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特許7164883半導体製造装置の管理システム、方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】半導体製造装置の管理システム、方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20221026BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019522089
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2018018668
(87)【国際公開番号】W WO2018221198
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2017108544
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】丹野 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/030256(WO,A1)
【文献】特開2014-123873(JP,A)
【文献】特開2017-040557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理するシステムであって、
前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置の部品情報を保持する情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成され、
前記管理者端末は、
前記半導体製造装置を撮影する撮影手段と、
前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信手段と、
前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置に取り付けられたマーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に基づき、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理手段と、
前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理手段と、
前記合成画像を表示する画像表示手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報として、前記マーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に係る座標情報を記憶する部品情報記憶手段と、
前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理手段と、
前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信手段と、を有する、
半導体製造装置の管理システム。
【請求項2】
前記半導体製造装置と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
前記半導体製造装置は、
前記情報処理装置に対し、各部品の動作状況をセンシングして得られたセンシング情報を送信するセンシング情報送信手段、を有し、
前記情報処理装置は、
前記半導体製造装置から、前記センシング情報を受信するセンシング情報受信手段と、
前記部品情報記憶手段を参照して、前記センシング情報を前記部品情報として登録する第一の登録手段と、をさらに有する、
請求項記載の半導体製造装置の管理システム。
【請求項3】
前記管理者端末は、
前記管理者から、前記合成画像において、所定の部品を指定した追加情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記情報処理装置に対し、前記所定の部品の指定と共に入力された追加情報を送信する追加情報送信手段と、をさらに有し、
前記情報処理装置は、
前記部品情報記憶手段を参照して、前記追加情報を前記部品情報として登録する第二の登録手段と、をさらに有する、
請求項1又は2記載の半導体製造装置の管理システム。
【請求項4】
前記管理者端末は、
前記管理者端末の移動に応じて移動量を検出し、当該移動量に応じて前記合成画像を制御する画像制御手段、をさらに有する、
請求項1乃至いずれかの項に記載の半導体製造装置の管理システム。
【請求項5】
前記管理者端末は、
前記合成画像に基づいた前記管理者による作業を録画する録画手段、をさらに有する、
請求項1乃至いずれかの項に記載の半導体製造装置の管理システム。
【請求項6】
集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理する方法であって、
前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報として、マーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に係る座標情報を記憶する部品情報記憶手段を備えた情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、
前記管理者端末が、
前記半導体製造装置を撮影する撮影処理と、
前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信処理と、
