、DCI(負荷電流フィードバック情報)、VSLOPE、及びVS/H(PWMINT信号の立ち下がりエッジに応答してサンプリングされるスロープ補償信号VSLOPEの一部)を比較するために配される。PWMINT及びPWMEXT信号の各々の立ち下がりエッジは、ループコンパレータ220によって、フィードバック制御信号出力に応答して開始される。従って、ループコンパレータ220は、フィードバックループベースの構成における入力信号の比較に基づいて、(例えば、外部コイルを駆動するための)PWMパルスを終了させる。
【0105】
例えば、減算器920は、VCOMからVTFF信号を減算するため、及び、加算器930の第1の入力との比較の(例えば、アナログ)結果を提供するために配される。DCIフィードバック回路910は、VCVI(電圧電流制御)信号を生成するため、Vctrl信号からDCI信号を減算するために配される。減算器922は、VRAMPからVCVI信号を減算するため、及び、加算器930の第2の入力との比較の(例えば、アナログ)結果を提供するために配される。減算器924は、VSLOPEからVS/H信号を減算するため、及び、加算器930の第3の入力との比較の(例えば、アナログ)結果を提供するために配される。加算器930は、合成された出力信号を生成するため、第1、第2、及び第3の入力を加算するように配され、合成された出力信号は、ループコンパレータ出力を生成するためにバッファ940によって緩衝される。
【0106】
従って、正入力の合計Vpos=VTFF+VRAMP+VSLOPEは、負入力の合計Vneg=VCVI+VCOM+VS/Hと比較される。VposがVnegより大きくなるとき、ループコンパレータの出力はハイに遷移し、これが、PWMINT及びPWMEXTのアサートを終了させる(例えば、PWMINT及びPWMEXT信号をローにさせる)。
【0107】
また、負荷電流フィードバック情報DCIは、ループコンパレータの6つのその他の入力の任意の一つと合成され得る。例えば、信号DCIは、VCOM及びVctrl信号のいずれかと合成され得る。なぜなら、それらの変化率が比較的遅く、ソースインピーダンスが低いからである。従って、VCVIとVctrlとの間の電圧差は、負荷電流フィードバック情報DCIに応答して負荷電流に比例して変化する。
【0108】
図10は、概して1000とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングのための例示のパルス幅変調論理回路の概略図である。
図10において、例示のPWM論理1000回路(これは、PWM論理240回路に類似し得る)は、ラッチ1002、ゲート1004、立ち上がりエッジ遅延バッファ1006、インバータ1008、S/Hパルス生成器1010、及び放電パルス生成器1012を含む。一般に、PWM論理1000回路は、(ランプ生成器232を駆動するための)PWM
INT信号、(ドライバ260を駆動するための)PWM
EXT信号、並びに(スロープ補償回路234を駆動するための)S/H及び放電信号を生成するためにループコンパレータ出力とシステムクロック信号とを受け取るように配される。
【0109】
(波形1020に示されるような)クロック信号1022は、各PWMサイクルにおいてDARTを制御するためDARTコンバータ200の回路要素を同期させる。例えば、放電信号1030パルスは、クロック信号1022の立ち上がりエッジに応答して放電パルス生成器1012をトリガすることによって、クロックサイクル毎に生成される。
【0110】
ラッチ1002は、クロック信号1022の立ち上がりエッジに応答してPWM
INT信号1026をアサートする。ラッチ1002は、ループコンパレータ信号1024の立ち上がりエッジに応答してPWM
INT信号1026をディアサートする。PWM
INT信号1026は、V
RAMP信号のタイミングを制御する。例えば、V
RAMP信号は、PWM
INT信号1026がハイのときに立ち上がり、V
RAMP信号は、PWM
INT信号1026がローのときに立ち下がる(例えば、
図11の波形1114及び1108を参照)。
【0111】
