(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20221026BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G06F1/16 312M
G06F1/16 312G
H05K5/02 L
(21)【出願番号】P 2021099731
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 晃正
(72)【発明者】
【氏名】山本 康史
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-338579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0262116(US,A1)
【文献】特開2019-134105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0180159(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
G06F 1/16-1/18
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理ユニットを収容するケースであって、当該ケースの第1面に凹んだ第2面を有するバッテリ収容部を備え、当該バッテリ収容部の一部に第1コネクタを露出させた本体ケースと、
前記バッテリ収容部に装着可能で、前記第1コネクタに接続される第2コネクタを前記第2面に対向する第3面に露出させたバッテリケースと、
を備え、
前記本体ケースは、前記第1コネクタを包囲する、前記第1面から前記第2面に向かい下り傾斜する第1傾斜面を備える第1傾斜部を有し、
前記バッテリケースは、前記第1傾斜部と係合可能で、前記第2コネクタの周囲に形成された第2傾斜部を有し、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間に介在し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されたときの接続部を包囲する弾性部材を、
備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記バッテリ収容部は、当該バッテリ収容部を形成する第1周壁部の一部に前記第1コネクタを備え、前記バッテリケースが前記バッテリ収容部に装着されたときに、前記第1周壁部と対向する第2周壁部に、前記バッテリケースを前記第1周壁部に向かい押圧する押圧部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バッテリケースは、前記第2周壁部に平行な方向にスライド可能な係合片を有し、
前記係合片は、前記バッテリケースと前記第2周壁部とを係合させる係合位置にスライドした際に、前記押圧部を押圧し、前記バッテリケースを前記第1周壁部に向かい押圧する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記バッテリケースは、当該バッテリケースを前記バッテリ収容部に固定する締結部材を挿通可能な固定穴を備え、
前記固定穴は、前記第1周壁部側が当該第1周壁部と略平行な平行部を備えるD型形状である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置の一つの形態として、携帯型のタブレット端末装置が知られている。タブレット端末装置は携帯性を重視して、筐体の一面側(例えば、表面側)は、ほぼ表示部で構成されている。表示部は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。表示部は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部で覆われている。利用者は、操作入力部を介して表示部の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、利用者は、表示部の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。タブレット端末装置は、携帯性を実現するため、基本的にはバッテリ駆動する。バッテリは、例えば、タブレット端末装置に内蔵されるタイプやタブレット端末装置の他面側(裏面側)に着脱可能に配置されるタイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなタブレット端末装置等の情報処理装置は、使用環境の多様化を図るため、止水構造を備える場合がある。止水構造では、一般的に止水ゴム等を部材の繋ぎ目に配置する。この場合、部材間の固定が継続できる部分に関しては、比較的容易に止水性能の確保ができるが、着脱可能なバッテリ部分に関しては、止水性能の確保が困難な場合がある。バッテリの接続部分の止水構造としては、バッテリ側と本体側とを電気的に接続するコネクタの周囲に例えばリング状の止水ゴムを配置することが考えられるが、バッテリの着脱時に止水ゴムがバッテリ着脱動作方向にずれて、止水性能が低下してしまうという問題があった。
【0005】