前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置に取り付けられたマーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に基づき、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理と、
前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理と、
前記合成画像を表示する画像表示処理と、を実行し、
前記情報処理装置が、
前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理と、
前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信処理と、を実行する、
半導体製造装置の管理方法。
【請求項7】
集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理するためのコンピュータプログラムであって、
前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報として、マーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に係る座標情報を記憶する部品情報記憶手段を備えた情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、
前記管理者端末に対し、
前記半導体製造装置を撮影する撮影処理と、
前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信処理と、
前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置に取り付けられたマーカーの取付箇所を基準とした部品の相対座標に基づき、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理と、
前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理と、
前記合成画像を表示する画像表示処理と、を実行させ、
前記情報処理装置に対し、
前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理と、
前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置を構成する部品を個別に判別して管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置に用いられるガスボックスは、同一又は略同一構成の流体制御機器からなる多数のガスラインが集積されて並んで取り付けられた構造をしている。メンテナンスのためにこのガスボックスを手動操作したり流体制御機器の交換をしたりする際には、流路構成を示した図と照らし合わせながら、流体制御機器が多数並んでいる中で、本当に正しい場所の機器に対して作業しているのかどうかを注意深くチェックする必要があった。
また、近年、バルブ等の流体制御機器にセンサを搭載して、それらの動作状況に関するデータを収集して寿命予測やメンテナンスの省力化を目指す開発が行われている。この手法により、どこの流体制御器に交換やメンテナンスが必要かという情報が得られるようになるが、先述と同様に、同一又は略同一構成の流体制御機器が並んでいるため、操作対象を間違えないよう入念な注意が必要であった。
【0003】
この点、特許文献1では、バルブを真横から端末のカメラにより撮影し、二次元バーコードによってバルブを識別しつつ、カメラに映ったハンドルがどの高さにあるかを認識させることで弁の開閉状態を自動識別する弁管理支援システムが提案されている。
また、特許文献2では、端末でバーコードを読んでバルブを識別し、バルブの操作指示を端末に表示するバルブ操作支援システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-258151号公報
【文献】特開2003-343761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2記載の技術はともに、画像処理によってバルブを識別する機能を有するが、多数のバルブを一つずつ確認しながら特定のバルブを探し出すことは面倒であるし、特定のバルブを探し出せたとしても、バルブが多数集積しているために、その後の作業中に特定のバルブを見失ったり見誤ったりするおそれもある。このようなことから、多数のバルブが並ぶ中で作業者に誤りなく作業対象の部品を指示するシステムが望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、流体制御機器等の複数の部品によって構成される半導体製造装置において、管理者が各部品を直感的に識別できるようにすることを目的との一つとする。