IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本圧着端子製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電気コネクタ 図1
  • 特許-電気コネクタ 図2
  • 特許-電気コネクタ 図3
  • 特許-電気コネクタ 図4
  • 特許-電気コネクタ 図5
  • 特許-電気コネクタ 図6
  • 特許-電気コネクタ 図7
  • 特許-電気コネクタ 図8
  • 特許-電気コネクタ 図9
  • 特許-電気コネクタ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H01R13/46 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018158761
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020035547
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 広紀
(72)【発明者】
【氏名】木全 琢也
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076588(JP,A)
【文献】特開2005-196975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組の角形の第1コネクタと角形の第2コネクタで構成し、前記第1コネクタに対して、前記第2コネクタを着脱自在な電気コネクタであって、
前記第1コネクタは、一方の面を矩形に開口した凹部を有する第1ハウジングを備え、
前記第2コネクタは、前記凹部に導入自在な角形のフレーム部を外殻に形成した第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジングは、前記凹部の長手方向と略直交する一対の第1規制壁を前記凹部の一方の内壁に有し、
前記第2ハウジングは、
前記フレーム部の長手方向と略直交する方向に形成した一対の第1側壁と、
前記フレーム部の長手方向に沿って形成した一対の第2側壁と、
一方の前記第2側壁の面から突出した一対の突起と、を有し、
前記突起は、前記フレーム部の底部側に形成していると共に、前記第1側壁と連続し、前記第1規制壁に規制される側面を有し、
前記凹部は、
前記凹部の長手方向の両端部に形成し、前記第1規制壁と略直交する方向に傾動した、傾斜状態の前記第1側壁を逃げる第1逃げ部と、
前記凹部の長手方向と略直交した一方の内壁に形成し、前記第1規制壁と略直交する方向に傾動した、傾斜状態の前記突起を逃げる第2逃げ部と、を有し、
前記フレーム部を前記凹部に導入した状態から前記フレーム部を前記凹部から引き抜くときに、こじり引抜きに起因する前記第1コネクタの損傷を回避でき、
前記第1ハウジングは、前記凹部の長手方向に沿って形成し、前記凹部を囲うと共に、一対の前記第2側壁の嵌合を規制する一対の第2規制壁を有し、
一方の前記第2規制壁は、一対の前記第2逃げ部を両端部に有し、
他方の前記第2規制壁は、一方の前記第2規制壁より低段に形成した段差部を中央部に有し、
前記段差部と他方の前記第2規制壁の端部は、面取り状の傾斜面で連続し、
記第1ハウジングは、自動実装機に設けた吸着パッドで吸着自在な吸着領域を前記凹部の底面に有し、
前記吸着領域は、他方の前記第2規制壁の中央部に切り欠かれ、前記凹部の底面に連続する底面を形成した切り欠き部を含んでいる、 電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1コネクタは、プリント基板に実装できるベースコネクタからなり、
前記第2コネクタは、複数の電線の端末に接続したソケットコネクタからなり、
前記第1ハウジングは、接続端子が前記凹部の底面から突出し、リード端子が前記プリント基板の表面にハンダ接合でき、当該第1ハウジングに固定された複数のピン状の第1コンタクトを有し、
前記第2ハウジングは、結線部が前記電線と結線し、前記結線部と連続した接続部が前記第1コンタクトと接続でき、当該第2ハウジングの内部に配列された複数のベローズ形の第2コンタクトを有している、請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。特に、複数の電線の端末に接続したソケットコネクタと、プリント基板に実装したベースコネクタが着脱自在に嵌合する電気コネクタであって、ベースコネクタからソケットコネクタを引き抜くときに、こじり引抜きに起因するベースコネクタの損傷を回避できる電気コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電線の端末に接続したソケットコネクタとプリント基板に実装したベースコネクタが着脱自在に嵌合する、いわゆる、基板対電線用の電気コネクタが知られている。このような電気コネクタは、ベースコネクタとソケットコネクタとの接続を確実にするため、ロック機構を設けている。