従って、本発明が解決する課題の一例は、バッテリの着脱が可能な情報処理装置において、止水性能の維持が容易な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、情報処理ユニットを収容するケースであって、当該ケースの第1面に凹んだ第2面を有するバッテリ収容部を備え、当該バッテリ収容部の一部に第1コネクタを露出させた本体ケースと、前記バッテリ収容部に装着可能で、前記第1コネクタに接続される第2コネクタを前記第2面に対向する第3面に露出させたバッテリケースと、を備え、前記本体ケースは、前記第1コネクタを包囲する、前記第1面から前記第2面に向かい下り傾斜する第1傾斜面を備える第1傾斜部を有し、前記バッテリケースは、前記第1傾斜部と係合可能で、前記第2コネクタの周囲に形成された第2傾斜部を有し、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間に介在し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが接続されたときの接続部を包囲する弾性部材を、備える。この構成によれば、例えば、本体ケースにバッテリケースを装着する場合、第1傾斜部と第2傾斜部とを組み合わせることにより第1コネクタと第2コネクタとの接続が実現され、その際に第1傾斜部と第2傾斜部との間に介在する弾性部材を第1傾斜部と第2傾斜部との接続方向に押圧する。その結果、本体ケースとバッテリケースとの着脱を繰り返しても弾性部材の位置ずれが抑制され、弾性部材による止水性能を維持し易くなる。
【0007】
また、前記バッテリ収容部は、例えば、前記バッテリ収容部を形成する第1周壁部の一部に前記第1コネクタを備え、前記バッテリケースが前記バッテリ収容部に装着されたときに、前記第1周壁部と対向する第2周壁部に、前記バッテリケースを前記第1周壁部に向かい押圧する押圧部を備えてもよい。この構成によれば、例えば、バッテリケースを本体ケースに装着する際に、押圧部によりバッテリケースが、弾性部材の配置される第1周壁部側に押圧される。その結果、弾性部材はずれることなく、密着性の向上が可能となり、止水性能の向上に寄与できる。
【0008】
また、前記バッテリケースは、例えば、前記第2周壁部に平行な方向にスライド可能な係合片を有し、前記係合片は、前記バッテリケースと前記第2周壁部とを係合させる係合位置にスライドした際に、前記押圧部を押圧し、前記バッテリケースを前記第1周壁部に向かい押圧するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、係合片のスライド操作により本体ケースに対するバッテリケースの固定が実現できる。またバッテリケースの装着時の弾性部材のずれが抑制され、弾性部材による密着性の向上可能となり、容易に止水性能の向上ができる。
【0009】
また、前記バッテリケースは、例えば、当該バッテリケースを前記バッテリ収容部に固定する締結部材を挿通可能な固定穴を備え、前記固定穴は、前記第1周壁部側が当該第1周壁部と略平行な平行部を備えるD型形状であってもよい。この構成によれば、例えば、締結部材により本体ケースに対するバッテリケースの固定が容易に実現できるとともに、バッテリケースの装着時の弾性部材のずれが抑制された、弾性部材による密着性の向上可能となり、容易に止水性能の向上ができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、バッテリの着脱が可能な情報処理装置において、止水性能の維持が容易な構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置の表示部側の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースの装着状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる情報処理装置の本体ケースからバッテリケースを取り外し、第1コネクタを露出させて状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3における第1コネクタとその周辺の詳細を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースに形成された第2コネクタを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す第2コネクタおよびその周辺の詳細を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる情報処理装置の本体ケースとバッテリケースの接続状態を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる情報処理装置の本体側係合用突起部とバッテリ側係合用突起部の係合開始状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる情報処理装置の本体側係合用突起部とバッテリ側係合用突起部の係合完了状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる情報処理装置の本体側係合用突起部とバッテリ側係合用突起部の係合により弾性部材が押圧される様子を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースに設けられた係合片(スライド部材)を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースに設けられた係合片(スライド部材)の全体を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる情報処理装置の本体ケースに設けられた押圧部を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースに設けられ、押圧部を押圧可能な押圧片(スライド押圧片)を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図15】
