(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】キャリアテープ装填方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2021092055
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2020017537の分割
【原出願日】2015-08-24
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲浦 雄哉
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-507908(JP,A)
【文献】特開2014-011328(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194142(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャリアテープを
第1待機位置から供給位置まで繰り出す第1工程と、
第2のキャリアテープを使用する場合に前記第1のキャリアテープを前記
第1待機位置まで引き戻させる第2工程と、
前記
第1待機位置における前記第1のキャリアテープの有無を
第1待機位置センサによって検出する第3工程と、
第2のキャリアテープを第2待機位置から供給位置まで繰り出す第4工程と、
第1のキャリアテープを使用する場合に前記第2のキャリアテープを前記第2待機位置まで引き戻させる第5工程と、
前記第2待機位置における前記第2のキャリアテープの有無を第2待機位置センサによって検出する第6工程と、
を含むキャリアテープ装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2本のキャリアテープを選択的に供給位置まで繰り出して部品を供給するマルチフィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、部品実装機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの設備を連結して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち部品実装機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、および制御装置を備える。部品供給装置の代表例として、テープ長さ方向に並んで形成されたキャビティ部にそれぞれ部品を保持したキャリアテープを繰り出す方式のフィーダ装置がある。近年、2本のキャリアテープを選択的に供給位置まで繰り出して部品を供給するマルチフィーダ装置が開発されており、その一技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の部品テープフィーダは、別々の部品テープを前進させる二つの投入モジュールと、前進させられる部品テープに収容されている部品を露わにする一つの部品露出モジュールと、前進させられた部品テープをフィーダから前進させる出力モジュールと、を備えている。これによれば、或る部品テープに収容された部品が部品配置機(部品移載装置)へと搬送および供給される一方で、別の部品テープに収容された別の部品を待機させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の部品テープフィーダを始めとするマルチフィーダ装置は、供給する部品の種類数を増やせる利点を有するので、部品の種類数が多い基板の生産が可能になる。生産計画に基づいて基板の種類(基板種)を切り替えながら基板を生産する場合には、マルチフィーダ装置の動作形態や段取り替え方法に依存して、基板の生産効率が変動する。しかしながら、基板種を切り替えながら基板を生産するときのマルチフィーダ装置の効率的な動作形態や、作業者が行う段取り替え作業などの具体的な内容は、特許文献1には開示されていない。
【0006】
本明細書は、段取り替え方法を効率化して生産効率を向上できるマルチフィーダ装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、第1のキャリアテープを第1待機位置から供給位置まで繰り出す第1工程と、第2のキャリアテープを使用する場合に前記第1のキャリアテープを前記第1待機位置まで引き戻させる第2工程と、前記待機位置における前記第1のキャリアテープの有無を第1待機位置センサによって検出する第3工程と、第2のキャリアテープを第2待機位置から供給位置まで繰り出す第4工程と、第1のキャリアテープを使用する場合に前記第2のキャリアテープを前記第2待機位置まで引き戻させる第5工程と、前記第2待機位置における前記第2のキャリアテープの有無を第2待機位置センサによって検出する第6工程と、を含むキャリアテープ装填方法を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示するマルチフィーダ装置は、現生産種の部品を保持した現生産用の一方のキャリアテープを繰り出して現生産種の部品を供給するとともに、次生産種の部品を保持した次生産用のキャリアテープが装填されると、これを初期保持し、かつ、一方のキャリアテープを自動的に引き戻す。これによれば、マルチフィーダ装置は、現生産種の部品を供給するのと並行して、次生産種の部品を予め準備するという効率的な動作を行うので、生産する基板の種類を切り替える際の切り替え所要時間が短縮される。一方、作業者は、マルチフィーダ装置が現生産種の部品を供給している間の任意の時期に、次生産用のキャリアテープを装填すればよいので、段取り替え作業の自由度が大きい。さらに、使用しなくなったキャリアテープの交換作業によって基板の生産動作が中断されず、かつ、キャリアテープの交換作業が容易になる。これらにより、基板の生産効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のマルチフィーダ装置を用いる部品実装機の平面図である。
