(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20221026BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20221026BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28F3/00 311
F28D9/02
(21)【出願番号】P 2020509004
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2018072558
(87)【国際公開番号】W WO2019038282
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520050314
【氏名又は名称】イノヒート スウェーデン アべ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス,ダビッド
(72)【発明者】
【氏名】マスグラウ,マルチェロ
(72)【発明者】
【氏名】バルサロブレ,カルメン
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第1197933(GB,A)
【文献】特表2015-512502(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1172624(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第2647941(EP,A1)
【文献】特開平05-060483(JP,A)
【文献】特開2013-155934(JP,A)
【文献】特開2006-112731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/04
F28F 3/00
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体と第2の媒体との間
の熱交換の
ための熱交換器(100,200,300
,400,500,600)
であって、
前記第1の媒体用の主入口(101,201,301,401,501,601)と、
前記第1の媒体用の主出口(102,202,302,402,502,602)と、
複数の熱交換プレート(110,210,310)と、を備え、
前記プレート(110,210,310)は、主面(P)の広がり方向および前記主面(P)に対して垂直な高さ方向(H)に関連付けされ、
前記プレート(110,210,310)の第1の側(113,213,313)に沿って流れる前記第1の媒体に接するように配置された、前記第1の側(113,213,313)の第1伝熱面(114,214,314)と、
前記プレート(110,210,310)の第2の側(115,215,315)に沿って流れる前記第2の媒体に接するように配置された、前記第2の側(115,215,315)の第2伝熱面(116,216,316)と、
前記プレート(110,210,310)の材料にて形成され、前記プレート(110,210,310)において前記プレートの高さ方向(H)に局所的に膨らむ複数の陥凹部(120,130,140,220,230,240,320,330,340)と、を備え、
前記プレート(110,210,310)は、
熱交換器の熱プレート積層を形成するように、
それぞれの前記主面(P)を互いに平行に配置して積み重ね
られ、
前記積層における隣接したプレートの対応する峰形の陥凹部とともに、全体的な流れ方向を有する前記第1の媒体用の少なくとも1つの閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)を形成するように配置された峰形の陥凹部(120,220,320)を備え、
前記閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)は、前記高さ方向(H)で見た場合に、床(105a,205a,305a)および天井(105b,205b,305c)を備え、
前記床(105a,205a,305a)と前記天井(105b,205b,305b)とがいずれも同一の前記高さ方向(H)にオフセットされていることにより、前記閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)は、前記全体的な流れ方向に沿った前記高さ方向(H)に段(105c,205c,305c)を備え
、
前記プレートが付加的に備える複数の橋梁形の陥凹部(130,230,330)は、前記プレートを通過するそれぞれの貫通穴(132a,132b,232a,232b,332a,332b)を備えるように形成され、前記積層における隣接したプレートの対応する橋梁形の陥凹部(130,230,330)とともに前記第2の媒体用の開放した流路(106,206,306)を形成するように配置され
、
前記プレート(110,210,310)は、交互に配置された第1タイプのプレート(104a,204a,304a)および第2タイプのプレート(104b,104b,304b)を備える積層において相互に固定され、それによって、隣接したプレートそれぞれの陥凹部(120,130,140,220,230,240,320,330,340)が互いに直接接触して配置され、その結果、隣接したプレートの対応する第1表面(114,214,314)と第2表面(116,216,316)とのうち少なくとも1つが、前記陥凹部(120,130,140,220,230,240,320,330,340)を介して互いに接している、
ことを特徴とする
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項2】
前記閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)は、前記第1の媒体を、前記第1の媒体のいかなる部分についても前記第2の媒体と混合することなく、第1の媒体のプレート入口(111,211,311)から第1の媒体のプレート出口(112,212,312)まで運ぶように配置されている、
請求項1に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項3】
前記プレート(110,210,310)が備える少なくとも2つの平行な閉じた流路(105’,105”,305’,305”)のそれぞれは、前記第1の媒体を前記第1の媒体のプレート入口(111,211,311)から前記第1の媒体のプレート出口(112,212,312)まで運ぶように配置されている、
請求項2に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項4】
前記第1の媒体の閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)の前記高さ方向(H)の段(105c,205c,305c)が形成する、前記主面(P)に対して行ったり来たりする流路の形状が、前記主面(P)に対して垂直な、少なくとも5つの反対方向の段(105c、205c、305c)を備え、前記第1の媒体のプレート入口(111,211,311)と前記第2の媒体のプレート出口(112,212,312)との間の流れ経路のほぼ全体をカバーする、
請求項2または3に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項5】
前記橋梁形の陥凹部(130,230,330)のそれぞれにつき、前記開放した流路(106,206,306)は、前記積層における他の対のプレート間の対応する開放した流路と連通するように配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項6】
前記橋梁形の陥凹部(130,230,330)は、前記高さ方向(H)において、前記峰形の陥凹部(120,220,320)より高い、
請求項1から5のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項7】
前記峰形の陥凹部(120,220,320)のうちの複数は、前記主面(P)の前記橋梁形の陥凹部(130,230,330)と同一の側に膨らんでいる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項8】
前記橋梁形の陥凹部(130,230,330)は、第2の媒体に、前記主面(P)に沿った局所的な全体的な流れ方向(D)を与えるように配置され、結果として、前記主面(P)は、前記第2の媒体が前記閉じた流路(105’,105”,205’,305’,305”)を通り越して流れるように配置されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項9】
前記プレート(110,210,310)の材料の厚さは、0.15~0.5mmである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項10】
前記峰形の陥凹部(120,220,320)の前記高さ方向(H)における高さは、0.2~2.5mmである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の