図15は、
図14の押圧片(スライド押圧片)による押圧部の押圧状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースを締結部材によって本体ケースに固定する様子を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図17】
図17は、実施形態にかかる情報処理装置のバッテリケースに設けられたD型形状の固定穴を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0013】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置10の表示部側の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。情報処理装置10は、一例として、携帯型のタブレット端末装置である。情報処理装置10は携帯性を重視して、筐体の一面側(例えば、表面側)は、そのほぼ全面が、表示部12で構成されている。表示部12は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。表示部12は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部14で覆われている。利用者は、操作入力部14を介して表示部12の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、利用者は、表示部12の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。
【0014】
また、表示部12の一部(例えば、長手方向の縁部)には、撮像部16が設けられている。なお、情報処理装置10を構成する本体ケース18は、内部を実質的な密閉状態とした収容部を備える。本体ケース18の収容部には、情報処理ユニットとして、例えば、中央演算処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、マザーボード(M/B)及びドーターボードのような種々の回路基板、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)のような記録装置、電源ユニット、通信ユニット等が収容されている。なお、本実施形態において、便宜的に、本体ケース18の長手方向をX方向、本体ケース18の短手方向をY方向、本体ケース18の厚み方向をZ方向と称する場合がある。
【0015】
図2は、情報処理装置10の裏面側(第1面20側)に着脱(装着)可能なバッテリケース22の装着状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。バッテリケース22は、密閉された内部に充放電可能なバッテリユニットを収容している。
【0016】
図3は、本体ケース18からバッテリケース22を取り外した状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0017】
本体ケース18の第1面20には、凹んだ第2面24を有するバッテリ収容部26が形成されている。そして、バッテリ収容部26の一部、例えば、バッテリ収容部を画成する第1周壁部26aの、例えば中央部には、情報処理装置10の情報処理ユニットに電源を供給するための第1コネクタ28が露出した状態で配置されている。
図4は、
図3における第1コネクタ28とその周辺の詳細を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0018】
図5は、情報処理装置10のバッテリケース22の第3面30に形成された第2コネクタ32を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図6は、第2コネクタ32およびその周辺の詳細を示す例示的かつ模式的な斜視図である。なお、第3面30は、本体ケース18にバッテリケース22を装着した場合に、本体ケース18の第2面24と対向する面である。
【0019】
図4に示されるように、本体ケース18は、第1コネクタ28を包囲する第1傾斜部34を備える。第1傾斜部34は、第1面20から第2面24に向かい下り傾斜する第1傾斜面34aを備える。したがって、第1傾斜部34から第1コネクタ28の電極28aが露出している。第1傾斜面34aの第2面24に対する角度は、情報処理装置10の仕様、例えば、情報処理装置10の厚み(Z方向)に応じて、適宜変更可能であるが、例えば25°とすることができる。
【0020】
一方、バッテリケース22は、
図6に示されるように、第1傾斜部34の第1傾斜面34aと係合可能で、第2コネクタ32の周囲に形成された第2傾斜面36aを備える第2傾斜部36を有する。したがって、第2傾斜部36から第2コネクタ32の電極32aが露出している。第2傾斜面36aの角度は、第1傾斜面34aに対応する角度で形成されている。
【0021】
また、第1傾斜部34と第2傾斜部36との間には、弾性部材38が介在し、第1コネクタ28と第2コネクタ32とが接続されたときの接続部を包囲している。本実施形態の場合、弾性部材38は、第2傾斜部36の第2傾斜面36a上に固定され、第2コネクタ32の周囲を包囲するように配置されている。したがって、弾性部材38は、第1コネクタ28と第2コネクタ32とが接続されたときには、第1コネクタ28の周囲も包囲することになる。その結果、第1コネクタ28と第2コネクタ32とが接続されたときに、その接続部を包囲し、止水性能を発揮する。