【
図2】マルチフィーダ装置の構成を模式的に説明する斜視図である。
【
図3】マルチフィーダ装置の制御の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態のマルチフィーダ装置を用いた基板の生産方法を例示説明する処理フローの図である。
【
図5】生産管理システムが行うマルチジョブラインバランスの処理を説明した図である。
【
図6】フィーダ配膳リストの変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.部品実装機1の構成)
まず、実施形態のマルチフィーダ装置8を用いる部品実装機1の構成について、
図1を参考にして説明する。
図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬入出するX軸方向、紙面下側の後方から紙面上側の前方に向かう方向がY軸方向である。部品実装機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、部品カメラ5、および制御装置6などが機台9に組み付けられて構成されている。基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、および部品カメラ5は、制御装置6から制御され、それぞれが所定の作業を行うようになっている。
【0011】
基板搬送装置2は、基板Kを実装位置に搬入し位置決めし搬出する。基板搬送装置2は、搬送ユニット25およびバックアップユニット26からなる。搬送ユニット25は、一対のガイドレール(21、22)、および一対のコンベアベルトなどで構成されている。一対のガイドレール(21、22)は、機台9の上面中央を横断して搬送方向(X軸方向)に延在し、かつ互いに平行して機台9に組み付けられている。一対のガイドレール(21、22)の向かい合う内側に、図略の無端環状の一対のコンベアベルトが並設されている。一対のコンベアベルトは、基板Kの両縁をそれぞれ戴置した状態で輪転して、基板Kを機台9の中央部に設定された実装位置に搬入および搬出する。バックアップユニット26は、実装位置の下方に配設されている。バックアップユニット26は、基板Kを押し上げて水平姿勢でクランプし、実装位置に位置決めする。これにより、部品移載装置4が実装位置で部品装着動作を行えるようになる。
【0012】
部品供給装置3は、パレット台31および複数のフィーダ装置で構成されている。パレット台31は、概ね矩形板状であり、機台9の上面の後方寄りに着脱可能に装備される。パレット台31の上面に平行に刻設された複数のスロットには、薄型に形成された複数のフィーダ装置が並べて装備される。
図1には、7個のシングルフィーダ装置7および2個のマルチフィーダ装置8が例示されており、実際には、さらに多数のフィーダ装置が列設される。
【0013】
シングルフィーダ装置7は、本体部71、および本体部71の後部に交換可能にセットされるテープリール72などで構成されている。本体部71の前端付近の上部に、供給位置73が設定されている。テープリール72には、キャリアテープ7Tが巻回保持されている。キャリアテープ7Tは、部品を保持するキャビティ部が一定ピッチで形成されたボトムテープ、およびボトムテープに貼設されてキャビティ部を覆うカバーテープからなる。シングルフィーダ装置7は、キャリアテープ7Tを一定ピッチずつ繰り出し、部品を供給位置73に順次供給する。
【0014】
マルチフィーダ装置8は、本体部81、および本体部81の後部に交換可能にセットされる2個のテープリール(821、822)などで構成されている。テープリール(821、822)には、それぞれキャリアテープ(8T1、8T2)(
図2に示す)が巻回保持されている。本体部81の前端付近の上部に、供給位置83が設定されている。マルチフィーダ装置8の詳細な構成については後述する。
【0015】
マルチフィーダ装置8およびシングルフィーダ装置7は、テープリール(72、821、822)およびキャリアテープ(7T、8T1、8T2)の互換性能を有する。マルチフィーダ装置8およびシングルフィーダ装置7は、スロットの位置変更可能とされ、また他のフィーダ装置と交換可能とされている。さらには、部品供給装置3の全体も、交換可能とされている。また、マルチフィーダ装置8およびシングルフィーダ装置7は、テープリール(72、821、822)をセットするリール装填部が別置きとされていてもよい。
【0016】
部品移載装置4は、X軸方向およびY軸方向に水平移動可能なXYロボットタイプの装置である。部品移載装置4は、一対のY軸レール(41、42)、Y軸スライダ43、実装ヘッド44、ノズルツール45、吸着ノズル46、および基板カメラ47などで構成されている。一対のY軸レール(41、42)は、機台9の両方の側面寄りに配置されて、Y軸方向に延在している。Y軸レール(41、42)上に、Y軸スライダ43が移動可能に装架されている。Y軸スライダ43は、図略のY軸ボールねじ機構によってY軸方向に駆動される。