熱交換器(
100,200,300,400,500,600)。
【請求項11】
前記第1タイプのプレート(104a,204a,304a)の前記峰形の陥凹部(120,220,320)のそれぞれの頂点(121,221,321)は、前記第2タイプのプレート(104b,204b,304b)の対応する峰形の陥凹部(120,220,320)のいずれの頂点とも直接接触しない、
請求項
1から10のいずれか一項に記載の熱交換器(100,200,300,400,500,600)。
【請求項12】
前記第1のプレートの第1伝熱面(114,214,314)の陥凹部のない部分は、対応する前記第2のプレートの第1伝熱面(114,214,314)の陥凹部のない部分と隣接することにより、前記第1タイプの各プレート(104a,204a,304a)が前記第2タイプの隣接したプレート(104b,204b,304b)とともに固定される、
請求項
1から11のいずれか一項に記載の熱交換器(100,200,300,400,500,600)。
【請求項13】
前記第1タイプの各プレート(104a,204a,304a)がさらに備えるそれぞれの橋梁形の陥凹部(130,230,330)は、前記プレートの材料を通る貫通穴(132a,132b,232a,232b,332a,332b)を備えるように形成され、隣接した前記第2タイプのプレート(104b,204b,304b)の対応する橋梁形の陥凹部(130,230,330)とともに前記第2の媒体用の開放した流路(106,206,306)を形成するように配置され、
前記開放した流路(106,206,306)は、第1タイプのプレート(104a,204a,304a)と第2タイプのプレート(104b,204b,304b)の他との対の間の対応する開放した流路と連通する、
請求項
1から12のいずれか一項に記載の熱交換器(100,200,300
,400,500,600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の形態の第1の媒体から気体の形態の第2の媒体に熱を交換するために特に有効な積層プレート熱交換器に関する。本熱交換器の特に有利な用途は空気冷却器向けである。
【0002】
本発明は、この種の熱交換器用に特に適した熱交換プレート設計にも関する。
【背景技術】
【0003】
積層プレート熱交換器は、例えば欧州特許第2682702号明細書、および欧州特許第0186592号明細書などの様々な用途向けとして知られている。この種の積層プレート熱交換器には、この種のプレートの積層の隣接した熱交換プレートの間に、熱交換のための種々の媒体の流路が形成されており、詳細には、この種のプレート上の対応する熱交換面にて境界を定めている。
【0004】
プレートは、比較的薄い型押しされた板金片から製造されることが知られており、板金片を接合して熱交換器が形成されている。この種の熱交換器は、比較的効率良く作製され得る。プレート上に配置された窪みがプレートに亘って互いに接触することにより、この種の熱交換器に、優れた機械的安定性をもたらしている。
【0005】
さらに、個々の熱交換プレートには、熱交換媒体を通過させるための貫通穴を備えていることが知られている。これは、例えば独国特許出願公開第1501607号明細書に示されている。
さらに従来技術として含む、独国特許発明第627517号明細書、欧州特許公開第1
172624号明細書、および欧州特許公開第2647941号明細書のそれぞれが、前
記プレートにおける波形のパターンによって、この種のプレート間に画定された熱媒体路
を備えるそれぞれの熱交換プレートについて開示している。
【0006】
多くの熱交換の用途において、詳細には気体の媒体から別の媒体に熱交換する場合、適切な機械的安定性と、熱交換を通じて望ましい低ガス圧への低下との間に相関関係がある。プレート間の気体流路に接触した窪み、または他の接続の陥凹部がより多ければ、機械的安定性が高まるが、圧力低下もより大きくなる。機械的安定性が大きく圧力低下が小さい熱交換器を提供することが望ましい。
【0007】
この種の熱交換器は、高い熱交換効率を提供するとともに、熱交換媒体の大きな処理速度(スループット)を維持し得るべきである。
【0008】
その上、この種の熱交換器は、最終的な製品品質の観点から、高い信頼度で製造することが容易でなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第2682702号明細書
【文献】欧州特許第0186592号明細書
【文献】独国特許出願公開第1501607号明細書
【文献】独国特許発明第627517号明細書
【文献】欧州特許公開第1172624号明細書
【文献】欧州特許公開第2647941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述の課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は第1媒体と第2媒体との間の熱交換器用のプレートに関し、このプレートは、主面の広がり方向および前記主面に対して垂直な高さ方向に関連付けされ、このプレートの第1の側に沿って流れる第1の媒体に接触するように配置された、前記第1の側の第1伝熱面と、このプレートの第2の側に沿って流れる第2の媒体に接触するように配置された、前記第2の側の第2伝熱面と、このプレートの材料にて形成され、前記プレートの高さ方向に局所的に膨らむ複数の陥凹部とを備え、熱交換器の熱プレート積層を形成するように、類似のプレートとともに積み重ねて配置され、このプレートが備える峰形の陥凹部が、前記積層における隣接したプレートの対応する峰形の陥凹部とともに、全体的な流れ方向を有する第1の媒体用の少なくとも1つの閉じた流路を形成するように配置され、前記閉じた流路が、高さ方向で見た場合に、床および天井を備え、前記床と前記天井とがいずれも同一の高さ方向にオフセットされていることにより、前記全体的な流れ方向に沿った高さ方向に段を備えることを特徴とするものである。
【0012】
以下で、本発明が、本発明の例示する実施形態および同封の図面を参照しながら詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】本発明の第1の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図1b】第1のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【
図1e】本発明の第1のプレートを備える第1の熱交換器の斜視図である。
【
図1g】第1の熱交換器の第1のプレートの主面に対して垂直で第2の媒体の全体的な流れの方向と平行な断面の斜視図である。
【
図1h】第1の熱交換器の第1のプレートの主面に対して垂直で第2の媒体の全体的な流れの方向に対して垂直な断面の斜視図である。
【
図1i】第1の熱交換器の第1のプレートの主面の、プレートの間ではなくプレートを通る断面の斜視図である。
【
図1j】第1の熱交換器に備わる熱交換プレートの積層の斜視図である。
【
図2a】本発明の第2の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図2b】第2のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【
図2d】本発明の第2のプレートを備える第2の熱交換器の斜視図である。
【
図3a】本発明の第3の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図3b】第3のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【
図3d】本発明の第3のプレートを備える第3の熱交換器の斜視図である。
【
図4a】本発明の第4の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図4b】第4のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【
図4d】第4のプレートのそれぞれの詳細な斜視図である。
【
図4e】第4のプレートのそれぞれの詳細な斜視図である。
【
図5a】本発明の第5の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図5b】第5のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【
図6a】本発明の第6の熱交換プレートの第2の面の上方からの斜視図である。
【
図6b】第6のプレートの第1の面の下方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
すべての図におけるすべての参考番号に亘り、下2桁が同一であれば同一の部分または対応する部分を表す。加えて、図に示すすべての例示の実施形態は、同一部分は同じ3桁の参考番号を共有する。
【0015】
よって、
図1e~
図1k、
図2d、および
図3dには、第1の媒体と第2の媒体との間の熱交換のために配置された、本発明の第1態様に係る熱交換器100,200,300が示されている。