さらに、識別された部品の情報を管理者に対して分かりやすく提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の位置の観点に係る半導体製造装置の管理システムは、集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理するシステムであって、前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置の部品情報を保持する情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成され、前記管理者端末は、前記半導体製造装置を撮影する撮影手段と、前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信手段と、前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理手段と、前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理手段と、前記合成画像を表示する画像表示手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報を記憶する部品情報記憶手段と、前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理手段と、前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信手段と、を有する。
ここで、本発明における部品とは、半導体製造装置を構成するバルブやコントローラ、あるいは流体制御機器等であるが、半導体製造装置を構成するものである限り、その名称や構成単位は問わない。
【0008】
また、前記半導体製造装置には、所定の箇所にマーカーが取り付けられており、前記特定処理手段は、前記半導体製造装置の撮影画像について、前記マーカーの取付箇所を基準とした各部品の相対座標に基づき、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定し、前記部品情報記憶手段は、部品情報としてさらに、前記マーカーの取付箇所を基準とした各部品の相対座標に係る情報を記憶するものとしてもよい。
【0009】
また、前記半導体製造装置には、4つ以上の部品に所定の識別標識が取り付けられており、前記特定処理手段は、前記半導体製造装置の撮影画像について、前記識別標識の取付箇所を基準とした各部品の相対座標に基づいて、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定し、前記部品情報記憶手段は、部品情報としてさらに、前記識別標識の取付箇所を基準とした各部品の相対座標に係る情報を記憶するものとしてもよい。
【0010】
また、前記半導体製造装置と、ネットワークを介して通信可能に構成され、前記半導体製造装置は、
前記情報処理装置に対し、各部品の動作状況をセンシングして得られたセンシング情報を送信するセンシング情報送信手段、を有し、前記情報処理装置は、前記半導体製造装置から、前記センシング情報を受信するセンシング情報受信手段と、前記部品情報記憶手段を参照して、前記センシング情報を前記部品情報として登録する第一の登録手段と、をさらに有するものとしてもよい。
【0011】
また、前記管理者端末は、前記管理者から、前記合成画像において、所定の部品を指定した追加情報の入力を受け付ける入力手段と、前記情報処理装置に対し、前記所定の部品の指定と共に入力された追加情報を送信する追加情報送信手段と、をさらに有し、前記情報処理装置は、前記部品情報記憶手段を参照して、前記追加情報を前記部品情報として登録する第二の登録手段と、をさらに有するものとしてもよい。
【0012】
また、前記管理者端末は、前記管理者端末の移動に応じて移動量を検出し、当該移動量に応じて前記合成画像を制御する画像制御手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0013】
また、前記管理者端末は、前記合成画像に基づいた前記管理者による作業を録画する録画手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0014】
また、本発明の別の観点に係る半導体製造装置の管理方法は、集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理する方法であって、前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報を記憶する部品情報記憶手段を備えた情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、前記管理者端末が、前記半導体製造装置を撮影する撮影処理と、前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信処理と、前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理と、前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理と、前記合成画像を表示する画像表示処理と、を実行し、前記情報処理装置が、前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理と、前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信処理と、を実行する。
【0015】