【0017】
実装ヘッド44は、Y軸スライダ43に移動可能に装架されている。実装ヘッド44は、図略のX軸ボールねじ機構によってX軸方向に駆動される。ノズルツール45は、実装ヘッド44に交換可能に保持される。ノズルツール45は、負圧を利用して部品を吸着採取する吸着ノズル46を1本または複数本有する。吸着ノズル46は、昇降動作してシングルフィーダ装置7の供給位置73やマルチフィーダ装置8の供給位置83から部品を採取し、実装位置の基板Kに装着する。基板カメラ47は、ノズルツール45と並んで実装ヘッド44に設けられている。基板カメラ47は、基板Kに付設された位置基準マークを撮像して、基板Kの正確な位置を検出する。
【0018】
部品カメラ5は、基板搬送装置2と部品供給装置3との間の機台9の上面に、上向きに設けられている。部品カメラ5は、実装ヘッド44が部品供給装置3から基板K上に移動する途中で、吸着ノズル46に吸着されている部品の状態を撮像する。部品カメラ5の撮像データによって部品の吸着姿勢の誤差や回転角のずれなどが判明すると、制御装置6は、必要に応じて部品装着動作を微調整し、装着が困難な場合には当該の部品を廃棄する制御を行う。
【0019】
制御装置6は、機台9に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御装置6は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。制御装置6は、オペレータによる入力設定を行う入力部、オペレータに情報を表示する表示部、および各種のプログラムやデータを記憶する記憶部などを備えている。制御装置6は、基板カメラ47および部品カメラ5の撮像データ、ならびに図略のセンサの検出データなどに基づき、部品装着動作を制御する。また、制御装置6は、生産完了した基板Kの生産数や、部品の装着に要した装着時間、部品の吸着エラーの発生回数などの稼動状況データを逐次収集して更新する。さらに、制御装置6は、後述する生産管理システム10と通信接続されている。
【0020】
(2.実施形態のマルチフィーダ装置8の構成)
図2は、実施形態のマルチフィーダ装置8の構成を模式的に説明する斜視図である。
図2において、テープリール(821、822)から引き出された第1のキャリアテープ8T1および第2のキャリアテープ8T2は、破線で示されている。また、
図3は、マルチフィーダ装置8の制御の構成を示すブロック図である。
図2および
図3において、駆動部は黒丸および破線円で略示され、センサは白丸で略示されている。
【0021】
マルチフィーダ装置8は、本体部81の後端の中間高さ付近に第1挿入口841を有し、第1挿入口841の上に第2挿入口842を有する。第1挿入口841は、前側のテープリール821から引き出された第1のキャリアテープ8T1の先端が挿入される。第2挿入口842は、後側のテープリール822からから引き出されて前側のテープリール821を通過する第2のキャリアテープ8T2の先端が挿入される。
【0022】
第1挿入口841から本体部81の前方上部に向けて第1繰り出しレール843が配設されている。第1繰り出しレール843の前方にテープ剥離機構845が配設され、テープ剥離機構845の前側に供給位置83が設定されている。第2挿入口842から本体部81の前方上部に向けて図略の第2繰り出しレールが配設されている。第2繰り出しレールの先端は、第1繰り出しレール843の途中位置の上方で途切れている。
【0023】
第1繰り出しレール843の第1挿入口841に近い位置に、第1装填駆動部851が配設されている。第1装填駆動部851の前側の第1装填位置に、第1装填位置センサ861が配設されている。同様に、第2繰り出しレールの第2挿入口842に近い位置に、第2装填駆動部852が配設されている。第2装填駆動部852の前側の第2装填位置に、第2装填位置センサ862が配設されている。
【0024】
第2繰り出しレールの先端付近の第2待機位置に、第2待機位置センサ864が配設されている。第1繰り出しレール843の第2待機位置センサ864の下側に相当する第1待機位置に、第1待機位置センサ863が配設されている。さらに、供給位置83の下側に、繰り出し駆動部853が配設されている。一方、テープリール(821、822)の軸承部の
図2に見えない裏面側に、第1巻取り駆動部855および第2巻取り駆動部856がそれぞれ配設されている。
【0025】
第1装填駆動部851、第2装填駆動部852、および繰り出し駆動部853は、ステップモータ、減速機構、およびスプロケットを含んで構成される。ステップモータは、フィーダ制御部89からの制御にしたがい、正転したり逆転したりする。減速機構は、ステップモータの回転を減速して、スプロケットに伝達する。スプロケットは、本体部81に軸承されており、キャリアテープ(8T1、8T2)の側縁に形成されたスプロケット孔に係合する。スプロケットは、ステップモータによって回転駆動され、キャリアテープ(8T1、8T2)の繰り出しおよび引き戻しを行う。
【0026】
第1巻取り駆動部855および第2巻取り駆動部856は、フィーダ制御部89からの制御にしたがい、テープリール(821、822)を逆転駆動して、キャリアテープ(8T1、8T2)の巻き取りを行う。第1巻取り駆動部855および第2巻取り駆動部856は、キャリアテープ(8T1、8T2)の繰り出しを阻害しないように、巻き取り時以外はテープリール(821、822)の正転をフリーにしている。