【0003】
例えば、比較的弱い力でロックを解除、又は、ベースコネクタに挿入でき、成形型の構成を簡素化できるロック機構付きソケットコネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-50620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、従来技術による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、ロック機構付きソケットコネクタと、ソケットコネクタが挿抜されるベースコネクタを対向配置した状態図である。
【0006】
図8は、従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタの斜視図である。図9は、従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタと、ベースコネクタが接続状態のときの縦断面図である。
【0007】
図10は、従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタの平面図である。なお、本願の図7から図10は、特許文献1の図1から図4に相当している。
【0008】
図7を参照すると、従来技術による電気コネクタ100は、角形のソケットコネクタ8と角形のベースコネクタ9で構成している。ソケットコネクタ8は、複数の電線Wの端末に接続している。ベースコネクタ9は、プリント基板9pに実装している。
【0009】
図7又は図9を参照すると、ソケットコネクタ8は、絶縁性を有するハウジング81と複数のソケットコンタクト82を備えている。ベースコネクタ9は、絶縁性を有するハウジング91と複数のピンコンタクト92を備えている。
【0010】
図7から図10を参照すると、ハウジング81は、角形のフレーム部81fとロックアーム81rを有している。ロックアーム81rは、一対の支持部811・811でフレーム部81fの一方の面に弾性支持されている(図8参照)。
【0011】
図9を参照して、ロックアーム81rの基端部81bをフレーム部81fの一方の面に向かって押すと、ロックアーム81rの先端部に形成したロック爪81nを持ち上げることができる。ロックアーム81rの基端部81bを解放すると、ロック爪81nを初期の状態に復帰できる。
【0012】
又、図7を参照すると、ハウジング81は、複数のキャビティ81cを有している。これらのキャビティ81cには、電線W付きソケットコンタクト82を収容できる(図9参照)。
【0013】
図9を参照すると、ソケットコンタクト82は、インシュレーションバレル821、コンダクタバレル822、及び、オープンバレル823を有している。インシュレーションバレル821は、電線Wを被覆の上から圧着することで、電線Wを固定している。コンダクタバレル822は、電線Wの芯線Wcを圧着することで、電線Wの芯線Wcと電気的に接続している。オープンバレル823にピンコンタクト92が導入されると、オープンバレル823は、ピンコンタクト92を挟持することで、ピンコンタクト92と電気的に接続できる。
【0014】
図7を参照すると、ハウジング91は、矩形に開口した凹部91cを有している。凹部91cには、ハウジング81のフレーム部81fを導入できる(図9参照)。図7を参照して、ソケットコネクタ8をベースコネクタ9に向かって移動すると(図中、矢印Aの方向)、フレーム部81fの外壁が凹部91cの内壁に規制されて、ソケットコネクタ8を一定の深さまで挿入できる。
【0015】
図7を参照すると、プリント基板9pに対して、ソケットコネクタ8を垂直方向に移動することで、ベースコネクタ9と結合できるので、このような電気コネクタは、一般的に、垂直取付形コネクタ、又はトップコネクタと呼ばれている。
【0016】
又、図7を参照すると、ハウジング91は、山脈状のラッチ部91rを外壁の一方の面に形成している。ソケットコネクタ8をベースコネクタ9に向かって移動すると、ロックアーム81rのロック爪81nがラッチ部91rを乗り越えた後に、ロック爪81nが弾性復帰してラッチ部91rに係止できる(図9参照)。つまり、ベースコネクタ9に対して、ソケットコネクタ8をロックできる。