PWMEXT信号1028は、PWMINT信号1026に対する遅延した応答において生成される。例えば、PWMINT信号1026は、立ち上がりエッジ遅延バッファ1006に結合される。立ち上がりエッジ遅延バッファ1006は、入力信号の立ち上がりエッジを、例えば80nsの間、遅延させるように配される。立ち上がりエッジ遅延バッファ1006の出力は、PWMINT信号1028を生成するために、PWMINT信号1026と論理的にANDされる。従って、PWMEXT信号1028は、PWMINT信号1028の立ち上がりエッジの後の(例えば、約80nsの)固定立ち上がりエッジ遅延時間1034の後、ハイに駆動される。また、PWMEXT信号1028は、PWMINT信号1026の立ち下がりエッジと同時にローに駆動される。PWMEXT信号1028は、スイッチング回路270のスイッチノード電圧を駆動するためドライバ260に結合される。スイッチング回路270のスイッチノード電圧がハイに駆動されるとき、信号VSWのノードはハイに駆動される。
【0112】
S/H信号1032は、PWMINT信号1026に応答して生成される。例えば、S/H信号1032はインバータ1008に結合され、インバータ1008は、S/Hパルス生成器1010に結合される。生成されたS/H信号1032は、狭パルス(約10ns幅)を含み、これは、PWMINT信号1026の立ち下がりエッジによってトリガされる。S/H信号1032は、PWMINT信号1026の立ち下がりエッジに応答して、(例えば、スイッチ726を閉じることによって)スロープ補償鋸歯電圧のサンプリングを開始する。サンプリング及びホールドされた電圧は、VSLOPE信号のDCオフセットを低減するため、ループコンパレータ220入力に結合される。
【0113】
図11は、概して1100とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの定常状態動作における選択された波形の例示の波形図である。
図11において、波形1100は、波形V
COM1102、V
TFF1104、V
CVI1106、V
RAMP1108、V
S/H1110、V
SLOPE1112、PWM
INT1114、及びPWM
EXT1116を含む。波形1100は、例えば、定常状態において動作するDARTコンバータ200を示す。
【0114】
ループコンパレータ220の負荷過渡現象に対する応答が高められるようにV
TFF1104のDC成分を除くために、信号V
COM1102及びV
TFF1104の第1のペアが、(例えば、V
TFF1104からV
COM1102を減算することによって)合成される。信号V
COM1102は、アナログ高電力レールとアナログ低電力レールとの平均として、(例えば、分圧器によって)生成される一定の信号であり、その平均は、V
COM1102と比較される信号のダイナミックレンジを最大化する。V
TFF1104は、信号V
FBの増幅されたAC成分である(例えば、これは、
図1の生成された出力電圧V
outに応答して、一連のR
s1及びR
s2によって形成される分圧器によって生成される)。
【0115】
DARTコンバータ(例えば、110及び/又は200)の定常状態動作の間、過渡変化はゼロであり、信号VTFF1104の値は、VCOM1102信号の値にほぼ等しい。例示された波形によって示されるように、VTFF1104は、比較的少量のVoutリップルを含む。VTFF1104の平均電圧レベルは、VCOM1102の値に等しく、VCOM1102の値は、VCOMを基準にして正規化されるその他のシステム信号からのオフセットを最小化する。
【0116】
フィードバックループの安定性を高めるため、信号VCVI1106及びVRAMP1108の第2のペアが合成される(例えば、VCVI1106がVRAMP1108から減算される)。定常状態動作の間、VRAMP1108の平均電圧は、VCOM1102の電圧とほぼ同じである。VRAMP1108の波形は、PWMINT1114がハイのとき、一層高くランプする。VRAMP1108のスロープは、ランプ生成器710のVIN及びレジスタRRAMP及びコンデンサCRAMPに応答して決定される。VRAMP1108振幅がVCVI信号1106のレベルに達するとき、PWMINT1114は、それに応じて(例えば、ループコンパレータ220の伝播遅延の後)ローに遷移する。PWMINT1114信号がローに遷移した後、VRAMP信号1108は、次のクロック信号の間、PWMINT1114信号が再びアサートされるまで一層低くランプする。
