(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】モジュール化された変圧器の二次側大電流構造
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20221026BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20221026BHJP
H01F 27/25 20060101ALI20221026BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20221026BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01F30/10 C
H01F30/10 A
H01F27/255
H01F27/25
H01F30/10 R
H01F30/10 M
H01F27/28 K
H01F27/30 160
(21)【出願番号】P 2022003396
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】508166534
【氏名又は名称】林訓毅
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】林訓毅
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-166912(JP,A)
【文献】特開昭57-17119(JP,A)
【文献】特表昭63-502549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/10
H01F 27/255
H01F 27/25
H01F 27/28
H01F 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状コア、第1のモジュール、第2のモジュール、第3のモジュール、第4のモジュール及び一次側電源線を備えた、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造であって、
環状コアは、第1のモジュール内に配置され、第2のモジュール、第3のモジュール及び第4のモジュールを順次積層して4層の導電金属を形成して誘起電圧を発生させ、当該モジュールは、外側に向かって入れ子式で組み合わされ、多層の導電金属を積層して高電圧又は大電流を発生させ、各層の導電金属は、銅材モジュールであり、最外層に位置する第4のモジュールの内方に設けられた環状コアを覆う一次側電源線であり、それは一次側電源銅線の巻線であり、二次側銅材モジュール及び一次側電源線に電圧及び電流の変化を発生させ、各モジュールの積層は、外層モジュールの外環直径が内層モジュールの外環直径より大きく、各モジュールの積層は、外層モジュールの内環直径が内層モジュールの内環直径より小さい、積層構造に形成されることを特徴とする、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造。
【請求項2】
直列接続するときは、第1のモジュールの一側が、出力端と接続され、他側の回路出力端が、第2のモジュールの一側の回路出力端と電気的に接続され、第2のモジュールの他側の回路出力端が、第3のモジュールの一側の回路出力端と電気的に接続され、第3のモジュールの他側の回路出力端が、第4のモジュールの出力端と電気的に接続され、各導電金属の内層の一端が、外層の何れかの一端と直列接続され、4層の導電金属の回路出力端の前端部及び末端部が直列接続され、各層が接続されるに伴って電圧が次第に高まり、二次側モジュール化された高電圧・低電流の変圧器が構成されることを特徴とする請求項1に記載のモジュール化された変圧器の二次側大電流構造。
【請求項3】
並列接続するときは、第1のモジュールの出力端が、第2のモジュール、第3のモジュール及び第4のモジュールの回路出力端と接続され、第1のモジュール、第2のモジュール及び第3のモジュールの回路出力端と、第4のモジュールの出力端とが並列接続され、各層が接続されるに伴って電流が次第に増え、二次側モジュール化された大電流・低電圧の変圧器が構成されることを特徴とする請求項1に記載のモジュール化された変圧器の二次側大電流構造。
【請求項4】
環状コアは、ダストコア、ナノ結晶、アモルファスシリコン及び珪素鋼板からなる群から選ばれる一種以上を含む材料からなることを特徴とする請求項1に記載のモジュール化された変圧器の二次側大電流構造。
【請求項5】
第4のモジュールには、さらに大きなモジュールリングが嵌設され、
モジュールリングの外環直径は、内層の第4のモジュールの外環より大きく、
モジュールリングの内環の直径は、第4のモジュールの内環より小さく、銅材モジュールの数を増やして、変圧器の電圧又は電流を使用者が所望するものにすることを特徴とする請求項1に記載のモジュール化された変圧器の二次側大電流構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の直流の変圧器構造は、主にSCR又はIGBTシリコン制御整流素子(silicon-controlled rectifier)により制御し、大電流の直流電源(例えば、出力1V~500V、1A~50000A)か、高周波交換式(スイッチング式DC)直流整流器に用いる。その用途は主に、表面処理(即ち電解めっき)又は陽極処理に利用することにある(例えば、携帯電話のカバー、PCB回路基板電解めっき、ICリードフレーム電解めっき、連続電解めっき、ねじ電解めっき、電解、充電器、電着塗装、直流電車、電気自動車の充電装置など)。