【0022】
弾性部材38は、所定に弾性を備え、本体ケース18とバッテリケース22とが組み合わされた場合に潰されて弾性変形可能な例えば円環状の形状であれば、材料は適宜選択可能である。弾性部材38は、例えば、アクリルゴムの塗布により形成してもよいし、バッテリケース22を成形する際に、エラストマー等の2色成型等により形成するようにしてもよい。また、弾性部材38の断面は、例えば、略円形とすることで、第1傾斜面34aと接触した際に安定して変形し、止水性能の向上に寄与できる。
【0023】
図7は、本体ケース18とバッテリケース22とが、第2傾斜部36に設けられた弾性部材38を介して接続された接続状態を示す例示的かつ模式的な断面図である。
【0024】
図7に示されるように、本体ケース18に対してバッテリケース22は、ほぼ上方から接近させて組合せ可能である。つまり、弾性部材38を第1傾斜部34と第2傾斜部36との接続方向に押圧することができる。その結果、本体ケース18とバッテリケース22との着脱を繰り返しても弾性部材38の位置がずれることが抑制され、弾性部材38による止水性能を維持し易くなる。
【0025】
なお、上述した例では、第1傾斜部34を本体ケース18と一体的に形成し、第2傾斜部36をバッテリケース22と一体的に形成する場合を示した。別の実施形態では、弾性部材38による止水性能を維持できれば、第1傾斜部34や第2傾斜部36を別部品で構成して、本体ケース18やバッテリケース22に組み付けてもよく、同様な効果を得ることができる。また、上述した例では、弾性部材38をバッテリケース22(第2傾斜部36)側に固定する場合を示したが、止水性能を維持できれば、本体ケース18(第1傾斜部34)側に形成(固定)してもよく、同様な効果を得ることができる。
【0026】
図8~
図10は、上述した第2コネクタ32、第1傾斜部34、弾性部材38を用いた本体ケース18及びバッテリケース22の止水性能をより向上させ得る構成を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
図8~
図10の場合、本体ケース18及びバッテリケース22に形成された突起部を用いて弾性部材38の変形(押し潰し)を効果的に行い、止水性能を向上させている。
【0027】
図8は、本体ケース18に形成される本体側係合用突起部40とバッテリケース22に形成されたバッテリ側係合用突起部42の係合開始状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。また、
図9は、本体側係合用突起部40とバッテリ側係合用突起部42の係合完了状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。そして、
図10は、本体側係合用突起部40とバッテリ側係合用突起部42の係合により弾性部材38が押圧される様子を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【0028】
本体側係合用突起部40は、
図8及び
図3に示されるように、本体ケース18の第1周壁部26aに形成され、バッテリ収容部26の第2面24に対して略平行に突出した複数の突起である。
図3の場合、本体側係合用突起部40は、第1コネクタ28を挟み間隔を空けて左右に例えば2個ずつ、合計4個形成されている。本体側係合用突起部40の数は一例であり、適宜変更可能である。
【0029】
同様に、バッテリ側係合用突起部42は、
図8及び
図5、
図6に示されるように、バッテリケース22のバッテリ端面22aに形成され、バッテリケース22の第3面30に対して略平行に突出した複数の突起である。バッテリ側係合用突起部42は、X方向(長手方向)において、本体側係合用突起部40と対応する位置で、Z方向にずれた位置に同数だけ形成されている。したがって、バッテリ側係合用突起部42は、弾性部材38を挟み間隔を空けて左右に例えば2個ずつ、合計4個形成されている。本体側係合用突起部40とバッテリ側係合用突起部42のZ方向の位置関係は、本体ケース18にバッテリケース22を装着した場合に、本体側係合用突起部40の下面40aをバッテリ側係合用突起部42の上面42aが押圧するように設定されている。この場合、下面40aと上面42aとに作用する押圧力は、本体側係合用突起部40及びバッテリ側係合用突起部42を僅かに弾性変形させる程度の押圧力とすることが望ましい。
【0030】
バッテリケース22を本体ケース18のバッテリ収容部26に設置し収容する際に、バッテリケース22は、
図8に示されるように、斜めに傾けた姿勢で、本体側係合用突起部40の下面40aにバッテリ側係合用突起部42の上面42aを挿入し係合させる。この係合状態を維持したまま、
図9に示されるように、バッテリケース22の第3面30がバッテリ収容部26に水平になるようにバッテリケース22を押し込む。その結果、本体側係合用突起部40がバッテリ側係合用突起部42を押さえることになる。このときの荷重により、
図10に示されるように、第2コネクタ32の周囲に配置された弾性部材38へ圧力をかけることができる。つまり、本体側係合用突起部40とバッテリ側係合用突起部42との係合によって、弾性部材38を一定量押し潰し、止水性能の向上及び安定化に寄与することができる。
【0031】