【0117】
VCVI信号1106は、DC電流フィードバック信号DCI(これは、例えば、DC電流フィードバック表示生成器290によって生成される)に応答して、及び、Vctrl信号(これは、例えば、ゲイン及びレベルシフタ214によって生成される)に応答して生成される。負荷電流が増加されるとき、信号DCIの増加が、信号VCVI1106のレベルを低減させる(例えば、Vctrl信号のレベルから下向きに移動する)。VCVI1106の低減に応答して、DARTフィードバックループは、(例えば、Vctrl信号が負荷電流の増加に応答して一層高くされるように)Vctrl信号を一層高くさせる。従って、信号VCVI1106は、VRAMP1108のピークを交差し、Vctrl信号のレベルは、負荷電流における変化に応答して変動する。負荷電流がないとき、信号VCVI1106の電圧は、Vctrl信号の電圧とほぼ同じである。
【0118】
スロープ補償を提供するため、信号VS/H1110及びVSLOPE1112の第3のペアが合成される(例えば、VS/H1110はループコンパレータ220によってVSLOPE1112から減算される)。スロープ補償鋸歯波形VSLOPE1112は、スロープ補償をフィードバック制御ループに付加する。VS/H1110信号は、各PWMINT立ち下がりエッジに応答してVSLOPE1112の値をサンプリング及びホールドすることによって生成される。サンプリングされた電圧VS/H1110をVSLOPE1112の(例えば、瞬時の)値から減算することが、積分(これは、フィードバック制御ループのダイナミックレンジを増加させる)の前に、フィードバック制御ループのDCオフセットを低減させる。
【0119】
上述のように、PWMEXT1116信号は、外部インダクタを切り替えるためのスイッチング回路(例えば、270)を制御する。(内部フィードバック制御ループを制御するための)PWMINT1114信号は、PWMEXT1116信号より広い約80nsである(また、PWMEXT1116信号の約80ns前に開始される)。80nsの遅延時間は、(例えば、外部インダクタが切り替えられる前に)フィードバック制御ループに応答するためにループコンパレータ220回路に時間を提供する。
【0120】
図12は、概して1200とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの合成された波形の例示の波形図である。
図12において、波形1200は、合成された正入力波形(V
pos)1204及び合成された負入力波形(V
neg)1202を含む。例えば、正入力波形1204は、正の合計
V
pos=V
TFF+V
RAMP+V
SLOPE (17)
として表され得、負入力波形1202は、負の合計
V
neg=V
CVI+V
C0M+V
S/H (18)
として表され得る。
【0121】
信号Vpos1204がVneg1202より高いとき、ループコンパレータ220は、(例えば、ループコンパレータ220のレイテンシの後)ハイに遷移する。信号PWMINT1206及びPWMEXT1208の両方が(例えば、ループコンパレータ220の出力がハイ状態に遷移することに応答して)ローにされ、これが、外部インダクタが励磁されるPWMサイクルの「オン時間」部分を終了させる。
【0122】
信号PWMINT1206のアサートの開始時の放電パルス(例えば、1012参照)のアサートは、Vpos1204信号を、最小Vneg電圧1210を下回って下向きにする。放電パルスが終わった後、VRAMP及びVSLOPE信号は増加し、これが、Vpos1204信号を、最小電圧1210を上回って上昇させる。Vpos1204信号がVneg1202信号まで達すると、ループコンパレータ220は、PWMINT信号1206及びPWMEXT信号1208のアサートを終わらせるため、トリガされる。
【0123】