【0016】
熱交換器100,200,300は、第1の媒体用の主入口101,201,301および第1の媒体用の主出口102,202,302を備える。
【0017】
熱交換器100,200,300は、複数の熱交換板金プレート110,210,310も備える。この種の熱交換器用に適切なこの種の熱交換プレート410,510,610が
図4a~
図6dにも示していることに留意されたい。
図1a~
図1d、
図2a~
図2c、および
図3a~
図3cは、プレート110,210,310をより詳細に示す。
【0018】
前記プレート110,210,310,410,510,610は、広がり方向にほぼ平行なそれぞれの主面Pおよび前記主面Pに対して垂直な高さ方向Hに関連付けられる。
【0019】
さらに、各プレート110,210,310,410,510,610が備える第1の媒体用のプレート入口111,211,311,411,511,611は、第1の媒体用の前記主入口101,201,301に接続されている。同様に、各プレート110,210,310,410,510,610が備える第1の媒体用のプレート出口112,212,312,412,512,612は、第1の媒体用の前記主出口102,202,302に接続されている。
【0020】
また、各プレート110,210,310,410,510,610の第1の側113,213,313,413,513,613に備わるそれぞれの第1伝熱面114,214,314,414,514,614は、前記第1の側113,213,313,413,513,613に沿って流れる第1の媒体に接触するように配置されている。対応して、各プレート110,210,310,410,510,610の第2の側115,215,315,415,515,615に備わるそれぞれの第2伝熱面116,216,316,416,516,616は、前記第2の側115,215,315,415,515,615に沿って流れる第2の媒体に接触するように配置されている。よって、第1の媒体は、第1伝熱面114,214,314,414,514,614に沿って直接熱接触するように配置され、第2の媒体は、第2伝熱面116,216,316,416,516,616に沿って直接熱接触するように配置されている。
【0021】
図に示す例示のプレート110,210,310,410,510,610において、1枚のプレートの第1の側113,213,313,413,513,613がプレートの積層において隣接したプレートそれぞれの第1の側113,213,313,413,513,613と接するように配置されているため、それぞれの第1の媒体は、対象の第1伝熱面114,214,314,414,514,614の全体と接触するようには配置されていないことに留意されたい。それぞれの第1伝熱面114,214,314,414,514,614における第1の媒体と接触するように配置された部分は、実際には第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を形成する。下記を参照。
【0022】
よって、第1の媒体は、前記主入口101,201,301を通って熱交換器100,200,300に入り、その後、熱交換器100,200,300の各プレート110,210,310,410,510,610それぞれの入口111,211,311,411,511,611に分配されて、前記第1伝熱面114,214,314,414,514,614に沿って平行に流れ、第1の媒体用それぞれのプレート出口112,212,312,412,512,612を通って流出し、平行に流れて収集され、単一の流れとして熱交換器の第1の媒体用の主出口102,202,302を通って出る。第1の媒体は、このように流れている間に、一般に第1の側113,213,313,413,513,613と第2の側115,215,315,415,515,615との間の各プレート110,210,310,410,510,610の板金材料を介し、詳細には第1伝熱面114,214,314,414,514,614と第2伝熱面116,216,316,416,516,616との間で第2の媒体と熱交換する。第2の媒体は、以下に説明する橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630において、対象のプレートの両側と直接接触することとなり、これらの構造体が熱エネルギーを局所的に蓄積または放散し、このエネルギーが同一プレートの他の部分へ導かれて前記熱交換をもたらす。
【0023】
好ましくは、第1の媒体と第2の媒体とは、それぞれが熱交換器100,200,300を通って流れる間に、互いに直接接触することはない。したがって、熱交換器100,200,300は、好ましくは第1の媒体と第2の媒体を、熱交換器100,200,300を通過するそれぞれの流れの全体に亘って分離するように配置された、第2の媒体用それぞれの主入口およびそれぞれの主出口をさらに備える。
【0024】
本発明の第1態様によれば、各プレート110,210,310,410,510,610は、前記プレートの高さ方向Hへ局所的に膨らむ対象のプレートの板金にて形成され、対象のプレートにおけるそれぞれの複数の陥凹部120,130,140,220,230,240,320,330,340,420,430,440,520,530,540,620,630,640を備える。高さ「方向」は、図に示すような高さ方向Hのベクトルに沿った2つの反対方向のいずれかを参照し得ることに留意されたい。様々なタイプのそのような陥凹部を以下に例示する。本明細書で「陥凹部」の語が用いられた場合、対象のプレートの主面Pの広がり方向から高さ方向Hへ離れることを意味することに特に留意されたい。よって、対象のプレートは、主面Pからいずれかの高さ方向Hに膨らんでもよい。特に示さない限り、そのような陥凹部には、金属シート材料に貫通穴がなく、貫通穴を設けることで形成されるものでないことが好ましい。しかしながら、少なくとも以下に説明する橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630のそれぞれは、そのような貫通穴を備えている。
【0025】
さらに、本発明の第1態様によれば、プレート110,210,310,410,510,610は、それぞれの主面Pをほぼ平行に配置して固定され、好ましくは恒常的に固定され、好ましくは互いに積み重ねてろう付けされる。また、少なくとも2つの異なるタイプのプレートが存在し、積層には第1タイプのプレート104a,204a,304aと第2タイプのプレート104b,204b,304bとが交互に配置されている。前記第1タイプの前記プレート104a,204a,304aは、好ましくは同一であり、前記第2タイプの前記プレート104b,204b,304bも、好ましくは同一である。さらに、第1タイプのプレート104a,204a,304aの形状は、好ましくは第2タイプのプレート104b,204b,304bの対応する形状の鏡像である。それに加え、またはその代わりに、第1タイプのプレート104a,204a,304a、および第2タイプのプレート104b,204b,304bはすべて同一形状であるが、前記積層における第1タイプのプレート104a,204a,304aは、第2タイプのプレート104b,204b,304bと比較して、主面Pにおいて180°回転して配置されている。図に示す例示のプレート110,210,310,410,510,610は、実際にはすべてがそのような同一のプレートを回転した対の例である。しかしながら、第1タイプと第2タイプのプレートが異なるものでもよいことを理解されたい。
【0026】
積層に前記第1タイプのプレート104a,204a,304aおよび第2タイプのプレート104b,204b,304bのみしか備わっていなくても、場合により、いくつかの実施形態で、積層は、スタートプレートおよびエンドプレートとは別に他のタイプのプレートも備え得ることを理解されたい。例えば、積層において対に配置された第3タイプのプレートと第4タイプのプレートもあり得る。第1タイプのプレートと第2タイプのプレートとの対の間に、ほぼ平坦な多孔プレートなど追加のプレートを配置してもよい。すべての場合において、本明細書で説明のように、第2の媒体は、熱交換器の全体に亘って、橋梁形の陥凹部における貫通穴を通って自由に流れ得ることが好ましい。
【0027】
プレートそれぞれの主面が互いに「ほぼ平行に」配置されるということは、プレートが他のプレートの上部に積層して配置され、積層の高さが対象の主面に対して概して垂直であるが、個々のプレートは、例えば陥凹部の高さがプレートに亘って一様でないために、互いに完全に平行な配向を達成しないように、互いに小さな角をなし得ることを意味する。しかしながら、プレートの主面は、完全に平行に配置されることが好ましい。
【0028】
プレート110,210,310,410,510,610は、前記積層の安定性を改善するために、それぞれの曲った縁部(図示せず)を伴って配置されてもよい。この場合、好ましくは、すべてのプレートが、対象のプレートのタイプに関係なく、積層において同一の高さ方向Hに突出するそれぞれの曲った縁部を伴って配置される。よって、そのような曲った縁部の場合には、上記の前記鏡像の形状および/または180°の回転は、いかなる曲った縁部にも関係なく適合する。
