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  • 特許-管端部を加工する装置 図1
  • 特許-管端部を加工する装置 図2
  • 特許-管端部を加工する装置 図3A
  • 特許-管端部を加工する装置 図3B
  • 特許-管端部を加工する装置 図4A
  • 特許-管端部を加工する装置 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】管端部を加工する装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 47/22 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
B23B47/22
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018081579
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019000971
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】1706377.7
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521523523
【氏名又は名称】ダンフォス・パワー・ソリューションズ・ツー・テクノロジー・エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マウバッハ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04212186(US,A)
【文献】実開昭56-025692(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0067573(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0079106(US,A1)
【文献】特開昭61-262435(JP,A)
【文献】特開2001-105060(JP,A)
【文献】実開昭57-181499(JP,U)
【文献】特開昭63-156683(JP,A)
【文献】特開平02-076667(JP,A)
【文献】実開平06-000655(JP,U)
【文献】特開2002-200542(JP,A)
【文献】特開2011-194438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0131833(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0047065(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0065446(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0149442(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013005738(DE,A1)
【文献】特開平03-019761(JP,A)
【文献】特開2000-015547(JP,A)
【文献】米国特許第04337558(US,A)
【文献】米国特許第04548345(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00-49/06
B23C 1/00-9/00
B23Q 17/00-23/00
B21D 39/00-41/04
F16J 1/00-1/24
F16J 7/00-10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管端部を加工する装置であって、該装置は、長手方向軸線に沿って移動可能なピストンを備えた作動シリンダと、管取付け部とを有しており、前記管取付け部に面した前記ピストンの端部に工具ホルダが設けられており、
前記作動シリンダはタンデムシリンダとして設けられており、少なくとも2つのシリンダ段が、長手方向軸線に沿ってオフセットされており、前記ピストンは接続された複数のピストンセグメントを有していて、各ピストンセグメントが1つのシリンダ段に割り当てられ、
前記工具ホルダに工具が、前記工具ホルダと同軸となるように取り付けられ、
前記工具は、前記長手方向軸線に対して半径方向でオフセットされている作動軸線を有している、
装置。
【請求項2】
各シリンダ段は、前記各ピストンセグメントに力を加えるように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
記ピストンは、前記ピストンが前記作動シリンダに対して相対的にねじれるのを防止するためのねじれ防止部材を有している、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記ねじれ防止部材は、前記シリンダの壁における、前記シリンダの前記壁に沿って軸方向に延在する隙間を通って、前記ピストンから半径方向に突出している、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記工具ホルダには、取り付けられた工具の少なくとも1つの特性を検出するための少なくとも1つのセンサが設けられている、請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサから前記ピストンと前記ねじれ防止部材とを通り抜けて前記作動シリンダの外へと延在する信号線が設けられている、請求項記載の装置。
【請求項7】