【0017】
図9を参照すると、ピンコンタクト92は、その中間部がハウジング91の底壁に固定されている。ピンコンタクト92の一端部側は、凹部91cの底面から突出している。ピンコンタクト92の一端部側は、ソケットコンタクト82と電気的に接続できる。
【0018】
又、図9を参照すると、ピンコンタクト92の他端部側は、ハウジング91の底面から突出している。ピンコンタクト92の他端部側は、プリント基板9pに形成した図示しないスルーホールにはんだ接合できる。そして、ピンコンタクト92とプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0019】
しかし、図7から図10を参照して、ベースコネクタ9に対して、ソケットコネクタ8のロックを解除後に、ソケットコネクタ8をベースコネクタ9から引き抜くときに(図中、矢印Bの方向)、ハウジング91に対して、ハウジング81を傾けた状態でソケットコネクタ8を引き抜くと、過剰なこじり力がハウジング91に作用して、ハウジング91の外壁を損傷させる心配があった。ソケットコネクタ8をベースコネクタ9から引き抜く操作は、手動によるので、こじりによる引抜きを防止することは、困難であった。ハウジング91の外壁の肉厚を厚くすれば、ハウジング91の外壁を損傷させる心配は無くなるが、プリント基板9pの実装領域を減少させるという問題や、ソケットコネクタ8側が損傷するという問題がある。
【0020】
ベースコネクタからソケットコネクタを引き抜くときに、こじり引き抜きに起因するコネクタの損傷を回避できる電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ベースコネクタからソケットコネクタを引き抜くときに、こじり引き抜きに起因するコネクタの損傷を回避できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、第1ハウジングには、凹部の長手方向と略直交する一対の第1規制壁を凹部の一方の内壁に設け、第2ハウジングには、一方の第2側壁の面から突出した一対の突起を設け、凹部には、傾斜状態の第2ハウジングの第1側壁を逃げる第1逃げ部と、傾斜状態の第2ハウジングの突起を逃げる第2逃げ部と、を設けることで、第2ハウジングを凹部に導入した状態から第2ハウジングを凹部から引き抜くときに、こじり引抜きに起因するコネクタの損傷を回避できると考え、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0023】
(1)本発明による電気コネクタは、一組の角形の第1コネクタと角形の第2コネクタで構成し、前記第1コネクタに対して、前記第2コネクタを着脱自在な電気コネクタであって、前記第1コネクタは、一方の面を矩形に開口した凹部を有する第1ハウジングを備え、前記第2コネクタは、前記凹部に導入自在な角形のフレーム部を外殻に形成した第2ハウジングを備え、前記第1ハウジングは、前記凹部の長手方向と略直交する一対の第1規制壁を前記凹部の一方の内壁に有し、前記第2ハウジングは、前記フレーム部の長手方向と略直交する方向に形成した一対の第1側壁と、前記フレーム部の長手方向に沿って形成した一対の第2側壁と、一方の前記第2側壁の面から突出した一対の突起と、を有し、前記突起は、前記フレーム部の底部側に形成していると共に、前記第1側壁と連続し、前記第1規制壁に規制される側面を有し、前記凹部は、前記凹部の長手方向の両端部に形成し、前記第1規制壁と略直交する方向に傾動した、傾斜状態の前記第1側壁を逃げる第1逃げ部と、前記凹部の長手方向と略直交した一方の内壁に形成し、前記第1規制壁と略直交する方向に傾動した、傾斜状態の前記突起を逃げる第2逃げ部と、を有し、前記フレーム部を前記凹部に導入した状態から前記フレーム部を前記凹部から引き抜くときに、こじり引抜きに起因する前記第1コネクタの損傷を回避できる。
【0024】
(2)前記第1ハウジングは、前記凹部の長手方向に沿って形成し、前記凹部を囲うと共に、一対の前記第2側壁の嵌合を規制する一対の第2規制壁を有し、一方の前記第2規制壁は、一対の前記第2逃げ部を両端部に有し、他方の前記第2規制壁は、一方の前記第2規制壁より低段に形成した段差部を中央部に有し、前記段差部と他方の前記第2規制壁の端部は、面取り状の傾斜面で連続していることが好ましい。
【0025】