【0003】
SCR又はIGBTシリコン制御整流素子の変圧器は、主に珪素鋼板材料により変圧器のコアを製作し、導電金属材料を組み合わせて一次側用銅線巻線方式及び二次側用銅線巻線方式を利用するとともに、大電流・低電圧のニーズを満たしていた。SCRシリコン制御の変圧器は、鉄損及び銅損が高くて効率が低く、消費エネルギー及び消費電力が大きかった。従来の変圧器は、体積が非常に大きい上、大電流・低電圧で整流するときに高温が発生するため、冷却装置が必要であった。しかしファンにより強制的に冷却した場合、大きな騒音が発生することがある上、油冷方式又は水冷方式により冷却する場合、汚染が発生して整流効率が下がることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するための鋭意検討を重ねた結果、かかる知見に基づいて、本発明に想到するに至った。
本発明の主な課題は、多層の導電金属を直列接続するか並列接続することにより、電圧又は電流を増やすことが可能であるとともに、モジュール化することにより小型化して効率を高めることができる、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、環状コア、第1のモジュール、第2のモジュール、第3のモジュール、第4のモジュール及び一次側電源線を備えた、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造であって、環状コアは、第1のモジュール内に配置され、第2のモジュール、第3のモジュール及び第4のモジュールを順次積層して4層の導電金属を形成して誘起電圧を発生させ、当該モジュールは、外側に向かって入れ子式で組み合わされ、多層の導電金属を積層して高電圧又は大電流を発生させ、各層の導電金属は、銅材モジュールであり、最外層に位置する第4のモジュールの内方に設けられた環状コアを覆う一次側電源線であり、それは一次側電源銅線の巻線であり、二次側銅材モジュール及び一次側電源線に電圧及び電流の変化を発生させ、各モジュールの積層は、外層モジュールの外環直径が内層モジュールの外環直径より大きく、各モジュールの積層は、外層モジュールの内環直径が内層モジュールの内環直径より小さい、積層構造に形成されることを特徴とする、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造を提供する。
【0006】
直列接続するときは、第1のモジュールの一側が、出力端と接続され、他側の回路出力端が、第2のモジュールの一側の回路出力端と電気的に接続され、第2のモジュールの他側の回路出力端が、第3のモジュールの一側の回路出力端と電気的に接続され、第3のモジュールの他側の回路出力端が、第4のモジュールの出力端と電気的に接続され、各導電金属の内層の一端が、外層の何れかの一端と直列接続され、4層の導電金属の回路出力端の前端部及び末端部が直列接続され、各層が接続されるに伴って電圧が次第に高まり、二次側モジュール化された高電圧・低電流の変圧器が構成されることが好ましい。
【0007】
並列接続するときは、第1のモジュールの出力端が、第2のモジュール、第3のモジュール及び第4のモジュールの回路出力端と接続され、第1のモジュール、第2のモジュール及び第3のモジュールの回路出力端と、第4のモジュールの出力端とが並列接続され、各層が接続されるに伴って電流が次第に増え、二次側モジュール化された大電流・低電圧の変圧器が構成されることが好ましい。
【0008】
環状コアは、ダストコア、ナノ結晶、アモルファスシリコン及び珪素鋼板からなる群から選ばれる一種以上を含む材料からなることが好ましい。
【0009】
第4のモジュールには、さらに大きなモジュールリングが嵌設され、モジュールリングの外環直径は、内層の第4のモジュールの外環より大きく、モジュールリングの内環の直径は、第4のモジュールの内環より小さく、銅材モジュールの数を増やして、変圧器の電圧又は電流を使用者が所望するものにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造は、モジュール化された導電金属を積層することにより、変圧器を小型化して効率を高めるとともに、変圧器の重量及び構築コストを減らして効果が高く、特に施工をスピーディーかつ容易に行うことができ、コストが確実に減るため、従来の変圧器よりも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造の直列接続された回路を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造のモジュールリングを嵌設させる状態を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造の並列接続された回路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造に関し、特に、多層の銅材モジュールを直列接続するか並列接続することによりモジュールの数を増やしてメーカが所望する電圧又は電流のニーズを満たし、モジュール化することにより小型化して効率を高めるとともに構築コストを減らす。
【0013】
まず、