また、本発明のさらに別の観点に係るコンピュータプログラムは、集積された複数の部品によって構成された半導体製造装置を管理するためのコンピュータプログラムであって、前記半導体製造装置を管理する管理者が使用する管理者端末と、前記半導体製造装置を構成する部品の部品情報を記憶する部品情報記憶手段を備えた情報処理装置と、がネットワークを介して通信可能に構成されたシステムにおいて、前記管理者端末に対し、前記半導体製造装置を撮影する撮影処理と、前記情報処理装置から、前記半導体製造装置の部品情報を受信する部品情報受信処理と、前記半導体製造装置の撮影画像について、前記半導体製造装置を構成する部品の位置を特定する特定処理と、前記半導体製造装置の撮影画像に対し、前記特定された部品の位置に、前記特定された部品の部品情報を合成させた合成画像を生成する合成処理と、前記合成画像を表示する画像表示処理と、を実行させ、前記情報処理装置に対し、前記部品情報記憶手段を参照して、前記部品情報を抽出する抽出処理と、前記管理者端末に対し、前記部品情報を送信する部品情報送信処理と、を実行させる。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、読み取り可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の部品によって構成される半導体製造装置において、管理者は各部品を直感的に識別することができる。さらに、識別された部品の情報が管理者に対して分かりやすく提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一の実施形態に係る半導体製造装置の管理システムの機能を示した機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理される半導体製造装置のガス供給システムを示した外観斜視図である。
図3】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、部品情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
図4】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによる処理の流れを示したシーケンス図である。
図5】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理者端末上に表示される画面の一例を示した図である。
図6】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理者端末上に表示される画面の一例を示した図である。
図7】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理者端末上に表示される画面の一例を示した図である。
図8】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによる処理の流れを示したシーケンス図である。
図9】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理者端末上に表示される画面の一例を示した図である。
図10】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによる処理の流れを示した処理フロー図である。
図11】本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによる処理の流れを示したシーケンス図である。
図12】本発明の別の実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、管理者端末上に表示される画面の一例を示した図である。
図13】本発明の別の実施形態に係る半導体製造装置の管理システムの機能を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る半導体製造装置の管理システムについて説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムは、半導体製造装置1、情報処理装置2、及び管理者端末3によって構成される。半導体製造装置1、情報処理装置2、及び管理者端末3はネットワークNW1、2を介して通信可能に構成されており、情報の送受信が行えるようになっている。
【0019】
なお、本例において、ネットワークNW1は例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、あるいはZigbee(登録商標)といった無線通信によって構成され、ネットワークNW2は例えば無線LANによって構成される。ただし、他の実施例においては、各端末等の間を本例とは異なる方式で接続することも可能であり、例えば、全ての端末等の間を無線LANによって接続することもできる。
【0020】
半導体製造装置1は図2に示されるように、複数の流体制御機器1aが密に集積した装置であり、バルブやコントローラといった複数の部品によって構成されている。
この半導体製造装置1には、センサ11と通信モジュール1bが組み込まれている。
【0021】
センサ11は、流体の流量や温度、流体制御機器1a内の所定の空間の圧力、流体制御機器1aを構成する部品の位置などを検出する。このセンサ11は通信モジュール1bと接続しており、センサ11によるセンシングで得られたセンシング情報が通信モジュール1bに供給されるようになっている。
【0022】
通信モジュール1bは、ネットワークを介して通信可能に構成された情報処理装置2とデータの送受信を実行するための通信処理部12を備えている。この通信モジュール1bは、センサ11からセンシング情報の供給を受けると、通信処理部12により、ネットワークNW1を介して当該センシング情報を情報処理装置2に送信する。
【0023】