前記信号線に平行に延在するように給電線が設けられている、請求項記載の装置。
【請求項8】
前記ねじれ防止部材の長手方向位置を検出するために位置センサが設けられている、請求項3からまでのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
管端部を加工する装置であって、該装置は、長手方向軸線に沿って移動可能なピストンを備えた作動シリンダと、管取付け部とを有しており、前記管取付け部に面した前記ピストンの端部に工具ホルダが設けられている。
【0002】
例えば、住宅配管用途において、管端部、または管端部近くを加工する技術においては、加工される管を保持するためにクランプ手段が設けられ、加工される管の端部の前に同軸に支持されたプランジャに工具が取り付けられている機械を使用することが一般的な手段となっている。この工具は例えば、ねじ山付き部材が、対応するねじ山付き支持ブラケット内で回転することにより、または液圧シリンダを用いて、管の端部に向かう力により動かされる。これにより管端部は加工され、すなわち、例えば管端部の拡開、または管の拡張のような所定の方法で形成される。別の典型的な用途は、例えば、のちの無はんだ食込み式管継手のために管端部上に食込みリングを嵌め込むことである。
【0003】
このような機械の問題点は、独国特許出願公開第102013005738号明細書に記載されており、すなわち、特に小さな半径で180度曲げられている管端部の加工である。このような管は、曲げ管の第2の脚が、大寸法の工具の上に嵌まらないので、クランプすることができない。提案された解決策は、管の第2の脚を収容することのできるギャップを機械ケーシング内に設ける、というものである。欠点は、比較的強力でない液圧シリンダを使用しなければならないことである。出力の損失を補償するために2つの平行な液圧シリンダが使用される場合、独立的に作動する液圧シリンダの制御は複雑であり、2つの平行なシリンダの均等でない動きが、シリンダに、例えば漏れのような損傷を発生させる恐れがある。
【0004】
本発明の課題は、小さい直径を有した曲げ管のクランプを可能にし、かつ/または同じ直径またはより小さい直径のより強力なシリンダを提供する、管端部を加工する装置を提供することである。
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の形式の管端部を加工する装置により解決される。好適な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明による第1の装置は、長手方向軸線に沿って移動可能なピストンを備えた作動シリンダと、管取付け部とを有している。管取付け部は、管を、またはむしろ管端部を、この管が、作動シリンダの長手方向軸線に軸方向で整列するように位置固定するために使用されてよい。管端部を加工するための工具を取り付けるために、管取付け部に面したピストンの端部には工具ホルダが設けられていて、この工具は例えば、嵌込みコーンを有した工具であってよく、この嵌込みコーンは、のちの無はんだ食込み式管継手のために管端部上に食込みリングを取り付けるためのものである。本発明によれば、作動シリンダはタンデムシリンダとして設けられており、少なくとも2つのシリンダ段が、長手方向軸線に沿ってオフセットされており、ピストンは接続された複数のピストンセグメントを有していて、各ピストンセグメントが1つのシリンダ段に割り当てられている。好適には各シリンダ段は、各ピストンセグメントに力を加えるように構成されている。タンデムシリンダは、有利には、高い液圧力を発揮するように構成されているが、半径方向でコンパクトである。液圧力の制御は、2つのシリンダ段に関して特別な要件を有していない。1つの段が、他の段よりも低い液圧を受け取るかどうか、または1つの段が他の段と正確に同時には液圧を受け取っていないかどうか、といったことは、この装置には何の害も及ぼさず、いかなる形でも機能に影響を与えない。シリンダ段に対する液圧の制御が比較的容易であることは、タンデムシリンダの利点である。タンデムシリンダは通常2つのシリンダ段を有している。しかしながら、長手方向軸線に沿ってオフセットされた、より多数のシリンダ段も同様に想定され、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0007】
上記課題を解決する、選択的な第2の本発明による管端部を加工する装置も同様に、長手方向軸線に沿って移動可能なピストンを備えた作動シリンダと、管取付け部とを有しており、前記管取付け部に面した前記ピストンの端部に工具ホルダが設けられている。本発明によれば、選択的な装置は、ピストンが作動シリンダに対して相対的にねじれるのを防止するためのねじれ防止部材をピストンが有していることを特徴とする。選択的な装置の利点は、工具ホルダに取り付けられた工具が有利には、長手方向軸線に対して半径方向でオフセットされている作動軸線を有していることである。このようなオフセットにより、小さな曲げ半径を有する曲げ管を、管取付け部に取り付けることが可能となる。ねじれ防止部材は好適には、工具の偏心的にオフセットされた作動軸線を固定する。さもないと、ピストンがねじれた場合には工具は定置ではなくなるだろう。
【0008】
選択的な第2の装置の特徴は好適には、第1の装置の付加的な特徴でもある。したがって、以下の好適な態様は、第1の装置および第2の装置のそれぞれ一方に関し、適用可能であれば両者の組み合わせにも関する。
【0009】
好適な態様によれば、ねじれ防止部材は、シリンダの壁における、シリンダの壁に沿って軸方向に延在する隙間を通って、ピストンから半径方向に突出している。
【0010】