【0027】
第1装填位置センサ861は、第1装填位置における第1のキャリアテープ8T1の有無を検出する。第1待機位置センサ863は、第1待機位置における第1のキャリアテープ8T1の有無を検出する。同様に、第2装填位置センサ862は、第2装填位置における第2のキャリアテープ8T2の有無を検出する。第2待機位置センサ864は、第2待機位置における第2のキャリアテープ8T2の有無を検出する。
【0028】
本体部81の後部寄りの上面には、操作パネル87が配設されている。操作パネル87は、マルチフィーダ装置8の状態を表示する表示ランプを有している。また、操作パネル87は、キャリアテープ(8T1、8T2)の繰り出し速度や繰り出しピッチなどの繰り出し条件を設定する設定スイッチを有している。
【0029】
フィーダ制御部89は、本体部81に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。フィーダ制御部89は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。
図3に示されるように、フィーダ制御部89は、4つのセンサ(861~864)からそれぞれ検出信号を受け取る。また、フィーダ制御部89は、5つの駆動部(851、852、853、855、856)を制御して、キャリアテープ(8T1、8T2)の繰り出し、引き戻し、およびピッチ送りを制御する。さらに、フィーダ制御部89は、接続された操作パネル87と情報を授受する。また、フィーダ制御部89は、制御装置6に通信接続されており、制御装置6と共同して部品供給動作を制御する。
【0030】
マルチフィーダ装置8の前側には、機台9に支持されたテープカッター91が設けられている。テープカッター91は、パレット台31の幅方向に延在しており、全部のフィーダ装置(7、8)に共用とされている。各フィーダ装置(7、8)のキャリアテープ(7T、8T1、8T2)は、供給位置(73、83)から前方に繰り出されて、テープカッター91の固定刃と可動刃との間を通過する。テープカッター91は、制御装置6からの指令で動作し、各キャリアテープ(7T、8T1、8T2)のテープカッター91より前側まで繰り出された部分をまとめてカットする。
【0031】
(3.基板の生産方法)
次に、マルチフィーダ装置8を用いた基板の生産方法について説明する。
図4は、基板の生産方法を例示説明する処理フローの図である。この生産方法は、部品実装機1と生産管理システム10との協働によって進められ、かつ、作業者の作業も併せて必要になる。生産管理システム10は、記憶装置11を備えたコンピュータシステムであり、作業者からのアクセスが可能となっている。
【0032】
図4のステップS1で、作業者は、生産計画に基づいて生産する基板Kの種類(基板種)を生産管理システム10に入力する。
図4の例で、作業者は、最初に第1基板種の基板Kを生産し、2番目に第2基板種の基板Kを生産し、最後に第N基板種の基板Kを生産する旨を入力する。このとき、作業者は、第1~第N基板種の各基板Kを生産するために必要な生産情報も併せて入力する。ただし、同じ基板種の2回目以降の生産では、生産情報は既に記憶装置11に記憶されているので、再度の入力操作は不要である。
【0033】
次のステップS2で、生産管理システム10は、マルチジョブラインバランスの処理を行い、処理結果をフィーダ配膳リスト12として記憶装置11に記憶する。マルチジョブラインバランスとは、生産計画に基づいて基板種を切り替えながら基板Kを生産するときに、生産方法を最適化するシミュレーションの技法である。マルチジョブラインバランスは、複数の部品実装機が列設された部品実装ラインを対象とするが、本実施形態では、簡易な例として1台の部品実装機1を想定する。最適化のシミュレーションには、基板種を切り替える際にフィーダ装置7、8の交換回数を少なくする処理や、フィーダ装置7、8の並び順を最適化して実装ヘッド44の移動距離を短くする処理などが含まれる。
【0034】
生産管理システム10は、マルチジョブラインバランスの処理で、多数種類の基板Kに装着される共通部品を保持したキャリアテープをシングルフィーダ装置7に優先的に割り当てるとともに、少数種類の基板Kに装着される固有部品を保持したキャリアテープをマルチフィーダ装置8に優先的に割り当てる。
【0035】
以降では、1個のシングルフィーダ装置7および2個のマルチフィーダ装置8を併用して第1~第3基板種の基板Kを生産する場合のマルチジョブラインバランスについて説明する。
図5は、生産管理システム10が行うマルチジョブラインバランスの処理を説明した図である。
図5において、上側の表は、当初の生産情報を表し、下側の表は、処理結果のフィーダ配膳リスト12を表している。
【0036】
当初の生産情報では、第1~第3基板種の各基板Kに装着する部品の種類が定められている。すなわち、第1基板種の基板Kに部品A、部品B、および部品Cを装着し、第2基板種の基板Kに部品A、部品C、および部品Dを装着し、第3基板種の基板Kに部品A、部品B、および部品Eを装着する。これによれば、部品Aは、3種類全部の基板種に装着される。また、部品Bおよび部品Cは、2種類の基板種に装着され、部品Dおよび部品Eは、1種類の基板種のみに装着される。
【0037】