このように、バッテリケース22を斜め姿勢で本体ケース18に組み付ける動作を行うことで、バッテリケース22に固定された弾性部材38が本体ケース18の受け形状に倣い組付け時に反発することが抑制可能となる。この場合、組付け作業が容易になるとともに、弾性部材38に対して不自然な方向から力が加わることを抑制可能となり、弾性部材38のずれ抑制にも寄与することができる。また、本体側係合用突起部40及びバッテリ側係合用突起部42で弾性部材38を押さ付けることで、弾性部材38の下側に存在する表示部12へ荷重をかからないようにすることが可能で、液晶の表示不良(白点、輝点)を防止することができる。
【0032】
図11、
図12を用いて、バッテリケース22をバッテリ収容部26に装着した後、弾性部材38による止水構造を実現しつつ、バッテリケース22を本体ケース18に固定する構造例を示す。
図11は、バッテリケース22に設けられた係合片としてのスライド部材44を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。また、
図12は、バッテリケース22に設けられたスライド部材44の全体を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0033】
スライド部材44は、バッテリケース22のバッテリ端面22aに矢印X方向(長手方向)に沿って形成された長尺の部材である。スライド部材44は、本体ケース18のバッテリ収容部26において、第1周壁部26aに対向する第2周壁部26bに形成された(係合位置に形成された)係合突起46を上下方向(Z方向)に挟持する第1係合片44aと第2係合片44bとを備える。係合突起46は、第2周壁部26bに所定間隔で長手方向(X方向)に第3面30と略平行に形成された複数の小片の部材である。スライド部材44は、バッテリケース22の表面側に露出したスライダ44cを長手方向(矢印X方向)にスライド操作することにより、係合突起46に対して第1係合片44a及び第2係合片44bを係脱させることができる。
【0034】
このように、スライド部材44を用いた係脱機構をバッテリケース22に設けることにより、弾性部材38による止水構造を実現しつつ、本体ケース18に対するバッテリケース22の着脱を容易に行うことができる。なお、係合片としてのスライド部材44は一例であり、他の構造、例えば周知のプッシュロック型の係脱機構等を用いてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0035】
図13を用いて、バッテリ収容部26において第1コネクタ28が形成された第1周壁部26aに対向する第2周壁部26bにバッテリケース22の一部を干渉させることで、弾性部材38にさらに圧力を加え、弾性部材38による止水性能を安定させる構造例を説明する。
【0036】
図13は、本体ケース18に設けられた押圧部48を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。上述したように、バッテリ収容部26は、当該バッテリ収容部26を形成する第1周壁部26aの一部に第1コネクタ28を備える。
図13に示されるように、バッテリケース22がバッテリ収容部26に装着されたときに、第1周壁部26aと対向する第2周壁部26bに、バッテリケース22を第1周壁部26aに向かい押圧する押圧部48を備える。
【0037】
具体的には、
図13に示されるように、本体ケース18の第2周壁部26bに形成された押圧部48は、バッテリ収容部26に対する垂直方向(Z方向)に対し僅かに第1周壁部26aから遠ざかる方向に傾いた傾斜形状を備える。この場合、バッテリ収容部26にバッテリケース22を装着した際に、押圧部48のバッテリ収容部26から離れた上端側は、バッテリケース22のバッテリ押圧面50から僅かに離間し、押圧部48のバッテリ収容部26に近い下端側が密着し、バッテリ押圧面50を押圧するように構成されている。この場合、バッテリケース22を本体ケース18に装着する際に、押圧部48によりバッテリケース22が、弾性部材38の配置される第1周壁部26a側に押圧される。その結果、弾性部材38はずれることなく、さらに押圧され、密着性が向上可能となり、止水性能の向上及び安定化に寄与できる。
【0038】
図14、
図15は、
図12等で説明したスライド部材44を用いて、押圧部48に対する押圧動作を実現する構造を説明する。
図14は、バッテリケース22に設けられ、押圧部48を押圧可能なスライド押圧片52(押圧片)を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図15は、
図14の押圧片による押圧部の押圧状態を示す例示的かつ模式的な断面斜視図である。
【0039】
スライド押圧片52は、スライダ44cのスライド操作によってスライド部材44とともにバッテリケース22の長手方向(X方向)に移動可能なばね性を備える部材で、第1係合片44a及び第2係合片44bが本体ケース18側の係合突起46を挟持する位置で、バッテリ端面22aに形成された突起部52aに乗り上げるように構成されている。そして、スライド押圧片52が突起部52aに乗り上げた位置でスライド押圧片52が、押圧部48を押圧するように構成されている。この場合、スライド部材44をロック位置(第1係合片44aと第2係合片44bが係合突起46を挟持する位置)に移動させる前の状態では、スライド押圧片52は、自身のばね性により撓み、押圧部48に接触しても押圧部48を押圧しない。つまり、バッテリケース22を第1周壁部26a側に付勢しない。その結果、バッテリケース22をバッテリ収容部26に装着する際には、低抵抗で容易に位置させることができる。そして、スライダ44cをロック位置にスライドさせることで、