図1を参照する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るモジュール化された変圧器の二次側大電流構造は、少なくとも環状コア10、第1のモジュール11、第2のモジュール12、第3のモジュール13、第4のモジュール14及び一次側電源線2から構成されてなり、環状コア10を第1のモジュール11内に配置し、第2のモジュール12、第3のモジュール13及び第4のモジュール14を順次積層して4層の導電金属を形成する。即ち、銅材モジュールにより誘起電圧を発生させ、当該モジュールは、外側に向かって入れ子式で組み合わされ、多層の導電金属を積層して高電圧又は大電流を発生させ、一次側電源線2のR端及びS端の電源と接続する。
【0014】
モジュール化された4層の導電金属の運用に関しては、
図1及び
図2に示すように、第1層の導電金属が第1のモジュール11であり、第2層の導電金属が第2のモジュール12であり、第3層の導電金属が第3のモジュール13であり、第4層の導電金属が第4のモジュール14である。各層の導電金属は銅材モジュールである。環状コア10は、ダストコア、ナノ結晶、アモルファスシリコン、珪素鋼板などの材料からなり、最外層に位置する第4のモジュール14の内方に設けられた環状コア10を覆う一次側電源線2であり、それは一次側電源銅線の巻線であり、二次側銅材モジュール及び一次側電源線2に二次側電圧及び電流の変化を発生させる。各モジュールの積層は、外層モジュールの外環直径が内層モジュールの外環直径より大きく、各モジュールの積層は、外層モジュールの内環直径が内層モジュールの内環直径より小さい、積層構造に形成される。
【0015】
続いて
図2及び
図3を参照する。
図2及び
図3に示すように、本発明は4層の導電金属間を直列接続して高電圧・低電流の効果を得る。即ち、第1のモジュール11の内環141は、出力端Uと接続される。第1のモジュール11の回路出力端V1は、第2のモジュール12の回路出力端U2と電気的に接続される。第2のモジュール12の回路出力端V2は、第3のモジュール13の回路出力端U3と電気的に接続される。第3のモジュール13の回路出力端V3は、第4のモジュール14の回路出力端U4と電気的に接続される。第4のモジュール14の外環140は、出力端Vと接続され、4層の導電金属の回路出力端V1,U2,V2,U3,V3,U4の前端部及び末端部が銅片を利用して直列接続され、各モジュールを接続することにより電圧を高め、高電圧・低電流の変圧器1を製作する(
図1を再び参照する)。また、モジュール化された導電金属を積層し、直列接続を延ばすことができるが、その実施方式は、
図4に示すように変圧器1の外層の第4のモジュール14に、さらに大きなモジュールリング15を嵌設させる方式である。モジュールリング15の直径は、内層の第4のモジュール14より大きく、そのモジュールリング15の内環151の直径は、第4のモジュール14の内環141より小さく、その数を増やすことができるため、メーカが所望する電圧又は電流の要求を満たすことができ、変圧器1は、僅かにモジュールリング15の体積分のみ増えるため、本発明は小体積で効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明のモジュールには、並列接続方式を採用してもよい。例えば、
図5に示すように、同様に第1のモジュール11、第2のモジュール12、第3のモジュール13及び第4のモジュール14を積層して嵌合し、出力端U及び出力端Vを並列接続し、出力端U、回路出力端U2、回路出力端U3及び回路出力端U4を並列接続するとともに、出力端V、回路出力端V1、回路出力端V2及び回路出力端V3を並列接続すると、高電流・低電圧が得られる。
【0017】
上述したことから分かるように、本発明に係るモジュール化された変圧器は、直列接続又は並列接続された回路の接続方式により複数組をモジュール化し、電圧又は電流を調整することができるため、産業上のニーズを満たすことができる上、全体的に小型化して性能を高め、最適な放熱システムを形成して構築コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 変圧器
2 一次側電源線
10 環状コア
11 第1のモジュール
12 第2のモジュール
13 第3のモジュール
14 第4のモジュール
15 モジュールリング
101 変圧器
140 外環
141 内環
150 外環
151 内環
R 電源端
S 電源端
U 出力端
U2 回路出力端
U3 回路出力端
U4 回路出力端
V 出力端
V1 回路出力端
V2 回路出力端
V3 回路出力端
V4 回路出力端
【要約】
【課題】電圧又は電流を増やすことが可能であるとともに、モジュール化することにより小型化して効率を高めることができる、モジュール化された変圧器の二次側大電流構造を提供する。
【解決手段】モジュール化された変圧器の二次側大電流構造は、環状コア10、第1のモジュール11、第2のモジュール12、第3のモジュール13、第4のモジュール14及び一次側電源線2を備える。環状コアは、第1のモジュール内に配置され、第2のモジュール、第3のモジュール及び第4のモジュールを順次積層して4層の導電金属を形成して誘起電圧を発生させる。モジュールは、外側に向かって入れ子式で組み合わされ、多層の導電金属を積層して高電圧又は大電流を発生させる。各層の導電金属は、銅材モジュールであり、最外層に位置する第4のモジュールの内方に設けられた環状コアを覆う一次側電源線である。
【選択図】
図1