したがって、最も多数種類の基板Kに装着される共通部品は、部品Aとなる。生産管理システム10は、共通部品Aを保持したキャリアテープをシングルフィーダ装置7に優先的に割り当てる。また、最も少数種類の基板Kに装着される固有部品は、部品Dおよび部品Eとなる。生産管理システム10は、固有部品Dを保持したキャリアテープ、および固有部品Eを保持したキャリアテープを2個のマルチフィーダ装置8に優先的に割り当てる。この時点で、1個のシングルフィーダ装置7への割り当ては、既に終了している。したがって、生産管理システム10は、部品Bを保持したキャリアテープ、および部品Cを保持したキャリアテープを、2個のマルチフィーダ装置8に割り当てる。
【0038】
最終的に、フィーダ配膳リスト12に示される部品の割り当てが行われる。すなわち、スロットNo.1に装備されるシングルフィーダ装置7に、共通部品Aを保持したキャリアテープ7Tが割り当てられる。また、スロットNo.2に装備される第1のマルチフィーダ装置8に、部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2が割り当てられる。さらに、スロットNo.3に装備される第2のマルチフィーダ装置8に、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2が割り当てられる。
【0039】
ところで、5種類の部品A~部品Eは、3個のシングルフィーダ装置7および1個のマルチフィーダ装置8を併用して供給することも可能である。この場合、生産管理システム10は、共通部品Aを保持したキャリアテープをシングルフィーダ装置7に優先的に割り当て、固有部品Dを保持したキャリアテープ、および固有部品Eを保持したキャリアテープをマルチフィーダ装置8に優先的に割り当てる。この時点で、1個のマルチフィーダ装置8への割り当ては、既に終了している。したがって、生産管理システム10は、部品Bを保持したキャリアテープ、および部品Cを保持したキャリアテープを、残された2個のシングルフィーダ装置7に割り当てる。
【0040】
さらに、5種類の部品A~Eは、5個のシングルフィーダ装置7を用いて供給することも可能である。別の観点から見れば、マルチフィーダ装置8を用いる分だけ、使用するスロット数を削減できることになる。
【0041】
フィーダ配膳リスト12が記憶された後、部品実装機1による基板Kの生産が開始される。基板Kの生産は、
図4のステップS3~ステップS12の間の各ステップS4~S11の繰り返しによって進められる。ステップS4において、部品実装機1の制御装置6は、生産管理システム10からの指令にしたがい、生産する基板種を設定する。初回のステップS4において、制御装置6は、初めの第1基板種を設定する。以降、第1基板種が現在生産中の基板K(現基板種)となり、第2基板種が次に生産する基板K(次基板種)となる。また、共通部品A、部品B、および部品Cが現生産種の部品となり、共通部品A、部品C、および固有部品Dが次生産種の部品となる。
【0042】
初めの第1基板種に限り、作業者は、生産を開始する以前に、フィーダ配膳リスト12を参照してフィーダ装置の段取り作業を行う。すなわち、作業者は、共通部品Aを保持したキャリアテープ7Tをシングルフィーダ装置7に装填する。また、作業者は、部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1を第1のマルチフィーダ装置8に装填し、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1を第2のマルチフィーダ装置8に装填する。マルチフィーダ装置8では、先に第1のキャリアテープ8T1を巻回したテープリール821が前側にセットされ、次に第2のキャリアテープ8T2を巻回したテープリール822が後側にセットされるものとして説明する。
【0043】
第1のキャリアテープ8T1をマルチフィーダ装置8に装填する際に、作業者は、キャリアテープ8T1の先端を第1挿入口841から第1装填位置センサ861まで挿入する。これにより、第1装填位置センサ861は、キャリアテープ8T1の先端の挿入を検出する。このとき、第1装填駆動部851は、スプロケットがキャリアテープ8T1に係合した状態となって、キャリアテープ8T1を初期保持する。
【0044】
続いて、フィーダ制御部89は、第1装填駆動部851を駆動して、初期保持したキャリアテープ8T1を自動的に繰り出してゆく。すると、或る時点で第1待機位置センサ863がキャリアテープ8T1の先端の到達を検出するので、フィーダ制御部89は第1装填駆動部851を停止させる。これにより、マルチフィーダ装置8は、第1のキャリアテープ8T1を自動的に待機位置まで繰り出すことができる。
【0045】
ステップS5で、部品実装機1は現基板種の基板Kの生産を開始するが、ステップS6およびステップS7の処理は段取り替え動作に相当する。ステップS6で、部品実装機1は、テープカッター91を動作させて、各キャリアテープ(7T、8T1、8T2)をカットする。ただし、初めの第1基板種では、いずれのキャリアテープ(7T、8T1、8T2)もテープカッター91まで繰り出されていないので、ステップS6の処理は不要である。
【0046】