【0029】
その上、積層は、適切なスタートプレートおよびエンドプレートを備え得る。
【0030】
プレート110,210,310,410,510,610は、好ましくはプレートの主面Pの全体に亘って、詳細にはすべての陥凹部120,130,140,220,230,240,320,330,340,420,430,440,520,530,540,620,630,640に亘って、厚さがほぼ等しい材料の板金から製造される。好ましくは、プレート110,210,310,410,510,610は、所望の形状に型押しされた1つの板金から製造される。
【0031】
重要なことは、積層するプレート110,210,310,410,510,610が、積層において隣接したプレートの前記陥凹部120,130,140,220,230,240,320,330,340,420,430,440,520,530,540,620,630,640の対応するもの同士が直接接触するように互いに対向して配置され、その結果、隣接したプレートの対応する第1の面114,214,314,414,514,614と第2の面116,216,316,416,516,616のうち少なくとも1つとが前記陥凹部を介して互いに接し、その結果、前記2つの面の間に、前記第1の媒体用の少なくとも1つの流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”と前記第2の媒体用の少なくとも1つの流路106,206,306,406,506,606とが形成される。図では、前記第2の媒体用それぞれの流路106,206,306,406,506,606は、特定のポイントで示しているが、図に示す本発明の例示の実施形態では、前記第2の媒体用の流路106,206,306,406,506,606は、板金材料および第1の媒体用の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を除けば、ほぼ積層全体を占有することに留意されたい。下記を参照。
【0032】
このように、プレート間の陥凹部が隣接した状態で、相互に固定された機構、好ましくは相互にろう付けされた機構のため、積層は、好ましくは個々のプレート間にスペースを有する自己支持の構造体を形成し、第1の媒体および第2の媒体は、この構造体を通って流れることができる。ろう付けは、好ましくは積層における1つおきのプレートの間にろう付け用材料のシートを配置し、もたらされた積層を、ろう付け用材料が溶融して隣接したプレートの間が付着する温度まで加熱することで遂行される。しかしながら、プレート110,210,310,410,510,610の材料がアルミニウムである好ましい例で、ろう付けは、好ましくはろう付け材料としてプレートアルミニウムを用い、ろう付けの前にアルミニウムプレートの表面にろう付け用合金を被覆させることなどにて達成される。
【0033】
図4a~
図6dに示すプレート410,510,610は、
図1j~
図1kに示すものに対応するそれぞれの積層に組み立て得ることを理解されたい。
【0034】
図示するすべての熱交換器および積層には、簡単さの理由から、4枚のプレートのみであることをさらに理解されたい。しかしながら、実際の用途では、少なくとも20枚のプレート、すなわち少なくとも10対の、それぞれの第1タイプのプレートと、それぞれの第2タイプのプレートとを用いることが好ましい。さらに、各積層は、最大で400枚のプレートを備えることが好ましい。
【0035】
本発明の第1態様によれば、第1タイプの各プレート104a,204a,304aは、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620をそれぞれ備える。本明細書にて用いるように、「峰形の陥凹部」の語は、上記で定義したように、それぞれの主面Pにおいて全体的に細長い形状を有する陥凹部であり、よって、対象のプレートの主面Pに沿った「峰」を形成する。本発明の第1態様によれば、第1タイプの前記プレート104a,204a,304aの前記峰形の陥凹部120,320,420,520,620は、隣接した第2タイプのプレート104b,204b,304bの対応する峰形の陥凹部と共に、対象のプレートの第1の媒体のプレート入口111,211,311,411,511,611から第1の媒体のプレート出口112,212,312,412,512,612へ流れる第1の媒体用の少なくとも1つの閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を形成するように配置されている。峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620が対象の閉じた流路を「形成する」ということは、それが、流路を画定する構造体の少なくとも一部を形成することを意味するように意図される。よって、流路は、熱交換器100,200,300の他の構造的特徴にて定義されてもよい。重要なことは、そのような閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”のそれぞれが、第1の媒体を、前記プレート入口111,211,311,411,511,611から前記出口112,212,312,412,512,612まで運ぶように配置されるという意味で「閉じて」おり、いかなるポイントにおいても第1の媒体を第2の媒体と混合せずに運び得ることである。前記峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620は、前記流路の閉じた形状をもたらすように特に配置されている。
【0036】
さらに、本発明の第1態様によれば、第1タイプの各プレート104a,204a,304aのそれぞれが、対象のプレートの金属シートを通過する少なくとも1つの貫通穴132a,132b,232a,232b,332a,332b,432a,432b,532a,532b,632a,632bを備えるようにそれぞれ形成された橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630を備える。
【0037】
本明細書で用いるように「橋梁形の陥凹部」は、上記で定義した陥凹部であるが、橋梁形の部分または細部を備え、よって前記板金にその貫通穴を少なくとも1つ備える。
【0038】
陥凹部120,130,220,230,320,330,420,430,520,530,620,630は、「峰形」または「橋梁形」であることとは別に、任意の適切な形態および形状を有し得ることを理解されたい。例えば、これら陥凹部は、矩形、準円形、または段階的な線形輪郭形状を有し得る。このことは、以下で論じる追加の陥凹部140,240,340,440,540,640においても当てはまる。
【0039】
さらに、本発明の第1態様によれば、第1タイプの各プレート104a,204a,304aの前記橋梁形の陥凹部は、隣接した第2タイプのプレート104b,204b,304bの対応する橋梁形の陥凹部と共に、第2の媒体用の開放した流路106,206,306,406,506,606を形成するように配置される。前記開放した流路106,206,306,406,506,606は、前記積層における他の対の第1タイプのプレート104a,204a,304aと第2タイプのプレート104b,204b,304bとの間の対応する開放した流路と連通する。
【0040】
具体的に、熱交換プレート110,210,310,410,510,610は、上記のような積層に相互に固定/ろう付けされた場合に、そのような流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”,106,206,306,406,506,606を形成するように配置される。
【0041】
このような熱交換器100,200,300は、前述の目的を達成することが分かっている。具体的に、このような熱交換器は、非常に優れた機械的安定性をもたらす一方、非常に優れた熱交換効率および高処理速度(スループット)を得、詳細に、好ましい例では第1の媒体は液体または気体であり、第2の媒体は気体である。
【0042】
個々の熱交換プレート110,210,310,410,510,610に関し、上記で説明したような積層を形成するために相互に固定/ろう付けされ得るので、対応が事実であり、結果として前記目的を達成することを理解されたい。
【0043】
図示するように、前述の原理は、異なる仕様で実施され、そのうちの6つが図示され、以下で詳細に説明される。特徴の多くがいくつかの例の間で共有され、図では、対応する部分または同一の部分については、下2桁が同一の参照数字が共有されている。このため、本明細書では、すべての例示したすべての個々の詳細について明示的に説明されているわけではない。したがって、非互換性がない限り、また特に指定しない限り、1つの熱交換器または1枚のプレートに関して説明したことは、他の熱交換器またはプレートにも全般的に当てはまる。
【0044】
