(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】抗老化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/164 20060101AFI20221026BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221026BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20221026BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A61K31/164
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61P17/00
A61K8/42
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2018554590
(86)(22)【出願日】2017-04-07
(86)【国際出願番号】 KR2017003823
(87)【国際公開番号】W WO2017188622
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2016-0051561
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516004905
【氏名又は名称】ネオファーム シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】NEOPHARM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】チョン セ キョ
(72)【発明者】
【氏名】パク ブ-マン
(72)【発明者】
【氏名】ユ キョン スク
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ウー
(72)【発明者】
【氏名】シン ヘ ソン
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-521376(JP,A)
【文献】特表2008-518908(JP,A)
【文献】Arch Pharm Chem,2009年,342,34-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/164
A61P 43/00
A61P 17/00
A61K 8/42
A61Q 19/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
[化学式1]
【化1】
(化学式1中、
R
1は、直鎖
状C5アルキルであり;
R
2は、
【化2】
である。)
【請求項2】
コラーゲンの生合成を促進する、請求項1に記載の皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
【請求項3】
前記化合物は、組成物の総重量に対して0.001~50重量%で含まれる、請求項1に記載の皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
【請求項4】
医薬組成物または化粧料組成物である、請求項1に記載の皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物は、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、または噴霧剤に剤型化したものである、請求項4に記載の皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
【請求項6】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パウダー、エッセンス、またはパックに剤型化したものである、請求項4に記載の皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化用組成物に関し、より詳細には、コラーゲンの生合成を促進する化合物を有効成分とする皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進のための抗老化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外部環境から人体を保護し、内部の水分および有用成分が外に流出されることを防ぐバリアー機能、体温調節、または排泄などの様々な生理的機能を担っている重要な器官である。通常、皮膚は、様々な外部刺激と接する機会が多いため、他の器官に比べてしわが生じやすい。中でも、顔の皮膚は、太陽光、乾燥な環境、公害物質などに直接暴露することになるため、外部に暴露しない皮膚に比べてしわなどの老化現象が早期に発生する。皮膚組織の老化による最も特徴的な変化は皮膚基質(skin matrix)の変化であって、真皮層にあるヒト皮膚繊維芽細胞(human skin fibroblast)が老化して繊維質と基質の生成能力が低減することとなり、基質の量が全体的に減少して皮膚の厚さが薄くなり、皮膚の弾力が低下することによりしわが形成されるのである。すなわち、老化が進むにつれて、皮膚の弾力性の低下、血液循環の障害、皮膚バリアーの弱化などがさらに激しくなる。
【0003】
近年、大韓民国内に機能性化粧品が導入された後、新素材の開発の重要性が高まっており、機能性新原料が活発に開発されているが、実際に商業化に至った皮膚しわ改善および皮膚弾力増進のための抗老化用機能性原料はあまり多くない。皮膚しわを改善するための研究の方向は、皮膚老化を促進させる紫外線、活性酸素、乾燥皮膚などのような環境要因を除去することで皮膚老化自体を遅延させること、皮膚しわの生成メカニズムに関する研究結果に基づき、エラスチナーゼの阻害、コラーゲンの生合成促進および分解抑制、ヒアルロン酸の合成促進などの予防対策を講じること、コラーゲンやヒアルロン酸を直ちに注入することで、生成された皮膚しわを緩和させたり、減少された皮膚基質成分や細胞を補充することで、発生した皮膚しわを改善すること、などに大別される。