次のステップS7で、現基板種に装着する部品が自動的に切り替えられる。ただし、初めの第1基板種では、共通部品A、部品B、および部品Cが供給可能に準備される。詳細には、シングルフィーダ装置7は、キャリアテープ7Tを供給位置73まで繰り出して、共通部品Aの供給を可能にする。また、2個のマルチフィーダ装置8では、第1装填駆動部851が第1のキャリアテープ8T1を待機位置から供給位置83まで繰り出す。このとき、繰り出し駆動部853のスプロケットも、キャリアテープ8T1に係合する。これにより、第1装填駆動部851と繰り出し駆動部853との協働による第1のキャリアテープ8T1のピッチ送りが可能となる。
【0047】
以上で段取り替え動作が終了して、現基板種の基板Kの生産が実際に始まる。すなわち、シングルフィーダ装置7および2個のマルチフィーダ装置8による部品の供給と、部品移載装置4による部品の採取および装着とによる生産動作が繰り返され、現基板種の基板Kが順次生産される。現基板種の基板Kの生産動作と並行して、ステップS8~ステップS10までの処理が行われる。ステップS8~ステップS10の処理では、フィーダ配膳リスト12が参照される。
【0048】
ステップS8で、マルチフィーダ装置8は、使用しなくなった不要なキャリアテープを自動的に排出する。使用しなくなったキャリアテープとは、生産が完了した基板種に供給していた部品であって、現基板種および次基板種以降に装着しない部品を保持しているキャリアテープを意味する。キャリアテープが不要であるか否かは、制御装置6が判定する。本実施形態でステップS8の処理は不要であり、排出動作は、実際には次のように行われる。
【0049】
すなわち、使用しなくなったキャリアテープに係合している繰り出し駆動部853と、第1装填駆動部851および第2装填駆動部852の一方とが逆転して、キャリアテープを引き戻す。さらに、第1巻取り駆動部855および第2巻取り駆動部856の一方がテープリール(821または822)を逆転駆動して、キャリアテープの巻き取りを行う。これにより、使用しなくなったキャリアテープの先端は、第1挿入口841または第2挿入口842から後方に排出される。したがって、作業者は、部品実装機1の生産動作を中断することなく、使用しなくなったキャリアテープを巻き取ったテープリール(821または822)を取り外すことができる。
【0050】
なお、使用しなくなったキャリアテープの排出動作は、操作パネル87からの指令でも行えるようになっている。また、キャリアテープが短くなっていて、その終端がすでに第1装填駆動部851や第2装填駆動部852よりも前側まで繰り出されていると、自動的な排出動作は行えない。この場合、マルチフィーダ装置8を部品実装機1から取り外し、機外で手動により、短いキャリアテープを回収する。
【0051】
次のステップS9で、部品実装機1の制御装置6は、現基板種の基板Kに装着せずかつ次基板種の基板Kに装着する新たな部品を補給する旨を表示部に案内表示する。初回のステップS9で、制御装置6は、
図5に示されるフィーダ配膳リスト12を参照して、固有部品Dが新たな部品に該当すると認識する。したがって、制御装置6は、固有部品Dを第1のマルチフィーダ装置8に補給する旨を案内表示する。
【0052】
次のステップS10で、作業者は、案内表示にしたがい、次基板種の基板Kに装着する新たな部品を補給する。初回のステップS10で、作業者は、固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2を巻回したテープリール822を、第1のマルチフィーダ装置8の後側にセットする。
【0053】
次いで、作業者は、このキャリアテープ8T2の先端を第2挿入口842から第2装填位置センサ862まで挿入する。これにより、第2装填位置センサ862は、キャリアテープ8T2の先端の挿入を検出する。このとき、第2装填駆動部852は、スプロケットがキャリアテープ8T2に係合した状態となって、キャリアテープ8T2を初期保持する。続いて、フィーダ制御部89は、第2装填駆動部852を駆動して、初期保持したキャリアテープ8T2を繰り出してゆく。すると、或る時点で第2待機位置センサ864がキャリアテープ8T2の先端の到達を検出するので、フィーダ制御部89は第2装填駆動部852を停止させる。
【0054】
上記した部品補給作業は、マルチフィーダ装置8が部品Bを供給している間の任意の時期に行うことができる。そして、固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2の待機位置までの装填動作は、部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1が供給位置83にピッチ送りされる部品供給動作と並行して自動で行われる。これによれば、第1基板種の基板Kを生産している途中の時点で、第2基板種の基板Kに装着する固有部品Dの準備が完了する。
【0055】
この後、ステップS11で、現基板種である第1基板種の基板Kの生産が終了すると、ステップS4に戻る。2度目のステップS4において、部品実装機1の制御装置6は、生産管理システム10からの指令にしたがい、生産する基板種を第1基板種から第2基板種に変更設定する。以降、第2基板種が現在生産中の基板K(現基板種)となり、第3基板種が次に生産する基板K(次基板種)となる。
【0056】
2度目のステップS5で、部品実装機1は第2基板種の基板Kの生産を開始する。2度目のステップS6で、部品実装機1は、テープカッター91を動作させる。これにより、シングルフィーダ装置7の共通部品Aを保持したキャリアテープ7Tがカットされる。同様に、第1のマルチフィーダ装置8の部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1、および第2のマルチフィーダ装置8の部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1がカットされる。