また、半導体製造装置1には、外部から視認可能な所定の箇所にマーカーMが取り付けられている。マーカーMは、AR(Augmented Reality:拡張現実)において、後述する合成画像を生成する際の位置合わせに用いられる指標である。このマーカーMが管理者端末3によって識別されることにより、管理者端末3の位置や、マーカーMを起点とした部品の相対位置の認識が可能となる。このようなマーカーMは例えば、半導体製造装置1に固有の装置IDをコード化したパターン画像によって構成される。
【0024】
情報処理装置2は、半導体製造装置1を構成する部品の部品情報を管理者端末3に対して提供する装置である。
この情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)といったハードウェア資源によって構成され、部品情報記憶部2A、抽出処理部21、登録処理部22、及び通信処理部23からなる機能部を備える。
【0025】
部品情報記憶部2Aは、半導体製造装置1を構成する部品の部品情報を記憶する記憶部である。
この部品情報記憶部2Aには例えば、図3に示されるように、半導体製造装置1を識別する装置IDごとに、半導体製造装置1を構成する部品の部品情報が記憶されている。部品情報には、部品を識別する部品ID、座標情報、警告情報、半導体製造装置1のセンサ11によって得られたセンシング情報、管理者によって任意に入力された追加情報、に係る情報が含まれる。また、部品情報として、各部品ごとの情報のみならず、半導体製造装置1の組立方法やメンテナンス方法等のマニュアルや、半導体製造装置1の流路の構成図などの情報を併せて記憶してもよい。
【0026】
座標情報は、マーカーMの取付箇所を基準とした各部品の相対座標に係る情報であり、この座標情報により、半導体製造装置1における各部品の位置を特定することができる。
警告情報は、センシング情報に基づいた所定の閾値との比較による故障判定あるいは故障予知情報である。この警告情報が記憶されている場合には、管理者端末3上に合成画像が表示される際、合成画像上に当該警告情報を強制的に表示させるようにしてもよい。
センシング情報には、バルブの開閉回数や現在の開閉状態、温度などの情報が含まれる。
【0027】
抽出処理部21は、管理者端末3からの要求に応じて、部品情報記憶部2Aを参照して部品情報を抽出する処理を実行する。
【0028】
登録処理部22は、部品情報記憶部2Aを参照して、半導体製造装置1から受信したセンシング情報を部品情報として登録する。また、部品情報記憶部2Aを参照して、管理者から受け付けた追加情報を部品情報として登録する。
【0029】
通信処理部23は、半導体製造装置1及び管理者端末3とネットワークNW1、2を介したデータの送受信を実行する処理部である。
情報処理装置2はこの通信処理部23により、管理者端末3に対して部品情報を送信したり、半導体製造装置1からセンシング情報を受信したりすることができる。
【0030】
管理者端末3は、半導体製造装置1を管理する管理者が保持及び操作する端末であり、カメラ機能を備えたスマートデバイス等によって実現される。
なお、本例において、管理又は管理者の語は語義によって狭く解釈されるべきでなく、管理には半導体製造装置1の修理や組み立て等、半導体製造装置1を見ながら行われる作業が含まれ、管理者にはこれらの作業を行う作業者が含まれる。
【0031】
この管理者端末3は、CPU、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAMやROMなどのメモリといったハードウェア資源によって構成され、撮影部31、特定処理部32、合成処理部33、画像表示部34、画像制御部35、入力処理部36、及び通信処理部37からなる機能部を備える。
【0032】
撮影部31は、半導体撮影装置1を被写体として撮影を実行する処理部である。この撮影部31は、被写体像を撮像素子の受光面に結像させるレンズ、レンズにより結像した被写体像を撮像して画像信号を制御部に出力するCMOSイメージセンサ等の撮像素子、撮像素子から取得した画像信号から撮影画像を生成する制御部等によって構成される。
なお、この撮影部31によって生成される撮影画像は、現実の半導体製造装置1のリアルタイム画像である。
【0033】
特定処理部32は、半導体製造装置1の撮影画像について、半導体製造装置1を構成する部品の位置を特定する処理を実行する。
この特定処理部32は、半導体製造装置1の撮影画像においてマーカーMを検出すると共に、当該マーカーMの取付箇所を基準とした各部品の相対座標に基づき、半導体製造装置1を構成する部品の位置を特定する。マーカーMの検出は例えば、所定のテーブルに保持したマーカーMの識別画像に基づき、撮影画像中の識別画像を認識することによって可能となる。
【0034】
合成処理部33は、半導体製造装置1の撮影画像に対し、特定処理部32によって特定された部品の位置に部品情報を合成させた合成画像を生成する処理を実行する。
【0035】
画像表示部34は、液晶パネル等のディスプレイによって構成され、ディスプレイ上に撮影画像や合成画像を表示する。
なお、合成画像は、画像表示部34によってリアルタイム画像として管理者端末上に表示されるが、ここにいうリアルタイムは厳密な同時ではなく、合成処理部33や画像制御部35による処理等によって生じる撮影と表示のタイムラグが極めて微小であることから、撮影と表示を同時とみなしたものである。
【0036】
画像制御部35は、撮影部31の移動に応じて移動量を検出すると共に、当該移動量に応じて合成画像を制御する処理を実行する。