(3)前記第1ハウジングは、自動実装機に設けた吸着パッドで吸着自在な吸着領域を前記凹部の底面に有し、前記吸着領域は、他方の前記第2規制壁の中央部に切り欠かれ、前記凹部の底面に連続する底面を形成した切り欠き部を含んでいることが好ましい。
【0026】
(4)前記第1コネクタは、プリント基板に実装できるベースコネクタからなり、前記第2コネクタは、複数の電線の端末に接続したソケットコネクタからなり、前記第1ハウジングは、接続端子が前記凹部の底面から突出し、リード端子が前記プリント基板の表面にハンダ接合でき、当該第1ハウジングに固定された複数のピン状の第1コンタクトを有し、前記第2ハウジングは、結線部が前記電線と結線し、前記結線部と連続した接続部が前記第1コンタクトと接続でき、当該第2ハウジングの内部に配列された複数のベローズ形の第2コンタクトを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明による電気コネクタは、第1ハウジングには、凹部の長手方向と略直交する一対の第1規制壁を凹部の一方の内壁に設け、第2ハウジングには、一方の第2側壁の面から突出した一対の突起を設け、凹部には、傾斜状態の第2ハウジングの第1側壁を逃げる第1逃げ部と、傾斜状態の第2ハウジングの突起を逃げる第2逃げ部と、を設けることで、第2ハウジングを凹部に導入した状態から第2ハウジングを凹部から引き抜くときに、こじり引抜きに起因するコネクタの損傷を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、電気コネクタを構成する第1コネクタと第2コネクタを対向配置した状態図である。
図2】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、電気コネクタを構成する第1コネクタと第2コネクタが接続した状態図である。
図3】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、図1と反対方向から電気コネクタを観た状態図である。
図4】前記実施形態による電気コネクタを構成する第1コネクタの斜視図であり、図4(A)は、第1コネクタの全体構成図、図4(B)は、第1コネクタの要部拡大図である。
図5】前記実施形態による電気コネクタを構成する第1コネクタの要部を拡大した平面図であり、図5(A)は、第2コネクタが接続されていない状態図、図5(B)は、第2コネクタが接続された状態図である。
図6】前記実施形態による電気コネクタを構成する第2コネクタに備わる第2コンタクトを拡大した斜視図である。
図7】従来技術による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、ロック機構付きソケットコネクタと、ソケットコネクタが挿抜されるベースコネクタを対向配置した状態図である。
図8】従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタの斜視図である。
図9】従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタと、ベースコネクタが接続状態のときの縦断面図である。
図10】従来技術による電気コネクタを構成するロック機構付きソケットコネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[電気コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を説明する。なお、従来技術で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略する場合がある。
【0030】
(全体構成)
図1から図6を参照すると、本発明の一実施形態による電気コネクタCNは、一組の角形の第1コネクタ(以下、ベースコネクタという)10と角形の第2コネクタ(以下、ソケットコネクタという)20で構成している。電気コネクタCNは、ベースコネクタ10に対して、ソケットコネクタ20を着脱できる(図1から図3参照)。
【0031】
図1から図3を参照すると、ベースコネクタ10は、プリント基板9pに実装している。ソケットコネクタ20は、複数の電線Wの端末に接続している。ベースコネクタ10は、絶縁性を有する第1ハウジング1と複数のピン状の第1コンタクト3を備えている。ソケットコネクタ20は、絶縁性を有する第2ハウジング2と複数のベローズ形の第2コンタクト4を備えている(図1又は図6参照)。
【0032】