【0057】
2度目のステップS7で、現基板種である第2基板種に装着する部品が自動的に切り替えられる。このとき、第1のマルチフィーダ装置8では、第2基板種の基板Kに装着する固有部品Dは、初回のステップS10で既に準備されている。したがって、実質的には、フィーダ制御部89の内部で、部品Bに代え固有部品Dを供給する旨の設定変更が行われるだけである。以上で段取り替え動作が終了して、第2基板種の基板Kの生産が実際に始まる。
【0058】
2度目のステップS9で、部品実装機1の制御装置6は、第2基板種の基板Kに装着せずかつ第3基板種の基板Kに装着する新たな部品として、固有部品Eを第2のマルチフィーダ装置8に補給する旨を案内表示する。2度目のステップS10で、作業者は、案内表示にしたがい、固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2を巻回したテープリール822を、第2のマルチフィーダ装置8の後側にセットする。次いで、作業者は、このキャリアテープ8T2の先端を第2挿入口842から第2装填位置センサ862まで挿入する。すると、第1のマルチフィーダ装置8のときと同様、固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2が待機位置まで自動的に装填される。
【0059】
固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2の待機位置までの装填動作は、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1が供給位置83にピッチ送りされる部品供給動作と並行して自動で行われる。これによれば、第2基板種の基板Kを生産している途中の時点で、第3基板種の基板Kに装着する固有部品Eの準備が完了する。
【0060】
なお、本実施形態において、
図6に示されるフィーダ配膳リスト12Aを用いることができる。
図6は、フィーダ配膳リスト12Aの変形例を示した図である。この変形例では、スロットNo.1に装備されるシングルフィーダ装置7に、共通部品Aを保持したキャリアテープ7Tが割り当てられる。また、第1のマルチフィーダ装置8に、部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2が割り当てられる。さらに、第2のマルチフィーダ装置8に、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2が割り当てられる。
【0061】
図6に示されるフィーダ配膳リスト12Aの場合、第2基板種の基板Kを生産する際に、第1のマルチフィーダ装置8を休止する。そして、シングルフィーダ装置7から共通部品Aを供給し、第2のマルチフィーダ装置8から部品Cおよび固有部品Dを供給する。このとき、第2のマルチフィーダ装置8は、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2を自動で交互に選択して供給位置83まで繰り出す。
【0062】
詳述すると、第2のマルチフィーダ装置8が準備された状態において、第1のキャリアテープ8T1の先端、および第2のキャリアテープ8T2の先端は、ともに待機位置に保持されている。そして、部品Cを供給するとき、第1のキャリアテープ8T1が供給位置83まで繰り出され、第2のキャリアテープ8T2は待機位置に留まる。次に、固有部品Dを供給するとき、第1のキャリアテープ8T1が引き戻され、待機位置まで引き戻されたことが第1待機位置センサ863によって確認される。そして、第2のキャリアテープ8T2が供給位置83まで繰り出される。その次に、再度部品Cを供給するとき、第2のキャリアテープ8T2が引き戻され、待機位置まで引き戻されたことが第2待機位置センサ864によって確認される。そして、第1のキャリアテープ8T1が再度供給位置83まで繰り出される。以下、同様に、第1のキャリアテープ8T1および第2のキャリアテープ8T2が選択的に待機位置から供給位置83まで繰り出され、この動作が反復される。
【0063】
図6に示されるフィーダ配膳リスト12Aの場合、第3基板種の基板Kを生産する際に、スロットNo.3に装備された第2のマルチフィーダ装置8を休止する。したがって、第3基板種の基板Kの生産動作と並行して、基板種4の基板Kに装着する新たな部品を第2のマルチフィーダ装置8に準備できる。さらに、第3基板種の基板Kの生産動作の実施中に、第2のマルチフィーダ装置8を部品実装機1から取り外したり、再度装備したりもできる。
【0064】
(4.実施形態のマルチフィーダ装置8の態様および効果)
実施形態のマルチフィーダ装置8は、正転することにより、第1挿入口841に挿入された第1のキャリアテープ8T1を供給位置83まで繰り出し可能とする第1装填駆動部851と、正転することにより、第2挿入口842に挿入された第2のキャリアテープ8T2を供給位置83まで繰り出し可能とする第2装填駆動部852と、第1装填駆動部851の正転および逆転を制御して、第1のキャリアテープ8T1を供給位置83まで繰り出させるとともに、第2のキャリアテープ8T2を使用する場合に第1のキャリアテープ8T1を引き戻させるフィーダ制御部89と、を備える。
【0065】