別の好適な態様によれば、工具ホルダには、取り付けられた工具の少なくとも1つの特性を検出するための少なくとも1つのセンサが設けられている。第1の特性は例えば、工具が取り付けられたかどうか、である。さらに、工具の種類および/または寸法は好適には、センサによって検出される特性である。
【0011】
さらに好適な態様によれば、センサからピストンとねじれ防止部材とを通り抜けて作動シリンダの外へと延びている信号線が設けられている。信号線に平行して延在する給電線がさらに好適には設けられている。
【0012】
さらに好適な態様によれば、ねじれ防止部材の長手方向位置を検出するために位置センサが設けられている。この態様の利点は、シリンダ内側のピストンの位置を検出するために必要な位置センサを、作動シリンダの横に配置することができることにある。なぜならば、ピストンの位置は有利には、ピストンに取り付けられたねじれ防止部材の位置の検出により求めることができるからである。したがって、位置センサがシリンダの端部に配置されたものと比較して、この装置を長手方向軸線に沿ってより短くすることができる。
【0013】
次に、添付の図面に示された好適な実施態様につき本発明をさらに説明する。記述は単なる例であり、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の作動位置における本発明による装置の実施態様を示す断面図である。
図2】第2の作動位置における本発明による装置の図1と同様の図である。
図3A図1の実施態様の管取付け部を示す図である。
図3B図1の実施態様の管取付け部を示す別の図である。
図4A図1の実施態様に取り付けられる工具を詳細に示す図である。
図4B図1の実施態様に取り付けられる工具を詳細に示す別の図である。
【0015】
図1および図2にはそれぞれ、本発明による管端部加工用の装置の実施形態が、長手方向軸線Xに沿った断面図で示されている。図1には第1の作動位置が示されていて、この位置ではピストン2,3は作動シリンダ1,6内に引き込まれており、図2には第2の作動位置が示されていて、この位置ではピストン2,3は作動シリンダ1,6から外方へ出ている。これらの図面を一緒に説明する。
【0016】
ピストン2,3は、長手方向軸線Xに沿って移動可能であり、管取付け部4は、長手方向軸線に対して平行に軸方向で整列するように管端部(図示せず)を位置固定するようになっている。管取付け部4に面したピストン2,3の端部には工具ホルダ5が設けられている。
【0017】
作動シリンダ1,6はタンデムシリンダとして設けられており、第1シリンダ段1と第2シリンダ段6とは、長手方向軸線Xに沿ってオフセットされており、ピストン2,3は第1のピストンセグメント2と、これに接続された第2のピストンセグメント3とを有している。第1のピストンセグメント2は第1シリンダ段1に割り当てられていて、第2のピストンセグメント3は第2シリンダ段6に割り当てられている。各シリンダ段1,6は、各ピストンセグメント2,3に力を加えるように構成されている。
【0018】
ピストン2,3は、ピストン2,3が作動シリンダ1,6に対してねじれるのを防止するためのねじれ防止部材7を有している。図示した実施態様では、ねじれ防止部材は、第1シリンダ段1の壁にある隙間10を通って第1のピストンセグメント2から半径方向に突出している。工具ホルダ5には、取り付けられた工具8の少なくとも1つの特性を検出するための少なくとも1つのセンサ11が設けられている。信号線12が設けられていて、この信号線12は、センサ11から第1のピストンセグメント2とねじれ防止部材7とを通り抜けて作動シリンダ1,6の外へと延びている。信号線12に平行して延びるように給電線が設けられていてよい。ねじれ防止部材7の長手方向位置を検出するために位置センサ9が設けられている。
【0019】
工具8は工具ホルダ5に取り付けられていて、工具8は、長手方向軸線Xに対して半径方向でオフセットされている作動軸線Aを有している。オフセットまたは偏心距離は図示されており、符号Eで示されている。符号Yは、管取付け部4に管を位置固定するために、曲げ管の2つの脚が有していなければならない最小間隔を示している。
【0020】
図3Aおよび図3Bを参照しながらさらに管取付け部4について説明する。この管取付け部4は、ノッチ16を有するプレートとして形成されており、ノッチ16内に管が位置固定される。管取付け部4は電子データキャリア15を有している。好適にはセンサ(図示せず)によって、データキャリア15から情報を読み取ることができる。このような情報は、例えばノッチ16の孔径を含んでいてよい。
【0021】
図4Aおよび図4Bを参照しながらさらに、工具8について説明する。工具8は嵌込みコーン14を有している。この嵌込みコーン14は、のちの無はんだ食込み式管継手のために管端部上に食込みリング(図示せず)を取り付けるためのものである。嵌込みコーン14は、長手方向軸線Xから所定の偏心距離Eだけオフセットされている作動軸線Aを有している。工具8にはデータキャリア15が取り付けられていて、ピストン2,3の内側のセンサ11(図1)によって読み取られる。工具の種類および/または工具8の寸法が、例えば、データキャリア15内に記憶されてよい。
【符号の説明】
【0022】
1 作動シリンダ、第1シリンダ段
2 ピストン、第1のピストンセグメント
3 ピストン、第2のピストンセグメント
4 管取付け部
5 工具ホルダ
6 作動シリンダ、第2シリンダ段
7 ねじれ防止部材
8 工具
9 位置センサ
10 隙間
11 工具検出用センサ
12 信号線および/または給電線
14 嵌込みコーン
15 データキャリア
16 ノッチ
X 長手方向軸線
A 工具の作動軸線
E 偏心距離、長手方向軸線から作動軸線までの距離
Y 管の間の最小間隔
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B