図1又は図4及び図5(A)を参照すると、第1ハウジング1は、一方の面を矩形に開口した凹部11を有している。図1又は図3を参照すると、第2ハウジング2は、角形のフレーム部2fを外殻に形成している。フレーム部2fは、第1ハウジング1の凹部11に導入できる(図2参照)。
【0033】
図1又は図4及び図5を参照すると、第1ハウジング1は、一対の第1規制壁11w・11wを凹部11の一方の内壁に形成している。一対の第1規制壁11w・11wは、凹部11の長手方向と略直交している。
【0034】
一方、図1又は図3及び図5(B)を参照すると、第2ハウジング2は、一対の第1側壁21w・21wと一対の第2側壁22w・22wを有している。一対の第1側壁21w・21wは、フレーム部2fの長手方向と略直交する方向に形成している。一対の第2側壁22w・22wは、フレーム部2fの長手方向に沿って形成している。
【0035】
図1又は図3及び図5(B)を参照すると、第2ハウジング2は、一対の四角柱状の突起21b・21bを更に有している。一対の突起21b・21bは、一方の第2側壁22wの面から突出している。
【0036】
図1又は図3及び図5(B)を参照すると、一対の突起21b・21bは、フレーム部2fの底部側に形成している。又、一対の突起21b・21bは、第1側壁21wと連続し、第1規制壁11wに規制される側面21sを有している。
【0037】
又、図1から図5を参照すると、凹部11は、一対の第1逃げ部11e・11eと一対の第2逃げ部12e・12eを形成している。一対の第1逃げ部11e・11eは、凹部11の長手方向の両端部に形成している。第1逃げ部11eは、第1規制壁11wと略直交する方向に傾動した、傾斜状態の第1側壁21wを逃げることができる(図5(B)参照)。
【0038】
図1又は図4及び図5を参照すると、一対の第2逃げ部12e・12eは、凹部11の長手方向と略直交した一方の内壁に形成している。第2逃げ部12eは、第1規制壁11wと略直交する方向に傾動した、傾斜状態の突起21bを逃げることができる(図5(B)参照)。
【0039】
図1から図5を参照すると、実施形態による電気コネクタCNは、第1ハウジング1には、凹部11の長手方向と略直交する一対の第1規制壁11w・11wを凹部11の一方の内壁に設け、第2ハウジング2には、一方の第2側壁22wの面から突出した一対の突起21b・21bを設け、凹部11には、傾斜状態の第2ハウジング2の第1側壁21wを逃げる第1逃げ部11eと、傾斜状態の第2ハウジング2の突起21bを逃げる第2逃げ部12eと、を設けることで、第2ハウジング2を凹部11に導入した状態から第2ハウジング2を凹部11から引き抜くときに、こじり引抜きに起因するベースコネクタ10の損傷を回避できる。
【0040】
(第1ハウジングの構成)
次に、実施形態による第1ハウジング1の構成を説明する。図1又は図3から図5を参照すると、第1ハウジング1は、一対の第2規制壁12w・13wを有している。一対の第2規制壁12w・13wは、凹部11の長手方向に沿って形成している。一方の第2規制壁12wは、一対の第2逃げ部12e・12eを両端部に有している。又、一方の第2規制壁12wは、三つに区画している(図1又は図4(A)参照)。
【0041】
図1又は図3から図5を参照すると、他方の第2規制壁13wは、段差部13dを中央部に有している。段差部13dは、一方の第2規制壁12wより低段に形成している。又、段差部13dと他方の第2規制壁13wの端部は、面取り状の傾斜面13sで連続している。これにより、第2ハウジング2を凹部11に導入した状態から(図2参照)、図2の矢印Xの方向に傾動した状態で、第2ハウジング2を凹部11から引き抜くときに、他方の第2規制壁13wの損傷を回避できる。
【0042】
図4を参照すると、第1ハウジング1は、吸着領域11vを凹部11の底面に有している。吸着領域11vは、切り欠き部11kを含んでいる(図1から図3参照)。切り欠き部11kは、他方の第2規制壁13wの中央部に切り欠かれている。又、切り欠き部11kは、凹部11の底面に連続する底面を形成している。
【0043】
図1から図3及び図4(B)を参照して、自動実装機に設けた吸着パッド(図示せず)を吸着領域11vに当接し、第1ハウジング1の凹部11の底面を吸着することで、ベースコネクタ10をプリント基板9pに移動できる。
【0044】
図1又は図4(A)を参照すると、第1ハウジング1は、一組のロックレバー12r・12rを凹部11の一方の内壁に有している。これらのロックレバー12r・12rは、凹部11の底面から起立している。又、ロックレバー12rは、ロック爪12nを先端部に形成している。ロック爪12nは、凹部11の中央部に向って突出している。