これによれば、マルチフィーダ装置8は、現生産種の部品Bを供給するのと並行して、次生産種の固有部品Dを予め準備するという効率的な動作を行うので、生産する基板Kの種類を切り替える際の切り替え所要時間が短縮される。一方、作業者は、マルチフィーダ装置8が現生産種の部品Bを供給している間の任意の時期に、次生産用のキャリアテープ8T2を装填すればよいので、段取り替え作業の自由度が大きい。この2点により、基板Kの生産効率が向上する。
【0066】
さらに、マルチフィーダ装置8は、初期保持した次生産用のキャリアテープ8T2を自動的に待機位置まで繰り出す。これによれば、生産する基板Kの種類を切り替える際に、部品Bに代え固有部品Dを供給する設定変更が行われるだけなので、切り替え所要時間が格段に短縮されるとともに、作業者は切り替え時に立ち会う必要がない。
【0067】
さらに、マルチフィーダ装置8は、使用しなくなったキャリアテープ(8T1、8T2)を自動的に引き戻し、マルチフィーダ装置8が部品実装機1に装備された状態で使用しなくなったキャリアテープ(8T1、8T2)の排出を可能にする。これによれば、キャリアテープ(8T1、8T2)の交換作業によって基板Kの生産動作が中断されず、かつ、キャリアテープ(8T1、8T2)の交換作業が容易になる。
【0068】
また、基板の生産方法において、部品を保持するキャビティ部が一列に並んで形成されたキャリアテープ(8T1、8T2)の2本を個別に繰り出し可能および引き戻し可能に保持し、いずれかのキャリアテープ(8T1、8T2)を選択的に待機位置から供給位置83まで繰り出すマルチフィーダ装置8と、1本のキャリアテープ7Tを供給位置73まで繰り出し可能なシングルフィーダ装置7とを部品実装機1に装備して、複数種の部品をそれぞれ供給位置(83、73)に供給し、部品実装機1に装備した部品移載装置4を用いて、各供給位置(83、73)でそれぞれ部品を採取して部品実装機1の実装位置に搬送された基板Kに装着する生産動作を繰り返し、生産計画に基づいて基板Kの種類(第1基板種、第2基板種、……、第N基板種)を切り替えながら基板Kを生産する方法であって、多数種類の基板Kに装着される共通部品Aを保持したキャリアテープをシングルフィーダ装置7に優先的に割り当てるとともに、少数種類の基板Kに装着される固有部品D、Eを保持したキャリアテープをマルチフィーダ装置8に優先的に割り当てる。
【0069】
これによれば、マルチフィーダ装置8を有効に使用して、少ないスロット数で所定の種類の部品A~Eを供給できる。
【0070】
また、部品を保持するキャビティ部が一列に並んで形成されたキャリアテープ(8T1、8T2)の2本を個別に繰り出し可能および引き戻し可能に保持し、いずれかのキャリアテープ(8T1、8T2)を選択的に待機位置から供給位置83まで繰り出すマルチフィーダ装置8を部品実装機1に装備して、部品を供給位置83に供給し、部品実装機1に装備した部品移載装置4を用いて、供給位置83で部品を採取して部品実装機1の実装位置に搬送された基板Kに装着する生産動作を繰り返すマルチフィーダ装置8であって、
図6のフィーダ配膳リスト12Aにおける第2基板種の生産時に、第2のマルチフィーダ装置8は、部品Cを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Dを保持した第2のキャリアテープ8T2を自動で交互に選択して供給位置83まで繰り出す。
【0071】
同様に、
図6の配膳リスト12Aにおける第3基板種の生産時に、第1のマルチフィーダ装置8は、部品Bを保持した第1のキャリアテープ8T1、および固有部品Eを保持した第2のキャリアテープ8T2を自動で交互に選択して供給位置83まで繰り出す。
【0072】
これらによれば、マルチフィーダ装置8を用いることにより、従来型のシングルフィーダ装置7のみを用いる場合よりも供給できる部品の種類数を増やせるので、生産可能な基板Kの種類数を増やせる。一方、複数の部品実装機1を列設して部品実装ラインを構成している場合、マルチフィーダ装置8を用いることにより、部品実装機1の列設台数を削減しても、供給できる部品の種類数を確保できる。
【0073】
(5.実施形態の応用および変形)
なお、実施形態では、シングルフィーダ装置7およびマルチフィーダ装置8を併用する場合について説明したが、これに限定されない。つまり、部品供給装置3が複数のマルチフィーダ装置8のみで構成されていてもよい。また、キャリアテープ(8T1、8T2)を排出したときの弛みが許容される場合、第1巻取り駆動部855および第2巻取り駆動部856は省略できる。本実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1:部品実装機 2:基板搬送装置 3:部品供給装置 4:部品移載装置 5:部品カメラ 6:制御装置 7:シングルフィーダ装置 72:テープリール 73:供給位置 7T:キャリアテープ 8:マルチフィーダ装置 821、822:テープリール 83:供給位置 841:第1挿入口 842:第2挿入口 851:第1装填駆動部 852:第2装填駆動部 853:繰り出し駆動部 861:第1装填位置センサ(第1装填位置) 862:第2装填位置センサ(第2装填位置) 863:第1待機位置センサ(第1待機位置) 864:第2待機位置センサ(第2待機位置) 89:フィーダ制御部 8T1:第1のキャリアテープ 8T2:第2のキャリアテープ 91:テープカッター 10:生産管理システム 12、12A:フィーダ配膳リスト