図15に示されるように、スライド押圧片52が突起部52aに乗り上げ、自身の撓みが制限される。その結果、スライド押圧片52は、押圧部48に接触して当該押圧部48を押圧する。つまり、押圧部48(スライド押圧片52)は、バッテリケース22を第1周壁部26a側に付勢する。その結果、スライド部材44は、バッテリケース22を本体ケース18(バッテリ収容部26)に装着状態で固定するとともに、バッテリケース22を第1周壁部26a側に押圧し、弾性部材38をさらに潰して第1傾斜部34と第2傾斜部36との密着性の向上、つまり止水性能の向上を実現する。
【0040】
なお、バッテリ収容部26から本体ケース18を取り外す際には、まず、スライダ44cをスライドさせるので、スライド押圧片52が突起部52aから離れ、自身のばね性を回復し、第1周壁部26a方向への押圧力が解除されるので、バッテリケース22をバッテリ収容部26から容易に取り出すことができる。
【0041】
図16、
図17を用いて、本体ケース18に対するバッテリケース22の他の固定構造を説明する。
図16は、バッテリケース22を締結部材54(例えば、ねじ)によって本体ケース18に固定する様子を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図17は、のバッテリケース22に設けられたD型形状の固定穴58を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0042】
情報処理装置10の利用者によっては、本体ケース18からのバッテリケース22の取り外しに制限を設けることを要望する場合がある。例えば、締結部材54を特殊工具等を用いて外すように構成することを要望する場合がある。バッテリケース22の着脱に一定の制限を設けることにより、例えば、非正規品の低品質のバッテリ等との不正交換等を防止することができる。
【0043】
締結部材54を用いて本体ケース18にバッテリケース22を固定する場合、バッテリケース22のバッテリ収容部26に対する着脱を容易にするとともに、弾性部材38による止水性能が良好に行われることが望ましい。そこで、
図17に示すように、締結部材54を用いてバッテリケース22を本体ケース18に固定する場合に、締結部材54を挿通するようにバッテリケース22のフランジ部22bに形成された、固定穴58の形状をバッテリ収容部26の第1周壁部26a側(
図3参照)が当該第1周壁部26aと略平行な平行部58aを備えるD型形状にする。固定穴58をD型形状にすることで、締結部材54を固定穴58(フランジ部22b)を介して雌ねじ部56にねじ込むことにより、バッテリケース22を第1周壁部26a側に移動させることができる。その結果、バッテリケース22を第1周壁部26a側に押圧し、弾性部材38をさらに潰して、第1傾斜部34と第2傾斜部36との密着性の向上、つまり止水性能の向上を実現する。なお、締結部材54を雌ねじ部56(固定穴58)から抜き取ることにより、バッテリケース22の第1周壁部26a側への付勢は解除され、本体ケース18をバッテリ収容部26から容易に取り外すことができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、情報処理装置10の一例として、タブレット端末装置を示したが、本体ケースからバッテリケースを着脱可能とするとともに、コネクタ部の止水が要求される機器であれば、他の情報処理装置にも実施形態の構成が適用可能である。例えば、10として、スマートフォンや携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等に、本実施形態の構成が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0045】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10…情報処理装置、18…本体ケース、20…第1面、22…バッテリケース、24…第2面、26…バッテリ収容部、26a…第1周壁部、26b…第2周壁部、28…第1コネクタ、30…第3面、32…第2コネクタ、34…第1傾斜部、34a…第1傾斜面、36…第2傾斜部、36a…第2傾斜面、38…弾性部材、40…本体側係合用突起部、42…バッテリ側係合用突起部、44…スライド部材、44a…第1係合片、44b…第2係合片、44c…スライダ、46…係合突起、48…押圧部、54…締結部材、58…固定穴。
【要約】
【課題】バッテリの着脱が可能な情報処理装置において、止水性能の維持が容易な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、情報処理ユニットを収容するケースであって、当該ケースの第1面に凹んだ第2面を有するバッテリ収容部を備え、当該バッテリ収容部の一部に第1コネクタを露出させた本体ケースと、バッテリ収容部に装着可能で、第1コネクタに接続される第2コネクタを第2面に対向する第3面に露出させたバッテリケースと、を備える。本体ケースは、第1コネクタを包囲する、第1面から第2面に向かい下り傾斜する第1傾斜面を備える第1傾斜部を有し、バッテリケースは、第1傾斜部と係合可能で、第2コネクタの周囲に形成された第2傾斜部を有し、第1傾斜部と第2傾斜部との間に介在し、第1コネクタと第2コネクタとが接続されたときの接続部を包囲する弾性部材を、備える。
【選択図】
図7