【0004】
現在、皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進のための最も代表的な抗老化用機能性原料としては、レチノイド(retinoids)、ビタミンCなどが挙げられる。レチノイドの中でも、レチノイン酸(retinoic acid)は強い抗老化用治療剤として用いられているが、皮膚に強い刺激性を有しているため、治療剤としては制限的に用いられている。皮膚刺激が比較的少ないレチノール、パルミチン酸レチノールなどが化粧品素材として広く用いられている。しかしながら、レチノール、パルミチン酸レチノールなどは、光を受けた際に光によって変性して皮膚に刺激を引き起こす光毒性と、その安定性が問題となっている。また、ビタミンCも広く用いられているしわ改善治療剤であるが、強い酸性によって皮膚刺激を誘発し、物質自体の安定性が低いという欠点がある。
【0005】
したがって、既存の抗老化用組成物よりも生体に安全であり、且つ効果の高い新しい抗老化用化粧料組成物の開発が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進のための抗老化用組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記抗老化用組成物を皮膚に塗布することで、皮膚のコラーゲン生合成を促進し、皮膚しわの改善および皮膚弾力の増進に有用な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む抗老化用組成物を提供する。
【0009】
[化学式1]
【化1】
(化学式1中、
R
1は、それぞれ独立して、水素、直鎖(C1~C30)アルキル、直鎖(C2~C30)アルケニル、直鎖(C2~C30)アルキニル、直鎖(C1~C30)アルコキシ、または直鎖ヒドロキシ(C1~C30)アルキルであり;
R
2は、
【化2】
または置換されているか若しくは置換されていないアミノ酸基であり、式中、R
11はヒドロキシ(C1~C30)アルキルである。)
【0010】
本発明の一態様による抗老化用組成物は、前記化合物の、コラーゲンの生合成の促進による皮膚しわ改善および皮膚弾力増進用という新しい用途を提供する。
【0011】
本発明は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含むインビトロコラーゲン合成促進剤を提供する。この際、前記コラーゲン合成促進剤は、コラーゲン合成促進用組成物を意味し得る。
【0012】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含む抗老化用組成物を皮膚に塗布することで、皮膚しわを改善し、且つ皮膚弾力を増進させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による抗老化用組成物は、優れた安定性を有し、人体に無害であるだけでなく、コラーゲン生合成を促進することで、皮膚しわを改善し、且つ皮膚弾力を増進させる効果が著しく高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1において、抗老化用組成物の処理による1型コラーゲンの数値を確認した図である。
【
図2】実施例2において、抗老化用組成物の処理による表皮下の真皮層の膠原繊維を確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による抗老化用組成物について以下で説明するが、ここで用いられる技術用語および科学用語は、他に定義されない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明において、本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能および構成についての説明は省略する。
【0016】
本発明で用いられる用語「抗老化」は、皮膚保護および皮膚状態の改善、皮膚美白、皮膚老化およびしわの予防または改善、毛穴の収縮、縮小、皮膚保護、皮膚バリアー機能の改善、皮膚刺激の緩和、皮膚細胞の増殖および再生能、抗酸化能、コラーゲン合成増進能などを全て含む概念であり、特に、コラーゲン合成増進能を有することを意味する。
【0017】
本発明で用いられる用語「塗布」は、任意の適切な方法により、個体の皮膚に本発明による組成物を接触させることを意味し、これにより、該当組成物を皮膚の内部まで吸収させることを目的とする。
【0018】
本発明で用いられる用語「予防」は、本発明による組成物の塗布により、しわの発生を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、本発明で用いられる用語「改善」は、本発明による組成物の塗布により、しわの状態が好転または良好に変化するか、皮膚弾力が以前より高くなるか、老化による皮膚の弾力消失が遅延される全ての行為を意味する。
【0019】
本発明で用いられる用語「しわ」は、皮膚が衰えて生じた細かい線を意味し、遺伝子による原因、皮膚の真皮に存在するコラーゲンとエラスチンの減少、外部環境などによって誘発され得る。また、「弾力」は、皮膚の真皮層に存在するエラスチン(elastin)で構成された弾力繊維によって現れる弾性を意味し、このような弾力繊維は、ゴムのように非常に低い弾性係数を有しているため、小さい力によっても変形しやすく、またその力が除去された際には原形に戻る。この際、前記弾力繊維は、エラスチンという無定形の基質に細毛繊維(microfibrils)が組み込まれた形態を有しており、エラスチンは、リジン由来のデスモシン(desmosine)とイソデスモシン(isodesmosine)という弾力繊維でのみ発見される非常に独特のアミノ酸で構成されたタンパク質である。かかるデスモシンとイソデスモシンなどは、長いペプチド鎖中で架橋(cross‐links)を形成しているが、このような構造が、エラスチンがゴムのような性質を有するようにする。