この画像制御部35は、加速度センサや角加速度センサなどのセンサを単一又は複数組み合わせたセンサと、当該センサによって検出された撮影部31の移動量に応じて合成画像を整合させる機能部によって構成される。
具体的に、撮影部31の移動量として、撮影部31の移動距離や移動角度がセンサによって計測されると、当該計測された移動距離や移動角度に応じて撮影部31の位置や角度が推定される。これに応じて、撮影部31が移動した後の合成画像上の部品の位置が推定され、合成画像上の部品情報の表示位置の整合がとられる。
【0037】
入力処理部36は、タッチパネルやキーボード、ポインティングデバイス等によって構成される。管理者端末3はこの入力処理部36により、管理者から、合成画像上で所定の部品を指定した追加情報の入力を受け付けることができる。
【0038】
通信処理部37は、ブラウザプログラム等によって構成され、情報処理装置2とネットワークNW2を介したデータの送受信を実行する処理部である。
管理者端末3はこの通信処理部37により、情報処理装置2から半導体製造装置1の部品情報を受信したり、管理者によって所定の部品の指定と共に入力された追加情報を情報処理装置2に送信したりすることができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによる処理の流れについて説明する。
図4に示されるように、半導体製造装置1では常時あるいは所定のタイミングでセンサ11によるセンシングが行われている(S101)。センシング情報は、通信モジュール1bの通信処理部12によって情報処理装置2に送信され(S102)、部品情報記憶部2Aに登録される(S103)。
【0040】
管理者は、半導体製造装置1の管理を行うべく、撮影部31によって撮影を開始する(S104)。そして、半導体製造装置1の装置IDを取得し(S105)、情報処理装置2に対して部品情報の取得要求と共に装置IDを送信する(S106)
なお、装置IDの取得は例えば、管理者端末3への直接入力や、装置IDをパターン画像としてコード化したマーカーMを撮影し、これをデコードすること等で可能である。また、装置IDをパターン画像としてコード化したマーカーMをデコードする場合、デコードは情報処理装置2で行うようにすることもできる。
【0041】
これに応じて情報処理装置2は、抽出処理部21によって部品情報記憶部2Aを参照し、装置IDに基づいて部品情報を抽出する(S107)。抽出された部品情報は管理者端末3に対して送信される(S108)。
なお、ここで抽出される部品情報には、少なくとも各部品の座標情報が含まれる。
【0042】
一方、管理者端末3は特定処理部32により、半導体製造装置1の撮影画像について、半導体製造装置1を構成する部品の位置を特定する処理を実行する(S109)。この処理ではまず、半導体製造装置1の撮影画像においてマーカーMが検出される。そして、部品情報に含まれる各部品の座標情報に基づき、当該マーカーMの取付箇所を基準とした各部品の相対位置から各部品の位置が特定される。
【0043】
部品の位置が特定されると、合成処理部33は、半導体製造装置1の撮影画像に基づいて各部品の位置に部品情報を合成させた合成画像を生成する(S110)。合成画像は画像表示部34により、管理者端末3上に表示される(S111)。
【0044】
ここで、管理者端末3上に表示される画面例について説明する。
図5は、管理者端末3上に映し出された半導体製造装置1の撮影画像を示している。この撮影画像上には、半導体製造装置1の所定の箇所に取り付けられているマーカーMが映し出されており、特定処理部32によって当該マーカーMが検出されている。
【0045】

図6は、管理者端末3上に映し出された半導体製造装置1の合成画像を示している。この合成画像の例は、情報処理装置2から管理者端末3に警告情報が送信された場合を示しており、合成画像中、マーカーMの取付箇所を基準として認識された所定の部品に警告情報(図中、「ALERT」と表示)が表示されている。
なお、図6の例では警告情報にリンクが設定されており、リンクを指定すると、図7に示されるように、警告情報の詳細が情報処理装置2から提供されて表示される。
【0046】
次に、図8により、合成画像が表示された管理者端末3上から管理者によって所定の部品が指定され、当該指定された所定の部品の部品情報が表示される処理の流れを説明する。
まず、管理者端末3は、画像表示部34によって表示された合成画像において、管理者から所定の部品の指定と共に、部品情報の取得要求を受け付ける(S201)。なお、部品情報の取得要求は例えば、部品が指定された際にメニュー表示を行い、当該メニュー表示中に示された部品情報の取得要求の項目の指定を受け付けることによって認識可能となる。
【0047】
特定処理部32は、合成画像中の座標に基づいて管理者が指定した位置を認識し、これにより管理者によって指定された部品として当該座標に表示されている部品を特定する(S202)。通信処理部37は、情報処理装置2に対し、指定された部品の部品情報の取得要求を送信する(S203)。
【0048】
これに応じて情報処理装置2は、抽出処理部21により部品情報記憶部2Aを参照し、指定された部品の部品情報を抽出すると(S204)、通信処理部21により管理者端末3に対して当該部品情報を送信する(S205)。
【0049】
管理者端末3では、受信した部品情報を表示する部品の位置が特定処理部32によって特定されると(S206)、合成処理部33により、特定された位置に部品情報を合成させた合成画像が生成される(S207)。生成された合成画像は、画像表示部34によって管理者端末3上に表示され(S208)、これにより管理者は、自らが指定した部品の情報を参照することができる。