最小電圧1210から立ち上がってVneg1202信号に達するまでのVpos1204信号の立ち上がり時間は、PWMEXT信号1208の最小オン時間を決定する。PWMEXT信号1208の幅が比較的ゼロに近い(例えば、10ナノ秒)ときでさえ、制御のための充分なマージンを提供するために、充分なPWMINT信号1206幅及びVRAMP振幅のヘッドルームがあることが、電圧及び時間のスケーリングの検査によって明らかである。従って、DART技法は、(例えば、幾つかのピーク電流モード制御の一層低い周波数制限と比較すると)非常に高いスイッチング周波数動作によく適している。
【0124】
図13は、概して1300とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの増加した負荷に応答した合成された波形の例示の波形図である。
図13において、波形1300は、V
neg1302信号、V
pos1304信号、PWM
INT信号1310、PWM
EXT信号1312、及びSW1314信号を含む。概して、
図13は、増加した負荷に対する例示のシステム応答を示す。
【0125】
負荷ステップアップ過渡現象の間、出力電圧Voutは、増加した負荷によって引き込まれる電流の増加に基づいて下がる。低下された出力電圧Voutに応答して、Vneg1302信号(ループコンパレータ220の負入力の合計)は増加し、Vpos1304信号(ループコンパレータ220の正入力の合計)のスロープは減少する。デューティサイクルのオンの割合は、出力電圧Voutをターゲット電圧に向かって上昇させるために増加される。
【0126】
或る例示のシナリオにおいて、負荷ステップアップ過渡現象が1msの目盛り近辺で生じる。遅延バッファにより誘発される遅延(及び/又はクロック同期化ゲーティング)を伴わずに、DART制御ループは、負荷ステップアップ過渡現象に対する応答を敏速に開始する。例えば、Vneg1302信号は、上向きに及び直近の電圧を超えて上昇し、一方、Vpos1304信号のVTFF電圧成分は、谷点1306を低下させ、Vpos1304信号のスロープを変化させる。従って、デューティサイクルのオンの割合は、負荷ステップアップ過渡現象に応答して増加される。
【0127】
Vneg1302信号が次のPWMサイクルにおいて増加し続けるので、Vpos1304信号のVTFF電圧成分は、Vpos1304信号の別の低下した谷点を誘発し、続いて起こるデューティサイクルは、出力電圧Voutを増加させるために延長される。従って、デューティサイクルのオンの割合は、負荷ステップアップ過渡現象に応答して増加される。スイッチング信号SW1314は、(例えば、スイッチング回路ドライバ伝播レイテンシによって改変されるように)PWMEXT1312とタイミング(及びオンの割合)が類似する。
【0128】
図14は、概して1400とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの減少した負荷に応答した、合成された波形の例示の波形図である。
図14において、波形1400は、V
neg1402信号、V
pos1404信号、PWM
INT信号1406、PWM
EXT信号1408、及びSW1410信号を含む。概して、
図14は、減少した負荷に対する例示のシステム応答を示す。
【0129】
負荷ステップダウン過渡現象の間、出力電圧Voutは、減少した負荷によって引き出される電流の減少に基づいて上昇する。上昇した出力電圧Voutに応答して、Vneg1402信号(ループコンパレータ220の負入力の合計)は減少し、Vpos1404信号(ループコンパレータ220の正入力の合計)のスロープは初期的に増加する。デューティサイクルのオンの割合は、出力電圧Voutがターゲット電圧に向かって下がるのを助けるために(0パーセントにさえ)減少される。
【0130】
或る例示のシナリオにおいて、負荷ステップダウン過渡現象が1.5msの目盛り近辺で生じ、出力電圧Voutが上昇する。遅延バッファにより誘発される遅延(及び/又はクロック同期化ゲーティング)を伴わずに、DART制御ループは出力電圧Vout上昇に応答する。例えば、Vneg1402信号は立ち下がり、一方、Vpos1404信号のVTFF電圧成分は、Vpos1404信号のスロープに対する変化に応じて上向きに上昇する。負荷ステップダウン過渡現象の大きさが比較的大きいので、Vpos1404信号のVTFF成分は比較的大きく、(例えば、通常、下向きの傾向がある)Vpos1404信号の一部は、正のスロープに変更される。従って、デューティサイクルのオンの割合は、負荷ステップダウン過渡現象に応答して減少され、出力電圧Voutはターゲット電圧に向かって低下される。