【0020】
本出願人は、抗老化に強い効果を有し、且つ剤型安定性に優れた新しい原料について鋭意研究した結果、抗炎効果を有する下記化学式1で表される化合物が、皮膚しわの改善、皮膚弾力の増進効果を有することを見出し、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含有する抗老化用組成物を提供するために本発明を完成した。
【0021】
[化学式1]
【化3】
(化学式1中、
R
1は、それぞれ独立して、水素、直鎖(C1~C30)アルキル、直鎖(C2~C30)アルケニル、直鎖(C2~C30)アルキニル、直鎖(C1~C30)アルコキシ、または直鎖ヒドロキシ(C1~C30)アルキルであり;
R
2は、
【化4】
または置換されているか若しくは置換されていないアミノ酸基であり、式中、R
11はヒドロキシ(C1~C30)アルキルである。)
【0022】
本発明に記載の「アルキル」、「アルコキシ」、およびその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖状を全て含む。また、本発明によるアルキル、アルコキシ、およびヒドロキシアルキルは、1~7の炭素原子を直鎖形状で有するもの、即ち、1~7の炭素原子の直鎖形状を有するものが優先されるが、炭素数8~30を有するものも本発明の一態様であることはいうまでもない。
【0023】
また、本発明に記載の「アルケニル」は、二重結合を1つ以上含む直鎖状の炭化水素であって、一例として、エテニル、プロパ‐1‐エン‐1‐イル、プロパ‐1‐エン‐2‐イル、プロパ‐2‐エン‐1‐イル、プロパ‐2‐エン‐2‐イル、ブタ‐1‐エン‐1‐イル、ブタ‐1‐エン‐2‐イル、2‐メチル‐プロパ‐1‐エン‐1‐イル、ブタ‐2‐エン‐1‐イル、ブタ‐2‐エン‐2‐イル、ブタ‐1,3‐ジエン‐1‐イル、ブタ‐1,3‐ジエン‐2‐イルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に記載の「アルキニル」は、三重結合を1つ以上含む直鎖状の炭化水素であって、一例として、エチニル、プロパ‐1‐イン‐1‐イル、プロパ‐2‐イン‐1‐イル、ブタ‐1‐イン‐1‐イル、ブタ‐1‐イン‐3‐イル、ブタ‐3‐イン‐1‐イルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の一態様による抗老化用組成物において、前記化合物は、溶解度および溶媒との相溶性に優れており、生体に安全であるだけでなく、皮膚繊維芽細胞の1型(Type‐1)および3型(Type‐3)のコラーゲン生合成を促進することで、皮膚の弾力を向上させ、皮膚しわを改善する効果が高いという点から、前記化合物のR1は、直鎖状の(C1~C20)アルキル、(C1~C20)アルコキシ、またはヒドロキシ(C1~C20)アルキルであることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様による前記化合物は非常に安定した物質であって、剤型の開発が容易であり、皮膚バリアー機能異常、表皮過増殖などの皮膚副作用がなく、特に、1型(Type‐1)のコラーゲン生合成能に優れるという点から、前記化合物のR1は直鎖状の(C1~C5)アルキルであり、R2は下記構造から選択されるものであることがより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0026】
【化5】
(前記構造中、
R
21およびR
22は、それぞれ独立して、水素または(C1~C7)アルキルである。)
【0027】
本発明の一態様による抗老化用組成物において、前記化合物のR21およびR22は、それぞれ独立して、メチル、エチル、およびプロピルから選択されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0028】
また、本出願人は、ヒト由来の繊維芽細胞の培養液に本発明の組成物を投与した後、生合成された2種のコラーゲンの量を測定した結果、前記化学式1で表される化合物およびそれを有効成分として含む抗老化用組成物が、コラーゲン、より具体的には1型(Type‐1)および3型(Type‐3)のコラーゲン生合成の促進において優れた効果を有することを証明することで、前記化学式1で表される化合物およびそれを有効成分として含む抗老化用組成物が、皮膚の弾力向上および皮膚しわの改善効果に有用であるという事実を明らかにした。また、細胞の増殖を誘導しない範囲の濃度で毒性を示さないことを確認することで、これらが非常に安全であることを明らかにした。
【0029】
すなわち、本発明の一態様による抗老化用組成物は、皮膚外用剤として、コラーゲンの生合成を促進することで、抗老化に有用な効果を奏するだけでなく、従来に抗老化に有用であったレチノイドなどが有する皮膚バリアー機能異常、表皮過形成などの皮膚副作用をもたらすことがなく、非常に安定であって、剤型の開発が容易であるため、化粧料組成物、医薬組成物などに安全で且つ効果的に活用可能であると期待される。
【0030】
特に限定されるものではないが、本発明の一態様による化粧料組成物、医薬組成物などの抗老化用組成物は、有効成分として、前記化合物が組成物の総重量に対して0.001~50重量%で含まれることが好ましく、0.01~30.0重量%で含まれることがより好ましい。
【0031】