【0050】
ここで、管理者が所定の部品を指定して部品情報を参照する場合に、管理者端末3上に表示される画面例について説明する。
図9は、管理者端末3上に映し出された半導体製造装置1の合成画像を示している。この合成画像の例では、管理者が指定した部品の部品情報が、当該指定された部品が識別できる態様によって表示されている。即ち、この例では、指定された部品に対する吹き出し表示によって、複数の部品の中から指定された部品が識別できるようになっている。
なお、合成画像中で、管理者によって指定された部品等を識別可能とする方法は、上述の吹き出し表示に限らず、指定された部品に対する色付け表示など、各種の態様によることができる。
【0051】
次に、図10により、管理者端末3の移動に応じて合成画像を制御する処理について説明する。
まず、管理者端末3では合成画像が表示されている間、画像制御部35が常時、撮影部31の移動量を検出している(S301)。
【0052】
撮影部31の移動量が検出されると、検出された撮影部31の移動量に応じて合成画像の整合がとられる(S302)。即ち、撮影部31の移動量として、撮影部31の移動距離や移動角度が計測されると、当該計測された移動距離や移動角度に応じて撮影部31の位置や角度が推定される。これに応じて、撮影部31が移動した後の合成画像上の部品の位置が推定され、合成画像上の部品情報の表示位置の整合がとられる。
【0053】
この合成画像の画像制御は、少なくとも合成画像が表示されている間、常時実行される。これによりマーカーMに基づいて部品の位置が特定された後は、管理者端末3上で部品の位置の整合がとられて的確な合成画像を維持できるので、応答速度を向上させ、自然な部品情報の表示を行うことができる。半導体製造装置1そのものは基本的に動かされないため、管理者端末3の相対位置の変化を追い続けることで、合成画像中のどこに目的の部品が映っているかを正確に推定することができる。
【0054】
次に、図11により、管理者によって、所定の部品に対する追加情報の登録要求が行われた場合の処理の流れを説明する。
管理者端末3は、画像表示部34によって表示された合成画像において、管理者から所定の部品の指定と共に当該所定の部品に対する追加情報の登録要求を受け付ける(S401)。なお、追加情報の登録要求は例えば、部品が指定された際にメニュー表示を行い、当該メニュー表示中に示された追加情報の登録要求の項目の指定を受け付けることによって認識可能となる。
【0055】
特定処理部32は、合成画像中の座標に基づいて管理者が指定した位置を認識し、これにより管理者によって指定された部品として当該座標に表示されている部品を特定する(S402)。同時に入力処理部36は、管理者端末3上に追加情報の入力欄を設けるなどして管理者から追加情報の入力を受け付ける(S403)。通信処理部37は、情報処理装置2に対し、指定された部品に対する追加情報の登録要求を送信する(S404)。
【0056】
これに応じて情報処理装置2は、登録処理部22により、部品情報記憶部2Aを参照して指定された部品の部品情報として登録要求に係る追加情報を登録する(S405)。
これにより、有用な情報が追加され、半導体製造装置1の作業や管理にあたる複数の管理者等で蓄積された情報を活用することができる。また、半導体製造装置1の部品が分かりやすく表示された管理者端末3上から追加情報の入力作業を行うことができるので、追加情報を入力する部品を間違えたりすることもない。
【0057】
以上の本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムによれば、複数の部品によって構成される半導体製造装置1において、管理者は各部品を直感的に識別することができるため、迅速且つ正確に作業を行うことができる。特に、本例の半導体製造装置1のような集積型ガスユニットは自動弁が多く、自動弁を動かす駆動圧を供給するエアチューブなどがバルブ上部に多数設置されていることから、個々のバルブの上面にマーカーMを取り付けても認識が難しいし、流体制御機器1aは半導体製造装置1の中に組み込まれるため、メンテナンスの際にその内部の全ての流体制御機器1aに対して十分な光量を得られるとは限らない。そのため、確実に視認可能な箇所にマーカーMを取り付け、マーカーMを基準とした相対座標から部品の位置を特定することで、各部品を確実に識別することができる。
また、不具合が起きた時だけなど、確認する頻度が小さい情報の場合、そのためだけに個々のバルブに液晶等の表示機能を持たせるよりもコストや機器サイズの面で有利である。
また、合成画像により、流路構造などの半導体製造装置1内の構造図を表示することで、実際にカバー等を外したりしなくとも、半導体製造装置の構造を理解しやすくなる。
【0058】
続いて、本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいて、部品を特定する処理の他の例を説明する。
この例では、図12に示されるように、半導体製造装置1の各部品に所定の識別標識Sが取り付けられている。そして、管理者端末3の特定処理部32は、半導体製造装置1の撮影画像において、各識別標識Sを認識することによって各部品の位置を特定することができる。図9の例のように、単一のマーカーMからの相対座標で部品の位置を特定しようとする場合、マーカーMの取付精度やカメラからの画像認識の際の誤差により、認識された座標に角度方向の誤差が発生し、マーカーMから離れた場所で位置精度が低くなる場合がある。そこで、複数の離間した識別標識Sを元に各部品の座標の認識を行うことで、各識別標識Sの取付精度や画像認識の誤差の影響を抑えることができる。