【0131】
負荷過渡現象解放が充分に大きいとき、PWMEXT信号1408及びSW信号1410は、負荷ステップダウン過渡現象に対する最適の応答を提供するために省かれ得る。PWMEXT1408信号がアサートされないような場合(というのも、例えば、アサートされたPWMEXT1408信号は、さもなければ最小PWMEXT幅要件を満たさない)、出力電圧Voutがターゲット電圧に向かって低下されている連続する期間にわたってDART制御ループが維持されるように、内部PWMINT1406信号は依然として周期的にアサートされる。
【0132】
図15は、概して1500とした、本開示に従った直接増幅ランプトラッキングコンバータの増加した負荷と、その後に続く減少した負荷とに対する波形応答の例示の波形図である。
図15において、波形1500は、V
out1502信号、インダクタ電流1504、V
ctrl信号1508、及びV
CVI信号1510を含む。概して、
図15は、増加した負荷及び減少した負荷に対する例示のシステム応答を示す。
【0133】
負荷電流が増加するとき、例えば、ターゲットとされる(例えば、レギュレートされた)電圧までVout1502信号を回復するために充分なレベルにインダクタ電流1504が上昇するまでVout1502信号が下がる。Vout1502信号の降下に応答して、Vctrl信号1508及びVCVI信号1510は、PWMのオンの割合が増加するように上昇する(これが、インダクタ電流1504を増加させる)。負荷電流が0Aから20Aまで変化するとき、インダクタ電流1504は同じ量の電流だけ変化する。DC電流フィードバック(DCI)は、20Aの負荷電流増加に対し、Vctrl信号1508のレベルを、VCVI信号1510を約60mV上回って上昇させる。
【0134】
負荷電流が減少するとき、例えば、ターゲットとされる(例えば、レギュレートされた)電圧までVout1502信号を下げるために充分なレベルまでPWMのオンの割合がインダクタ電流1504を減少させるまで、Vout1502信号が上昇する。ターゲットにされた電圧を上回ってVout1502信号が上昇するとき、Vctrl信号1508及びVCVI信号1510は、PWMオンの割合が減少するように下がる(これが、インダクタ電流1504を減少させる)。ターゲットにされた電圧を下回ってVout1502信号が下がるとき、Vctrl信号1508及びVCVI信号1510は、PWMオンの割合が増加するように上昇し(これが、インダクタ電流1504を増加させ)、ターゲットにされた電圧近辺でVout1502信号がレギュレートされるように、Vout1502信号が上昇する。
【0135】
負荷電流が変化するとき、DCI信号(これは、例えば、DC電流フィードバックループを形成するために用いられる)は、Vctrl信号1508の電圧レベルを変化させる。DCI信号は、電力段二極のQ値を減少させ、比較的大きな出力コンデンサ(例えば、バックコンバータシステム100のコンデンサCout)に関連する位相マージンを増加させる。
【0136】
1msの目盛りにおいて、制御電圧Vctrl1508及びVCVI1510は、負荷セットアップ過渡現象に敏速に応答するために迅速に上昇する。負荷セットアップ過渡事象の後、制御電圧VCVIは低負荷電流状況と同じレベルに戻り、一方、Vctrl信号1508は、Vctrl信号1508の低負荷電流状況レベルを約60mV上回ったレベルに戻る。積分器216は、少なくとも60mVのシステムオフセットの電圧振幅に効率的に対応するように配される。従って、DARTの説明に従って配されるコンバータは、高負荷電流での高周波数動作(例えば、40アンペア近辺より大きな電流で4MHz近辺を上回る動作)に適している。
【0137】
これに対し、ピーク電流モード制御のための制御電圧は、同様の負荷電流に応答して約400mV変化し得る。制御電圧の比較的大きな電圧振幅により、ピーク電流モードの間の内部補償を最適化するための一層大きな課題が生じる。
【0138】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における改変が可能であり、その他の実施形態が可能である。