以下、本発明の一態様による抗老化用化粧料組成物について詳細に説明する。
【0032】
本発明による化粧料組成物は、前記化合物とともに、抗老化増進のために当業界に公知されたしわ改善用成分として、レチノイン酸、TGF、動物胎盤由来のタンパク質、ベツリン酸、およびクロレラエキスからなる群から選択される1つ以上のしわ改善成分をさらに含んでもよいことはいうまでもない。この際、追加のしわ改善用成分は、化粧料組成物の総重量に対して0.000001重量%~10重量%で含まれてもよく、前記重量%は、コラーゲン合成促進活性、皮膚安全性、化学式1で表される化合物との剤型化時における容易性などの要件に応じて調節されることができる。
【0033】
また、本発明の一態様による化粧料組成物は、精製水、安定化剤、乳化剤、粘増剤、保湿剤、液晶膜強化剤、pH調節剤、抗菌剤、水溶性高分子、被膜剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、香料などから選択される1つ以上の水性添加剤;および油脂類、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸油、高級アルコール、合成エステル油、およびシリコーン油などから選択される1つ以上の油性添加剤;から選択される1つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0034】
この際、前記水性添加剤としては、当業界で一般に用いられる原料であれば限定されず、具体例として、グリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、ソルビトール、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ポリブチレングリコール‐10、ポリグリセリン‐3、ポリグリセリン‐4、ポリグリセリン‐6、ポリグリセリン‐10、ポリグリセリン‐20、ポリグリセリン‐40、ソルベス‐5、ソルベス‐6、ソルベス‐20、ソルベス‐30、ソルベス‐40、イノシトール、マルチトール、マルトース、マンナン、マンニトール、マンノース、ラクチトール、ラクトース、ジヒドロキシプロピルPG‐グルコシド、ジチアオクタンジオール、フラクトース、グルカミン、メチルグルカミン、グルコース、1,2,6‐ヘキサンチオール、メチルグルセス‐10、メチルグルセス‐20、オゾン化グリセリン、フィタントリオール、チオグリセリン、トレイトール、トリメチロールプロパン、キシリトール、EDTA、グアーガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、澱粉、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアーガム、カルボキシメチルグアーガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、1,2‐ヘクサンジオール、エチルヘキシルグリセリンなどから選択される1種以上が挙げられる。また、前記油性添加剤としては、当業界で一般に用いられる原料であれば限定されず、オリーブ油、ツバキ油、ホホバ油、トリグリセリド、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンなどの液状油脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、硬化油、硬化ヒマシ油などの固体油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ホホバロウなどが挙げられる。炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などのワックス類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどが挙げられ、合成エステル油としては、イソプロピルミリステート、セチルオクタノエート、オクチルドデシルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、ミリスチルミリステート、セチルラクテート、イソセチルイソステアレート、ネオペンチルグリコールジカプレート、エチルヘキシルグリセリン、セチルエチルヘキサノエート、エチルヘキシルパルミテート、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどの鎖状シリコーン油、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン油などから選択されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
発明の一態様による化粧料組成物は、本発明に特に開示された製造方法の他にも、通常公知された製造方法を用いて、一般の乳化剤型および可溶化剤型などの形態で製造可能であることはいうまでもない。この際、前記化粧料組成物は、目的に応じて適宜選択されることができ、具体例として、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パウダー、エッセンス、パックなどからなる群から選択される剤型に剤型化したものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0036】
以下、本発明の一態様による抗老化用医薬組成物について詳細に説明する。
【0037】