好ましい実施形態によれば、前記峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620のうちの、前述の高さ方向Hに測定された最大高さは、対応する橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630の最大高さよりも低い。詳細には、複数、好ましくは大多数の峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620がほぼ同一の高さであり、複数、好ましくは大多数の橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630もほぼ同一の高さであって、前記複数の峰形の陥凹部の前記高さよりも高いことが好ましい。そこで、第1タイプの各プレート104a,204a,304aが、橋梁形の陥凹部のそれぞれの頂点間の少なくとも複数の接触点を介して、第2タイプの各プレート104b,204b,304bに固定/ろう付けされていることが好ましい。この頂点は、本明細書で説明するタイプのうちの1つなどの補強峰の頂点であってもよい。第1の媒体の入口111,211,311,411,511,611および出口112,212,312,412,512,612ならびに追加の陥凹部140,240,340,440,540,640などに、追加の相互に固定/ろう付けされた接点があってもよいことに留意されたい。
【0045】
言い換えれば、そのような構成で、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620は、第1の媒体用の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を形成することとなり、これらは、そのような同一の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を共有しない隣接したプレート間に、互いに間隔をおいて配置される。そこで、第1の媒体用の流路間の前記間隔は、好ましくは、第1の媒体用の前記流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”の間を流れる第2の媒体用の前記流路106,206,306,406,506,606の一部を構成する。
【0046】
特に好ましい実施形態では、複数、好ましくは大多数、好ましくはすべての峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620が、主面Pの、複数の橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630と同一の側に膨らむ。この場合、第1タイプのプレート104a,204a,304aの峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620それぞれの頂点121,221,321,421,521,621、好ましくはすべてのそのような頂点について、対象の頂点が、第2タイプのプレート104b,204b,304bの対応する峰形の陥凹部のいかなる頂点とも直接接触しないことがさらに好ましい。
【0047】
重要な一例として、熱交換器100,200,300に関して以下に説明し、図示のように、閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”が段105c,205c,305cを備える場合は、必ずしも峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620のすべての膨らみが橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630と同一の方向に突出するわけではない。この例および他の例では、第1の峰形の陥凹部は、隣接したプレートの、前記第1の峰形の陥凹部に対応する第2の峰形の陥凹部が、第1の峰形の陥凹部と同一の方向に膨らむ位置において、対象のプレートの橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630が主面Pから膨らむ方向とは反対の高さ方向Hへ局所的に膨れてよい。したがって、これらの例では、第1の峰形の陥凹部と第2の峰形の陥凹部とは、隣接したプレート間に配置された閉じた第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”を共に形成する。
【0048】
より詳細に、好ましくは各プレート110,210,310,410,510,610は陥凹部のない部分を備え、この部分は、前記積層において隣接したプレートの対応する陥凹部のない部分に接して配置される。これは、例えば、対象のプレート110,210,310,410,510,610の全体に亘って、すべての陥凹部120,130,140,220,230,240,320,330,340,420,430,440,520,530,540,620,630,640のそれぞれを同一の方向にのみ膨れさせ、他の側には、前記主面Pからのいかなる突起も、またはほぼなくし、したがって主面に隣接したプレートの主面に対して直接接することによって適合させることで達成され得る。上記のように、そのような側は、積層における隣接したプレートの峰形の陥凹部が局所的に同一方向に膨らむ場合に、局所的に膨らむ峰形の陥凹部を伴って配置されてもよい。そのような側に突起が「ほぼない」ことは、この状況を包含するように意図されている。
【0049】
そこで、第1タイプのプレート104a,204a,304aのそれぞれが、好ましくは、隣接した第2タイプのプレート104b,204b,304bと、第1のプレートの第1伝熱面114,214,314のそのような陥凹部のない部分またはほぼない部分が、第2のプレートの第1伝熱面114,214,314の対応する陥凹部のない部分またはほぼない部分に接することにより、相互に固定/ろう付けされてもよい。このように、非常に強固な構造が達成され、第1の媒体と第2の媒体との間の非常に優れた熱移動ももたらされる。
【0050】
図1a、
図1k、
図2a、
図3a、
図4a、
図4d、
図4e、
図5a、
図5d、
図6aおよび
図6dに最もよく示すように、好ましい実施形態によれば、前記橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数、より好ましくはほぼすべてが、対象の金属シートにおける2つの貫通穴132aと132b,232aと232b,332aと332b,432aと432b,532aと532b,632aと632b、ならびに前記貫通穴間の流路を形成するブリッジ部134,234,334,434,534,634を備える。その結果形成される流路は、さらに好ましくは、対象の橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630を通過する第2の媒体の全体的な流れ方向Dとほぼ平行な全体的方向を有する。言い換えれば、第2の媒体は、局所的に、好ましくは第2の媒体が結果としてその全体的な流れ方向をほぼ変更することなく前記流路を通過できるように、全体的な方向Dに流れる。このことは図示されている。「全体的な流れ方向」は、好ましくは、対象の橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630の直近の局所的な全体的な流れ方向であり、そのため、第2の媒体の流れ方向は、特に主面Pに見られるように、ほぼ橋梁形の陥凹部および流路に影響されない。しかしながら、橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630のうちの複数、好ましくはすべてが、各流路を互いに回転させて整列させ、ほぼ平行な流れ方向を伴って配置されることが好ましく、その結果、第2の媒体の局所的な全体的流れ方向は、主面Pに見られるように、対象の第2伝熱面116,216,316,416,516,616のより大きな接続部分に亘って同一である。そのような構成では、第2の媒体の圧力低下が小さくなる。第2の媒体は、熱交換器100,200,300を高さ方向Hに横切って、所定の速度で移動し得る。
【0051】
その上、橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630のうちの複数、好ましくはほぼすべてについて、隣接したプレートの対応する橋梁形の陥凹部、および前記2つのプレートの2つの橋梁形の陥凹部は、第2の媒体が、前記2つのプレートのうち一方の第1の貫通穴132a,232a,332a,432a,532a,632aを通って自由に流れ、次いで前記2つのプレートのうち他方の第2の貫通穴132b,232b,332b,432b,532b,632bを通って外に出ることができ、結果として、第1の対のプレート間の第2の媒体の1つの流路106,206,306,406,506,606から第2の対のプレート間の第2の媒体の別の流路へ通過するように配置されることが好ましい。好ましくは、第2の媒体の流路間のそのような流れは、第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を前記高さ方向Hに通り越す流れを含む。好ましくは、第2の媒体は、第2の媒体の流路106,206,306,406,506,606のうち少なくとも3つ、好ましくはすべての間を、橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630の対応する流路を通って、自由に通り抜けできる。これにより、第2の媒体が第1の媒体と効率的な仕様で熱交換可能にする、開いてはいるが強固な構造体がもたらされ、例えば