特に、識別標識Sが4つ以上である場合、x軸とy軸及び各軸のプラス方向とマイナス方向が観念されるため、複数の識別標識Sが映った撮影画像内で各識別標識Sの座標のみから各部品の位置を特定することができ、各識別標識Sの取付角度誤差による影響を打ち消して精度の高い位置特定をすることができる。
【0059】
識別標識Sは、半導体製造装置1に固有の装置IDと、識別標識Sごとに固有のIDをコード化したパターン画像によって構成することができる。
また、部品情報記憶部2Aにおいては、部品情報として識別標識Sごとに固有のIDを記憶すると共に、当該識別標識SのIDに関連付けて他の部品情報を記憶する。これにより、識別標識Sに応じた部品情報の抽出、及び管理者端末3への提供が可能となる。
【0060】
なお、以上の本実施形態に係る半導体製造装置の管理システムにおいては、半導体製造装置1の撮影と合成画像の表示とを管理者端末3によって実行したが、他の例では、それぞれの処理を別々の端末又は装置に担わせることができる。
図13は、半導体製造装置1の撮影と合成画像の表示を別々の端末又は装置によって実行させる場合の装置構成の一例を示している。
この例では、上述した管理者端末3が備えた機能のうち、撮影と画像表示の機能を夫々、撮影装置5と画像表示装置6に分散させ、残る機能を管理者端末4が備える。
なお、図13において、撮影装置5及び画像表示装置6が備える機能部のうち、上述した管理者端末3が備えた機能部と同様の機能部については同じ符号を付している。
【0061】
撮影装置5は、撮影機能を担う装置であり、例えば、半導体製造装置1を撮影する定点カメラ等によって構成することができる。
この撮影装置5は、撮影部31と通信処理部51とを有する。通信処理部51は管理者端末4とデータの送受信を実行する機能部であり、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信、あるいはLAN等で構成されるネットワークNW3を介して管理者端末4と接続している。
【0062】
画像表示装置6は、合成画像を表示する装置であり、例えば、液晶モニタやプロジェクタ等によって構成することができる。
この画像表示装置6は、画像表示部34と通信処理部61とを有する。通信処理部61は通信処理部51と同様、管理者端末4とデータの送受信を実行する機能部であり、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信、あるいはLAN等で構成されるネットワークNW4を介して管理者端末4と接続している。
【0063】
管理者端末4は、撮影部31と画像表示部34を夫々、撮影装置5と画像表示装置6に持たせている点、及び、通信処理部41が情報処理装置2とのデータの送受信の機能のほかに、撮影装置5及び画像表示装置6とのデータの送受信の機能も併せ持つ点以外は、上述した管理者端末3と同様の機能部を備えている。
【0064】
このような実施例によれば、撮影装置5を定点に設置し、管理者が管理作業に集中するような場合に好適である。また、画像表示装置6をプロジェクタで構成して合成画像を大きく表示すれば、複数の管理者で確認するといったときに好適である。
【0065】
なお、このような例に限らず、撮影装置5のみを管理者端末4とは別体とし、画像表示部34の機能は管理者端末4側に備えさせるようにすることもできるし、逆に画像表示装置6のみを管理者端末4とは別体とし、撮影部31の機能は管理者端末4側に備えさせるようにすることもできる。
【0066】
また、以上の本実施形態においては、合成処理部33によって合成画像を生成し、当該合成画像を液晶ディスプレイ等によって実現される画像表示部34によって表示したが、別の実施例においては、画像表示部34を所謂スマートグラス(ヘッドマウントディスプレイ方式のウェアラブル端末の一つで、レンズ形状の透過型ディスプレイに映像を投影するもの)やプロジェクションマッピング等で実現することもできる。
この場合には、撮影画像と部品情報を合成するのではなく、スマートグラスの透過型ディスプレイや、プロジェクションマッピングにおいて映像を投影する半導体製造装置1そのものに部品情報を投影させる。即ち、上述した通り、マーカーMを基準とした座標位置によって各部品の位置が特定されるため、透過型ディスレイや半導体製造装置に対し、座標情報によって特定される位置に部品情報を投影させることで、上述した本実施形態と同様、所定の部品の対する部品情報を直感的に把握することができる。
【0067】
また、以上の本実施形態において、管理者端末3または管理者端末4に動画の保存機能を備えさせ、管理者が作業を行いながら、当該作業を動画として撮影できるようにすることもできる。
これにより、メンテナンス作業等が正しく行われていたことを後から証明することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体製造装置
1a 流体制御機器
11 センサ
1b 通信モジュール
12 通信処理部
2 情報処理装置
2A 部品情報記憶部
21 抽出処理部
22 登録処理部
23 通信処理部
3 管理者端末
31 撮影部
32 特定処理部
33 合成処理部
34 画像表示部
35 画像制御部
36 入力処理部
37 通信処理部
4 管理者端末
41 通信処理部
5 撮影装置
51 通信処理部
6 画像表示装置
61 通信処理部
NW1、NW2、NW3、NW4 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13