本発明の一態様による前記抗老化用医薬組成物は、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる方法に従って、薬学的に許容される担体を含んでもよい。前記抗老化用医薬組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、製剤に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、またはミネラルオイルであってもよいが、これに限定されるものではない。本発明の抗老化用医薬組成物は、上記の成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、または保存剤などをさらに含んでもよい。
【0038】
本発明の一態様による医薬組成物は、本発明に特に開示された製造方法の他にも、通常公知された製造方法を用いて製造可能であることがいうまでもなく、目的に応じて適切な形態に剤型化してもよい。その具体例として、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、噴霧剤などの形態が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
本発明の一態様は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含むコラーゲン合成促進剤を提供する。
【0040】
また、本発明の一態様は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含む抗老化用組成物を皮膚に塗布することで、皮膚しわを改善し、且つ皮膚弾力を増進させる方法を提供する。
【0041】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例は単に例示的なものであって、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0042】
(実施例1)
N‐(2‐ヒドロキシエチル)オクタンアミドをヒト繊維芽細胞の培養液(DMEM培養液、10% fetal bovine serum(ウシ胎児血清)、1% antibiotics(抗生物質))に添加し、細胞レベルで1型コラーゲン(type‐I collagen)の合成促進効果を確認した。合成されたコラーゲンの測定は、PICP EIA kit(プロコラーゲン1型C-ペプチドエンザイムイムノアッセイキット:Procollagen Type I C‐Peptide Enzyme Immuno Assay KIT)を用いて定量した。
【0043】
ヒト繊維芽細胞の培養液を用いて、ヒト由来の繊維芽細胞(human fibroblast)を6ウェルにウェル当たり2X10
5cell/wellずつ分取した。細胞の付着を確認した後、それぞれのウェルに、培養液に有効成分としてN‐(2‐ヒドロキシエチル)オクタンアミド(抗老化用組成物)を20uMの濃度で2mLずつ処理した。24時間37℃、5%のCO
2条件の培養器で培養した後、細胞抽出液で、しわ形成因子に関連する1型コラーゲンを測定した。この際、前記抗老化用組成物の濃度は、ヒト由来の繊維芽細胞に処理時に毒性がなく、細胞の増殖を誘導しない範囲の濃度である。その結果を下記表1および
図1に示した。
【0044】
(実施例2)
紫外線の照射によって光老化が進んだ皮膚は、表皮‐真皮の結合部位の膠原繊維網が損傷することになる。そこで、膠原繊維の量と形態は、皮膚の光老化指標として用いられる。N‐(2‐ヒドロキシエチル)オクタンアミドを塗布した後、紫外線を照射した無毛マウスの皮膚組織をMasson’s trichromeで染色し、光学顕微鏡(IX71、Olympus、JPN)で観察した後、デジタルカメラ(DP71、Olympus、JPN)を用いて写真を撮影した。
【0045】
人工皮膚(EpiDermFT
TM from MatTek、Ashland、USA)を購入し、専用培地(EFT‐400)で18時間安定化させた。前記人工皮膚の表面に、有効成分としてN‐(2‐ヒドロキシエチル)オクタンアミド(抗老化用組成物)を0.1%の濃度で100μl塗布した。24時間後、人工皮膚組織を10%のホルムアルデヒドで固定およびパラフィンで包埋し、5μmに薄切した組織をMasson’s Trichrome(M&T)で染色して、膠原繊維(collagen fibers)の染色程度を観察した。その結果を
図2に示した。
【0046】
(比較例1)
有効成分を使用しなかったこと(陰性対照群)を除き、前記実施例1と同様の方法により、1型コラーゲンの合成促進効果を確認した。また、前記陰性対照群に対する相対的な1型コラーゲン合成能を比率で計算し、増加率で示した。その結果を下記表1および
図1に示した。
【0047】
【0048】
前記表1に示されているように、本発明による抗老化用組成物は、比較例1(陰性対照群、無処理群)に比べて、1型コラーゲンの合成促進効果において著しい増加率(比較例1に対して750%水準)を示すことが分かる。
【0049】
また、
図2に示されているように、本発明による抗老化用組成物を処理した場合(実施例2)、表皮下の真皮層で、アニリンブルーで強く染色された膠原繊維が観察された。しかし、比較例1の場合、表皮下の真皮層で、アニリンブルーで弱く染色された膠原繊維が観察された。このような結果は、本発明による抗老化用組成物が光老化に有効であることを立証するものである。
【0050】
したがって、本発明による抗老化用組成物は、コラーゲン繊維の合成を促進するだけでなく、表皮‐真皮の結合部位における膠原繊維網の損傷を効果的に抑制することで、皮膚老化の予防および皮膚しわの改善に非常に優れるため、種々の剤型への活用が期待される。
【0051】
以上、本発明の特定の部分を詳細に説明したが、当業界において通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に具現例にすぎず、これに本発明の範囲が制限されるものではないことは明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲とそれの等価物によって決まるべきである。