【0045】
一方、図3を参照すると、第2ハウジング2は、複数の係止突起22bを有している。複数の係止突起22bは、第2ハウジング2の一方の第2側壁22wの面から突出している。
【0046】
図1又は図3を参照して、ソケットコネクタ20をベースコネクタ10に向かって移動すると、係止突起22nがロックレバー12rのロック爪12nを乗り越えた後に、ロック爪12nが弾性復帰して係止突起22bに係止できる。つまり、ベースコネクタ10に対して、ソケットコネクタ20をロックできる(図2参照)。係止突起22bがロックレバー12rのロック爪12nを乗り越える強い力で、ベースコネクタ10に対して、ソケットコネクタ20を引き抜くことで、ロックを解除できる。
【0047】
図1から図5を参照すると、実施形態によるベースコネクタ10は、第1コンタクト3の極数が25極のコネクタを開示している。例えば、ソケットコネクタ20を26極のコネクタで構成すると、一対の突起21b・21bが一対の第1規制壁11w・11wで阻止されるので(図5(B)参照)、ベースコネクタ10とソケットコネクタ20との誤接続を防止できる。
【0048】
一方、図5(B)を参照して、例えば、ソケットコネクタ20を24極のコネクタで構成すると、一対の突起21b・21bが一対の第1規制壁11w・11wに対向する対向壁で阻止されるので、ベースコネクタ10とソケットコネクタ20の接続との誤接続を防止できる。このように、一対の突起21b・21bは、異極のコネクタの嵌合を防止する誤挿入防止キーを構成している。
【0049】
(第2ハウジングの構成)
次に、実施形態による第2ハウジング2の構成を説明する。図5(B)を参照すると、第2ハウジング2は、第1スロット(図示せず)と第2スロット22を有している。図示しない第1スロットは、第2ハウジング2の底面から窪んでいる。そして、図示しない第1スロット31には、第2コンタクト4を収容できる(図6参照)。
【0050】
図5(B)を参照すると、第2スロット22は、図示しない第1スロットと連通している。第2スロット22には、電線Wの端末を絶縁被覆した状態で外周方向から導入できる(図1から図3参照)。第2スロット22は、電線Wが第2ハウジング2から離反困難にΩ字状に開口側が狭まっている。
【0051】
図5(B)を参照して、電線Wの端末をその外周方向から第2スロット22に導入すると、電線Wの端末を第2ハウジング2に固定できる。又、電線Wの端末をその外周方向から第2スロット22に導入すると、第2コンタクト4と電線Wの芯線Wcを電気的に接続できる(図6参照)。
【0052】
(第1コンタクトの構成)
次に、実施形態による第1コンタクト3の構成を説明する。図1から図3を参照すると、第1コンタクト3は、導電性を有している。導電性の金属板を打ち抜き加工して、所望の形状の導電性のピン状の第1コンタクト3を得ることができる。第1コンタクト3は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0053】
図4又は図5を参照すると、第1コンタクト3は、リード端子3rを有している。リード端子3rは、接続端子3cと連続している。リード端子3rをプリント基板9pの表面にあるパターン(図示せず)にハンダ接合することで、ベースコネクタ10をプリント基板9pに実装できる(図1から図3参照)。
【0054】
図4又は図5を参照すると、第1コンタクト3は、接続端子3cに対してリード端子3rをプリント基板9pの表面に実装するため、略直角に屈曲させている。接続端子3cは、凹部11の底面から突出している。接続端子3cを第1ハウジング1の底部側から圧入することで、第1コンタクト3を第1ハウジング1に固定できる。第1コンタクト3の一部を第1ハウジング1に一体成形することで、第1コンタクト3を第1ハウジング1に固定することもできる。
【0055】
(第2コンタクトの構成)
次に、実施形態による第2コンタクト4の構成を説明する。図6を参照すると、第2コンタクト4は、導電性を有している。導電性の金属板を打ち抜き加工して、所望の形状の導電性の第2コンタクト4を得ることができる。第2コンタクト4は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0056】
図6を参照すると、第2コンタクト4は、結線部4aと接続部4bを備えている。結線部4aは、電線Wの端末を圧接接続により結線できる。接続部4bは、第1コンタクト3の接続端子3cと接続できる(図4又は図5(B)参照)。
【0057】