図1hを参照されたい。
【0052】
好ましくは、前記全体的な流れ方向Dにおいて次々に配置されたそれぞれの橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630にて形成された前記タイプのそれぞれの流路は、前記全体的な流れ方向Dにおいて隣接して配置された流路が流れ方向Dに沿って前記垂直な方向に直線的に整列しないように、前記全体的な流れ方向Dに対して垂直な前記主面Pにおける方向にオフセットされている。言い換えれば、橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630は、全体的な流れ方向Dに沿ってずらされている。これは、とりわけ
図1iに示されている。
【0053】
好ましい実施形態によれば、前記局所的な全体的流れ方向Dは、対象の前記橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630に隣接して配置された、第1の媒体用の隣接した閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”の局所的な全体方向に対してほぼ垂直である。
図1c、
図2c、
図3c、
図4c、
図5cおよび
図6cを参照。これは、特に、第2の媒体が熱交換器を通る途中でいくつかの第1の媒体の閉じた流路を通過する好ましい例において、高い熱交換効率をもたらす。これは、例えば
図2cおよび
図3cに示されており、第2の媒体の全体的な流れ方向Dは、対象のプレート210,310の全体に亘ってほぼ同一である。好ましくは、図示のように、いくつかの橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630は、直線的に全く同一の第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”に沿って整列しており、それぞれの局所的な流れ方向D(好ましくはほぼ同一の流れ方向D)は、第2の媒体が、第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を通過して橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630を通り、対象の第1の媒体の流路に対して、好ましくはほぼ垂直に流れるように配置されている。
【0054】
図1k、
図2a、
図3a、
図4dおよび
図5dに最もよく示すように、それぞれの橋梁形の陥凹部の頂点131,231,331,431,531,631は、積層において隣接して配置されたプレート対104aと104b,204aと204b,304aと304bの2つの接するそのようなそれぞれの頂点の間に、局所的な平面131a,231a,331a,431a,531aの形態の付着点を形成する。これは伝熱能力を悪化させることなく強固な構造をもたらす。
【0055】
図6dに示すように、前記橋梁形の陥凹部630は、好ましくはほぼ放物線または準円形の形状の滑らかに湾曲した凸型の形状を有する。局所的に平坦な頂点面を、湾曲した凸型の形状の橋梁形の陥凹部に配置することにより、2つの異なる形状が組み合わされ得る。
【0056】
一般に、個々の橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630に関し、本明細書にて説明したすべてのことは、複数、好ましくはほぼすべての対象のプレート110,210,310,410,510,610の橋梁形の陥凹部に当てはまる。個々の峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620に関して説明したすべてのことが、一般に、対象のプレートのすべての峰形の陥凹部に当てはまる。個々のプレート110,210,310,410,510,610に関して説明したすべてのことが、熱交換器100,200,300のすべてのプレート、またはほぼすべてのプレートに当てはまる。
【0057】
図3a、
図4eおよび
図5dに最もよく示すように、プレート310,410,510は、好ましくは、橋梁形の陥凹部330,430,530のうち、隣接して配置されたものの間に延びてこれらを接続する峰形の第1の補強陥凹部336,436,536を備える。
【0058】
同様に、
図4dおよび
図4eに示すように、橋梁形の陥凹部330,430,530は、対象の橋梁形の陥凹部の第1の側から反対側の第2の側まで延びる峰形の第2の補強陥凹部435を備える。好ましくは、前記第1補強陥凹部336,436,536および第2補強陥凹部435のそれぞれは、対象の主面Pにおいて、前記全体的な流れ方向Dに対してほぼ垂直な、それぞれの峰の主要な長手方向を有する。
【0059】
好ましい実施形態によれば、前記峰形の補強陥凹部435のうち少なくとも1つ、好ましくは大多数、好ましくはすべてが、それぞれの橋梁形の陥凹部430に亘って延び、対象の橋梁形の陥凹部430と同一の高さ方向Hに膨らむ。本明細書で「同一の高さ方向H」とは、高さ方向と平行な、主面Pに対して同一の絶対的方向を意味する。よって、補強陥凹部は、橋梁形の陥凹部430の上部に置かれ、追加の出っ張りを形成する。これは図示されており、峰形の補強陥凹部435は、特に、隣接して配置されたプレート用の固定点として使用されると優れた安定性をもたらす。
【0060】
しかしながら、代替として、好ましくは、前記峰形の補強陥凹部435のうち少なくとも1つ、好ましくは大多数、好ましくはすべてが、それぞれの橋梁形の陥凹部430に亘って延び、高さ方向Hにおいて対象の橋梁形の陥凹部430とは反対方向に膨れ、言い換えれば、高さ方向Hに対して平行ではあるが主面Pに対して反対側の絶対的方向に膨らむ。したがって、この例の補強陥凹部435は、橋梁形の陥凹部430に亘って置かれて陥凹部430を形成する。これによって第2の媒体の圧力低下が小さくなる。
【0061】
これら2つの代替的な実施形態によれば、適切に組み合わせることも可能であり、全く同一のプレート410の峰形の補強陥凹部435のうちの少なくともいくつかが高さ方向Hにおける第1の方向に膨らみ、他のものが高さ方向Hにおける反対側に膨らむ。
【0062】
好ましくは、補強陥凹部336,435,436,536の幅は、主面Pに沿って0.5~10mmであり、高さ方向Hにおける高さは0.1~2mmである。これらの補強陥凹部は、好ましくはそれぞれの長手方向に沿ってほぼ等しい高さである。
【0063】
好ましい一実施形態によれば、第1の峰形の補強陥凹部336,436,536および第2の峰形の補強陥凹部435は、それぞれの橋梁形の陥凹部330,430,530に接続され(一部として備わり)、隣接して配置されたいくつかの橋梁形の陥凹部の間に、それらに亘って延びる接続された峰形の補強陥凹部を形成する。本発明のこの第3態様は、
図4eに最もよく示しており、非常に強固で簡単かつ効率的な構造をもたらす。
【0064】
具体的に、好ましい実施形態によれば、橋梁形の陥凹部430は、橋梁形の陥凹部430のうちの少なくとも2つの間に亘って延び、これらを互いに接続する峰形の補強陥凹部436を備える。さらに好ましくは、橋梁形の陥凹部430はまた、橋梁形の陥凹部430のうち少なくとも1つに亘って延びる峰形の補強陥凹部436を少なくとも1つ、好ましくはいくつか備える。好ましくは、橋梁形の陥凹部430の少なくとも大多数が、それらに亘って延びるそのような補強陥凹部436を有する。さらに好ましくは、前記峰形の補強陥凹部435,436は、プレート410に亘って接続された補強陥凹部を一緒に形成するように配置される。
【0065】
図4eにさらに示す好ましい実施形態によれば、第2の峰形の補強陥凹部435は、それぞれの頂点を有し、これは、プレート上のすべての陥凹部の高さ方向Hにおいて主面Pから最も遠くに配置されたポイントである。言い換えれば、第2の峰形の補強陥凹部435は、本明細書にて説明のような隣接したプレートおよびろう付けを用いて、対象のプレート310,410,510を隣接したプレートに固定するために用いられる。
【0066】
これらの接続された峰形の補強陥凹部は、主面Pと平行に、全体的な流れ方向Dにおける橋梁形の陥凹部の主面Pの中心点に関する中心におかれ、または代替的に、全体的な流れ方向Dにおいて、そこからオフセットされてもよい。
【0067】
プレートおよび積層構造体を全体的に強化することとは別に、補強陥凹部の頂点が隣接したプレートにろう付け接合される好ましい例、特に、補強峰および前記ろう付け接合が、いくつかまたはすべてのプレートに亘って高さ方向に並ぶ例では、そのような補強陥凹部により、個々のプレートがより多くの重量を担持できる。このように、同一の積層にてより多くのプレートが垂直に配置され得、よって、より大きな熱交換器が作成され得る。
【0068】