図6を参照すると、結線部4aは、帯状の第1固定板41と一組の圧接片41a・41bを有している。第1固定板41は、電線Wの端末をその外周方向から一方の面に載置できる。一方の圧接片41aは、第1固定板41の先端部から略直角に折り曲げている。他方の圧接片41bは、第1固定板41の中間部からUターンした状態で起立している。又、一組の圧接片41a・41bは、電線Wの芯線を外周方向から導入自在な切り欠き溝41dを第1固定板41の一方の面に向って切り欠いている。
【0058】
図6を参照すると、接続部4bは、帯状の第2固定板42と弾性片43を有している。第2固定板42は、第1固定板41の先端部から、第1固定板41の他方の面に第2固定板42の一方の面が密着している。そして、第2固定板42は、一方の圧接片41aに向かって延在している。
【0059】
図6を参照すると、弾性片43は、第2固定板42の先端部から第2固定板42の他方の面に向って反転している。又、弾性片43は、第2固定板42の基端部に向かって、弾性片43の先端部が上り傾斜した状態で配置されている。
【0060】
図6を参照すると、弾性片43は、接点部43sを先端部に有している。接点部43sは、所定の間隙を設けて、第2固定板42の他方の面と対向配置されている。第2固定板42の基端部と弾性片43の先端部の間から、弾性片43の基端部に向けて、第1コンタクト3の接続端子3cを挿入できる(図4又は図5(B)参照)。
【0061】
図5(B)又は図6を参照すると、第2コンタクト4は、第2ハウジング2の図示しない第1スロットに保持されている。電線Wの端末をその外周方向から第2スロット22に導入すると、一組の圧接片41a・41bが電線Wの被覆を剥離し、電線Wの芯線Wcと電気的に接続できる(図6参照)。
【0062】
[電気コネクタの作用]
次に、実施形態による電気コネクタCNの作用及び効果を説明する。
【0063】
図1から図6を参照すると、実施形態による電気コネクタCNは、第1ハウジング1には、凹部11の長手方向と略直交する一対の第1規制壁11w・11wを凹部11の一方の内壁に設け、第2ハウジング2には、一方の第2側壁22wの面から突出した一対の突起21b・21bを設け、凹部11には、傾斜状態の第2ハウジング2の第1側壁21wを逃げる第1逃げ部11eと、傾斜状態の第2ハウジング2の突起21bを逃げる第2逃げ部12eと、を設けることで、第2ハウジング2を凹部11に導入した状態から第2ハウジング2を凹部11から引き抜くときに、第2ハウジング2がY1方向又はY2方向に傾動していても(図1又は図2参照)、こじり引抜きに起因するベースコネクタ10の損傷を回避できる。
【0064】
図1又は図3から図5を参照すると、段差部13dと他方の第2規制壁13wの端部は、面取り状の傾斜面13sで連続している。これにより、第2ハウジング2を凹部11に導入した状態から(図2参照)、図2の矢印Xの方向に傾動した状態で、第2ハウジング2を凹部11から引き抜くときに、他方の第2規制壁13wの損傷を回避できる。
【0065】
又、図1又は図2及び図4を参照すると、第1ハウジング1は、自動実装機に設けた吸着パッド(図示せず)で吸着自在な吸着領域11vを凹部11の底面に有し、吸着領域11vは、他方の第2規制壁13wの中央部に切り欠かれ、凹部11の底面に連続する底面を形成した切り欠き部11kを含んでいる。これにより、自動実装機に設けた吸着パッド(図示せず)でベースコネクタ10を移送できる。
【0066】
本発明は、第1コネクタから第2コネクタを引き抜くときに、こじり引き抜きに起因する第1コネクタの損傷を回避できる電気コネクタを提供できる。
【0067】
本発明による電気コネクタは、第1コネクタが実装されたプリント基板に対して、第2コネクタを垂直方向に移動することで、第1コネクタと結合できるトップコネクタを実施形態では開示したが、本発明による電気コネクタは、第1コネクタが実装されたプリント基板に対して、第2コネクタを水平方向に移動することで、第1コネクタと結合できるサイドコネクタにも適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 第1ハウジング
2 第2ハウジング
2f フレーム部
10 ベースコネクタ(第1コネクタ)
11 凹部
11e 第1逃げ部
11w・11w 一対の第1規制壁
12e 第2逃げ部
20 ソケットコネクタ(第2コネクタ)
21b・21b 一対の突起
21s 突起の側面
21w・21w 一対の第1側壁
22w・22w 一対の第2側壁
CN 電気コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10