上述のように、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620は、第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を形成する。具体的には、図示するように、プレート110,310,410,510,610に関し、峰形の陥凹部は、好ましくは、第1の媒体用に、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの平行な閉じた流路105’~105”,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”を形成するように配置され、各流路は、第1の媒体のプレート入口111,311,411,511,611から第1の媒体のプレート出口112,312,412,512,612まで延びる。プレートの第1の媒体の入口が第1の媒体の主入口101,301に接続され、プレートの第1の媒体の出口が第1の媒体の主出口102,302に接続されるため、平行な閉じた流路105’~105”,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”は、共に第1の媒体用の単一の閉じた流路システムを形成し、第1の媒体の主入口101,301と第1の媒体の主出口102,302との間に接続される。これらの平行な流れは、プレート入口111,211,311,411,511,611からプレート出口112,212,312,412,512,612への第1の媒体の全体の流れ長の、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%に沿って配置されることが有利であり、非常に強固な構造で、第1の媒体の圧力低下がより小さくなり、熱効率がより高くなり、流路のすべてではなくいくつかが詰まった場合の動作の安定性も、より優れたものになる。
【0069】
図1c、
図2c、
図3c、
図4c、
図5cおよび
図6cに最もよく示すように、前記第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”は、対象のプレート110,210,310,410,510,610に亘る蛇行する流れパターンを備え、これは対象の主面Pに配向されている。流れパターンは、好ましくはプレート110,210,310,410,510,610の主面Pの表面のほぼ全体をカバーする。
【0070】
言い換えれば、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620は、好ましくは、プレート110,210,310,410,510,610の主面Pの表面のほぼ全体に亘って分配される。同じことが、好ましくは橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630に関して当てはまる。このように、プレートの全体に亘って効率的な熱交換が達成される。
【0071】
本発明の第2態様によれば、前記第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505’,605’~605”は、高さ方向Hで見た場合に、床105a,205a,305a,405a,505a,605aおよび天井105b,205b,305b,405b,505b,605bを備える。
図1a、
図1g~
図1k、
図2a、
図2eおよび
図3aに示すように、第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”は、前記床105a,205a,305aと前記天井105b,205b,305bとの両方が同一の高さ方向Hにオフセットされていることで、対象の主面Pから、対象の流路105’~105”,205’,305’~305”の全体的で局所的な流路の方向に沿って高さ方向Hにオフセットされ。言い換えれば、流路105’~105”,205’,305’~305”は、その流路に沿って高さ方向Hにおける段105c,205c,305cを備える。したがって、対象の第1の媒体の流路は、高さ方向Hに、前記オフセットにより段を備える。好ましくは、第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”は、そのようないくつかの段を備え、上下に曲りくねった流れの経路を形成する。よって、このように曲りくねった流れの経路が達成され、上述したプレート表面の全体に亘って行ったり来たりするものとは対照的に、高さ方向Hにおいて行ったり来たりする。
【0072】
そのような段は、好ましくは、前記床105a,205a,305a,405a,605aおよび前記天井105b,205b,305b,405b,605bが、対象の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,605’~605”に沿って、同一の位置またはほぼ同一の位置で、同一の高さ方向Hにオフセットされることで形成され得ることに留意されたい。しかしながら、そのようなオフセットは、流路の長手方向において互いにオフセットされてもよい。
【0073】
その上、
図5cおよび
図6cに最もよく示すように、第1の媒体の閉じた流路505’~505’,605’~605”は、好ましくは主面Pにおいて行ったり来たりする段またはオフセット505d,605dを備え、段505d,605dは、好ましくは前記第2の媒体の局所的な流れ方向Dに配置される。
【0074】
よって、第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505’,605’~605’’’に関し、3つの異なるタイプの蛇行する流れパターンが説明された。全体的なものは対象のプレートの全体に亘って曲りくねって流れ、局所的に配置された105c,205c,305cは高さ方向Hにおいて曲りくねって流れ、局所的に配置された505d,605dは、主面Pにおいて曲りくねって流れる。これらタイプの蛇行する流れパターンは、任意の組み合わせで自由に組み合わされ得、本明細書で説明した曲りくねった流れパターンのうち1つまたは複数に加え、他の追加の曲りくねった流れパターンも使用され得ることを理解されたい。
【0075】
特に好ましい実施形態によれば、第1の媒体の閉じた流路105’~105”,205’,305’~305”の前記高さ方向Hの段105c,205c,305cは、主面Pに対して(垂直に)行ったり来たりする流路形状を形成し、主面Pに対して垂直な反対の高さ方向Hの少なくとも5つの段またはオフセット105c,205c,305cを備え、第1の媒体のプレート入口111,211,311と第1の媒体のプレート出口112,212,312との間の全体の流路または第1の媒体それぞれの流路をほぼカバーする。対応して、主面Pの段またはオフセット505d,605dを有する例では、好ましくは主面Pの反対方向にそのような少なくとも5つの段またはオフセットを有し、第1の媒体のプレート入口と第1の媒体のプレート出口との間のそれぞれの第1の媒体の流路に関する流路のほぼ全体をカバーする。
【0076】
非常に好ましい実施形態によれば、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620および橋梁形の陥凹部130,230,430,530,630が形成する陥凹部のパターンは、好ましくはプレート110,210,310,410,510,610の表面のほぼ全体をカバーする。しかしながら、プレート表面の特定の領域は、前記パターンの詳細な設計に依拠し、前記陥凹部パターンによって占有されないことがある。そこで、追加の陥凹部140,240,340,440,540,640によって占有されないそのような領域は、好ましくは窪みの形態で、ほぼカバーされることが好ましい。隣接して配置されたプレートのプレート対104aと104b,204aと204b,304aと304bの対応する窪みは、前記積層において互いに直接接触する仕様で、前記熱交換器100,200,300において相互に固定/ろう付けされる。したがって、図で与えられたそのような追加の陥凹部140,240,340,440,540,640の多くの例は、上述した峰タイプまたは橋梁タイプの陥凹部ではない。
【0077】
そのような追加の陥凹部140,240,340,440,540,640により、積層の機械的安定性が改善される。しかしながら、好ましい実施形態によれば、プレート110,210,310,410,510、610は、前記橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630の貫通穴132a,132b,232a,232b,332a,332b,432a,432b,532a,532b,632a,632bを通る第2の媒体の貫流を増加するために、橋梁形の陥凹部120,220,320,420,520,620または峰形の陥凹部130,230,330,430,530,630によって占有されない位置に付加的に配置された前記タイプの追加の陥凹部140,240,340,440,540,640を備える。この貫流の増加は、他の陥凹部120,130,220,230,320,330,420,430,520,530,620,630に対して前記追加の陥凹部140,240,340,440,540,640を位置決めし、前記占有されない位置に亘って第2の媒体に対する流れ抵抗を増加することにより、具体的には第2の媒体を前記貫通穴に追いやる前記追加の陥凹部の存在の結果として達成される。例えば、追加の陥凹部140,240,340,440,540,640は、前記追加の陥凹部140,240,340,440,540,640の代わりに橋梁形の陥凹部が配置された場合に比較的大量の第2の媒体が流れる予定の位置に配置されてもよく、それによって、対象のプレートに亘って第2の媒体の同等の流れを追いやる。具体的には、そのような追加の陥凹部140,240,340,440,540,640は、好ましくは、主面Pにおいてプレート110,210,310,410,510,610の周側面に沿って配置されてもよい。
【0078】
追加の陥凹部140,240,340,440,540,640は、プレート対104aと104b,204aと204b,304aと304bを互いに整列させる意味で、整列させる目的にも役立ち得る。これは、例えばプレート100における4つの隅の陥凹部で示される。
【0079】
各プレート110,210,310,410,510,610上には、追加の陥凹部140,240,340,440,540,640よりも多くの峰形の陥凹部130,230,330,430,530,630が存在することが好ましい。
【0080】
第1の媒体と第2の媒体とは互いに独立した液体または気体、かつ/または本発明による熱交換器を使用して前記媒体の間で行われる熱交換処理の結果としての一方から他方への遷移であり得る。
【0081】
しかしながら、好ましい実施形態によれば、第1の媒体は液体または気体、好ましくは液体であり、第2の媒体は気体である。詳細には、第1の媒体は水または塩水でよく、第2の媒体は蒸気または空気である。
【0082】
好ましくは、第1の媒体の入口111,211,311,411,511,611と出口112,212,312,412,512,612とは、好ましくは大きさがほぼ等しく、好ましくは形状が円形または矩形でよい。
【0083】
個々のプレート110,210,310,410,510,610それぞれの第1の媒体の入口111,211,311,411,511,611に関し、好ましい実施形態によれば、それぞれの入口穴の断面の大きさが変化する。詳細には、第1の媒体の主入口101,201,301のすぐ近くに配置されたプレートは、第1の媒体の主入口101,201,301からより遠くに配置されたプレートよりも小さい第1の媒体の入口111,211,311,411,511,611を有することが好ましい。これによって、熱交換器100,200,300における第1の媒体の分布が、より優れたものになる。
【0084】
上述のように、第1の媒体用の個別の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”および第2の媒体用の個別の流路106,206,306,406,506,606が存在する。好ましくは、第2の媒体の流路は、高さ方向Hにおける内部の流れ高さを有し、これは、高さ方向Hにおける第1の媒体の流れ高さの内部の流れ高さと比較して少なくとも等しく、好ましくは少なくともより高く、好ましくは少なくとも2倍であり、好ましくは少なくとも3倍である。
【0085】
すべての峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620の高さ方向Hにおける高さは、各プレート110,210,310,410,510,610に亘って、好ましくは同一またはほぼ同一である。しかしながら、段105c,205c,305cは、これらの高さを局所的に変位させ得ることに留意されたい。
【0086】
流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”の幅は、主面Pにて見た場合に、最も広い点において、好ましくは3~15mm、好ましくは4~8mmである。
【0087】
特に好ましい実施形態によれば、第1の媒体の流路105’~105”,205’,305’~305”,405’~405”,505’~505”,605’~605”の前記第1の媒体の流れ高さは、最大で3mm、好ましくは最大で2.0mm、好ましくは最大で1.5mmであるが、好ましくは少なくとも0.8mmである。
【0088】
すべての橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630の高さ方向Hにおける高さは、各プレート110,210,310,410,510,610に亘って好ましくは同一である。この高さは、主面Pから高さ方向Hにおいて、好ましくは少なくとも0.75mm、より好ましくは少なくとも1.5mm、最も好ましくは少なくとも2mm、また、好ましくは最大で4.5mm、より好ましくは最大で4mmである。好ましくは、少なくとも大多数、好ましくはほぼすべて、好ましくはすべての橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630はまた、高さ方向Hの反対方向または好ましくは同一方向において、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620の少なくとも大多数、好ましくはほぼすべて、好ましくはすべてよりも高い。1つまたは好ましくはそれぞれの橋梁形の陥凹部130,230,330,430,530,630と、対象の前記橋梁形の陥凹部に隣接、またはその近辺に配置された、それぞれの峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620との間の高さの差は、好ましくは少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1.0mmである。
【0089】
同じことが、追加の陥凹部140,240,340,440,540,640にも当てはまる。
【0090】
金属シート材料の厚さは、好ましくは0.15mm~0.5mmである。
【0091】
好ましくは、峰形の陥凹部120,220,320,420,520,620は、高さ方向Hにおいて少なくとも0.2mm、より好ましくは少なくとも0.4mm、より好ましくは少なくとも0.8mmであり、また、最大で2.5mmであり、より好ましくは最大で2mmである。
【0092】
上述のように、プレート110,210,310,410,510,610は、対象の積層構造において、隣接したプレート110,210,310,410,510,610の前記陥凹部120,130,140,220,230,240,320,330,340,420,430,440,520,530,540,620,630,640の対応するもの同士が固定/ろう付けされるように相互に固定/ろう付けされることによって、共に熱交換器の積層を形成する。これによって、前記陥凹部の間に形成された複雑な流路の完全性を危くすることなく、非常に頑丈な構造が形成される。詳細には、プレート110,210,310,410,510,610は、ステンレス鋼にて製造されてもよく、銅またはニッケルを用いて相互に固定/ろう付けされる。しかしながら、プレート110,210,310,410,510,610は、好ましくはアルミニウムにて製造され、アルミニウムを用いて相互に固定/ろう付けされる。実際には、そのような薄片材が用いられる場合、プレート110,210,310,410,510,610は、前記積層構造体においてろう付け用の薄片材を間に挟んで配置される。次いで、加熱炉の中ですべての積層を加熱してろう付け材を溶融させ、前述の陥凹部を介してプレート110,210,310,410,510,610を相互に恒常的に接合する。すべての陥凹部が同一の高さ方向Hに膨らむ好ましい例で、ろう付けは、主面Pに対して主面Pを直接配置したいくつかのプレート間で行われる。
【0093】
詳細には、本発明による熱交換器100,200,300は、好ましくは逆流型熱交換器または並流型熱交換器であり得る。好ましくは、その最長の寸法は1mである。
【0094】
上記では好ましい実施形態を説明している。しかしながら、当業者には、本発明の根本概念から逸脱することなく、開示された実施形態に対して多くの修正した形態が作製され得ることは明らかである。
【0095】
図にて提示して示した6つの詳細な実施形態は、本発明の様々な態様を例示するために選択されたものである。そのような個々の例に含まれる様々な設計態様は、適用可能なものとして自由に組み合わされ得、また、本発明によるプレートは、上記で説明したものに加え、追加の設計詳細を備え得ることを理解されたい。
【0096】
図示したプレート110,210,310,410,510,610は、第2の媒体用のいかなる入口または出口も明示的に特長とすることはない。むしろ、第2の媒体は、開いた縁部103,203,306を通って積層との間の流入や流出が可能である。しかしながら、プレートに第2の媒体用の入口穴や出口穴があってもよいことを理解されたい。
【0097】
その上、上記では本発明の3つの異なる態様を説明している。これら態様は、本発明の異なるが互いに互換性のある観点を表し、他のものと自由に組み合わされ得ることを理解されたい。
【0098】
したがって、本発明は説明した実施形態に限定されることなく、同封の特許請求の範囲の範囲内で変化し得るものである。